■CAST&STAFF |
監督 |
林嶺東(リンゴ・ラム) |
出演 |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
麥嘉(カール・マック) |
張艾嘉(シルビア・チャン) |
葉 [イ菁]文(サリー・イップ) |
喬宏(ロイ・チャオ) |
關徳興(クワン・ダッ・ヒン) |
王嘉明(ウォン・カ・ミン) |
石堅(シー・キェン) |
曹達華(チョウ・ダッワー) |
馮敬文 |
動作導演 |
朱繼生 |
脚本 |
林嶺東(リンゴ・ラム) |
麥嘉(カール・マック) |
音楽 |
盧東尼 |
製作 |
麥嘉(カール・マック) |
石天(ディーン・セキ) |
黄百鳴(レイモンド・ウォン) |
制作年度 |
1986 |
鬼馬狂想曲
Fantasia
新世紀Mr.Boo!ホイさまカミさまホトケさま
■
日本でもいつか、「男はつらいよ」をリメイクするような動きは出てくるのであろうか。その時は一体誰が寅さんをやるのだろう。
本作は・・・
まぁ言わずもがなだが許冠文(マイケル・ホイ)の傑作コメディを隅々までリメイクしたパロディで、そのマイケル役を演じるのは劉青雲(ラウ・チンワン)、サミュエルは古天樂(ルイス・クー)、リッキーを陳小春(チャン・シウチョン)が演じている。
実際のこのホイ兄弟は実に興味深い人物たちで、何故3人してこうもハッキリクッキリとキャラクターが分かれて出来上がっているのだろうと不思議になる。
ドケチでインテリな長男マイケルと、
いつも頼りなさそうな三男リッキー、
二枚目モテモテの末っ子サミュエル。
ピンで其々ヒット作を持っている彼らではあるが、集まることでよりそのキャラクターの魅力を考え直すことだろう。
「マイケルの真似なんか出来るわきゃない」
正直、タカをくくって鑑賞した本作であるがはてさて。
■流れ
探偵社を経営する・・・
って、流れを説明する必要があるのだろうか?
まぁいいか。
経営するマイケルと社員のサミュエルとリッキー。
美術館(?)の警備をしていたが早速油断してコソ泥に入られてひと悶着。
悶着してる間に美術品と次々と壊して二人とも70歳まで弁償働きというわけで。
事務所に戻ってくすねてきた古ぼけたランプをリッキーがこすってるところで、リッキーの従姉妹の鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)がアメリカで発狂したことを知り、彼女に惚れているリッキーは貯金箱持って渡米。
その後、古ぼけたランプから劣等性魔女の張柏芝(セシリア・チャン)が飛び出してきて願いを叶えるというが、マイケルらは彼女を頭の発狂したリッキーの従姉妹と勘違いして追い出してしまう。
追い出されたセシリアは呉鎮宇(フランシス・ン)率いる追い剥ぎ団に襲われて妹のお箸を奪われてしまう。
悪人に舐められると悪人に、善人に舐められると善人になってしまうお箸はフランシスに舐められてしまったために悪人の蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)、鍾欣桐(ジリアン・チョン)に変身。
妹も行方不明になって、ご主人も願いを叶えてくれないということでマイケル事務所に住み着くことになったセシリア。
彼女の事を魔女だと一向に信用しないマイケルとサミュエルであったが、巷では不可思議な現象が起きようとしていた・・・
終劇
■
井筒監督の「ゲロッパ!」が霞んで見えるこれぞ香港喜劇の王道作品である。
不思議なのはセシリアからフランシスまでコメディを嬉々として演じていることで、ハツラツハイテンションなコメディ演技が実に気持ち良い。毎回言ってしまうがホントにこのどうしても四角四面を整えておせち料理にしてしまう邦画には見られないこの爆発、映画という鍋からバカバカしい楽しさが何の迷いも無く飛び出してくる香港パワーの妙味には頭が下がる思いである。人ってほんとは非常に下らないことが好きな生き物で、人生のほとんどを食住種のために捧げる他生物には申し訳ない次第だと思っている。
その非常に下らない生物である人間たちが非常に下らない楽しさと笑いで二時間過ごして非常に下らない悩みと怒りを忘れてられる、本作はそんな作品であると言えるだろう。
出てくるキャラクターは簡単に言えばアホばかりで、そのアホ加減のさじ加減の無さにはもう笑うしかない。やっとクリスティが出てきたかと思えばやっぱりこいつもアホやった・・・(笑
主観としては「高度戒備」で命を削る死闘を繰り広げた劉青雲と呉鎮宇が、今度は実に下らない爆笑バトルを繰り広げるってことでここだけでも絶妙なコンビである演技派の2人を観ているだけで楽しい。セシリアハリーポッター(林亞珍)には日本の女優さんにもこの臨機応変の演技力を見習ってもらいたい(何よりそのトライする気持ちを)一方で、ラストまでいつものお美しい姿を垣間見られなかったのは日本人的に残念なところ。眼鏡を外せば実は超美人でそれでサミュエルが惚れてしまったとなれば物語的にわかりやすいがそれでは陳腐になっちゃうかな。
んで、全く持って遅いのだがとにかく去年発売された
こっちを全て観てから鑑賞しないと損するのでお気をつけて。
