■成龍(ジャッキー・チェン)1991
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飛鷹計劃
Armour of God2
Operation Condor
プロジェクト・イーグル
◆「アジアの鷹」として名を馳せているトレジャーハンター・ジャッキー(ジャッキー)は、 旧知の仲である侯爵から「秘密の鍵」を手渡される。
この鍵は第一次対戦時にナチスがエジプトのどこかに埋蔵金を隠したとされる 秘密の地下倉庫の鍵だった。
早速、手がかりを求めて捜索を開始。
ジャッキーは埋蔵金の事を知っているナチスの残党の孫(エヴァ・コーポ)に接触することに成功する。 だが、当然埋蔵金を狙っているのはジャッキーだけではなかった・・・
■
「奇蹟/ミラクル」('89)の後にジャッキーが撮った本作('91)は比較されて然るべきだと思う。その比較とは実に単純で、長々と説明しなくても見比べればわかることなのだが、そうすると書くネタがないのであえてあらましを書いてみたい。
要は両作品ともジャッキー監督ながら目指したところは全然違う。
「奇蹟/ミラクル」は香港娯楽映画の魅力そのものを堂々と押し出した作品であり、本作は香港が地元資本でどれだけハリウッドに切迫できるアクション映画を撮れるのかと挑戦した作品なのだ。
また"ジャッキー・タイム"で撮られた最後の作品だとも私は思っている。"ジャッキー・タイム"は自分の造語なので後述。
「奇蹟/ミラクル」に無くて、この映画にある決定的な要素とは"開放感"だと思う。単純に、冒頭のジャッキーが入る大きなゴムボールと、巨大な山谷。
大きな湖に小さな島と広がる巨大な海。オープニングでその全ては示されている。
逆に香港オールスター的キャスティングで迫った「奇蹟/ミラクル」と比べ、メイン共演者で同じ香港役者はヒロインの1人鄭裕玲だけ。
いわゆる香港映画のワイワイガヤガヤな部分は、カレーに付いてる福神漬け程度に留めて、あくまでジャッキーなりのハリウッドスケールなアクション映画であることを一貫している。
後の展開はお約束でありながらより一層迫力を増したカー(バイク)アクション、善悪乱れての隠れんぼと追いかけっこ、広大な砂漠での旅、突然沢山出てくる敵の土着民族たちと今まで
「サンダーアーム/龍兄虎弟」や「プロジェクトA」シリーズ、「ポリス・ストーリー」シリーズで培った色々なバリエーションを総合させて、さらにハリウッドテイスト、もっと端的に言えば
「インディ・ジョーンズ」的テイストを加味させて見せるジャッキーアクションの集大成であり、この時点でこれ以上のものは無いと言うところまで作り込んでいる。
ただ ラストの巨大扇風機なる地下基地での戦いは皮肉でもあり、不思議だ。観る人観ればわかるだろうけど、ここまでワールドワイドにロケ敢行してるにも関わらず、クライマックスの撮影現場は今までの作品でお馴染みのこのスタジオなのだから。意図してかどうかはわからない。
その巨大扇風機そのものがお馴染みのスタジオであることを感じさせない要因にも一役買っていることは確かだ。だが、最終的に故郷に戻るのか何なのか知らないがクライマックスはこのスタジオで撮影している。
さて、挑戦である
"ハリウッドアクションに近づくこと超えること"
これはどのくらいの成功を見たのであろうか?
これはある程度、個々の感想に頼らざるを得ないところもあるが、個人的な感想としては初観賞後に"ジャッキーやったな!"だった。上映時に一緒にいたジャッキーファンではない友人の感想もそれを証言している。
本当にTVのちっちゃい画面より大スクリーンが似合う映画である。
■休止
その後にジャッキーは監督業を名目上休止する。
「奇蹟/ミラクル」「プロジェクト・イーグル」。
それぞれ違う目的を目指して作られて映画はどちらとも十分な成功と完成度を得た。これ以上の映画を製作するには新たな魅力の開拓を求めるしかないだろう。
「ポリス・ストーリー/香港国際警察」を観た親父が紙に簡単に感想を書いたのだが、それが今でもハッキリ頭に残っている。
親父の感想 「面白い 裁判〜暇〜面白い〜暇 最後面白い」
あの傑作をして「ふざけるな!」と言いたくなる輩さんもいるだろうが、私個人は同意できる部分はある。その部分とは「〜」←この部分だ。
残念ながらジャッキー・タイムはそれほど好意的な表現ではない。
ジャッキー監督作品に確実に存在する、表現しにくいベターッとした部分。 これが「〜」だ。と言われても、わけわからんよな。
例えを出すのも難しいのだが、要はあれだけ編集しててもまだ
"カットすることを勿体ぶって余計なカットを残している"
これこそはジャッキー監督の味の1つなのだが、 ジャッキー監督はジャッキーという俳優を1つの素材として冷静に見きれない(自分だから)。
そのことをジャッキー自身が気づいていたのではないか?
