■成龍(ジャッキー・チェン)2009 |
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新宿事件
The Shinjuku Incident
新宿インシデント
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※完全ネタバレになると思いますので、鑑賞後にお読み下さることをお勧めします。
いやぁ・・・それにしても長かったよなぁ・・・
それこそ何ですか、
「新ポリス・ストーリー」は彼にとって異色の映画にはなったが結局最終的には英雄を演じるいつもの成龍(ジャッキー・チェン)に戻ってしまった。
それから16年・・・16年ですよ!
本作に至るまで、
「THE MYTH/神話」で将軍役、
「プロジェクトBB」で泥棒役など様々な役柄にチャレンジしてきた彼であるがそれらはあくまで自らが構築してきたジャッキーワールドの枠内での話。
なので残念ながらという表現は変かもしれないが、極論を言えば「プロジェクトBB」が仮に真面目な警察官がひょんなことから赤ん坊を預かる話であったとしても何ら違和感はないのである。
どっちにしろ劇中で描いているのは"ジャッキー・チェン"という偶像なのだから職業なんか泥棒でも魚屋でもどうでもいいのだ。
つまり劇中のバックボーン等どうでもいい、そこにいる"ジャッキー・チェン"という偶像を楽しむ映画、これが広い世界を見渡しても唯一無二と思われるジャッキー映画の正体である。
と言うのも考えてみれば例えば「Who am I?」や「ナイスガイ」にはそもそも役名が無い。
登場人物が芸名そのまま"ジャッキー"と呼び、当たり前のように物語が進行していく。
そんな映画が他にあるだろうか?
トム・クルーズがそのままトムと呼ばれてトムとして存在したり、
デカプリオがそのままデカプリオと呼ばれデカプリオとして存在したり・・・
少なくとも私はそんな映画を他に知らない。勿論、
「TAKESHI'S」等の意図的なセルフパロディ映画は除いての話だ。
私みたいな長年ジャッキー迷をやってる人間からしてみれば、
"ジャッキーワールドから抜け出した役者・成龍を観てみたい!"
と思うのは当然のことで、逆に未だに彼の最新作に
「プロジェクトA」の夢を見ているのであればそれはジャッキー迷としてあまりにも甘い、と言わざるを得ない。
ここまで来ると幾ら何でも現実を見ろと。
ジャッキーは現在55歳である。
もうハッキリ言おう。
出来るわけ無いじゃないかと。
もう好きなように映画撮らしてやれよと。
その中から新たな傑作が生まれる可能性の方がずっと高いだろって。
そのジャッキーワールドから抜け出すことを何十年に渡って躊躇ってきたのは他でも無いジャッキー本人で、「新ポリス・ストーリー」ではそのチャンスが多少なりともあったのだが、自らワールドの中に舞い戻ってしまった。
今回、ここまでしっかりとやっとやっとやっと!ワールドから一歩足を踏み出す勇気を彼に与えた、"ジャッキー・チェン"という偶像を楽しむ映画ではない、役者・成龍が作品の主人公に扮することを選んだ、踏ん切りを付けた最大の原因はやはり爾冬陞(イー・トンシン)監督の存在であろう。
常連のお客様には改めて説明する必要も無いとは思うが、この「新宿インシデント」の頁のみに検索してやって来る方もいらっしゃるかと思うので(他頁もよろしくす!)説明させて頂くと、
爾冬陞は元々武侠片功夫片のアクションスターである。
ウチでも「三少爺的劍」「少林羅漢拳」など彼の主演作品をレビューしているので是非ご一読を。
ちなみに成拳頁の画像は「三少爺的劍」での爾冬陞である。
で、ありながらだ。
普通ならこれ、監督に仕事をシフトしたところで今まで培ってきたキャリアを活かして功夫映画やアクション映画を撮るのが普通じゃないすか。
で、ありながら処女作の「癲〔人老〕正傳」は未見なので何とも言えないが2作目は
「野獣たちの掟」である。
これは銀行を舞台にしたドラマで人質を盾に四苦八苦する強盗犯・狄龍(ティ・ロン)の葛藤を描いた作品だ。アクションでも勿論、功夫でもない。
彼の監督としての名を決定的なものにしたのは「つきせぬ想い」で、香港映画では恋愛映画の金字塔的作品になった。恋愛映画である。
その後の監督作も新ジャンル開拓に意欲的なものばかりで最近作「ワンナイト・イン・モンコック」は個人的にはそれほど好きな作品ではないが、各地でとても高い評価を得た作品、監督しての旬もまだまだ絶好調な彼なのだ。
再確認してみると本当に彼しかいない、と思ってしまう。
ジャッキーからしてみれば元々同じアクションスターでその辺の空気やお約束、アクションスターとしての心情も理解しあえる共感しあえる人間で、それでいて新ジャンルの傑作を次々と放ち監督としても旬である・・・本当に彼しかいないと思ってしまう。
さて、その肝心の"ジャッキー・チェン"という偶像を楽しむ映画ではない、役者・成龍が作品の主人公に扮することを選んだ作品の出来はどうだったのか・・・?
■流れ
中国より日本へ密入国してきたジャッキー扮する鉄頭。
彼の目的は日本で行方不明になった恋人を探すことにあった。
あったのだが、文字通り密入国と言うことでとりあえず新宿歌舞伎町、というかその隣の大久保ですね、そこで唯一の知り合いである呉彦祖(ダニエル・ウー)のいる不法移民同士のグループに入れてもらう。
探すも探さないも無く、まずは働かねば生きていけない。
ゴミ清掃や下水管の掃除などしんどい仕事を重ねる中、竹中直人刑事によるガサ入れが入る。
一斉に逃げ出した鉄頭ら不法移民たち。
竹中くんがドジなので足を滑らせ下水道へまっさかさま!
