■CAST&STAFF |
監督 |
佐藤信介 |
出演 |
釈由美子 |
伊藤英明 |
佐野史郎 |
真木よう子 |
長曾我部蓉子 |
六平直政 |
松重豊 |
園岡新太郎 |
塚本高史 |
雅子 |
城戸裕次 |
渕野俊太 |
博通哲平 |
沼田曜一 |
嶋田久作 |
アクション指導 |
甄子丹(ドニー・イェン) |
脚本 |
佐藤信介 |
国井桂 |
音楽 |
川井憲次 |
製作 |
豊忠雄 |
熊澤芳紀 |
松下晴彦 |
阪尾好将 |
制作年度 |
2001 |
覇海紅英
The Avenging Quartet
■
ふと李賽鳳(ムーン・リー)たんが見たくなったので手に入れてみた一本。
競演は楊麗青(シンシア・カーン)、大島由加里、西脇美智子とお互いに常連ながらも女ドラゴン大集合って感じでいてやはりは熱いバトルを期待させる。
■流れ(簡単に)
わーい。
いきなりシンシアたんの入浴シーンだー
というところで江戸時代の桶風呂みたいなのに入ってるので何時代だ?と思えば現代だったりする。どんな家住んでるんじゃ。
簡単に言えば第二次世界大戦の最中に日本が開発していたとされる細菌兵器の秘密を記した巻物巡っての壮絶な女の争い。そんだけ。
日本はナチス扱いかっ!!
当然ながら善でタッグを組むのは李賽鳳とシンシアたん。
意味も無く2人で部屋でダベってるシーンがやたら長いとか、李子雄(レイ・チーホン)が何に苦悩してるかイマイチわかりにくいとか、錢嘉樂(チン・ガーロッ)が惨殺とか、かなり展開がお粗末な次第。
悪タッグは勿論、西脇美智子さんと
ゆかりたん
登場のこのシーンが結構可愛いと思ったりなんかする由加里様である。袴で戦ってるところが結構プリティ。
まぁこの女ドラゴンたちがクライマックスは炎の中で血みどろバトルを繰り広げるってわけだ。その前には西脇vs大島なんていう日本人バトルなんて前哨戦もあるぞ。
終劇
■
全然物語説明になっていなかったが、はっきり言ってかなりどうでもいい展開なのだ。
それだけに見所はラストの4つ巴血みどろバトルのみである。ここだけはなかなか迫力があっていいのだが、ラストをしっかり締めてくれるのはやっぱりムーンさんなのが当時の女ドラゴンの地位を表してるよね。ムーンさんもそうだけどつくづくシンシアさんなんか出てくるタイミングが悪くてイマイチ売れなかったところが実に惜しい。 |
■CAST&STAFF |
監督 |
蕭榮(シウ・ウィン) |
出演 |
李賽鳳(ムーン・リー) |
楊麗青(シンシア・カーン) |
大島由加里 |
西脇美智子 |
李子雄(レイ・チーホン) |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
夏占士 |
洪新南 |
・秉熙 |
武術指導 |
林満華 |
脚本 |
鄒凱光 |
音楽 |
周錦祥 |
楊奇昌 |
策劃 |
伍國成 |
製作 |
陳飛龍 |
制作年度 |
1992 |
最佳拍档之酔街拍档
97 Aces Go Places
■
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)大好きのスケベ親父としては絶対観ておかなくてはならない作品と思っていたのでやっぱ鑑賞・・・おお正にその通りの出来。
今年発売予定であるエースシリーズBOXのオマケでこれを付けてくれないかなぁと思いつつも、まぁいらんかなと思いつつも。古臭い展開が'80年代の懐かしい時代を思い起こさせるそんな作品である。
■流れ
呉鎮宇(フランシス・ン)率いるマフィア組織と絵画の取引をする謎の美女・クリスティ。
取引もそこそこに絵画が偽者だとバレるとパラセーリングでスタコラサッサ。
うーんこれぞちょいけいぱっとん!