しかも出来れば全作、広東語日本語どちらもチェックしておこう。
|
■CAST&STAFF |
監督・製作 |
韋家輝(ワイ・カーファイ) |
出演 |
劉青雲(ラウ・チンワン) |
古天樂(ルイス・クー) |
陳小春(チャン・シウチョン) |
張柏芝(セシリア・チャン) |
呉鎮宇(フランシス・ン) |
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン) |
蔡卓妍(シャーリーン・チョイ) |
鍾欣桐(ジリアン・チョン) |
葛民輝(エリック・コット) |
劉以達 |
張達明 |
陳朗 |
劉小慧 |
路斯明 |
劉コ華(アンディ・ラウ) |
許冠文(マイケル・ホイ) |
動作導演 |
元彬(ユン・ブン) |
脚本 |
韋家輝(ワイ・カーファイ) |
歐健兒(オー・キンイー) |
音楽 |
泰迪羅賓(テディ・ロビン) |
製作総指揮 |
向華強(チャールズ・ヒョン) |
制作年度 |
2004 |
馬路小英雄
Backalley Princess
■
羅維(ロー・ウェイ)監督は・・・なんというか作品によって非常にムラを感じる監督である。どうも実力を推し量れないのだ。
SB時代には何莉莉(リリー・ホー)主演の女版007を撮ってヒットさせているし、鄭佩佩(チェン・ペイペイ)主演で撮った「空中必殺 雪原の血闘」もちゃんと成功を収めている。ちょっとここでレビューした監督作品を並べてみるとだな、
「空中必殺 雪原の血闘」
「ドラゴン危機一発」
「ドラゴン怒りの鉄拳」
「老虎殺星」
「チャック・ノリス in 地獄の刑事」
「レッド・ドラゴン」
「少林寺木人拳」
「キラー・ドラゴン・流星拳」
「成龍拳」
「飛龍神拳」
「拳精」
「龍拳」
そして本作「馬路小英雄」、こんなもんかな。
ちなみに「龍拳」以降はプロデュースに専念したため監督作品は無い・・・はず。
彼のムラという部分で問題となってくるのがどーも
「どこから本当に監督してるの?」
って部分で、間違いなく彼の代表作である「ドラゴン怒りの鉄拳」自体、撮影にまともに参加してないような話が有名で、あの作品はほぼ全て李小龍(ブルース・リー)という偉人の力で名作になったのではないかというのがどうしても想像してしまうところ。
というのも、その続編であるジャッキーの「レッド・ドラゴン」、制作費の問題やジャッキーの当時の俳優としての力量を差し引いたとしても、本家にも出演していた羅維監督ご本人の登場や、本家のヒロイン苗可秀(ノラ・ミャオ)、本家に出ていた韓英傑(ハン・イェンチェ)、さらに韓英傑は本家でもこっちでも武術指導を担当と、他のいわゆるバッタもんと言われるような精武門モノと比べて随分と恵まれた続編を作れる環境の中で考えるとシンプルに言って出来は芳しくない。李小龍という巨大すぎるスターの不在による質の低下が避けられないの至極当然の話ではあるが、いわゆるストーリー展開という部分は監督のスキルの問題であり
「これはこれで面白い」
との感想を残せる作品にしようと思えば出来そうなもんであるが、興行成績も惨敗している。
サモハンが悪役出演している「老虎殺星」に関しては個人的にかなり評価が低く、羅維監督のスキルをかなり疑ってしまう作品ではあるが、「チャック・ノリス in 地獄の刑事」はなかなかの力作だったりする。
古龍武侠片であるジャッキーの「キラー・ドラゴン・流星拳」「成龍拳」「飛龍神拳」は個人的には低予算ながら頑張ってるという印象もあるし、「拳精」「龍拳」うーん・・・・・・ちなみに「少林寺木人拳」については監督クレジットはされているもののジャッキー自伝によるとほとんど撮影には参加していないことになりそうだ。ここにも彼の
「本当に彼が撮ってるのか?」
という疑惑が持ち上がる。
思い返せば張徹(チャン・ツェー)監督にしても助監督をしていた呉字森(ジョン・ウー)や午馬(ウー・マ)、
鮑學禮に部分で監督を任せていたというし、ジャッキーや袁和平(ユアン・ウーピン)を含む他の監督さんにしてもそのような話は非常にポピュラーなのでキリがないと言えばそうなのだが・・・
全然話がまとまりませんでした。
さて、許冠傑(サミュエル・ホイ)の銀幕デビュー作である。
■流れ
サミュエルと上官靈鳳(シャンカン・リンフォン)はケチな詐欺師にして貧乏人。今日も貧しく楽しいドジな毎日を送っていた。
彼らは口上と功夫芸で薬を売っていた功夫道場の人間と知り合いになり、そこでお金持ちのお人よし劉永(トニー・リュウ)を巻き込みながら騒動を起こしていくのだが、ある時売春組織にさらわれそうになった娘を助けようとした道場の黄家達(カーター・ウォン)が逆に殺されてしまい、悲しみに暮れる2人は道場の紅一点・茅瑛(アンジェラ・マオ)も連れて売春組織潰しに乗り出す!
終劇
■
小慣れている。
というのが最初に観た感想だった。
同年にショーブラが公開しているオールスターコメディ「七十二家房客」(監督は楚原)には興行収入で負けてしまったが、ゴールデンハーベストオールスターな(苗可秀(ノラ・ミャオ)も出て欲しかったけど)本作もヒットしているし評価通りの成績という気がするな。余談だが同年の「冷面虎」の方がどーもヒットしているみたいなのが疑問だが・・・あの映画そんなに面白いのかな?