これを間一髪助けたのが鉄頭で、これにより竹中刑事の彼の真の人柄を知ることになる。
その後も皿洗いって感じで貧乏生活が続く鉄頭。
強盗に遭った范冰冰(ファン・ビンビン)を助けたことで、仲良くなったことは唯一の救いであったが、真の現実はとても冷たかった。
皿洗いしてたナイトクラブで遂に恋人・徐靜蕾(シュー・ジンレイ)と再会するのだが、彼女は既に歌舞伎町を仕切るヤクザの幹部・加藤雅也の妻となっており、子供までいた。
ヤケになった鉄頭は娼婦を買い、それを抱いた。
密入国の際に問題を起こしている鉄頭にもう故郷に戻る術は無い。
ここで生きていくしかないと決意した彼は、偽札やパチンコの裏ロム、窃盗や偽造テレカなどの悪さで食い繋いでいた同じく不法移民仲間の林雪(ラム・シュー)と共に悪に手を染めてゆく。
そんな悪事の果てに稼いだ金で、呉彦祖に天津甘栗の屋台をプレゼント。
屋台をやるのが夢だった呉彦祖は大喜びで仲間で彼の小さな門出を祝い、わずかであるが楽しい一日が過ぎる。
その幸せも束の間、屋台商売の際に常連客の女子高生の髪をちょろっとだけ触った呉彦祖。
彼にはいやらしい気は一つも無かったのだが、これを日本ヤクザに取り入るチャイナマフィアの親父・秦沛(ポール・チュン)に見つかり、手下にボコボコにされ、屋台まで潰される。
知らせを聞いた鉄頭は仲間らと秦沛のアジトに押しかけバトル。身分の低い中国人同士の悲しい争いである。
竹中刑事が事件の臭いを察して駆け付けるが、相手が借りのある鉄頭だったのでこれを見逃す。
呉彦祖に降りかかる不幸はこれだけではなかった。
裏ロムや偽造カードをシマで使われたチャイナマフィアの怒りを買い、たまたまパチンコ係を務めていた呉彦祖は高捷(ジャック・カオ)によって拉致。
顔は斬られ、右腕も斬り落とされ、見るも無残な姿で鉄頭らに叩き付けられる。
今度はチャイナマフィアと不法移民のバトルの最中に、ひょんなことから以前の徐靜蕾と加藤雅也を助けることになった鉄頭。
加藤雅也は鉄頭が何者であるかを知りながらも、力と男気のある彼を利用することを思いつく。
まずは自分にとって邪魔者であった新組長の峰岸徹、そしてそれを妬む幹部・倉田保昭、両者を殺るという仕事。
鉄頭は安全の保障と正規の身分証明書を得るためにこの二つの仕事を遂行。
不法移民グループはいつしか巨大な外国人犯罪組織に、鉄頭はそのヘッドとなり新宿歌舞伎町に君臨していくことになるのだが・・・
終劇
■
この映画を見終わってシンプルに沸いた気持ちは一つ。
「それが出来ることはよくわかった。だからこそこれからだ。」
という感触である。
この映画を見た長年の女性ファンなんかは相当面食らったのではなかろうか。
勿論それは見ればわかるジャッキーの新演技で、人は殺すし女は抱くし話はとてつもなく救いようが無く、予想通りに悲劇的な結末を迎える。今まで正義は勝つの英雄を演じてきたジャッキーという偶像からは大凡考えられない役者・成龍がそこにいる。
R-15指定を受けているように残酷描写も激しく、今までのジャッキー映画からは考えられない地味なそして極めて現実的な犯罪描写の数々という映画全体のテイストを考えても相当に面食らうだろう。
ただ本作の感想を正直に語れば、それは予想通り「ワンナイト・イン・モンコック」と同じような感想で、新規的な映画に観えるような気もする一方でいつかどこかで観たシーンをどうしても連想させてしまう作品に感じてしまったのが正直なところだ。
冒頭のシーンは迫力たっぷり座礁船のシーンだが個人的にはどうしても
伊丹十三監督「マルサの女2」を連想させるし、全体的なストーリーは北野武監督「BROTHER」を連想、故峰岸徹や長門裕之といったベテラン日本人俳優の貫禄ある演技そして新宿歌舞伎町を煌びやかで危険でどても魅力のあるエキゾチックな街として表現したその表現力は大変素晴らしいし、その新宿に10年住んでいた私本人としては・・・いやほんとにね、私が上京した当時なんかは新大久保の駅から裏通りに向かって外国人娼婦がズラズラーッといたんですよ。その後、一斉摘発が行われたので少なくなってしまいましたが。それに大久保はアジア系の店が多くて、私もよくブラブラと散歩したなぁ・・・勿論、怖いので昼ね。
歌舞伎町は健全に付き合えば安くて美味い居酒屋もあるし、映画館もオールナイトあるしボーリングあるしゲーセンあるし安いカラオケあるしと楽しい街なのですがやっぱ私自身、歌舞伎町で酔っ払ったヤクザにボコられたこと、あるんですよ。あの時はとにかく
「とにかく生きてて良かった」
と思いましたね。一発殴られただけでも死ぬときは死にますから。
というように頻繁に歌舞伎町を利用すると一度や二度は怖い目に遭う、これはかなり高い確率なのかもしれません。
ま、それはともかく
この歌舞伎町という個人的に馴染み深い街をエキゾチックで不思議な街として表現した・・・それとベテラン日本人俳優、これもある作品を思い出させてしまうんですよ。
その作品は勿論、「ブラックレイン」。
さらに竹中直人扮する刑事はTVドラマ「砂の器」で渡辺謙が演じた刑事を連想、これは元々最初は渡辺謙にオファーを出していたことで確信犯的なところがあるのだろう。
それら監督の気に入ったパーツを監督自身が構築したワンナイト・イン・モンコックワールドにはめ込んで監督自身の色で染め上げた、そのような作品に映る。
なので作品そのもののオリジナリティに今一つ個人的には浸ることが出来ず、前半のくだりで予想が着くシナリオは予想通りに後半にくだり、終焉を迎えてやはり、
「よく出来てます。よく出来てますけど普通です。」
という感想に行き着いてしまった。
