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■ドラゴン傑作選21  
 

功夫小子
He Has Nothing But Kung-Fu



これは劉家榮(リュー・チャーヨン)監督の処女作になるのかな?
何だかんだで長兄・劉家良(リュー・チャーリャン)に負けじと彼もたくさん作品を撮ってるんですよねぇ。しかも長兄と決定的に違うところがあって、まぁこれは監督作を並べてみればわかるのですが、
「燃えよデブゴン6」
「ガッツ・フィスト魔宮拳」
「少林寺破戒大師伝説」
「龍虎少爺」
「魔界天使」
「復讐は夢から始まる」
「鬼馬功夫」

こうして並べるとまぁもうわかる人は前からわかっちゃいることなんだが、長兄・劉家良がこの時代、次々と正統派の功夫映画を撮っていたことに対し、弟・劉家榮はどれもこれも癖のある映画ばかり撮っているということである。一番正統派な功夫映画はサモハンと組んだ「燃えよデブゴン6」か。そう、この人は超一級の功夫職人でありながら自身がメガホンを撮ると、功夫を描写することに対してあまり真正面から取り組んでいないのである。
したたか。
と表現して良いと思う。

「少林虎鶴拳」「少林寺三十六房」「少林寺秘棍房」などの傑作を残している長兄にそのまま対抗してはとても勝てない。長兄とは違った方向性に歩んでいくことで彼自身は彼自身の成功を求めていたのだ。また当時の劉家榮主演作「燃えよデブゴン3」「Mr.ノーボディ」は功夫映画のお約束を捻じ曲げたり皮肉ったりして作られた作品であり(「燃えよデブゴン3」はサモハンと彼が組んだガルボ社だし、後のシネマシティの原型である)、彼自身が脱功夫映画、さらに斬新な何かを求めて意欲的に行動していたことがわかる。

彼の追い求めていた先と観客のニーズがピタリと合ったのが1982年。
この年に発表した「魔界天使」は完全No功夫のホラーコメディであったが、劉家榮自身も出演し、クライマックスには劉家良と激しいバトルを展開しているハイレベル功夫アクション炸裂の劉家良監督「秘技・十八武芸拳法」、満を持して放ったジャッキーの「ドラゴンロード」、サモハンの「ピックポケット」といった並み居る大作を追い抜いて1400万HK$に近い大ヒットを飛ばすのである。長兄が自身の功夫映画集大成として放った「秘技・十八武芸拳法」を、弟のNo功夫ホラーコメディ「魔界天使」が遥かに抜き去ってしまうのだから何とも皮肉にして痛快なことではないか。

以上のことを踏まえてこの処女作を観てみるとやはり・・・
といった作品になっているのだ。本当に処女作って作家性が色濃く出ますよねぇ。


流れ

劉家輝の演舞オープニング。
おお大好きな演舞オープニングだーと思ったら汪禹(ワン・ユー)が出てきてすぐこれを茶化す。バトルして茶化すバトルして茶化すオープニング。
いきなりここで劉家良監督の目指す方向が表れていますね。

コメディ功夫には必ず出てくるような気がする詐欺師の汪禹は乞食のフリして金貰ったりと全く調子が良い。賭博場に行ってもあの手この手で金をせしめようとするが唐偉成(ウィルソン・タン)や火星(マース)、林正英(ラム・チェンイン)に鍾發(チュン・ファット)に陳會毅(チェン・フォンイー)と豪華メンバー相手に弱っちい彼はとっちめられたりなんかして。それでも何でもひるまないのが香港詐欺師のくどいところ。
ひょんなことから知り合った武術の達人・劉家輝が記憶喪失だったことから、これを上手く利用して儲けようとする汪禹であったが、記憶喪失という時点で止めておけばよかったか、ミイラ取りがミイラにと汪禹は記憶喪失事件に巻き込まれていく。

劉家輝は道場の師範(?)的偉い存在だったが、悪辣な江島組織に狙われて谷から落下して記憶を失っていたのだ。
劉家輝はこの邪魔っけな汪禹とつるみ合いながら李海生(リー・ハイサン)や錢月笙(チェン・ユーサン)、孟海(マン・ホイ)などの敵を倒して一つ一つ記憶の欠片を取り戻していくのだが・・・


終劇




本編を観てもらえばわかるようにもちろんメインディッシュは功夫バトルにあるのだが物語の主軸には置かず、あくまで記憶を取り戻すための道具の一つとして描かれているのが特徴で、重複するが劉家榮ほどの功夫職人であれば正面から功夫に取り組んでも十分良いものが出来るだろうとは思うのにそういう作品にはしていない。
しかし心憎いのはその功夫バトルの内容でどのような物語であっても彼ら劉兄弟の功夫バトルシーンは必ず標準以上のものなのだ。本作にしても豪華なやられ役面子を相手に劉家輝の功夫アクションは十分良い出来と言えるだろう。
ただ処女作からいきなりコメディ路線に走ったという挑戦は良いのだが、如何せん演出にもたつき感があるのは仕方ないところか。手堅くまとめてはいるんだけどね。

麥嘉(カール・マック)の演技っぷりがまだ自分の芸風を確立してない感じなのは笑った。


■CAST&STAFF
監督 劉家榮(リュー・チャーヨン)
出演 劉家輝(リュー・チャーフィ)
汪禹(ワン・ユー)
江島
李影
黄新(ウォン・サン)
李海生(リー・ハイサン)
唐偉成(ウィルソン・タン)
・森
劉家榮(リュー・チャーヨン)
麥嘉(カール・マック)
錢月笙(チェン・ユーサン)
西瓜〔包リ〕
何柏光
林克明
小侯
京柱
惠天賜
神仙
火星(マース)
林正英(ラム・チェンイン)
鍾發(チュン・ファット)
孟海(マン・ホイ)
陳龍
陳會毅(チェン・フォンイー)
武術指導 劉氏兄弟
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 周福良
製作 雷鳴
制作年度 1977


南拳北腿活閻王
The Hot, The Cool and The Vicious



考えてみれば台湾功夫映画は捨てたものじゃない。
いや確かに捨てちまえ!ってのもあるのだが、ちょっとぱっと挙げてみよう。
まぁジャッキー台湾時代や呉思遠プロ作品はひとまずとして、それ以外にも
「~刀流星拳」
「蛇鶴丹心震九州」
「少林ブラザース」
「ブラッドブラザース/男たちの誓い」
「不死身の鉄腕28房」
「英雄有涙」
「胡惠乾血戰西禅寺」
「風雲~鷹」
「邪拳迫る!死守せよ少林秘伝」
「天羅・飛沙・夕陽紅」
「武林客棧」
「雍正命喪少林門」
細かいことは置いといて、結構面白いなと思うのはどれもこれも脚本に趣向を凝らしてあるところで、「不死身の鉄腕28房」のような怪作や後半展開グチャグチャの「雍正命喪少林門」なんてものもあるし、裏切りと謀殺が延々続く超どんでん返しまくりの「天羅・飛沙・夕陽紅」もあるし、洪熙官、方世玉、陸阿采という主役英雄3人のコピー人間(「クローン・ブルース・リー」みたいに)が出てきてしまってわけわかめな「少林ブラザーズ」なんて作品もあって、どれもこれも出色があるんだよね。
その中でもやはり目立った監督は本作の李作楠(リー・ツォナン)、「少林寺への道」の郭南宏(ジョセフ・クオ)、李作楠の下で勉強してた「ドラゴン特攻隊」の朱延平(チュ・イェンピン)の3人といったところか。それぞれ特色があるが改めて彼らの作品を頭の中で思い返してみるとだな・・・・・・
「うーむ、やっぱ李作楠が一歩リードか。」
とうなずく感じはある。


流れ

この人なんて名前かなぁ?

