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せっかくですから私が選んだ傑作少林寺映画も集めてみました。  


楚留香之二蝙蝠傳奇Yesasia.com
Legend of the Bat






この頃はまりつつある古龍原作・楚原監督作品の一つ。
楚原+狄龍と一番息のあったコンビでお送りする武侠片・楚留香シリーズ第二弾。 いきなり第二弾から手を出してしまった。
それというのも、 「複雑怪奇な武侠片解読!難易度高め」 に挑戦してみたかったため。

うーん・・・誠にすいません。 大筋は理解できましたが、部分部分の妙味を味わってこそ、本作はもっと面白いなと感じてしまい、 日本でも文庫本が出ていますのでネタバレはやはり避けつつも、 いよいよ読みたくなったので入手しておきたいと思います。

集中して見たらマジ面白い

その替わり俺のような多国語ヘタレだと、集中して瞬時に訳のめぼしをつけながら 推測の入った解読をする必要があるので、かなり疲れました。 正直言って1回目流して観たときは、まさに流したのでサッパリでした。今回は「ネタバレさせない」を建前にお話は超要約に飛ばして、別の観点から探っていければと逃げてみました。

お話要約(かなり)

毛色の違う男前コンビ
泥棒でもあり剣客でもあり探偵的でもある楚留香(狄龍)と友人である殺し屋の胡鐵花(凌雲)が宴の席で起こった謎の襲撃事件の解明に乗り出す。 事件に関係していると思われる人物たちはどいつも面妖な奴ばかりだが、共通点が一つ。
蝙蝠島に」 のワード。みんなが蝙蝠島に固執している。
じゃー蝙蝠島ってなあに?
ってことで、興味津々でさらに一歩踏み込んでいく楚留香と胡鐵花。父親を捜している余安安とそのお付きである元華、岳華&井莉夫婦、その他諸々を引き連れて蝙蝠島へ。

ここの座礁シーンもよく出来ています
途中、船は蝙蝠島からと思われる来襲や座礁を起こして、事態はめまぐるしく動き、遂には乗船者全員が眠らされてしまう。
牢屋の周りは硫酸の池
目覚めるとそこは蝙蝠島だったが、地下牢に幽閉されていた・・・
さて、ここからどうやって脱出する!?
なかなかの面々なんです
(左から岳華、狄龍、凌雲、爺ちゃん、王鍾、井莉、余安安、元華)
・・・何とか脱出した一行だったが
燃え盛る炎のステージ!
寒すぎる氷のステージ!
と数々のトラップステージが一行を襲います。
それにしてもお金かかったセット!
1人、また1人脱落していく者たち。
苦難を乗り越えて中心部に到達した一行。
待ち受ける蝙蝠島の真実とは!?

終劇


時代劇クンフーアドベンチャー
この映画を武侠片と表現しなかったらこんな感じかな。同じ古龍原作でジャッキー「飛渡捲雲山/神拳ヤング・ボディガード」でもみんなで山賊が住むという「捲雲山」を目指してのアドベンチャーなのだがこちらは船、そして島という大きな密室を舞台にすることでより密度の濃いアドベンチャーに仕上がっている。
まずとにかく目を引くのはショーブラザーズの力だ


職人芸的に作られた数々の大がかりなセットにはびっくりさせられる。それがまた楚原独特のセットをまるでフォトフレームになるように撮りながら引き気味中央にバトルを映し出す(まさにフォトフレーム) このアングルが映える映える。
さらに大がかりセットを使っての仕掛けイベントの豊富さ、どいつもこいつも奇ッ怪な奴だらけの登場人物、その登場人物たちが織りなす欲望・裏切り渦巻くドラマ、剣が交じり合うと同時に体が宙に舞う武侠片らしいチャンバラアクション と、実に質の高い娯楽活劇である。 (・・・だからこそ原作読まないとな)

■キャラクター的には

狄龍の性格付けがもう少し濃くても良いのでは?
という気はする。タイトル画面での何だか珍しい

大うつけで豪儀な剣客にして血と色を好む笑いの表情
ってのに凄く期待させられたんだけどな。もっとスケベで戦いを好んで、人の道を踏み外す一歩手前のキャラとか。原作を読まないとってところもあるが、本作での狄龍演じる楚留香はちょっと普通すぎる。


最近気になる男 凌雲
寡黙で強くて不器用ではなく器用で男前で若林豪似---まるで武侠片のために生まれたみたいな出で立ちと芸風の持ち主だ。
かっこいいー!
こういった武侠片が漫画だったりしたら 「三少爺的劍」でも本作でも「英雄有涙」でも凌雲キャラに人気が集中することは間違いない。ただその人気の9割が男だと思うが。


最近気になる女 余安安
知る人ぞ知る周潤發の前妻あんあんたん
・・・・・・なんでこんな可愛・・・いやいや昔の事だ言うまい。
♪かわいい顔して 色白で 知恵がまわって 明るくて
  笑いじょうごは いいけれど 派手ないたずら 玉に傷
  あれはどこの子 魔法の子 アクビ娘と人が言う    
  シュワー シュビドゥワー アクビ娘は すてきな子

ところどころ当てはまってないけど、何故か余安安だとこの歌がピッタリな気がします(だからピッタリじゃないんだけど)。


今回気になった男 元華
余安安を影で支えるボディガードというか彼氏というか家来というか。また聾唖なところが、彼の忠誠心を浮き彫りにしていて良い効果を出している。それにしても香港映画は不具者の登場が目立つ。どういうルーツが含まれているのかな。この役はオファーが来たら、新人役者なら誰でも喜んでやりそうな非常に良い役だ。元華は「イースタンコンドル」でデビューとか言われてもいるが、とっくの昔にデビューしてるなぁ。そもそも何であんな話が出たのだろう。
感動の元華、美味しいシーン