こういった意味も含めて以後しばらくは役者に専念したのであろう。
これはその後の
「ポリス・ストーリー3」での唐李禮監督の演出を見れば一層顕著になる。
劇中にはジャッキーが自身への温情、作品への愛情でどうしても残してしまうようなシーンは一切無い。最初から最後までジャッキーと楊紫瓊が走り回りながら駆け抜けていく温情無きジェットコースタームービーである。
あえて、ジャッキー本人がそれを望んだのであろう。
私はそう思うが、過大評価になっちゃうかな。
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■CAST&STAFF |
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監督・原案 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
出演 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
鄭裕玲(ドゥドゥ・チェン) |
エバ・コーポ |
池田昌子 |
マーク・エドワード・キング |
ブルース・リチャード・フォンティン |
火星(マース) |
黎強權(ベニー・ライ) |
盧惠光(ロー・ワイ・コン) |
武術指導 |
成家班 |
脚本 |
ケ景生(エドワード・タン) |
成龍(ジャッキー・チェン) |
製作総指揮 |
何冠昌(レナード・ホー) |
鄒文懐(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1991 |
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火焼島
Island of Fire
炎の大捜査線
◆死刑にされたはずの囚人が警察長官を殺害して爆死。
この謎の事件を捜査するため刑事(梁家輝)は「火焼島」と呼ばれる刑務所に 罪人として潜入。
重傷を負った恋人の手術代を稼ぐためマフィアの1人を殺したアロン(ジャッキー)も同じく刑務所に入れられる。アロンの殺したマフィアが自分の弟だと知ったマフィアのリン(劉徳華)はアロンを殺害するため自ら刑務所に潜入する。強盗傷害で逮捕されたホン(サモ・ハン・キンポー)は最初から刑務所にいた。
4人は極悪の看守長などとの様々なトラブルで辛い思いをするが、やがて4人とも看守、看守長を殺した殺さないの罪で死刑になってしまう。
しかし、死んではいなかった。
4人の前に警視総監が現れ、
「生きたければ、俺の仕事をしろ。」
とシンガポールの麻薬組織のボスを暗殺せよとの命を受ける。
■
「ドラゴン特攻隊」と同じく、王羽がスターを無理矢理集めて撮った監獄アクション。監督・スタッフもほとんど「ドラゴン特攻隊」と同じである。
本作の主役はどちらかというと梁家輝なのだが、
「本当に出演したくなかった。」
と本人はコメントを漏らしている。
というわけで、あんまり良からぬところから本作は始まってるが、
あくまで朱延平監督として傑作の1つだと私は思った。彼の真骨頂が詰まった作品でもある。
その様子はその「ドラゴン特攻隊」と比べるとわかりやすい。
「ドラゴン特攻隊」は時代考証ムチャクチャにまさに何でもあり何でも集め。
パクリから、戦争から功夫からお色気、ホラー、王羽そのもの、台湾オールスターとジャッキーを担ぎ出し、さらに反戦メッセージまで付け加えて出された超寄せ鍋映画である。
成功したかどうかはともかく、当時の子供にとっては話の展開としても
・ジャッキーあんまり出ない
・そのジャッキーが王羽にボコボコに
・王羽は衝撃の裏切り者!
