Contents
 
トップへ
掲示板

   


洪文定三破白蓮教
Clan of the White Lotus
続・少林虎鶴拳 邪教逆襲


ああ・・・・・・
幸せだぁああ・・・・・・・・・・
ふわぁああああ・・・・・・・・・・・

そんな映画がこれだ。
俺のような重度の功夫映画依存症にかかった患者にはこれがいる。極上のシャ・・・いや極上の功夫映画。
自分が一番好きなのはやはり'77-'82年ぐらいにかけて量産された功夫映画、なぜかしら'77年ぐらいから功夫映画ってファッとグレードアップしてるのよね(そのきっかけになった最初の映画ってあるんだろうか)、そこからの功夫映画が大好きでこれの新作をたまに私は観て行かないと死んでしまうのだ(死ぬかっ)。
'77年を迎える以前の武侠・功夫映画、これだと自分自身としては見るときの気持が全然違うのね。
「これは'74年製作のものだから」
ってことで、そこにハイスピードな功夫なぞ期待していない、むしろハイスピードな功夫が完成していないからこそどうのような工夫を凝らしているのか、単なるチャンバラやバキバキ殴るだけに終わらず、どのような努力を重ねているのかというとこを見てる。依存症を和らげてくれているかと言えばそうでもない作品も多いのだ。

他プロダクションの'77年代以降珠玉の功夫映画ってのは相当数食い潰して来たが(協利電影がまだ残ってますなぁうひひひ)、ショーブラ功夫はまだまだ。この映画はショーブラが放つ珠玉の功夫映画の一本なのだ。

流れ

父・洪熙官の仇である白眉道人・唐偉成(ウィルソン・タン)を胡亞彪(京柱)と協力して打ち倒した劉家輝(リュー・チャーフィ)扮する洪文定。

出し惜しみしない、迫力バトルがいきなり!
初っ端から前菜と言っては豪華なオードブル功夫が炸裂します。もうここで功夫映画好きは気に入ってしまうことでしょう。こんなオープニング大好き!

朝廷。
「もう少林寺関係はうんざりっス」
ということで、捕まっていた胡亞彪を保釈。
強い連中ばかりの少林寺と事を構えても何の特も無い。
それに奴らは何も仕掛けなきゃ何もしてこんし。

「胡亞彪が帰ってくるッス!」
嬉しい情報を持ってお家に帰ってきた洪文定。

この家には身重な状態で夫・胡亞彪の保釈を望む新妻な惠英紅(ベティ・ウェイ)とその妹で洪文定とちょっとラブラブな楊菁菁がいた。2:2ですか、幸せですなほんま。
幸せは長く続かない。
幸せが長く続きつつ、至高の功夫バトルが展開される、そんな映画は無いものか、無いだろうなぁ・・・「カンフーハッスル」は別口。
白眉道人の弟子であり、朝廷の官僚であった王龍威はその朝廷の判断に全く納得していなかったのだ。
これが情けないことに、それなら自分が修行して強くなって決闘申し込めばいいところを、白蓮教の教祖であり白眉道人の兄弟子である羅烈(ロー・リエ)に懇願。

すぐさま出陣した羅烈率いる白蓮教。
そんなこと言ったってこっちも劉家輝、京柱、楊菁菁、惠英紅と4鬼のようにつえーぞ。すぐさま始まる乱闘バトル。
レディダブルキック!
その中でもこの楊菁菁&惠英紅が見せるしなやか功夫が素敵だ!さらに、

楊菁菁がすげぇ!
さすがは女ファイト・コリオグラファー、抜群の動きは圧巻です。楊菁菁は「ゴッド・ギャンブラー3」で呂良偉の護衛を務めている女性と言ったらわかる人もいるかな?
しかし、ここに教祖・羅烈登場!
コイツ、強すぎ。

【無敵教祖の羅烈】

1.鐵布衫
ドラゴン太極拳」知ってる人ならすぐわかりますね。とにかくどこ殴っても斬ってもダメージ受けない、弱点無しの体を持ってます。

2.飄忽身形
宮本武蔵の「見切り」ってやつですか。ちょっと違いますかそうですか。とにかく要は究極の見切り。相手の攻撃をミリ単位のわずかな動作で交わして触れることすら許させません。

3.百歩追魂掌
いわゆる"百歩神拳"ってやつです。
この技を喰らった後に百歩歩いたら死にます。

・・・勝てへんやん。
というわけで4人の健闘空しく破れ、胡亞彪と楊菁菁はその身を挺して洪文定と惠英紅を逃がすのでした。

お互いに連れ合いを亡くした2人。
惠英紅の兄・林輝煌のところに身を隠すと洪文定はさっそく羅烈攻略の特訓開始。得意の虎鶴雙形拳により磨きをかけて白蓮教に乗り込んでいきます。

羅烈 「素晴らしい拳法だ。しかし、それが何だ言うのだ?」
というわけで、幾ら虎鶴雙形拳に磨きをかけてもまるで通じない感じ。

逃げ帰った洪文定。
そもそも飄忽身形がある限り攻撃を当てることさえも出来ないじゃんか。てなことで特訓メニューもどうしたらいいやら。
うわっ
惠英紅 「こうしたらいいのよ」
って凄いブリッジかます惠英紅さん。好きだーっ!
舞拳」ですな
個人的な叫びはさておき、
惠英紅オリジナルの舞拳っぽい繍華拳、この柔よく剛を制す拳法を習う洪文定。なるほど、外からではなく内から砕けって感じですな。

惠英紅からの教えを受けて繍華拳をマスターしていく洪文定。

さぁさ、繍華拳+虎鶴雙形拳で今度はどうだ!