知らないんだけど「成龍拳」でジャッキーの親父役演じてた親父が今回は大ボス。
この大ボスの前でチンピラの高飛(コー・フェイ)、若いなぁ高飛・・・彼らを蹴散らしてふんぞり返った若者・王道(ワン・タオ)は客棧の女主人に気に入られて情夫になる・・・まぁこのまま彼1人の物語だったらこれが「怒れタイガー!必殺空手拳」みたいになりそうなもんだが、マッポの譚道良(レオン・タン)はそれを許さなかった。
正義感に溢れる彼は町を牛耳る悪辣ボスが大嫌いで(そりゃそうだ)、かねてからの対立関係。悪役側ではなく譚道良側の取り巻きに若き日の龍方(ロン・ファン)がいるのが注目だ。
本気を出せば俺の腕で・・いや足でフラッシュレッグでボスをぶっ倒してやると思っていた譚道良であったが、王道の登場でことがややこしくなる。客棧の女主人のそそのかしによって半ば組織の用心棒と化していた王道、腕前は譚道良と互角とあって譚道良も簡単には手を出せなくなったのだ。

ことは意外なところで起きる。
ボスのところの子分2人が殺され、ボスはこれを譚道良の仕業として殴り込むが譚道良は身に覚えが無い。実はこれ、真犯人は王道とその仲間であり、彼らもまた悪い街を捜査しに来た秘密捜査官だったのだ・・・ほんとに秘密捜査官の多い町だな。台湾ってとこは。
ってなところで、本命・金銘(トミー・リー)が現れる。
こいつが英題でいうところの
Vicious(悪質)
って奴だ。
悪質な上に頭も切れる。頭は切れるが顔を白粉で塗っているのはかなりの失笑ものだ。やめておけ。
そして勿論腕前も立つ。王道も譚道良もその圧倒的な実力でひっ捕らえてしまったのだ。

正義を貫いておいてよかったか。
譚道良を仇と狙っていた孫嘉琳(スン・チャーリン)だったが、それが勘違いで勘違いなのに一度は命を差し出した譚道良に借りのあった彼女は警察の残りの連中と協力して彼らを助ける計画発動。金銘を郊外におびき寄せた隙にHotとCoolつまりは王道と譚道良を逃がすのに成功する。この一連で女主人は死に、彼女をかこっていた金銘激怒!
ここに南拳北腿活閻王!その名の通りのラストバトルが炸裂する!


終劇




李作楠作品にはスリルとサスペンスがある。
ここが他の台湾娯楽監督と比べて抜きん出ている。
そこに自己主張の欠片も無い徹底した娯楽活劇、本作はスリルとサスペンスがとても上手く交錯した李作楠監督傑作「~刀流星拳」の原点とも言うべき作品で、限りなくB級なのだが誰が敵で味方かのスリルとタイトル通りに足技得意な奴、手わざ得意な奴、どっちも得意な悪役とその功夫アクションバランスも考えられており飽きさせない。しつこく表現するがつまり、
限りなくB級映画と批判することも簡単であるが、
褒めることも幾らでも出来る映画である

と言える。
この辺、やはり李作楠は手堅い。
功夫映画が廃れてアクションを銃やスタントアクションに変え、舞台を現代にした李作楠作品「ブラッドブラザース/男たちの誓い」でもこの手法は変わらず、この作品でもあくなき娯楽映画の追求をする姿勢は全く変わらない(それしかない)。


あばら家に住む老人と暴れん坊青年の物語に飽きたら台湾功夫映画に手を伸ばしてみるのがやっぱり面白い。

■CAST&STAFF
監督 李作楠(リー・ツォナン)
出演 譚道良(レオン・タン)
王道(ワン・タオ)
金銘(トミー・リー)
孫嘉琳(スン・チャーリン)
高飛(コー・フェイ)
薛漢(シュエ・ハン)
龍方(ロン・ファン)
李強
武術指導 金銘(トミー・リー)
音楽 周福良
制作年度 1976


不死狗
Unleashed/Danny The Dog
ダニー・ザ・ドッグ



ああ、この人の話をもっと聞いていたい。
たまーに、そういう人に出会う。
勿論、実生活で周りにも過去にはいたがそれはともかく芸能人ならチャップリン、マイケル・ホイ(広川太一郎含む)、声優の大塚明夫(お声が素敵)、同じく声優の池田昌子(メーテル)・・・いや別に声優の話をしてるんじゃなくてだな、この映画にはそういう耳に心地良いのが2つある。


流れ

3流マフィアのボス、ボブ・ホスキンスに拾われた李連杰(ジェット・リー)は殺人マシーン・・・いや殺人ドッグとして仕込まれ自分の意思を持たずにひたすら戦いを繰り返す飼い犬になっていた。
今日もそのジェットを利用して借金の取立てを行っていたボブ。
・・・っていうか、これだけ凄い犬がいるなら彼をスターにして芸能界で儲けるのが一番だと思うのだが、その辺に頭が回らないのが3流か。もっと健全に大きく儲けられると思うのにな。
じゃあ大きく儲けようってことで、この犬に目をつけた別組織が地下ストリートファイトさせてわーい大きく儲かったぁ!ボブ大喜び!・・って、だからもっとちゃんと稼げると思うんだがなぁ・・・ここまで来たら逆に犬というかジェットに優しくして上手いこと利用したほうがいいのに・・・

しかしもってひょんなことから出会った盲目にしてピアノの調律師・モーガン・フリーマンと一緒にジェットはピアノを調律したところからおかしくなる。
ジェットによってコテンパンにされた他組織のボスが怒ってボブの車を襲撃。そこから逃げ出したジェットはとにかく頼るものというかモーガンしか知らないのでそこに飛び込む。

暖かいモーガン一家に迎えられたジェットは一つ一つと自分が犬ではなく人間であること、そして人間は如何にして生きるべきかを学んでいく。少しずつ笑顔を取り戻していたのだが、そりゃあボブが許すわけは無いわけで・・・


終劇




ジェットの口から青臭い余計な台詞が出てこないところが素敵。
これがジャッキーなら・・・まぁそれはいいとして、
ジェット・リーの英語、
モーガン・フリーマンのウンチク
この2つはとても耳に心地良く、個人的には聞いているのが好きである。
特にモーガン爺さんは流石の大俳優、そしてこうなんちゅうかスクリーンから人としての人格が溢れ出るような感じっていうのかな。そういうのが観ていてとても素敵。ああいう人間になりたいなぁと思うけど、そりゃなれないよなぁ・・・

さて、映画のトータルとしては脚本的にはその犬の使い方に大いに疑問を感じ、またどっちにしても殺人者であるジェットはムショ行きだろうとかあってイマイチ感はある。前に見たようなストーリーというのはどの映画でも最早そんなもんだが、だからこそのひとひねり、ふたひねり入った工夫というものが足りない気がする。敵がボブ以外に膨らまないというのもイマイチ盛り上がりに欠けるかな。アクションにおいては決して悪くないし、このストーリーに合ったファイトをしているのは間違いないが、ジェット向きでは無いのも確かか。彼ならどうしてもシャープなアクションを期待してしまう。それはストーリー上おかしくなるとはわかっていても。

