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■成龍(ジャッキー・チェン)2005  
 

神話/驚天傳奇
The Myth
THE MYTH/神話


どうしてもあの〜
邪推になりますがここのところ中国の巨匠が次々と武侠大作を放っておりますが、その辺のところにどうしても国の後押しを感じてしまうのであります。後押しといっても色々あるやね。良い後押しもあるけど、突然後ろから押されて前が崖になってるとか。
つまりはこういった武侠大作と呼ばれるものが世界でヒットを飛ばせば、それは中国の大きな啓蒙となるわけで、も一つ言えばお金が入ってくるのも確かなところでございましょう。
台湾生まれの李安(アン・リー)監督が放った「グリーン・デスティニー」を皮切りに、それに触発された張藝謀(チャン・イーモウ)監督(本人は前から考えていたと仰ってはおりますが)が「英雄HERO」「LOVERS」と連打、遂には「キリング・ミー・ソフトリー」にて既にハリウッド監督デビューを果たしていた陳凱歌(チェン・カイコー)までもが「PROMISE」を製作するに至った。さらに極めつけの駄目押しとして十大華人の1人である成龍(ジャッキー・チェン)までもがこの武侠大作というものに携わることになるのである。

もともと製作が噂されていたものは「飛鷹計劃3」、いやジャッキー本人によると「飛鷹計劃」シリーズに近いイメージのものが作られるとされていたのだが、いつの間にかそれが「神話」という映画に摩り替わった印象がある。次回作の予定が許冠文(マイケル・ホイ)共演の「BB計劃」、そして「ラッシュアワー3」ということで進んでいくのであれば、この本作、当初はウーピー・ゴールドバーグや竹野内豊共演が予定されていたがポシャり、大幅な変更の元にもしかしたらだな、もう1つ製作が予定されていた「岳飛」という作品の脚本、元々作ろうとしていた「神話」、「飛鷹計劃3」、この3つの脚本の刷り合わせで捻り出されたのが本作ではないのだろうか。どうもおかしなところがある
おかしなところの1つにはやはり監督が唐李禮(スタンリー・トン)であるということ。
唐李禮は今まで武侠映画を撮った経験は無い、まぁこれは張藝謀も同じなんだけどどう考えても唐李禮がこれまで得意としてきたのは危険なスタントが連続するハードな現代アクションである。剣劇アクションであればもっと適任とする人材が他にもいたのではないか?と推測してしまうのだ。しかもラブストーリー絡みとなればさらにそんなもん撮ったことのない唐李禮監督だと荷が重く感じてしまうのは私だけではないはずだ。
これを良い方向で捉えることは出来る。
もしこれが・・・程小東(チン・シュウトン)監督でしかもアクションの仕切りまで完全に任した場合、一言で言って
「ジャッキーが主演でなくとも・・・」
といったような映画が出来ただろう。そういった映画があっても私は構わないが、それはダメだ!と一番思うのは何よりジャッキー本人だと思われる。
そこに行くと唐李禮と言えば「ポリス・ストーリー3」「ファイナル・プロジェクト」といった傑作を残し、さらにはジャッキーがハリウッドで栄冠を勝ち獲った「レッド・ブロンクス」の監督・・・信用が絶大なのは間違いない。さらに彼であれば他のワイヤーワークだけを多用したアクションでジャッキーが・・・いや唐李禮自身が満足するはずはない、必ず彼らしい命懸けアクションを持ってくるはずだ・・・という期待もあったのだろう。事実持ってきてるんだし。
「彼が監督やれば俺らしい武侠映画が出来る!」
まぁ確かにそうは取れる。

しかし、やはり実際には彼は「飛鷹計劃3」の為に当初は呼ばれたのではないのだろうか。
あのシリーズ(それに近いもの)を唐李禮監督がやるのであれば、予定調和は拭えないとしてもいわゆるジャッキー印満点のアクション映画が期待出来ることは確か。
本作が古代と現代を行き来するという苦肉の策のように取れる物語形式になっているのも現代物語部分だけを取り出してみると、
あれ?これが「飛鷹計劃3」だったか?
と思ってしまうのが正直なところ。