飄忽身形を破ったー!
羅烈 「やるじゃん小僧。しかし体に触れたから何だと言うのだ?」
そうだったー!攻撃が出来たところでこいつは鐵布衫だからダメージにならないじゃんかー!!
遂に必殺の百歩追魂掌を喰らってしまう洪文定!
百歩歩けば絶体絶命!
じゃ歩かなければいいじゃん
ってことで林輝煌におぶってもらって帰る洪文定。

「奴を倒す手立ては無いのか?」
万策尽き果てたかのように見えたが、洪文定の治療に使った鍼灸に1つの光明を見た。とりあえず針で急所を全部刺してしまおう、どれか当たるやろって戦法だ。

というわけで三度目の戦いで針を羅烈に刺しまくった洪文定。
流石にこの攻撃に羅烈は身動きも出来なくなり、遂には羅烈を倒すのか!?と思われたそのとき、
気合で全ての針を跳ね飛ばした羅烈!
ああ、針の数撃ちゃ当たる作戦もダメなのか!
このままずっと全然全く勝てないのか・・・・!!

終劇




ふう〜〜〜〜・・・・・・・
ご馳走さん。
ほんとにハイレベルな功夫バトルが盛りだくさん。
もう後は功夫好きよ、見てくれ!
って感じで言うことも無いのだが言おうっと。

監督は無敵教祖を演じた羅烈その人。
当HPでも一体何本彼が出演している作品を紹介したかわからないほどの出演作のある彼ではあるが、監督作を紹介するのはこれが初めて。
うむ。この作品の紹介を何れ紹介する「KillBill」につなげようかな。
とにかくその辺の画作りにおいて、
「やっぱそうじゃないだろ、タランティーノ」
と思ったもんだ。
監督業が本業でない人が監督をやった場合、そりゃ当然自分のやってみたいことに近づこうとするのが当たり前なのだが、まぁその辺で今回の羅烈監督はとにかくシンプルで面白い功夫映画を作ったわけですな。その辺は「KillBill」を紹介した何れにまた。

とにかく最近映画をかっちり理解できなくて苦しんでいる私にとっても至極単純なストーリーではあるが、劉家良(リュー・チャーリャン)率いる武術指導クルーがつけた殺陣がどのシーンでもどの戦いでも素晴らしく、飽きさせない。
依存症を緩和させてこれでしばらくは私も安泰だろうって手前味噌な話はもういいか。

■CAST&STAFF
監督 羅烈(ロー・リエ)
出演 劉家輝(リュー・チャーフィ)
羅烈(ロー・リエ)
惠英紅(ベティ・ウェイ)
王龍威(ワン・ロンウェイ)
京柱
楊菁菁
林輝煌
井E
神仙
小候
唐偉成(ウィルソン・タン)
秦山
武術指導 劉家良(リュー・チャーリャン)
小候
神仙
京柱
脚本 黄天(ホアン・ティエン)
音楽 王居仁(エディ・ワン)
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1980


瘋猴
Mad Monkey Kung Fu
マッドクンフー猿拳


ああ・・・・・・
幸せだぁああ・・・・・・・・・・
ふわぁああああ・・・・・・・・・・・

そんな映画がこれだ。
俺のような(以下、上記の作品とおんなじ)
この映画はショーブラが放つ珠玉の功夫映画の一本なのだ。

流れ(と、というか・・・)

京劇団公演。
これを主催した(と思われる)街の実力者・羅烈(ロー・リエ)は・・・って、改めて思うが俺のところで一体何本彼の出てる映画をレビューしたんだ!?
・・・まぁいいや、とにかくその羅烈がその劇団の紅一点・惠英紅(ベティ・ウェイ)に一目惚れ。
「なんとかあの女を俺のものにしてやる」
というわけで、いきなり力ずくで掛かって来たりしないところがずるいところ。
まずは惠英紅と兄であり、座長の劉家良(リュー・チャーリャン)を食事にご招待。
酒をどんどん薦められてガブガブ呑んでしまう劉家良。
ガブガブ呑んでもその猿拳を元にした技は素晴らしく、

白扇拳も披露!
・・・泥酔。
起きるとそこには羅烈の女が裸で!
都合よく飛び込んで来る羅烈たち!
「あんた!俺の女に何をしたんだ!?
 何をしたというか、ナニをしたというのか!? 」
まんまとはめられた劉家良。勿論ナニもしてないのに。
そんなこんなで妹の惠英紅も劇団までも獲られてしまう劉家良師匠、さらに両拳までも潰されてしまう。

猿回しに身を落とす劉家良。
そこには何故か劉家良を慕って着いて来る猿っぽい青年、小候がいた。
ゴロツキどもに舐められておまけに商売道具の猿を殺されてしまい、散々な劉家良師匠。
「小候に猿拳を教えよう」
ってことで修行へ。

修行も一段落したところで、ゴロツキどものアジトに乗り込んでいく小候。まだ修行は第一段階だというのに。
ゴロツキどもは蹴散らしたものの、まだまだ羅烈には歯が立たず、あわや小候は猿の脳みそ料理にされそうになる。

これを助けたのは羅烈の愛人に身を落としていた惠英紅だった。何とか小候を逃がすことに成功するものの、哀れブレイク前の惠英紅さんは死んでしまうのであった。

「妹が・・・!!」
悔しくてたまらない劉家良と小候は修行の最終段階へ。

この演舞は凄いですなぁ唸りますよ。
一通り修行を終えた2人は羅烈の屋敷に乗り込んで大暴れ。

半端無い小候の身軽さ!
人の両肩に乗ってブリッジやバック転!すげぇ!