狄龍左手拳のすぐ上の顔が林正英。輪郭ですぐわかる。
ここのシーンには鐘發も確認したし、クライマックスでは袁信義もチラッと登場。

■アクションとかは


チャンバラアクションも格好良いっすよ!
これは徐少強vs狄龍
いわゆる功夫活劇的動きを武侠片に期待するのは間違ってます。あくまで剣と剣の争いがメインであり、また武侠片の剣客たちはみんな身が軽いんですね。
そして本作ではその場その場の豪華セットを利用して立体的なアクションを構築しているのが特徴で、爾冬陞vs劉永では 二階でセットをぶち壊しながら戦い、一階に両者落下してさらに戦い続けるのをワンカットで見せたり、 クライマックスでの大乱戦では全員が全員、トランポリンで跳ね回って何が何だか状態の面白さを表現したりと、見るべきアクションはたくさんたくさんです。
(ひとりごと)
それにしてもこうやって映画をたくさん観ることで色々な疑問が少しずつ解きほぐされていくような、そんな感触です。

■総じて

最初に目を見張るとにかく「セットの豪華さ」でしょう。
同年にジャッキー「酔拳」が製作されておりまして、もちろん「酔拳」の方が大ヒットを飛ばしていますが、こっちは「酔拳」何本分の制作費だ!? って感じです。核であるアクションも工夫を凝らしたものがたっぷりありますし、アドベンチャーな面白さも十分備わってます。陰惨でもなくワクワク出来るお話ですし、ただただ痛快な娯楽活劇だと思います。日本語化されれば或いは小説を読んだ人には 強くお奨めできる傑作武侠片というかアドベンチャーアクションですね。

■CAST&STAFF
監督 楚原
出演 狄龍(ティ・ロン)
凌雲
爾冬陞(イー・トンシン)
余安安
岳華
井莉
劉永(トニー・リュウ)
元華(ユン・ワー)
王鍾
陳思佳
莊莉
劉慧玲
顧冠忠
徐少強(ツイ・シャオチャン)
艾飛
鐘發(チュン・ファット)
袁信義(ユアン・シュンイ−)
林正英(ラム・チェンイン)
武術指導 唐佳
黄培基
脚本 秦雨
原作 古龍
音楽 陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U
製作 邵逸夫(ラン・ラン・ショウ)
方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1978
 



少林俗家弟子
崇山少林寺



サモ・ハン・キンポーの「福星高照」(「大福星」)と日本で同時公開された映画で、全然知られていないが、実は個人的に大好きな作品。
派手な演出が無くてリアルスティックに修行なんか描かれてて興味深い。
師匠が弟子達に杭を打たせ、木の杭がいっぱい立つ。
「木人拳ですかッ?」
とわくわくしながら質問する弟子達。
「違う。ただ抜け。」
「ええーっ!?」
のくだりが面白い。これはアンチテーゼなのか。そこまで考えてないか。他の少林寺映画と一番違うのが少林僧が戦わないところ。本当に何もしない。で、少林寺に挑戦したい「北蹴拳」の達人が、門前払いされてしまう。そこで、達人は少林寺の弟子達を次々と襲い、少林寺を挑発する。でもやっぱなんもしない。ただ1人だけ師匠が立ち上がった。勝負は互角だったが、弟子達が高僧の命を受けて勝負の中止させてしまう。怒り狂う達人。達人に襲われ負傷していく仲間達の仇を討つため主人公が猛特訓を開始した。うおーっ
←この映画一番の見所は師匠の人。
この人これしか観てないので名前もなんも知らないが、とにかく強い。出で立ちからして格が違う。全くスキ無しって感じ。かっこいいなぁ。

最後、達人が主人公に負けて自分の恥ずかしさに呆れ、自殺しようと剣を掴むシーンで幕が閉じる。このラストシーンが凄く印象的だったな。ビデオ屋にたまにある。あったら観て。

■CAST&STAFF
監督 華山
出演 范冬雨
何晴
王赤
制作年度 1985
 


南北少林
Martial Arts of Shaolin
阿羅漢



少林寺映画の傑作。
本物の少林寺を舞台にしている映画で一番面白いのはこれだと思う。「少林寺」「少林小子」を観た劉家良が李連杰に惚れ込み、一年以上かけて中国でロケ敢行した超大作である。日本でもロードショー公開されヒットしたので「阿羅漢」と聞けば知っている人が意外といるのではなかろうか。
人海戦術で攻めてくる敵に対して、3人で立ち向かう李連杰達が超人のように強い。戦う背景自体も万里の長城とか、紫欣城とか凄く貴重な場所。それだけに撮影には細心の注意が払われた。傷をつけちゃいけないから。
李連杰がオープニングで少林寺の木をめちゃめちゃに殴って修行しているが、後で罰金として100万円取られたらしい。これはしょうがないな。
特筆すべき事は、敵将軍役の干承恵が持っている長剣をはじめ、使っている主な武器がすべて本物なのだ!真剣ですよ、真剣。危なすぎ。使うな使うな。実際、胡堅強が長剣で目を負傷し、「あわや失明」とまでなったとか。こわ〜。
ヒロインの黄秋燕が当時小学生ながら「可愛いなぁ」と思っていたが如く、李連杰と結婚したらしい。 その後、離婚して今はアメリカにいるとか。
なにげに、胡堅強なんかクンフーがうまくて好きだったのだが、本作後、サニー千葉の邦画「激突!」に出演しているのを観てから一度も観ていない。どこいった。
師匠役の干海が本当に強そうで、優しくて「男はこうあるべきだ」的貫禄が素敵。

■CAST&STAFF
監督 劉家良(リュー・チャーリャン)
出演 李連杰(ジェット・リー)
胡堅強(フー・チェンチァン)
黄秋燕(ホアン・チュウイェン)
干海(ユエ・ハイ)
干承恵(ユエ・チェンウェイ)
計春華(チー・チュアンホワ)
孫建魅(チャン・チェンフー)
劉懐良
張建民
王光灌
胡美傑
蒋燕麟
王春元
王書丹
馬沈
高標
袁園
袁俊
熊欣欣(ホン・ヤンヤン)
武術指導 劉家班
脚本 施揚平
音楽 黄霑(ジェームス・ウォン)
策劃 陳文
製作 傳奇(フー・チー)
制作 林柄〔土申〕
呂蔭培
製作総指揮 安子介
疹一原
制作年度 1986
 


