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■成龍(ジャッキー・チェン)2007  
 

火〔才并〕時速3
Rush Hour3
ラッシュアワー3


マトリックス・リローデッド」で悪役が
「フランス語は素晴らしい。まるでシルクでケツを拭くようだ」
と言っていたが、正しくその通りでフランス語は素晴らしい。
シルクでケツというか、豆腐で頬を撫でられるような喋り方をしてくる。
今回ならロマン・ポランスキーが正しくそれだ。

それはともかく、
ブラックダイアモンド。
マーケットを中国人(特に華僑)と黒人に絞り、彼らの為の映画を製作してお金を儲ける。この市場こそがブラックダイアモンド。俺が名前つけた。
ジャッキーが本作シリーズで、李連杰(ジェット・リー)がその「ブラック・ダイアモンド」、「ロミオ・マスト・ダイ」のヒップポップ功夫ムービーで手に入れた市場である。
実際には本作の監督は白人だし、黒人もクリス1人しか出てこないしで本作はそんなに顕著にブラックダイアモンドが光り輝いているものではない。我が祖国を代表するアクションスター真田広之も出ていることだし、お湯をかける少女も頑張る。ただジャッキーのいつもの笑顔は市場に向けての笑顔だ。


流れ(簡単に)


ハン大使(ツィー・マ)はトライアッズ壊滅の決定的な証拠(シャイシェン)を握る。
これを議会で発表するため、ジャッキー刑事は護衛に立ち会う。
立ち会うが、トライアッズ幹部の真田広之があっさりとハン大使を狙撃。
真田を追い詰めたジャッキーだったが、幼い頃の孤児院時代の兄弟(強引!)ということもあって引き金を引けず、交通整理をしていたクリス・タッカーの邪魔もあって真田には逃げられてしまう。
続いて、「ラッシュアワー」でも大変な目にあったハン大使の娘、スーヤン扮する張靜初(チャン・チンチュー)の護衛にあたるジャッキーとクリス。
病院にやって来たトライアッズの殺し屋たちを逆に返り討ちにして、殺し屋の1人を尋問してヒントを得た。

シャイシェンとは何か?
その答えはパリに。
ロマン・ポランスキーの肛門触診検査を受けて、空港を降り立ったジャッキーとクリスはヒントとなる賭博場へ。
賭博場で謎の女・ノエミ・ルノワールと知り合うクリス。
一方ジャッキーは元お湯をかける少女(しつこいな)、台風クラブ所属の工藤夕貴に誘われて個室へ。
工藤さんとお楽しみになるかと思ったが(思うわけないが)、工藤はトライアッズの殺し屋で襲い掛かってきたぁ!

トライアッズに追われて逃げ出した2人。
タクシードライバーのイヴァン・アタルの力もあって逃げ切ったかと思ったが、真田広之に捕まってしまう。
パリの地下下水道で消される運命になってしまった2人だったが、機転の利いたアクションで汚水塗れになりながら何とか逃げおおせる。

しかし、下水塗れになったムカツキもあったか、些細なことから2人はケンカ。
ムシャクシャして外に出たクリスはノエミ・ルノワールを見つけて尾行してシャンゼリゼ劇場へ。
ジャッキーは国際法廷委員長・マックス・フォン・シドーがもたらしたヒントを得てシャンゼリゼ劇場へ。

劇場で彼らが見たものは、そしてシャイシェンとは何か?


終劇





この映画に・・・
この映画にこの前レビューした「悪漢列伝」の頁にも書いたのだが、「炎の大捜査線」を連想してはいけないのでしょうか。
普通総評が最後で各々が先だけど、総評から書かせて頂くと本作への私の感想はそんな感じ。決して悪くないし十分面白かったと思います。まぁ流石に3作目とあってマンネリ感は避けられないきらいは見受けられたし、新規アイデアで何とか・・・って気持ちも感じられるんだけど打破は出来なかったような。

シリーズ中、一番色んな映画のパロディリスペクトが多い映画である。
私はマックス・フォン・シドーも ロマン・ポランスキーも"知っている"というレベルにある人間ではない。いや、そりゃ知ってるけど。
そんな彼らが出ているだけで・・・というのもあるが、他にも盛り沢山だ。
前作、前々作を連想させるシーンもやたらと多い。
ツィー・マとジャッキーというのは前々作であった、というのは別に構わないが、その後のジャッキーチェイス、走る車の間をすり抜けてというのは「ポリス・ストーリー2/九龍の眼」での冒頭を思い出す。袋小路に真田を追い詰めてというのは前々作にも似たようなシーンがあった。
その後の功夫道場で子供たちがしている演舞は「少林寺」まんまで、巨人のソン・ミンミンと対決する姿は当然「死亡遊戯」だ。