かくして羅維監督の能力という点においてだが、
「ああこの人、やる気次第だ」
という感じだろうか。
本作は脚本も本人が書いているようだし、「Mr.Boo!ギャンブル大将」が登場する前の現代コメディと考えれば十分なクオリティであろう。しかし、他の監督作品を見ると「?」の付く作品もあり、要はちゃんと熱を入れて撮れば良い映画が撮れるが適当な時は本当に適当な作品が出来上がる・・・っておかしいな。「レッド・ドラゴン」は本腰入れて作ったと思うのだが・・・
日本でも「ベスト・オブ・ホイブラザーズ・ショウ」として発売された大ヒットTV番組「精装雙星」でのサミュエルのハンサムなのにドジなことどんどんやる明るさ屈託のなさという魅力は本作でもそこそこに出ており、まぁまぁのデビューか。主題歌を彼が唄えば最高だったけどね。
マニアックなツッコミ入れるが何ですか、
韓英傑(ハン・イェンチェ)は飛び蹴り喰らいマニアですか?
この人、数々の人間から飛び蹴り喰らってる気がするのですが・・・
しかも自分が武術指導・・・
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
羅維(ロー・ウェイ) |
出演 |
上官靈鳳(シャンカン・リンフォン) |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
茅瑛(アンジェラ・マオ) |
黄家達(カーター・ウォン) |
江帆 |
田豐(ティエン・ファン) |
劉永(トニー・リュウ) |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
王莢 |
呉家驤 |
黄宗迅 |
馮毅(フォン・イー) |
唐晶 |
張俊英 |
高魯泉 |
銭月笙(チェン・ユーサン) |
呉明才(ウー・ミンサイ) |
尓群 |
金山 |
陳烈 |
林正英(ラム・チェンイン) |
関敏 |
李兆隹 |
謝地 |
羅維(ロー・ウェイ) |
青山 |
張帝 |
馬海倫 |
林偉h |
武術指導 |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
音楽 |
願嘉輝(ジョセフ・クオ) |
製作 |
鄒文懐(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1973 |
衛斯理傳奇
The Legend Of Wisely
飛龍伝説オメガクエスト
■
いわゆる衛斯理ものである。
といったところでわかりにくいかもしれないが、
衛斯理という冒険家のアクションアドベンチャー小説が原作。
原作を書いているのはあの倪匡(イ・クオン)である。
要はインディ・ジョーンズ博士香港版と言ってしまえば、わかりやすいか。
この小説を脚本にした作品は多く存在し、当HPでも
「セブンス・カース 七番目の呪い」
「衛斯理之覇王卸甲」
・・・あれ?2本しか紹介してなかったっけ?
ま、まぁ他に李連杰(ジェット・リー)の「冒険王」などがある。
■流れ
伝説の秘宝"ドラゴンパール"を追って、衛斯理に扮した許冠傑(サミュエル・ホイ)がネパールへ。
友人の泰迪羅賓(テディ・ロビン)と共に山奥深き寺院を訪ねるが、当然ドラゴンパールを守る僧侶たちと大バトル。
何とか逃げ出す衛斯理とテディであったが、セスナ機が墜落したためテディは消息不明に。
再び僧侶に捕らえられてしまった衛斯理は総長である少年のドラゴンパール返還の懇願を聞き、再び失われたパール探しをするのだが・・・
終劇
■
他の衛斯理ものと比べて話が非常にシンプルである。
ただ従来にありがちなオチではないところには新鮮味を感じるかな。その展開は倪匡というよりもむしろ古龍のような印象を受ける。
だが残念ながら非常に微妙な作品である、というのは個人的な感想で、本家"インディ・ジョーンズ"に香港映画は様々な挑戦をしたという事実がある。
ジャッキーの「サンダー・アーム/龍兄虎弟」「プロジェクト・イーグル」"アジアの鷹"シリーズや、D&Bの「チャイナ・ウォリアーズ」、徐小明(ツイ・シャオミン)監督「天山回廊」などは全て香港流"インディ・ジョーンズ"といった作品である。その中で成功しているのはやはり"アジアの鷹"、「天山回廊」といったところか。成功の要因はジャッキーのスター性など色々あるが一つにはこれらの作品にあって本家"インディ・ジョーンズ"に無いものが作品にちゃんとあるということである。
その一つとは勿論、アクションシーンのことでどちらも本家に追いつけ追い越せな命がけアクションを展開しているというところであり、そのアクションの過激さはスティーブン・スピルバーグも舌を巻く、といったところであろう。
翻って本作は正にハリウッド式を準えて製作しており、功夫ファイトもあるにはあるが狄龍(ティ・ロン)を除き、アクションの出来ない女優である王祖賢(ジョイ・ウォン)と本職がアクションではない許冠傑ではその功夫ファイトの仕上がりも知れているというのが正直なところで、後は単なるハリウッドの猿真似に終わってしまっては勝てるべくも無い。
もう一つ言えば本作に一番足りない要素、それはスリルである。
生きるか死ぬかギリギリのところでピンチを華麗に脱するハリソン・フォードやジャッキー扮する"英雄"のアクションアドベンチャーが醍醐味であるはずなのに、余りに本作はそのスリルが足りなさすぎたのではないか。ラストもあまりに呆気ない。
うーん、どうしてもこの辺は監督の泰迪羅賓を責めたくなってしまうなぁ・・・
本作の製作はシネマシティ。
無論、許冠傑といえばシネマシティの大ヒット作「悪漢探偵」の主演であり、今回は製作も兼ねている許冠傑の意気込みから考えると、エースシリーズに変わり得るシネマシティのドル箱的作品目指して本作は製作されたのではないか。残念ながら失敗に終わっているみたいだがそういうことだと思われる。
ちなみに本作に登場しているブルース・バロンは当HPでレビューした何誌強(ゴッドフリー・ホー)のかなりどうでも良い作品「Challenge the Ninja」「忍者伝説/シナンジュの秘宝」等で主演の白人忍者を演じた人物である。それがどうした。
もう一つちなみに本作の日本語吹替版でテディ演じているのは石丸博也さんである。
石丸さんと言えばジャッキーというイメージがあるから、いつも強いなんてイメージになってしまって、本作の弱い石丸テディに違和感を覚える人もいるかもしれないが、
本来「未来少年コナン」でのオーロ役や、「ダイ・ハード」でのクリス(ジョンの奥様に言い寄ってるヒゲ)役など、軽くて弱くての役は得意とするところなのである。
うーむ、個人的には衛斯理ものにはそんなに面白いものがない・・・
|
■CAST&STAFF |
監督 |
泰迪羅賓(テディ・ロビン) |
出演 |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
王祖賢(ジョイ・ウォン) |
狄龍(ティ・ロン) |
泰迪羅賓(テディ・ロビン) |
ブルース・バロン |
ハイジ・マキネン |
柯受良(ブラッキー・コー) |
馮永 |
李嗣興 |
林進豊 |
陳純昆 |
劍勲 |
葉永誠 |
呉朝亮 |
李コ成 |
動作指導 |
柯受良(ブラッキー・コー) |
音楽 |
羅大佑(ロー・ターヨウ) |
製作 |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
制作年度 |
1987 |
煎醸参寶
Three of a kind
Mr.BOO!花嫁の父
Mr.BOO!愛憎バトル
■
まず最初に誰もが文句付けたくなっちゃうのが日本メーカーの製品仕様で、ジャケット見るだけで歴然としているが、やる気がねぇ〜
ソフト仕様も特典無しでただ字幕付けただけのしょぼい感じ。
なんだ!このイーネットフロンティアってメーカーは!
