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■ゲームの思い出も披露しよう  
 


L.A.ノワール
L.A.NOIRE


難点は挙げられる。


流石にゲームと言えばまに「ウイニングイレブン」をやるぐらいでレビュー更新に奔走している私でありますが、久しぶりにこれは楽しみだと発売を待ちわびた作品が今回のLAノワール。

販売元のロックスターと言えばGTAシリーズの世界的大ヒットで一躍大手ゲームメーカーに成長した企業で、GTAシリーズは簡単に言うとニューヨークやロサンゼルスを模した巨大な箱庭を舞台にハッキリ言ってかなりの悪者である主人公を操作して銃撃戦やカーチェイス、強盗殺人買春と悪いことばっかするゲームで社会的には何度も問題となってはいるがその前にゲームとしての完成度がグラフィック、サウンド、ストーリー、自由度と全ての面で世界屈指のハイクオリティになっており、個人的な見解ではあるが、このシリーズの登場をきっかけに日本にも次々と海外の良質なゲームが雪崩れ込み、国産のゲームが霞んでしまったと思っている、というか私の前ではすっかり霞んでしまった。あの小島秀夫作品でさえも。

そんなロックスターの最新作が本作、なんと言ってもGTAシリーズと決定的に違うのは主人公が警察であるというところで、今まで警察を撃ち殺すゲームばかりだったロックスターが今回は真逆の警察主人公、これには驚いた。

大雑把に言えば主人公がヒラの制服警察官としてゲームスタートし、様々な事件を解決することで昇進を重ね、実績を残しエリート刑事となっていくというゲームである。

そう来たか。
というのが最初の印象で既にGTAシリーズからブームが始まったこのオープンワールドゲームではあるが現在は斜陽、頭打ちの空気を醸し出しており、オープンワールドの中でプレイヤーに何をさせるのかという点で、どっちにしろ敵を撃ち殺す殴り倒す轢き殺す、これ以外に大した広がりを見せなくなった、見せられなくなった、というのが今のオープンワールドゲームを取り巻く現状である。

オープンワールドでプレイヤーに与えられる遊びは全部与えたか?
いや、そんなことはないぞと一石を投じたのが本作なのだ。
おおそれは楽しみだ。
と私がプレイしてみた結果、受けた印象はとても懐かしいものでもあった。


身も蓋も無い言い方をしてしまえば本作は「ポートピア連続殺人事件」オープンワールド版である。

「ポートピア〜」
「LAノワール」
現場に行き、証拠を集め、
「ポートピア〜」
「LAノワール」
↑これよく観たらスーツまで似てる!
聞き込みをして重要人物を挙げ、事件に関連する様々な場所で捜査を行い、容疑者を絞り込んでいく。
「ポートピア〜」
「LAノワール」
そして取調室での尋問で大詰めを迎える。

このゲーム展開は困惑するほど堂々とポートピア連続殺人事件に代表される昔懐かしいアドベンチャーゲームと同じなのだ。

勿論、2Dから3Dへの世界の掘り起こしだけでなく、このゲーム独自の従来のアドベンチャーゲームと決定的に違う要素は含まれている。それが新技術“MotionScan”だ。

いわゆる昔懐かしいアドベンチャーゲーム。
そこでの推理・尋問は以下のように例えば、


↑画像は「殺意の接吻」(リバーヒルソフト)
容疑者 「知らないな。」       →本当かなぁ?
容疑者 「知らないな・・・・・・」   →知ってそうだなぁ?
容疑者 「ししし、知らない・・・な・・・・」  →嘘つくな

このような台詞の文体から容疑者が嘘をついているかいないかを推理していくのが常で(どっちにしろコマンド総当たりにはなるが)、登場人物の心象風景はテキストデータという二進数の暗闇に隠された。
小説でも行間にこそ真の物語があるように、これはこれで想像力で心象風景を補うことが非常に楽しかったものであるし、むしろそれがアドベンチャーゲームの醍醐味だったのではとさえ思っている。

小説で行間を読むように、二進数の暗闇を覗くように。
今までは抽象的に心象風景を読んでいたが、今回の作品は新技術“MotionScan”のおかげでまんまキャラクター表情を読む、これが本作一番のウリである。