見事羅烈を倒し、仇討つのであった。

終劇




ふう〜〜〜〜・・・・・・・
ご馳走さん。
ほんとにハイレベルな功夫バトルが盛りだくさん。
もう後は功夫好きよ、見てくれ!
って感じだが言うことはある。
話薄いなーこれ。
いやそりゃ上記の「洪文定三破白蓮教」も単純至極だけどさー、バックボーンも何も無い感じでこの映画のこの脚本の薄さはどうなんだろ。

まぁその・・・
その分、超絶ウルトラ猿拳が大爆発してますから・・・
って、こうフォローするような表現になっちゃうってことはこの映画、功夫はもの凄く素晴らしいのですがトータルとしてはイマイチではあるんでしょうね。

ええ。
ほんで、その功夫アクションは流石に凄いッス。
この映画をやるために生まれてきたような小候の身軽さは半端ではなく、

「君、オリンピック出たら金メダルやん」
とマジで思います。つーか出ろよ、勿体無い。

劉家良が猴拳(猿拳)を映画で使用する頻度は非常に高く、「長輩」でも見られるし最近作の「超酔拳」でも邦題こそ酔拳にあやかっているが実際は酔拳というよりは「醉猴」の原題通り、酔った猿拳と言った方が正しいだろう。
なので、流石にその猿拳は真に迫ったもので素晴らしく、
小候と2人で猿拳演舞するところなんかは数ある功夫演舞シーンの中でも屈指の完成度でしょうね。
サモハン監督「モンキー・フィスト/猿拳」は傑作ではあるがリアリズムな迫力という意味では遥かに及ばないス。

■CAST&STAFF
監督 劉家良(リュー・チャーリャン)
出演 小候
劉家良(リュー・チャーリャン)
羅烈(ロー・リエ)
惠英紅(ベティ・ウェイ)
林輝煌
林克明
神仙
王清河
武術指導 劉家良(リュー・チャーリャン)
神仙
京柱
脚本 倪匡(イ・クオン)
黄岳泰(アーサー・ウォン)
音楽 王居仁(エディ・ワン)
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1979


血滴子
The Flying Guillotine
空とぶギロチン


今回で何夢華(ホー・メンファ)監督作品の紹介は3本目となる。「北京原人の逆襲」「仙女下凡」そしてこれ。一本は特撮怪獣映画、一本はファンタジーコメディ、今回はダーク功夫片、と三つとも違う毛色の作品であるが、やっぱり同じ人が撮るとその作風というものが出る。それは、
青空!
本作
青空!
「仙女下凡」
青空!
「北京原人の逆襲」

どれも抜けたスカッとした青空がスクリーンに広がるってこと。この青空気分な作風が共通していて今回の作品もダークな展開ながら、その青空の如く爽やかだったりして雰囲気は意外と暗くなく、その辺が興味深い。本作は私もなかなか気に入ってしまった作品である。

流れ

雍正帝はまぁ暴君。
彼の命を狙う奴はそりゃあもうたくさんいた。
雍正帝の近衛隊長だった谷峰(クー・フェン)は大道芸人の曲芸を色々見ててふと新たなる武器のアイデアを思いつく。
試行錯誤の末、作られたのが"血滴子"いわゆる空飛ぶギロチンである。
「凄いやんか!」
喜んだ雍正帝は発案者・谷峰を隊長として血滴子部隊の発足を要請する。

血滴子部隊になるべく集められた12人の勇士、
陳觀泰(チェン・カンタイ)、韋弘、汪禹(ワン・ユー)、許冠英(リッキー・ホイ)らがそうだ・・・リッキー・ホイ!?
彼のとぼけた顔の何処に素質が!?
・・・とは言っても実際は武術の達人・・・らしいし、まぁいいか。

練習が始まる。
木人を実験台に爽やかな青空に向ってギロチンを投げる毎日。
中でも陳觀泰と韋弘は良い素質を持っていてギロチン投げの腕もメキメキ、ライバル心メラメラ。
うーん青春だなぁ・・・
うーんでも何か違うなぁ・・・

チェリーボーイの汪禹くんは"血滴子も良いが女子もね"と思春期発情期真っ盛り。
丁度良いところに何故か女が現れたので、据え膳喰わぬはいや喰うぞ!と抱こうとしたが、その女には皇帝に仕える証の刺青が・・・
「な、なぜ俺が筆卸ししたかったことを帝が知っている!?」
・・・よく考えてみれば、いささか恥ずかしい質問。
しかし、雍正帝はいつもこの血滴子部隊を監視し、過不足の無いよう褒美を与え、最強の部隊になるよう配慮していたのである。

とうとう、その腕前を披露する時が来た!
辞令が下り、暗殺に動く部隊。
陳觀泰を筆頭に次々と仕事をこなしていったのだが、それも長くは続かなかった。
陳觀泰も正義の味方が悪を懲らしめる・・・なんてことを考えていたのだろうか、暗殺しなければならない人間はいつも陳觀泰にしてみれば「?」が付く人物ばかり。
「俺の手は血みどろだ・・・」
と、この部隊そのものに疑問を持つ。
青空に向ってギロチン投げてた爽やかな青春時代が実に懐かしい。
しかし、陳觀泰が動く前に事態は豹変する。
罪無き・・・というか罪があるんだか無いんだかわからない人を次々と殺し続けて、ついに若き汪禹が耐え切れなくなり発狂してしまうのであった。その場は何とか取り押さえたものの、この発狂事件を陳觀泰のライバル・韋弘が雍正帝に密告。
「あいつめ!女まで与えたというに!」
というわけで谷峰隊長に命じ、汪禹の首を刎ねる。

「俺たちは苦楽を共にした兄弟じゃないか!」
仲間を殺した谷峰隊長と韋弘が許せない陳觀泰。
1人の仲間が陳觀泰にそっと伝えた、
"走"(逃げろ)
と。
次は俺が殺される!とばかりに逃げ出す陳觀泰。
仲間がギロチン持って追っかけてくるのを振り切って脱走。
一番優秀なギロチン使いを失ったことで怒り心頭の雍正帝は
「何としても奴を捕らえろ!」

町では既に指名手配の陳觀泰。
追ってのギロチン使い2人に見つかってしまうが、踊り子の汪玲(ワン・リン)と運命的な出会いを果たし、助けてもらう。

命の危ない人間の行動は早かった。

すぐに汪玲と結婚、山奥に引っ込んで農夫になり、出産までする。

これを許しておくはずも無いギロチン部隊。
今度は遂に大きな出番か?許冠英らが殺しにやって来る。
特に大きな活躍も見せずに許冠英は首を刎ねられてしまうのでありました。