と思ってサイト行ったらおっぱいおっぱいばっかり売ってる会社だった。
なるほど。
「新世紀Mr.Boo!ホイさまカミさまホトケさま」でゲスト出演を果たした許冠文(マイケル・ホイ)とその作品で許冠文そのものに扮した劉青雲(ラウ・チンワン)が勢いそのままに今度は本格競演を果たしたコメディ作品。久しぶりの許冠文コメディとあって地元・香港では成功を収めた作品である。
■流れ
可愛い娘・楊千〔女華〕(ミリアム・ヨン)と暮らすマイケルは、幼い頃に勇敢な父・羅奔(ロー・マン)を見て育ったので武術家を目指したいところだったが、その父に諭されてインテリを目指して有名な武侠小説家になり、現在に至る。
しかし、既にアイデアは出しつくされた感があり13年も新作が書けずに印税で暮らす毎日。助手の許紹雄(ホイ・シューハ)のアドバイスも最悪なもの。
一方、娘のミリアムはキャリアウーマンとしてはバリバリだったが恋の方はさっぱり。社長のプレイボーイ劉青雲にも諭されるが、大体好きな人がいない・・・ってところで、劉青雲の家が火事になって焼け、劉青雲はマイケル家にこっそり居候・・・さっそく見つかる。
「プレイボーイが俺の娘を奪いに来た!」
というわけで、早速追い出しにかかるマイケルであったが、別にミリアム目的で居候しているわけではない劉青雲は気が無いことを証明するためにたくさんの美女を屋敷に招聘。
有名小説家であることも手伝って途端にモテモテになるマイケルは嬉しくなって劉青雲とは毎日女遊びをかます悪友同士となってしまう。
しかし、その場凌ぎな女遊びも飽きてきた劉青雲はいつの間にやら自分がミリアムに恋していることに気づく。
筋肉モリモリの格好良い庭師・葉山豪とのミリアム争奪戦を何とか勝ち抜いてプロポーズしようとしたが先んじたのはミリアムの方で、めでたく2人は結婚・・・・するはずはなかった。
それを許すはずは無い父・マイケルは何とか娘と劉青雲を引き離そうと画策するのだが・・・
終劇
■
決して悪い作品ではないし、出演陣始め面白いシーンは多い作品である。
ただここが難しいところで、香港人の需要と私のような海外迷の需要はどーも違うようである。
どーしても私のような海外迷から見た香港コメディであると、気恥ずかしいぐらいにベタベタなギャグを挟んで、全編やかましいくらいにドタバタの喜劇をどーしても想像してしまう。
本作にもドタバタ感があるシーンにはあるのだが、全体的にやはり小洒落てしまい、全ての出来事が大人しめに感じてしまうのである。
致命的なのはテンポである。
その「新世紀Mr.Boo!ホイさまカミさまホトケさま」は時代を意識しないスピードあるドタバタコメディをちゃんと形成していたが、本作は特に結婚するとなってからのテンポが遅い。本当はここからが最も面白くなるはずなのに、どーもだらけてしまった感がある。編集の妙も薄いし、もう少しやりようがあったのではないか。
とはいえ、終盤になって見せる武侠シーンはどれも数秒のシーンながら妙に力が入っていたり、そういえば武侠片というものに一切出演していないマイケルの時代劇扮装はとても貴重だし、武侠片のウンチクも存分に盛り込まれていて監督・製作・脚本をこなした馬偉豪(ジョー・マー)が本気で撮っていたことは十分伝わってくる。
そしてマイケル・ホイはやっぱりマイケル・ホイ。
2時間のトークライブでも60歳を超えているとは全く思えないパワーでまさに2時間喋り通し。時事ネタ下ネタ乱発のくだらなくておかしい話だけを2時間するという内容なのに全く退屈させない彼のパワーは恐るべきものがあり、終わりには全く泣ける話なんかしてないのに、彼のエナジーそのものに感動して目頭熱くなるような思いだった。
本作でもそのパワーと軽妙さ、そして天性のコメディアクターとしての役割は十分堪能することが出来るし、もう彼が頑張っているだけで嬉しくなってしまう自分がいることも正直なところ。
ちなみにマイケル扮する武侠小説家のモデルに関しては、どーしても古龍や倪匡(イ・クオン)を連想してしまう(←わからない方は当HPのスタッフキャスト表まで読みまくれっ)。
彼らのエピソードも入ってるんじゃないかと思ってみるとくすくす笑えるシーンもある。
年を重ねて良い顔になって来た元五毒メンバー、羅奔(ロー・マン)の父親役もなかなかいいぞ。
ところで、許紹雄(ホイ・シューハ)のおっちゃんは許(ホイ)とあるので許冠文(マイケル・ホイ)の親族だったりするのだろうか、確か昔の許冠文作品にも彼の名前があった気がするのだが・・・
|
■CAST&STAFF |
監督・製作 |
馬偉豪(ジョー・マー) |
出演 |
許冠文(マイケル・ホイ) |
劉青雲(ラウ・チンワン) |
楊千〔女華〕(ミリアム・ヨン) |
金燕玲(エレイン・ジン) |
羅奔(ロー・マン) |
許紹雄(ホイ・シューハ) |
葉山豪 |
慮淑儀(モニカ・ロー) |
袁苑 |
晋松 |
李蘢怡 |
田慈〔女尼〕 |