少林三十六房
Shaolin Temple The 36Th Chamber
少林寺三十六房





個人的に挙げる三大少林映画の一つ
功夫映画に興味を持った人、また持とうと思った人には特にお薦めしたい。

功夫映画入門の手引き
やっぱり初心者がこれからって時は
「燃えよドラゴン」 「ドランク・モンキー・酔拳」 「少林寺三十六房」 これかな。
本作を何故初心者にお奨めするかというと修行が合理的に感じるからであり、これを観てもらえば
「なるほど。功夫とはこうやって修得するのか・・・な?」
と勿論誇張あれ、ある程度こういうプロセス踏めば強くなるってのが納得出来るはず。はてさて。

・・・いややっぱこれ、日本のメーカーどこか買ってよ、ほんとに。せっかく画面綺麗にしたし、TV放映ではカットされてた(劇場版は私はわからない)シーンもいっぱいあるし、これは結構、売れるしレンタル率も良いと思うんだけどなぁ。俺なんかこれ録画したビデオテープはボロボロだし、モノラルで音も悪いし、この映画終わった後に「さんまのまんま」が何故か録画されてるんだけど、さんまがまだ大竹しのぶとも結婚していない時代だし(17年くらい前)。こうやって俺はVCD版だけど、復刻した画面の綺麗さを見るとちょっと感動するね。ちなみにDVDでは結構特典もついており、現在の劉家輝へのインタビューとかも入ってるらしい。(DVD-ROMはリージョン3なのでご注意を)

逆に本作を観てる人は非常に多いと思うので、今さらながら全容について語るのも何だかなぁと難しい。 TV放映でカットされてた部分に関しては、やはりカットされるべくしてカットされたところが多く、それほど興味のあるシーンがあったわけではない。ただ挙げるとするならば、
・冒頭の劉家榮vs羅烈がちょっと長い
・下山後の劉家輝vs唐偉成もちょっと長い
・そう言えばたぶん劉家輝vs張牛郎も長いかな
この3つのバトルに関しては、さすがに興味深く、復活して良かったある。カットされない事によって当時の印象よりも

結構なバトルしてたんだな って印象が若干変わった。特に最初の劉家榮vs羅烈、結構熱いバトルしてるあるよ。

まぁ 「日本語字幕がないと嫌だ〜!!」 って人もいるだろうし、修行編の辺りをおさらいでもしてみようかしら。ただね。そういった人も一度、字幕無しも試してみると良いと思うよ。俺はそんなには気にならないけどなぁ。 その手の店に行けばセールで安いのも売ってるんだし、そういうので試されてみてはどうでしょうか。

■頂房

ここは最終の三十五房にあたりますか。
もう武芸の訓練は終わってて、主にメンタル修行がメインとなっております。というか、みんなでお経読んで悟り開こうぜ って、とこでしょうか。劉家輝は当然、追い返されます。

■平衡房


まずはバランス感覚を身につけろ!
水中に浮いた丸太を渡って飛び移れ。
これやってみた〜〜〜い
劉家輝が最初にバカにするのもわかるよね。すぐ出来そうだもん。結局、劉家輝はしばらく出来ず夜中に猛特訓してやっとこさ。そこまで練習する必要があるのかどうかだが、この平衡房修行の描写は抜群。少しずつ巧くなるサマがバッチリ表現されてるし、
こんなんで苦労しててこの先、大丈夫かいな?
これで後、33房もあるのかよ
等々、ここでお客さんの気持ちをグッと掴んでます。




桶に水汲んで両腕で桶持って上行ったり下行ったりだ!
ここは特に腕・肩・腰の筋力をつけ、かつバランス感覚も養う房。
これはやりたくな〜〜〜い
だって脇腹が切り傷だらけになっちゃいます。
(それどころか俺みたいな根性無しだったらもう泣くだろうな)




長い竿についた重しを大鐘にぶつけてリズムに合わせて鳴らせ!
こちらは特に棒術の基本となる棒先端へ自分のパワーを伝えろ!
といった動きの修得と腕力強化をする房。




目だけで素早く光を追え!
鋭い反射神経というか視力を養う房
若干やってみたいが、左右のデカ線香が怖いなぁ。

■頭力房


頭でサンドバッグいっぱい叩け!
ここは見てのとおり、頭突き力を養う房。
やることはシンプルだけどやりたくはないなぁ。気功術ならまだわかるけど本当に頭なんか鍛えられるのかしら。

■拳術房


いよいよ本格的に拳法の型を修得する房。この房は優しく袁小田師匠が教えてくれます。
個人的には
「平衡房」「目房」「拳術房」「刀房」 の4セットでお願いしま〜す。

■腿房

それぞれ足の構え、足技を学びます。
これは正確な蹴りを練習するために炎の輪を使用するということもあり、僕は却下しよ。

■刀房


刀術を学びます。

■棍房


もちろん棒術。
珍しく陳龍が良い感じのお師匠様を演じております。だけど、正確な突きを修得するために手裏剣くるくる針ブサブサをやらなければいけないので、僕は辞退しよ。

以上、 10房・・・あれ?あと25房はどうした?
なんて因縁つける気はないんですが、ただ「真・少林寺三十六房」なんて見てみたいですね。 入門前と下山後は同じで、修行の部分が本当に「三十五房分やる」っていうの。どれくらいかかるかなぁ?三時間半ぐらいで何とかなりそうな気がするので、やれない事もないと思うのですが(やれないって)。
劉家良・家輝様。
確か現在は肉体的年齢も手伝って厳しいと思いますが、頑張って残り25房の追加撮影お願いします