しかしこのオープニングの元祖が王羽(ジミー・ウォング)先生の
「スカイハイ」にあるとは誰も知る由も無い。俺も知らない違うかもしんない。
他マフィア組織のボスが死去。
二代目として息子の譚詠麟(アラン・タム)に白羽の矢が立ったがどうしようもない役立たず。そこで彼がボスを死に追いやったクリスティを殺すことが出来たら晴れてボスの座につけることを組織が約束。母の瑪利亞は息子をボスにするために酔えば酔うほど強くなる酔銃の達人・梁朝偉(トニー・レオン)を師匠につけてアランを向わせる。
クリスティ殺しに向ったアランとトニー。
だけどクリスティが義賊的ナース(なんじゃそりゃ)、さらに過去に親をマフィアに殺されたことで精神的におかしくなってしまった妹・朱潔儀を看護している普段は優しくて癒されて最高な女だっただけに一目惚れと良心の呵責のダブルパンチで殺せやしない。
そんなこんなでいつの間にかちゃらんぽらんな展開が続くのだが、最初に偽絵画で金を騙し取られた呉鎮宇がこれを許すはずも無く、周比利(ビリー・チョウ)を連れて復讐に向う。
終劇
■
設定から考えたら奇妙なアラン&トニーのコンビと強いヒロインのクリスティのトリオ(朱潔儀も絡むが)が段々と仲を深めながらキテレツな悪役どもと戦うといったエースシリーズっぽい展開ではあるのだが、功夫に頼らずにどんどんとスケールを大きくしていった本家と比べると大きく見劣りするところが確か。以前は新人監督であった曾志偉(エリック・ツァン)に託して成功だったわけだが今回はこれが処女作である錢嘉樂(チン・ガーロッ)に託してしまったのが凶と出てしまった感じがある。こういったアクションコメディは作った人間の経験とセンスに大いに左右されてしまうので、サモハンの下で「福星」シリーズ製作の時には縁の下の力持ちだった錢嘉樂なので、今回はのっけからクリスティの功夫でクライマックスも周比利vsクリスティとなってしまってるのがクリスティ迷的にはOKだが、エースシリーズでそれはないだろう。
やはりは温故知新、懐かしいテイストに自分ならではの"何か"を一味加えないことには如何ともしがたいところではなかったか。シリーズ特有のガジェットなシーンも皆無に等しいではないか。
やっぱりクリスティの一言になってしまう。
彼女のファンには迷わずオススメの作品だ。
体当たりの功夫とスタントアクション、さらにお色気シーンもばっちりで、現在にして彼女がアクション女優としての活躍が目立たないことが非常に残念なところである。是非、アクション女優としてももう一度やってもらいたいところ。
頑張れ、シングルマザー。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
出演 |
譚詠麟(アラン・タム) |
梁朝偉(トニー・レオン) |
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン) |
朱潔儀 |
呉鎮宇(フランシス・ン) |
雷宇揚 |
瑪利亞 |
林國斌(ベン・ラム) |
周比利(ビリー・チョウ) |
陳豪 |
黄百鳴(レイモンド・ウォン) |
黄子華 |
彭健新 |
錢小豪(チン・シュウホウ) |
洪天明(ティミー・ハン) |
谷コ昭(ヴィンセント・クック) |
孟海(マン・ホイ) |
林廸安(ディオン・ラム) |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
林超榮 |
湯寶如 |
梁榮忠 |
倪星(コリン・チョウ) |
呉家榮 |
史美儀 |
王廷明 |
二肥 |
武術指導 |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
易天雄 |
黄偉輝 |
製作・脚本 |
黄百鳴(レイモンド・ウォン) |
音楽 |
麥振鴻 |
製作総指揮 |
黄百鳴(レイモンド・ウォン) |
鄭駿 |
制作年度 |
1997 |
沙胆英
Big Bad Sis
■
「大哥成」のレビューの顛末にて"単純に言えば好みではない"と身も蓋もないことを書いて・・・つーかじゃ書くなよってなことなのだが、これには理由がある。その理由こそが本作だ。
本作は日本のピンキーバイオレンスにインスパイアされて製作されたものであるが、お恥ずかしながら私がその辺の作品を全く網羅していないために語る術を持ち合わせていない。持ち合わせていないが紹介するに値する作品なのでまぁそのへんでいとおかし。
■流れ
女労働者達が働く紡績工場に新人の邵音音がやってくる。
早速、レズビアンな女にトイレで襲われる邵音音。
邵音音は今の時代でも通用するようなカジュアルなキュートさがウリだったりする。デビュー当時のビビアン・スーを連想します。
とか言いつついきなり服を破られレズに愛撫される邵音音という凄いシーンが始まるのだが、この映画の次の展開は読めまい。
このレズ痴女の魔の手から先輩の荘莉が助けようとしたがいまいち弱く、
逆にレズ痴女に組み伏せられたりして。
さらにこの工場の大姉御・陳萍が登場。
邵音音らを外に出すといきなりレズ痴女を功夫でボコボコにする陳萍さん。
レズさんはおっぱい出して便器に顔突っ込まされると滅茶苦茶に。
「さすが姉御つぇえ!」
というわけで、ピンチを助けてもらった邵音音と荘莉は大姉御・陳萍の後ろをちょこちょこ着いて来て3人は仲良しトリオに。
「誰の紹介で工場へ?」
陳萍が邵音音に聞いたところ、
"義父・姜南(チャン・ナン)が母に暴力をふるい、遂には娘である自分を強姦しようと襲ってきたので逃げ出し同然で飛び込んだ"らしい。
まぁでも急に陳萍の家で泣き出されても困る。
全裸チャリンコ!
突然場面が変わって、いきなり全裸で自転車こいでる荘莉の姿が(完全すっぽんぽん)。仲間の女性も皆全裸。なぜーっ!?
というところで、知り合いと思われる男に仲間の女性の一人が強姦されそうになる。
「てめぇ!」
と見つけた荘莉が怒って揉み合いのうちに男を刺してしまい、刑務所に入って刑期を終えて、最初の働き先として工場に来たというのが荘莉の経緯だ。
全裸で走られたら誰だって勘違いするだろうがっ!!
二人のこれまでの経緯を話して、
「で、姉御は?」
「私はちょっと・・・」
というわけで答えてくれないようだ。
それはともかく強い姉御に功夫習って二人も強くなるために特訓開始。
工場で働いていた婆さんの娘がどうも風俗関係に売り飛ばされたらしく(もしくは強制連行)、早速腕試しとばかりに連れ戻しに向かう陳萍、荘莉、邵音音トリオ。
店に入っていきなり大暴れしながらその娘を連れ戻したが、どーもこの店を牛耳っている組織と大姉御の陳萍には因縁があるようだ。
「姉御どうしたんだい?」
陳萍が自分のおっぱいをさらすとそこには刺青が!
陳萍は元黒社会の人物で、ボス・王侠のもとにいたのだがこの組織は賭博・麻薬・売春と悪事三昧。
ヤク中の女を助けたことで陳萍は袋叩きにあい、
次はいかさまディーラーをしていたが貧乏な沈勞が娘のために何とか一山当てようとしているのを目の当たりにして逆いかさまで儲けさせるが、王侠は許さない。
彼女の兄貴的存在であった王鐘(ワン・チュン)が彼女を逃がそうとしたが王侠の追っ手は彼女を殺そうと襲い掛かる!