要は私の心は作品全体を捉えた上で大して動かされなかったわけだ。
いつも言っているが、心がどれだけ動かされたか、これが私の評価基準になる。その内容がなんであれ、だ。
私の映画全体の評価としてはそういうことになる。
キャスト面については、やはり脇役として今回も光った林雪、そしてジャッキーとの共演作も実はこれで4作目(たぶん)になるが、役者としての味も抜群に良くなった錢嘉樂(チン・ガーロッ)の奮闘が目に付く。二人とも味のある良い役者だ。いっつも林雪のおっちゃんは良いよなぁ何でこんなに良いんだろう。彼の出演作で断然オススメは
「デッドエンド 暗戦リターンズ」。この作品での彼は特に面白いなぁ。あとダニエル君は楽しみな人材ですね、格好良いし年を取るごとに役者としての味を豊かにしていきそうです。
ご本人には大変失礼ですが、ミスキャストなのは竹中直人さん。
シリアスな中にユーモアがあるからこその竹中さんの演技、そう思っているだけにそして彼の出始めから彼を見てきているだけにシリアス一辺倒の刑事役にイマイチ貫禄が足りないんですよ。香港人はそういうこと知らないのでこれで良いのかも知れませんが、日本人としてはむしろちょっとおっちょこちょいの人間味ある人情刑事をしてくれた方が良かったですね。
作品全体の評価としてはそういうことになるのだが、
今回初めてと言っても過言ではない役者・成龍を見ての感想というか、
「それが出来ることはよくわかった。だからこそこれからだ。」
という感触。
この映画が価値あるものになっているのはまさにそこで、
しつこいようだが本作に"ジャッキー・チェン"という偶像は存在しない。
爾冬陞監督は世界のスーパースターを本作で香港の一俳優、といった枠内に押し戻してしまった・・・いや、押し戻せたのだ。
押し戻せたということはだ、本作どころではない、あんな役も出来るこんな役も出来る・・・とこちらの想像も膨らむ。それこそ偶像から脱した役者・成龍が新たに色々な役柄に挑戦できる、そこは大変楽しみに感じるのだ。
ところで、74歳でアカデミー賞を2度も受賞した映画人がいる。
その名はクリント・イーストウッド。
元はアクションスターである彼も今や世界屈指の名俳優・名監督である。
ジャッキー現在、55歳。
ジャッキーが真の"アジアの鷹"になる可能性はまだまだ広がっている・・・
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■CAST&STAFF |
監督 |
爾冬陞(イー・トンシン) |
出演 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
竹中直人 |
呉彦祖(ダニエル・ウー) |
徐靜蕾(シュー・ジンレイ) |
加藤雅也 |
范冰冰(ファン・ビンビン) |
峰岸徹 |
澤田謙也 |
高捷(ジャック・カオ) |
秦沛(ポール・チュン) |
林雪(ラム・シュー) |
長門裕之 |
倉田保昭 |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
動作指導 |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
脚本 |
爾冬陞(イー・トンシン) |
秦天南 |
音楽 |
金培達 |
策劃 |
陸劍明 |
製作 |
陳自強(ウィリー・チェン) |
蘇志鴻(ソロン・ソー) |
製作総指揮 |
楊受成(アルバート・ヨン) |
成龍(ジャッキー・チェン) |
制作年度 |
2009 |
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一屋特攻隊
The Spy Next Door
ダブル・ミッション
■
さて、いよいよ当HPも閉鎖か?移行か?
の選択に迫られて非常に困っている中、レビューは続けます。
ちなみに閉鎖する気は全然無いので、どっかに移行して頑張りたいと思います。当HP好きな方いらっしゃいましたら、応援よろしくお願いします・・・応援というか移行したらまたリンクがダメになってるとか色々問題が出てくると思うので、ご迷惑おかけすることになると思います。とむち
成龍(ジャッキー・チェン)である。
※あっ、出来れば本作鑑賞後に読んでください。
ネタバレしちゃうでしょうから。
遥か32年前、「酔拳」でスターの道を歩み始めてからこれ程までに精力的に映画の主演を続けてきた人を私は知らない。
とにかく驚くのはそのスパンで、例えば洪金寶(サモ・ハン・キンポー)も色々な苦しい時代を乗り越えながらなおかつ今もバリバリ現役ということで敬服然りなのであるが、ジャッキーに至っては映画に主演し続けてそれこそ40年経とうかとしており、その新作発表のペースはほぼ毎年或いはそれ以上で今年は本作と「ベスト・キッド」と「ラスト・ソルジャー」で主演作をリリースでさらにゲスト出演の
「ジャッキー・チェン カンフー・キッド」まで発売されたばかり(しかも出番結構あり)。いやただただ驚くばかりである。
李連杰(ジェット・リー)には一時武術会に戻ったり不遇の時代を迎えたりしていた時期があるし、周潤發(チョウ・ユンファ)は肝炎によって長期離脱を余儀無くされた。周星馳(チャウ・シンチー)の新作は今や一年で完成することはない(これはジャッキーが
「プロジェクト・イーグル」発表後に監督業を降り、多作に専念した時代と同じくやがてはまた彼もそうなると思うが)。
シルベスター・スタローンも頑張っているが新作発表のスパンではジャッキーに及ばない。
ほんとに超人だよな!