でも、もうバッチリわかりますね。 流れがしっかりしてます。

まずはバランス感覚育成
   ↓
ひたすら色んな所の筋力育成及び反射神経育成
   ↓
肉体が完成したところで拳法修行に移行
   ↓
拳法修得後は精神修行の世界へ


納得
確かにこれで功夫修得できます。
「サカつく」の育成よりも納得します。
ペンキ屋はみんな空手使いか!?
ってな映画とはレベルが違います(それは言い過ぎですけど)。

以上が、この映画の面白味のメインとなる部分ですが、
他にも面白味あるのよ!
ってところが、本作をさらに名作としている理由でもあります。
まぁ説明しなくてもいいのですが、 三十五房卒業後に劉家輝は総長様の李海生と対決します。
「確かにお前は出来の良い弟子だが、まだまだ修行不足、私と戦ってみれば理解できるだろう。」
李海生さん一世一代の良い人柄役(ちょっと失礼かな)。彼に自分の強さを見せつけることで強くなっても決して奢ってはいけないのだということを身をもって教えてくれます。それを理解したかどうかはともかく(ともかくって・・・)、劉家輝は李海生を打ち破るべく、卒業しても修行に明け暮れます。
そして・・・

いかにして強敵を打ち破るか!そして三節根の誕生とは!?
三節根がこのように誕生したことが本当かどうかは知りませんけど、非常に興味深いお話です。 そして、ラストの羅烈将軍が弱い分、ここで李海生相手に強敵打破といった功夫映画のお約束が描かれているわけです。

下山後は仇である羅烈将軍一行を倒しておしまい・・・
だとは思ってないんですね、私は。

いやー それにしても唐三要(唐偉成)をメッタ斬りにする若者は洪熙官(于洋)だったのか!
ぜんっぜん気づかなかった。そういやそうか。気づくべきやった。ついでに徐少強扮するのは陸阿采か!なるほどなぁ・・・ 結局、三徳和尚と汪禹扮する春米六しか理解してなかったんだなぁ・・・迂闊。 童千斤(呉杭生)はよく知らないけど。
私、この辺りの展開も大好きなんですね。
つまり、劉家輝扮する三徳和尚となった裕徳が
血気盛んな若者達をかり集めて清軍倒しの討伐軍を作る
この展開って、ほら!ね。
「ドラゴン特攻隊」のようじゃありませんか!! ・・・・・・じゃなくて!!
「七人の侍」のようじゃありませんか!
だから勿体ないんですよねぇ。何がってキャラが。

この下山後から出てくる血気盛んな若者達、

・真面目に清軍討伐を誓う洪熙官(于洋)
子供の時、このもの凄い顔に圧倒されました。
・力自慢の鍛冶屋・童千斤(呉杭生)
これ「七人の侍」なら間違いなく三船さんですよね。三船さんに怒られそうですが。

・和尚にも好戦的でそれでいて調子の良い陸阿采(徐少強)

・飄々としているけど実は頭もキレそうで男としての筋もある春米六(汪禹)

せっかくそれぞれ性格付けもしっかりしているし、扮する役者さんもフィットしてるのに、この後そんなに活躍しないんですね。三徳和尚を中心に(じゃ三徳和尚は志村喬さんかって話ですが) この若者達が暴れまくるぜ! って展開になったらまた面白かったのになと。

どうせなら、「修行編」「討伐編」と二部構成に分けて
「修行編」は三十五房たっぷりと描写
「討伐編」はこのしっかり立っているキャラクター達を存分に使ってスペクタクルアクションな討伐劇を
・・・自分で言ってて本当に観たくなってきたよ。まぁ香港では120分以内に映画は収めよ ってのがあるから、なかなか「侠女」のように長編は出来ないだろうけどねぇ。
ただこのように修行を終えたら終えたで まだまだ楽しめるシーンが一杯ある映画なんですね。 そこは忘れちゃいけない。

さらに評価したいのは主演の劉家輝。
前半は

血気はあるけど腕はからっきし弱い裕徳ちゃんを演じて、そっから何年も修行して
後半は

裕徳ちゃんから貫禄も強さもバッチリの三徳和尚様に。この辺の演技力に関しては非常に関心しておりますのです。

さらにさらに本作。
他の功夫映画ではそれほど見られない、いや聞かれないのですがサントラが実に効果的で良い感じのインストが使われてます 特に顕著なのは勿論修行シーンですね。劉家輝の成長度合いに合わせてインストも非常にフィットしてると思います。

「酔拳」と同じく、あまりにポピュラーな映画なので何書けばいいものか迷ったけど、書き始めれば好きが転じてホイホイ文章出てくるもんだな。ウンチク書いてもご存じでしょうからね。ウンチクというか脚本のクレジットに曾志偉の名があるのはちょっとポイントですね。彼の影響はどれくらいあるのだろう。


ウリとなる修行シーンだけでなく、その他も色々楽しませてくれる
「少林寺三十六房」
やはり、忘れ得ぬ名作です。

■CAST&STAFF
監督 劉家良(リュー・チャー・リャン)
出演 劉家輝(リュー・チャー・フィ)
汪禹(ワン・ユー)
于洋
李海生(リー・ハイサン)
徐少強(ツイ・シャオチャン)
呉杭生
韓國材(ハン・クォツァイ)
劉家榮(リュー・チャー・ヨン)
陳龍
姜南(チャン・ナン)
袁小田(ユアン・シャオティエン)
羅烈(ロー・リエ)
唐偉成
張午郎(チェン・ウーロン)
沈勞
韋弘
王清河
林威
馮敬文
華倫
強漢
王撼塵
・森
小侯
林克明
惠天賜
徐忠信
陳會毅(チェン・フォンイー)
張華
金軍
錢月笙(チェン・ユーサン)
武術指導 劉家良(リュー・チャー・リャン)
唐偉成
脚本 倪匡(イ・クオン)
製作 邵逸夫(ラン・ラン・ショウ)
制作年度 1978
 