現存するゲームの中で間違いなくキャラクターの表情再現が世界で一番素晴らしい本作。
もうなんちゅうかいよいよここまで来たかというか、例えばGTAシリーズのキャラクターは勿論現実には存在しない架空のキャラクターであるが本作の主人公であるコール・フェルプス、この人は現実に存在するのだ。
厳密に言えばコール・フェルプスを演じた役者さんが存在するわけなのだが、本人が演技したものを忠実に表情までしっかり再現しているわけだからもう完全に存在するレベル。
ちなみにコール・フェルプスを演じた役者さんは結構あちらでは有名な方のようです。いや、その演技もとても良かったです。これ、そういう時代も来るんだって感じですが、この本作を経て「このフェルプス演じた役者さんの他の映画も観てみたい」とかなるわけで、そっちもいよいよゲームをきっかけにブレイクする役者さんってのも出て来るかもしれないですね。


かつて「バーチャレーシング」、「バーチャファイター」から始まったと言えるゲームでのポリゴン技術、人を模したカクカクの人形達が遂にその表情までも現実の人間と変わらないバーチャ人間に化けたのだ。
(ばれないかしら・・・)
作品に登場する人物たちは誰もが表情豊かで、作り笑いする奴、言った後に「・・・しまった言っちゃった!!」みたいな顔する奴、常に視線を反らそうとする奴、元は本当に役者さんが演技しているわけだからその表情を観察するだけでも実に楽しいといったものである。

さて、アドベンチャーゲームというのであれば何よりも重視しないといけないのはストーリーであるが、流石は未成年購入禁止のゲームだけあって、実に大人向けのストーリーが展開され、その渋味に身を燻らせるのが心地よい。青臭い人生教訓が出て来ないのも余計なお世話が無くて良い・・・のだが、

推理ものとしては思ったほど高度な殺人トリックが出てくるわけでもなく、また「お前が犯人だったのか!?」 というようなどんどん返しも少ない。個人的な好みになるが、

往年の「刑事コロンボ」シリーズや「古畑任三郎」などに見られる事件解決直後の主人公と犯人のエスプリとウィットの効いたやり取りが無いのも残念だ。

また、ここが如何にもロックスターだなとは思うのだが(今回開発は違いますが)、物語を全然勧善懲悪にはしてないのよね。
勧善懲悪ってどういうことかって言うと、つまりメディアの世界の勧善懲悪ってのはごく単純なカタルシスを得られるかそうでないかってことなんですよ。
「仮面ライダー」でも「太陽にほえろ!」でも「水戸黄門」でも得られるカタルシスは同じ。悪をスッキリ倒して爽快。
いやぁところが本作はその辺が非常に少ないねぇ・・・
もう本当にリアリティに徹してる。スッキリしない。
確かに現実では印篭だしてスッキリ!なんてことはない。
ないけどさぁ・・・
いやね、自分の少ない頭で一生懸命間考えて相手の表情読みきって尋問成功して逮捕!って爽快感は得られましたよ。しかし全体的には・・・
作品が作品だから余りネタバレ的な話はしませんが、殺人課での一連のストーリーから結末まで全く納得がいかないんですよ。
だって・・・・って表現で終っておきますが、うーん納得いかない。

逆に主人公コール・フェルプスの人間としての未完成さ、未成熟さ、この辺は凄く買ってるんですけどね。もうGTAシリーズの悪漢主人公の方がよっぽどヒーローヒーローな活躍をするのに比べて本作の主人公の完成されたヒーローのフリしてなんと未完成ヒーローなことか。後半なんて「おいおいおいおい!」って感じの展開で、それでも「僕、頑張ります!」って感じでその辺は凄く好きなんですけどね。

なので、一連のストーリーは凄く深みがあっていいものではあるんですけど単純なカタルシスを得られるものでは全く無いのでその辺は好みが分かれるところですね。それにしてもゲームでこのストーリーをやるか!って感じです本当に。全く子供無視!ってストーリーです。