・登場人物ほとんどが死亡(死に方も壮絶)
と、出来がどうこうよりもインパクトそのものに強い印象を残す作品であることは間違いなかった。
ただ、いわゆるバカ映画の1つとして数えられることの多いこの作品はまぁ正直、数々の書評のとおりでマジメに観た人から苦情が来るのもしょうがない、うどんも豚肉も鴨肉もマロニーもカラムーチョも正露丸もごちゃごちゃ入った味の調ってない寄せ鍋作品だからだ。
本作は前述のとおり、基本の作り方が「ドラゴン特攻隊」と全く同じで、やっぱり寄せ鍋的映画であることに何にも変わりは無いのだが、
"作る料理人が腕を上げていた"
といったところだろうか。朱延平の経験から来る"まとめ上手"というか全てを"ブチ壊し一歩二歩手前"で味を崩すことなく抑えている。
大きすぎる4人の主演の扱い方も見事。
■ジャッキー
まぁ、ジャッキーに関してはグッドタイミングに監督業を降りて、
"様々な役柄を自ら望んでいた"
時期とも思われ、意外とすんなりで出番のバランスも十分取れたようです。 だからこそ話が来たのかもしれません。
ジャッキーだけでの話を語れば
・恋人が殺される、過失致死で殺人を犯す
・殺人罪で逮捕される
・看守にボコボコに殴られる
・挙げ句の果てに軍隊に蜂の巣にされる
と今までのジャッキー映画からは考えられないほどの悲劇っぷりで、個人的にはね、
「実はすっげー楽しんでやってんじゃないの」
と、製作環境はともかく役柄そのものに関しては結構やる気っぷりが感じられる。
やっぱりジャッキーって「笑顔が一番!」ってのは間違いないんだけど、ここでの苦悩したり苦痛に顔を歪める姿も非常に色気もあって、
「いい役者だよ」
と素直に思ったりもするんです。
ここで1つ、作品感想と関係はないが面白い比較をしてみよう。
本作で劉徳華と戦う時痛い時のジャッキーの表情、そして「嵐を呼ぶドラゴン」で傅聲が悪者と勘違いされて唐炎燦らに殴られるところの傅聲の表情を見比べてみよう。
・・・似てませんか?
(比較できる環境に無い方、すいません)
ジャッキーは今までのスケボーやローラースケートほどでは無いにしろ、短い出番の中でアクション的にも小技でビリヤード、そして功夫、ガチンコ対決、ガンアクションと思い返せば結構充実しており、その辺も「ドラゴン特攻隊」の中途半端な出演よりよほど活躍が面白い。
■劉徳華
あまりに出演作品数が多く把握しきれなくて、「天と地」のようなハードボイルドな演技もバッチリこなせている(つまり何でも出来る)彼なので評価の難しいところではあるが、個人的には明るい兄ちゃん(チンピラ兄ちゃん)的イメージが強かったので、本作でのハードボイルドな演技に私は正直結構シビレました。やはりノワール作品での経験が生かされてるのでしょうね。
劉徳華迷にとっては"彼本来の魅力が全然出ていない"というところもあるんだろうなって気がしますけど、ジャッキーに弟を殺されてから、特にジャッキーの前では
「俺を憎め!そして悲しめ!」
という悪役ぶりをワザと披露し、そのジャッキーと命を懸けた対決をした後の脱走劇で、弟を殺したジャッキーを
「こいつも同じ穴のムジナ・・・」
と一瞬迷いつつ助けに行く姿が格好良すぎます。
隅々に至るまでセリフではなく表情に心情がちゃんと出てるとこが素晴らしいですね。さすがに重宝されているスターだけあるなぁ・・・
■梁家輝
俺さー
"梁家輝の何が好きって、顔が好きなんだな"
本作ではよく考えてみると、物語の大筋となる話の主役が彼で、バックストーリーも一番しっかりと準備されてるのがかえって悪影響を及ぼしている。 劇が始まって数分で、恩人の警察上司らと夕食、
梁家輝 「俺は不良のクズだった。・・・あの時、あなたが私を助けてくれなけ れば・・・」
等と、最もらしいBGMと状況説明がそそくさと始まってしまうので、
説明っぽいなぁ
と正直、一番感情移入しにくい。
これは彼そのものではなく、演出や脚本における問題だろう。
「本当に出演したくなかった。」
と言いつつ、
「プロだなぁ・・・」 と感心させる演技力は流石で、眼鏡の友人を殺されたときの怒り爆発シーンなど躊躇無く頑張って演技しているサマは素晴らしいものがある。
■サモハン
スター前夜にも、ジャッキーと比べ遙かに悪役で大役をこなし、「七小福」の先生役も含めて、幅広い演技力はもはや言わずもがなか。
本作での悪者は悪者だったんだけど、別れた息子と逢いたくて、そしてその息子と一緒に幸せな生活を築く夢を持って、日夜脱獄に励む(笑)大きな背中は
"香港映画界のドン"ではなく"働く父ちゃん"の雰囲気が漂っています。