働きに働いて間にチャリティーやったり、上海万博の唄を歌って悪い意味で注目されたり、言わなきゃ良いのに相変わらず問題発言もバンバンやってるし、
長年ファンやってる私からしてみればその辺のところどう思ってるかってネットだけでなく、リアルの友人からも聞かれたりして、いやそりゃこんだけファン経歴長いとですね、
「いいから休んでろよ!」
と。
まずそういう風に思うんです。
ジャッキーも初老に来たんだから、映画仕事以外は受けないで余計なこと言わないでいいから家で体休めてろよと。そういう風に思うんです。
だってただでさえスターだから大変なのに何もわざわざ自分から問題発言してマスコミバッシング受けなくても良いじゃない。黙っておけば余計な心労増えなくて済むのに全くもう。
これじゃジャッキー・チェンじゃなくて、惹起(じゃっき)チェンだよ。
いやね、私はしょっちゅう"ジャッキー"とタイピングするわけですが、間違えて"惹起(じゃっき)"がよく出てくるわけですよ。んで"惹起"ってなにかな?って調べてみたら
惹起=事件・問題となる事柄などをひき起こすこと。
ですって。そんな単語知らんかったなぁ。
とにかくこれまでも大病等の予期せぬ事態で長期離脱に陥ったことは一度もなく
(「サンダー・アーム/龍兄虎弟」撮影で頭蓋骨骨折の大怪我を負うもすぐ復帰。ただそのおかげで羅芙洛(シンシア・ロスロック)との共演が無くなり、監督も曾志偉(エリック・ツァン)からジャッキー本人に変わったが)
自ら充電期間と称して長期バケーションに入ったこともない。普通の人なら長期バケーションに入ります。そりゃそうです。
もうずっと活動しっぱなし。
息子さんの房祖名(ジェイシー・チェン)は言っておりました。
「僕には無理だし、真似する気も無い」
そりゃそうだ!
あの生き方だと基礎代謝なんぼいるねん!って話やがな。
さて当HPでも一年で三本のジャッキー新作をレビューしたことは恐らくありません。
タイトルも「ラスト・ソルジャー」という格好良い感じに11月公開が決まった「大兵小將」もあるし、ゲスト出演の「新少林寺」もある。こちらは呉京(ウー・ジン)が久々に少林僧に扮してますので楽しみです。
さらに"プロジェクト・イーグル3"とも噂される「十二生肖」を唐季禮(スタンリー・トン)監督と共に撮影中ということでジャッキーのワーカーホリックぶりは留まることを知りません。
んでまず今回の作品「ダブル・ミッション」。
私からの感想を言うとまぁそうです・・・よね。
ということになる。
■流れ
まぁ見てください。
公式サイトで検索とかしてください。
終劇
■
もう最近作で日本公開作はストーリー書く必要無い気がするんですよね。
検索すりゃ大筋はすぐ出てくるし。
特にジャッキー作品は今後ストーリーを頑張って書くより、その周りを頑張って書いた方が良いかと・・・
コピペ同然の文章でもやっぱいるかなぁ?
うむ
やっぱ素直に思った単純な感想は言おう。
期待してなかった分、楽しめたがそれ以上の気持ちはないかな?
ま、ただいつもいつもハードアクションやギリギリアクション一辺倒な手に汗グニグニギシギシ映画にする必要はないわけで、たまにはこんなゆる〜い作品も良いじゃん、とは思いましたね。敵があまりにしつこいとうんざりしますから。
まぁ余りにも敵があっさりと倒されてる映画ではありますが
(「ファイナル・ドラゴン」の最弱四天王を思い出しますなぁ)。
・・・1人ぐらい敵役にもちっと強い人が欲しかったかな?
本作は完全にジャッキー1人勝ちでしたから。
冒頭の潜入アクション、こう久々に格好良いジャッキーを見たって気持ちになりましたね!
最近は段ボールで寝るジャッキーとか、下水道で働くジャッキーとか、パチンコやってるジャッキーとか、そんなんばっかり見てましたから(全部
「新宿インシデント」じゃん)。
こんな風にストレートにスパイで功夫強くてミッションこなしちゃうジャッキー見るのは久しぶりでしたね。
しかし、眼鏡かけてるとヒロインの婚約者・・・というよりは何かもう見方によっては婚約者のお父さん・・・みたいな。だからこそ子供相手の演技も板についてきたような気もするんだけど。
あの長女マデリン・キャロルさんで名前合ってるかな?
あの子誰かに似てるなと思ったのですが、あれですね
「大草原の小さな家」のローラ!小さい頃!
あの生意気な感じが似ててその辺を思い出しましたねぇ・・・
アクション面ではどうしても私らにとっては過去のジャッキー映画のおさらいアクションが多くなってしまいますので、新規的なものを感じ取るのは大変難しいのですが、結局ここが課題となるんじゃないかなぁ?と思っています。ジャッキーにとって。そして、私たちにとって?
