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少林與武當 Two Champions of Shaolin ■ 五毒とは?ということで、 中国玩具舗様の「手紙入れのページへ」の冒頭に説明があります。 この「へび、さそり、かえる、むかで、やもり」それぞれの拳法を身につけた5人が戦うのが「五毒」で以後、彼らは五毒メンバーとして活躍をしました。 しかしながら、これまで彼らの作品は日本に一つとて入ってなかったので、その存在をほとんど知られていません。私も長い間全然知りませんでした。 五毒メンバーを覚えるためにもここにご紹介を。 (画像は「倭寇掃討作戦 忍者外伝」) まず、郭振鋒(フィリップ・コク)。 当時は郭追の名義で活躍しました。本作では武術指導のみ担当。 今回出演はありませんが、世間的には彼が一番ポピュラーですね。 「ハードボイルド/新・男たちの挽歌」で周潤發(チョウ・ユンファ)と死闘を繰り広げた殺し屋と言えば、思い出す方もいらっしゃるでしょう。最近は倉田さん渾身の一作「黄龍/イエロードラゴン」でアクション監督を務めています。 孫健(スン・ジェン) 足技が得意なのが彼。 今回は出番が少ないです(いや他知らないんだけど) 羅奔(ロー・マン) 今回メイン主役は彼と江生と錢小豪ですね。 肉体美と力強い功夫が魅力。 江生(ジャン・シェン) ああそうか、彼が「上海13」のタバコくわえナイフ使いか(いまさら)。 身軽さが素晴らしく技のスマートさはピカイチかも。 女の子には人気があったかも?故人。 鹿峯(ルー・フェン) そして日本からはその個性的な顔ということで香港(蔵野)さんが呼ばれました(笑)・・・・・・なにーっ!?別人!? 技のキレは素晴らしくいつも悪役の悪役たる強さを披露します。 それにしても「倭寇掃討作戦 忍者外伝」 での善役は唯一だったか? 以上が五毒メンバーです。 今後もちょくちょくHPに登場するだろうと思われますのでお見知りおきを。 ■ 五毒がどうこうの前にこれが張徹作品であることを忘れてはならぬ。 今までの作品もそうだけど、 パンチばい〜ん いつもオープニングが気合入ってるね! このチャイナアニメなオープニングも格好良い! 気持ちを奮い立たせるようなBGMもよか! 腕ばい〜ん 俺これでかなり満足しちゃったりして。 こっちは「少林サッカー」のオープニング 似てるんですよタッチが。もしかしたらもしかですね。 ほんとに結構な数の少林與武當つまり、少林vs武當が入った映画を見てきたがこんだけ血生臭い少林vs武當はやはり張徹らしいというか、武當が完全に清朝側にいるということで他とは違う印象がある。 【他の少林與武當が入った映画】 「少林寺2」 少林vs武當が一応終わった後なのかな? これは最後の最後で協力して盗賊を打ち倒し、何と少林與武當で結婚しちゃいます。 「少林寺武者房」 原題がこれと同じ「少林與武當」でバリバリ、ただし清朝に対立関係を利用されるも、陛下を諭して何と両者和解する。 「少林寺 怒りの大地」 悪役の于榮光が会得しているのが武當拳で、少林寺館長の徐小明と対決。この時、于榮光が見せる武當拳がすげー好き。後に少林僧の主人公が この武當派からこっそりと武當拳を学んで復讐(ということは既に少林vs武當は終わってたんでしょうかね)。 で、今回は 少林vs武當 完璧に殺し合い 少林vs武當戦争真っ只中という感じか。 当たり前のように両者の血が流れ、死者が続出。 うーん、いやそうですか。 主な流れは簡単。 少林派 羅莽 江生 孫建 楊菁菁(2人は少林派ではないが余太平と怨恨) 武當派 曹達華総帥が少林派撲滅を託すメンバー 文雪兒 楊熊 王力 余太平(以前に孫建、楊菁菁の師を殺害) 鹿峰(少林派に仲間を装って近づく) 錢小豪(実は反清つまり少林派、でも文雪兒と恋仲) 彼らが激しい功夫バトルを展開する。 