監督 |
錢昇〔王韋〕(チン・シンワイ) |
出演 |
羅芙洛(シンシア・ロスロック) |
李元霸(コナン・リー) |
陳淑蘭 |
小柏林 |
林正英(ラム・チェンイン) |
劉洵 |
錢昇〔王韋〕(チン・シンワイ) |
杰夫 |
崔正一 |
太保(タイ・ポー) |
胡楓(ウー・ファン) |
黄一山 |
丁遠健 |
萬斯敏 |
黄雄 |
武術指導 |
元コ |
脚本 |
劉俊偉 |
音楽 |
王邦 |
制作年度 |
1990 |
越軌之狼
Vengeance
■
まずは、あらましから先に書こう。
いやあらましというか劇中で起こっていることそのままを書こう。
文章がつながってない箇所がいっぱいいっぱい出ているが、
とりあえずはそんなことは気にせず読んでみてほしい。
これは目の前で展開しているそのものなのである。
■流れ?・・・こんなの流れじゃないよな
車から降りる高飛(コー・フェイ)登場。
ホテル受付で何か話すと仲間のいる車のところへまた戻る。
ファーストフード店でオーダーしている大島由加里。
どうやら換金したがっているようだ。
隣にもフィリピン男(以降、チャタンと勝手に呼びます)がチーズバーガーを頼んでいる。
80$です。
由加里 「両替してくんない?」
と初対面のチャタンに対して堂々と頼む由加里嬢。
そこへ強盗現る!
チャタンは由加里嬢から預かったお金をわざと落とす。
強盗はそのお金だけ獲って逃げようとする!
そのお金だけで満足なのかよ!?
それよりも高飛はどこ行ったよ!?
ていうか舞台がいきなりフィリピンに飛んだぞ!?
んでもって、由加里ちゃんもチャタンも刑事だった!
あっさりと強盗を捕まえる2人。
しかし2人は初対面。
チャタン 「お前はなんだ!?なぜ銃を持ってる!?」
由加里 「私はデカよ!!」
チャタン 「警察手帳を見せろ!」
・・・・・・・・・ところが、手帳を忘れてる由加里さま。
由加里 「う、うるさいわね!!デカったらデカなの!!それより私の金を返せ!!」
チャタン 「強盗から獲り返せよ!」
と、強盗の体を探ってみるが、出てきたお札はバラバラのバッラバラ。
由加里 「私のお金返せー!!」
その後、チャタンはどっかの事務所に押し入る。
んだけどそこのボスになぜだか追い出される。
チャタン 「お前は私の兄を殺した。この恨みは必ず晴らしてやる!待ってろよ!」
・・・なんの話だ?
気絶している女の子が目を覚ます。
それに気づいた太保(タイ・ポー)が彼女になにやら話した。
女の子はどっかのお嬢様で名前はキャンディと呼ばれてるようだ。
連れられて案内された和室にいたのは浴衣を着たいかにもスケベそうな
「キョンシーズ」でお馴染みのデブ警察隊長ですな。
胖三(バン・サン)だった。
胖三が体を要求する。
キャンディはベッドインするフリして、アイスピックで胖三を刺殺。
胖三の部下が応援に駆けつけたが、
掃除婦に化けて潜入していた女がキャンディを助け、
さらに援護の女性が来て脱出に成功する。
・・・・つーか、これはなんだ?
その頃、由加里さまとチャタンは敵(なんの敵やねん)のアジトらしきスクラップ工場に潜入。
銃撃戦を繰り広げる。これでチャタンが負傷?
病室で療養するチャタン。そこに来たのはチャタンの弟・・・かな?
ここに男女の殺し屋が(誰が送ってんねん)。
弟が身を挺してチャタンを脱出させ、由加里さまと一緒に脱出する。
さっきのキャンディ、掃除婦、車婦の女三人組の次のターゲットは
空手チャンピオンの狄威(ディック・ウェイ)。
ちょろっとチンピラ相手に功夫を披露した狄威だったが、キャンディ必殺のアイスピックに難なく倒れる。
出番終わり。
打ちっぱなしゴルフ場で練習している太保。
次なるターゲットは
戚冠軍(チー・クワンチュン)だ。
結婚式場で新郎を狙撃しようとした(?)戚冠軍。
しかし、後ろからキャンディに銃を突きつけられ止められる。
しかしこれを戚冠軍が一瞬の機転で翻して逃げ、予定通り新郎を射殺。
チンピラどもを撒き散らす戚冠軍だったが、最後の最後でキャンディの手にかかり殺される。
出番終わり。
キャンディが一休みしていたバーに
羅鋭(アレクサンダー・ルー)登場。
軽くキャンディナンパして、なにやら話すとどこかへ立ち去る。
キャンディはエッチしてたどこかの兄ちゃんを射殺。
3人でチャーリーズエンジェルよろしくバカンスした後に
その後、キャンディたちの仲間なのかもしれない杖の男を確保。
羅鋭は香港の刑事で、キャンディたちを探っていたのだ。
キャンディはちょっと羅鋭に恋してたっぽいのにほのかなラブロマンスも終わる。そして出番も終わる。
ここで遂に向こうの大物ボスが登場。
杖の男とその息子を拉致し決闘を迫る。
最後の対決へ向けて女三人組は立ち向かった!!
