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警察故事V・超級警察 Police Story3 :Supercop ポリス・ストーリー3 ◆ 東南アジアで50%のシェアを誇る麻薬組織のボス・チャイバ(曾江)一味を一掃逮捕するため、香港国際警察のチェン刑事(ジャッキー)は 中国の囚人キャンプに投獄中のチャイバの腹心パンサー(元華)に 悪者を装い接近する。 中国での補佐官ホア(楊紫瓊)とともに、 チャイバのアジトに「仲間」として潜入し、証拠を掴むのも間近であったが、 偶然チェンの恋人メイ(張曼玉)が組織に捕まり、 チェンが刑事であることがバレてしまう。 組織はメイ解放の条件としてチェンに囚人護送車の襲撃を命じた。 ■ 「シャンハイナイト」の公式サイトで "年代別あなたの好きなジャッキー映画"を投票出来ます。 ※現在は出来ません。 というわけで、'70年代'80年代の各ランキング投票結果は 「なるほどなーそうだろなー、なんでジャッキー・チェンのヤング・タイガーに8票も入ってんだよ」 なんてツッコミながらもだいたい納得できる普通のランキングだろう。 ところが'90年代以降に入るとこの投票数が面白くなってくる。 現在のところ、 1位が「酔拳2」 2位が「Who am I?」 3位が「ラッシュアワー」 だ。 まぁこれ以上、引用するのもアレなので具体的には言わないけど、気持ちとしては「あれーっ?」って感じ。あれーっ?って感じるような作品はみんな中ぐらいの順位。 どうしても自分の世代を中心として捉えてしまいがちだが、サモハンはもちろん、ジャッキーも知らない人は知らない、上手く表現できないが、 「キム・ベイシンガー知ってるか?」 と言われれば、知ってるけど知らないような現況の中のランキングだというのがよくわかる(なんだそりゃ)。 ここ最近では「ラッシュアワー」が一番ポピュラーなジャッキー映画だとも思われるし、あのヌルイ・・・いやいやとにかく観たことない人なら、新鮮に見えたのかも知れない。 そして日本で「ラッシュアワー」の次に公開したのは「Who am I?」。 「ラッシュアワー」でジャッキーに興味を持ってくれた人が、この映画を観て 「すげーじゃん!」 と思ってくれたのは容易に推測できる。 だから1位は「酔拳2」なのだ・・・あれーっ? 【今の若者、さらに推測】 「ラッシュアワー」をきっかけに「Who am I?」を観て凄かったぜ! ↓ 先輩から「いやぁ、ジャッキーと言えば酔拳だぜ!」と言われる。 ↓ ビデオ屋へとわくわく。ところが「酔拳」が無い・・・ もしくは、「酔拳」パッケージを見て古臭いと判断(そうだけど)。 よって「酔拳2」を選択。 ↓ !!さらに新鮮な驚き!! 「酔拳2」は私的にとっても感慨深い映画ではあるが、作品全体のクオリティとしてそんなに高いとは思っていないのが私の本音。ただ、功夫アクションの気合いの入れようは素晴らしく、もうそれだけで俺の中で100点満点に持っていきたくなるような結局はあま〜〜い評価の作品である。 ただ、功夫コメディを知らない最近のティーンエイジャーにとって、「酔拳2」で初めて目にする奇妙奇天烈な戦い方は新鮮に格好良く映ったのではないか(私の世代にとってはリメイクなんだけどね)。 ・・・つーか、あれ? 俺「ポリス・ストーリー3」のレビューをするつもりじゃなかったっけ? ああ、そうそう! 要は(ここまで引っ張って全く要じゃないじゃん) この俺の大好きな傑作を 今の若者たちは見てないんじゃないか? ・・・って思うのよ。 ■シリーズもののジンクスが生む悲劇? Part1が一番面白い この一般的なジンクスを破る例外は少ない。 「ランボー」「ロッキー」はかなり象徴的、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(ただこの作品ほど前作とリンクする映画も珍しいよね)然り、「プロジェクトA」然り・・・そう言えば「ターミネーター3」は見てないなぁ・・・ その中で、 「ポリス・ストーリー3」。 最近、新たにジャッキー迷になった人のこと(仮にA君)を考えてみよう。 A君 「この前、借りたポリス1は最高だったなぁ・・・今日は2を借りてみよう!」 A君 「おっ!?ポリスは3もあるのか!?なになに・・・ えっ?監督はジャッキーじゃないの?そして見知らぬこの女性は誰? ・・・うーん・・・」 A君 「とりあえず今日はポリス2と奇蹟を借りてみよう!」 という流れになりそうな気配は容易に推測がつく(推測ばっかり)。 それにしてもリアルタイムにこんな楽しみ持った人は幸せ・・・ いやいや、リアルタイムにジャッキー映画を観てきた俺の方が幸せだよな。 とにかく「ポリス3」はその第一印象からして "ちょっと手を出しにくい感" があるのではないかと思われる。 ほほー それでは早速本題へ(早速じゃないじゃん) ■音速の興奮! 大袈裟に書いたけど、劇場で観たときは表現の通りだった。 劇場から出てしばらくは俺も友人も言葉が出ない・・・ まるで「プロジェクトA」と「ポリス・ストーリー」というものを初めて観たバート・レイノルズのような気分・・・(これについてはfake様HP日記2002.02.02分をお読み下さい。というか必読!) さっき見た映像、あれはいったい何なのだ!?人間にあんなことが・・・ ポツポツと口を開き出す俺と友人。 「凄かった・・・凄かったな、凄かった凄かった!」 それからの興奮は話すまでもないだろう。 