まぁそうですよね。
ということになる。
私が小学生の時。
ジャッキー映画がTV放映された次の日の学校では私を始めとした多くの偽ジャッキー・チェンが子供達の中に生まれていました。
ある子供はジャッキーならぬ木人の真似事をしたり、ある子供は黄正利の"無影手"の真似事をしたり、酔拳や蛇拳を真似てみたり。
つまりはそういうことで、
そういった楽しい懐かしい体験をジャッキーによって与えられて来た私にとっては、今の子供たちにも同じような思いを、ジャッキーという子供たちに絶大な影響を与えた人物がいた、或いはいる!ということを知ってもらいたいなぁ・・・という思いがあります。
本作は楽しいコメディ作品ということで明らかに低年層をターゲットにした作品なので、やっぱりそういった子供たちへジャッキーがプレゼント出来るもの・・・と言ったらハッとするような素晴らしいアクションだと思うんですね。
かと言って、ジャッキーの御年とハリウッドという制約の中で20代30代時のようなハードアクションを披露するのは難しい。だとすれば、今ジャッキーが子供たちに与えられるアクション、という"放課後の遊び"はどのようなものを与えられるのだろうか?というところで、本作の小道具を活かしたジャッキー十八番のアクションは一つの回答、であるのかもしれません。
今後も子供向けの映画には出演し続けていくんじゃないのかなぁ、と思いますのでそのような作品の今後の課題としては本人が演る演らないに関わらず、ジャッキーが今の子供たちにどのようなアクションという楽しいプレゼントをしてくれるのか?
というところに注目したいですね。
監督 |
ブライアン・レヴァント |
出演 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
アンバー・ヴァレッタ |
マデリン・キャロル |
ウィル・シャドリー |
アリーナ・フォーリー |
マグヌス・シェヴィング |
キャサリン・ボシェール |
ルーカス・ティル |
ビリー・レイ・サイラス |
ジョージ・ロペス |
脚本 |
ジョナサン・バーンスタイン |
ジェームズ・グリア |
グレゴリー・ポイリアー |
原案 |
ジョナサン・バーンスタイン |
ジェームズ・グリア |
音楽 |
デヴィッド・ニューマン |
製作 |
ロバート・シモンズ |
製作総指揮 |
蘇志鴻(ソロン・ソー) |
ライアン・カヴァナー |
タッカー・トゥーリー |
アイラ・シューマン |
制作年度 |
2010 |
功夫梦
The Karate Kid
ベスト・キッド
■
ミヤギ、である。
元々の「ベスト・キッド」は1984年に公開され日本でもヒットを記録、一見して珍妙なノリユキ・パット・モリタ扮するミヤギ師匠との修行や、原題が「KARATE KID」でありながら空手というより鶴拳のポーズである最後の必殺技(空手にこんな技があるのか僕は知りません。あるのかなぁ?)が子供たちの間でも話題になった青春アクション映画で、私のような功夫映画大好きっ子だけに限らず、それ以外の映画ファンをも惹き付ける魅力を持っていた。
この"それ以外の"というところが重要なポイントで今日では功夫映画の逆輸入のような形で紹介されてはいるが、この作品の監督ジョン・G・アヴィルドセンが
「ロッキー」を撮っているということを忘れてはならない。
どちらも大きく見ればうだつのあがらない男が、修行して強くなって栄光を勝ち取る様は同じである。おまけに師匠(トレーナー)、彼女、そして強いライバルといった構図も同じ、わかっちゃいるのにドキドキしてしまうクライマックスの空手大会の演出力は「ロッキー」を撮ることで研磨されたものであるということがよくわかる。
それでいて「ロッキー」を面白く奥ゆかしい物語にさせていたケレン味たっぷりな大人のドラマ色は逆に意図的に排除、子供たちにターゲットを絞ってよりわかりやすい爽やかな演出に徹した画作りも非常に的を射ていて見事だ。
「キッドロッキー」なんて表現すれば安っぽいものになってしまうがこれがベストキッドの外枠であり、功夫映画ファン以外をも大きく引き寄せた要因なのだ。
そして内枠のディテールに於いて、いよいよ効果を発揮してくるものこそがジャッキーを筆頭とした功夫映画のエッセンス。回りくどい修行シーンは功夫映画お得意の手法で、実際に空手指導でこういった手法は恐らく有り得ない。
で、かの有名なワックスつけて〜ワックス拭き取る〜の修行であるが、これも実はなかなか計算されたもので、思い返してみればラルフ・マッチオ扮するダニエル君、ほとんど防御しか練習してないのだ。
よくこれで優勝出来たな。
とは言っても、この工夫は気が利いている。
実はちゃんと"武術とは"といった精神を内包させているのだ。
仮にここでバリバリ攻撃の練習だ!筋力トレーニングや電気ビリビリマシーンだ!・・・
なんてやっちゃうとですな、一気に映画が血生臭いものになっちゃうんですね。爽やかさ消えちゃう。
ひたすら相手をさぁ倒せ!やれ倒せ!それ倒せ!・・・
それでは"武術とは"に触れるのが非常に難しくなるんですよ。
"功夫大家"の劉家良(リュー・チャーリャン)が常々言及し、自らの映画でも最近の
「超酔拳」に至るまで描写し続けてきた
「体だけでなく、心でも勝ち、教訓を教えろ」
と、この精神をも今思い返せば伝えていた映画だったんだなぁって思います。
ラスト、敵の兄ちゃんがダニエル君に心服していましたよね・・・コブラ会会長は怒り心頭でしたが・・・
うん・・・・・・
というわけで、是非ご覧になってみてください・・・
じゃなくて!
元ネタの方でいっぱいパワー使ってる場合か!