潘永鏗 |
黄翠儀 |
陳柏〔女尼〕 |
楊詩敏 |
趙月明 |
楊大鵬 |
邵小珊 |
張楠 |
銭榮威 |
動作指導 |
薛春〔火韋〕 |
脚本 |
鄒凱光(マット・チョウ) |
馬偉豪(ジョー・マー) |
龍文康 他 |
音楽 |
羅堅 |
製作総指揮 |
向華強(チャールズ・ヒョン) |
制作年度 |
2004 |
發錢寒
The Pilferer's Progress
Money Crazy
ジョン・ウーのマネークレージー
■
いやぁしかし、これも「香港電影百科」(芳賀書店)にポスターが掲載されている一作で、やっと観れたなぁの感が強い作品である。
んで、1977年の配収ダントツNo.1作品だ。
その「香港電影百科」を見直してて改めて思ったのだが、香港での1970年代というのは李小龍(ブルース・リー)が生き永らえていれば彼の時代に間違いなくなったのであろうが、こうして配収ベストテン表を眺めているといやぁ実にホイ兄弟の天下だったと言っていいだろう。
'72年は「ドラゴン怒りの鉄拳」と共にショーブラ時代の許冠文(マイケル・ホイ)主演作「大軍閥」が凌ぎを削り、
'73年は同じく許冠文主演作「一樂也」が頑張った。
その後は正に天下制覇で、
'74年は「Mr.BOO!!ギャンブル大将」
'75年は「天才與白痴」
'76年は「Mr.BOO!!」
'77年は許冠英(リッキー・ホイ)単独主演の本作
'78年は「Mr.BOO!!インベーダー作戦」
これら全てで配収No.1を獲得している。
ジャッキーのコメディ功夫ブームが吹き荒れる間は3年間の沈黙を経て、
'81年「新Mr.BOO!!アヒルの警備保障」
これでそのジャッキー
「ヤング・マスター/師弟出馬」の大ヒット記録を更に上回る大ヒット(勿論No.1)を叩き出したところがホイ兄弟のピークかと思えば、'82年には今度は許冠傑(サミュエル・ホイ)の「悪漢探偵」が香港映画の流れを大きく変える超ビッグヒットを飛ばしてしまうのだ。
■流れ
許冠英(リッキー・ホイ)は金持ちのボディガードになってそのオコボレに預かろうとする兄ちゃん。だが失敗続きでなかなか上手くいかず。
呉耀漢(リチャード・ウン)はケチな探偵稼業で今日も金持ち・張瑛の不倫写真を合成作成して張瑛をゆすり、金を巻き上げるといったセコイ稼ぎ。
その張瑛のボディガードとなったリッキー。
ダイヤ運びを張瑛から頼まれるが、これが実はゆすりをしてきたリチャードをハメる罠でリッキー、リチャード共に殺し屋・宋錦成に消される運命にあったのだが、ラッキーなことに宋錦成はロンパリ。
いざ狙撃せんとする宋錦成であったがロンパリなので、なかなか照準が合わないのね。
これに気づいてしまったリッキーがいともあっさり宋錦成を倒すと(こんな弱い殺し屋雇うなっ)、後は謎の美女・趙雅芝を交えてリッキーvsリチャードの大激戦!
力を認め合った2人。
実は張瑛は悪い奴で、元はダイヤも財産も趙雅芝の祖父から騙し取ったもの。
ここは1つ趙雅芝の為にもダイヤも金も取り戻してやろうということで奮起するリッキー&リチャードであったが・・・
終劇
■
こういうドタバタアクションコメディというのは脚本とそれを演出する監督のスキルが高くないとテンポが悪くなったり、あるシーンが凄く短ければあるシーンはやたら長いといったような尺のバランスを崩しやすく、全体的にグダグダになってしまうことが多い。「噂のテディ・ロビン 美女美女スパイにご用心!」なんかは残念ながらその典型的な例だ。
というところで、実質「Mr.BOO!!」の監督であったとも言われる呉宇森(ジョン・ウー)監督の手腕は凄い。今になってみれば現在はハリウッドの第一線で活躍している監督なので当たり前と言えばその通りだが、この退屈になる前にポンポンポンとテンポよくシーンをつないでいく技術はお見事である。
なんかこの人はある時期から格段に腕を上げている気がしますね。功夫片を撮っている時代の作品はここまで感じないのだけれど。
当時は
「こういうコメディが撮れればヒットするのになぁ・・・」
と他プロダクションも皆わかっていたと思う。
しかし小プロは予算がつかずに歯軋りしており、仮に撮ったとしても今度は監督の手腕が大きく左右される。武術指導の腕前で何とかなるようなシロモノではない。最も、これを製作したゴールデンハーベストにしても毎年毎年社運を賭ける様な思いだったのかもしれないが。
ホイ兄弟を失ったショーブラも数々のコメディも製作はしたが、No.1は一度も撮れなかった。
ホイ兄弟の時代がこれほどまでに長く栄えた理由はそこにある。
李小龍の登場によって同じ映画が粗製乱造されたが、逝去によって早くもブームに幕を降ろしてしまった。
ジャッキーのコメディ功夫ブームも同じく模倣・粗製乱造が横行したが、ジャッキー失踪をきっかけに意外と早くブームに幕が降りた。
しかしホイ兄弟のコメディはホイ兄弟にしか出来なかった。
粗製乱造不可能!