パンチラというかパンモロ血眼で戦った彼女が藁をも掴む思いで飛び込んだ先は成記茶樓!
成記茶樓といえば陳觀泰(チェン・カンタイ)兄貴!
店を壊されながらも全くの他人である彼女を身を張って助ける陳觀泰兄貴がサイコーにかっちょいい!
王侠と手下を追っ払うと、彼女の傷を治し、さらには黒社会から身を引かせて先の紡績工場を紹介したのであった。
だからこの作品の前にあれを紹介する必要があったのだ。
それぞれ隠すものも無くなったトリオは儀式を通して血の結束でさらに固まる。行動開始。
まずは娘の邵音音を犯そうとした鬼畜義父・姜南をぼこにする
ほんでもって今度は工場の他の女性がプレイボーイに騙されて
(ここの濡れ場がやたら長い)
泣き寝入りしていたので荘莉のお色気作戦によってプレイボーイをおびき出してボコボコに。
楊志卿は紡績工場の工場長だったが先の王侠とのポーカー対決に破れ、借金が膨らみ経営もしんどい感じ。
その関係もあって手下である王鐘に
「王侠なんて殺しちゃいなさいよ!」
とハッパをかける陳萍であったがどうなるか(凄いことハッパかけるなぁ)。
業を煮やした陳萍は復讐&工場をすく為に遂に組織と対決。
一人で賭博場に乗り込むと楊志卿が払う金を持ってきたフリして実は油で、これを部屋中にばらまいて「借用書を返せ!」と逆に王侠を脅迫。
借用書を奪うと火を放って逃げる大姉御・陳萍、いやぁ本当に凄い女だ。
王侠の手下に元奎(ユン・ケイ)、徐蝦、袁信義(ユアン・シュンイ−)を確認。唐佳武術指導だからやな。
工場では給料が払えないということで女性によるデモが起きていたが、陳萍が借用書を奪ってきたことによりこれも解決・・・するはずがないというか、王侠が引き下がるはずがない。
工場の男を買収すると陳萍をおびきだし誘拐。
黒社会相手に荘莉と邵音音だけで立ち向かうには無理がある。
というわけで、荘莉は一計を案じる。
その前に王鐘が陳萍を助けて二人で大暴れ。
ここから始まるバイクvs車のシーンは今見ても見劣りしない体を張ったスタントアクションで、この映画を単なるお色気ものに終わらす気が全く無いところが素晴らしい。
素晴らしいが壮絶なバイクvs車の末に王鐘は死んでしまう。
瞳を涙で滲ませ、孤独に王侠一味と徒手空拳で戦う姉御・・・
とそこに現れたのは荘莉と邵音音、さらに工場の労働女たち、
さらにさらに陳觀泰兄貴が再登場!!
荘莉は陳觀泰兄貴を助けを求めていたのだ。
先のゲスト出演で出番終わりかと思ったら、
トラブルに出会ったら、アニキにおまかせ! from 大哥成
とばかりに
ここからさらに陳觀泰兄貴が大暴れ!!
王侠を地獄に叩き落し、警察が駆けつけると
「またお前か大哥成!」
と兄貴やトリオは連行されていくも、
彼らの活躍に労働女達は心から声援を送るのであった・・・
終劇
■
「成記茶樓」「大哥成」はイマイチ個人的に乗り切れなかったのだが、そこからスピンオフしてきた本作は俺的ヒット。
まずは主演トリオの三人がこれぞ正に"体を張り"の良い仕事で、お色気ヌードは勿論(邵音音が微妙に違うっぽいですが、だとしても)、アクション面でも惜しみなく体を張って、作品の為に全力を尽くしていて素晴らしい。
陳萍は妖艶かつ力強い姉御、顔の角度によってとても可愛く見えたりオバサンに見えたりする荘莉と、少女漫画キャラの邵音音の取り合わせもそれぞれ特色がハッキリしていてちゃんと立っている。
物語の流れとしてもとにかく事件が起きたらトリオが大暴れでボコボコにする展開は非常に爽快さらにお色気サービスということでスケベ親父面でも満足(女性から見たらどうか知らんが)、中盤とクライマックスに登場する陳觀泰兄貴がめちゃくちゃ格好良く映えているし、かなり良く出来た作品・・・というのは違う角度からも言える事で、本作のカメラマンである藍乃才(ラン・ナイチョイ)は「大哥成」でもカメラマンであり、ということは前衛的でエキセントリックなカメラワークも一層引き立っているのだ。
これは思わぬ拾い物だったなぁ・・・
ちなみにタイトルの「沙胆英」は陳萍の役名。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
孫仲(サン・チュン) |
出演 |
陳萍 |
邵音音 |
荘莉 |
王鐘(ワン・チュン) |
王侠 |
陳觀泰(チェン・カンタイ) |
顧冠忠 |
江可欣 |
江可愛 |
郭安娜 |
丹鳳 |
楊志卿 |
強漢 |
黄紹芳 |
姜南(チャン・ナン) |
夏萍 |
梁尚雲 |
王清河 |
林風 |
沈勞 |
李壽棋 |
李松齢 |
江珊 |
王晶晶 |
馮敬文 |
王撼塵 |
元奎(ユン・ケイ) |
徐蝦 |
袁信義(ユアン・シュンイ−) |
武術指導 |
唐佳(タン・チァ) |
黄培基 |
脚本 |
司徒安 |
製作 |
邵逸夫(ランラン・ショウ) |
制作年度 |
1976 |
天脈傳奇
The Touch
レジェンド/三蔵法師の秘宝
■
簡単にやれると思って簡単に出来なかった?