この映画には余暇が無いのだ つまり、シーンとシーンの間に前のシーンの感想を考えさせるような間が無く、観客も休むな、ずっと観てろこのやろ。 みたいにほぼ一切の余計なシーンを挟まない。 スタンダードに観てる映画もずいぶんと難しいアートを持ち出していた北野武監督にこの映画の感想を是非伺いたいものだ。 最近は自分と世間のジレンマから、余計な色が付いている感の強い北野作品だが(同情するが)、元々は余計な演出を一切しないことは大きな特色だったはず。 余計な演出は挟まない そしてちゃんと娯楽映画でもあり、面白い これこそ最近の「BROTHER」や「座頭市」などの北野作品が目指した先ではなかったのか。「座頭市」は結構良かったけど、何となく違った これが超カンタンな自分の感想で、北野テイストがしっかり残ってるじゃないかと言われればそうなのだが、残ってるという言われ方をされるということはそれは残り物だからダメなんじゃないの?って気もするからで、 残ってると活かされてるは違うだろって感じの映画だったなって気分である。 って、また話がずれたな。 とにかく"息つく暇無く"とはまさにこういうことを言うのだ。 そんな映画がまさにこれなのだ。 と私は言いたい。 似たような感じで全然違う映画が一つある。 それは「ナイスガイ」だ。 この映画も始まってすぐアクションアクションアクションアクション アクションアクションアクションアクションアクションアクション アクションアクション終劇 ・・・確かに息つく暇はなかった。 ただし、 息つく暇はなかった=面白い ではないと証明した映画でもある。 やはり映画は「話、キャラ、イベント」これら3つがバランス良く混ざってないと幾らテンポが速くでもアクションだけじゃ面白くはならないのだ。 その辺をクリアしている。 それがこの映画の凄いところだ。 確かに話も簡単、主要人物も少数ではあるが、 幕切れを迎えるまでのハラハラなストーリー展開は全く飽きさせないし、 幕切れを迎えた時にジャッキーを除いて強く楊紫瓊と元華の印象が残るだろう。 3つの要素をバランス良く消化した上で、息つく暇ないテンポ感、これらを両立させた素晴らしい作品なのだ。 ■ジャッキーだけではない とは言っても、 「魔域飛龍」で監督デビューしたばかりの唐李禮に目を付けたプロデューサーとしての才はかなり大きく買いたい。 監督・武術指導 唐李禮 冒頭にこう表示された時には、僕は大きな不安を感じたものだ。 「えっ?アクションも監督に任せちゃったの?つーか誰?」 そんな感じだったが唐李禮のジャッキー作品次回作「レッドブロンクス」の時には、逆にどれだけの期待をしたものか。 唐李禮監督の客観的な目で余計なシーンを切る妥協無き姿勢、そしてあまたのアクション映画監督さんたちどころか命懸けアクション第一人者のジャッキーでさえびっくりの実験的なスタントシーンの数々。 ジャッキー&元華が1つのロープウェイにぶら下がって、山の頂上から滑り降りた時は俺でさえ、いつものジャッキースタントを観る印象とは違った。 怖ーっ!? 続いて元華。 七小福出身で存在も知りながら、なかなかその正体を現さなかったやっとこさ日本デビュー(厳密には違うけどね)な彼の存在は凄まじく大きい。 他にこの悪役を誰が出来ただろう・・・と考えると・・・ん〜 パッと思いつくのは呉鎮宇(フランシス・ン)ぐらいかな。この当時だと若すぎるかも。というわけで、あまりにも元華さんピッタリな役なのだ。 説明だけなら麻薬組織のボス、曾江扮するチャイバの側近でしかない。 だけど、その風貌とやることなすことワイルドで悪でクールで強烈。 おまけに仲間となったジャッキーを故郷に連れて行ってあげる仁義まで垣間見せる。ちなみにジャッキーの偽甥っ子に見せる親戚のおじちゃん的な元華スマイルが素敵。この辺のワイルドでクールなのに牧歌的小市民な一面も見せることで、このキャラクター凄い深みがあるんですね。曾江のおっちゃんがワイワイ騒いでる後ろで細かな芝居をしてる彼にも是非注目してあげて下さい。 てゆーか、楊紫瓊。 復帰作としては余りに最高だったっすね。 ジャッキー不仲の真偽はどうでもいいっす。だって、それが劇中に影響してるのならまだしも全然影響してないもん(作品第一主義)。 アクションはジャッキーと半分こ。 復帰したばかりにしては過激すぎるんじゃないの? ってアクションを平気な顔して(平気なはずはないが)やってのける彼女は素晴らしいですね。 最初は中国の公安ということで、お堅いイメージで登場するもジャッキーの妹に扮したりすることでどんどん緩和。 シンガポールに着く頃には自慢の(知らないけど、脚線美ですよね!)おみ足をスラリと披露。 冒頭の中国ポリスなイメージは何処行った?的七変化がたまりません。 この2人で十分ちゃー十分なのですが、 張曼玉の「ちぇん!かっ!くいっ!」 がすげー可愛くて好きだし、董驃&陳欣健のおっさんコンビも良い味。火星くんがさりげなく出てくる辺りもよか。 ベテラン曾江さんは言わずもがなに、羅烈さんが出てきた時は1人ほくそ笑みましたね〜 ■ というわけで、 '90年代ジャッキー映画ベスト1に私が推すのは本作です。 何回か書いてますが '70年代 「酔拳」 '80年代 「プロジェクトA」 ってな感じで。 3作品に共通してるのはやっぱり「話、キャラ、イベント」このバランスが素晴らしく良い、ということですね。 Part1が一番面白い このジンクスを見事に崩した作品なので是非、 「ポリス・ストーリー3」という題名で尻込みな人達はご覧になってみて下さいまし。
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