■CAST&STAFF |
監督・製作 |
李作楠(リー・ツォナン) |
出演 |
孟飛(メン・フェイ) |
威冠軍(チー・クワンチュン) |
王冠雄 |
胡錦(フー・チン) |
金銘 |
龍飛(ロン・フェイ) |
梁家仁(リャン・カーリャン) |
山茅(サン・マオ) |
高飛(コー・フェイ) |
龍方(ロン・ファン) |
陳慧樓(チェン・ウェイロー) |
制作年度 |
1977 |
出籠馬〔馬留〕
Monkey Kung Fu
■
ジャッキーの
「蛇拳」「酔拳」の大ヒットにより、当時の香港はコメディ功夫ブームを巻き起こす。
李小龍(ブルース・リー)の登場によって、日本では空前の空手映画ブーム、便乗してやってきた香港からの功夫映画は後を絶たなかったが、その粗製濫造な作品群と他を超圧倒する李小龍という存在のためにほとんどはクズ呼ばわりされて消えていった・・・というのは当HPでも散々語っているのだが、第二のコメディ功夫ブームにて香港で起きたことも同様である。
亜種亜流のコメディ功夫映画が乱立し、香港は勿論、日本にもその他の映画は流れ込んできた。時代は折りしもビデオソフト(特にレンタル)が普及していく流れ。このビデオソフトそのものでもいわゆるクズなコメディ功夫映画がまかり通ったが、そのバータで掴まされたのかどうか真相は知らないが、さらにローカルのTV放映で流されたどこのどいつが作ったのかもわからんような(あくまで当時のこと)功夫映画もあまたあった。
しかし、李小龍と空手映画ブームの時にいわゆる"キラリと光る功夫映画"というものが存在したように、コメディ功夫映画のクズ山からひねり出すべき見捨てられた傑作・佳作がまだまだあるのも確かなことである。
それは当HPで紹介した・・・・そうだなぁ・・・
「ドラゴン酔太極拳」「ガッツ・フィスト・魔宮拳」
「ドラゴン・カンフー/龍虎八拳」「蛇猫鶴混形拳」
「〔足易〕舘」「南北醉拳」「少林傳人」「龍虎少爺」
「識英雄重英雄」
※著名な人物が関わった作品は除く。
この辺なんか特に「頼むから拾ってくれ!」と日本のDVDソフトメーカーにお伝えしたい次第だ。とりあえず自分のレビューにあるところだけ抜粋。
で、勿論本作もそんな拾ってあげたいコメディ功夫の1つである。
■流れ
過失かなんか知らんが人を殺してしまって入獄する程小東(チン・シュウトン)。
刑務所初日からやたら腕の立つ謎の老人とモメモメと楽しいケンカを披露、老人と仲良くなるのだがその老人明日処刑だって。というわけで、なぜかしら老人は半分だけのメダルをくれる。両方ゲットすると良いことがあるらしい。
処刑。
その後に入獄してきた候朝聲とえっこらやっこら重労働をさせられていたが、ここで役人とモメモメ功夫炸裂!
脱獄!
二人して脱獄して、手錠のままモメモメ功夫炸裂!
汚い老人に軽くあしらわれたり、主演コンビでいがみあったりとコメディ功夫のお約束が次々炸裂する作品である。
候朝聲と別れて気まま陽気に脱獄生活は続く。
世界中捜してもやはり中国戯劇団の連中にしか出来ないような娼婦の超軟体レディ功夫を拝むと(これもお約束ですが群を抜いてる!)、今度は謎の刺客に次々と狙われる程小東。
「俺が何をしたっていうんだ!?」
何をしたっていうか、人殺して脱獄してたら大変立派な重罪だと思うのだが物語はシャバで続いたりなんかする。
今度は社偉和らトリオの屈強な奴らが程小東を襲う!
それなりの功夫で対抗するが危機一発な感じ!
これを先に別れていた候朝聲が助けてくれる。
実は候朝聲は処刑された老人の弟子、メダルのもう半分は彼が持っていた。
彼らメダルの所有者を狙っていたのは關東一味。
さてはて、どういうことだ!?(ストレートそのままですが)
メダルを合わせて秘密の場所を暴き一目散の二人。
間に「笑拳」よろしくなモメモメ功夫が入っているのもかなりのお約束だ。
そしてメダルによって「通臂門」の極意書ゲット!
二人してマスターすべく修行に励む日々!
珍妙な修行シーンは超お約束。
岑潛波、林輝煌とのお笑い功夫対決でウォーミングアップした二人は遂に關東一味と対決!
關東は先の老人が倒した男の弟子で、その老人の「通臂門」を使う一派を皆殺しにしようとしている対抗勢力だったのだ(「蛇拳」の黄正利ですな)。
流石に關東は一筋縄ではいかない強敵であったが、捨て身の猿拳大炸裂で何とかこれを打ち倒すのであった。
終劇
■
っていうか、程小東は脱獄したまんまじゃん。
全てはその功夫アクション、その素晴らしさがこの映画の全てである。それが無ければ何も無い。
スターもいない、美しい女優もいなければ、ショーブラ特有の豪華なセットや大量エキストラ導入も無く、舞台はまさにコメディ功夫特有の野原とあばら家と道場で、ショーブラのマークが出なければ第一影業が撮ったんじゃないか?と疑いたくなるよな安い映画である。
だからこそ功夫が映える。
確かに低予算から"これしか撮れないもん"というような嘆きも伝わってくるのだが、一流のミュージシャンがコンサートの演出を追及していった結果、結局は人が観に来るのはその人そのもの、聞きたいのはその声そのものということで、デコレーションを削ぎ落として削ぎ落としてシンプルなものになっていくのと同様に・・・同様にといってもこちらは意図せずしてといった表現が正しいのだが、もうそのまま見所は功夫シーンだけ!になっていてそこの勝負どころだけで全てを賭けている作品である。
主演と武術指導は程小東。
言わずもがな、今でも第一線で活躍するスーパーアクションコリオグラファーといったところか。監督デビュー作の
「妖刀・斬首剣」の時点でワイヤー使いまくりになっていたので、それ以前の彼の殺陣には非常に興味があったのだが、実にシャープに華麗でどこの有名武術指導家の殺陣にもひけをとらない仕上がり、私のような功夫迷を唸らせる功夫シーンを演出している。勿論、その後ほとんど披露されなかった彼自身の肉体ポテンシャルにも賞賛を贈りたい。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
羅馬(ロー・マ) |
出演 |
程小東(チン・シュウトン) |
候朝聲 |
關東 |
林輝煌 |
熊光 |
江正 |
芝芝 |
方萍 |
尹發 |
李春華 |
黄榮 |
沈勞 |
王撼塵 |
江海道 |
江玉蘭 |
岑潛波 |
社偉和 |
武術指導 |
程小東(チン・シュウトン) |
熊光 |
武術顧問 |
候朝聲 |
脚本 |
羅馬(ロー・マ) |
司徒安 |
音楽 |
陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U |
製作 |
邵逸夫(ランラン・ショウ) |
方逸華(モナ・フォン) |
制作年度 |
1979 |
鷹爪鐵布衫
Invincible Armour
■
鐵布衫、いわゆる気功によってあらゆる攻撃を無効にする究極の功夫技なのであるが、振り返ってみればウチでも随分とこの"鐵布衫"なる技が登場する功夫映画を紹介したものである。パッと思いつくところで
「ドラゴン太極拳」
「少林虎鶴拳」
「続・少林虎鶴拳 邪教逆襲」
「少林寺秘伝拳」
「ニンジャ・ハンター/炎の勇者たち」
面白いところで「倉田保昭の『カンフー大作戦』」といったところか(最後の白人が何故か鐵布衫を使う)。
まだまだたくさんあるんだけど、とにかくその辺の鐵布衫映画の中でも非常に良く出来た傑作として本作は登場する。
だいたい黄正利(ホアン・チョンリー)という男は"鐵布衫"でなくとも足技の達人であり、もう役に入る素の状態から滅茶苦茶強い方であって、そんな方がさらに"鐵布衫"なんか身に付けちゃったら鬼に金棒なのだ。そう簡単に勝てるかいな。
■流れ
旅のものと思しき李海生(リー・ハイサン)が街中でケンカ。
で、そうでしたそうでした。
当時の呉思遠プロ作品で何しろ楽しいのは、袁グループに面倒みてもらってた元奎(ユン・ケイ)、元彪(ユン・ピョウ)の二小福が必ず出ていることで、他の「南拳北腿鬥金狐」や「神腿鐵扇功」でも出演しているのだが、元彪的には本作が一番目立つ活躍か。
最初のこのケンカで早速元彪登場、さっそくやられるの巻。
「こいつやるじゃん」
この戦いの目の当たりにしていた仕官の劉忠良(ジョン・リウ)は武術の達人にして町の名士であるご老人に李海生を紹介。名士は極めて紳士的に李海生との対戦を行い、それに勝利したかに思えたがこりゃ参った。いきなり李海生は隠し持っていたナイフで名士を殺害して逃げてしまう。
「うわーっ!?」
驚いた劉忠良は李海生を追おうとしたがその前に衛兵に取り囲まれ、
「貴様が殺したのか!?」
とスケープゴートな感じに。
「ちゃうねんちゃうねん!」
と劉忠良は譚道良(レオン・タン)直伝の足技で衛兵を蹴散らして逃げちゃったりして。
町の・・・知事さんというか大臣で良いんですかねぇそれをやっていた黄正利は劉忠良を捕まえるために名うての王將(ワン・チェン)を派遣。
李海生を追う劉忠良、劉忠良を追う王將、王將と闘う李海生、と事態は3すくみのような状態が続くのだが、さらに戦闘に加わった謎の老人・高飛(コー・フェイ)が事の真相を見抜く。
一方で劉忠良は匿ってもらったどっかの姉弟の家で一服。
彼ら姉弟は腕は未熟ながら何と"鐵布衫"をかじっており、劉忠良はその一端を知る。
高飛老人は黄正利と対決。
実際の黒幕はやっぱり黄正利で、名士を殺して町を牛耳ろうっていういつものあれだ。もうええやんか大臣になってるんやしってこういう映画観るといっつも思うんですけど。
同門であった高飛老人は黄正利の弱点を知っており、そこを突いたのであるが、「キン肉マン」に出てきたサンシャインがジェロニモと再戦した時にはしっかりとその弱点である太陽マークをカバーしていたことと同様に(そんなたとえ話はともかく)、黄正利もその弱点はしっかり克服していたのであった。高飛倒れる。
ここまででもチンピラや衛兵の役で登場しては殴られ蹴られで退場していた元彪くん。
こっからまた始まる追走劇でいよいよ大役ゲット!
李海生を追う劉忠良の前に立ちはだかるまずは袁信義(ユアン・シュンイー)!さらに元彪の兄ちゃん的存在である 元奎!そして遂には劉忠良vs元彪という今までたくさんあってやっぱり無かったようなレア対戦が実現!
李海生は黄正利に雇われた刺客であったが、目の不自由な母のために仕方なく受けた仕事であったのだ。尻に火がつき始めたと感じた黄正利は真相を知る李海生の前に立ちはだかる。
劉忠良、王將が来た時は既に遅し、殺された李海生が握っていた物から遂に王將は黄正利が黒幕であることに気づく。
クライマックスの黄正利vs劉忠良、王將戦へ!
終劇
■
冒頭からテンポよく話が進み、かつその真相が徐々に明らかになっていく物語展開も良い、勿論袁和平(ユアン・ウーピン)武術指導による功夫シーンは抜群で、非常に上質の一本と言えるだろう。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
呉思遠(ウー・セイエン) |
出演 |
劉忠良(ジョン・リウ) |
黄正利(ホアン・チョンリー) |
王將(ワン・チェン) |
李海生(リー・ハイサン) |
高飛(コー・フェイ) |
元奎(ユン・ケイ) |
元彪(ユン・ピョウ) |
袁信義(ユアン・シュンイー) |
徐蝦 |
武術指導 |
袁和平(ユアン・ウーピン) |
徐蝦 |
制作年度 |
1977 |
生死決
Duel To The Death
妖刀・斬首剣
■
皆さんは「細鳳」という作品をご存知だろうか。
李小龍(ブルース・リー)からファンになった世代の人には言わずもがな、私のようにジャッキーからファンになった世代もその当時の書籍を買い漁ったのであれば当然知っている作品でありながら、最近では知らない人も多いのではないだろうか。李小龍主演の時代劇アクションである。
勿論、そんな作品は存在しない。
「死亡的遊戯」のように撮影途中だったということも無い、ただあるのは「ドラゴンへの道」のセットをバックに撮影された彼の時代劇衣装でのスナップ写真のみである。
しかし、これがまたかっちょいいんだなぁ。
このスナップ写真を見て
「李小龍の剣劇アクション・・・・・・」
おお、想像するだけでも興奮してくるではないか。
彼独自の間合いでチャンバラが行われる・・・それだけで文字通り武者震いしてくるような妄想興奮がある。
そんな妄想を現実にしてみせたのが本作・・・のわけがない。
ドキュメンタリー「ブルース・リー/生と死」にて、
「彼がもし「細鳳」を撮っていたら・・・」
という流れで出てくる映像に本作が使われてるだけだ。
んだけど、ここでの徐少強(ツイ・シャオチャン)vs劉松仁(ダミアン・ラウ)がもの凄いインパクトある対決で、このハイライトを見てレンタルビデオ屋へ走った御仁も多かろうなと想像できるシーンなのだ。
勿論、李小龍がこのような剣劇を撮るわけはないのだが。
■流れ
少林寺は強いっす。
強いっす強いっす強いっす。
もういきなり侵入してくる忍者に罠張って早速殺し合いだぜ少林寺!