ところで、
「アイ・アム・レジェンド」観ました。
地球に残った人類最後の男、ということで面白そうかなぁと観てみたのですが・・・いや色々とわかるんですけど、単純に画がウィル・スミスと犬だけで後は回想だけっちゃぁだけなんで、途中で飽きちゃいました。物語はとても深いものなので言及は避けますが、単純に画に飽きてしまいました。
いやしかし、
ジェイデン・スミスくんの泣き顔はお父さんそっっっくり!
本作でグズるジェイデンくんの顔はまるで腕で犬を・・・まぁやめとくか。
というわけで、本作のレビューですな!
私は今までのジャッキー年代別ベスト作品として、
'70年代 「ドランク・モンキー/酔拳」
'80年代 「プロジェクトA」
'90年代 「ポリス・ストーリー3」
と挙げて来ました。それで、'00年代恐らく決まりましたね!
'00年代 「ベスト・キッド」
ですね!
いやまだ「ラスト・ソルジャー」観てないからわかりませんけど。
「ダブル・ミッション」レビューで
ジャッキーが今の子供たちにどのようなアクションという楽しいプレゼントをしてくれるのか?
というところに注目したい、と書いた・・・
この作品の感想を一言で言えば・・・
と考えると言えないんですよねぇ。もうまさに、
うれしくて♪
うれしくて♪
言葉ーに♪
できなーい♪
言葉にするのがアンタの仕事だろっ
この作品の感想を一言で言えば、
らーらーら♪
ららーら♪
ららーらーら♪
ららーらーら♪
・・・あかんがな!
歌詞ではこれで伝わるか知らんけどレビューじゃ伝わらへんがな。
まず思ったことは勿体無い。
ああ勿体無い。
蘊蓄(ウンチク)は何の為に存在するか?
ひけらかして優越感に浸る?
それもそりゃあるでしょう、そしてリスナーが「なるほど」となれば越したことはありません。第一レビュー書いてる私が言うべきことではありません。
じゃ言うなよ、って話ですがもっと大事な正しい蘊蓄の使い方を知った上で作品を観て欲しいってことなんです。
まぁ物事を捉える時、作品なら作品を観る時はまず正面から観て自分の素直な感想を引き出し、それから横から後ろから斜めから様々な角度から観て欲しいと思います。
何回か言ってますが最初から斜に見てはいけない。
最初から重箱のスミばかり見て隙あらば文句言う、こんなことじゃ作品も物事も人生も楽しめません。
作品を様々な角度から観て、新しい発見や新しく浮かんだ自分の気持ちを楽しむ、この様々な角度ってので役に立つものこそが蘊蓄なのです。薀蓄があればそれだけ色々な角度から物事を眺められますから。
1961年。
当時7歳の幼き少年ジャッキーはオーストラリアに出稼ぎに行った父と離れ離れ、頼れるのは母だけ。その境遇の中で中國戯劇学院に入団。厳しい于占元先生の下で辛くて苦しい稽古の毎日。
ジャイアニズム炸裂のボス・洪金寶(サモ・ハン・キンポー)や弟分の可愛い元彪(ユン・ピョウ)、まさに天才カンフーみたいな存在だったエリートの元華(ユン・ワー)等など、彼らを時に憎み、時に愛して成長した少年ジャッキー。
しっとりとした本作の冒頭を観た時、オーバーラップしたのはやはりそんな少年ジャッキーの過去。「七小福/夢に生きた子供達」。
それ以上語るまでも無い、本作のジェイデンくんに否が応でも投影してしまう少年ジャッキーの姿。
ジャッキー師匠によるジェイデンくんの修行、
あれやこれやと思い出すジャッキーがスターダムを駆け上がって行ったあの日、私自身がずーーーっとそれを30年見続けて来たという想い、全てがその修行シーンに集約され、ジャケットを着る脱ぐ捨てる置くを繰り返して自分が強くなっていることにびっくりするジェイデンくんと、遥か昔、袁小田(ユアン・シャオティエン)師匠が残した足跡を頼りに体捌きを覚え、ただ虐められているだけだと思っていたら実は酔拳を習得するための基礎練習だったことに驚く青年ジャッキーの姿がダブり、私はこの修行シーンだけで涙腺を抑えることが出来ませんでした。
もし私がジャッキーを見続けていなかったとしたら、
感涙してしまうことは無かったであろう。
だから、ああ勿体無い。
ジャッキーファンで無かった者はこの嬉しさ懐かしさを楽しむことは出来ないのです。
薀蓄というのはつまりはそういうことで、画の表面上で起きている事以上に色々なものを上乗せしてより深く作品を楽しめる媒体であるのです。
「ダブル・ミッション」レビューで
ジャッキーが今の子供たちにどのようなアクションという楽しいプレゼントをしてくれるのか?
というところに注目したい、と書いた。
そして"本人が演る演らないに関わらず"とも書いた。
まさか本作でその回答がバッチリと示されようとは思いもしなかった。
この作品で気になったことは一つで、その展開が余りにも1984年の「ベスト・キッド」と同じ過ぎないか?とは思う。
そこのオチもやっぱそれかよ、みたいな。
・・・かと言って、なんか物語のテーマを根本から覆すような
「猿の惑星」リメイク「PLANET OF THE APES/猿の惑星」みたいになっちゃうのはどうかと思いますけど・・・
とにかく小さなお子様連れて行け!そしてこの映画見せろ!
本作こそがジャッキー from キッドへのプレゼントだ。
そこには幼き当時の私が楽しんだものがきっとある。
泣き顔可愛いジェイデンくんが強くなっていく様子を見せて、子供に夢と希望を与えよ!