少林寺
Shaolin Temple

少林寺烈伝



功夫映画好きで観てない奴は
とにかく観れっ!            
             以上

・・・ だけで文章終わるか、長文になるかどっちかしかない。こんなの一度書き出したら書きたいことなんかありすぎるよ。だけど、賛辞賛辞賛辞してばっかりなのもあんまりなぁ〜 うまくまとめなきゃ。

でも、あのねー本当にねー観賞後、こんなんありかよ!! ってのが、ストレートな感想なのよ。
そこまで応えるか!俺の期待にそこまで応えるかキミは! って感じで、映画観てて鳥肌というか脊髄がスッと熱すぎ冷えるようなこういう感触になったの本当に何年ぶり?何十年ぶり? ってか、今までの人生に2,3回ぐらいか? いや例えばね、「少林サッカー」観たときなんかもそりゃ随分感動しましたよ。「こんな映画を香港も撮れるようになったのか!ハリウッドに全然負けてないどころか圧勝じゃん!」単純にコメディに笑いドラマに感服しましたよ、わたしゃ(単純なドラマ好きだし)。 だけどね、その感覚とは根本的に違うんだな。すごく面白かったけど、すごく面白かったんだな(わかる?)

本作は余りにも自分の功夫映画に対する欲求にピンポイント過ぎるの。ホールインワン。この映画は
That kung-fu movie of the 張徹, by the 張徹, for the なるこう
俺のためにだけ張徹が作った映画よ。
勿論これは功夫映画好きを自分のHPだから代表してなんだけれども。個人的にもそうよ。映画のクライマックスに近づくにつれて、まるで嗚咽のように心の奥底から熱いモノがこみ上げて来たよ全く。これぞ冷めやらない。何処かに吐き出さなければわたしゃー寝られませんでしたよ。 (fake様の掲示板に興奮し過ぎている思いを書かせて頂きました。お騒がせしました。)

■お話とか

話は全く持ってシンプル。
ただ私の勉強不足もあって簡略されてることはすいません。
何とかして功夫を習いたい。そして清朝を倒したいということで、少林寺の前に居座った3人

洪熙官(韋弘)・方世玉(傅聲)・胡惠乾(威冠軍)。

そして台湾から反清のために派遣されてきた

胡徳帝(姜大衛)

馬超興(劉永)

蔡徳忠(狄龍)

馬復儀(王龍威)、そして方大洪(王鐘)・李式開(岳華)

そしてとにかく拳法が習いたかった(?)

唐炎燦、李藝民、郭振鋒。
彼らが少林寺に俗家弟子として入門を許され、修行を積み、少林派を驚異とみるや侵攻してきた清軍と戦うお話。

■前半の流れ

少林僧がみせる演舞をゆったり拝見させてもらうオープニングからもったりした雰囲気のテーマ曲で意外に落ち着いた感じで始まります。

それぞれ少林寺の門前で正座して入門許可を待つ傅聲、威冠軍、韋弘そして郭振鋒、李藝民、唐炎燦。高僧も放置プレイではなく悩んでいました。入れるべきかどうか。ただ、方世玉らはどうも縁故で入れたようです(ラッキー)。しんどいのは郭振鋒、李藝民、唐炎燦の3人。
僧侶達は正座中の若者達に「お水と食べ物」を用意してくれました。
うおーがつがつごくごく!! そこへ高僧登場。
「少林寺では三日三晩の断食もあるのだよ。これじゃーそれもクリアできない。お家に帰りなさい。」
飲み食いしてしまった若者達はがっくりと帰っていきます。しかし3人は頑張った。水も食べ物も我慢してやっとこさ入門を許されたのです。

狄龍、王鐘、姜大衛、劉永、岳華、王龍威に関してもあっさり入門。どうやらこっちも縁故のようです。彼らを少林寺へ手引きしてくれたのはおいらのクンフーアイドルの1人、シーズーたん(施思)。シーズーたんの縁故ならそりゃ少林寺に入れるでしょう。なぜなら彼女の役名は
巌詠春
他でもない詠春拳の創始者です。知らない方は「レディ・ファイター/詠春拳伝説」を借りて観てみましょう。それにしてもシーズーたん眉毛細くしすぎ。

その頃、堅物の威冠軍と軟派の傅聲方世玉では早くも実力の差が。それにしても威冠軍のボディは「ドラゴンへの道」の李小龍みたいですね。監督大喜びの理想的なマッチョ。そのマッチョから華麗な五獣拳を披露。

方世玉は寝坊はするし、型もようわからず、まだまだダメだこりゃ。修行も適当だし軽いし明るいしで、

まるで「拳精」のジャッキー

郭振鋒、李藝民、唐炎燦。
彼らは入門しない方が良かったか。3人それぞれにきつ〜い修行方法を言い渡します。

李藝民は腰に鎖つけながら棍棒で中華鍋をかき回せ(たくさん料理作れ)

唐炎燦は石山(小さな梅花椿)の上で巻物の虫干し(?)をしなさい

郭振鋒は ひたすら飛びなさい(重し付けて) 郭振鋒が一番地味で辛いな、おい。
飛びなさいってそんな・・・
方世玉とかと違って彼らはまるっきりの素人だったということなのでしょか? 3人とも苦労苦労で修行に耐えて頑張ります。

そんな時、寺に怪しい人物が入り込みそれを狄龍、姜大衛が見つけ追います。
「やめときなされ」
と声を掛けたのは、何故かずっと後ろ向きの尼さん(五枚尼姑かな?)。この尼さんが
「詠春はアタシの弟子なの、うふふ♪」
とか自慢した後で(いや、私は感嘆してたんですけどね)、