そんな殺し屋養成所の少林寺にどんどんと戦いを挑んでくるやっぷんちょいなー(日本人)。
朝になったら日本からやって来た高雄(エディ・コー)が朝から早速少林寺挑戦あるよ!
この戦いを止めたのは少林寺きっての使い手・劉松仁(ダミアン・ラウ)であった。
「このままじゃどうもな」
ってことで、少林寺と日本はそれぞれ代表を出して戦うことに。
少林寺はその劉松仁、日本は徐少強扮する宮本武蔵!
国の威信は二人の武人に。
この対決を前にして、巷では高雄忍者軍団が暗躍する。
少林寺の館長や足技鋭い〔上下〕薩伐(カサノバ・ウォン)等に対して、
巨大忍者登場!
忍者分裂!
くの一登場!
くの一全裸!
アーミートーフォー♪
おっぱい見た途端に念仏唱える館長捕獲。
あんたね。
1秒でも油断したら殺されそうな状況でおっぱい見たからって、闘ってる最中に目つむって念仏唱えて詫びてる場合じゃないでしょーに。
忍者凧軍団登場!
カサノバさん足技で抵抗!
忍者凧軍団死ぬほど登場!
カサノバさん敢え無く撃沈!
・・・やれやれ。
すげーバカ映画だと思ったらいけないんでしょうか。
対決を前に古豪の張沖(ポール・チャン)のところに身を寄せる2人の武人であったが、張沖も
「栄光をもう一度」
とばかりに罠にはめる敵だったりなんかして。
「卑怯なことすんな!」
と武蔵は高雄との激闘の末に彼を首チョンパ。
さぁ最後の対決だ! in 巌流島?
終劇
■
・・・「忍者大戦」そっくりじゃねーか。
って勿論パクりは「忍者大戦」だろうけどさぁ。
これが監督処女作となる程小東(チン・シュウトン)であるが、やはり処女作にその作家の全てが込められるってのは本当だなぁ。込められてる込められてる込めんなよ。
何故この人の作品は何となく王晶(バリー・ウォン)っぽいんだろう?
この映画も始まりから上辺だけで実はやたら好戦的な少林寺とバカ忍者のバカ忍術になぜかおっぱいサービスもあって、それでもラストは渋く決めてみせてしまって何だか
「かっちょいい映画だったなぁ・・・いやそうか???」
と錯覚させられてしまう傑作である・・・???
錯覚の原因は勿論そのアクションにある。
素晴らしい。
現在のように過剰にではなく、小気味良く功夫とワイヤーアクションを織り交ぜたバランスがとても良く、これぞ功夫職人達だからこそ出来るワイヤー功夫!と唸ってしまうことしきりだ。
特にラストの対決は目を離せない迫力で、本家の小次郎vs武蔵対決もびっくりといったところだろう。
|
■CAST&STAFF |
監督・武術指導 |
程小東(チン・シュウトン) |
出演 |
徐少強(ツイ・シャオチャン) |
劉松仁(ダミアン・ラウ) |
張天愛 |
張沖(ポール・チャン) |
高雄(エディ・コー) |
楊澤霖 |
権永文 |
〔上下〕薩伐(カサノバ・ウォン) |
劉志豪 |
李建生 |
梁盛熊 |
尹發(ワン・ファ) |
唐偉成(ウィルソン・タン) |
韓國財(ハン・クォツァイ) |
姜秀賢 |
金壽夫 |
金山 |
孟浪 |
黄天行 |
脚本 |
江龍 |
文雋(マンフレッド・ウォン) |
黎大〔火韋〕 |
音楽 |
黎小田(マイケル・ライ) |
製作 |
鄒文懐(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1985 |
No Retreat, No Surrender
シンデレラ・ボーイ
■
あれ?これって元奎(ユン・ケイ)が監督なんだっけ?
すっかり忘れてたなぁ。
アメリカ功夫映画の中ではこれが一番好きかも・・・とは言っても監督は元奎でプロデュースは呉思遠(ウー・セイエン)と香港組のスタッフで作ったアメリカキャスト、アメリカロケの功夫映画だが。
「ベストキッド」が1984年製作なわけで、この作品なんかはそこのところインスパイア大なのだが、これはこれでB級として楽しめるのではないだろうか。何しろ敵役を務めるのは呉思遠がまたも発掘するスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムでもあるのだし。
■流れ
李小龍(ブルース・リー)大好き人間のカート・マッキニーは父が開く空手道場の生徒でもあった。しかしもって展開は異常に速く、早速ジャン=クロード・ヴァン・ダムを連れたマフィアどもが現れ、
「ここを俺たちの根城にするからよこせ」
と迫る。
止む無くしてヴァンダムと対戦したカート君の父はその対戦で足を負傷。屈辱を受ける父を前にして何も出来ない悔しさをカート君は噛みしめる。
「このままでは私だけでなく家族も危ない」
身の危険を感じた父は道場を閉鎖し、ロスからシアトルへお引越し。現実的な処置やね。普通はそれしかないもんな。
シアトルへやって来たカート君一家。
駐車場で李小龍ごっこに興じていたカート君を見つけて早速友達になるどっかの黒人少年・・・
ほんと思うんだけどさ、友人も言ってたんだけどさ、
「ハリウッドのアクション映画って必ず気の良い黒人が登場するよね」
ほんでもってどいつもダンスが得意でベラベラお喋りで陽気なんだけど強くないのよね。今パッと思い出したのは
「トータル・リコール」で出てくるタクシーの運転手とか・・あいつは裏切り者なんだけど、この黒人は見事なまでに引き立て役でどの映画でも良い奴なのに黒幕の最初の犠牲者になるとかそんなんばっかりでやはりは強い人種差別を感じるよなぁ・・・
「ふざけた野郎だ」
この様子を見ていたどこかのオデブくん。
カート君はまだ何もしてないのだがいきなりこの新参者が気に入らないらしい。
というところでこのシアトルの空手道場の道場主がどっかの大会にて優勝。早速、入門しに行くカート君であったがここには先のオデブの姿が。
「シアトルの空手をけなした」
と嘘ついて対決を盛り上げるとそこの師範が怒ってカート君めちゃくちゃにやられるの巻。
ここからの展開がややびっくりだ。
どっかのギャルの誕生日パーティ。
いきなりカート君とディープキスだぁ!