楊紫瓊(ミシェール・ヨー)はどのような時に輝きを放つのか?
常盤貴子「もういちど逢いたくて/星月童話」にスポット出演した時の印象からもわかるように勿論アクションだけではない。だけではないが、やはりそこが一番素晴らしいというのも然り。
そういう意味で自分でプロダクションを興し、本作さらに「シルバーホーク」と製作を続けていることは評価に値する。
彼女の何が素晴らしいか。
一言で言って男負けするウーマンパワーと命懸けのスタントも辞さない強力なハート、流麗さを失わない華麗なファイト、そしてこれらをサラリとクールな表情で決めてみせるエレガントさである・・・全然一言じゃないじゃん。
■流れ(書くほどでもないが)
というか本当にタイトル通りに、
三蔵法師の秘宝を求めてサーカス劇団と悪の組織が争奪戦を繰り広げるアドベンチャーアクション・・・あれ?紹介終わっちゃった。
終劇(終わりかい)
■
と。
という意味で本作は得てしてアリなのだ、本当は。
何がアリ?
新境地かマンネリか、それは良い悪いの話ではない。
水戸黄門は水戸黄門でOKなのだ。
同じようにミシェールはミシェールでもOKなのだ。
同じようにジャッキーはジャッキーでもOKなのだ、一応。
勿論全てが全てではないが、ミシェール目的に観に行くとしてそれがアクションアドベンチャーだとしたら、こんなにも彼女の魅力にピンポイントなものはない。強いパワー、強いハート、流麗なアクション、そしてクールエレガント。全てを盛り込むのには実に好都合な物語、そうすると観客は何を期待していくのかは明確で、もうミシェールの魅力そのものを観に行くのだ。それが既知なるものであったとしても。また彼女が悪い野郎どものケツを豪快に蹴っ飛ばして、観てるこっちもスッキリした気分にさせてくれる・・・そんな期待を持って劇場に行くのだ。
ストーリーどころかアクションクオリティにも問題があった。
と言わざるを得ない。
この作品は物語の陳腐さも吹き飛ばす面白い作品になる可能性があった。彼女の魅力だけで引っ張って良い作品になる可能性があったのに残念な作品である。極論を言ってしまえば
「サンダーアーム/龍兄虎弟」のアクション的流れの骨格、つまりファーストアクション、中盤アクション、逃走カーアクション、潜入アクション、ラストの大アクションとジャッキーと同じように繋いで展開はOK、後はアクションコリオグラファーの監督のセンスで相当なところまで持っていけるだろう、そんな簡単な話では無いと思うが、簡単な話だと思ったからこそ製作も兼ねた彼女自身がこの題材を選んだのであろう。
結果として、この作品にアクション的サスペンスが絶対的に足りないのだ。
窮地をサラリと脱する彼女がいない、ラストもCGを全般的に使用してしまっては緊迫感の欠片も無い。
ほんとに。
本当にアクション映画を撮る監督さんには気をつけて欲しいと切に願う。
仮にラストは本当に危険な撮影であったとしても、CGを使えばそれだけで観客はそこにスリリングさを感じないのだ。
観客の頭の中では全てのシーンがCG化する。
断崖絶壁も、燃えさかる炎も。
また功夫映画迷的には彼女の強敵となるファイターが登場しないのも気にかかる。好敵手が現れてこそ英雄は輝くもので、それこそアクション監督を務めた郭振鋒(フィリップ・コク)自身が登場しても良さそうなものなのに・・・もうきついのかな。
本作はミシェールの魅力を極シンプルに表現しようとした結果、それさえも大し表現できなかった失敗作と個人的には思う。とりあえずは次の「シルバーホーク」に期待してみようとか。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
鮑起鳴(ピーター・パウ) |
出演 |
楊紫瓊(ミシェール・ヨー) |
ベン・チャップリン |
リチャード・ロクスバーグ |
郎雄(ラン・シャン) |
ブランドン・チャン |
マーガレット・ワン |
デイン・クック |
曾江(ケネス・ツァン) |
ウィンストン・ツァオ |
動作指導 |
郭振鋒(フィリップ・コク) |
脚本 |
ジュリアン・カーボン |
ロラン・クルティオ |
音楽 |
ベイジル・ポールドゥリス |
製作 |
楊紫瓊(ミシェール・ヨー) |
トーマス・チャン |
制作年度 |
2002 |
換命快遞
The Transporter
トランスポーター
■
なんかあれだな・・・
ちきしょって感じもするなぁ・・・
jハリウッドってやっぱ手堅いよ、ほんまに。
手堅く水準を保ったアクション映画を出すよね。
まぁ監督クレジットには元奎(ユン・ケイ)の名前も入ってるんだけどさぁ。
そう思って今話題の・・・
そうだよ思い出した近くの映画館と一緒になってるジャスコで「MI:3」上映してるからって、国道が死ぬほど渋滞してるってのはどうよ!?そんなにみんな車で来たって入れねぇっての!
と思ってその前の
「MI:2」って奴をTVで観てみたさ。
どうでしたかあれ、皆さん。
私はつまんなかったなぁ・・・あくび出るよ。
だいたい中盤までよくわからないヒロインとのラブラブな感じを引っ張るだけでもうんざりなのに、そこからやっと状況説明して1時間過ぎてやっと行動開始っていうタルイ展開どうよ?「スパイ大作戦」ってそんなんだったか?
