伝説のドラゴン
ジミー・ウォングDVD-BOX

「ドラゴン覇王拳」
「ドラゴン覇王拳2」
「ドラゴンvs不死身の妖婆」
収録
伝説のドラゴン...覇王拳馬永貞/馬素貞報兄仇/...
※題名クリックAmazonで確認できます。

英雄本色
Knight Errant
Lady With Iron Fist
ドラゴンvs不死身の妖婆



これは確かに大笑いできる怪作である。
そこに存在するのは
不死身の妖婆、変な日本語を喋る3兄弟、展開する典型的なファミリードラマ、そしてジミー先生、カーアクションに功夫アクション。
羅列しただけでも不調和な感じがするが、
実際劇中を観るに至って誠に不調和である。
この反省あって後の「手足情深」とかに繋がるのかな?とも思うが、
この不調和こそが本作を楽しむための醍醐味であり、
それが楽しめなきゃこのカルト作も一気にもの凄い駄作へと堕するだろう。
というか、普通は堕する。

原題は「英雄本色」。
"本当の英雄"と言う意味である。
念のために付け加えると「男たちの挽歌(英雄本色)」とは無関係です。


どんな流れじゃ

香港(?)日本軍占領期。
何処かの日本軍人が妻1人子3人の前で自害する。

その後、突然荒原で始まる婆さん・謝金菊(ツェ・カムガク)の修行。
石やら瓦やらをドカドカ割っていきます。そして3人の子供にも修行を。
この3人が
テツオ:倉田保昭
マサキ:龍飛(ロン・フェイ)
タケゾウ:山茅(サン・マオ)

という3兄弟だ。

いやね、
以前に倉田さんが台湾で活躍しているときにまぁある男から
「お前が来たから兄貴の役が無くなった(格下げされた)」
なんて言われたと述べていたけども、こういう3兄弟の図式なんか見るとね、
やっぱ邪推したくなったりするわけ。これも台湾映画だし。

「これはリンメイソウリンメイソウ!!」
「バカヤロ!バカヤロ!バカヤロ!バカヤロ!」
・・・ええと、つまりですね。
妖婆はお前たちの父を死に追いやったのはリン・メイソウだと言いたいんですね。
そして「バカヤロ!」とは
山茅(サン・マオ)さんが修行がはかどらなくて「バカヤロ!」なんですね。
のっけからもの凄いテンションです、この映画。

こちらはジミーさん一家。
家族構成みたいなもんは
親父→元軍医で今は隠居生活。彼こそがリン・メイソウ。
やや遅れ気味に登場するところが巨星
ジミーさん→長男でタクシー運転手。
→何かの病気で盲目だが、手術で治る予定らしい。
末っ子→5,6歳の男の子
ジミーさんの恋人→スーパーに勤務。
高雄(エディ・コー)→ジミーさんのいとこ。妹とデキていて只今求職中。


それにしても高雄(エディ・コー)が若いなぁ・・・
てなわけで、こっちはごくごく普通の家庭ドラマの始まりである。
いつもよりずっと飄々としているジミーさんが良い感じ。

んで、ジミーさんは妹の手術代を稼ぐため深夜残業。
だけどさ、あの「炎の大捜査線」でもジャッキーが恋人の手術代稼ぐため走り回ってたけどさぁ、そして他のドラマでもよくある話だけど、
"金が無いとやっぱり手術してくれないのかなぁ?"
日本はどうなのかしら?
例えば、救急車で運ばれても金が無いとわかりゃ放り出すのか?
昔がそうだったのかしら?といっても「炎の大捜査線」は現代劇なわけで。

残業してるとそこに薛漢(シュエ・ハン)泥棒団が物色中。
これを見つけるジミーさん、無論の如く、正義感たっぷり。
タクシーからフォークリフトに乗り換えて泥棒団を追い詰めます!
ジャッキーを追い詰めたように・・・
おおおおこれは!?実に「ドラゴン特攻隊」な光景!!(そっちも観てみてね)
しかし、泥棒団は泥棒団ではなく彼らは会社の社員だった!?
なので、泥棒団に怪我させた治療費を払うことになるジミーさん。
しかし、社員だろうが社長だろうが泥棒は泥棒と思うのだが・・・???