野心の燃え滾る韋弘。
密告から始まった韋弘と雍正帝のつながりは一層強くなっており、韋弘の思い通りに事は進む。
韋弘と一緒に陳觀泰を捜していた隊長・谷峰であったが、その韋弘の計らいで雍正帝は谷峰殺しを命じた。
哀れ谷峰さん、"血滴子"発案者がその自分の発明した血滴子にかかって首を刎ねられてしまうのであった。

戦いはクライマックスへ。
残る邪魔者は陳觀泰だけとなった韋弘とのギロチン対決が始まる・・・

終劇




こんだけ首がボンボンボンボン飛ぶ映画なのに、
どういうわけかもうお分かりでしょうが暗くないんですな。
単純にフィルム採光の影響がデカいんですけど、まぁ後半もそのまま青春活劇になってしまうのか?というような爽やかさが前半にはあり、後半はその爽やかな青空の下で血生臭い殺し合いが同じメンツで繰り広げられるのだから、その展開1つ取っても異質な映画ですね。
難癖付けるとしたら、陳觀泰が仕事に悩む前にギロチン投げの練習してる時点で
「何のためにこれやってるかわかっとけや」
って感じはありますけど、オリンピックに出るんじゃないんだから。でもこれも無理からの難癖で余り可愛くはないっすよね。

ギロチンが主役ってことで功夫は少なめですが、それよりもこのドラマ展開は結構面白かったです。

■CAST&STAFF
監督 何夢華(ホー・メンファ)
出演 陳觀泰(チェン・カンタイ)
谷峰(クー・フェン)
韋弘
劉午h
江洋
林偉圖
汪禹(ワン・ユー)
徐少強(ツイ・シャオチャン)
許冠英(リッキー・ホイ)
呉池欣
汪玲(ワン・リン)
沈勞
林風
蘆葦
李春棋
李鵬飛
蔡榮章
馬榮柏
郭偉明
王撼塵
羅漢
梅國威
司徒宏
林文偉
何漢洲
雷龍
武術指導 徐二牛
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 王福齢(ワン・フーリン)
製作 邵仁枚(ランミー・ショウ)
制作年度 1975


名劍
The Sword


ジミーちゃんの絵って凄いよねぇ、
だってアートの判らない凡人、つまり俺みたいなアートに疎い人間でも見たら
「ああこれは良い絵だなぁ」
思うもん。前衛的な感じがしてそれでいて一般人に理解させやすい。こりゃ凄いですよ。

ってなんで関係無い話してるかというとですね、
この映画、あんまりよくわからんかったのよね(またかい)
いや、話は大体まぁまぁわかりますよ。
田豐(ティエン・ファン)から委ねられた二つの剣があって、これを鄭少秋(アダム・チェン)と徐少強(ツイ・シャオチャン)が持つと、同じ女を愛するようになった二人はやがてそのドロドロした愛憎劇の中で戦いを繰り広げる・・・ということでしょう、たぶん。

本作が高く評価されているのはその譚家明(パトリック・タム)の美術設定であり、確かに夜なのに原色が映え、感情表現にいくつもの色が使われ、「英雄HERO」よりずっと先にこういう表現での武侠片があったんだなぁ感心感心。って思いますよ。ただね、トータルしてだからそりゃ面白いかと聞かれたら、いやぁそんなにどうかなぁ・・・

んじゃなぜ、傑作選に入れたかというとですね、
一重にこりゃ程小東(チン・シュウトン)の殺陣の素晴らしさですね。決して、アクションに次ぐアクションの映画ではないのだけれど、 場面場面をつなぐアクションは本当に秀逸で壮快。その後の一躍彼が注目を浴びる「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」辺りから始まる空をスイスイアクションより、こっちに方がずっと良い。特にラストアクションは息を呑む迫力で鄭少秋としてもベストバウトの1つだろう(彼は本業歌手だけど)。

■CAST&STAFF
監督 譚家明(パトリック・タム)
出演 鄭少秋(アダム・チェン)
徐少強(ツイ・シャオチャン)
陳hh
田豐(ティエン・ファン)
魏秋華
高雄(エディ・コー)
李海生(リー・ハイサン)
徐杰
劉一帆
呉桐
劉兆銘
武術指導 程小東(チン・シュウトン)
ケコ祥
脚本 譚家明(パトリック・タム)
劉天賜
慮自強
黄鷹
原作 黄鷹
音楽 願嘉輝(ジョセフ・クオ)
策劃 葉潔馨
製作 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
制作年度 1980


陸阿采與黄飛鴻
Challenge of the Masters
ワンス・アポン・ア・タイム英雄少林拳


劉家良(リュー・チャーリャン)監督第2作目・・・に当たるのかな?
この映画、実になるほどなと思うことの多い映画だ。
これも確か「ドラゴン大全科」って書籍に紹介があったんだよなぁ、
「ショーブラの映画もみんなとても面白いのだ」
なんて書いてあって、
「面白いのだと言われてもなぁ・・・ちきしょ」
と当時小学生の僕はその白黒のスナップフォトを指をくわえて眺めているしかなかったのだ。

それが20年ぐらいの時を経て、やっと観れることになったのだから感慨もひとしお・・・というよりも
「観るのに20年もかかっちまったじゃねーかっ!」
の感情の方が強いぞ邵逸夫(ランラン・ショウ)め。

まぁとにかくこの映画を観てしまうとだな、
劉家良御大を改めて尊敬せざるを得ません
本当に色んな功夫映画の素が入った映画ですね。

流れ


気持ちの良い演舞オープニング。

ここは黄飛鴻の"寶芝林"・・・ではなくて、その父・黄麒英が経営する道場。
もうすぐ年に一度の"炮"大会。
これは花火のように打ち上げられる"炮"というものを、各武門の輩が一斉に奪い合うというゲーム。
江島、馮克安(フォン・ハックオン)といった門弟がいるライバル道場に負けるわけにはいかんと、師範代の汪禹(ワン・ユー)はじめ、稽古に励む。