これからカットして1時間にしてほしいわ、監督誰だよ全く・・・
って、呉字森(ジョン・ウー)かよっ!
俺の言ったことぼろぼろじゃんかよ!
■流れ
ささ、気を取り直して。
何でも運ぶ裏の運送屋・ジェイソン・ステイサム・・・
すいません、またちょっと話脱線していいですか。
郵政民営化ってどうよ!?
そんなことしちまったらというか、もうそんなような要旨がゾクゾク登場なのだが、都会はまぁいい。しかし、山奥田舎小島に住んでる奴の巷から郵便局が消えるってことだぜ。ポストが消えるってことだぜ。赤字のローカル列車の廃線と同じようにそんなとこには郵便屋は配達しないぜ。そうすると何ですかまぁ山奥なんかに住んでる方は大抵これがまたご年配の方が多いわけだ。こういった人々は一山二山と越えて都会まで郵便物持って来いってか。それじゃあ半分自分で配達してるってことじゃねーか!
話を戻して。
さぁそのジェイソンが今日も仕事を請け負うわけだ。
次のブツはワレモノか?ゴルフクラブか?クール宅急便か?
引越し丸ごとパックか?つーかそんなのはヤマトに頼め。
じゃあ何を運ぶんだ?ってことでジェイソンが運んだのは
アジアンビューティ!!
祝!舒淇(スー・チー)ハリウッド進出!
でも中身を見てはいけないのが依頼人のルールだった。
というわけで、追われる立場になっちまったジェイソンくん。
つーか俺は元軍人でごっつ強いさ。
ってわけで、アジアンビューティくっつけて悪の組織をぶっ潰すぜ!
終劇
■
というわけで至ってシンプルなストーリーなのだが、
ハリウッドと香港流が上手くミックスされたアクションがとても小気味良く楽しめるし、スー・チー様は可愛いし(まぁそれだけだったが)で十分面白かった。
「ザ・ワン」の時も中々印象深い演技をしていたジェイソンの渋くてかっちょいい主人公もとてもよかった。まぁそれ以上に何か言えと言われても困ってしまう単純痛快娯楽映画なのだが。
まぁ疑問なのはどこまでがどこまでを元奎が監督したのかなっていう・・・
アクション監督が彼であるからしてこの現場が香港ならほとんど元奎監督になっていると思うがハリウッドではどうだったんだろうね。単独監督の
「クローサー」と比べてみると編集なのかな。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
ルイ・レテリエ |
元奎(ユン・ケイ) |
出演 |
ジェイソン・ステイサム |
舒淇(スー・チー) |
マット・シュルツ |
フランソワ・ベルレワン |
リック・ヤング |
ダグ・ランド |
ディディエ・サン・メラン |
動作指導 |
元奎(ユン・ケイ) |
脚本 |
リュック・ベンソン |
ロバート・マーク・ケイメン |
音楽 |
スタンリー・クラーク |
製作 |
リュック・ベッソン |
スティーヴ・チャスマン |
制作年度 |
2002 |
阿金
Ah-Kam
スタントウーマン
■
うぬぬ・・・
スタントマンでもあり、女優でもあり、最後には唯一の女性武術指導家として現在も恐らく活躍している(と思われる)楊菁菁をモデルにしたスタントウーマンのお話。
楊菁菁は当HPレビューからだと
「続・少林虎鶴拳 邪教逆襲」「カンフー・トレジャー龍虎少林拳」がオススメ。
なのでうーむ・・・
■流れ
新人スタントウーマンである阿金(楊紫瓊(ミシェール・ヨー))は洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が武術指導を務める撮影現場に参加。実際にふるーーくから武術指導としてクレジットされていたサモハンにしてみれば、正に若い時の自分をも演じるようで楽しかったろうな。
たまたまヒロインの替え玉として使ってもらえることになった阿金は、その腕前と男勝りの度胸によってサモハンに認められ、また孟海(マン・ホイ)や張家輝(ニック・チョウ)などの助理指導、これが現実であれば実際にはサモハンの下に元彪(ユン・ピョウ)や林正英(ラム・チェンイン)、陳會毅(チェン・フォンイー)らがいたんでしょうね。助理指導らアシスタント連中とも仲良くなってめっちゃくちゃハードながらも充実した毎日を過ごす。
しかしもって、映画界は常に黒社会と繋がっている。
彼らと問題を起こしたサモハン・・・まさに洪家班ですな。洪家班はゲームセンターでの大暴れとなり、サモハンらは重症を負うのだった。サモハンが現場に戻れないため、阿金は一時的武術指導になり、撮影を続行するのだった。
その後もスタントウーマンを続けていた阿金だったが、二枚目に口説かれてスタントウーマンを辞める決心をする。大陸にその二枚目がバーを開き、儲かれば順調に結婚・・・・とはならなかった。新店にショバ代せびりにやって来るチンピラとは揉めるわ、さらにその二枚目が阿金に店を任せていなかったりと苦労の日々は続く。極めつけは二枚目の浮気。男に裏切られた阿金はいそいそと香港に戻り、またスタントウーマンな日々を送る。
その生活は決して楽なものでは無かったが、仲間同士の人情だけはあって充実もしていた。ところがまたまた黒社会とトラブル発生。助手がチンピラにボコボコにされたのを見たサモハンは一人、黒社会と決闘する。
しかしもって、現実は彼が撮って来た映画のようにはいかなかった。
サモハン死去。
しかもヤクザのボスは正当防衛を主張する。当然納得の行かない阿金とサモハンの息子がこのままで終わるわけにはいかないのだが・・・
終劇
■
出だしがなかなか良かったので、
これは苦しいスタントウーマンの生活を爽やかに描いた、日常の豊かなペーソスをしっとりと盛り込んだ良さそうな作品だ、と期待して観てしまったのだが話が展開していくうちに段々とわけがわからなくなり、何故か最後の方では黒社会との復讐劇になってしまい、その物語の締りの無さは余りに残念。