その上、彼らにはスキャンダルや逝去が無かった。
元気元気!
彼らは自身たちがスクリーンに投影した持ち前の雑草パワーで、映画と栄華を築き上げたのだ。
本作は一連のMr.BOO!!シリーズ(本当はシリーズじゃないが)の中で番外編として立派に輝く作品である。許冠文、許冠傑は出演していないがそれでもリッキー&リチャードで十分面白いコメディを演じきった。凄い美人とは言えないが妙にフェロモン度の高い可愛いヒロイン・趙雅芝もいい。
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
呉宇森(ジョン・ウー) |
出演 |
許冠英(リッキー・ホイ) |
呉耀漢(リチャード・ウン) |
趙雅芝 |
張瑛 |
〔赤〕履仁 |
李鵬飛 |
鄭淑英 |
羅蘭 |
安東尼摩亜 |
李海生(リー・ハイサン) |
兪明 |
宋錦成 |
火星(マース) |
陳會毅(チェン・フォンイー) |
林正英(ラム・チェンイン) |
泰山 |
馮敬文 |
曾志偉(エリック・ツァン) |
林克明 |
金軍 |
武術指導 |
馮克安(フォン・ハックオン) |
黄哈(ウォン・ハー)
※クレジットは黄蝦 |
音楽 |
陳勳奇(フランキー・チェン) |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
製作総指揮 |
鄒文懷(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1977 |
新最佳拍档
Aces Go Places V The Terracotta Hit
悪漢探偵X最後のミッション
■
エースシリーズは個人的に残念なシリーズである。
というのは日本での興行成績のことで、
「悪漢探偵」しても「皇帝密使」にしても「スペクターX」にしても、日本にメインキャスト達が来日してちゃんとキャンペーンを行っているにも関わらず、大して当たっていない。
功夫でもなく、ハリウッドのいいところと香港映画コメディのわやくちゃさが非常に良くブレンドされた素晴らしいアクション映画だというに。
それはともかく本作は最終弾となる第5弾である。
メインキャストの1人であった張艾嘉(シルビア・チャン)が今回参加していないのが何とも抜け目無い。
男勝りの役を演じれるということで当初嬉々として参加していた、ように見えた張艾嘉であったがシリーズのマンネリ化と時代が求める映画ジャンルのズレをいち早く察し、さっさと次の映画作りに専念している(たぶん)。
こっちは残った男たちが
「あの時の夢よもう一度!」
とばかりに相変わらずな作品に力を注いでいるんだが・・・
■流れ
かつては"最佳拍档(最高の相棒)"と呼ばれた黄金コンビ、許冠傑(サミュエル・ホイ)&麥嘉(カール・マック)であったが一方は会社を経営しても実業家としては成功せず、一方は妻子と別れて借金から逃れて漁港に隠れて暮らすといった感じで落ちぶれていた。
そんな時、"最佳拍档"が兵馬傭と宝刀を盗むといった事件が起きる。
当然、中国公安がこれを黙っているはずも無く、"中国のランボー"と呼ばれる李元霸(コナン・リー)が香港に送り込まれて早速捜査開始。
いきなりバトルを仕掛けられてわけのわからない許冠傑(サミュエル・ホイ)&麥嘉(カール・マック)は独自に偽の"最佳拍档"を捜索することに。
捜索の結果、偽最佳拍档は張國榮(レスリー・チェン)&利智(ニナ・リー)であることがわかったのだが、当然彼らが真の黒幕であろうはずがなく・・・
終劇(これからですが)
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というか・・・
他に誰かいなかったのかよ!?