もうなんか「報仇」の連打連撃、卵が先かニワトリが先か藤原のりかみたいな感じで、 「繰り返しだ。シンを殺して何が変わるんだ!?」(from 「男たちの挽歌」) と、周潤發(チョウ・ユンファ)を諭そうとした狄龍(ティ・ロン)のような気分である。 同じく張徹作品「刺馬」は簡単に言えば"悪ガキ3人衆"が力だけでのし上がり名を成すが、因果応報を喰らって結局自滅するといったもので、ラストシーンの後味の悪さも個人的にはむしろ心地良いぐらい、これはそうなってくれないと困るというかなんちゅうか、 例えば最近「グランド・セフト・オート3」というPS2のゲームを遊んだのだが、これの第一作がきっかけでアメリカで事件が起きて問題になったように、 "人殺しまくり轢きまくりおまけに娼婦車に連れ込みアリ" と、主人公が悪いことし放題のゲームで(もちろん出来るだけ悪いコトしないでゲームを進めることも可能だが、仮想ではそうはイカンだろ。せっかく買ったゲームで全てのことをやろうとするのは至極当然の流れだと思う)、 しかもラストがまるで 「これからも悪いコトするぜ!イエーイ!」 みたいな終わり方で、全く因果応報ではなくこれでは "どっちにしたって教育上悪いのは確かだわ" ってな感じで面食らった。その分、「刺馬」のラストには納得がいく。 んだけど、今回の作品は 復讐が復讐を呼び、そして誰もいなくなった 置いてけぼりを喰らった文雪兒の呆然とした表情が観客の気持ちまで代弁させるというか、 それで何を感じれば良いんだろう というような感想になってしまったことは否めない。 その要因の1つに出てくるはずの"清朝の存在"がないことが挙げられる。 よくある流れである、 "対立させられて殺し合いになりそうだったけど、そうはいきませんよ" というパターンを踏襲せず、 "ていよく清朝に利用されて殺し合いまして滅しました 劇終おいおい" これじゃーあんたら利用されっぱじゃん と今回清朝側に完全についてはいるものの絶対的な悪ではない武當派が倒れたところで当然カタルシスも得られず、かと言って因果応報も得られない。 素晴らしい功夫があったから不快では無いにせよ、首を傾げたくなってしまうかな。 ■ほほぉーー というわけで、展開される功夫バトルは素晴らしいモノで、さすがにチームワークを組んでやっていただけのことはあるチーム全体でのキレ、スピード、力を存分に発揮しており、この辺のバランスは流石ですね。 羅莽vs余太平 羅莽vs余太平 羅莽vs王力 主に羅莽バトルでは素晴らしい技と力のぶつかり合い、 劉家良も唸らせるよなどっしり功夫を披露したかと思えば、 白服が江生 ↑ この後、江生の右手が楊熊の大事なところをっ! 江生vs楊熊では江生の技のキレとスピード、そして身軽さを利用したアクロバティックな戦法と、楊熊の足技がしのぎを削る(孫建も足技メイン)。 鼻の穴が気になる錢小豪 錢小豪vs王力 デビュー当時でメチャ若い錢小豪が他に見劣りしない功夫を披露すれば、 羅莽vs鹿峰にて鹿峰の武器使いの巧みさが光り、圧倒的な強さを演出する。 ハイジャンプ脳天撃破! おまけにこっちは孫悟空vs猿の子分みたいな、江生vs猿棍トリオの戦いが炸裂!(ボス猿は「愛奴」に出てきた燕順子(役名)やね) こと功夫シーンに関しては、バラエティ豊かに何の申し分もない面白さなのだ。 個人的には江生さんが良いっすね。技の正確性とキレとスピードと身軽さと色々揃っていて抜群です。「上海13」でも腕前が光っていました。 まぁなぜ「五毒」から出さなかったのだろうという気もするが、これからも五毒メンバーの作品が楽しみです。この頃、楽しみ増えすぎ。 陳樹基(李亞松役)と蕭玉明(謝亞福役) 後は、彼らが結構良い味出してたなぁ・・・ 以下はスズキ様より頂いた書き込み及びレスです。 