物語がモデルとなった楊菁菁の半生をどのくらい反映したものなのかはわからないが、どうせやるならもっと彼女の事を徹底的に調べてむしろ
「ブルース・リー物語」のようにやって欲しかったもの。それこそ彼女には女優としてのキャリアもあるのだから、出演した作品の再現や出演に至るまでのエピソード、もっと言えば偽劉家良(本人でもいいが)が登場して彼女の殺陣をつけていくシーンや(実際にあったのだから)、周星馳(チャウ・シンチー)の
「ゴッド・ギャンブラー3」にも出演しているのだから彼とのエピソードなどグッとリアリティに沿った物語を考えて欲しかったと思う。それが出来ないなら青春爽やかストーリーで通しても良かったと思うし、とにかく前半の爽やかな感じから後半にかけてどんどん話が陰惨になっていく感じはちょっと頂けない。それが事実だと言うのなら、表面に作品としてハッキリ出ている部分の掘り下げをもっとやって欲しかったと反芻することになるな。
サモハンもミシェールも良い演技で頑張っているだけに余計に作品の出来が勿体無いと感じる。さらにこれが許鞍華(アン・ホイ)監督となると、久々の失敗作だなぁ。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
許鞍華(アン・ホイ) |
出演 |
楊紫瓊(ミシェール・ヨー) |
洪金寶(サモ・ハン・キンポー) |
岡田聡 |
黄家諾 |
慮永鏗 |
孟海(マン・ホイ) |
張家輝(ニック・チョウ) |
林偉亮 |
易天雄 |
呉耀漢(リチャード・ン) |
鄭則仕(ケント・チェン) |
郭錦恩(クリスタル・クォク) |
劉玉翠 |
劉松仁(ダミアン・ラウ) |
葉榮祖(イップ・ウィンチョウ) |
文雋(マンフレッド・ウォン) |
劉國昌 |
林超榮 |
陳徳森(テディ・チェン) |
曹榮 |
高城富士美 |
呉育樞 |
陳孝貞 |
陳輝 |
黄偉亮 |
梁卓満 |
陳潤發 |
動作指導 |
程小東(チン・シュウトン) |
脚本 |
陳文強 |
陳建忠 |
音楽 |
大友良英 |
製作 |
劉家富(デビッド・ラウ) 他 |
製作総指揮 |
鄒文懐(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1996 |
色戒
Jan Dara
ジャンダラ
■
先に言うが下心が先走って鑑賞に至った作品。
とはいっても、そのスケベを越えた素晴らしい何かを映画に求めていたのは事実なのだが、とにかく香港映画迷である野郎どもの心を鷲掴みにした鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)が体当たりで挑んだタイの官能大作である。
■流れ
幼い頃から父に虐待を受けていた少年・ジャンダラはハーレム化していた屋敷で父がセックス三昧の日々を送ることを見つめて育つ。何かしらの事情で母を失っていたジャンダラは少年当時からいつも女性を母と重ね合わせて愛を求めていた。
そんな折、父が叔母を犯して妹が生まれ、それを喜んだ父は境にしてジャンダラへの虐待を止める。父のセックスばかりを見ていたジャンダラをそれを忌み嫌ってはいたがやがては自分もセックスの味を知る。年齢を考えれば早すぎる女遊びを楽しんでいたジャンダラであったが、いつしかそれも空しいことと気づきはじめる。
相変わらず父の鬼畜ぶりは止まらない。
既に叔母を愛人にしていたがさらに後妻として鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)を迎える。この見目麗しき新たなる叔母に恋心を抱いたのはやはりジャンダラ。ジャンダラはクリスティに母の残影を重ね合わせると、そのまま体も重ね合わせるのだった。
甘やかされた育った妹はひょんな嫉妬からジャンダラを暴行犯に仕立て上げる(まぁでもそんなもんだが)、父であることの芝居を続けていたその父はジャンダラを勘当。そして母に関する驚愕の真実を知ることになる。
やがては因果応報か。
この父には罰が下り、ジャンダラの天下となるのだが自分の一番忌み嫌っていたハーレムの中でその父と同じようにセックスの世界に溺れていく・・・
終劇
■
そこまで無くてもいいというぐらいに「続・少林虎鶴拳 邪教逆襲」であれば功夫功夫また功夫というぐらいに、本作はセックスセックスまたセックスである。こんなに必要なのだろうか。個人的には多すぎると思うのだが。タイでベストセラーである官能小説が原作とはいえ、本作は如何にもアジアらしい過剰な部分が本作の格を一つ下げているような気がしてならない。そのセックスシーンの乱発が観客のストーリーへの感情移入の妨げになっちゃってると思うなぁ。
というわけで、個人的には本作へスケベ心以外の何かを期待していたのだがあんまり見出せなかったのが正直なところ。悲劇が悲劇を呼ぶというのはわかるが、だからどうというのが感じられなかった。だって、父も子もハーレムの中でセックスを楽しむだけ楽しんだわけでしょ、そりゃ幸せと不幸せは裏表なんだからそうなるわいな。
うーん、色キチガイの父やジャンダラの演技よりも私としては女優陣の頑張りに拍手を送りたい。無力でありながら愛しく思うジャンダラを何とかしたいと願う叔母さんやわがままな妹(最後は悲惨)、そして悦楽の享受を求めてやって来た結果、やはり悲劇的な結末を迎えるクリスティ、彼女たちの全裸で奮闘する姿にむしろ心打たれたというところか。