だから、ここに何らかの後押しを感じてしまうのだ。
今このタイミングを逃すともう後が無いギリギリといった時期(既に他の武侠大作が出てますから)にやや急造的に作られたような、大きな力で捻じ曲げられて出てきたような作品に感じてしまうのは私だけだろうか。
それは今後、「岳飛」という作品が作られないとしたら(是非、製作してほしいが)やはり疑いは晴れないな。


七転び八起き

しかし、かつて王家衛(ウォン・カーウァイ)監督が「東邪西毒」をどう撮るか悩んでる合間にその為に呼ばれたキャスト・スタッフを使って劉鎮偉(ジェフ・ラウ)が「大英雄」というバカ映画を撮って、しかもえらいヒットを飛ばしてしまった例があるように、逆境を迎えると意外にそこから良い作品が生まれたりもするものである。
第一、本作はおかげで
・ジャッキーが武侠映画に挑戦
・ジャッキーがラブストーリーに挑戦
・ジャッキーが二役に挑戦
・ジャッキーが将軍役に挑戦
とたくさんの新しいジャッキーが見られることになったからである。ちなみに「ゴージャス」のラブストーリーと「ツイン・ドラゴン」の二役はまぁ置いておいてだな。
私のような幼い頃から彼ばかりを見てきた輩にとって、新しい彼が見れること程面白いことは無い、これが過言で無いぐらい嬉しい気持ちがあるのだ。
昔のジャッキーに帰ってきて欲しければ昔の映画を観ればいい。私自身は常に新しいジャッキーを模索して披露しようとする彼の姿こそが好きなのだ。
そこに行くと本作、私が期待をせずにはいられまい。
さて、どうだったか。


他の方の印象はわからないが・・・

いやぁあの近頃ですねぇ・・・
ワイヤーワークを多用するようになったジャッキー(空を飛ぶだけの表現じゃありませんよ)アクションのおかげでね、何だかまたアクション比重が上がってきた・・・そんな感じしません?アクション多いなぁって。
・・・それこそ「ツイン・ドラゴン」観た時かなぁ・・・
「ああ、ジャッキーも段々とアクション抑えてきたなぁ・・・というか流石に限界が来てるか・・・」
と思い出して、まぁこれは「ポリス・ストーリー3」で一度吹っ飛ばされるんだけど、その後も作品によってはそうだなぁ「シティハンター」「新ポリス・ストーリー」「デッドヒート」そして一連のハリウッド作品やね。流石にサモハンと唐李禮の前ではやたらアクションやらされてるけど、
アクション少なくなってくるのはしょうがないね
みたいな気持ちは良いにしろ悪いにしろ自分の中にあったのは確か。それがなんちゅうかこの前の「香港国際警察 New Police Story」観て、本作を観てどちらとも予想よりずっとアクションが多いのに驚かされるっていうのかな。
もっと深く言うと何だかほんとに私個人の印象にすぎないんだけど、
しばらくは「やらなきゃな」と重い腰を上げてやっていたように見えたジャッキーのアクションシーンが、「やれますよ!」と重い腰をワイヤーで軽くして何だか楽しそうにやってるアクションシーンに変わってきた・・・そんな印象を受けるんですね。

ほらみろ!!
「彼は必ず自分らしいワイヤーアクションを捻り出してくるはずだ・・・」
そう想っていた私の願いが届いているではないか!!
ジャッキーはタキシードを脱いだのか!?
そうではない。彼はタキシードをも着こなしたのだ。
タキシードのパワーを身に付けた上でさらにジャッキーは自分流の蹴りを開発することに成功したのだ!
(コラム「タキシードを脱げ」参照)。

「以前からちょこちょこワイヤーは使っていたんじゃ・・・」
ジャッキーの「マイスタント」なんか観た方なんかは特にそう思うところもあるだろう。それは確かに。
ところで君は「アクシデンタル・スパイ」を観たか?
ハリウッドの要望に疲れて一度香港に帰って撮った作品がそれである・・・だのに、
その小割りなアクションシーンからジャッキーのアクションシーンに対する「面倒くささ」を君は感じなかっただろうか?
「もうキツイんだけどなぁ・・・」
といった息苦しさを感じなかったであろうか。
制約の無くなった香港に帰ったのにアクションシーンは明らかに小ぶりである(クライマックスを除いて)。
ワイヤーは使っていてもまだそれを活かしてメキメキとアクションシーンをこなせるようなノウハウは生まれてなかったのではないだろうか?