書き込み有難うございました。 ------------------------------------------------------ 五毒組のレビューだ! スズキ 投稿日:2003年12月12日<金>22時15分 待ってました、いつかなるこうさんが五毒組をフィーチャーしてくれるその時を(喜!)来年はその名も「五毒拳」なるタイトルでDVD国内リリースが決定した様ですし、彼らが日本で名前を知られるのもこれからって所でしょうね。 郭振鋒は実は、裏方さんとして「孔雀王」や「帝都大戦」にも参加しており、役者としては倉田さんと共演する等、意外な日本絡みのご縁がありました。武術指導では世界的な活躍を見せておりますが、俳優さんとしても妙な存在感があって好きです。 得物(槍とか棒とか)を持たせると凄い技巧派、鹿峯。「南少林與北少林」がショウブラ時代では珍しいイイ人役で、茶店で女性と談笑するシーンが印象的でした(似合わなくて素敵)。 江生は重力無視のトンボ返り連発芸もさる事ながら、笑顔や仕草が何ともチャーミング。後の「バカ拳」は彼にババァ役を振る、梁家仁にカンフーできないジジィ役を振る、ラスボス高飛の死に様がバカ過ぎ、と掟破りな作品でした。 孫健は他の五毒映画でもワキ役が多いのですが、それだけに善人役から悪党まで演じる幅は広く、アクション面でも異様に上がる脚技で画面を賑わせてくれました。 羅奔はどうしてもあの筋肉に目が行きがちになりますが(とにかく脱いでますから…笑)力強いタッチの蟷螂拳が実にカッコ良く、演技面でもクッキリした喜怒哀楽の表情がまた魅力的で。 えー、ダラダラ書いてしまいましたが、それだけ私は彼らの映画が好きなんです。乱筆失礼しました。 ------------------------------------------------------ Res:なるこう(管理者) 題名:五毒やっと拝見しました 投稿日 : 2003年12月13日<土>10時54分 私も逆にスズキさんを待ってました(笑) 今回、レビューを書くときもスズキさんの五毒ページを参考にさせてもらいました。第一印象としてはそうですね・・・ほんと成家班や洪家班という意味とは異なり、劇団カクスコや東京シティボーイズといった劇団が織り成す戯曲のようなものを感じましたね。集団で一つのものを作っている安定感と安心感に激しい功夫、ということでこりゃ面白いですよ。 >「五毒拳」 結構確か来年5,6月だったと思いますが、そこまで我慢できるかなぁ・・・ 通常の復刻が先に出たらそっち買うかも・・・早く見たい&そっちがたぶん安いですしね。 >郭振鋒さん 超単純な感想ですが、郭振鋒さんって感じ良いっすよね。仰るとおり存在感もある。今もたぶん見られるかと思いますが、倉田さんの公式サイトにて「黄龍」でのエピソード、 「俺(倉田)の殺陣は俺が付ける。後の殺陣は郭振鋒にやらせたので、 郭振鋒の面々はさっさと終わらせてカラオケが楽しそうだった。」 みたいな発言が面白かったです。 >「南少林與北少林」がショウブラ時代では珍しいイイ人役 おおありましたか!香港さん(笑) 「少林寺」つまり'76の時点で悪役でしたので、善役の道は閉ざされていたかと(笑)思いました。「南少林與北少林」そのものもかなり楽しみな作品です。 >江生さん キレが良いっす! それこそ元彪vs江生なんて見たかったなぁ。 構築次第で凄いバトルシーンになりますよ。「バカ拳」だけは確かに「邦題に文句のつけようが無い」というかバカですね(笑) スズキさんからあれは江生だと教えてくれなかったら私は一生気づかなかったかもしれません。 >とにかく脱いでますから… くくく(笑) クライマックスでも 「俺も戦うんだ!」 と死地に飛び込みますが、その前に「なぜ脱ぐ!?羅奔!?」でした(笑) いやーほんと、これからが楽しみです。 ------------------------------------------------------