と思いたくなるような作品である。
これがシリーズものではなく単品のアクション映画であれば、監督劉家良(リュー・チャーリャン)で何の問題も無い。功夫ファイトがふんだんに盛り込まれており、心配されたコメディ部分も無難にまとめているし当時の現代アクションとして十分楽しめる内容である。何となく
「少林寺三十六房」ら少林ものの作品のイメージからお堅い映画を撮りそうな劉家良であるが、考えてみればコメディ功夫の先駆けは彼そのものだった(「マジッククンフー神打拳」)なぁ・・・
ただ、「タイガー・オン・ザ・ビート」で主演の周潤發(チョウ・ユンファ)を差し置いて功夫マンの李元霸を大活躍させてしまった失敗があるのにも関わらず、脱功夫映画新アクション映画であり続けたこのエースシリーズを功夫アクションそのものにしてしまうという同じ轍を踏みに踏みまくったこの失敗は頂けない。「タイガー・オン・ザ・ビート」と本作、どちらが先に撮られたかわからないが何にしてもプロダクションの監督選び間違いとしか思えない。ラストとなるこの作品ぐらい、曾志偉(エリック・ツァン)が監督しても良かったのだろうが(そう簡単にいくわけないけど)。
なので、評価の難しい作品である。
あのエースシリーズを台無しにした、という意味ではこの作品の評価は非常に厳しいものがある。
しかし、功夫現代アクションとしては十分高水準な良い作品である。だから私のような功夫映画大好きエースシリーズも大好きな人間は非常に複雑な心境なのだ。
これがラストとなるとちと寂しいが。
麥嘉のスタントダブルで熊欣欣(ション・シンシン)が出演しているのが何ともおもろい。
許冠傑vs莊泉利(ビリー・チョン)というマニアックな対決も見もの。
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■CAST&STAFF |
監督 |
劉家良(リュー・チャーリャン) |
出演 |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
麥嘉(カール・マック) |
張國榮(レスリー・チェン) |
利智(ニナ・リー) |
李元霸(コナン・リー) |
黄錦〔炎木〕(メルヴィン・ウォン) |
陳雅倫 |
李修賢(ダニー・リー) |
張耀揚(ロイ・チョン) |
袁潔瑩(フェニー・ユン) |
莊泉利(ビリー・チョン) |
瑪利亞 |
曹達華(チョウ・ダッワー) |
夏志珍 |
麥鶴頓(マーク・ホートン) |
夏占士 |
呂燕 |
熊欣欣(ション・シンシン) |
劉家榮(リュー・チャーヨン) |
動作導演 |
劉家榮(リュー・チャーヨン) |
脚本・策劃 |
曾國賜 |
音楽 |
泰廸羅賓(テディ・ロビン)
※クレジットは衛朋 |
魯世傑(リチャード・ロー) |
製作 |
麥嘉(カール・マック) |
制作年度 |
1989 |
紅場飛龍
The Dragon from Russia
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これはちょっと・・・
なんか、何にもわからなんだ。
これいったい何してる映画なの?って感じで。
日本のコミックが原作ということで、例によってちっとも許可なんかいないらしく、その辺の関係もあって日本ではソフト化されていない。されていないが、する価値も無いといった方が正しいのだろう。
■流れ?
・・・書こうと思ったが、やっぱりようわからん。
なんか悪い組織がいて、ロシアで功夫のドサ廻りをやっていた許冠傑(サミュエル・ホイ)はそこの争いに巻き込まれて、友人の石天(ディーン・セキ)は殺され、恋人の張曼玉(マギー・チャン)とは離れ離れ、自分は何とか逃げた(?)・・・逃げたかどうかもようわからんかったが、李麗珍(ロレッタ・リー)と元華(ユン・ワー)?だと思うがその師匠に助けられて、そこで功夫の修行。
修行したけど対抗組織の利智(ニナ・リー)とか元コとかに負けて、許冠傑は強制的に冷血な殺し屋にさせられる。
張曼玉と再会して、少しずつ自分を取り戻す許冠傑であったりして、さらに対抗組織の白鷹(パイ・イン)とか呉家麗(ン・ガーライ)がいるところと戦って倒したら、やっぱり元華が一番悪い奴だったので倒しましょう。
終劇
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そりゃ字幕推測のみで話を追ってるから語学力に乏しい私ではちとアレなのだが、そんな私でも例えばその辺の翻訳が難しいはずの「高度戒備」なんかは「これは傑作!」と思えるわけで、翻訳問題だけが問題だけではないだろうというのが、正直な感想。
許冠傑主演で他豪華キャストで現代アクション映画と考えれば、誰だって傑作を期待して、傑作とはいかずとも「飛龍伝説オメガクエスト」のようにある種の水準はクリアしていて当然と思ってしまうものなのだが、これは見事に裏切られた感がある。当時で考えれば明らかに斜陽であったシネマシティが制作した作品で、豪華キャストに大幅な海外ロケを考えても社運を賭けた作品であったことはわかるのだが、日本のコミックから脚本をひねり出す辺りにもかなりのネタ切れ感があり、第一この豪華キャストを見事なほど使い切れておらず、どの役者の魅力も出ていない。
しかし、かつては許冠傑のキャラを活かし切ったエースシリーズで大成功を収めたシネマシティが許冠傑を使い切れないというのは非常に寂しいものがある。
その分、確かにワイヤー功夫においては頑張っており、これだけ許冠傑がワイヤー功夫で動き回っている作品は無いだろう。その社運を賭けた作品の動作指導に抜擢された元コの熱意だけはこちらに伝わってくる映画ではあったのだが、何度も言うように旧時代の功夫映画のように功夫さえ良ければ何とか・・・といった時代はとっくに終焉を迎えているだけに、良いアクションは全て作品全体の総評の中に掻き消されている。
うーむ、拾えるところは綺麗処がたくさん出ていてその中でも呉家麗(ン・ガーライ)さんのセクシーシーンということで。
ダメな時はこういうのを堪能するのが良いかと・・・女性はどうするのだ。
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■CAST&STAFF |
監督・製作 |
霍耀良(クラレンス・フォ) |
出演 |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
張曼玉(マギー・チャン) |
呉家麗(ン・ガーライ) |
利智(ニナ・リー) |
李麗珍(ロレッタ・リー) |
孫興 |
元コ |
石天(ディーン・セキ) |
元華(ユン・ワー) |
白鷹(パイ・イン) |
梅愛芳 |
李麗蕊 |
劉洵(ラウ・シャン) |
アンソニー・マークホン |
潘コ銓 |
盧雄 |
陳東 |
張國〔木梁〕 |
黄明昇 |
葉進 |
劉崇峰 |
ブレット・コールマン |
余文炳 |
洪新南 |
梁錦榮 |
何鏡堯 |
陳盛鴻 |
張榮祥 |
秦貴寶 |
陳碩 |
動作導演 |
元コ |
脚本 |
陳寶華 |
音楽 |
林敏怡(バイオレット・ラム) |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
策劃 |
劉嘉蔚 |
製作総指揮 |
石天(ディーン・セキ) |
制作年度 |
1989 |
天才與白痴
The Last Message
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許冠文(マイケル・ホイ)作品がMr.BOO!!シリーズとして日本公開されていった当時に唯一公開を見送られた作品がこれ。
勿論、早くからこの作品の存在は知っていたのだが、日本で公開されなかったことについて、精神病院が舞台であることと題名の"白痴"がまずい(キーボードで"はくち"を変換しても出てこないでしょ?それが証拠)ということで、公開されなかったのだと思っていた。
だが実際作品というのは観てみるもので、公開されなかった理由や、この後の「Mr.BOO!!」が傑作となったことがよくわかるといったものだ。
■流れ
許冠文は精神病院の雑役夫。
許冠傑(サミュエル・ホイ)は看護士。
このどうでもいい二人に共通していることはお互い金が欲しいということで、全編に渡ってサミュエルの"天才白痴銭銭銭"を聴きながら、銭銭銭というわけだ。
喬宏(ロイ・チャオ)が入院してくる。
かなりのイカレ具合で重症患者。
この重症患者が持っていた骨董品の破片、姜南(チャン・ナン)のおっちゃんに調べてもらうと高額品だったということで、ここからマイケルとサミュエルのお宝争奪作戦が始まる。
わりには、ディスコで楽しく踊ってるシーンが長かったりして。
サミュエルバンドメンバーの演奏映像としては貴重かも。
死ぬじゃん。
2人が大騒ぎするもんだから、ただでさえ重症患者の喬宏は遂に死亡。
死んだ後の脳波からモールス信号を読み取ろうとするが、ここに隠されていたメッセージとは?