だって、脱獄して(笑)息子と遊んでいるときのサモハンパパは
"日曜日の理想的なお父さん"
しかし、捕まって(笑)刑務所長に拷問されてるときのサモハンパパは
"平日の典型的なお父さん"
昼間のパパは〜♪ちょっと〜ちが〜う〜♪
昼間のパパは〜♪悪い汗〜かいて〜る〜♪
またシケモクを葉榮祖のおっちゃんとくゆらせながら、"理想の将来" を渋く語る姿なんかは良い味出てますよねぇ・・・
それにしてもこのシーンは
「Mr.BOO
ギャンブル大将」リスペクトなんだろか。 わずかながら一緒に脱獄した王羽と語り合うシーン、
対談!香港映画界 表ボスvs裏ボス
という貴重なツーショットが見る人見れば興味深すぎます。
昔から何度も共演してますけどね。
■王羽と柯俊雄
さすが主演とクレジットされてるだけあって、主演4人に負けず劣らず圧倒的な存在感を示すのがこの2人。
そりゃ2人が本作を作ってるんだから当たり前なんだけど、
柯俊雄の
"人の目玉も平気でくり抜かんばかりの怖さ"
は圧倒的で、少なき出番ながらカツラつけての悪役は流石です。
ジャッキーとは和解したはずなのに〜 by「奇蹟/ミラクル」
さらに王羽に至っては、
あの懲罰房から出てきた時の表情、立ち振る舞い・・・
"悪いこと全てやってきましたが、何か?"
といった悪として極みに達したような怖いを通り越す演技(あくまで演技)が素晴らしいです。これはやっぱり・・・まぁいいや自粛。
■−−−−−−−−と、
主演を分けて魅力を説明できるほど、そのバランスが良いのです。
昔ならジャッキーがちょろっと出て、鄭少秋(アダム・チェン)がちょろっと出て「終わりかい」って感じだったんだけど、この辺のかり集めたメンバーの使い方も絶妙なのね。
■その上で、
お話を盛り上げるシーンを挙げれば、
・監獄ドラマ
・サモハンのお料理教室
・ジャッキーアクション
・劉徳華のノワール
・ラストは大銃撃戦
・おまけで「ゲテモノレース」もあるよ
・なぜかおっぱいもあるよ
と例外なく、たくさんの面白い要素が詰め込まれていて
やっぱ"迷尓特攻隊"と同じじゃん
とまぁそうなんだが、どの要素も目立ちすぎず入れすぎず、編集や一貫したサントラによる演出といった塩や胡椒となる調味料を上手く使って
"意外に美味しかったかな"
と錯覚させるに十分の一定した味に保っているのである。
究極のスタイルの掃き溜め映画
と表現しても面白い。
"この映画のここが好きだから持ってこよう、ここは嫌いだから止めとこう"
そのようなスタンスで集めて作ったスタイルの出し方に関して、経験ある朱延平監督は非常に上手いのだ。
■
本作の批評はマスメディアでもボロボロだったし、だいたいが「仰るとおり」なので反論する気はないが個人的にはかなり好きな作品だったりする。
当時、最終上映を見に行ったが、劇場がマクドナルドの上というへんぴな場所ということも手伝って、観客は2,3人だった。
というか、京都の某映画館の話だが、あそこは看板があるだけで映画館は別の場所にあると思ってた。ホントにマクドの上とはな。そりゃ誰も気づかんわ。
予告編も一応、TVであったのよ。
■CAST&STAFF |
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監督 |
朱延平(チュ・イェン・ピン) |
出演 |
梁家輝(レオン・カー・フェイ) |
成龍(ジャッキー・チェン) |
洪金寶(サモ・ハン・キンポー) |
劉徳華(アンディ・ラウ) |
王羽(ジミー・ウォング) |
柯俊雄(オー・ジョン・ホン) |
唐宗華 |
葉全眞 |
張璃竹 |
張國柱 |
方正 |
余邦 |
曹健 |
李長安 |
易原 |
陳文和(チャン・ウェンホー) |
社福平 |
王徳志 |
熊海霊 |
王安 |
盧惠光(ロー・ワイ・コン) |
武術指導 |
林萬掌 |
音楽 |
傳立(フー・リー) |
脚本 |
傳立(フー・リー) |
葉雲〔木〕焦 |
製作 |
陳文和(チャン・ウェンホー) |
梁程(レオン・チン) |
秋鳴(ポール・タン) |
制作・策劃 |
柯俊雄(オー・ジョン・ホン) |
製作総指揮・策劃 |
王羽(ジミー・ウォング) |
制作年度 |
1991 |
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火爆浪子
Angry Ranger
■
「夢醒血未停」のところで林國斌(ベン・ラム)さんの話はまた次の機会にと書いたので、その機会が本作。
林國斌さんは成家班の元メンバー、になるのかな?