「俺も混ぜてくれっ!」
とやんちゃでまだまだ子供の劉家輝(リュー・チャーフィ)扮する黄飛鴻。
しかしこの黄飛鴻、父から功夫を教えてもらってないのでありました。
「飛鴻は弱いので足引っ張るからだめ」
単なる門弟の1人、銭月笙(チェン・ユーサン)ごときにもそう言われ、反撃しても素人の悲しさ、軽くいなされるばかり。
とか言ってると汪禹にいつも付いてる門弟の1人に曾志偉(エリック・ツァン)発見!
結局最期までセリフの1つも無かったが、出てるシーンは結構多かったりする。

黄飛鴻 「功夫が習いたい・・・習いたいなぁ」
門弟の1人に頼んで何とかしてくれないかと懇願してみたり・・・って、

その門弟は許冠英(リッキー・ホイ)じゃないすかぁ!
さて、今回の許冠英。
叛逆」「空飛ぶギロチン」とショーブラ下積み時代の彼を拝見しましたがどちらもチョチョイのチョイ役。しかし今度はちょっぴり違うぞ。結構出番もセリフも多い役柄ゲットだ!
スターになった後のジャッキー「奇蹟ミラクル」にゲスト出演している彼の役柄となんだか似てるとこが面白い。
リッキーに頼んだところでどうにもならないのでありました。


ここで劉家良御大が登場。
ライバル道場の江島らと何やら話して結託する様子。
そして劉家良は劉家榮(リュー・チャーヨン)を見つけると身を隠しながらも尾行。ある屋敷に入っていくのを見届ける。そしてその屋敷の門前にいた黄飛鴻を尋問。尋問を拒否する黄飛鴻だったが、素人なので劉家良は軽く一ひねり。ただ、町民に"黄麒英の息子"と聞いてその場を後にする。

その後のライバル道場。
クレジットに無いくせにしっかり出ているのが唐偉成(ウィルソン・タン)である。(ちなみにリッキーはちゃんとクレジットされています)さらにその後ろに張午郎(チェン・ウーロン)発見!

場面変わって、
黄飛鴻 「僕も"炮"大会に出たい!」
と言ってたのを気にとめていた門弟の1人の計らいで黄飛鴻は密かに"炮"大会に参加。
かくして始まる"炮"大会。
しかし、江島や馮克安が黄飛鴻を見つけてしまったので、そこを目掛けて襲い掛かることこの上なし!
汪禹がこれを見つけ、助けに入るものの、哀れは汪禹は黄飛鴻の身代わりに重傷を負ってしまい、さらには大会で大惨敗を喫してしまう。

黄飛鴻 「俺のせいで負けた!」
全く持ってその通り。
父もしばらくは息子を相手にしたくない様子。
黄飛鴻 「功夫が出来たなら・・・・!くそぉ!」

助け舟を出してくれたのは先の劉家榮であった。
劉家榮は大先輩、陳觀泰(チェン・カンタイ)扮する陸阿采を仲介し、ついには黄飛鴻は陸阿采に弟子入り。
劉家榮 「ところでコイツを知ってるって?」
劉家榮が広げて見せたのは劉家良の顔が書かれた指名手配書。劉家良は今回強盗殺人を犯して逃げているという悪役だったのだ。そして劉家榮は刑事。

修行に入るため、陸阿采と山ごもりに出かける黄飛鴻。
一方で劉家榮は劉家良との対決を迎えていた。

息詰まる戦い!
だがしかしやはり長兄に一日の長があったか、劉家良必殺のキックが決まり、劉家榮は返り討ち死亡。


恩人を殺されたことも知らずに始まる修行。
陸阿采の厳しい修行はいつ終ることなく(終るが)続く。
「酔拳」の赤鼻爺ちゃんとは違い、基礎体力を作るトレーニングと同時に型も早い段階で教えてくれるところが良心的だ。これなら練習意欲も衰えにくい。

木人巷で修行
ぐんぐんぐんぐん成長する黄飛鴻。そりゃあなんてったって黄飛鴻だもんね。
陸阿采は劉家榮が殺されたことを告げるのだが、同時に
「相手を負かしても殺してはならない」
ということを教える。
心技体全て備えることが重要なのだ。

遂には2年の修行で立派に成長した黄飛鴻。
リッキーと一緒に劉家榮の墓参りを済ませ、対決へ。


劉家輝vs劉家良!!
秘技・十八武芸拳法」でもガチンコ対決を見せてはいるものの、悪役の長兄に立ち向かわなくてはならない作品はこれ一本か!?
壮絶な戦いの末に劉家良を打ち破る!
しかし陸阿采師匠の言い付けどおり、トドメは刺さずに諭してやるのでありました。

そして2年を迎えての"炮"大会。
立派な功夫野郎になった黄飛鴻は堂々参加。
汪禹とも和解、手を取り合って勝利を目指すのだが、そんな簡単に勝利を投げ渡すほどライバル道場は甘くない。
果たして今度こそ勝利をつかめるのか!?

終劇




ジャッキー「蛇拳」「酔拳」はコメディ功夫というジャンルをしっかりと確立し、様々な亜種を生み出したことは間違いないが、そうやって生まれたきた功夫映画の原点の原点としてこの作品はとてつもなく大きな役割を果たしている。

話を読めばわかるとおり、
やんちゃな黄飛鴻が陸阿采に弟子入りして、敵役倒して立派な青年となって帰ってくる、といった流れは
やんちゃな黄飛鴻が蘇乞兒に弟子入りして、敵役倒して立派な青年となって帰ってくる、というジャッキー「酔拳」の流れと同じであり、「酔拳」がこの映画のパロディだったことがよくわかる。その分、「酔拳」は低予算で"炮"大会みたいなもんは出来ないということもあったか、功夫シーン満載の作品なのだが。

またその"炮"大会は、まぁこういった競技は昔からあったんだろうし、これから取ったと断言できるものではないが、
ドラゴンロード」のゴールデンポイントと酷似しており、これまたジャッキーがパクっ・・・いやいやリスペクトしていることが簡単にわかる。
師匠と弟子とのマンツーマン修行は功夫映画に数え切れないほどあるし、改めてその発祥であるこの作品と劉家良監督に賛辞を送りたい。