さらにパリに行ってのイヴァン・アタルは前作に登場したタクシー運転手の段偉倫を連想させるし・・・まぁ無理に当てはめることもないが、やっぱ「タキシード」で故ジェームス・ブラウンと唄ったことも思い出させれば、エッフェル塔だと俺のような珍しい輩は「皇帝密使」を思い出す。
さらに言えばオチは「ダイハード」だ。

うーむなんかやっぱ・・・
朱延平(チュ・イェンピン)監督を思い出すような作品だなぁ・・・

後は1つずついこう。
まずはやっぱ真田広之か。
実は私、最近ハマり気味のものがありまして、それは大河ドラマ。NHKの。
過去に面白かったシリーズの総集編を借りて見るのが楽しみ。
特に面白かったのはやっぱり渡辺謙の「独眼竜正宗」、そして真田広之の「太平記」で、今見ると特に「太平記」の方は「そんなアホな」という有り得ない展開もバンバン炸裂しているが、武田鉄矢の楠木正成役も楽しい良作、まだ若さが抜けきっていない真田さん、やっぱりJAC出身だからか「独眼竜正宗」と比べるとアクション面での演出が多くなっているのも特徴である。
・・・あれ?
そうそう。本作は当然私らファンの間で永らく夢の共演とされていたジャッキー、真田のアクション共演で、時の流れは戻せない寂しさはこの際おいといてラストアクションでカッチリガチンコしてくれる対決は嬉しい限りである。特にこのシリーズは特定のジャッキーガチンコ相手がいない作品で、前作は章子怡(チャン・ツィイー)という格好の対戦相手がいたのにクリスと対決してしまった次第が非常に残念だった。今回はキチッと対戦してくれるのでよしとしよう。そういえばジャッキーは鞏俐(コン・リー)とは共演してないな。好きな女優さんなので共演してほしいが、難しいかしら。

日本人としてはクリス・タッカーの評価こそが一番難しい。
彼がサミー・デイビスJr.やエディ・マーフィの系譜を受け継ぐ稀有なコメディアクターであることは理解できる。だが面白さは完全には伝わらない。そこが凄く残念だ。もう一つ言うとクリス・タッカーはこのシリーズ以外にヒット作があるの?「フィフス・エレメント」以外に。

アクション面では素直に面白かったという気持ちも勿論あるが、どうしてもひねくれて考えてしまうというか、ハリウッド、ハリウッドだけじゃなくなっているがやはりこのCG混在型のアクションというのはスリルを生み出さない。
合成のエッフェル塔で戦うのと、生で投げてきたナイフをリアルによけるのとどっちがスリルがあるか?
俺は後者だ。
生まれた時からCG当たり前の世代もどんどんと出てきているので、彼らにとってアクション映画は何と映るのか、正直、以前にあったアクション映画本来の魅力というものがどんどん削り取られている印象があってとてもそれが悲しい。手に汗握らないゲームムービーのアクションは個人的にはもういらないのだがなぁ・・・

今回、盧惠光(ロー・ワイコン)は見つけられなかったなぁ・・・

■CAST&STAFF
監督 ブレット・ラトナー
出演 成龍(ジャッキー・チェン)
クリス・タッカー
真田広之
ノエミ・ルノワール
マックス・フォン・シドー
イヴァン・アタル
工藤夕貴
ロマン・ポランスキー
張靜初(チャン・チンチュー)
ジュリー・ドパルデュー
ツィー・マ
サイモン・リー
ロゼリン・サンチェス
ソン・ミンミン
ヴィニー・ジョーンズ
動作指導 成家班 他
脚本 ジェフ・ネイサンソン
音楽 ラロ・シフリン
製作 アーサー・サルキシアン
ロジャー・バーンバウム
ジェイ・スターン
ジョナサン・グリックマン
アンドリュー・Z・デイヴィス
制作年度 2007


功夫熊猫
Kung Fu Panda
カンフー・パンダ



エビバディセイカンフーファイティン♪
当HP初のアニメ映画レビューである・・・あっ宮崎アニメのレビューしたことあったんだっけ。大したことは書いてないが。
ちなみに

「崖の上のポニョ」観たんだけど、テーマが

「となりのトトロ」と同じやね。つまりは生と死。
ともすれば「崖の上のポニョ」はこれまでの宮崎作品の中でも一番残酷な物語じゃないかなぁと思いました。
勿論、表面上は可愛い人形姫との可愛い触れ合いを描いているんだけどね。
あれは後半はもう極楽浄土の世界を描いていると解釈・・・出来ちゃうよなぁ、だから勿論そうなっちゃ子供にとっても大人にとってもタダの悲しい物語に成りかねないのでああいう終わらせ方にしているけど、ポニョとトトロの役割はほぼ同じなんじゃないかしら?