終劇
■
どうでしたか?
いや、どうでしたかもクソも無いってなんだこりゃって感じっしょ。
というわけで、
あっちの映画をくっつけ、こっちの映画をくっつけしてどんどんどんどんと映画を作ってしまう
フィルマークの巨匠?何誌強(ゴッドフリー・ホー)の登場である。
この映画は大島由加里さんがフィリピンに進出して撮った作品(どれかは不明)の出演シーンと、
台湾製作のアクション映画、
そして高飛監督・脚本の作品の三つをくっつけて無理やり一本の映画にしたものだと推測される。
【作品推察】
まず劇中に何誌強(ゴッドフリー・ホー)なる文字はどこにも出てこない。
出てこないが、
パッケージにははっきりと「Directed by GODFRE HO」と記載が。
変わりに劇中のオープニングロールに表示されるのは、
監督・脚本 高飛(コー・フェイ)
主演 大島由加里(シンシア・ラスター)
んだけど、面白いことにこの映画に出てくる大島由加里は高飛作品に出ている由加里さまとは思えない。
なぜなら、由加里さまが出ているシーンの舞台はフィリピン、他出演者は全てフィリピン人だから。
おまけに高飛は冒頭の1カットだけ登場し、後は出てこないし、舞台は台湾か香港である。
また実際に調べてみると監督、高飛で由加里さまが出演作品は意外に多く、調べただけでも
目中無人('89)
先發制人('90)
執法威龍('92)
宇(c)z阻撃('92)
と4本もある。
何故だか理由は知らないがオープニングロールだけはこの中のどれかの作品を使ったのではないだろうか?
何故オープニングだけかとなるとさらにややこしいが、
劇中話のメインとなるキャンディら女三人組が活躍する部分、ここに由加里さまは一切登場しない。
というか、誰が見ても全くの別物である。
だったらオープニングロールに
監督・脚本 高飛(コー・フェイ)
主演 大島由加里(シンシア・ラスター)
の表記で女三人組がメインの物語というのはおかしいということになる。
・・・わけわからなくなってきましたね。
もう一度整理しましょう。私が推察しますに、
オープニングが上記4つの高飛作品の中のどれか
(「先發制人」かもしれません)
劇中に出てくる由加里さまシーンはフィリピンで主演した作品のどれか
女三人組のメインストーリーにあたる部分は台湾製アクション映画から頂き
(「K道女霸王」かと思ったのですが、高城富士美さんが出ていないので違うようです。そうすると現在のところ、お手上げ)
↓
「Vengeance」完成
こんな感じではないかと思われます。
だからストーリーがメチャクチャなの(い、いやストーリーもクソも・・・)
通常(いやこんなことを通常なんて言うのはおかしいのだが)、
何誌強のやり方としては
「勝手に他人の映画からシーン抜き取り+自分の追加撮影=勝手に一本の映画に」
という図式が採用されているのだが、上記の推察どおりこの作品はどうも違うと思われる。
この作品の図式は
「他人の映画からシーン抜き取り+他人の映画からシーン抜き取り=勝手に一本の映画に」
だけのような気がしてならないのだ。
成立してるわけねーだろ!!
いや前者の方法の作品も全然成立してなかったけどね。
このくっつけくっつけで有名な映画はジャッキー「必殺鉄指拳」「新クレージー・モンキー・大笑拳」だが、
この2つはまだ話はつながっているというか、強引に頑張ってつなげている。
ところで、これは酷い。つながってない。当たり前やけど。
つながっているとすれば、
由加里さまとコンビを組んでたチャタンが兄か弟の仇を考えていたこと、
女三人組というかキャンディの目的が兄弟の仇討ちらしいこと、
だけである。
まぁメインとなる台湾チャーリーズ・エンジェルそのもののシーンも狄威や威冠軍といった有名アクション俳優を起用してる割には全然面白くなかったけどね。
ああ、こりゃ参った・・・・
なんてこれ一本で疲れてるどころではなかったりする。
現在、私の家にはこれからレビューしていくかもしんない何誌強(ゴッドフリー・ホー)作品が溜まってきたのだ。
こんなもん溜めるな!俺ー!!
いやー一通りどれも観てみましたけどね・・・・・・
こんなんありかよ!?