で、この映画のバトルシーンであるが、
「これが本当に'76年製作の功夫映画なのか!?」
というほどにレベルが高く、同年他の功夫映画と比べてその功夫の完成度は比類無き高さ(あくまで'76年と考えて)だが、これにはちょっとした種がある(察しが付くのは簡単)。
本作には主な功夫バトルが
劉家榮vs劉家良
劉家輝vs劉家良
この2つしかない。
2つしかなくても修行シーンとか一杯あるのでまぁ十分楽しめるのであるが、要旨はそこではなく見たまんま
"どちらも本当の兄弟対決"
ということである。
そりゃあ息のあった素晴らしい対決シーンが構成できることだろう。現にこうやって構成している。功夫バトルのレベルの高さはこの兄弟が対決することが大きく作用したことは間違いないはずだ。

また、前述したようにひょこひょこ登場してくる多彩な脇役、許冠英や曾志偉や張午郎や黄哈などの存在も面白い。

経典的功夫映画の一本としてあなたも是非。

■CAST&STAFF
監督・武術指導 劉家良(リュー・チャーリャン)
出演 劉家輝(リュー・チャーフィ)
陳觀泰(チェン・カンタイ)
汪禹(ワン・ユー)
李麗麗(リリー・リー)
江島
江洋
劉家榮(リュー・チャーヨン)
劉家良(リュー・チャーリャン)
史仲田
沈勞
許冠英(リッキー・ホイ)
李壽〔王其〕
李鵬飛
馮克安(フォン・ハックオン)
鄭康業
唐偉成(ウィルソン・タン)
銭月笙(チェン・ユーサン)
曾志偉(エリック・ツァン)
張午郎(チェン・ウーロン)
元彪(ユン・ピョウ)
黄哈(ウォン・ハー)
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1976


御猫三戯綿毛鼠
Cat vs Rat


はいはいさてさてさて。
「大急星與小妹頭」「發銭寒」「掌明人」
「御猫三戯錦毛鼠」「瘋猴」「武館」「蟷螂」
「鬼怒川」「長輩」「鬼流星」「一夫富関」「追撃」
「小英雄大閙唐人街」「鬼馬智多星」「滑稽時代
人嚇人」「敗家仔」「少林三十六房續集
蜀山/新蜀山劍侠」「十八般武藝」「豪侠」「爛頭何
どばっとな。
んで、「爛頭何」のところでも同じ事言ってるんですけどね、「香港電影百科」(芳賀書店出版)での日本未公開映画ポスター傑作選での作品がまた一つこれで集まりました。
これで収拾すべきものもあと半分ぐらいになりました。リンクがついてるのは当然観たものですから。本当に何年も何十年も掛かってるなぁ・・・・・・・・・

というわけで今回は「御猫三戯錦毛鼠」。
・・・この映画ねぇ・・・もう上に載ってるパッケージのまんまだわ。その通り。ただちょっとだけひねってあるんだな。

流れ


傅聲(アレクサンダー・フーシェン)とこの道場と、
鄭少秋(アダム・チェン)とこの道場は隣同志で対立。
自分達で敷いた境界線を隔てて今日も意地を張り合う毎日。
そのまた近くで書道家であり武芸百般に通ずる達人の老師・劉家榮(リュー・チャーヨン)がいたのだが、この人この二つの道場の対立に巻き込まれて大迷惑。
一旦は仲介して引き分けにさせたものの、傅聲とこの母ちゃん(?)沈殿霞(リディア・サン)は、
「私らが勝たないでどうすんのよ!あほんだらっ!」
って感じで全く納得せず。
色々考えた傅聲は鄭少秋がいつも使う槍で劉家榮と勝負。
劉家榮にとっては強敵で傅聲でも歯が立たない。
鄭少秋の槍を使っても歯が立たない。
鄭少秋の槍を封じて見せたのは劉家榮が使っていた金輪が付いてる独特の剣。
「これだ!」

さっそく、傅聲は金輪剣を使って鄭少秋と勝負。

それにしても傅聲も功夫上手いねぇ・・・・・・

「そ、そんなバカな・・・」
見事に鄭少秋の槍技を封じてみせる傅聲。
唖然とする鄭少秋とその妹の惠英紅(ベティ・ウェイ)。
しかし鄭少秋はすぐさま、
「劉家榮師匠に何か習ったな・・・」
と見抜くのであった。

勝利の祝杯を挙げる傅聲、沈殿霞、そして弟弟子の小候らご一行。しかし、余韻に浸る暇も無かった。
今度は鄭少秋が劉家榮師匠とのやり取りからヒントを得て、傅聲と再び勝負。これに勝利して1:1。対立は再びこう着状態に。
今度は傅聲、劉家榮師匠ご自慢のアゴヒゲを寝てる隙にこっそり切って、劉家榮師匠を怒らし、それに向かって色々な武器で向い撃ち、素手で反撃してもらって技を教えてもらうという強引な方法に出る。
ある程度は上手くいくのだが、これもまたまたさてもやれやれあーこりゃあーこりゃこりゃ。自分自身が結局一番ダメージになってたりして(劉家榮師匠に散々殴られるから)。

町に出た傅聲。
「鄭少秋を打ち負かす方法は無いものか〜」
もうあんたそればっかり。
披露するでもなんでもなく軽功でひとっ飛びした傅聲。
これをたまたま見ていたのはお忍びで町を視察に来ていた皇帝・劉家輝(リュー・チャーフィ)。
「あの男、やるじゃん!」
ということで傅聲の後を追っかけていくのだが、途中で水中戦を得意とする賊に襲われ、皇帝は川の中。
これをたまたま川の中に潜ってしまって出てこない小候を傅聲が助け出そうとして引き揚げると出てきたのは小候じゃなくて皇帝だった。そしてその賊も倒す傅聲。
「素晴らしい技だ!是非俺の武官に!」
助けてもらった皇帝は傅聲をスカウトするが、
「こんなとこに皇帝なんかいるわけないじゃん」
と相手にもせずスタコラさと去っていってしまう傅聲。
「わらわを無視するとは!」
一気に怒り心頭に達する皇帝であった。