その辺をカバーして余りある・・・いや余りは無いかもしれないが個人的にはジェットとモーガンの競演。これだけでもこの映画の価値はあると思っている。もしモーガンにジェットが完全に喰われてしまうならただ単にジェットはそこまでの男、ジェットにジャッキーが喰われてしまうのならジャッキーはそこまでの男、喰われることを恐れているならまさに勇気の無いそこまでの男、ということだ。・・・・俺は何の話をしてるのだ。

ただもう一個駄目だしさせてほしい。
ボブがジェットみたいな強力な人間を作れる才能があるなら一杯作ったらいいじゃんとか、それだけ強いの作れるくせに自分は弱いの?とか。

■CAST&STAFF
監督 ルイ・レテリエ
出演 李連杰(ジェット・リー)
モーガン・フリーマン
ボブ・ホスキンス
ケリー・コンドン
ディラン・ブラウン
シルヴィオ・シマック
マイケル・ジェン
ヴィンセント・リーガン
フィリーダ・ロウ
武術指導 袁和平(ユアン・ウーピン)
脚本 リュック・ベッソン
ロバート・マーク・ケイメン
音楽 マッシヴ・アタック
製作 リュック・ベッソン
スティーヴ・チャスマン
李連杰(ジェット・リー)
制作年度 2005


佛掌羅漢拳
The Buddhist Fist



是非ともユニバーサル・ピクチャーとかキングレコードとかで日本版を出してもらいたい作品。
そのあまりのスポットライトの当たって無さに昔から袁和平(ユアン・ウーピン)作品とわかってはいたものの、ずっと手を出さなかった作品である。大抵、ここまで注目されてない作品だと決定的な失敗とかがあって、
「ああだから注目されない作品だったのか」
となりそうなもんだが、この作品は珍しくかなりの正反対。


流れ

少林寺・・・ということは明確に出てこないのであれだが、そもそも少林寺以外に拳法教える寺なんて無いでしょ?って気もするがどうなのだろう。そこら辺随分な映画で曖昧な感じがするのだが。寺=拳法教えるところみたいな解釈は如何なものかと。
んでそのどこかわからない寺の小坊主・徐小明(ツイ・シャオミン)とその友人である近くの民家で爺の張照と一緒に住んでた袁信義(ユアン・シュンイー)は無二の親友。佛掌羅漢拳の練習を今日も楽しく2人でしていたのだが、袁信義は出稼ぎしなきゃなんないってことでペンダントを徐小明に渡すと2人は別々の道を辿る。

少林・・・じゃないのかその寺の夜、翡翠の仏像を狙って賊が侵入。夜番をしていた(というかグーグー寝てましたが)袁小田(ユアン・シャオティエン)がこの賊と対決して、華麗なアクションで賊を追っ払う(無論ダブル)。まだまだ袁小田爺ちゃん人気絶好調のゲスト出演である。
失敗したことでにっちもさっちもな賊。ここで賊が2人いることがわかる。

袁信義は散髪屋で働いていたが魚頭雲のヒゲを誤って剃り落としてクビに。事件とは関係ないはずの店員・陳龍も何故かしら一緒に出て行くことに。袁信義はどーも友人を作るのが上手いようだ。
「んじゃ帰るか」
出稼ぎに来たのに早速帰るのかね?袁信義くん?
気持ちものの1ヶ月もあったのかさっさと郷に帰ってくる袁信義。しかしそこに祖父・張照の姿が無い。
「爺ちゃんどこ行った?」
ってことで幼馴染の唐晶がいる呉服屋へ訪ねてみたがなしのつぶて。店主の李海生(リー・ハイサン)も知らないとのこと。

「帰ってきたのか!袁信義!」
「おお久しぶりだな!徐小明!」
「・・・っていうか、帰ってくるの早すぎ。」
再会した2人は師匠・陳少鵬のもとで新たに佛掌羅漢拳の技の続きを習う。
ほんでもってこの辺から俄然アクション的に面白くなってくる。
袁信義の命をヘンテコな殺し屋たちが次々と狙いだしたのだ。
最初は蛇使いが現れ、ということは蛇拳でも使うのかと思ったら袁信義のポケットに蛇を忍ばせて逃げるというしょぼいことこの上ない殺し屋で逃げちゃって顔さえもわからなかったりして。
次は占い師の宋錦成。
占うフリして近づいて今度は袁信義となかなかのバトルを披露。占い棒(あれ正式名称がわからん)を武器に戦う宋錦成がなかなか興味深い。興味深いが師匠・陳少鵬の友人である樊梅生(フォン・メイサン)が袁信義に助け舟を出して宋錦成を追っ払う。しかしもって物語上、樊梅生の存在がかなり必要ない気もするのだが。
さらに今度は山怪が・・・これはなんですかね茅山彊屍拳とでも言いましょうか。それが一番近いかな。とにかくヘンテコ拳法とバトル。
どのバトルも結局制した袁信義であったが未だ爺さん行方不明。
今回はたっぷりアクションシーンの出番のある刺客・袁振洋(ブランディ・ユアン)から行方不明事件のヒントを掴み、袁信義は呉服屋を再度捜査。

遂にはここに監禁されていた爺さんを発見するのだが、哀れ爺さん店主の李海生に殺されてしまう。袁信義vs李海生!
激闘の末に李海生を倒した袁信義は爺さんがダイイングメッセージ・・・ちょっと意味合い違うかも、とにかくそれでもう1人の真犯人を知る。
「犯人はお前だ!」
「ちょちょちょ、待ていっ!?」
師匠・陳少鵬を仇と勘違いして戦う袁信義。しかし陳少鵬もやっぱり功夫上手いんだなぁ・・・と感心してる場合でもない。陳少鵬が取り出したのは以前袁信義が徐小明にあげたペンダント。そう、このペンダントは袁小田が賊を追っ払った際にその賊から取り上げたものだったのだ。

「まさか彼が・・・?」
爺さんの葬式の後に罠を張って待つ袁信義。
予想通りに罠に引っかかったのは徐小明であった。
「そうだ!俺が犯人だ!」
開き直って袁信義に襲い掛かる徐小明。
ここに素晴らしい佛掌羅漢拳同士のバトルが始まるのだが、映画冒頭からそうであったように技の全てにおいて徐小明が一枚上手。なす術の無い袁信義であったがこの親友同士の一騎打ちは意外なところに解決を見る・・・


終劇




先に言うとバトルから考えて実力が
徐小明>袁信義>李海生
であったため、
「そんなら徐小明が李海生倒しておけばそれでほぼ解決だったのに」
ってツッコミを入れたくはなるということもあって、徐小明が悪に走ってしまう描写が少ないところが残念なのだが、それでもラストバトルを熱いものにしてくれることは間違いない。
それにしても徐小明という男は目立ちながらもいつも一歩引いた役というのが好きだ。
この後徐小明が撮った「少林寺 激怒の大地」で館長役に扮した彼は于榮光(ユー・ローグァン)と素晴らしいファイトをするも敗退して焼き殺され、同じく監督作の「天山回廊」では超命懸けスタントを連発するもやっぱり主演の于榮光を引き立てて最後は壮絶な死を遂げ、「衛斯理之覇王卸甲」でも・・・まぁいいかとにかく自身のワンマン映画なのに引き立て役に回るところが面白い。

本作はその物語からしてかなり袁和平よりも徐小明監督の色が強い作品ではあるが、功夫シーンは袁ファミリー総出演の丸々袁家班!って感じのここまでくればアートなアクションはお見事の一言。佛掌羅漢拳という個人的はすっげーかっちょ良い拳法なのになかなかお目にかかれない拳法をこれでもか!と披露してくれて大満足である。
日本の一般的にはジャッキーは無論、元彪(ユン・ピョウ)もサモハンも出てこないということで完全なノンスター映画になってしまうのだが、それだけのことでここまでずっと埋もれたまんまというのは余りに可哀想な映画である。

何にしろ功夫映画依存症の方は観るべし!