って映画ばっかりですわ。
こちらも随時、お楽しみに。
■だから
この映画でのアクション面は何誌強作品にしてみれば頑張っているということになるが、
元々全く別の映画なのでそっちの作品のアクションとして評価しないと話にならない。
そういう意味ではギリギリ及第点ぐらいのアクション程度だったかな。
ただ、フィリピンで頑張る由加里アクションが香港映画時代に比べて別に見劣りしてないところは感心した。
「フィリピンに行ってもアクションの質は落とさないぞ!」
と彼女も頑張ってたんだなぁ・・・とそれだけが感慨深い。
後は頭が薄くなってしまった狄威と、歳をとっても変わらない戚冠軍と、
真面目な演技に徹してる太保が見れてその辺だけ得した気分だが。
※引き続き調査を続けますので、ご協力お願い申し上げます。
女三人組のキャンディとかその辺の名前がわかればそれのタイトルもわかりそうなんですけどね。
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というわけで、以下は龍争こ門さんより頂いた情報です。
龍争こ門さん、ありがとうございました。
「洪熙官」キング版に例の未公開映像収録なし
龍争こ門 投稿日:2006年6月29日<木>16時40分
どうもなるこうさん、龍争こ門です。
題名にあるとおり、公式サイトで見る限りは「嵐を呼ぶドラゴン」のあの映像は無いようです。しかし、「洪文定三破白蓮教」には特典が"特典・"劉家輝インタビュー、他"となっていたので、その"他"という思わせぶりな表記に望みを託すしかないのでしょうか?
なるこうさんのレビューの中でも一際おかしな内容として紹介されていた「Vengeance」(レディ・ドラゴン5の項)ですが、この度その作品と同一と思われるものを入手致しました。
タイトルは「越軌之狼」、英題は「Guardian Angel」といい、音声は原語で二段字幕が入っているバージョンです。パッケージ・本編テロップ共に監督は高飛で、制作年度は1996年です。
この作中では、なるこうさんが「高飛は冒頭の1カットしか登場しない」と言っているのに、本作では大島の上司か保護者役でストーリー前半に少し登場しているのです(新録ではなくチャタンと同じ作品フィルムからの登場…私の持っているのはなるこうさんのと違う編集違いのバージョン?)。
字幕があったので大体わからなかった事も少しだけ分かりました。チャタンの弟は"汪強"という役名で(演じる役者の名前までは不明)、名前で呼んでいるので弟ではなく仲間ではないでしょうか?それから、冒頭の出演者の中に徐雙霞という見知らぬ名前を発見…これはチャタンかキャンディか、残念ながら私はわかりませんでした(もしかして羅鋭の別名?)。
ついでに上記と関係ないのですが、「[イ火]頭大将軍」という作品もあわせて入手したので報告致します。これはシンシア・カーンと大島由加里主演の刑事アクション!と思いきや、実は本当の主役は孟龍という人で、先の2人の役回りは「七福星」のジャッキーとユンピョウと全く同じです。
孟龍サイドがコメディチック、シンシアサイドがシリアスな展開というのも「七福星」に酷似していますが、これは99年の作品…ちょっと評価は落ちました。しかし本作の武術指導も兼ねて出演している劉家輝もコメディセンスを垣間見せ、ラストにはちょっとだけですが劉家輝VS周比利という夢の対決なんかあったり!
とりあえずアクションは劉家輝指導としてはそこそこでした。
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Res:龍争こ門 題名:追加補足 投稿日 : 2006年6月29日<木>16時49分
書き漏れでしたが、キャンディらの出演シーンに使われた作品はこれではないでしょうか?
ttp://www.taiwancinema.com/ct.asp?xItem=26780&ctNode=38
ttp://cinema.nccu.edu.tw/cinemaV2/film_show.htm?SID=3447
これは台湾映画のようで、導演とされる高賓なる人物が高飛なら流用の理由も納得がいきそうです。
Res:なるこう(管理者) 題名:re: 投稿日 : 2006年6月29日<木>23時47分
>特典が"特典・"劉家輝インタビュー、他"
うーん、どうなんでしょうねぇ・・・
「嵐を呼ぶドラゴン」演舞、観たいですよねぇ・・・
あと未だに見れてない「モンキーフィスト猿拳」の予告編も観てみたいです。
それにしても貴重な情報ありがとうございます。
>
謎の「Vengeance」をもう一度整理しますと、
まずご紹介頂いた「變色狼」という作品でメインの部分は間違いなさそうですね。
キャストも全て合ってますし。タイトルも内容を考えて恐らくそんな感じでしょう。
「Vengeance」はほとんどが「變色狼」を使い、
冒頭と中盤のわずかなところに大島由加里のシーンをくっつけているようです。
さてここで問題となってくるのは
由加里さんのシーンは from 1作品か、2作品か?