秦俑 Terra Cotta Warrior テラコッタ・ウォリア ※題名クリックAmazonで確認できます。 ■ あ、あの・・・ 「英雄」よりよっぽど面白かったのですが・・・ この作品は膨大な制作費と年月、大量のエキストラを配して大々的に製作された壮大なスケールでお送りする一大歴史スペクタクル。邦画の「敦煌」とかさっきの「英雄」とか、そんな感じ・・・・ だとてっきり思ったが!! フタを開ければ、 まるで監修に王羽(ジミー・ウォング)を呼んだんじゃねーか? と思われても仕方ないような超メチャクチャな展開を強引にまとめてしまう、 まさに This is Hong-Kong Movieたる王道作品!! 予備知識を入れていなければ全く予測できない展開に唖然の物語を香港娯楽映画テイストで見せきってしまうバイタリティ!たくましさ! そこにどうしても一見して、芸術作品に偏重している印象を受ける張藝謀(チャン・イーモウ)と鞏俐(コン・リー)さんが、まるっきし香港映画テイストのお芝居でシリアスからコメディまで演じきってしまう度量の広さと、映画人としての心意気の良さ!(鞏俐さんは他にも色々やってらっしゃいますけど) 香港映画の面白さとはこういうことだ と、改めてそれを楽しませてくれる一品でございました。 ■なんという流れ 時代は3000年ぐらい前、日本という国が何にもあらへんような時代。 時の始皇帝は万里の長城を建設中。 建設主任にして第13代武術指南の張藝謀(チャン・イーモウ)は優しい人で、建設に使う村民を気遣える心の広さがあった。 しかし、有名な話で始皇帝は暴君。 忠誠を誓いつつも張藝謀(チャン・イーモウ)は心を痛ませていた。 始皇帝に仕える道士たちは不老長寿の薬を研究。が、失敗。 始皇帝 「きさまら生き埋めじゃっ!」 いいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけい 道士 「お、お待ちください皇帝様!いいわけいいわけいいわけ ここより遥か東の島国に不老長寿の薬を作る術を知っている仙人がおります!いいわけいいわけいいわけ だだだ、だけどその仙人に合うためには吉日の日に美女をいっぱい連れて旅立たねば仙人は会ってくれませぬっ!!」いいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけ あんた完全に自分で何言ってるかわかってないやろ 始皇帝 「ほー、では旅の準備をせよ。」 納得するのかよっ!! メチャクチャ言い訳じゃったやんか!! 処刑を逃れるため口から出たデマカセを信じたバカの始皇帝のせいで、 旅の準備が始まった。 村の美女である鞏俐(コン・リー)も連れて行かれる1人。 だが彼女は 「そんなとこ行くぐらいなら死んでやる!」 と、反目。 これを優しくとがめたのが始皇帝の親衛隊長に任命されていた張藝謀だった。 張藝謀 「自分を大切にしなさい」 その後も反目する鞏俐にあくまで優しく接する張藝謀(チャン・イーモウ)ということで、張藝謀&鞏俐カップルが誕生した。 それにしても、張藝謀さんの二枚目じゃないとこが逆にリアリティがあって渋くて結構良い感じだ。 張藝謀 「大事な行いごとの前にイチャイチャしてたら謀反になってしまう」 とか言いながらも、また寒そうなところでエッチはしっかりとこなす張藝謀&鞏俐であった。 ところが、旅の前に不老長寿の薬が完成してしまう。 道士たちはこれを、 「また失敗したらやだ(次の言い訳がさすがにない)」 つーことで、破棄する。 鞏俐は旅立ちの前に遂に脱走を計るものの捕獲される。 