そう言えばAKB48のメンバーやっと大島なんとかさん一人覚えた(覚えてないじゃん)。この人は
「小田霧響子の嘘」に出てたので。それにしても小田霧響子扮する石原さとみさんの可愛らしいことったらありゃしない。
いや流石にこの歳になってくるとアイドル関係わかりません。嵐とか言われても・・・どれが嵐なのか台風なのか通り雨なのか・・・
・・・んで、林國斌さんは「ファースト・ミッション」で刑事役でチョロっと確認出来るし、やや目立つのは「プロジェクトA2/史上最大の標的」、ああそっか「ポリス・ストーリー2/九龍の眼」でも悪役の一人だったか。結構ジャッキーに使ってもらってたんだなぁ。
成家班卒業後はやはり悪役が多くて代表的なのは「破壊之王」かな。
後は「ゴッド・ギャンブラー 東京極道賭博」や「クローサー」等に出演。
んだが
その前に成龍(ジャッキー・チェン)兄貴にプロデュースしてもらった主演作が本作である。
監督は王龍威(ワン・ロンウェイ)・・・なぜ?
どういう流れでこのような人選になったのか不思議だが、とにかく監督はあの王龍威だ。
なんてったって武術指導は成家班、そこらのマーシャルアーツ映画とは一味違うアクションをちゃんと構築している。
■流れ
友人をチンピラとのイザコザから助けた林國斌。
しかし、そのファイトでチンピラを刺してしまい入所。
出所して取り敢えず家に戻って旧友とか尋ねてフラフラする林國斌。
まず仕事探しから始めたほうが・・・
探そうとしない林國斌はディスコへ・・・踊ってる場合か!
そして、ディスコという表現は古いですな。クラブへ。
もうクラブシーン→絡まれてファイトシーンへ
って流れは功夫映画時代の客棧でメシ食ってたら絡まれてバトルへ、って流れと=ですから。
ここで梁婉靜さんと知り合った林國斌でしたが、残念ながら梁婉靜は黒社会組織のボスの女。
おお、ファイトが始まるかと楽しみにしたが友人の孟龍に止められる林國斌。ちぇっ
何せ成家班ですからケンカになるのが楽しみで。
続いてその入所前に因縁のあったチンピラから嫌がらせを受けますが、林國斌は勇気男気たっぷり過ぎの男なので、逆にチンピラの車奪ってボコボコにして海に沈めて・・・いやそんなことしたら・・・
当然、チンピラがいる組織が黙ってはいません。そりゃそうだ。
今度は林國斌が身を寄せる会社の車とか社長とかボコボコに。
なので、また仕返しに行く林國斌さん。ルーティンだなぁ。
しかし、仕返しバトルがやっぱり成家班アクションはいいねぇ!
ルーティンに嫌気がさして遂に出てくる組織のボス・張國華、
と、ガチンコ功夫対決!
そ、そういうのある映画なんだ!嬉しい!
お互いの腕を確かめ合って、やや和解した両者でしたが・・・
一方でちゃっかり梁婉靜さんと仲を深める林國斌。
しっかりとベッドシーンまで挿入されています・・・
その前に仕事探せよ、あんた!
これに激怒したのは梁婉靜を囲っていたまた別の組織ボス・・・げっ!
こ、これは・・・
さ、孫建(サン・ジェン)さん・・・!?