■CAST&STAFF
監督 袁和平(ユアン・ウーピン)
徐小明(ツイ・シャオミン)
出演 袁信義(ユアン・シュンイー)
徐小明(ツイ・シャオミン)
陳少鵬
李海生(リー・ハイサン)
樊梅生(フォン・メイサン)
陳龍
張照
袁小田(ユアン・シャオティエン)
袁振洋(ブランディ・ユアン)
唐晶
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
何柏光
宋錦成
山怪
魚頭雲
楊世鈎
武術指導 袁家班
脚本 徐小明(ツイ・シャオミン)
王晶(バリー・ウォン) 他
製作 袁和平(ユアン・ウーピン)
制作年度 1979


蛇形醉歩
Snake Deadly Act



これもまた隠れた傑作だなぁ。
監督の唐偉成(ウィルソン・タン)を簡単に説明すると初期の活躍では

「燃えよドラゴン」で茅瑛(アンジェラ・マオ)に抱きつこうとして金的喰らうチンピラ、「ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門」では反革命戦士の1人として登場、「老虎殺星」ではサモハンと組んで悪役を演じた(クレジットは唐山)人で、この辺はゴールデンハーベストなのだが後にショーブラザーズの劉家良(リュー・チャーリャン)と組んで

「少林寺三十六房」「激突!蟷螂拳」等で出演そして武術指導として劉家良と共にクレジットされ、実際に素晴らしい殺陣を構築している。まぁただ1990年の監督作「霊幻道士6史上最強のキョンシー登場」で活躍しているのを確認した以外は功夫映画ブーム終焉後の彼の足取りが追えていないのだが。


流れ

唐偉成vs馮克安(フォン・ハックオン)!
お互いにパワーファイターではなく小気味良いテンポで華麗な技を披露する
技巧派功夫猛者の対決が美味しい。そしてこれがオープニングかと思ったらしっかり黒バックの主演・呉昆龍によるオープニング演舞があるのだから一粒で二度美味しいような功夫映画迷にはたまらない幕開けである。

・・・これなんか結局、主人公の掘り下げというか性格描写があんまり出来てないんだよな・・・
と、とにかくチンピラに絡まれている娘を助けると楼閣に売られそうだったということで、早速楼閣に乗り込む呉昆龍。女主人と茅瑛とファイトして負けちゃうのだが馮克安が助け舟を出す。

お次はキン肉マン・楊斯(ヤン・スエ)のボディビルショーをたっぷりと拝んで(このシーンが長く感じるんだよな)鄭康業と知り合った呉昆龍は賭博場へ。
ここでひと悶着起こした2人、あっさりとボスの陳惠敏(チャーリー・チェン)に鄭康業は殺されてしまう・・・こういう相棒のお調子者はもう少し長生きするもんなんだがなぁ・・・・
ここも呉昆龍は応戦するも陳惠敏の強烈な足技の前に気絶。またもこれを助けたのは馮克安。

馮克安の技に惚れた呉昆龍は弟子入り。
あのジャッキーや他のコメディ功夫映画が使いまわしたあばら家で今度は馮克安が師匠になって功夫修行に励む・・・って、
厳しすぎ(笑!!
刺されば死ぬような深すぎる杭が横並びに敷いてある間に立って、女の子のゴム飛びのようにぴょんぴょん飛んで馮克安が編み出した蛇形醉歩を習得していく呉昆龍、失敗すれば死じゃん。そりゃ必死やわ。

泥棒・・・というか強盗というか、とにかくそれに出くわした呉昆龍はこれを習い覚えた蛇形醉歩で追っ払う。彼は犯人が自分の世話役である高飛(コー・フェイ)ではなかったか?と疑うのだが、高飛は功夫が出来ないと言ってこれを否定する。
再度その強盗との決闘でやっぱり高飛じゃんってなるのだが、いまわのきわに彼が残した言葉を頼りに呉昆龍はその盗賊団(なのか?)首領とコンタクトを取ってみる。

いつもの野原に現れたのは何と自分の父であった唐偉成。
彼こそが首領だったのだ。
「私の正体を知る者は息子でも生かしちゃおかん!」
と息子に何のためらいも無く襲い掛かる唐偉成!ひでぇ親父!
心優しい・・・ような気がする呉昆龍は応戦するも親父必殺のザリガニ拳の前に徐々に追い詰められていく。
すんでのところで師匠・馮克安が登場、加勢して一気に形勢逆転するのだが物語の結末はとんでもない方向に向かっていくのだった・・・

終劇





まず一発のアイデアは面白い。

大ヒットしたジャッキー「蛇拳」「酔拳」2つをくっつけて蛇形醉歩を編み出したのは馮克安というより監督の唐偉成と言っていいかもしれない。完全に苦肉の策ではあるが単純に功夫猛者とポピュラーな蛇拳酔拳さえあれば成り立ってしまうのも功夫映画ならではのところである。

物語にはかなり無理があり、主人公描写がかなり希薄で最後の敵に立ち向かう動機も非常に弱い。全ては馮克安が裏で主人公を操作しているから・・・という設定と考えれば新鮮かもしれないがやはり主人公が薄っぺらなのは頂けない。ジャンルとしてもコメディ功夫としては余りにコメディ部分が弱いし、バリバリの正統派というわけでもない中途半端なものでゲスト出演している茅瑛、陳惠敏、楊斯はかなり勿体無い使い方、彼らは3大ボスとして呉昆龍とバトルを繰り広げてもらいたかったものだが、これはスケジュールの都合とか色々あるだろうからなぁ・・・・なんにしろ決定的なのは呉昆龍本人か。顔はまぁ王坤(ウォン・クワン)似・・・と言ったところで王坤がわからないだろうって気もするがとにかく特徴も魅力も無く、功夫の腕は確かなのだろうがイマイチイマニの印象が強い。無理にでももうちょっと有名な人を連れて来たかったところ。

かくしてこの映画の良いところと言うのは結局立ち戻る。
この映画の最高なところはやはり唐偉成と馮克安による丁々発止の功夫バトルなのだ。ここだけでもっている。
そう、これこそ功夫迷には自信をもってオススメできるが
そうでない方には自信をもって制止する、そんな作品なのである。

そこだけで熱狂できる方は是非とも観てもらいたい作品だ。

■CAST&STAFF
監督・武術指導 唐偉成(ウィルソン・タン)
出演 呉昆龍
唐偉成(ウィルソン・タン)
馮克安(フォン・ハックオン)
茅瑛(アンジェラ・マオ)
陳惠敏(チャーリー・チェン)
高飛(コー・フェイ)
楊斯(ヤン・スエ)
鄭康業
陳龍
楊華
喬小君
音楽 陳勲奇(フランキー・チェン)
製作 李菁(リー・チン)
制作年度 1980


虎豹龍蛇鷹絶拳
7Grand Masters



しかしこの頁は「ダニー・ザ・ドッグ」以外、完全に
"出来ることなら復刻リマスター出せ!シリーズ"
になってしまったな。どれもこれも改めて綺麗な画面で字幕付きでゆったりと見たい作品ばかり。どいつもこいつもちょっと香港映画好きぐらいの輩ではその存在さえ知らない作品ばかりだ。でもみんな面白いのよ。今もし「ドラゴン大全科2」なんて書籍が発売されようもんなら日野先生がこぞって、
「どれもみんな面白いのだ」
と書き立てるような作品たである(というこのネタがわかる人は'70年代生まれのジャッキー好きか・・・)。
あの時、どんなに思ったことか。
「面白いのよと言われてもどうやって見るのさね、もし!」


流れ(かなり推測)

厳しい修行の末に虎豹龍蛇鷹絶拳って感じで全ての技をマスターした龍世家(ジャック・ロン)はお供の弟子達、燕南希(ナンシー・イェン)や龍冠伍を連れて武者修行の旅に出る。
途中に挑戦した来たのは龍飛(ロン・フェイ)。
彼とのオープニング対決を制した龍世家は止めは刺さずにその場を立ち去るのだが、翌日になって龍飛の死体が発見される。龍世家が殺したのか?

