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■成龍(ジャッキー・チェン)1993  


城市猟人
City Hunter
シティハンター

※題名クリックAmazonで確認できます。

◆探偵の冴場涼(ジャッキー・チェン)は日本新聞社社長の令嬢(後藤久美子)の行方不明捜査の依頼を請ける。 豪華客船に逃げ込んだ令嬢を追って冴場と助手の槙村香(ジョイ・ウォン)も 客船に乗り込むが、そこで客船ジャックが起こってしまう。

劇場で観たときは「きっついなぁ〜」で感想終わってたんだけど、時間が経つにつれて結構好きな作品になってしまったのがこれ。
ポリス・ストーリー2/九龍の眼」('88)あたりからジャッキー人気も下降線を辿っていた日本をつなぎ止めておくための、ジャッキー苦肉の作品だろうと思う。原作が北条司「シティハンター」、ヒロインが後藤久美子、主題歌がアニメ「シティハンター」と同じように宇都宮隆、おまけに軟硬天師の唄う香港版"ガラガラヘビがやってくる"と日本人が喜びそうな要素をたくさん取り入れて頑張っている。が、やはり

"他国のマーケティングリサーチは難しいよね"

例えば「KillBill」。
香港映画だけでなく日本映画もたくさんリスペクトしているこの作品ではあるが、今となってはタランティーノの方が日本人より昔の日本映画について詳しく、若者が見てもその辺のリスペクト部分を全く無視して評価するだろう。それは恐らく香港人にしても同じ。まぁそこまで予測の上でタランティーノが制作したのならそれはそれで凄い。

廃り流行りの早い日本ではその当時でもう「シティハンター」「後藤久美子」「宇都宮隆」の旬は過ぎており、その辺のファンも取り込んでヒットさせようといった目論見は見事裏目だったと思われる。
ただし、今見直してみると王晶らしいごった煮テイスト(命軽いよ)とまるで「クレージー・モンキー・笑拳」に戻ったかのようなジャッキーの表情の豊かさ、そして王祖賢の可愛さも相まって結構楽しい作品なのだな、これが。



冒頭の明るく「シティハンター」のあらましを説明するあたりも好き。
冴場涼(ジャッキー扮する主人公)は原作でそんなにネボスケではなかったけど。すぐスケボー少年達との追いかけっこになってしまうあたりは '80年代前半のテイストって感じで、王晶のその辺を全く気にしない演出っぷりがたくましい。

■えーっ!?これが野上冴子!?

邱淑貞(チンミー・ヤウ)迷の皆さん、すいません。
初見の彼女の印象はそんな感じでした。原作での野上冴子は峰不二子的存在で ヒロインの槇村香(劇中では王祖賢扮する)よりも正直美人です。なので、「きっつー」 これは原作の全巻を読み倒していた影響でしょうね。今見ると言うほどじゃないんですけど。この時の邱淑貞の相棒である巨乳ギャルは温翠擁でいいのかなぁ?

■ゴクミ

既に当時、いわゆる美少女アイドルから演技派女優として確固たる地位を築きつつも、まぁ色々なゴシップ等に悩まされていた苦しい感じもありましたね。この作品は彼女にとって非常に特異な出演作として残ってます。
・新体操はするわ
・体当たり演技だわ
・男をのしてふんぞり返るわ
今までの邦画出演でやってないことガンガンやってましたね。
本人としても全然違うことが出来て、気持ちよかったりしたのではないでしょうか。劇中にはちょっと鼻にかけてるような感じもなく、典型的ではありますが原作「シティハンター」でも必ず出てくるお話ごとのヒロインの役目をバッチリとこなしています。

■ただ・・・

ゴクミもチンミも頑張りましたが、何しろ個人的に
この映画のウリは王祖賢ですよ
ストライクですよ。ピンポイントですよ。トルネードですよ(それは落ちるやん)。
チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」の吹けば飛ぶよな女(でも吹けばこっちが殺されるが)とは全く違って、
・前半から犬の真似して尻ふるジーパン王祖賢が可愛いし
・自慢の脚線美もガンガン披露
・ドレス姿でお色気で迫れば
・ドレス姿でガリ股寄り目で倒れて泣き叫べば
・原作通りに乱暴でも結局は冴場涼に一途のヒロインであり続けて

最後までメチャクチャ可愛いのです(一言で言っても良かったんだが)

当時であればさらに人気も美貌も素晴らしいのに、オスマシした役だけに留まらず、本作や「大英雄」でもガンガン 日本の事務所に所属してたら間違いなく止められていたような演技でもこなしちゃうんですね。何回も言ってることですが。今回はそれが見事にはまりました(個人的に)
後1つ注文を付けるのであれば、

春麗にジャッキーが扮してんじゃねぇ!
脚線美の王祖賢がやってくれ〜

■やべー・・・

こう思ったのはジャッキーではないでしょか。
「このまま王晶の言われるがままやったら、ワイが納得するような映画になんか絶対ならへん・・・こんなんやったらまた日本のファンにうけへんで・・・(汗)ワイにメガホン貸さんかい!!そしてカモン!我が成家班チーム!!」(超推測)