狄龍には詠春拳(厳密に言えば詠春拳の創始はそりゃ詠春なので、それの元になる拳法?)を、 姜大衛には(ミニ三節棍?)を教えます。

いつの間にか威冠軍、傅聲方世玉、郭振鋒、李藝民、唐炎燦ら要は一般ピープル。そして台湾五福星(失礼!)で徒党が別れていた俗家弟子達でしたが、とうとうトラブル発生。練習中の王龍威をバカにした傅聲がその王龍威に挑戦されてボコボコにされます。
見てろよこの野郎!!
そもそもバカにした傅聲が悪いような気もするが、 まぁいいとして傅聲はやっとこさ真面目に練習に取り組み出します。

・・・そこかしこに練習の成果が出てきます。
唐炎燦は苦しい修行から強靱な足腰になり、李藝民は棒術の腕前を著しく上げ、狄龍や姜大衛もそれぞれ頑張ってる拳法の腕がグングンです。そして傅聲。

何度となく王龍威と対戦しては負け続けていましたが、ここで遂に勝利を得ます。
「止めい!」
この勝負を止めに入ったのは高僧の山茅でした。山茅は傅聲を追っ払うと王龍威に
「後で私のとこに来なさい。」
と伝えます。
「もしかしてお色気お小姓にさせられたら、どうしよう・・・
なんてモジモジしながら(うそうそ)、山茅のとこへ。
「お前は本当は富や名声や地位を手に入れたいと思っている・・・
   違うかね?ゴーンなんてな(しつこい)。」
と王龍威に言い放つと、
「誰にも言うなよ。実は・・・」
と山茅は自分の正体と協力要請を王龍威に囁くかわりに、拳法を教えてやることを約束。
おお!善役っすかぁ!・・・と思ったのに
そう、寺に「怪しい人物」の正体は山茅で、実は清の内通者。定期的に清朝に戻っては
・少林寺はどんなもんか
・反清はいないか
・拳法は順調に盗んでいるか
を報告していたのでした。そして山茅は反清である俗家弟子どもを何とかせねば・・・と思っていたのです。(つまり山茅は馬寧兒なのかな?とその辺を他のキャストも合わせて調べたんだけど、「馬寧兒(あるいは馬儀福)」と電影王様HPのところに記述があったので、馬寧兒(あるいは馬儀福)→アレンジして馬復儀(王龍威)こっちなのかな?山茅の役名は「彗先大師」。)  

だんだんと不穏な空気が流れ始める少林寺。
威冠軍・傅聲方世玉は危機を察して出家を考えます。そしてとうとう最終試験である「木人巷」にチャレンジ! しかし、2人の木人巷チャレンジを聞いた山茅はニヤリ・・・

とりあえず前半流れここまで

■修行ものの美味しいとこが、そして傅聲

で、オールスターだよなぁこれ。
狄龍、傅聲、姜大衛、岳華、戚冠軍、王龍威、鹿峰、郭振鋒、蔡弘、山茅、李藝民、唐炎燦、劉永、王青、施思・・・ 名前書いてるだけでも楽しくなってくるような。
まず地味なルーチンワーク修行を丁寧に描くってのは、有名どころで「少林寺三十六房」的魅力ですね。それがあってまず楽しいと。その上、各キャラの強さがバラバラなため例えば、すでに狄龍、姜大衛辺りは十分強いけどさらに強くなるための修行応用編をこなしているかと思えば、 郭振鋒らは素人ってことで基礎編から入ってるし、傅聲はその中間かって感じで、いきなりドバッと初級編、中級編、上級編の修行を見せてくれるんですね。もったいぶらずに。時間も無いし。んで、さらに前半の美味しいところはその出演陣の性格付けで、王龍威がいつも通りのやんちゃ振りなら、狄龍、姜大衛コンビもいつもの魅力で迫ってくるし、郭振鋒や唐炎燦で功夫コメディみたいになっていれば、どっち側にも顔を出す傅聲に取り合わせの新味がある。功夫映画で考えられる色んなシチュエーションが楽しいのです。そして傅聲。

あんたやっぱジャッキー・チェンだろ
この映画は「嵐を呼ぶドラゴン」よりも遙かに彼の魅力について考えさせられた映画でもあった。

この映画の主要人物をジャッキー・キャスト的に当てはめて考えてみるのも面白い。
傅聲→ジャッキー
狄龍→サモハン
姜大衛→元奎
戚冠軍→林正英
王龍威→狄威
鹿峰→鐘發
郭振鋒→火星
蔡弘→張午郎
山茅→元華
李藝民→錢嘉樂
唐炎燦→元彪
王青→高飛
新旧織り交ぜて。まぁ「この人、元はショーブラじゃん」はこの際おいといて。あと姜大衛→元奎はないだろう。とか俺も思うけど。

なんだっけ? ああ、そうそう(キャスト考えてたら忘れた)。
傅聲の魅力ってのは改めて本当にジャッキーに似てるなぁって。見てもらうのが一番早いんだけど、特にキャラの明るさがね。で、それがなんだっていうと、これさーオールスターで俳優さん見てるだけでも楽しいってのがまずあって、

   少林寺三十六房的面白さ
   数々の功夫コメディ
 + まるで当時のジャッキーが出てるみたいな錯覚
-----------------------------------------
  つまり、こりゃたまらん!