というところになってきます。
龍争こ門さんと私が観たものが同一内容なのかわかりかねますが、
私自身は冒頭の高飛登場からファーストフードのシーンに移った時点で
「別物の作品ではないか?」
と感じました。フィルムトーンが違うし、まわりの人間が中国人じゃなくなったからです。
しかし、そのフィルムの中で龍争こ門さんが仰るように高飛が登場したのであればさらにややこしいですね。
私自身が高飛がそこに出ていることを見逃したのかもしれませんが、
・・・なんせ何回も観る気になれる作品ではないですよね(苦笑
徐雙霞はご紹介頂いたサイトに羅鋭と並んで名前がありますので、
多分あのエンジェルの誰かではないでしょうか。
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さらに以下は同じく龍争こ門さんより頂きました本作の分析テキストです。
龍争こ門さん、ありがとうございました。
[演員]=[役名] …[概要]
大島由加里=? …型破りな女刑事。金をひったくりにスられたことで羅賓と会う。
チャタン=羅賓 …弟の仇らしく、事項間近の朱老大を執拗に追い回す。名はロビンと読む。
高飛=先生? …大島のおじさん?先生と呼ばれている。なにかと有能な影の立役者的存在。
ある男=汪強 …羅賓を心配して病院にやってくるが、羅賓の暗殺に来た刺客に殺される。
敵ボス=朱老大 …熊本や劉世生と繋がりがある大物。当然大島パートで関連は語られない。
女性その1=樂莎…台湾パートの主役。理由は不明だが羅賓のことを案ずる。名はローサと読む。
女性その2=??…最初に清掃員姿で登場。彼女のみ太保と繋がりがある事から、彼女も国際警察?
女性その3=阿香…最初に車で樂莎らを救援に駆けつける。
太保=陳先生 …台湾パートで3人の女性を暗殺者として活動に当たらせる。彼も朱老大を追っている。多くを語らず、名もただ最初は"国際警察"と。
肝三=熊本 …日本のヤクザ。朱老大とは財政的な繋がりが?
狄威=劉世生 …カラテのチャンピオンで殺し屋。彼の殺害は朱老大と無関係な任務か?
威冠軍=黒豹 …ある大物の暗殺を企んだスナイパー。樂莎とは浅からぬ因縁が。これも朱老大とは無関係なミッションと思われる。
羅鋭=阿鋭 …バツ1の刑事"美娜"と名乗った樂莎と出会う。黒豹の一件で任務に私情を持ちこ むなと釘を刺された樂莎だが、彼に普通の男性以上の感情を抱いてしまう。結局、彼の正体は香港警察の刑事だった。なお、美娜はミーナと読む。
杖の男=呂木青 …娘がいる初老の男。一連の事件について何かしらの事情を知っているものと思われる。朱老大とも関連有りか。[區鳥]昆が本名らしい。
古哥 …敵幹部?ところで朱老大は?もうここらへんまで来ると訳が解らない!
老[門+品] …たぶん大ボス。後半になってくると朱老大なんぞ関係無しという事でいいかも。
二つのパートは敵ボスの朱老大を追うという同一の目的で動くことにより都合を会わせるが、それでもやっぱり途中から何が何だか解らなくなってしまう。
"朱老大"を逮捕するには証拠が無く、大島らは焦りのみが先立つ。それに代わって国際警察が動く形となりストーーリーは進んでいくが…。ところで、中によく出てくる"大毒梟"という単語が気になる。
以下、VCDパッケージ裏の解説文を記載(なるだけ原文そのまま)。
由於國際犯罪組織将販毒基地籍移回
台灣,大量毒品經馬尼拉流入台灣,爲堵
截此宗不法勾當,東亞各國追於聯手追査
毒梟。
香港CID大島與高飛被國際刑警安
排前赴馬尼拉,協助當地警員羅賓,在追
査大毒梟在東南亞販毒情況,由於羅賓己
掌握部[イ分]資料,苦無證?将其繩之於法,
大毒梟通知當地殺手将羅賓夫婦殺害,結
果両敗倶傷。
當局見事態厳重,而羅賓又失控,決
定安排羅之太太被殺?局,並敗變其身[イ分]
派住台灣,與當地両名臥底女警,喬装爲
殺手,先向大毒梟爪牙落手,逐一殺害,
追命大毒梟原形?露,困而一網打盡,将
大毒梟繩之於法。
こちらは出演者やスタッフ等(パッケージ及び冒頭テロップ参照)↓
大島由加里/高飛/狄威/太保/威冠軍/羅鋭/徐雙霞…聯合主演/85MIN/製作年度…1996年
高飛…導演/王家駒…監製/孫明泉…出品人/洪林電影公司…製作/名威影業有限公司…發行
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