その後は錢月笙(チェン・ユーサン)の猿拳から挑戦を受けるのだが、これもやはりは虎豹龍蛇鷹絶拳って感じで(笑 色んな形象拳をマスターしている彼だもん。猿一つだけの錢月笙ではやはり歯が立たず。同じように敗北を諭すと命を取ることなくその場を立ち去る龍世家。

功夫マスター龍世家の行方を影からずっと見守っていた龍世家ファンである若者・李藝民(サイモン・リー)は遂に意を決して彼に弟子入りを志願。
「んじゃ、荷物持ちからはじめて」
よわっちぃ若者1人増えたところでどうだということのない龍世家は彼に勝手に着いて来ることを許可する。よわっちぃということで虐めたりなんかする弟子の龍冠伍。後に「ドラゴン太極拳」で黄家達(カーター・ウォン)と世紀の大決闘を見せる龍冠伍であるが、駆け出しのこの時はかなりしょぼい役柄である。
嬉しそうにひょこひょこと後を着いて行く李藝民。彼はこういう感じの素直な役柄がよく似合って微笑ましい。
しかしもって、一行が宿を取ってぐっすり眠っていたところ、恐らく功夫マスター龍世家の抹殺を狙っていたどこかの組織(ようわからん)が夜襲!
これにいち早く気づいた李藝民は功夫も出来ないのに龍世家に助太刀!・・・というか逆に助けてもらってるのですが(笑
暴徒を追い払った龍世家はいち早く身を挺して自分をかばってくれた・・・いやかばおうとした李藝民に感動し、この若者に虎豹龍蛇鷹絶拳を授けることにする。

その後も彼の行く手をさえぎる刺客は後を絶たない。
お次は元奎(ユン・ケイ)と対決!今回、既に元彪(ユン・ピョウ)は出ていないようだがそれはともかく、考えてみればこの元奎、七小福メンバーでありながらショーブラの端役で経験を積み、そしてこの時はまぁ大体は武術指導が劉家良(リュー・チャーリャン)と唐佳(タン・チァ)だったので彼らの仕事ぶりを間近で見、その後は袁家班に入って今度は袁ファミリーの武術指導エッセンスをたっぷりと吸収、後に独立となるのだがそりゃ元々七小福なので素質は抜群、そして恐らく誰よりも様々な名武術指導家達と深く関わった経験もあって、
「だからこそ今ハリウッドでバリバリ活躍できるんだなぁ・・・」
という感じがする。例えばそりゃあジャッキーだって様々な名武術指導家の仕事を見てきているだろうが、羅維プロに渡ってから他香港プロダクションとの関わりが皆無に近かったジャッキーと元奎では携わった経験が違うだろう。まぁそのジャッキーも結局は袁ファミリーに関わってブレイクするのだが。

・・・まだ物語の説明してたんだっけ。
そんでこの元奎との対決を制する一方で、随分と功夫の素質があった李藝民は龍世家マスターの下でメキメキと上達。もう先輩の龍冠伍では彼に全く歯が立たない感じだ・・・龍冠伍は今まで何をやっとったんじゃ!
そしてヒロインの燕南希は残念ながらここまで全く目立ってない!
何のためにいるのかね!

しかしもってどんでん返し。
めっちゃくちゃ上達した李藝民は何と、
「師匠!あんたと対決したい!」
ここまで強くしてくれた師匠に突然ガチンコ対決を挑む李藝民!
戸惑う師匠をよそに始まる対決!
習い覚えたその虎豹龍蛇鷹絶拳(ああ、もうこのネーミングがたまりません!)と師匠の虎豹龍蛇鷹絶拳(ああ、もうこのネーミングがたまりません!)がぶつかり合う抜群の対決!!
この対決を制したのは何と李藝民であった。
しかしなぜ李藝民は師匠を倒そうとしたのか!?

※ここからネタバレ(観たくない人は←クリック)
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李藝民 「なぜ龍飛を殺したんだ!」
龍世家 「・・・す、すると龍飛はお前の・・・!?」
李藝民 「父だ!」
と、どこかで聞いたことのあるようなやり取り。
そう、李藝民は殺された龍飛の息子だったのだ。
龍世家 「私は対決をしたが殺してはいない!」
実はあの時、対決の途中に邪魔が入りその邪魔者が殺したのだった(何故殺したのかわからんけど)。
しかも何故か都合よく、龍世家や李藝民にとって都合よく、
その時の邪魔者が現れる(何故現れるーっ!?)
真の仇討ち相手を見つけた李藝民は師匠・龍世家のアドバイスを受けて、今度は本当に仇討ちを果たすのであった!

・・・出てこなきゃよかったのに・・・

終劇

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相変わらずは郭南宏(ジョセフ・クオ)。
ああ如何にもな郭南宏監督らしい作品でありながら、袁家班が構築した殺陣にただただ息を呑む功夫シーンは素晴らしい出来上がりである。
まずこのタイトルで俺は参った。
虎豹龍蛇鷹絶拳!
ああもう書くだけでワクワクしてくるようなタイトル!
・・・え、皆さん引いてますか?
このタイトルってのはねぇ、あるんですよ面白そうだ〜ってタイトル読むだけでワクワクしちゃうようなそんな感じのが。そしてHP運営者としてはそのタイトルを自分の頁に刻むだけで何だか嬉しいってのがさぁ。タイトルでグッと来るのは他にそうだなぁこの頁だと「蛇形醉歩」もいい感じだし・・・例えば
似てるけど「蛇鶴八歩」、
「飛龍猛将」「東方禿鷹」「神腿鐵扇功」「舞拳」「李三脚威震地獄門」「梅花椿大破方世玉」「餓虎狂龍」「猛虎下山」「両虎悪門」「飛刀・又見飛刀」それにしても倉田さんタイトルはかっちょいいのが多いなぁ。
勿論、日本のタイトルでも良いのあります。
「ドラゴン武芸帖」
いいねードラゴン武芸帖。もう口に出して発音するのが好き。
でも子供心に一番グッと来たタイトルはこれだね。

「ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳」
作品内容はともかく、そしてその内容まんまのタイトルなんだけど"必殺"が効いたね〜
その中でも本作のタイトルはなかなかたまりません。
とらひょうりゅうへびたかぜつけん!
何と贅沢なタイトルか。何個拳法持ってきとんねん。

しかしもってこちらも袁ファミリーが良い仕事した良作なので功夫迷には是非拝見してもらいたいところ。
これと「ドラゴン太極拳」セットで出そうぜ!キングレコード!