立場上、彼女を処断せねばならない張藝謀であったが、 既に彼女と共に死ぬことを決意していた張藝謀は2人の処刑に臨む。 始皇帝のわずかな助けを無視し、死を選ぶ張藝謀。 鞏俐は火あぶりの刑に処され、張藝謀は土で塗り固められ人型の柱、つまり兵馬俑にされて生き埋めにされてしまう。 と、ここまでは歴史スペクタクルであってまともだ。 それにしても「ゴッド・ギャンブラーU」で敵の超能力者が周星馳によって幻覚をかけられるシーンがあるんだけど、それってこの鞏俐火あぶりシーンのパロディだったのね。 1930年代 ・・・え? 空港で新作映画の派手なプロモーションが行われた。 女優の鞏俐が主演の于榮光に売り込み。 でも主演女優はちゃんと用意されてた。はぁーあ 売れないってのは辛いやねぇ・・・ その後も、脇役の鞏俐が撮影でドジ連発。 お前は「インベーダー作戦」のマイケル・ホイか!このやつこのやつ つーかあれ?なにこの展開? だけど、実は于榮光はじめ監督など撮影クルーは骨とう品荒らしの盗賊団だった。そんなあほな。 この于榮光、金儲け至上主義らしいが、 あんた大スターなんだからそのまま稼げばなれるやんか! そんな俺の声は于榮光が調べる洞窟に空しく響くだけだった。 ガセネタ掴んできた情報屋の爺さんを1人殺したところで、鞏俐に見つかるも、于榮光の機転で撮影のリハーサルとごまかした。 秘密を知られた于榮光は鞏俐殺しを画策。 自家用飛行機(2人用)で飛んだところで銃殺する腹だ。 それにしてもこの緊迫感の無いのんびりBGMはどうしたものか。 しかしもって、 殺す前に銃を落とした于榮光、それを拾った鞏俐が銃を暴発! 飛行機操縦不能! 于榮光はパラシュートで脱出したものの、 鞏俐は飛行機とともに落下!落下した先は空洞になっており、そのまま飛行機ごと鞏俐は地中へ引きずり込まれた!(よく生きてるけど) ここは始皇帝の墓。落下の衝撃で 兵馬俑になっていた張藝謀の土がはがれるとなんと本人復活! 鞏俐は火あぶりにされる前に密かに持ち去っていた不老長寿の薬を張藝謀に呑ませていたのだ! んだけど、1930年代の鞏俐は張藝謀をバケモノ扱い!そりゃそうだ! そりゃそうだもなにもそれは間違いなくバケモノだ! 年齢が3034歳ぐらいだぞ! 撃っても死なない!そりゃそうだ!薬飲んでるもん 完璧にバケモノだ! 盗賊団が落ちた飛行機を追って、穴に降りて来た。 知らずに助けを求める鞏俐、逆に盗賊団に捕まってしまう。 張藝謀がこれをブシャブシャ斬って助ける! 2人で飛行機脱出! ついに1930年代の中国に出てしまった張藝謀。 まるで「続・猿の惑星」・・・いやいやあれは「新・猿の惑星」だな。 ちなみに「猿の惑星・征服」「最後の猿の惑星」と無理な話が続くのだ。 当初のチャールトン・ヘストンもこんな素晴らしい映画が、無理やりシリーズ化されることによって、B級娯楽映画に成り果て、しかしカルト的なシリーズになるとは予想だにしなかったろう。モキー! 負傷してるので(でも不老不死だから関係ないが)病院に連れて行かれる張藝謀。 不審者が近くにいたので、様子を確かめるべく障子に穴を空けようとする張藝謀、しかし障子ではなくガラスだった!! 不審者が近くにいたので、行灯の火を消そうと息を吹いた張藝謀、 しかし行灯ではなくランプだった! 張藝謀面白すぎ! 真面目な顔してるからなおさらおかしい。 つーか映画のジャンルが変わってるんですが 鞏俐がバカで撮影に戻り、 于榮光を責めたもののさっき殺されそうになった件はうやむやに。 張藝謀は3000年前の姿で中国を駆け回った! あの「英雄」の監督さんがこんなバカ、いやいや何の迷いも無く頑張ってらっしゃる姿が素晴らしい。 張藝謀が3000年前の人間であることを知った于榮光、取引先の相手に彼を売り、自分は張藝謀から聞いていた始皇帝の墓を探ることに。