回答はバッチリだ。
ジャッキーは見事に自分の持ち味を、魅力を少年への投影によって新たに生み出してスクリーンに叩きつけたのだ。
また、それだけで感想が終ってないから今一つまとめられないのであるが、
さらに大きな感想がある。
「新宿インシデント」で初めて"ジャッキー"という偶像を楽しむ"ジャッキー映画"から成龍という役者が出ている"映画"を楽しむにコトを転化させたジャッキーが、今度はハリウッドでそれをやってのけた。
26歳でハリウッド映画デビューを飾ったジャッキー青年が、俳優"成龍"としてハリウッドで迎えられるのに実に30年かかった。
重力を無視したかのような壁のぼり術と命懸けスタント、スピードとオリジナリティ溢れる功夫シーンの数々を類まれなる身体能力と精神力で披露し続けたアクションスター"ジャッキー"はもうそこにはいない。
スクリーンに映っているのは背骨を曲げてヨロヨロと歩き、声もかすれ、シワも増えた顔はやつれ、ボソボソとカップラーメンを食う初老の男、役者"成龍"である。
物極必反。
物極まれば必ず反り返る(そのままやな)。
劇中に出てくるこの言葉はジャッキーの人生そのものだ。
それはそれで、涙が止まらない。
勿論、これは役作りである。そんなこたわかってる。
ただ同時に苦労して苦労して身も心もボロボロに使ってようやくその地位を手に入れた男がそこにいるということは確かで、その全てはジェイデンくんに教える時の厳しい目つき、無駄に笑わない表情、枯れた声で物事を語る演技に表れている。
あの当時・・・
ジャッキー映画を狂喜乱舞して喜んだ私を含めたファンはみんなジャッキーと共に育ち、30年の時を経ておっさんおばさんになった。
この作品の一番凄いところがここで、
今の子供にとても観せたい映画でありながら同時に、
本作はそんなおっさんおばさんになったジャッキーファンに対しても最高のプレゼントなのだ。
それこそ私自身が凡そ10年前、いやそれ以上かな?
新しいジャッキー・チェンは必ず生まれる!
と期待して待ち続けた結果、
新星役者"成龍"のハリウッド第一弾が今ここに本当に生まれたのだ。
物極必反。
物極まれば必ず反り返る。
反り返って役者"成龍"がデビューしましたよ!
いやーこれからまたまたまだまだ楽しみですな。
今後は"ジャッキー"の映画あり、役者"成龍"の映画ありで、
ダブルにジャッキー・チェンを楽しめるわけですから。
色々な人やキャラクターのファンになるっていうのありますが・・・
ジャッキーファンってのは本当にラッキーですよ、こんなにエンターテイメントを提供してくれる人・対象って少ないんじゃないのかなぁ・・・
って、まだ終らずに書いたりするのですが、
于榮光(ユー・ローグァン)さんはいつの間にか成龍作品のお気に入り役者になりましたね。ジャッキーと気が合うのかな。
・・・あっ。
そうそうあの〜あれですよ。
続編は作らないでいいですよ。
元の「ベスト・キッド」も続編はちょっとどうかという出来でしたから・・・
本作は成龍がアクションスター"ジャッキー・チェン"を演じていない作品ながら、
限りなくアクションスター"ジャッキー・チェン"が歩んで来た非凡な道程を如実に表した作品なのです。
監督 |
ハラルド・ズワルト |
出演 |
ジェイデン・スミス |
成龍(ジャッキー・チェン) |
タラジ・P・ヘンソン |
ハン・ウェンウェン |
ワン・ツェンウェイ |
于榮光(ユー・ローグァン) |
動作指導 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
成家班 |
脚本 |
クリストファー・マーフィー |
音楽 |
ジェームズ・ホーナー |
製作 |
ジェリー・ワイントローブ |
ウィル・スミス |
ジェイダ・ピンケット・スミス |
ジェームズ・ラシター |
ケン・ストヴィッツ |
製作総指揮 |
スーザン・イーキンス |
ダニー・ウルフ |
韓三平(ハン・サンピン) |
制作年度 |
2010 |
大兵小將
Little Big Soldier
ラスト・ソルジャー
■
何度も書いてるけど、構想期間が長い作品って余り面白いものがない。なのでそこをウリにされても困る。仮に成龍(ジャッキー・チェン)が長年温め続けに続け、温めたまま終わった「ファイヤーマン」なんか作ろうものなら、そりゃあ傑作になるとは到底考えにくい。」
構想が腐るというか、10年前の持論に10年後の自分が同意するとは限らないし、時代は一つの大きな出来事であっさり変わってしまう。バブル崩壊、小泉政権、テロに震災・・・
さらにジャッキーの場合はアクションでどれだけ頑張れるのかという問題も出てくる。
何にしろ古い構想をいざ今構築、となれば現況と予算に合わせたリサイズが必要なわけで、妥協や微調整を繰り返した時点で構想がなんだったかも怪しくなる。
今回は久々なので簡単な感想だけにしておこうと思うが、単純に面白くなかった。がっくし
最早十八番と言うよりは完全なマンネリと化したジャッキーの小道具を使ったのらりくらりなアクションは精彩に於いて可でも不可でもない出来に留まり、脇を固めるキャストのアクションも際立ってどうだと言うものもなかった。
であればコメディシーンに蜜を求めたいと思いつつも、ご覧の通り中途半端な出来で笑えない。
大筋が悪くないだけに実に残念な出来である。
もしこの大筋で当時のコメディ功夫なんかあったら傑作に成り得た可能性もあるし、例えば全盛期の許冠文(マイケル・ホイ)なんかがコメディ満載で仕上げたら面白い。無いものねだりも甚だしいが、構想時点ではそういうものではなかったか。
ジャッキー作品としては非常に珍しくオチまで含めて武侠片であっただけにそしてもっともっと良い作品になる可能性を感じるだけに残念である。
ストーリーに関しては悪くない、ヒロインにも成りきれていない踊り子・林鵬(リン・ポン)の存在など脚本がもっと練れていればグッと面白くなる内容であるが、どうでしょう。
これは全くの推論だが、善悪に思い悩む英雄の姿は最早トレンドではないのかもしれない。今の時代に求められているのはスピードではないか?そこには実にステレオタイプな勧善懲悪の英雄が必要な気がするのだが。
この作品に悪役はいない。
逆に善役もいない。じゃ悪いのは何だ?善人は誰だ?