■CAST&STAFF
監督・製作 郭南宏(ジョセフ・クオ)
出演 李藝民(サイモン・リー)
龍世家(ジャック・ロン)
燕南希(ナンシー・イェン)
龍冠伍
龍飛(ロン・フェイ)
元奎(ユン・ケイ)
徐忠信
錢月笙(チェン・ユーサン)
武術指導 袁家班
音楽 周福良
制作年度 1978


武松
Tiger Killer



何だかほとぼりが冷めた頃に・・・
という感じもするなぁ。
狄龍(ティ・ロン)は「水滸伝」の"武松"を過去2回演じている。
何れも張徹(チャン・ツェー)の

水滸伝」「水滸伝 杭州城決戦」での出演時によるもので、「水滸伝」での出番はわずか、「水滸伝 杭州城決戦」では結構出番があるのですが武松的に考えれば一番面白いところのドラマではないということで張徹が本格的に武松を撮ってはいない。まぁその辺で、
張徹とライバル関係にあったとされる李翰祥(リー・ハンシャン)監督が張徹が正直落ち目の頃にそそくさと
「実は俺がやりたかった武松」
って感じで出してきた気がする。
張徹が一見彼の好きそうなこの部分の物語を映画化しなかったのは"潘金蓮"の存在が大きいだろう。彼が女性を物語の中心に持ってくるなんて考えにくいもんね。


流れ

というか入り込みがよい。
醜男と蔑まされても健気に生きている武大郎は幼い弟の武松を一生懸命に育てるが、武大郎にブーイングかます少年達にキレた武松は喧嘩。子供の頃から血気盛んなところを見せる。
この先、物語はどうなっていくのか?と非常に期待を抱かせる冒頭だ。

青年して立派になった武松は宿屋で横暴を繰り返していた小役人にキレて加勢、小役人どもをボコボコにしてしまったので街から逃げ出すことになる。

しばらしくして(どのくらいかな?)
郊外で虎が大暴れする事件が発覚。
「そろそろ街に戻ろうかな」
と帰路に着いていた武松が虎に遭遇し虎バトル勃発!
この虎バトルシーンはハッキリ言って

「Who am I?」でのライオンや「北京原人の逆襲」よりも良く出来た対動物バトルとしてよく出来ている。勿論、ダブルを使っているようだが本物の虎を使い、それはそれは迫力ものだ。
武松、虎を討つ!
街人が困っていた怖がっていた虎を退治してくれたことで武松は一躍有名人になって故郷凱旋。

当然大歓迎してくれた兄・武大郎と共に家路に着くとそこには見目麗しき義姉・潘金蓮が(扮するは汪萍)。驚きを隠せない武松であったが、とにかく兄が幸せらしいのでホッとする。
ホッとするも束の間、潘金蓮は捨てられた針子。ご主人様の命に背いたとして町一番の醜男・武大郎と結婚させられていたのだ。さらには隣の民家にエッチに勤しむバカップルを見て、自慰に浸る潘金蓮。
この潘金蓮が猛々しくてかっちょいい武松の方になびいてしまうのは当然なのだが、武松は当然これを拒否。
「つまんないわ・・・」
ということで潘金蓮が次につまみ食いをしたのは西門慶という男であったが、これこそが悲劇の始まりであった・・・


終劇





実際は功夫シーンと呼べるものはほとんど無いのでこちらのカテゴリーに入れるのはおかしいかもしれないがまぁまぁ。
十分に面白い作品なのだが、どーも話が後半潘金蓮メインになってしまい、どちらかと言うと美味しいところは汪萍さんが持っていった様子。汪萍さんはジャッキー

ジャッキー・チェンの飛龍神拳」にて籠の護送を依頼する女主人を演じていた女優さんで、本作では淫靡ながらも悲しい我が人生を例え人を裏切ってでもたくましく生きようとする素晴らしい演技を披露しており、また果敢にヌードにも挑戦している。

それ以外に何を言えと言われてもピンと来なかった作品ではあるのだが・・・

■CAST&STAFF
監督・脚本 李翰祥(リー・ハンシャン)
出演 狄龍(ティ・ロン)
劉永(トニー・リュウ)
汪萍(ワン・ピン)
谷峰(クー・フェン)
王菜
王撼塵
陳寶祥
姜南(チャン・ナン)
沈勞
楊志卿
井E
・森
戴君コ
曹達華(チョウ・ダッワー)
武術指導 唐佳(タン・チァ)
黄培基
音楽 呉大江
製作 方逸華(モナ・フォン)
製作総指揮 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1982


奪魂鈴
The Bells Of Death



何か確かに古い作品ばかり評価して新作をけなしてばかりいるようなHPにはなりたくないと思ってはいるのだけれど、温故知新というかどうしても昔の映画の熱い魂こもった迫力が面白いんだよなぁ。映画というものが余りに商業的になりすぎて、もうハリウッドなんか面白い映画の方程式だけで映画という商品を作り出してるようなそんな気がする。一時期の小室ファミリーの曲と凄い似たような印象を受ける。

話し変わって、

当時の「大醉侠」そして「獨臂刀」(どうしても「片腕必殺剣」と書きたくないなぁ、だって獨臂刀ってタイトルかっこいいっしょ?)という映画がどれだけ後の武侠片に影響を与えたかは計り知れないなという印象を持つ作品の一つがこれである。
完全な「獨臂刀」の亜流であることに些かの異論も無い。
異論も無いが本作が非常に面白いということにも異論は無かったりする。


流れ

荒野を馬で駆る林蚊を筆頭とした(後は坊主と大鼻)3人。
途中で山仕事している青年、張翼(チャン・イー)に道を聞いて礼を言ったかと思えば、いきなりこの青年を矢で脅した。わけがわからない青年。
川で休憩していた3人は洗濯していた村娘を見つけると強姦せんとばかりに追っかける。
そのまま民家に押し入った3人は娘の父から母から末っ子から皆殺し。
娘は逃げる。
この家に帰ってきた青年・張翼。
家族は皆殺され、姉は行方不明ということで絶望。
「必ず仇討つぞ!」
と張翼は固く決意する。
始まって気持ち数秒で始まるこの衝撃的なシーンがきつい。

家を捨て仇討ちの旅に出る張翼。
途中で無敵の剣士・楊志卿と出会い、これに弟子入り。

街に出た張翼・・・って、もう修行終わってる!!
修行の描写が一切ねぇ!
町では楼閣から逃げ出した秦萍(チン・ピン)が追われていたのでこれを助けると宿まで連れ込み事情を聞く。
強い奴が現れてメンツを潰された楼閣の主人はすぐさま宿屋に刺客を送る。
部屋から出た途端に先程と違って全ての客が敵に変わっているという演出がなかなかにシビれる。
この全ての敵をバッサブッサとぶった斬った張翼はそのまま楼閣に乗り込む。
楼閣の主人から仇討ちの相手の1人である坊主がここにいたことを知ると、襲い掛かってきた主人らをぶった斬って張翼は坊主に罠を張る。

竹林で場所を悟らせないように
「弟を殺したのは誰だ!母を殺したのは誰だ!」
と声を荒げる張翼。復讐モノの演出として非常に良く出来たシーンである。
遂には張翼vs坊主!
竹やぶの中で行われる戦闘が何かを連想させるが本作はその何かである「侠女」より先に作られた作品だったりする。
遂には竹に貫かれて絶命する坊主。坊主の弟子であった午馬(ウー・マ)がこの様子を見届けると仇討ちの相手の大鼻に伝えにいく。しかし、午馬はいったい何本の映画に出演しているのだろう。ちなみに本作は午馬が出演し、同じ張徹(チャン・ツェー)時代の助監督仲間である鮑學禮が助監督を務めている。2人して張徹組から抜け出して仕事してるのかも。