あんた五毒メンバーの孫建かよ!!いやこれは・・・
「少林拳対武当拳」
この辺から随分とイメージが変わりましたね。そして、
手下は黎強權(ベニー・ライ) に張華に周潤堅と成家班集合!やったね!
メンツを潰された孫建は敵対する張國華組織のチンピラを殺害。
これを林國斌の仕業に見せかけて両者をさらに敵対化、おかげで孟龍と共にボコボコの目に遭って逃げ出す林國斌と追う張國華組織、これをまとめて一網打尽にすべく火にかけて殺しまくる孫建。
友人も寝床もボコボコにされて、更には新彼女も正しくゲットしたい林國斌は命をかけて復讐に臨む!!・・・・仕事探せ!!
楽しく舞台鑑賞する孫建さん
さてラストは勿論、林國斌 vs 成家班+孫建 だ!
あるぞ!黎強權のアパアパキック!
それも進化版!アパアパキックの進化版!
終劇
■
ストーリーはそれだけかよ!
って感じでそれだけです。
これ、そのはじめに因縁のあったチンピラ共も必要以上に林國斌を虐めようとかしてませんでしたので、全くほっておいて遠く行って仕事探せば林國斌としても何の問題も無い生活が送れたという・・・
何か深いテーマでもあるんかいなと観てましたが見たまんまそれだけ。
総評としては全然良い点は付けられないのですが、何せ成家班構築のアクションといった見所があります。
当初はアクションシーンは少ないのかなと思っていましたがどうしてこうして成家班総出演って感じでお贈りするアクションはさながら
「ジャッキー・チェン/マイ・スタント」を観ているようで・・・いやあっちがデモンストレーションなのですが、危険なスタントアクションから実に成家班らしい舞踏にならない武闘を存分に演出しています。
ここが他のアクショングループと一線を画すとこなのですが、どうしてもマーシャルアーツファイトと言っても舞踏に近い武闘になってしまうんですね。
リズムを同調させてイチ、ニィ、サン、ハイ!みたいな。
成家班が他アクショングループと比べて優秀なのはここで、ある程度殺陣リズムを壊してぐちゃぐちゃにしているようで実は綿密な計算に基づいたアクションを構築しているってところなんです。
李賽鳳(ムーン・リー)さんのアクション映画なんかと比べると分かりやすいかと思います。殺陣が綺麗過ぎるんですね、あっちは。だからリアリティーには欠ける。
結局好みの問題でもありますが、ジャズとクラシックみたいな例えも出来るかな。
そしてそもそもそんな即興のようで緻密でもあるアクションを演出しようと思ったら高いチームワークと個人スキルが必要になってきますからね。
も一つ言うと
かつて、作られた格闘シーンでありながら限り無くリアリティーあるものを目指し、自身のアイデンティティーを貫かんとした李小龍(ブルース・リー)という武術指導者が存在し、時は巡り巡って全くアプローチは違えどもマーシャルアーツファイトに於いて、武闘が舞踏にならないように腐心した武術指導者達が成家班(ジャッキー・アクショングループ)であった、これは物凄く興味深いことだなぁと思いましたね。
そもそも李小龍と全く反対のアプローチで始めたジャッキーのアクションがそして彼が組織した成家班が紆余屈折を経ていつの間にやら同じような追求点を目指していたのですから。
■CAST&STAFF |
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監督 |
王龍威(ワン・ロンウェイ) |
出演 |
林國斌(ベン・ラム) |
梁婉靜 |
孟龍 |
孫建(サン・ジェン) |
呂頌賢 |
莫家堯 |
韋君龍 |
單桂枝 |
胡昭明 |
張國華 |
周潤堅 |
黎強權(ベニー・ライ) |
張華 |
尹相林 |
米奇 |
姚文基 |
洪新南 |
譚鎮東 |
陳世騰 |
賈仕峰 |
李發源 |
黎強根 |
林崇正 |
ケ美美 |
張婉華 |
廖見玲 |
衛青 |
關信培 |
侯煥玲 |
夏國榮 |
武術指導 |
成家班(ジャッキー・アクショングループ) |
脚本 |
陳錦昌 |
策劃 |
陳自強(ウィリー・チェン) |
ケ景生(エドワード・タン) |
製作 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
製作総指揮 |
何冠昌(レナード・ホウ) |
制作年度 |
1991 |
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