勿論、つじつま合わせるわけも無く物語は続く。
「ケンカばかりしおって!!」
と親父がジミーさんをどやす。
その後、甥(?)の高雄(エディ・コー)がやって来た感じでファミリードラマが展開。
実にああもうファミリードラマ。

この後はガラッと変わって妖婆が事の真相を3兄弟に話す。
まぁ要は
"お前らの親父は要人を逃がしてしまい、その責任を取って自害した。
要人を逃がす手伝いをしたのはリン・メイソウだ。だから殺して来いや "
というわけだ。
そんなことよりどんなことより無茶苦茶な日本語で展開されるサマがおかしくてたまらない。
倉田さんが側にいるなら日本語指導の1つも出来たと思うのだが、後から吹替えたのだからその現場にいなかっただろうことが惜しまれるような気もするし、
だからこそ面白いシーンが増えたとも言えたりなんかする。

場面変わって、
スーパーで働いている彼女をデートに誘うジミーさん。
いつもは硬派の英雄なので普通な感じがなんかおかしい。
「すぐケンカになるから嫌よ」
「大丈夫大丈夫、今日はしないって」
と言った途端にジミーさんケンカ。さすがである。そしてデートどころか警察にご厄介。
保釈にまた金。

この彼女に夢中の金持ち・易原さんが登場。
「俺の相手をしろよ〜」
ここはスーパーであってキャバクラではないということを誰か教えてやれ。
ジミーさんの彼女
金の力で騙して自分の部屋に誘って襲い掛かる易原。
さっそくやっぱりこれを見つけたジミーさん、そしていとこの高雄さん。
厨房やら何やらで大暴れ!
部屋で易原と殴り合いのジミーさん。
ああーっと!易原がジミーさんの首に電話線を巻きつけた!!
ピンチのジミーさんがヒジテツで易原を吹っ飛ばす!!

おおおお!またもや「ドラゴン特攻隊」な光景!!(だからこっちも観てみてね)

3兄弟上陸。
まずは次男・龍飛がジミー一家を視察、
リン・メイソウにお礼状(ウソ)を渡すように頼んで退散そして報告。

もうここは全てお伝えしよう。
ちなみに製材所の所長は3兄弟の協力者である。
後半の日本語つぶれが最高だ。
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倉田:見つかった?
龍飛:うむ
倉田:どんな野郎か?
龍飛:会わなかったが、子供たちに会った
倉田:子供たち?幸せな親父やで!僕たちは親父・・・ふん!親父
山茅:だから必ず復讐するんだ!俺たちは池辺の子供じゃないミギマの子だ
    恩返しじゃない。復讐できたんだリン・メイソウは殺す!
    彼の子供たち殺すんだ!
龍飛:俺は野郎にょたらみてたい(野郎の反応が見たい)
    僕たちはミギマの子と聞いたら
    ねずみがいぬわんびっくりしてろーっ!!
    ("目をひんむいてびっくりするぞ"と言いたいらしい)
倉田:野郎たちはいっけっぺ!かけてーよ!
    ("俺たちがここに来たのは"と言いたいらしい?ほんまかいな)
倉田:へっ、たくさんのこけてーにゃ、たくさんのぺとるーが?
    ("奴に感謝しにきたわけではない"と言いたいらしい)
    なんにもありません。
    ("奴は---"と意訳しておきましょう)
    違う!わかりますか!?全部はたむかこえ!!
    ("棺桶に入ることになる"と意訳しておきましょう)
所長:(しかし台湾では人を殺すのは難しい)
所長:だからお前たちはチャンスを待って、実験?ズGO!
    (だからお前たちはチャンスを待ってやるんだ)
-----------------------
「たくさんのぺとるーが?」
倉田さんの「親父やで!」という突然の関西弁から壊れ出します。
俺と僕の使い分けを知らないようです。
「わかりますか!?」っていきなり丁寧語やし。
所長なんか最後英語や。

続いて龍飛と三男の山茅が客のフリしてジミータクシーに乗車。
隙を見てブレーキをいじり、ジミーさんは「スピード」状態に。

このままでは「太陽にほえろ!」のデンカ(小野寺昭)のように、
崖から車ごと落ちて死んでしまうぞジミーさん!!
いったいこのピンチをどうするジミーさん!!