今度は大鼻と対決。
大鼻と言っているが勿論ジャッキーのことではない。
シチュエーションは雷雨の夜だ。
相手が見えにくいのである。
というわけで、お互いに剣の上に蝋燭を乗せて戦うというイキな演出がかっちょいい。
そして当然大鼻もぶった斬る。残りは林蚊1人だ。

宿屋でまたも刺客に襲われた張翼。
これをぶった斬るのだが官吏に捕まってしまう。
牢屋の中で実力を見出された張翼は町の権力者になっていた林蚊に遂に出会う。
「仲間にならんか?」
以前襲ったことなんか忘れて誘ってきた林蚊に乗ってとりあえず様子を探る。
林蚊の屋敷で腕試しをさせられていた時に出会ったのは何と行方不明になっていた姉!彼女は林蚊の夫人にさせられていたのだ。

2人の様子から兄姉であることを見抜いた林蚊は同時に民家を襲ったことを思い出す。
「復讐に来たのか・・・」

ラストバトル!
大量の部下そしてその奥から得意の矢で張翼を狙う林蚊!
果たしてこのバトルに張翼は勝利できるのか!?


終劇






大筋は非常にシンプルながら取り合わせが実に良い作品である。
迫力ある力強い演出と観客を飽きさせないようにシチュエーションから戦闘方法、カメラワークに至るまでバリエーション豊富に手を変え品を変えする緻密に設計されたアクションシーンは十二分に唸らせるものがある。1968年製作当時にしてレベルが高いと言っていいだろう。張翼の体は全然完成されてはいないのだけれど(裸のシーンに筋肉が全然ついてない)。
しかし、見るだけで
「このシーンはああしようこうしよう、あれはどうかこれはどうか」
と製作者たちがアイデアを出し合って作り上げていった熱い雰囲気が画面から伝わってくるではないか。

張翼そのものがスター然として正直弱く、小品になってしまうところがあるがそれでもキラリと光る作品である。当HPがしっかり取り上げなければいけない作品であった。

■CAST&STAFF
監督 岳楓
出演 張翼(チャン・イー)
秦萍(チン・ピン)
趙心妍
林蚊
谷峯(クー・フェン)
午馬(ウー・マ)
楊志卿
沈勞
藍偉烈
李允中
洪流
脚本 邸剛健
音楽 王福齢(ワン・フーリン)
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1968


雙侠
The Deadly Duo
復讐武侠客



さて、今年(2006年)最後の更新と相成りました。
去年一昨年は「リーサル・パンサー」「リーサル・パンサー2」とどうしようもない映画二つ続けて年末更新を行いましたが、どうやらは「リーサル・パンサー3」ってのは無いようで良かったような悪かったような。んで、今年は今年で何かしら当サイトらしい年末作品を考えようかな、というか色々セルビデオ屋とか回って探そうかなと思ってたのですが今年は忙しかったですねー年末。というわけでこの作品になりました。
姜大衛(デビッド・チャン)&狄龍(ティ・ロン)コンビ絶頂期の一本ですね。


流れ

冒頭にナレーション文が出るのでややこしく感じるが、要は宋の皇太子さんが金国にさらわれたのでこれを宋の英雄・狄龍が仲間を連れ立って奪還しようというもの。
戦争真っ只中。
金国に捕らえられた宋の兵士達は金の谷峰(クー・フェン)の指揮によって次々と処刑される。ここを襲撃したのは狄龍。いきなりの大乱戦の末に捕虜になっていた王鍾(ワン・チュン)らを解放すると彼から皇太子の居場所を突き止める。
早速、皇太子を奪還したいはしたいが皇太子の囚われている屋敷は離れ小島で更に様々な罠が張り巡らせている非常に厄介な場所。もちろん敵もたくさんね。

この屋敷にたどり着くヒントを知る軽功の達人・馮淬帆(フォン・ツイフェン)の協力を得るために狄龍は彼に近づいたが、既に彼が金国と蜜月にあり彼らを攻撃。彼を殺しては屋敷に辿り着けない、殺さなきゃこっちが殺されると困った状態になったが、ここに突如現れた姜大衛(デビッド・チャン)が馮淬帆を倒してしまう。彼は同門にして金国の犬となった馮淬帆を許しておけなかったのだ。
「いや、許しておけなかったのだ・・・って」
これでは屋敷に辿り着く術がもう無いぞと更に困っちゃう狄龍であったが悩む姿こそが彼のセクシーな魅力の一つ。
魅力はともかくよく考えりゃ姜大衛は同門。その辺の呵責もあって協力することになった姜大衛。

ああんバカ。
離れ小島の前の橋で狄龍らの帰りをヤキモキしながら待っていた宋の兵士たちは強引に橋を渡ることを決意。狄龍が来るまで待ちなさいよ。
橋も当然罠罠落とし穴。次々と落とし穴にかかって谷底へと命を落とす兵士たち。だから待ってろってのに。
非常に無駄な犠牲を出した後に到着する狄龍ら。
姜大衛が得意の軽功で橋桁を渡るとロープを渡して狄龍、王鐘を手引きする。ここにも刺客の劉家榮(リュー・チャー・ヨン)らが襲い掛かったが谷もがけがけ命からがらでこれを撃退。撃退したはいいが敵にその存在をいきなり知られてもうて困ったちゃん。「メタルギアソリッド スネークイーター」を思い出す。PS2のゲームで簡単に言うとジャングルの中を隠れながら進み、敵の中心部まで辿り着くゲームだが、如何せんジャングルという不確定要素の多い場所なのでそんなにゲームの上手くない私ではすぐに敵に見つかってしまい、結局ほとんどの場所を「ランボー」のように敵を殺しまくりながら進んでしまって全然隠れてない・・・そんなこたいいか。

一計を案じよう。
宋の狄龍、王鍾を捕らえた姜大衛。
ということにして屋敷に乗り込んだ3人。一計を確かなものにするために王鐘が暴れて姜大衛に襲い掛かる。金国の兵士にズタズタと斬り裂かれる姿を見ていられなくなった姜大衛はこれを処断。一応の信用を得た姜大衛は狄龍を連れて更に奥へ。谷峰と皇太子なのか将軍なのかわからないが陳星(チン・セイ)が現れたところで乱闘を開始して、見事皇太子奪還に成功!後は逃げるだけなのだが乱闘の最中、姜大衛は負傷してしまう。

一方、逃げる算段のため船着場で待っていた狄龍の仲間である唐炎燦(トン・インチャン)らであったが、ここにも金国の刺客である楊斯(ヤン・スエ)が現れ彼らを次々と血祭りにあげていた。
この船着場に辿り着いた皇太子引き連れる狄龍と姜大衛。
ラストバトルの末に姜大衛は狄龍と皇太子を船に押し込めると、
「逃げろ!ここは俺に任せろ!」
と。「一緒に行かないのか!?」と最早戦友となっていた姜大衛の決意に涙を流さんと叫ぶ狄龍であったが、そんな狄龍を逃して負傷した姜大衛は只一人、金国との戦いに臨む!