「俺の女に手を出しやがってぇ!」
と怒る先程の師範の兄ちゃん。そりゃ怒るわ。
いったい何時の間にほんとに手を出したんだこの野郎はおぼこい顔していじめられてたくせしてやることはカッチリやりやがってこの野郎と見てる私までオデブくんと同じ気持ちになっちゃうような展開である。
しかし今後の展開は知らずに観たらさらにびっくりだ。
道場でもボコられて、パーティでも恥をかかされ・・・
でも良いじゃんか、可愛い他人の彼女を寝取ったんだからこの間男め、と思うがシアトルと言えば李小龍の墓があるところですね。というわけで、
「助けてくれぇ!リー先生!」
深夜。
「助けに来たぞ」
本当に霊界から李小龍が助けに来ちゃったりなんかして!
扮しているのは「死亡の塔」の唐龍(タン・ロン)。
ここから偽李小龍先生によるカートくんの修行が始まる。
そのほとんどがいつかどこかでジャッキーがやってた修行ばかりなのが興味深いところだ。李小龍なのにやってることはジャッキーの修行ってのも流石はそのジャッキーをスターダムに押し上げた呉思遠フィルムである。さらに言えば、
「ワックスを塗ってー、ワックス拭き取るー」
「ワックスを塗ってー、ワックス拭き取るー」
「ワックスを塗ってー、ワックス拭き取るー」
こんなんで強くなるわけないだろうがっ!!
と子供の時はすっかり騙されたがよく考えてみればまわりくどいことせずに素直に教えろこの野郎な「ベスト・キッド」よりはよほど現実的なトレーニングである。
んじゃあこの師範、つまりは自分が寝取った女のモトカレをさらに空手にボコにしようというのか。
ボコにしたかったが事態は急変。先のマフィアがシアトルまで現れ、空手大会を開催(開催といっても出場は予算の都合か、1道場のみなのが淋しい)。しかしこれは罠でヴァンダムの圧倒的な180度股開きでこの先の道場を潰してしまおうというわけだ。
「気をつけたほうがいいっす」
と軽く忠告したカートくんは親父と楽しく観戦(出ないのかよっ)。
道場主は流石にどっかのチャンピオンだけあって強かったが180度股開きが得意のヴァンダムには勝てないのだ。
「もう許せん!」
何がどう許せなかったのかあまりよくわからんが、とにかく怒ったカートくんは試合に乱入。冒頭で何も出来なかった悔しさを胸にヴァンダムとの決戦に挑む!!
終劇
■
ラストが尻切れトンボっぽいのが残念だが、予算の少ないこの「ベスト・キッド」はなかなかの良作である。展開のいびつさや設定の拙さも目にはつくのだが、それを補って余りある爽やかアクションと唐龍の李小龍ぶりの演技もなかなか面白いものがあって飽きさせないし、殺陣はやはり元奎自身が付けたのであろうが、他の当時のハリウッドクンフーには香港らしさがあって楽しい。何せヴァンダムが敵役ってところがまた良いやね。
李小龍を霊界から呼んできちゃおうという発想も面白かったのではないかな。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
元奎(ユン・ケイ) |
出演 |
カート・マッキニー |
ジャン=クロード・ヴァン・ダム |
キャシー・シレーノ |
唐龍(タン・ロン) |
J・W・フェルス |
脚本 |
キース・ストランドバーグ |
原案 |
元奎(ユン・ケイ) |
呉思遠(ウー・セイエン) |
音楽 |
フランク・ハリス |
製作 |
呉思遠(ウー・セイエン) |
制作年度 |
1985 |
教頭
The Kung-Fu Instructor
■
これも是非日本での発売を検討してもらいたい功夫片の良作である。
まぁしかし。
日本未公開の傑作功夫片っていっぱいあるなぁ・・・
ってしみじみ思ったりなんかして。
「死對頭」「神拳大戰快鎗手」「蛇猫鶴混形拳」「南拳北腿」「南拳北腿鬥金狐」「〔足易〕舘」「豪侠」「神腿鐵扇功」「三少爺的劍」「胡惠乾血戰西禅寺」「十二金牌」「名劍」「小雜種」「猪仔血涙」「殺絶」「風雲~鷹」「~刀流星拳」「出籠馬〔馬留〕」「鷹爪鐵布衫」「衛斯理之覇王卸甲」「醉猴女」「絶不低頭」「聾唖劍」
まぁザッと挙げてみたがこの辺なんかは日本発売期待薄な傑作たちである。武侠片も混じってるけど。
狄龍(ティ・ロン)というと、どちらかと言えば功夫片よりも武侠片スターのイメージが強く、コテコテの功夫映画というものを見ると未だ新鮮に映るから不思議。その狄龍功夫作の中でも本作は1,2を争う出来なのは間違いない。それにしても彼は
「男たちの挽歌」そしてそれ以降ばかりがクローズアップされてしまうが、張徹(チャン・ツェ)時代から不遇時代までの数々の傑作が忘れ去られているような(ともすれば本人までもが)感が残念でならない。もっともっとクローズアップして欲しいところ。・・・あ、そうか。だから俺が頑張らねば。
■流れ
境界線によって二つに分かれた町。
一方を取り仕切るのは悪辣な谷峰(クー・フェン)一味。
最初から若き日の狄威(ディック・ウェイ)が功夫ファイト、しかも良い方の役でバトルしてくれるところが楽しい。結構出番あるやんか。
「この二つの町は私が牛耳るのだ!」
固く心に誓った谷峰は町外れにある功夫道場の道場主・狄龍を仲間に引き入れてパワーアップを図りたいところ。早速、王龍威、元華(ユン・ワー)らが出兵。
理不尽に対決を迫られる狄龍であったがこれを蹴散らす。
タイミングよく谷峰が出てきて
「是非、ウチの指導を!」
となったが狄龍はそれを断わる。自分の道場あるもん。
ところで一方は主役、一方は端役でありながらも共演の多い狄龍と元華、対決も何度かあるのだが今回が一番元華が頑張った対決ではなかろうか。
「俺の女に手を出しやがってぇ!」
狄龍の前で暴れる男と泣き崩れる女。
わけがわからないことに絡まれた狄龍の前で男が死んでしまう。仕込みの煽りで町民リンチに合いそうになったところを田青が手引きして逃げる。
「私が匿いましょう。でも功夫教えてね。」
というわけで殺人犯に仕立てられた狄龍は谷峰ところに匿ってもらうことに。勿論、谷峰自身が張った罠。
「さすがは先生です!」
谷峰道場で功夫を教えることになった狄龍。
その武術の腕前は抜群で谷峰も惚れるばかり。
狄龍先生に惚れていたのは谷峰だけではなかった。
反対町に住んでいた青年・ 汪禹(ワン・ユー)も彼の大ファンで谷峰家にいることを知ったので、毎晩狄龍先生の稽古を覗き見。谷峰も覗き見。
遂には昼にも覗きを楽しんでいた汪禹が捕まってしまいボコにされるところだったが、汪禹も盗み見した技を使って応戦。狄龍の目に止まった彼は狄龍先生を連れて堂々と家へ。
狄龍の前にお金たっぷりな谷峰。
そんなに金銀あるなら他の師匠でも雇えるのに。
金で買収されるなど、狄龍先生にとっては侮辱以外のなにものでもないのだ。
谷峰と縁切りした狄龍であったが、谷峰の弟で指名手配中の江島がこれを強襲。深手を負って逃げる狄龍。趙雅芝に助けられて汪禹のところへ。
とりあえず山奥へ逃げた狄龍と汪禹。
汪禹は正式に弟子となり、本格的に功夫を習い始める。
メキメキと腕を上げた汪禹。
満を持して谷峰のところへ2人して乗り込む!