さらに今度は町の情報を伝え聞いて鄭少秋に会いに行く皇帝。
先に妹の惠英紅と会っているところで、今度は賊が助っ人・唐偉成(ウィルソン・タン)を連れて現れる。賊のトラップに引っ掛かってしまう皇帝と惠英紅だったが、ここに鄭少秋が現れ、これを助ける。見事、鄭少秋は皇帝お墨付きの武官に。

その上、鄭少秋の道場は皇帝の強力なバックアップ体制を敷き、傅聲道場の方は息も絶え絶えの状態に。

傅聲 「本当に皇帝だったとは〜しまったぁぁああ!!」
こっからの傅聲の狂った行動が凄かった。
皇帝の金印を守る鄭少秋に恥をかかせてやろうと深夜、皇帝の屋敷に忍び込み、仲間と金印泥棒を働くのだ!
・・・・・・普通なら死刑でもすまんぞ。
見事、金印を盗み出すのに成功し、金印は仲間の手に。
だが、傅聲自身は見つかってしまう!絶体絶命!

傅聲 「賊が持って逃げたので取り返してきます!」
機転の良い彼は、自分は賊を追ってきたことにし、口八丁でその場を凌ぎ、
傅聲 「私が見事、金印を取り戻して見せます!」
なんとも調子の良い奴である。
これで黙ってるはずがないのが鄭少秋。
鄭少秋 「いや私が金印を取り戻してきます!」

2人は賊のいる沼のいっぱいあるアジトに潜り込んで行くのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・賊も何もそれは傅聲の仲間だわな。そもそも傅聲が金印を盗んだ主犯なんだもん。
というわけで、鄭少秋と協力して敵を倒す傅聲だったが、内心ではウッシッシ・・・さて・・・


終劇




本作が作られた前後のサモハンが作っていた作品を並べてみるとね。
燃えよデブゴン/お助け拳 :用牙老虎('80)
斗え!!デブゴン :身不由己('80)
燃えよデブゴン2 :戌魚翻生('80)
妖術秘伝/鬼打鬼 :鬼打鬼('80)
ユン・ピョウ in ドラ息子カンフー :敗家仔('81)
ピックポケット :提防小手('82)
霊幻師弟/人嚇人 :人嚇人('83)
とまぁだいたいこんな感じ。
お宝騒動やお家騒動、石天さん爆発のギャグ映画もあればホラーもあり、正統派功夫で攻める元彪もいれば、スリを題材にした現代アクションもあり、と単なる功夫映画を黙々と作るのではなく、あくまで功夫アクションをベースにしながら色々なジャンルに挑戦したり、脚本に工夫を凝らそうとした後が覗えるのよね。
ジャッキー「ヤング・マスター/師弟出馬」後に"脱功夫映画宣言"をし、それに刺激を受けた映画人も数多くいたとは思うけれども、それが無くとも映画の流れはそのようになっていったんだろうなぁと思います。ただし、その並べたサモハン映画ですが、どれも功夫アクションは素晴らしいものの、トータルしてみれば「?」の付く映画が多いことも事実。

劉家良(リュー・チャーリャン)はコメディ功夫や、ホラー功夫、少林寺映画とあらゆる功夫映画を生み出した才人であるからしてジャッキー"脱功夫映画宣言"に全く影響を受けていない人であることは確か。先にやってるんだもん。
ただしサモハン同様、様々な題材に挑戦したおかげで作品の出来にムラが出てしまっているのもまた確かなところ。
本作は二つの対立する道場のドタバタ喜劇を上手くまとめながら、まぁこういった対立ものだと「少林寺2」のようにラストは協力して共通の敵を倒す、といった流れになりがちであるのに対し、最後の最後まで対決だけを描き、そのクライマックスには水上を利用した単なる野原で戦う功夫バトルとは一味違うアクションを用意して特色を出そうと頑張っていることは然り。
しかし、言い換えればただひたすら対立しあっているだけの模様を延々と見せられて、最後は倒すべくの敵も無し。これでは最後の最後まで観客がスカッとした気分を味わえないことも確かであろう。

水上戦も興味深いところではあるが、そりゃ水上だからと動きが限定されてしまい、特に劉家榮と絡む前半では素晴らしい功夫ファイトを見せているだけに、後半水上戦になってしまうことで見てる側がかえって消化不良を起こす感じがする。

決して面白くない映画ではないし、笑えるシーンもあって今回おきゃんな感じの惠英紅も可愛いし、傅聲も持ち味を発揮しているとは思うんだけど後半尻すぼみ感が残念な感じかな。コメディ演技に全く乗り切れていない王龍威が別の意味で面白かったりします。

でもこれは劉家良が失敗を恐れず様々な功夫映画作りにチャレンジした結果なんだよね。その意欲は十分に買いたいと思います・・・ただ劉家良監督、現代アクションはやっぱり苦手だったのかな・・・
■CAST&STAFF
監督 劉家良(リュー・チャーリャン)
出演 傅聲(アレクサンダー・フーシェン)
鄭少秋(アダム・チェン)
惠英紅(ベティ・ウェイ)
小候
劉家輝(リュー・チャーフィ)
劉家榮(リュー・チャーヨン)
張展鵬
沈殿霞(リディア・サン)
龍天翔
唐偉成(ウィルソン・タン)
王龍威
王清河
京柱
林輝煌
石崗
武術指導 劉家良(リュー・チャーリャン)
小候
京柱
脚本 倪匡(イ・クオン)
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1982