流れるサウンドは本当に素晴らしい・・・
何でしょう、この当時のサウンドって本当に耳障りなものがありませんね。
例えば、今ゲームつけてその音楽だけ聴きながら書いてますが心地良いですね。自分の車でも流しながらドライブしたいところ、というかします。

総評の前に、
オープンワールドでプレイヤーに与えられる遊びは全部与えたか?
いや、そんなことはないぞと一石を投じたのがこのノワールなのだ。
と書いてはみたが、
難点は挙げられる。
とも書いてるわけで、
本作最大の難点はオープンワールドゲームということだったりもする。
また簡単に言うと本作は
「ポートピア連続殺人事件ドラクエ風」なのだ。2D的表現で言えば。

つまり、例えば現場から警察署へ移動、これがアドベンチャーゲームなら

----移動 警察署----

↑このコマンドを選んで即移動なのだが、
本作だと「ドラゴンクエスト」のようにフィールドを自動車や徒歩で移動。
たまにモンスター(本作では小事件)が出てくるけど無視も出来るよ、
って感じで、いやいやこれだけのためにオープンワールドじゃあ何のためにこれだけ美麗なそして広大なオープンワールド作ったのかわからないよ、ってここが難点なんですよね。
オープンワールドならではの自由度が低い為に、じゃなんでそこにゲーム業界屈指の素敵なオープンワールドが作られているのかわからない。
これだったら巨大な箱庭作るのやめて移動をコマンド式に留めて、もっと別の部分に力を注いだ方が良かったんじゃないかって思うんですね。

オープンワールドゲームの楽しみは何か?
って言われたら、一言で言うと
そこで能動的にどれだけ自分勝手に遊べるか?
ってことなんですよ。
ストーリーは何も関係ない、自分勝手に箱庭を闊歩して自動車を乗り回し、通行人にちょっかいを出して、敵を殺したり、交通事故を起こしたり、飯食ったり、綺麗な景色を観たり、高層ビルのてっぺんまで登ってみたり・・・
そういうところの自由度が非常に低いゲームで、箱庭ゲームの醍醐味はストーリーを追わないところで自分なりの楽しみを見つけて遊ぶってのが出来ることだと思うのですがその辺の面白さは非常に低いゲームだと言わざるを得ないですね。いや勿論出来ますけどね、闊歩ドライブぐらいは。
もうちょっとそうやねぇ・・・
遊びという部分でセスナ乗ったり、飯食ったり、ケンカしたり、ナンパしたり、写真撮ったり、レースしたり、いくらでも思いつく小遊びってあると思うんですけどね。
そして警察官なんだから、以前捕まえた連中が仕返しに来たり、目の前でひったくり事件が起きて追っ掛けたり、交通事故が起きて整理したり、救急車を呼んであげたり、道を聞かれたり案内したり・・・(この道案内は想像しただけでも面白そうなんだがな・・・)、落し物を預かったり、免許更新したり、その辺の奴捕まえて職務質問したり(・・・これも面白そうだな)、・・・って素人の私が考えても面白そうなフリーイベント思いつくんだから、今後もこの本作をオープンワールドで作っていきます!って言うんなら是非に考えてほしいところ。

総評として、
子供時代に往年のアドベンチャーゲームに熱中された方は文句ナシにオススメ!
でも箱庭ゲームとして期待すると肩透かしはある。
個人的には往年のアドベンチャーゲームをやってない世代が本作にどういう感想を抱くのか、その辺が凄い興味がありますね。

ともあれ、新技術“MotionScan”は抜群の効果を上げた。
これは間違いない。
今後は他ゲームでも次々と採用されて発展していくことを願う。
同時に本作がシリーズ化されていくのであれば(凄いモメてるらしいです)、二つの選択肢がある。あるというかどちらかを選択してほしい。
つまり、先述のようにオープンワールドゲームとしての自由度を高めてストーリーと関係ないところでも十分遊べるようにするのか、それともオープンワールドを捨て、今のゲームスタイルに適した新たなシステム、インターフェイスを構築していくのか。
個人的には前者で頑張ってほしいが余り期待出来ない為、クッキリ差別化する方が楽なような気もするが。

しかし、最近のゲームというものは製作にお金と年月がかかりすぎるんだよなぁ・・・

 
 
 
 
 


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