終劇
■
当然、功夫映画のお約束・・・なんてものがあって、ことはどうしても予定調和に進みがち。
食堂に入ったら必ず乱闘になるとか、
旅芸人は必ずチンピラにショバ代せびられるとか、
乞食の老人は何故か強いとか、
味方が複数いれば必ず裏切り者がいるとか、
梁小龍(ブルース・リャン)が
「ぎゃーっ!」
って叫んだら必ず飛び蹴りが来るとか、
そういった次にこうなるだろう定石を非常に感じない作品である。功夫が物語の中心でありながら功夫映画としての必然ではなく、物語としての必然として功夫が存在しているところが素晴らしい。「サイクロンZ」は功夫が無くても有り得る映画だが本作は功夫無くして有り得ないのだ。
それでいて「武林志」のレビューで書いたような
"功夫映画本来のあるべき姿"
が描かれていることにも注目したい。
コメディ功夫潮流の影響か本作は公開年のトップ10にも入ってないのが非常に残念なところである。
ショーブラなのでほんま是非日本発売を。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
孫仲(サン・チュン) |
出演 |
狄龍(ティ・ロン) |
汪禹(ワン・ユー) |
谷峰(クー・フェン) |
趙雅芝 |
王龍威 |
狄威(ディック・ウェイ)
※クレジットは屠龍 |
田青 |
李岡 |
江島 |
陸劍明 |
張國華 |
艾飛 |
唐炎燦(トン・インチャン) |
・森 |
楊志卿 |
井E |
呉杭生 |
倫家駿 |
元華(ユン・ワー) |
羅勝 |
羅軍 |
元彬 |
強漢 |
伍元勲 |
沈勞 |
ケ偉豪 |
武術指導 |
唐佳(タン・チァ) |
黄培基 |
脚本 |
倪匡(イ・クオン) |
音楽 |
王居仁(エディ・ワン) |
製作 |
邵逸夫(ランラン・ショウ) |
方逸華(モナ・フォン) |
制作年度 |
1979 |
霍元甲
Fearless
SPIRIT
■
手を止めるから"武"かぁ・・・
そういやそうだったなぁ・・・・・・
これの引用からいこうかな。
-------------------
元来、功夫映画というものは超要約するが "功夫を通して徳を教える" といったものであったはずである。 それは決して相手を殺さない關徳興(クワン・ダッヒン)演じる黄飛鴻がそうであったように、
劉家良作品がそうであったように。 功夫を使って復讐する映画ではなく、功夫を通して徳を説く映画、 元来、功夫映画というものはそういうものであろう。
-------------------
自分の「武林志」レビューより抜粋したが、本作を観てこの「武林志」を私は連想した。そしてそのレビューの最後に
「答えてくれる作品は出てこないだろう」
とも書いた。
それは一重に香港映画から、功夫映画から失われてしまったものが多すぎるがために書いたのであるが、私自身が現代の黄飛鴻そのものとも言ってもいい存在である李連杰(ジェット・リー)のことを忘れていたのではないか。いや彼を忘れていたというよりも、彼が中国武術界の至宝であることを忘れていたのではないかという気にさせられた。
■
本作のストーリーは極めて単純である。
李連杰扮する霍元甲の父である武術家・倪星(コリン・チョウ)が勝負の行方よりも絆や命を重んじ、その為に敗れることも厭わない高尚な人物であることを理解できないまま育ち、素養抜群だった霍元甲は達人になり次々と果し合いで名うての武芸者達を打破。一躍世界に名を轟かせることになるが、ライバルであった道場主を門弟をやられた仇討ち、そして酔った勢いから殺してしまう。
これに怒った相手道場の門弟が霍元甲の妻子を殺害。霍元甲が仕返しに向うも、その門弟は自害してしまい、霍元甲は一晩で全てを失う。
田舎町で死に体になっていた霍元甲は盲目の村娘に助けてもらい、その村で墾田を共にすることで少しずつ自分を取り戻していく。
盲目の彼女のサポートもあって気力を取り戻した霍元甲は町へと戻るのだが・・・
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先にアクション面について述べておくと、
今回は特に他流試合であるということで、如何にして功夫で様々な他武術・武芸を打ち破っていくのかというところに重点が置かれており、以前のスーパーマン的功夫の王様であった彼のアクションに馴れていると地味に見えるところもあるかもしれないが基本的にはこれこそが功夫映画である。
霍元甲の一挙一足、指先に至るまで細かな指示がなされており緻密に計算された功夫シーンに唸ること間違いなし・・・ではあるのだが、彼には問題がなかろうか。
他の功夫スターであるジャッキー、サモハン、甄子丹(ドニー・イェン)そして劉ブラザーズ、彼らは武術指導を自身で行えるが、現在のところ恐らく李連杰は一度も自身で務めていない。幼少時代から武術と共に生きてきた、映画と共に生きてきた彼がやれないはずはないと思うのだが、なぜ自身で武術指導をしないのであろうか。
その謎は氷解しなくてもそれほど気にならないが、彼を演出する武術指導家がいつも袁和平(ユアン・ウーピン)、程小東(チン・シュウトン)、元奎(ユン・ケイ)この3人のうち誰かというの問題の方は気にかかる。もう頭の中でアクションの予想がある程度ついてしまう。はっきり言ってバリエーションが貧しい。その点で本作でも如何にも袁和平らしい演出に少々マンネリ感を感じてしまったのが正直なところ。自分自身で新しい何かをプラスして行けないのであれば、他の武術指導家とも組んで角度の違ったアクションを見せて欲しい。この手の功夫映画に今後出演しないのであれば、尚更必要だ。