列車の中でハメようとしたが、彼の剣の腕では銃も歯が立たず、計画は失敗。っていうか、不老不死なので銃だろうとなんだろうとですが。 やっと彼への愛に気づいた鞏俐は3000年後の万里の長城で再び結ばれた。 再び始皇帝の墓へ。 于榮光率いる盗賊団と一戦交えたところで、 張藝謀、鞏俐、于榮光が墓の奥に取り残された。 遂にそこから大量に兵馬俑、そして遂に始皇帝が眠る棺が現れた! そして何でだか理由はさっぱりわからんが、 墓場そのものが地上にせり出した!!どかーん!! 地上は空港でジェット機やらなんやら、 そこに始皇帝の親衛隊が復活し、馬に乗ってやってきた! 盗賊団vs親衛隊の時空を超えた戦いが始まった!! なんじゃこりゃ!! なんで復活するんじゃ!! そんな疑問に答えるような余裕は劇中のどこにもなかった。 壮絶な戦いの末に、何とか盗賊団そして于榮光を倒すものの、 鞏俐は被弾してしまう。 鞏俐 「また生まれ変わって出逢えるわ・・・」 張藝謀 「ずっと待っている」 1990年代 観光客が訪れる。 たくさん発掘されたあの有名な兵馬俑を見るために。 兵馬俑を興味深く眺める観光客の美女。 彼女の名前は言うまでもないだろう・・・ 終劇 ■ すげーな、これ。 一つ間違えば、いや正しければなのかようわからんが、 いわゆる歴史の勉強の一環として使われそうな映画、 歴史の授業で学校で先生が流しそうな一編ではある。 最初の40分ぐらいは。 しかし、実際に流したとなったら後半の展開で 生徒たちの爆笑・失笑かうこと間違いなしになってることうけあい。 純粋な歴史スペクタクルロマンとして作ろうとすれば、いくらでも作れたところを敢えて一大エンターテイメント王羽的バカ入った映画に見事仕立ててしまうこの感性こそ、香港映画そのもの暴走バイタリティな醍醐味だといえよう。 それにしてもあの難しい顔して「英雄」撮ってた張藝謀(チャン・イーモウ)が、この映画でこんなにも(いや、劇中も本人は真面目なのだが)香港映画らしい活躍をしてるとは驚いた。「英雄」が同じく始皇帝暗殺の話であったことも何かしら本作と関連があるのだろう。本作の策劃は張藝謀である。 鞏俐にしても全く同じ。 他のアジア女優、日本の女優さんの羨望の的でもある鞏俐さんだが、 "それがどうした、私はやりたいからやるだけ" と、余裕で今回の役をこなすサマは本当に気持ち良いものだ。 私は堅苦しい映画は苦手なので、歴史モノはあんまり好きではない。 ということで、この作品も手を出しにくい感があったのだが、 そのように思っている方が他にもいれば是非手に取ってみてほしい娯楽映画である。
新鴛鴦胡蝶夢 ■ さてさて。 年明け(2004)一発目はというか、私今年は年始に1人ですよ。 紅白も1人で見たんですよ。なんという寂しさか。 というわけで、 年明け一発目は台湾より傑作B級アクション映画の紹介です。 この映画、なにとも知れずにいつもの安価入手なのですが、 パッケージがなかなか格好良く、キャスト読めば台湾映画とわかるし、馴染みのある顔は 画像は「少林鬥喇嘛」より 羅鋭(アレクサンダー・ルー)しかいないものの、 「面白いかもしれない武侠片だ!」 となること請け合いである。 しかし、観た感想としては全然違うものになっちゃったんだな。 それでは行ってみましょう! ■流れ 幕が開けるといきなり、羅鋭(アレクサンダー・ルー)扮する烈陽がギャル連れて戦ってます。1993年製作でわかるとおり、ワイヤーアクションブームの真っ最中。 台湾でもそれは例外に漏れず、ワイヤーびゅんびゅんの剣劇アクションが冒頭からビシバシ展開! 先に言っちゃうけども、この台湾製ワイヤーアクション、 結構良い! 多分推測だけど、香港に比べて予算も技術も無いので、 それと同じ事やるには俳優個人のポテンシャルがより要求される つまりそのワイヤーアクションやる人間が実際に腕自慢でないと出来ないだろうってこと、林青霞(ブリジット・リン)じゃ無理だろうってことだ。 