主人公がただ平和な暮らしを求めていた?土地を求めていた?
土地の奪い合いで戦が始まったのだろう。
それが大きくなったのだから結局同じだ。
いや別にそこをどうこう批判するつもりはないのだが、
今の時代にはウケないのではないか。
監督 |
丁晟(ディン・シェン) |
出演 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
王力宏(ワン・リーホン) |
林鵬(リン・ポン) |
劉承俊(ユ・スンジュン) |
盧惠光(ケネス・ロー) |
于榮光(ユー・ローグァン) |
動作指導・原案 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
脚本 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
丁晟(ディン・シェン) |
音楽 |
小柯 |
製作 |
成龍(ジャッキー・チェン) |
蘇志鴻 |
袁農 |
仁衣萬 |
張行 |
制作年度 |
2009 |
新少林寺
Shaolin
新少林寺
■
うーん…
じゃあ当hpでレビュー済みで少林とタイトルにつく或いは少林寺を舞台にした作品の個人的好きランキングいってみよう。
【少林寺好き好きランキング】
少林寺三十六房
少林寺列伝
崇山少林寺
少林英雄
拳精
少林寺木人拳
阿羅漢
少林寺武者房
少林寺
少林羅漢拳
少林寺への道
続少林寺三十六房
少林門
必殺!少林寺武芸帖
少林寺炎上
少林寺英雄伝
新少林寺三十六房
新少林寺伝説
少林寺怒りの鉄拳
少林寺逆襲ラマ拳法
少林寺への道2
環我少林
少林十八銅女
少林寺への道ラマ教
こんなもんか・・・
俺、「崇山少林寺」やたら好きなんだなぁ、自分でも変な感じ。
ちなみに少林とタイトルにあっても中身が無関係な作品、少林寺が舞台となっていない作品は省いた。
■
悪将軍が悪側近に裏切られて妻子とか殺されたので少林寺入って結局復讐だ、みたいな。
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死ぬほどそのパターン観たなぁというのが正直な感想。
リメイクするなら男泣き必至の「少林英雄」か陳觀泰(チェン・カンタイ)「鐵馬?」とかにして欲しかったなぁ。
いっつも思うんだけど、
あれほど厳しい修行してるくせにそんなに強くない坊主って?
劉コ華(アンディ・ラウ)より強い坊主がいっぱいいないとおかしくない?
とかわざわざ成龍(ジャッキー・チェン)が功夫出来ない役とか、高僧は于海(ユエ・ハイ)師匠しかいないのかよとか。
そもそも少林寺は朝廷と争ったりしたかなぁとか。
正面から見ようとしてもどうしてもその辺が気になっちゃって、ひねくれた感想しか出てこない。
その辺で妙に肩入れしてしまう「崇山少林寺」なんかいいのよね。
朝廷は出てこないし、基本少林僧は争いませんって姿勢だし、そこらへん掃除してたガキ坊主でもやたら強いし。
最も重要なのは本当に少林寺は崇高な場所であるということをちゃんと表現出来てるってとこ。
本作品は何だか「香港国際警察 New Police Story」を少林寺に置き換えましたってな感じで、ドン底まで落ちた将軍が復活、敵は若い謝霆鋒(ニコラス・ツェー)君というポジション替えただけの作品に感じちゃうなぁ。
んで何回も書いてるけど杜h峰(ジョニー・トー)さん見習ってもうちょっとフィルムを刈り込んで欲しい。陳木勝(ベニー・チャン)作品はどうしてもダラダラ感が拭えないなぁ。「香港国際警察 New Police Story」もね、刈り込めばもっと傑作になると思うんだけど。
…んで、これだと少林寺が無くなったみたいな話になってるけど大丈夫なんかいな。
登場人物ほとんど死ぬし、個人的には好みでない作品。
謝霆鋒に于海師匠に呉京(ウー・ジン)にジャッキーと好きな役者さんが熱演しているのはその通りだけに痛い。
あ、そう言えば「キング・オブ・キックボクサー〜ファイナル」なんて少林寺を舞台にした面白い作品がありました。ああいう感じとか「フルブラッド」な感じがいいなぁ。
アクション面も十分面白い功夫シーンを構築してはいるが、オリジナリティは薄いかな。
監督 |
陳木勝(ベニー・チャン) |
出演 |
劉コ華(アンディ・ラウ) |
謝霆鋒(ニコラス・ツェー) |
范冰冰(ファン・ビンビン) |
成龍(ジャッキー・チェン) |
呉京(ウー・ジン) |
于海(ユエ・ハイ) |
行宇 |
熊欣欣 |
動作指導 |
李忠志 |
元コ |
元奎(ユン・ケイ) |
脚本 |
張炭 |
陳錦昌 |
王秋雨 |
張志光 |
製作 |
利雅博 |
陳木勝(ベニー・チャン) |
制作年度 |
2011 |
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