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袁和平の作品にも「霍元甲(激突!キング・オブ・カンフー)('80)」があってこちらも傑作なので機会があれば是非観て欲しいところ。
本作も要旨は同じである。
本来武術というものは・・・・
手を止めるから"武"
李小龍(ブルース・リー)の截拳道だって、さえぎる拳の道なのだから・・・
・・・というところは映画で観てもらうとして個人的に于仁泰(ロニー・ユー)監督があまり好みではないので期待薄だったのだが地味ながらも本作は十分に面白かった。
ただ正に李連杰の映画、他のキャストは獅童くんも原田さんも完全に喰われており、存在感は無い。獅童くんが敵役に選ばれた理由はオフィシャルサイトを読んで理解したが、やはりはこの辺りにも当時を完全再現できないといったジレンマは感じた(いやこれはしょーがないけど)。
流石は李連杰功夫の集大成、
本当はクライマックスにて感慨もひとしおとならなければ行けないのであろうが、私は全然違うところで感情を高ぶらせてしまった。
中盤での村シーンである。
「少林寺2」のあの村に無邪気な子供たちがたくさんいるあの村に帰ってきたかのようなシーンが、若い頃の可愛かった彼を思い出してひじょーーーーに感慨深かった。
彼が悟りを開くのが「少林寺2」のあの村で・・・というのもやはり原点回帰にして集大成というところに、彼が今まで生きてきた人生の機微をヒタヒタと感じてしまうのである。
あのシーンの一連を観ながら彼が今まで残してきた名作、傑作、珍作のハイライトが走馬灯のように飛来したなぁ・・・
もうやらない。
そう李連杰が言うのであれば、
尚更期待しようではないか。
新しい李連杰に。
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■CAST&STAFF |
監督 |
于仁泰(ロニー・ユー) |
出演 |
李連杰(ジェット・リー) |
中村獅童 |
孫儷(スン・リー) |
董勇(ドン・ヨン) |
倪星(コリン・チョウ) |
原田真人 |
ネイサン・ジョーンズ |
ソムラック・カムシン |
アンソニー・デロンギス |
ジャン=クロード・ルーイエ |
ブランドン・レア |
動作導演 |
袁和平(ユアン・ウーピン) |
脚本 |
周隼(クリス・チョウ) |
杜緻朗(クリスティン・トー) |
王斌 |
李馮 |
音楽 |
梅林茂 |
製作 |
于仁泰(ロニー・ユー) |
李連杰(ジェット・リー) |
江志強(ビル・コン) |
楊歩亭(ヤン・ブーチン) |
制作年度 |
2006 |
同盜一撃
Cradle2 The Grave
ブラック・ダイアモンド
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やはりあれですな、なかなかこの時期は忙しいのですが
「これだけは止めちゃいかん」
とそれでも筆を持ってしまう、いやキーボードなのですが更新だけは止められないってところがまぁそんなに誇れないものだとしても
「ライフワーク持ってるなぁ」
と自己満足だったりします。
その代わりまたあれですね、映画観るのもやっぱ映画観るパワーってのが必要で怒涛連続で映画を観てしまうと、またしばらくパワーを溜めないとくたっとなるのでそんな時は勝手に流れてくれるTV放映に頼ったりなんかするわけで本作も単なるTV鑑賞でスマヌ。
■流れ
腕のいい泥棒やってたDMXは依頼によってブラックダイアモンドを強奪する。強奪するが依頼主はマーク・ダカスコス率いるマフィア組織に殺され、さらにブラック・ダイヤモンドを求めている謎の男・李連杰(ジェット・リー)に付けられる。
組織と李連杰の両方から追い狙われることになったDMXは、一体ブラックダイアモンドがなぜそんなに重要なのか?わからない。取り敢えずは李連杰が台湾の情報部員でマフィアではないことに気づき、ホッとしたりもするのだが組織にDMXの娘が誘拐される。
娘を助けるために李連杰に捜査協力し、組織に探りを入れていくのであるがブラックダイアモンドには思わぬ秘密があった・・・
終劇
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まぁ話としてはこんだけなのですがね、
結構予想より良かったりしましたよ。
なかなか映像センスはブラックヒップホップのPVの延長って感じでありながらくどくどしつこくないし、歪なカメラワークやうるさい色彩ってこともないので見やすいし、ベタながらベタなりに楽しめるってもんです。
不思議なのはやっぱ李連杰がなぜオファーを受けたのかな?ってところで「マトリックス」出演のオファーもあったように、彼のところにはもっと良いオファーも来てるんじゃないの?って気がするのですが、なぜか彼はこのゲスト出演的扱いの本作に出てる。本作の主演はどう見てもDMX、李連杰の力を借りてマフィア組織を一掃して娘助けてハッピーエンドなハリウッドの王道がこれはこれで気持ちいいのですが、そのいつものハリウッドとは全く違うことが本作には存在しますよね。
それは勿論、黒人と白人の立場が逆転しているってところで、クールでハンサムな二枚目白人のツレで陽気な黒人がベラベラ喋るの図式は完全逆転しているのがわかります。
ジャッキー&クリス・タッカー「ラッシュアワー」が成功を収めたように、黒人+中国人のパターンだとそっちのマーケットで成功を狙えるわけです。同じパターンで製作されている「ロミオ・マスト・ダイ」がそういった意味で成功したのではないかと思うのですが、その辺で本作は李連杰の・・・とは言いませんが、ある種資金集めのための映画のような印象を受けました。皮肉なことにブラックダイアモンドとはその市場のことを言うのでは・・・?