ということは、その分アクションがより生身アクションになる! ってことで、より俺好みのワイヤーアクションになっちゃうという形だ。 烈陽 「お前は弟弟子の古雲!?」 烈陽の敵は弟弟子の古雲だった。 烈陽 「裏切ったのか!?」 ?? 「ちょっとセリフが臭いわねぇ、書き直しましょ」 烈陽 「どうしてお前が!?」 ?? 「おんなじようなもんか・・・」 古雲 「ふははははは!」 ?? 「あっはーん♪うっふーん♪」 古雲 「ふははははは!」 ?? 「あっはーん♪うっふーん♪」 ?? 「うるさいわねぇ・・・」 ピッ ?? 「お姉ちゃん、どうして消すのよ!」 ・・・・・・・・・・・・・・というわけで、ってそのわけがわからんって、 つまりですな。 武侠片が始まったのではなく、武侠片の漫画を執筆中のお姉さんだったのだ(その漫画に羅鋭が出てたのだ)。そして隣の部屋で妹がポルノ映画を観ていてうっふんあっはんというわけだ。 武侠片じゃないのかよっ!! パッケージをもう一回見直してみる。 うーん・・・・・これはどっからどう観ても武侠片と思わせるパッケージ! しかし、よーくよーく見ると真ん中に小さく写ってる忍者みたいな奴がジーパンを履いている!ややこしいパッケージにすんな! だから観た感想というか、観たジャンルが変わってしまったのです。 ってことで、現代劇が始まってしまい、ちょっと不満な私。 話は続く。 武侠片女流漫画家の岳虹は新作の執筆中(お前は高寶樹か)。 漫画に登場させるキャラクターとして自分の身近にいた人物をモデルにしてキャラクターを作っていた。そう言えば、「千と千尋の神隠し」の千尋は親戚の子供と宮崎駿監督が言っていたように、そういうことはよくあることなのだろう。 そして、漫画キャラ古雲のモデルは友人の焦恩俊、 烈陽のモデルは焦恩俊の兄である羅鋭、ちなみに羅鋭は劇中でもアクション俳優で、またも突然功夫映画が始まったと思ったら、こちらも劇中劇とわけがわからなくなるのだが。 妹の安安(役名)と友人のシャオ、4人がファミリーである。 彼らがレストランで武侠片について、林青霞(ブリジット・リン)について、梁家輝(レオン・カーフェイ)について、「ドラゴン・イン」について何か会話してるのだが、はっきりわからないのが残念なところ。 どうもどっかのチンピラどもに妹・安安がバカにされたらしく、 怒った焦恩俊とシャオは仕返しに。 ところが、チンピラどもはダイヤ取引の最中で、そのうやむやに相手組織がダイヤをネコババ。チンピラどもは焦恩俊がダイヤを取ったと勘違い。 功夫映画撮影のロケ場所でダイヤを巡って大乱闘になり、 羅鋭が撮影用のバズーカ持ち出し、一旦組織は逃げ出した。 羅鋭 「やれやれ、焦恩俊には困ったもんだぜ。」 岳虹 「そんなことより、うふふ・・・・」 といきなり始まる濃厚なラヴシーン。 ここに焦恩俊がハチアワセ!焦恩俊は岳虹大好き人間、そして羅鋭との関係を知らなかったもんだから、さぁ大変! 焦恩俊 「漫画の中ではあれだけ格好良いキャラ(古雲)にしてくれてたのに、好きなのは俺じゃなくて兄貴なのか!!」 羅鋭 「まぁまぁ、漫画は漫画で現実は現実やから・・・なぁ兄弟。」 焦恩俊 「俺は岳虹に指一本触れてねぇ!兄弟なんて言うんじゃねぇ!!」 羅鋭 「その兄弟と違うがな!まぁまぁここは話を聞いてやな・・・」 焦恩俊 「うるせー!!現実がみじめやから、漫画でフォローか!?漫画でフォローか!こらぁ!!」 岳虹 「漫画でフォローです。」 焦恩俊 「うがー!!きさまら、もう許さん!!」 側にあった、デッサン用の剣を取り構える焦恩俊。 焦恩俊 「俺は古雲!きさまは烈陽!俺の敵だ!!」 憤然とその場を後にする焦恩俊。 その後は失恋中の焦恩俊をシャオが慰めるも無駄無駄。 