というわけで、ここまで王晶色の強かった本作はクライマックス対決のみジャッキー監督っぽくなるのだ。 ジャッキーvsノートンは既に「サイクロンZ」('88)でのユキーデ・リターンマッチ後、濃密なガチンコ対決をしていなかった時代の中で意外に濃いガチンコ対決してたりするのである。
勿論これは「シティハンター」なため、コメディ色は強いが逆に言えばこれだけコメディに徹した戦いも珍しい。その上で激しいさは変わらず。意外と忘れられている良い対決なのだ。

まぁこの対戦があったので、いわゆるジャッキー映画の看板は守ったという感じはあるかな。そうでないとホントに王晶映画にジャッキーが主演しただけになっちゃうね。

なので、捉え方の問題で

いつものジャッキー映画だと思って観ると辛いけど
王晶映画にジャッキーが主演したと思えば結構な作品ではなかろうか?


原作好きとしては"海坊主"も出して欲しかったな。
徐錦江(チョイ・ガムコン)という適役がいたのに。

■CAST&STAFF
監督・脚本 王晶(バリー・ウォン)
出演 成龍(ジャッキー・チェン)
王祖賢(ジョイ・ウォン)
後藤久美子
王敏徳(マイケル・ウォン)
邱淑貞(チンミー・ヤウ)
単立文
温翠擁
林海峰(軟硬天師)
葛民輝(軟硬天師)
黎明(レオン・ライ)
リチャード・ノートン
葉農
林其欣
朱潔儀
黎彼得
段偉倫
萩原賢三
ビンセント・ラポルテ
マイケル・アボット
ルイス・ロース
盧惠光(ロー・ワイ・コン)
武術指導 程小東(チン・シウ・トン)
成家班
音楽 黄霑(ジェームス・ウォン)
戴樂民(ロメオ・ディアス)
主題歌 宇都宮隆
原作 北条司
製作 蔡瀾(チャイ・ラン)
篠島継男
製作総指揮 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
何冠昌(レナード・ホー)
制作年度 1993


重案組
Crime Story
新ポリス・ストーリー



◆香港の不動産王ウォンが何者かに誘拐される。
チェン刑事(ジャッキー)は誘拐犯を追走するが、結局は取り逃がしてしまい、応援に駆けつけた白バイ警官2人も誘拐犯にひき殺されてしまう。チェンは昔誘拐犯を検挙したことのある先輩刑事フォン(ケント・チェン)と組んで、誘拐犯捜査を続けたが、なんと誘拐の主犯はフォンそのものだった。

シティハンター」と180度趣の違う非常にシリアスな刑事アクション。
ジャッキーのシリアス劇は古いもので「龍拳」などがあるが、最近では「火焼島」ぐらいと非常に少ない。その中でシリアスなジャッキー映画としてはベストだと思う。
いきなり冒頭から、ジャッキーは強盗犯を射殺したことに苦悩し、精神カウンセリングを受けていること自体シリアス。ほとんど笑顔も見せない。

(しかし、インド産VCDにはカウンセリングのシーンがありません。  
本作のヒロインも出てません。なんで?)
アクションが他の映画と違うのは、
「誰でも火事場のくそ力ぐらいあれば、できるかもしれん。」
というリアルスティックなスタントに押さえていること。
←まぁ、何とか頑張れば一般の方でも・・・
←やっぱ無理か・・・
描写も他映画に比べてリアルである。このあたりは監督カーク・ウォンの力量だと思う。
←冒頭の誘拐犯追走シーン。
このシーンが一番好き。
←何気に出演のチュン・ファット。老けたな・・・
香港ではコメディ俳優として人気のあるケント・チェンが、今回もの凄い憎たらしい悪役を見事に演じきっている。本当に感じ悪い。
←感じ悪すぎ。

エンディングなのにジャッキーの渋い表情。格好いいじゃん。
たまには、シリアスなジャッキーを観るのもいいかも。


■CAST&STAFF
監督 黄志強(カーク・ウォン)
執行導演 陳誌華(チェン・シーホワ)
出演 成龍(ジャッキー・チェン)
鄭則士(ケント・チェン)
羅家英(ロー・ガー・イン)
潘玲玲(プア・レン・レン)
伍詠薇
歐陽佩珊
段偉倫
朱柏和
柯受良(ブラッキー・コー)
尹相林
夏占士
林コ勝
黎強根
李忠志
尹發(ワン・ファ)
鐘發(チュン・ファット)
盧惠光(ロー・ワイ・コン)
余國樂
陳コ光
動作指導 成龍(ジャッキー・チェン)
成家班
脚本 秦天南
陳文強
陳麗玲
張志成
陳徳森(テディ・チャン)
音楽 黄炳耀(ジェームス・ウォン)他
製作 蔡瀾(チャイ・ラン)
製作総指揮 何冠昌(レナード・ホー)
制作年度 1993

新ポリス・ストーリー
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