という3つの大きな魅力が前半だけで味わえるってわけ。

異質なのかどうかは張徹作品はまだまだ入り立ての私なのでわからんが、これの前半は意外なほど血も出ない、明るい、そこそこに功夫コメディ的な演出もあって、ほんとに張徹映画かと思いたくなるよなアットホームさがあるの。特に傅聲、郭振鋒、李藝民、唐炎燦の修行基礎編は実に楽しい。「ハードボイルド/新・男たちの挽歌」で周潤發と死闘を繰り広げるヒットマン、それどころか殺陣師として国際的に活躍するようになった郭振鋒だが、

本作では正直まだまだ若々しいヤサ男風でとてもそんな風に見えない。(だからこそ敬服するのだが) その郭振鋒がぴょんぴょこ飛べるようになって、仲間達の前で喜んで跳ねちゃうけど、 師匠に倍の重しを付けられて、またへこんで戻ってくる辺りなんか微笑ましく楽しいシーンである。
決して、前半は激しいバトルがあったりしないのだが、かなり満足感なのである。

■後半の流れ

傅聲さん、もちっと真面目に挑戦しましょう
木人巷に挑戦する傅聲、威冠軍。
話を聞きつけた台湾五福星と李藝民、唐炎燦も駆けつけた。だがしかし、山茅と手下に成り下がった王龍威がチャレンジのうやむやに2人を始末しようと襲いかかる!!察しの良い姜大衛がいる台湾五福星と李藝民、唐炎燦が2人を助け、入り乱れたバトルの中、2人はなんとか寺を出ることに成功する。あまりに木人巷に関しては中途半端だった気がするが。

ぴょんぴょんぴょんぴょんばきっ!
ついに飛びすぎて敷いてた板を割っちゃったのは郭振鋒。
ってあんたまだ修行してたのかっ!?
李藝民、唐炎燦はとっくに終わってるぞ!

ということで、重しを外すことを許され自由の身に。
ぴゅーい♪♪ぴゅーい♪♪ぴゅーい♪♪
そりゃこんだけ身軽になれたら楽しいだろなぁ・・・

は、ともかく。
寺を出た傅聲、威冠軍は町での清大軍団を目撃する。清の1人をとっつかまえて目的を聞いてみた。
「い、行き先はしょ、少林寺!」
これを聞いて少林寺へとんぼ返りした2人は高僧たちにコトを伝えるが、なかなか信じてくれない。

そんな時、山茅が手引きして清軍が遂に侵攻してくる。多勢に無勢の上に清軍にも王青、鹿峰、蔡弘といった強い高官、さらに山茅、完全に犬となった王龍威が立ちふさがり、少林僧は次々と倒されていく。敵味方入り乱れる大戦闘がしばらく繰り広げられる。
そして、いつの間にやら
狄龍vs王龍威
姜大衛vsその他大勢
傅聲、李藝民vs山茅
郭振鋒vs鹿峰
傅聲、戚冠軍vs蔡弘
唐炎燦vs王青
といったマッチメイクが出来上がった。各々で血みどろの死闘が始まる。

■狄龍vs王龍威

詠春拳にて狭い階段で王龍威を追いつめていくバトルはまさに息呑み!
狄龍功夫の真骨頂を拝むことが出来ます!fakeさんが推すのも無理はない!

■姜大衛vsその他大勢

なんだか彼って1人vs大勢が似合う。
彼vsドラキュラ軍団とか彼vs「刺馬」軍とか

■傅聲、李藝民vs山茅

これはもう超強敵を2人で頑張って倒すというパターンの典型的な良い例。「少林寺への道」もこれぐらいのスピーディさとスリリングさがあれば・・・

■郭振鋒vs鹿峰

圧倒的な強さ、さらに双剣で襲いかかる鹿峰に対して、武器になるのは身軽さだけという非常に不利な戦い。彼は勝利の活路を何処に見いだすのか!?

■傅聲、戚冠軍vs蔡弘

まさに典型的な功夫ラスト的戦い。

■唐炎燦vs王青

切り立った石山の上でのシチュエーションで盛り上げる戦い。そりゃここでずっと修行してきたんだもの。唐炎燦が有利だよねぇ。

海原雄山の「至高の五大鍋」かこれは!?
(美味しんぼ読んでね)

「功夫映画の面白味ってなんだい?」
「それはこれだ!」
と何のてらいもなく、ドバーン!と全部出してきたのだ!

例えば

この 「狄龍vs王龍威」だけでも凡百の功夫映画にしてみれば十分このバトルだけで配給出来そうな濃密さだぞ。他の映画観てみぃや。

そして、寺の外では清軍が火計の準備を進めていた・・・

終劇


■何本分?

この通り、後半は功夫出血功夫出血の連続で、そこかしこで見せる滅びの美、まさに張徹映画そのものの血生臭い功夫シーンだらけ。ラストバトルを切り分けて、他の映画にくっつけたりしたら後4、5本映画が作れそうな濃密なバトルが「これでもかっ」とばかりに展開されるのだ。
俺はねー 前半のように静かな立ち上がりで、それほど激しいバトルなんかなくても
「これはこれで十分アリだな」
と評価は納得のものだったよ。でもとにかく後半は功夫の密度が凄いの何のって(同じコトばっかり言ってる)

も一つ評価したいのは製作年度1976でしょ。1976で他の功夫映画挙げると、
「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」「ブルース・リー物語」「新精武門」「南拳北腿」
ってなところで、まだまだその殺陣レベルってのはバラバラ。差が激しく、1978年以降のように 「どれ観てもそれなりに殺陣レベルが高い時代」
では無かったのよ。それでこの殺陣クオリティってんだから、そこも驚き。

■ゾゾーッ そして全ては他の傑作功夫映画へ

ラスト、死闘を制した勇者達が少林寺を抜け出して集まるんだけど、その時に今まで散々観てた顔ぶれだったくせに集まったことで ゾゾーッ と背筋に何か熱いような寒いようなもんが走りました。