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■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
ノンスィー・ニミブット |
出演 |
エスカラット・サルスク |
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン) |
パタラワリン・ティムクン |
サンティスック・プロムシリ |
ウィパワウィー・チャルンプラ |
スウィニット・パンジャマワット |
原作 |
ウッサナ・フェレンサン |
製作 |
ノンスィー・ニミブット |
ドゥアンガモル・リムチャルーン |
製作総指揮 |
陳可辛(ピーター・チャン) |
制作年度 |
2001 |
飛鷹
Silver Hawk
シルバーホーク
■
これはやべー
上記「レジェンド」より自分の文章を持ってくると
"観客は何を期待していくのかは明確で、もうミシェールの魅力そのものを観に行くのだ。それが既知なるものであったとしても。また彼女が悪い野郎どものケツを豪快に蹴っ飛ばして、観てるこっちもスッキリした気分にさせてくれる・・・そんな期待を持って劇場に行くのだ。"
と書いているわけで、「シルバーホーク」に期待とか言っちゃったりなんかして・・・というところではこの本作、まんまそのとおりの出来にしてきたのだ。
まるで俺の書いた「レジェンド」レビューを読んで作ったみたいな出来になっている・・・困ったな。
■流れ
近未来。
少林寺出身の正義の味方"飛鷹"はポラリスシティのセレブ・楊紫瓊(ミシェール・ヨー)であった。今日も万里の長城バックにバイクで華麗に登場して弱い男どものケツを吹っ飛ばすとサラリと事件を解決、どこへなと去っていくのであった。
この非合法に動き回る飛鷹の逮捕に執念を燃やす警視・任賢齊(リッチー・レン)はセレブミシェールが飛鷹、そしてかつては自分の妹弟子であることを思い出せない。そのことが歯がゆい飛鷹。
コトは関係なく進み、その後も銀行強盗が現れれば警察よりも先に駆けつけて悪漢のケツを蹴っ飛ばし、誘拐が起きようとしていたらすぐさま駆けつけケツをぶん殴りと暴れまくる飛鷹。
そんなこんなの中で人工知能を開発する科学者がルーク・ゴス組織に拉致され、彼は携帯電話にAIを搭載して人々を洗脳しようと試みる。これに利用されてしまった日本財閥の社長・岩城滉一とその娘、彼らの親戚であった飛鷹はルーク・ゴス組織壊滅のために日本に飛ぶのであるが、同じく嗅ぎ付けていたリッチー警視も後を追う・・・
終劇
■
「ドニー・イェン COOL」と「仮面ライダー」をくっつけたような映画という印象を受けた。
敵のカップルコンビがポーズ付けてみせた時はすかさず自分も真似して画面の前でポーズを取ってみましょう。彼女と一緒に見ていた方はすかさず彼女に飛鷹のポーズを取ってもらいましょう・・・ほら楽しくなってきた?
大筋が全く持って「仮面ライダー」で岩城一同が洗脳されて雄たけびを上げているシーンは何かその手のヒーローモノで非常によく見たシーンのように思えたし、世界征服がどうのこうのといったルークさんの話も
「秘密戦隊ゴレンジャー」の黒十字軍の野望に毛が生えた程度のもので、しかも何がどうなって征服なのかようわからんというチンケそのもの。
わっはっは!ストーリーなんて捨てて観たまえ!
それが本作の真髄だ。
実に前作の反省を踏まえて作られてはいる。
前作で戦うことに躊躇していたり、事件や登場人物の悲劇に悩み悲しんでいた楊紫瓊のキャラクターは完全に消え去り、ひたすら明るくてオシャレでセレブで超暴力的でズレたスタイリッシュさが画面狭しと大暴れ。まさに楊紫瓊による楊紫瓊のための映画である。しかし同じくナルシスト大爆発映画の「ドニー・イェン COOL」と決定的に違うところが一つあって、それは
需要と供給が一致している
ということである。
確かに俺は彼女がかっちょよく戦うところがみたい。
つべこべしくしくせずに悪漢どもをボッカボカ。
これが確かに気持ちいいのだ。
とりあえず正解正解。
後はこのクオリティをどんだけ上げていけるかにかかる。
と「レジェンド」のレビューであれを書いたのだから言っておかなければならないだろう。
そのクオリティが本作では個人的にやや問題か。
奇しくも本作の一つ前にレビューした作品は
「東京攻略」で同じ馬楚成(ジングル・マ)監督そして同じ動作指導・薛春〔火韋〕なのであるが、まずカメラマン出身で当然監督作の撮影も兼ねる馬楚成によるアクション時のカメラワークは個人的に好きになれない。一言で言って見難い。もうちょっとちゃんと見せろ。グルグルカメラ回すな。
「星願 あなたにもういちど」が彼の監督作というのがアクション作品を観ると正直信じ難い。つーかアクションじゃなくてそっちの路線でいったほうが・・・
んで武術指導の薛春〔火韋〕、彼は成家班(ジャッキーアクションチーム)の出身で
「ポリス・ストーリー3」「デッドヒート」「レッドブロンクス」「ファイナルプロジェクト」等に出演、実は
「少林サッカー」の武術指導にも携わっているちゃんとキャリアのある人物だ。なのでアクションは悪くない。
悪くないがそれ以上でもないというのが印象であり問題で、ジャッキーチームにいたわりにはジャッキー的な小技や小細工や小道具を活かした緻密なアクションが無く、唐李禮(スタンリー・トン)とも仕事している割にはリアリスティックにして大掛かりなスタントアクションといったものは感じられないし、楊紫瓊が跳ね回る様相は確かに綺麗だがお家芸である程小東(チン・シュウトン)のそれを越えるものでもなく、要はその振り付けに個性が無いのだ。もうちょっと彼には頑張ってもらいたいところ。
本作は
ミシェールかっくいいー!