終劇
■
まぁ簡単に。はい。
色気を出している。
というのが本作への素直な感想で、得意のコメディだけではなく、歌ありドラマあり涙ありと当時の他許冠文作品と比べて、新しいことにチャレンジしている感の強い作品である。
ただ、盛り沢山のように見えるがその実は味が薄い感もある。
精神病院という舞台が画的にも非常に地味であるのもマイナスだろう。
評価の難しい作品である。
それこそドラマ重視で作ったジャッキー「ファースト・ミッション」が超絶アクションを求めていた時代に正当な評価を下されなかったように、本作も他シリーズ同様のギャグてんこ盛りを期待すると肩透かしを喰らう、そんな作品ではある。
しかし、英語題のラストメッセージを意味するシーンは非常に泣けるシーンであるし、錢ゲバギャグの間に盛り込まれたしっとりとしたペーソスが効いている作品として、今の眼で観ればこそ評価出来る作品なのかもしれない。
本作は1975年の興行収入第1位を獲得している。この数字は一見、成功に見えるが「新Mr.BOO!!アヒルの警備保障」までの許冠文作品の中で一番ヒットしてないのが本作であることも見逃せない。
こうして一連シリーズを通して眺めてみると実によくわかるというもので、
処女作「Mr.BOO!!ギャンブル大将」は、
「これこれこういう映画が面白いだろう」
と意気込んで作った挑戦であり成功を収め、次回作にあたる本作で、
「これこれこんな感じはどうなんだろう」
と実験的に作った冒険で、ある程度の失敗を覚悟する。
この2作での観客の評価・反応から時代が求めているものを感じ取り、3作目にあたる「Mr.BOO!!」にそれを昇華させる。
故にこの「Mr.BOO!!」はピンポイントに時代のツボを突き、興行収入を見れば明らかで本作が455万HK$で、次の「Mr.BOO!!」は大よそ倍に当たる853万HK$を稼ぎ出している。
こうなってくると後の2作はノリノリで、「Mr.BOO!!インベーダー作戦」は許冠文のアイデンティティ、コアになる部分を明確にして描き出すが三作目で弾き出した成功の方程式を外す事なく完成させてほぼ同様の大ヒットを叩き出し、最後の「新Mr.BOO!!アヒルの警備保障」に至っては全ての項目に成功の方程式をはめ込んだ集大成にしてその答えたちを奇跡的にバランスよく散りばめた傑作で、数字は1776万HK$のスーパーヒットを記録する。
こうやって流れを書き出すと本作の登場は後の傑作が登場するために必然だったと言える。やはり何にしても一日にして成らず、なのだ。
当HPに関しても、本当に近頃何て言うか・・・お褒め頂いて恐縮な思いで、ほんとありがとうございます・・・で、やはりこれも一日にして成らず、なのだ。
"続ける"って行為は大事なんだなぁ・・・
惜しむらくは、未だに本作が日本でソフト化されていないことにあろう。
今でこそ、正しい評価が下される作品であるのだが。
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■CAST&STAFF |
監督 |
許冠文(マイケル・ホイ) |
出演 |
許冠文(マイケル・ホイ) |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
喬宏(ロイ・チャオ) |
艾綺蓮 |
劉一帆 |
蕭錦 |
姜南(チャン・ナン) |
馮毅(フォン・イー) |
顧嘉輝(ジョセフ・クオ) |
石天(ディーン・セキ) |
許冠英(リッキー・ホイ) |
田俊(ジェームス・ティエン) |
曾楚霖(ツァン・チョウラム) |
馮敬文 |
甘露 |
朱由高 |
康嘉欣 |
陶三姑 |
蓮花樂隊 |
陸阡 |
程小東(チン・シュウトン) |
黄拔景 |
閔敏 |
脚本 |
許冠文(マイケル・ホイ) |
劉天賜 |
薛志雄 |
音楽 |
顧嘉輝(ジョセフ・クオ) |
許冠傑(サミュエル・ホイ) |
製作 |
鄒文懷(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1975 |
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