ここからは詳しい方には言わずもがなですが、彼ら逃げ出した、蔡徳忠・方大洪・胡徳帝・馬超興・李式開は秘密結社「天地会」を創設し、後に「少林五祖」と呼ばれるようになります。この後の活躍は同じく張徹監督の「少林五祖」で楽しむことが出来ます。また天地会の存在はいろんな映画で観ることが出来ます。
また、方世玉・洪熙官・胡惠乾たちも英雄となり、その後の活躍は「嵐を呼ぶドラゴン」「方世玉與胡惠乾」「レジェンド・オブ・フラッシュファイター格闘飛龍」「新・少林寺伝説」「最後の少林寺」「ドラゴン少林拳」・・・まぁ書き切れませんが、いっくらでも活躍を描いた映画があるわけです。 詠春については前述の「レディ・ファイター/詠春拳伝説」はじめ、詠春拳をテーマにしたサモハンの「燃えよデブゴン/友情拳」等などこちらもたくさんです。
こいつらが一同に集結した映画なんです
(出てないのは三徳和尚ぐらいか)
その辺の歴史(演義)的な面白さでもかな〜り満足なんですね。また、方世玉と天地会、この辺の流れから黄麒英、そしてその息子から、あの黄飛鴻までも出てくるわけで、この映画はそんな英雄たちが次々と出てくる最初の最初の根幹のお話でもあります。

※補足
以下、「電影王」管理人様より頂きましたご投稿より
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@少林寺伝説では、「少林五祖」と方世玉ら「少林十虎」は活躍した時代が違います。 通説では、嵩山少林寺が清軍に焼き討ちされて(1735年)、生き延びた「少林五祖」が天地会を結成します。 そして、それ とは別にもう2人の和尚が生き延びて福建少林寺を創建します。 そこで修行するのが方世玉ら「少林十虎」です。 その後、1767年に福建少 林寺も清軍に焼き討ちされるというのが少林寺伝説のあらましです。 だから、「少林五祖」と「少林十虎」には30年以上の開きがあるので、ここら辺が少林寺伝説と違いますね。
Aなんで「少林五祖」でなくて、もう一人僧侶が映画では増えているのか、ちょっと思いついたことがあります。 実は、馬儀福、この映画では馬復儀になっているようですが、彼の別名は阿七ともいいます。 彼は少林寺において、武術が7番目に優れていたから、阿七と呼ばれたという話があります(阿は愛称です)。 「少林五祖」に、その僧侶を加えると6人。映画評を読むと、馬復儀はその次に強そうなので、 ちょうど7番目の腕前になります。 これで、阿七というあだ名の由来に合致します。単なる思いつきですが。

厳詠春についてですが、以下のような複雑な事情はありますが、 彼女は方世玉らと同時期の武術家なので、別に変ではありません(方世玉とかと一緒にいることに関して)。 問題なのは、厳詠春と方永春です。方永春は方世玉の姪ですが、 詠春も 永春も洪熙官の後妻になっています。変でしょう?(笑) ということは、実は、この2人、同一人物ではないでしょうか。 ところが、資料によっては、厳詠春が詠春拳の開祖だとか、いや方永春の永春拳が正しいとか、 いや詠春拳と永春拳は違うとか、まったくまちまちでほとほと困っています。 これは受け売りですが、 福建に永春県というところがあり、明代から武術が盛んな土地柄だそうです。 だから、詠春拳もしくは永春拳はそこが発祥地ではないかという人もいます。 2人とも伝説の尼姑ですから、 架空の女性が拳術を創始することは不可能なので、私もその説が有力かなと考えています。

《萬年青》(または《乾隆遊江南》)では、 五枚尼姑は方世玉らの大師伯(師父の至善禅師の大師兄)に当たるので、彼女も同時期の人間です。
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■言っておくが

That Kung-fu movie of the 張徹, by the 張徹, for the なるこう
と書いたように、当たり前だが他人も同じような感覚を抱くというのは全く持って保証できない。 功夫映画に興味ない人は無論のこと、例えばそれなりにそこそこに功夫映画を観てる人、ジャッキー、サモハン、元彪ぐらいまでは言えて、チンケ、モジャとかその辺を曖昧に覚えてるぐらいの人。こういう方がご覧になられたらどうだろうか。
「そこそこ面白かったよ」
とだけの感想しか返ってこない気がしてならない。だって、知らないもん。まず俳優さん達を知らないだろうし、方世玉や胡惠乾なんて論外。俺だって詳しくはないけど、本作はまた方世玉がまだ英雄どころか ロクに功夫も覚えてない時代を扱ってることでも個人的に貴重。孟飛方世玉は英雄後の話ばかりだからね。その辺が胡惠乾も含めて興味深いし、例えば狄龍が劇中で詠春拳を習ったのは詠春ではなく、詠春の先生であるのも面白い。その辺の妙味はわからんでしょ。
さらにこの映画の後に続けて「嵐を呼ぶドラゴン」、なんてのも面白い。若干矛盾はあるけれど、ほぼそのまま繋がってます。(「少林五祖」も観ればさらに)
その辺と各実際の俳優さん達の歴史、功夫映画の歴史、功夫映画が大体どんなもんか、その辺を知ってはじめてこの映画の価値がどれくらいのもんか計れるというもの。 こう言ってしまうと
「わかる人にだけわかれば・・・」
って感じで、決して良くないんだけど、
この映画だけは功夫好きほど面白い! それだけは断言できます


前半も後半も功夫映画のそれぞれ別の美味しいエッセンスがたっぷり盛り込まれ、功夫好きにとっては満腹、感無量な映画なのです。


■CAST&STAFF
監督 張徹(チャン・ツェー)
出演 傅聲(アレクサンダー・フー・シェン)
狄龍(ティ・ロン)
姜大衛(デビッド・チャン)
戚冠軍(チー・クワンチュン)
王龍威
郭振鋒(フィリップ・コク)
唐炎燦(トン・インチャン)
李藝民(サイモン・リー)
岳華
山茅(サン・マオ)
韋弘
劉永(トニー・リュウ)
王鐘
鹿峰
蔡弘
王青(ワン・チン)
江生
羅莽
施思(シー・ズー)
谷峰
姜南(チャン・ナン)
陸劍明
史仲田
葉天行
趙威
林輝煌
劉晃世
武術指導 謝興
陳信一
脚本 倪匡(イ・クオン)
張徹(チャン・ツェー)
音楽 陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U
製作 邵仁牧
制作年度 1976
 


崇山少林寺
阿羅漢
少林寺三十六房
少林寺烈伝
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