まぁその辺の裏事情的邪推は置いておきまして、李連杰功夫も小気味良く楽しめる作品だと思います。それと、あの冒頭に見せた両手だけ使ってビル屋上から降りていくシーンは「メタルギア」シリーズのエルードアクションからヒントを得ているのではないかと思います。そっくりなミッションがありますから。
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■CAST&STAFF |
監督 |
アンジェイ・バートコウィアク |
出演 |
李連杰(ジェット・リー) |
DMX |
マーク・ダカスコス |
アンソニー・アンダーソン |
ガブリエル・ユニオン |
トム・アーノルド |
ケリー・フー |
ロン・ユアン |
動作導演 |
元奎(ユン・ケイ) |
脚本 |
ジョン・オブライエン |
チャニング・ギブソン |
音楽 |
ジョン・フリッゼル |
デイモン・グリース・ブラックマン |
製作 |
ジョエル・シルヴァー |
メリナ・ケヴォーキアン |
スーザン・ルヴァン |
リチャード・ミリシュ |
ギル・ウィリアムズ |
製作総指揮 |
レイ・コープランド |
ハーブ・ゲインズ |
制作年度 |
2003 |
方世玉與胡惠乾
The Shaolin Avengers
続・嵐を呼ぶドラゴン
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つい数年前まで
「張徹作品観たいなぁ・・・」
と某店の高い海賊版を指をくわえながら眺めてただけだったのが、セレスティアルの登場によっていつの間にやら当HPでもたくさんの張徹(チャン・ツェー)作品をレビューすることが出来る様になりました。張徹作品はそれこそそれだけで膨大なサイトを作れてしまうほどの作品数がありますので、ここでも何れは全紹介を目指してはいますが、いつになるやらそれまでもつやら・・
■流れ
武當派に父を殺された方世玉(傅聲)が痛すぎる修行で鐵布杉を会得して仇討ち。
恩師を武當派に殺された胡惠乾(威冠軍)は方世玉と一緒に修行して仇討ち。
このことで、武當派そして結託している清朝からも狙われる身になった2人は野原で武當派と最後の決着をつけるべく対戦開始。それを端から見ている武當派首領・白眉道人(陳慧樓)の姿が気になるなぁ・・・
終劇
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やっつけで流れ書いてスマヌ。
W杯観戦で余り時間が無くて。
粗筋としてはまぁこれだけではあるが、ちゃんと方世玉物語でお馴染みの武道会のシーンや(ここでは梁家仁と戦ってくれるのが嬉しいすね)、梅花椿のシーン(これは龍飛と対戦)が再現されているところも
「嵐を呼ぶドラゴン」では無かっただけに興味深い。
邦題が「続・嵐を呼ぶドラゴン」であることは理解出来なくも無い。死ぬときに赤いカットバックになる演出も同じだしね。ただあちらがどちらかというスカッと爽やか青春映画的演出であったのに対し(ラストは血の海ですが)、こちらは最初から最後までダーク功夫まっしぐら。救われない英雄の姿、ラストも個人的には後味の悪さというよりもダークストーリーをダークで締め切ったかっちょよさを感じた。ここまで徹してしまうと認めるしかない。徐克(ツイ・ハーク)もやるならここまでやれ。
というわけで、一家揃って楽しく鑑賞できるような娯楽映画とは言い難いのだが、白眉道人を演じた陳慧樓をはじめ、台湾悪役オールスター+梁家仁、流石に王青(ワン・チン)は出てませんでしたが、こいつらを相手に傅聲、戚冠軍が力強い功夫でベッキバッキ倒していくさまは非常に壮快である。加えて若き日の江生(ジャン・シェン)、鹿峯(ルー・フェン)が美味しい役でちょろっと出演しているところも興味深い。
はっきり言って暗い映画なのだが、畳み掛けるように続く功夫アクション、なんつったって冒頭からラストの戦いが始まりますからね。またダークな中に強烈な白のイメージで爽やかさを突き通して一際輝いている傅聲本人のキャラクターの魅力を観てもらいたいですな。
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■CAST&STAFF |
監督 |
張徹(チャン・ツェー) |
出演 |
傅聲(アレクサンダー・フー・シェン) |
戚冠軍(チー・クワンチュン) |
唐炎燦(トン・インチャン) |
陳慧樓(チェン・ウェイロー) |
蔡弘 |
龍飛(ロン・フェイ) |
山茅(サン・マオ) |
王龍威 |
梁家仁(リャン・カーリャン) |
陸劍明 |
翁小虎 |
程天賜 |
ケコ祥 |
江生(ジャン・シェン) |
鹿峯(ルー・フェン) |
盧迪 |
荊國忠 |
閔敏 |
戴徹 |
王力 |
侯伯威 |
張義貴 |
武術指導 |
謝興 |
陳信一 |
脚本 |
倪匡(イ・クオン) |
張徹(チャン・ツェー) |
音楽 |
陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U |
製作 |
邵仁牧 |
制作年度 |
1976 |
方世玉
Fong Sai Yuk
レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター 格闘飛龍
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これ観たの何年ぶりかなぁ10年ぶり以上だろうなぁ。
その時の印象が何となく散漫なままにレビューもせんとほっといた作品で今更って感じでスマヌ。
そもそも方世玉モノってのはやんちゃな息子と肝っ玉母さんの・・・
まぁいいか後で言うか。
■流れ
どこの時点の方世玉を扱ってるのかな?
武道大会終わってからかな?梅花椿の前かな?
とにかく、強くてやんちゃな方世玉・李連杰(ジェット・リー)は今日もお目当ての可愛い娘・李嘉欣(ミッシェル・リー)を見つけて、陸上競技会で大暴れ。辮髪一直線でひた走る方世玉の姿は爆笑ものだ。
そんな折、李嘉欣の父・陳松勇が娘婿を決めるための試合を開催。対戦相手は陳松勇の妻である胡慧中(シベール・フー)。その娘が可愛いからと早速出場した方世玉・・・しかしジェットがギャルに向かって一直線という展開は非常に珍しいですねぇ。
人の頭の繰り広げられる方世玉vs胡慧中!!
しかし、勝負の最中にその娘がブサイク(李嘉欣の身代わり)だったためにスタコラサッサの方世玉。この噂を伝え聞いて激怒したのは方世玉の母である蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ)。
この母ちゃん、男装して乱入すると胡慧中と一騎打ち!
その凛々しき姿に胡慧中は母ちゃんに一目ぼれ。
方世玉も母ちゃんも陳松勇家の婿に!?