傷は相当深いようだ。 執筆を続けるのがしんどくなってきた岳虹だったが、締め切りがあるので描かないわけにもいかない。 劇中劇である、武侠片の中では古雲はさらに活躍、ある一派の強いボスを打ち倒し、その首に賞金をかけていた一派に届けるといった展開だ。 ぴきーん!! この漫画を読んだ(掲載されるのが早いっすね)焦恩俊が狂い始めてしまう。 焦恩俊 「俺こそが古雲だ!俺こそが古雲だ!」 いつ気づいていたのかわからんが、 ダイヤをネコババした組織のとこに乗り込んだ焦恩俊はたった一人で組織を壊滅させ、ネコババした奴とダイヤを持って、以前のチンピラどものボスに突き出した。つまり漫画と同じことした。 ボス 「なかなかやるじゃん。組織に入らないか?」 焦恩俊 「そのつもりだ。」 ボス 「お前の名は?」 焦恩俊 「俺こそが古雲だ!俺こそが古雲だ!」 ボス 「わかったわかった(なぜ名前を主張するのだ?)。」 その日から、黒社会のヒットマンとして焦恩俊、いやいや古雲が暴れ出す。 相手組織の邪魔なやつらを次々と抹殺。ここのボスにとって、目の上のたんこぶであった巨大組織までも粉砕してみせた。 それにしても彼、焦恩俊は初めて見る人だけど前半のお調子者な二枚目半のコメディから、中盤にかけて1転、長髪をなびかせ完全二枚目クールで芸風が全く変わってしまうあたりが凄い。また孟飛(メン・フェイ)に似てるんだよね。 古雲として活躍する焦恩俊。 しかし、これに対して岳虹が更正させようと取った手段が実に効果的なものであった。 焦恩俊とイチャイチャしてしまえばいいのだ! もともと、失恋から始まった狂騒劇なのだから、岳虹が振り向けば解決するのだ。岳虹とイチャイチャするうちに、だんだん元の自分を取り戻していく焦恩俊。 焦恩俊 「兄貴。いや兄貴というか俺はイチャイチャはしたが、ナニはしてないので兄弟じゃないけど、兄貴。」 羅鋭 「どないやねん。」 焦恩俊 「兄貴に岳虹は譲るよ。色々迷惑かけて悪かったな。」 兄弟というか兄弟じゃないけど兄弟はその仲を取り戻すのでした・・・ 終劇? ボス 「ふざけるな!勝手に終わるな!」 怒ったのは焦恩俊を雇っていたボスだった。 そりゃ漫画キャラになった気分で、黒社会を荒らして正気に戻って「ハイサヨナラ」じゃ誰だって怒るだろう。 というわけで、岳虹を誘拐。 ボス組織と焦恩俊、羅鋭らの最後の戦いへ。 ボスはとんでもない足技の使い手・・・ん?足なんだから使い足? そんな疑問をよそに、ワイヤーアクション、ガンアクション、功夫アクション、爆発アクション、 流行の全てを取り入れた大クライマックスバトルが始まった!! ほんとに終劇 ■ 面白かったです〜! 冒頭は激しいワイヤーアクションに始まり、くるくる展開するアクションに目を奪われつつも、突如現代劇に戻ってしまいがっかり感が漂いましたが、 焦恩俊が古雲化するという、漫画と現実をリンクさせる話の展開が面白く、 劇中劇では武侠ワイヤーアクションが、 劇中では香港ノワール爆発アクション+功夫アクション と2つのアクションが楽しめ、 ラストにおいては、「スウォーズマン 女神復活の章」も「男たちの挽歌」も「ニンジャ・ハンター/炎の勇者たち」も全部来ましたー!! ってな凄い勢いと迫力あるバトルで大満足! ボス役やってた人の足技と焦恩俊、羅鋭の功夫ワイヤーバトルもかなり面白いです。 相当な火薬量も使っておりますので、かなりの大作だったんでしょう。 お話も武侠片、コメディ、香港ノワールと一緒くたでありながら、ぶつ切りにならずにうまく統一されてあって、古雲化のアイデアも結構新鮮で十分良い感じ、日本でビデオ化があっても全然おかしくなかった作品ですね。 台湾も侮れません。
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