終劇





クライマックス、狄龍が姜大衛に向けて言う
「一緒に行かないのか!?」
の台詞はこの15年後に

男たちの挽歌」で姜大衛に代わって新亜州影帝となる周潤發(チョウ・ユンファ)がその狄龍に向けて放つ台詞と同じでここにも色々な原点が見え隠れしていて興味深い。最も「男たちの挽歌」では言った周潤發が命を落とすことになるのだが。

いやぁ、本当に"漢"とかいて"おとこ"のドラマだよなぁ。
何しろひょんなことから協力することになった姜大衛の命の捨てっぷりが素敵過ぎ!命を捨てるには動機が弱いじゃないかと感じるかもしれないが、それは違う。姜大衛は愛する狄龍の為なら何でもする"漢"なのだよ。これは張徹(チャン・ツェー)作品なんだからね。本当にこのコンビはお互いの為にお互いが何度命を捧げたことでしょうか。

流石は脂の乗った絶頂期、これが武侠片だ!の典型的作品である。日本でのソフト化も是非検討してもらいたいところ。

何とか年末に書き終えてよかった。
これ明日更新したら全然意味無いからな。
それでは皆様、よいお年を!

■CAST&STAFF
監督 張徹(チャン・ツェー)
出演 姜大衛(デビッド・チャン)
狄龍(ティ・ロン)
谷峰(クー・フェン)
楊斯(ヤン・スエ)
王鍾(ワン・チュン)
鄭雷
陳星(チン・セイ)
王光裕
唐炎燦(トン・インチャン)
馮淬帆(フォン・ツイフェン)
劉丹
楊澤霖
陳鳳真
劉剛
胡威
游龍
劉家榮(リュー・チャー・ヨン)
黄培基
師父仔
岑潛波
盧慧
任世官(ニン・シークァン)
王青(ワン・チン)
鄭康業
陳全(チン・チュアン)
徐蝦
高飛(コー・フェイ)
李修賢(ダニー・リー)
山怪
方野
神仙
徐發
袁信義(ユアン・シュンイー)
黄哈(ウォン・ハー)
水怪
周潤堅
陳狄克
何柏光
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
袁和平(ユアン・ウーピン)
ケコ祥
李超
黄梅
馮克安(フォン・ハックオン)
武術指導 劉家良(リュー・カーリャン)
唐佳(タン・チァ)
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U
製作 邵仁枚(ランミー・ショウ)
制作年度 1971


鷹爪鬼手/拝錯師父叩錯頭
The Eagle's Killer




プロジェクトA2/史上最大の標的」でジャッキーは唐辛子攻撃で李海生(リー・ハイサン)と朱鐵和を倒したが、一人だけ唐辛子攻撃を巧みにかわして攻撃を繰り出しジャッキーをあわやというとこまで追い詰めた男がいた。それが本作の主演である張午郎(チェン・ウーロン)だ。
張午郎はジャッキーと同じ1954年生まれで古くはそうだなぁ

必殺ドラゴン鉄の爪」で18歳の彼を確認することが出来る。その後はプロダクションを転々としているようだがここでのポピュラーな活躍といえば

少林寺三十六房」「激突!螳螂拳」等、劉家良(リュー・チャーリャン)作品であろう。劉家輝(リュー・チャーフィ)や姜大衛(デビッド・チャン)とバトルを繰り広げている。同時に協利電影の功夫スターとして「血海螳螂仇」「猴形扣手」「出閘虎」に主演。本作も協利電影の彼の主演作である。その後はジャッキー率いる成家班に入り、

プロジェクトA」「ポリス・ストーリー2」「奇蹟/ミラクル」など出演したが成家班を抜け出す。ちなみにこの頃、張徹(チャン・ツェー)ファミリーが一同に介して作られた

ワイルド・ヒーローズ/暗黒街の狼たち」にも出演している。その後の彼の足跡が追えないと思ったらひょっこりハリウッド映画「ドラゴン ブルース・リー物語」に主演のジェイソン・スコット・リーを苦しめる悪役として出演してたりなんかする。fakeさんの情報によるとその後は自分で映画製作してたらしいんだけど、あんまり消息が掴めないなぁ・・・みんなそうですけど。
本作に登場する蒋金(ジャン・ジン)なんか今頃どこで何してるんでしょうねぇ・・・

何にしろこれだけ功夫映画を渡り歩いてきた男の主演というわけだから、期待もそこそこにあるというわけで。


流れ


功夫大好き青年の張午郎は功夫道場に住み込み働きしながら功夫を学んでいたが道場主があんまり強くない上に守銭奴インチキ野郎で、全然強くなってなかったりして。そんなビッチな道場とは知らずに入門してきたボンボンの蒋金(ジャン・ジン)とのいざこざで張午郎は道場を飛び出すことに(「蛇拳」のパロディでしょうね)。
飛び出した張午郎が川で魚と採っているとこれを町の賭博場を牛耳る組織の息子・鄭康業が苛めてきたので殴りつけて追い返し、その辺で知り合った乞食の樊梅生(フォン・メイサン)と魚を食べて寝る。精根たくましいなぁ。

翌朝、乞食からお礼を貰った張午郎はやられた鄭康業からもお礼を貰って縄で縛られて川に流されて辿り着いたのはどっかの功夫道場主の前。
彼に素早い手技で縄を斬ってもらったんで
「達人か!?」
ってことで早速弟子入りしようとしたら、突然の乱入男に道場主は殺されて、何故か狙われてしまう張午郎なので逃げてたら、今度はその乱入男を黄正利(ホアン・チョンリー)が現れて殺して
「今度こそ達人か!?」
ってことで黄正利に弟子入り志願したら、コイツが例の如くごっつ悪い殺し屋で人飼いに売り飛ばされて、それを見つけた鄭康業が張午郎を苛めるために買って・・・という何と言うか凄い展開なんだなこれが。

売られて危うく拷問なところを逃げてきた張午郎は、先の乞食が功夫達人であることを知りこれに弟子入り。やっとこさ本格的な功夫修行が始まる。

いつもの如くあっと言う間に強くなると最初の道場主にやられた恨みをまずは晴らし、次いで鄭康業の賭博場で大暴れ。数奇な出会いから恨みを売ったり買ったりの鄭康業は父親と共に先の殺し屋・黄正利に張午郎殺害を依頼。
黄正利は手始めに師匠の樊梅生に罠を張って致命傷を負わし、さらに追い討ちをかけて惨殺。

それを知った張午郎は鄭康業親子をぶち殺すと黄正利との決戦に挑む!


終劇





全体的な低予算のままに雑な作りに感じる。「出籠馬〔馬留〕」のように低予算でも丁寧に作っている印象の作品があるだけにこの点は残念。やはり功夫映画ブーム末期の作品なのでその辺が影響したのだろうか。

ストーリーもコメディ功夫のパロディ的要素を含んではいるのだが、それ以前にそのような作品でヒットを飛ばしたものもあるため時代遅れの感も否めない。やるんだったら徹底的にやればよかったかも。なのでコメディとしてももう一つ。

期待はやはりラストの張午郎vs黄正利というところで、ここは流石に猛者同士の対決ということもあって、バリエーション豊かなアクションを見せてくれる。

■CAST&STAFF
監督 張旗
出演 張午郎(チェン・ウーロン)
黄正利(ホアン・チョンリー)
樊梅生(フォン・メイサン)
金佩玲
鄭康業
高遠
陳良
陳飛龍
班馬仔
蒋金(ジャン・ジン)
武術指導 金銘(トミー・リー)
副武術指導 唐炎燦(トン・インチャン)
李建明
脚本 王晶(バリー・ウォン)
張麒
須主民
音楽 王居仁(エディ・ワン)
策劃 李生
製作 張權
制作年度 1981
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

南拳北腿活閻王
ダニー・ザ・ドッグ
佛掌羅漢拳
蛇形醉歩
虎豹龍蛇鷹絶拳
武松
奪魂鈴
復讐武侠客
鷹爪鬼手

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