じゃなぜ「香港国際警察NewPoliceStory」でまたあれほどのアクションに立ち戻れたのだろうか?
というところで、以前とは全然違うと言いたいのだ。

どうも彼のレビューだと熱くなってしまうな・・・

まぁそれでですね、今回もまたアクションの多いこと。
まずお馴染みのジャッキーアクションと唐李禮監督らしい危険なスタントは現代篇でバッチリ。ねずみ取り工場のアクションでマリカ・シェラワットが裸になってしまうとこなんか「プロジェクト・イーグル」を感じてしまうなぁ・・・今回が初共演の七小福兄弟・元コと戦ってくれるのも嬉しい。元コも流石に頭は来てましたが技は衰えませんね。

古代篇では大凡ジャッキーらしくない血の吹き出る剣撃アクション乗馬アクションがバッチリ!(馬キックはいらないと思うけど)
考えてみればジャッキーねぇ「蛇鶴八拳」「酔拳」「ヤング・マスター/師弟出馬」とこの辺剣を使うシーンは全部峰打ちで済ませているんですよ。お前は暴れん坊将軍かっ!
勿論、斬ってるのもありますけど少ない印象なんですね。
そこに来て今回は「ジャッキー何人斬った?」ってぐらいに壮絶。ここも新ジャッキーですね。
共演もこれで3作目になる于榮光(ユー・ローグァン)を迎えての(ウマが合ってるんですかね)クライマックスは滅茶苦茶ジャッキーらしくない壮絶さで、弁慶も舌を巻くよな血塗れさが圧巻。私なんかこれがあっただけで今回の映画の価値があると思いますよ。




ただし、感じたことは素直に言わねば「成こ家班」じゃありますまい。
最初に述べたように脚本に元々怪しいところがあって、やっぱり現代と古代と別々ってところで細かな不満というのはどうしても出てくるもの。予想通り監督がやはり脚本を消化しきれてない感は否めない(故事も監督になってはいますが)。
まぁでもその細かなことは個人的にはそんなに気にならなかった。それを補って余りあるアクションシーンやジャッキーと可愛い金喜善(キム・ヒソン)の良い演技、マリカ・シェラワットのセクシーさもあって十分面白い。
だが大筋の演出で考えれば大いに不満はある。
だってこの映画さ、
「時空を超えて男女が恋をする物語よ」
もの凄いロマンティックさ。
ロマンティックと言えば私も大泣きした馬楚成(ジングル・マ)監督の「星願 あなたにもういちど」よりもロマンティック設定度は上だと思うの。
つまりね、演出と展開如何の工夫によっては、

アクション映画としても抜群!
+
ラブストーリーとしても泣けるっ!
--------------------
大傑作っ!!

って答えが導き出せた可能性があったのね。
その辺は凄い残念。
本作の結末だと観客は感情がこみ上げる一歩二歩手前でせき止められてしまうような印象ではないだろうか。私はそうだった。
アクション監督が唐李禮で監督は馬楚成にすればよかった、彼はジャッキープロデュースの「ヴァーチャル・シャドー/幻影特攻」も撮ってるから繋がりもあるし・・・ってそれは短絡的な発想なんだけど。




とはいえ、
ジャッキーアクションの集大成的面もあり、
新ジャッキーがたっぷり観られる作品でもあり、
可愛いヒロインも章子怡(チャン・ツィイー)に迫る美しさ(個人的にはキムさんが良いけど)、
おまけに良いデュエット主題歌もありと、
大きな風呂敷に詰め込みすぎた贈り物を何度も何度も開けて愛でることでどんどん愛着が湧いてくる映画だと思います。

ごめん、ただ梁家輝(レオン・カーフェイ)は期待よりイマイチ。

■CAST&STAFF
監督 唐李禮(スタンリー・トン)
出演 成龍(ジャッキー・チェン)
金喜善(キム・ヒソン)
梁家輝(レオン・カーフェイ)
崔民秀(チェ・ミンス)
マリカ・シェラワット
邵兵(シャオ・ピン)
孫周(スン・チョウ)
于榮光(ユー・ローグァン)
王合喜
晉松
盧惠光(ロー・ワイコン)
劉思惠
葉山豪
譚耀文(パトリック・タム)
元コ
動作指導 成龍(ジャッキー・チェン)
唐李禮(スタンリー・トン)
元コ
脚本 唐李禮(スタンリー・トン)
王惠玲(ワン・ホエリン)
李海蜀
音楽 王宗賢
製作 陳自強(ウィリー・チャン)
蘇志鴻(ソロン・ソー)
童韻詩(バービー・トン)
製作総指揮 成龍(ジャッキー・チェン)
楊受成(アルバート・ヨン)
楊歩亭(ヤン・ブーチン)
制作年度 2005