さてはてそれはさておき、このハリウッド製のアニメーション功夫映画である本作を観ていると何やら懐かしいやら愛らしいやらのダメパンダの物語、その物語に込められている功夫映画への郷愁と悲哀、そして未来を・・・俺、いきなりまとめ書いてるがな。


■流れというか


父が営むラーメン屋で働く単なるデブパンダは、功夫オタク青年・・・
って、このデブパンダって・・・
(ま、今回アニメということで)
まったくもう・・・この軽薄な感じも俺っぽいじゃん。

しかし、功夫教える少林寺的寺のあるこの村に、もうすぐ極悪な功夫使いのタイ・ランが帰って来るということで、寺ではそれに対抗すべく龍の拳士を育てることに。
もう声優の名前で言えば成龍(ジャッキー・チェン)、劉玉玲(ルーシー・リュー)など名だたるスターを押しのけて龍の拳士に選ばれたのはナルコウ・・・ではなくて単なるそのパンダであった。カンフー・パンダ。

色々ありましたが師匠とも和解して修行して勝ちますた。


終劇






意外とあっさり終わるというか、まぁあれやね。
俺も最後の敵って奴が倒しても倒しても這い上がってきたり、殺したのに復活してきたりってのが嫌いやしね。さっさと倒れろってのって思っちゃうから(特にアニメはこの傾向が強いから)これぐらいで留めておいてくれた方がよろしい感じ。ジャッキーの出番が少ないのは残念だなぁ。と思いつつもダスティン・ホフマンは流石だなぁとも思いました。

今であれば

「アバター」や「アリス・イン・ワンダーランド」もそうだし、即ち3DやCGをふんだんに導入した作品が跳梁跋扈し、ただ己の肉体ポテンシャルを活かした
純粋なアクション映画はタイ映画のみとなってしまった。
そもそものアクション映画の定義が難しいが、必殺のパンチ一発さえも役者本人が本当に繰り出したものなのか、CGによる虚構動作に過ぎないのかわからない昨今のアクション映画については
最早アニメ映画と何も変わらない
と言っても過言でないだろう。
もうむしろ私のような古き良きアクション映画を好む輩こそがアクション映画に求めるものを変えざるを得ない、誠に寂しいがこの本作はもし実写、もし役者のアクションによる作品であるならば、そして私があの功夫映画なら何でも狂喜乱舞して観ていた当時の少年の自分であるならば、この作品は傑作コメディ功夫映画として強く心に残っただろう。
だが、その全てが実際はアニメーションで描かれている。
本作に揶揄されたテイスト、即ち古き良き功夫アクション映画のエッセンス・魅力を後世の少年達に伝えたい。
しかしそれを生半可なCGに頼ったアクションで表現しては逆に伝わらない、かといって現実に当時の功夫アクションを再現してみせるキャスト・スタッフがいない。
ならばいっそのこととばかりに結果、本作はアニメーションになったのだ。

本作には功夫映画への郷愁と現実との悲哀、そして未来を担う少年達に少しでも"昔こういう面白い映画があった"ということを伝えたい、この簡単で大人から子供まで誰でも楽しめる単純なアニメ映画にはそういう思いが込められているのだ。


監督 マーク・オズボーン
ジョン・スティーヴンソン
出演 ジャック・ブラック
ダスティン・ホフマン
アンジェリーナ・ジョリー
イアン・マクシェーン
セス・ローゲン
劉玉玲(ルーシー・リュー)
デヴィッド・クロス
ランダル・ダク・キム
ジェームズ・ホン
マイケル・クラーク・ダンカン
ダン・フォグラー
成龍(ジャッキー・チェン)
脚本 ジョナサン・エイベル
グレン・バーガー
音楽 ハンス・ジマー
ジョン・パウエル
製作 メリッサ・コブ
製作総指揮 ビル・ダマスキ
制作年度 2007

カンフーパンダ
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