平和で楽しいヘンテコバトルも長くは続かなかった。
方世玉の父・朱江は天地会のメンバーで、彼が持つ連判状を提督・趙文卓(ウィン・ツァオ)が狙っていたのだ。
そうとも知らずに始まってしまった婚前婚夜の宴。
近くには趙文卓の軍勢が迫ってきてるというに・・・
終劇
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冒頭の趙文卓が残酷に人を殺すシーンでいきなり引いてしまうのだが、その後は母子大暴れで人のケツ蹴っ飛ばして胡慧中や李嘉欣を惚れさせてしまう痛快な展開が素直に楽しい。
今回のジェットは方世玉を演じてるだけあって、堅苦しい説教は持ち込まずひたすら陽気でやんちゃな青年を演じている様子が微笑ましい。近年の彼は押し黙って無表情に徹する役柄ばかりになってしまったので、デビュー当時はその屈託無い笑顔も大きな魅力の一つだった彼にもう一度その笑顔で映画を作ることを思い出して欲しいところ。今回の作品のアクション面は申し分なし。
それとやっぱ強い女、ってのは格好良いんだよねぇ。それが可愛いギャルであれ、お母ちゃんであれ、ともすればお婆ちゃんであれ、男ながら野郎どものケツを吹っ飛ばす女ってのは見ていて非常に気持ちの良いものである。
本作は全体的にも娯楽映画に徹している大凡に於いて非常に楽しめる映画ではなかろうか。やっぱジェットって時代劇の方が向いてるかな・・・
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■CAST&STAFF |
監督 |
元奎(ユン・ケイ) |
出演 |
李連杰(ジェット・リー) |
蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ) |
李嘉欣(ミッシェル・リー) |
胡慧中(シベール・フー) |
陳松勇 |
朱江 |
鄭少秋(アダム・チェン) |
趙文卓(ウィン・ツァオ) |
陳龍 |
武術指導 |
元奎(ユン・ケイ) |
元コ |
脚本 |
技安(ジェフ・ラウ) |
陳健忠 |
蔡康永 |
音楽 |
黄霑(ジェームス・ウォン) |
戴樂民(ロメオ・ディアス) |
雷頌コ |
策劃 |
許鞍安(アン・ホイ) |
製作 |
李連杰(ジェット・リー)
クレジット名は李陽中 |
制作年度 |
1992 |
通天老虎
The Master Strikes
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元は女優、そして女流監督になって自ら興した寶樹影片公司でバリバリ作品を撮っていた頃の傑作功夫映画。
これまでに彼女が撮った作品のレビューは三つ。
「〔薛子〕種」
「用心棒ドラゴン」
「戦国水滸伝/嵐を呼ぶ必殺剣」
レビューを読み直してもらえばわかるが、今回もどこが女性が撮ったかさっぱりわからないハイテンション功夫炸裂である。
■流れ・・・い、いやその・・・
まぁハッキリ言ってあんまようわからんかったのですが、
恐らく功夫の達人として名を馳せていた〔上下〕薩伐(カサノバ・ウォン)はその腕前を見込まれて町の名士である任世官(ニン・シークァン)から宝物を預かる仕事につく。
さて預かったはいいものの、功夫の達人なのに何故かしらやたら神経質なこのカサノバさん。夜も誰かが宝物を奪いに来るんじゃないかと眠れずに困ったもんで。
ところが、このカサノバさん。
詐欺師の程小東(チン・シュウトン)と孟元文のドタバタ喜劇の最中に宝物を失くしてしまうのだ。ショックとプレッシャーに耐え切れなくなったカサノバさんは精神異常になってしまう。おいおいえらくプレッシャーに弱いやっちゃな(詳細違ったらすいません)。
おかしくなってしまっても功夫の腕は少しも衰えないカサノバさんは得意のキックで大暴れ!もうなんちゅうか敵味方関係なし!まさにクレージーモンキー!
この件に金の匂いを嗅ぎ付けた程小東と孟元文は早速ドタバタ捜査開始。師父仔なるまたも浮浪者にして酔拳の達人の下で修行なんかもして(したのかようわからんのだが)、腕を上げて事件の核心に近づく二人。
実際、宝物護衛はフェイクで任世官は子分の高雄(エディ・コー)らを操って真の宝物を探していた・・・らしい。
その内に仲間割れすると任世官vs高雄という悪役対決を抑えて仲間らまでもぶっ殺し宝物を独占せんとする。
これを察した2人、さらにクレージーモンキーなままのカサノバは任世官との対決に臨む。
終劇
■
もっとはっきり話を理解していたらもっと面白いだろうという功夫映画の良作。
展開としてもダレるところがなく退屈する前にちゃんと功夫が始まって観客をトイレに行かせない快調なテンポは流石は高寶樹監督である。
若くして才能溢れる程小東の武術指導家として能力をいち早く高寶樹監督は見抜いたのか、彼の抜擢が功を奏し構築されたアクションシーンは程小東本人含め功夫猛者達のスーパーバトルになっていて素晴らしい。勿論、一番素晴らしいのはカサノバ本人で、まぁこれも程小東、高寶樹監督共に彼のポテンシャルに惚れ込んだのか、彼の主張が存分に発揮されたのではないかと思われる壮絶レッグアクションが存分に楽しめる。中でもクライマックスに見せる一瞬にして4人をぶっ倒すシーンは圧巻の一言。
そのクライマックスが本当に凄まじく、何しろカサノバは狂っているため図式としては、
任世官vs程小東、孟元文←カサノバはどっちも攻撃
という形になっており、必死で超強い任世官を倒そうとしている2人を突然後ろから蹴ったり殴ったり(笑 かと思えばピンチの時に任世官に襲い掛かったりとなかなか珍しいドタバタ対戦が楽しい。また悪役任世官のアクションも素晴らしいので彼としてもベストバウトの一つであろう。
・・・うーん。
程小東さん、今一度ワイヤーアクション止めて功夫アクションの原点に立ち戻った殺陣を最新作で構築してくれないかなぁ・・・やれる人がいない?
ドニーと呉京と熊欣欣とベテラン威冠軍辺りでなんとかお願いします。
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■CAST&STAFF |
監督・脚本・製作 |
高寶樹(カオ・パオシュ) |
出演 |
〔上下〕薩伐(カサノバ・ウォン) |
程小東(チン・シュウトン) |
孟元文 |
任世官(ニン・シークァン) |
林建明(リン・チェンミン) |
高雄(エディ・コー) |
師父仔 |
熊光 |
黄薇蔡 |
周吉 |
元武 |
元寶 |
陳立品 |
方萍 |
岑潛波 |
黎強權(ベニー・ライ) |
武術指導 |
程小東(チン・シュウトン) |
音楽 |
陳勲奇(フランキー・チェン) |
製作総指揮 |
柏文〔ネ其〕 |
制作年度 |
1979 |
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