迎春閣之風波
The Fate of Lee Khan


なんでやってくれたんだかわかんないんだけど、突然関西ローカルでTV放映してくれた。ありがたやありがたや。

胡金銓(キン・フー)にとっては賞を受賞した「侠女」の次回作にあたるこの作品で、この後の彼の作品が「忠烈圖」、ちょうど中間なのだが内容を見てみてもまさに中間だなぁという印象を持った。彼お得意の迎春閣という客棧で起きる密室劇が主で、「残酷ドラゴン/血斗竜門の宿」の発展系といったところか。

この映画、かなりの豪華キャストが惜しみない演技を披露していて実に面白い。

流れ

明。
朱元璋が朝廷に反旗する時代。
お上の殿下・田豐(ティエン・ファン)は朱元璋一味の機密文書を受け取りに出発。
一方で、朱元璋一味である門派は密かに郊外に迎春閣という客棧を開設。普通に営業するフリして文書を奪還せんと朝廷の者どもを待ち受ける。

まずは朝廷から密かに派遣された賊の魏平澳(ウェイ・ピンアウ) が様子を探る。
給仕に美人が四人、茅瑛(アンジェラ・マオ)、胡錦(フー・チン)、馬海倫(ヘレン・マ)ら。それと男の呉明才(ウー・ミンサイ)。女主人は李麗華(リー・リーファ)だ。
わざと絡んでみたり酔いつぶれたフリしたりするが、どうもうまくいかない。

そんな時、乞食で唄うことで銭をせびろうとする韓英傑(ハン・イェンチェ)が店に飛び込んで来る。
「乞食は困る」
と李麗華は追い返そうとするが、何のかんの言って出て行ってくれない。内心はそれよりも
「敵か?味方か?」
の気持ちの方が強いのだろう。
さらに店には白鷹(パイ・イン)も客にいる。

敵味方わからないまま、賑やかしげな騒がしげな夜は更けていく。
逆に探っていたことがバレてしまった魏平澳が捕まり、ここにいた面子のとりあえずの敵味方が判別する。

今度は街の警備隊である金帝(ティン・チィ)が現れ、やり放題の繰り返し、李麗華が知事の愛人だったため(これも計算)、知事に怒られてすごすごと帰る金帝。

「今のは朝廷ではなかったか・・・」
残念なようなホッとするよな溜め息をついた一行だったがついに殿下の田豐が妹の徐楓(シー・ファン)、部下の楊威(ヤン・ウェイ)、李文秦(リー・マンチン)、そして喬宏(ロイ・チャオ)らを連れて宿に現れる。
田豐は既に謀叛人の〔赤?〕履仁を連れてきており、宿の外でこれを処刑。続いてちゃんと街を治めていなかった金帝らも処刑し、いきなりの高圧を見せつける。

続いて、
「この宿にも謀反人がいるのではないか?」
ということで、喬宏が尋問をしていくのだが・・・

終劇




お話は誰が敵か味方を隠しておきました。その方が見るとき面白いので。

密室劇としては華やかさが無く、ただ敵と味方がいるだけの「残酷ドラゴン/血斗竜門の宿」に比べ、美人たくさん事件がたくさんその裏で行われる駆け引きというところで一層スリリング・・・になっているとは言い難い感じがしたのは正直なところ。その華やかさも無く石雋(シー・チュン)と韓英傑が淡々とやり取りしていた「残酷ドラゴン/血斗竜門の宿」 の方が何時剣が抜かれて戦いが始まるかわからない緊迫感が長時間あった。今回は密室劇を違う角度から撮ってみたという方が強いだろう。女性キャラがやたら多いのは楽しいところ。

前半においてはやんちゃな給仕ガールズvs嫌な客たちという感じで、その裏で少しずつの駆け引きがあるのだがなんか店の営業ドタバタ劇になってしまっていると思う。豪華キャストが丁々発止の演技を繰り広げるだけあって退屈はしないのだが。
それだけに後半に入って田豐一行が登場してからのギャップがもの凄く、「ホンコン・フライド・ムービー」が「野獣たちの掟」に突然変わってしまったかのようだ。後半の緊迫感は流石に迫力満点。

キャストがほんとに素晴らしい。
田豐の悪役がごっつ怖く、またその隣で冷酷な顔を浮かべ続ける徐楓も絶妙。その上この2人めちゃくちゃ強い。
個人的には道化役を演じている韓英傑が非常に良かった。道化やってるからこそいざという時がかっちょいいんだよねぇ。
また、聾唖劍 Unofficial Websiteをやっている自分としては馬海倫(ヘレン・マ)さんの出演も見逃せない。

アクション面においては胡金銓(キン・フー)映画にずっと武術指導助手として関わってきた洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が武術指導が担当しているだけあって、静と動のコントラストを非常に心得ておりこの当時で考えれば申し分ない。人がぴょんぴょん飛び回る様は非常に壮快である。本人が出演していないのは残念だが。
ともかく徐楓vs茅瑛のどちらも超メジャー女ドラゴン対決があったり(悲壮なことになってますが)、馬海倫さんも聾唖劍よ再び!って感じで闘ってくれるので個人的には非常に満足。

胡金銓ってラストはいっつもああいう終り方だよなぁ・・・

■CAST&STAFF
監督 胡金銓(キン・フー)
出演 白鷹(パイ・イン)
李麗華(リー・リーファ)
田豐(ティエン・ファン)
徐楓(シー・ファン)
茅瑛(アンジェラ・マオ)
胡錦(フー・チン)
馬海倫(ヘレン・マ)
喬宏(ロイ・チャオ)
韓英傑(ハン・イェンチェ)
〔赤?〕履仁
呉家驤
呉明才(ウー・ミンサイ)
金帝(ティン・チィ)
馮敬文
李文秦(リー・マンチン)
楊威(ヤン・ウェイ)
魏平澳(ウェイ・ピンアウ)
武術指導 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
クレジットは朱元龍
制作年度 1973

 
 
 
マッドクンフー猿拳
空飛ぶギロチン
名劍
ワンス・アポン・ア・タイム英雄少林拳
御猫三戯綿毛鼠
迎春閣之風波

 

inserted by FC2 system