場面変わって(変わるのかよ
高雄が求職中だったので、お礼状を持って親父(リン・メイソウ)は製材所に向う。
「お礼状に漬け込むようで申し訳ないが、甥に仕事を世話してやってくれんかね」
おお、ちゃっかりしている。
所長は快く引き受けたがもちろんここは3兄弟の牛耳るアジト。
遂にはリン・メイソウをこの手で殺れる立場に立った3兄弟たち。
だったらその得意の空手技で倒せばいいものを、
「バレたらやばい」
ということで、ジミータクシー同様、事故死に見せかけようとする。
あっはっはっは!だったら苦しいババアの修行は特に意味無しになったわけだ
これをノラリクラリと交わす親父。軍医と言っても訓練は受けていたわけで。
とは言っても、なかなか悪運の強い親父である。
高雄は待ちぼうけで暇だったので製材所の中をお散歩。
そこには殺されそうになっている叔父の姿が!!
2002年の高雄(エディ・コー)
つい最近でも「フィスト・オブ・フューリー 〜復活!ドラゴン怒りの鉄拳〜」('02)で
功夫アクションを披露した高雄である。すぐさま水中で山茅を倒すと、
倉田兄貴との戦いに赴く!
しかし役者が違ったか哀れ倉田さんの強力にやられ、
高雄は還らぬ人に。
親父は隙を見て何とか逃げおおせる。

親父入院の報せを受けて病院に駆けつけるジミーさん。
ジミー 「親父!高雄!大丈夫か!!」

両者 「何とか大丈夫ス」
還ってきたよ高雄!?!?
あんたさっき白目むいて
完全に死んでたぞ!?

今回は死んでしまうと話がややこしくなるってことで、
途中で「やっぱり生きてることにしよっと」って絶対変えたはずだ!
もう変えたはずだ!

その後、3兄弟がやっとこさ能動的な行動に出る。妹と末っ子を誘拐。
これに気づいたジミーさん。

まずは山茅を電動ノコギリで虐殺!!

まずは龍飛をトロッコ斬首で虐殺!!
もうなんちゅうか、
"向こうが悪いことする前にこっちから仕掛けて悪役次々と血祭り!!"
これでは悪役になる前の人を善役の人が惨殺虐殺なわけで、
いかに今回はタクシー運転手というカタギな職業に扮しているジミーさんといえども、
怒らしてしまったらキッチリとオトシマエは取られるということなのでした。


そして遂には夢の対決、ジミーvs倉田保昭!!

3兄弟倒れる。

というわけで、ついに妖婆上陸。

気功の達人ということでパンチ効かない、キック効かない、
ジミーさんのキックは腰が入ってないやさしいキック、

タクシーで轢いても死なない、まさに不死身の妖婆である。
ジミーさんは今回の難敵をどうやって打ち倒すのか!?

しかしそれにも負けずに凄いのは
高雄の不死身振りのような気もするけど・・・


劇終


"崖から車ごと落ちて死んでしまうぞジミーさん!!
いったいこのピンチをどうするジミーさん!!"
これはどうしたって?
そんなの説明あるわけないじゃん。次のシーンでピンピンしてたよ。



んでさぁ・・・・
この妖婆は別に母親じゃないんですね。だから、
・母親に3兄弟を頼まれたのかどうかもわかんない
・3兄弟と妖婆の関係も師弟ということ以外にわかんない
・肉親のおばあちゃんということも語られない
だったら、
"なんでこの婆ちゃん、他人の仇討ちに必死なの?"
ってところで動機が薄く感じる。
それを不死身さがカバーしていると言えばそうかもしんないが。

これ、ジミーファミリーは結局誰も死なないんだよね。そっちはハッピーエンド。
死ぬのは悪役の方だけ。しかも全部ジミーさんが殺害。
わっはっは!
どうコメントしていいかわかんないのでとりあえず笑っておこう。

んで、夢の対決、ジミーvs倉田保昭はあったんだけど、
もう少し倉田さんの鋭い足技を堪能したかったな〜ってのはあるな。
せっかく呼んだんだから。
倉田さんもムチャクチャ日本語の方が目立っちゃったよ。

大笑いはした!

というわけで、私としては納得しちゃう作品なのだが、
如何せんファミリーなドラマに奇奇怪怪を上乗せしているために、
その不調和に気持ち悪さを感じてしまう方もいるかもしんない。
どっちにしろこれも実にジミーさんらしい作品であることは言うまでも無いす。

原題は「英雄本色」。
"本当の英雄"と言う意味である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?

■CAST&STAFF
監督・脚本 丁善璽(ティン・シャンシ)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
謝金菊(ツェ・カムガク)
倉田保昭
龍飛(ロン・フェイ)
山茅(サン・マオ)
葛小寶
王豪
高雄(エディ・コー)
柯受良
張義貴
薛漢(シュエ・ハン)
易原
蔡弘
李強
呉東橋
史亭根
音楽 張福良
製作 黄卓漢(ウォン・チェクホン)
制作年度 1973
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