精武家庭
House of Fury
ドラゴン・プロジェクト


羨ましいと思う反面、とても応援したくなる映画であった。
前作「エンター・ザ・フェニックス」の成功で監督としての評価を高めた馮徳倫(スティーブン・フォン)監督第2作。今回はより監督の撮りたいものになっているのではないだろうか。


流れ

実は秘密捜査官だったという黄秋生(アンソニー・ウォン)は、今は整骨院を営んでいる普通のお父さん。お父さんの秘密捜査官時代の武勇伝をいつも聞かされている息子の馮徳倫と娘の鍾欣桐(ジリアン・チョン)は親父のホラ話に呆れ気味どころかキレ気味で、家庭もぐらつき気味。
娘の恋人・呉彦祖(ダニエル・ウー)がお家にやって来るということでヤキモキする親父というごくごく普通の家庭。

ところが、事態は一転。
実は元諜報部員の退職後の身の安全を守るというミッションを親父は今も続行中で、この元諜報部員に不具者にされた王敏コ(マイケル・ウォン)が一味を引き連れて強襲。

王敏コに拉致された親父ということで、ホラ話が本当だったことを認識する兄妹は得意の功夫で親父を取り戻すために戦いを挑む!


終劇





前作よりも非常にシンプルな筋立てではあるが、興味深く観れる中々楽しい作品であった。
本作は馮徳倫流の「カンフーハッスル」なのだと私は思う。
違いは周星馳(チャウ・シンチー)が李小龍(ブルース・リー)世代であれば馮徳倫は成龍(ジャッキー・チェン)世代であるということで、観る人見ればになるかもしれないが、本作での功夫シーンはあの当時の功夫アクション+αワイヤーで構築されている。その辺のところで"武術顧問"という形で袁和平(ユアン・ウーピン)にお願いをしたのだろう(ジャッキーは忙しかったか?)。
その出来栄えはというとそりゃあ功夫職人が大挙していた時代の映画に比べての見劣りは避けられないが、アクション女優としてメキメキ実力を上げていると感じる鍾欣桐のキレある動きが特に良かったかな。懐かしい午馬(ウー・マ)さんの軽功はちょっと失笑しちゃうのだが。
李家鼎(リー・カーティン)がすっかり爺さんだ!

期待したい。
本作は傑作と呼ばれるほどの作品とは思わない。
しかし、自分と同世代の人間が遂に監督業で自分の好きだった映画を噛み締めてそれを活かしつつ、
「俺なら功夫映画はこう撮るッ!」
と動き出したのだ。そのうちこの馮徳倫をはじめとして俺も!俺も!と動き出す輩が必ず出てくるはず。そうしたところに新しい名作は必ず生まれる。

・・・しかし邦題「ドラゴン・プロジェクト」は意味不明だなぁ。
素直に「カンフーファミリー」とかで良いような・・・

■CAST&STAFF
監督・原作 馮徳倫(スティーブン・フォン)
出演 馮徳倫(スティーブン・フォン)
鍾欣桐(ジリアン・チョン)
黄秋生(アンソニー・ウォン)
呉彦祖(ダニエル・ウー)
蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)
何超儀
王敏コ(マイケル・ウォン)
午馬(ウー・マ)
梁敏儀
伍允龍
ジェイソン・トビン
李家鼎(リー・カーティン)
樋口明日香
羅家英(ロー・ガーイン)
武術顧問 袁和平(ユアン・ウーピン)
武術指導 袁信義(ユアン・シュンイー)
谷軒昭
脚本 羅耀輝
馮徳倫(スティーブン・フォン)
音楽 金培達(ピーター・カム)
製作 陳自強(ウイリー・チェン)
蘇志鴻(ソロン・ソー)
製作総指揮 成龍(ジャッキー・チェン)
楊受成(アルバート・ヨン)
陳自強(ウイリー・チェン)
制作年度 2005
 

ドラゴン・プロジェクト
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