千機變
The Twins Effect
ツインズ・エフェクト
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遅ればせまして失礼しますが、やっと観ました。
物凄いタイトル通りな作品でしたねぇ。
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流れ
香港に何故か吸血鬼はびこる。
反吸血鬼同盟のヴァンパイアハンターである鄭伊健(イーキン・チェン)はパートナーとともにドラキュラ・ミッキー・ハートを退治せんとしたが、逆に返り討ちにあいパートナーを死なせてしまう。
一方でドラキュラ王子6人のうちの1人である陳冠希(エディソン・チャン)は家老的存在の黄秋生(アンソニー・ウォン)と共に教会に居を構えて平和に暮らそうとしたりなんかして。
鄭伊健は次のパートナーに鍾欣桐(ジリアン・チョン)を迎えるのだが、
「もうパートナーに恋はしない」
と誓っていた。
とりあえず同居することになるのだが、鄭伊健の妹である蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)がすげー嫌がったりなんかして。
一方で先のミッキードラキュラが陳冠希を除く5人の王子を殺害して生き血の塊を入手。どうやらこれが秘伝の書を紐解く鍵らしい。てなわけで陳冠希も何れ狙われる身に。
陳冠希の父は逃げてしまい、自分で人の生き血を吸う事が出来ないそして許さない彼は飢餓状態に。
いつの間にやら彼をドラキュラと知らずに恋人関係になっちゃってた蔡卓妍は彼がドラキュラであることに気づくと、救急隊員の成龍(ジャッキー・チェン)の協力もあって敵のドラキュラ軍をはねのけて輸血用パックを入手し、彼に飲ませる。
余り頼りにならないパートナー鍾欣桐を差し置いて1人でミッキードラキュラとの対決に出向いた鄭伊健だったが、ミッキーはこれを用意周到に待ち伏せ逆に彼をドラキュラにしてしまう。
鍾欣桐は蔡卓妍と陳冠希を連れて、ミッキー退治に出向くのだが、陳冠希はミッキーにやられて瀕死状態に、鄭伊健はドラキュラになって処置無しなので断腸の思いで処断。
怒りに燃えたツインズは決死の覚悟でミッキードラキュラに立ち向かっていく・・・
終劇
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まぁ簡単に言えばこんな感じ。
まずもって何故キョンシーというポピュラーなチャイナドラキュラがいるのに、わざわざ「ドラゴンvs7人の吸血鬼」でもあるまいにドラキュラを遠くから持ってきて題材にしてるのか不思議。キョンシーじゃ駄目か?ちょっとカジュアルさに欠けるか?何でもありの香港映画なので別に良いんだけど。
予想以上に面白かった(簡単な感想やな)。
全く持ってホラーなのかコメディなのかシリアスなのかジャッキー・チェンなのかわからない映画ではあるが何も無理にカテゴライズする必要もあるまい。
面白きゃええのだ。
まず主演のツインズが頑張らされているところに注目したい。
香港のアイドルは大変だ。
売れたらいきなり誰でもワイヤーアクション、功夫アクションをやらされる。
彼女たちだってその練習は相当にしただろう。日本ではそんなんない。
向こうは張曼玉(マギー・チャン)だろうが關之琳(ロザムンド・クワン) だろうが誰だっていつかはワイヤーに吊られて空を飛び回らなければならない(全然そんなのやりたくない人だっているだろうに)。それでこそまず一流女優としての登竜門だ・・・そうか?
本作でもツインズは出来るだけダブルなしで大変頑張っている。素晴らしい気概だ。と同時にもう一つの気概を感じやしないか。
ハッキリ言って本作はツインズを売り出すためのアイドル映画である。
個人的にはこの2人、どうにも色んな面で中途半端な感じなところがまた可愛くもあるし、決して嫌いではないがさして好きでもない。という私的印象は置いといて、言うべくもないがこの作品では裏方に甄子丹(ドニー・イェン)が回り、ジャッキーらがゲスト出演で盛り上げ、鄭伊健(イーキン・チェン)とベテランの黄秋生(アンソニー・ウォン)が要所要所でシーンを締める。スタッフ他の面々についてもまた然りで、何が言いたいかと言うと、香港映画に携わる既にビッグな怱々たるメンバーが
「いっちょアイドル売り出しに協力してやろうじゃないか」
と一丸となってこのアイドルの背中を押してやっているということなのだ。
ここの彼らベテラン勢の気概の良さ、結束力の高さが実に見て取れるではないか。「美味しんぼ」で中国人の若夫婦が横浜で食堂を出すために華僑ネットワークのメンバーの前で料理を作って認めてもらって融資してもらうなんてエピソードがあったのだが、本作はまさしく華僑ネットワーク的なチャイナの結束力、
「この若い力をみんなで応援しようじゃないか」
という頼もしい気概を感じるのだ。
そういえば結局キョンシーなどのホラー映画に主演しなかったジャッキーではあるが、ドラキュラに噛まれそうになってアクロバティックに逃げ回るジャッキーを見て、
「あんた、それ得意分野じゃんか」
と思った。つまり、よく考えたらホラーコメディにぴったりの良い動きが出来る人じゃんかと。今からでも遅くないので今度はホラーコメディやってみても良いかもしんない。林正英(ラム・チェンイン)の後継いでみますか、ツインズ引き連れて。