なんて思っている女性の方に薦められるんじゃないかな。
ごちゃごちゃ大筋を気にする男には薦められん。
俺はその半分半分って感じで複雑だなぁ。
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■CAST&STAFF |
監督 |
馬楚成(ジングル・マ) |
出演 |
楊紫瓊(ミシェール・ヨー) |
任賢齊(リッチー・レン) |
ルーク・ゴス |
張卓楠(ブランドン・チャン) |
李冰冰(リー・ビンビン) |
マイケル・ジェイ・ホワイト |
岩城滉一 |
動作指導 |
薛春〔火韋〕 |
脚本 |
陳淑賢(スーザン・チャン) |
音楽 |
金培達(ピーター・カム) |
製作 |
楊紫瓊(ミシェール・ヨー) |
高鳳俊 |
鐘再思(トーマス・チュン) |
製作総指揮 |
楊紫瓊(ミシェール・ヨー) |
鐘再思(トーマス・チュン) |
韓宏飛 |
荘澄 |
制作年度 |
2004 |
驚魂記
Web Of Deception
蜘蛛に抱かれた女
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さて、いきなりですが日本でも
「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を機に非常に人気を博した王祖賢(ジョイ・ウォン)様ではございますが、その後の日本にドバーッと流れてビデオ化された作品はハッキリ言ってダメな作品が多く、中々面白い作品の無い王祖賢姫というイメージがバッチリあります。
そこでこれ。
監督は「ロボフォース/鉄甲無敵マリア」「皇家戦士」等を手がけている鐘志文(デヴィッド・チャン)・・・ということでそれならば非常に不味い・・・という印象を個人的に抱いてしまったのだが果たしてどうだったか。
■流れ
弁護士の林青霞(ブリジット・リン)は以前にお金を着服横領しちゃってたりなんかして。
というわけで、林青霞のところに
「知られたくなければ金よこせ」
といったユスリの脅迫状が届く。
しかしもって冷静沈着なキレる頭、ついでに美人の林青霞様。
「犯人はあなたでしょ。」
と、秘書の王小鳳(ポーリン・ウォン)を指差した。
図星。
林青霞様の推理はいきなり当たってしまうのだが、カナダ移住に王小鳳を連れて行けない事に負い目を感じていた林青霞は必要以上の尋問を避け、彼女を優しく諭す。
「私ったら大変なことをしてしまった!」
いきなり当てられたし、優しく諭された!
良心の呵責を感じた王小鳳は作成予定の脅迫状を燃やす。
燃やしたらシーツに燃え移っちゃたりなんかして。
火事に気づいた同居人にして友人の王祖賢(ジョイ・ウォン)が消火・・・したはいいが脅迫状作成が彼女にばれてしまう。
普通ならここで
「こんなことはやめておきましょうね」
で終わってしまいそうなもんなのだが、一旦は脅迫中止を考えていた王小鳳も改めて王祖賢(ジョイ・ウォン)を味方につけて、林青霞の財産を狙う。
今度は泥棒。
林青霞のお金を狙って忍び込んだ王祖賢と遠方から電話で指図する王小鳳。
王祖賢が金の側まで接近したところで偶然にも林青霞と出くわしてしまい、揉み合いの末に林青霞は王祖賢を刺し殺してしまう。
「人殺しちゃった!!」
というわけでパニック状態の林青霞は頼れる秘書で実は泥棒の主犯である
王小鳳を呼ぶ。
人を殺したと聞いて王小鳳は
「王祖賢が殺された!?」
というわけで駆け付けるのだが、何とそこには傷一つ負っていない王祖賢の姿が!
「よかった!無事だったのね!」
王祖賢の無事を確かめると暗場に隠れさせ、林青霞と会って知らんぷりする王小鳳。相変わらずお金を狙う。
しかし地下室に降りて王小鳳が発見したものは何と王祖賢の死体!
やはり彼女は死んでいたのか!?じゃさっきのは!?
実は生きてる王祖賢は双子の妹(二役)で出所してきた前科持ちのチョイワル姉ちゃん。
妹・王祖賢は姉が殺されたことを知ると
「財産も命も私が奪ってやるわ!」
と固く誓う。
後日。
王祖賢の死体は地下室のタンスの中に。
改めて妹の王祖賢と組んだ王小鳳は再び財産を狙う(しつこいな)。
狙うのだがこのコンビには相違が一つあった。
一人は財産を。
一人は財産より林青霞の命を狙っているということ。
かくして女の火花バチバチの戦いは林青霞が新たに脅迫の主と疑った取引先の李美鳳(エリザベス・リー)も加わって4つ巴の心理的修羅場と化す。
一人は財産を狙いたいが林青霞の命は助けたい
一人は林青霞の命の奪ってさらに財産も我が手に
一人は身の危険を感じているが誰も信用できない
一人は何にも知らないが林青霞に裏切られたと勘違い
めちゃくちゃ。
一体この修羅場を誰がどう潜り抜けるのか!?
屋敷の一夜を舞台に女の戦いが幕を開ける!
終劇
■
正直個人的に評判のよろしくない鐘志文監督なのだがこれは面白かった。
やはり徐克(ツイ・ハーク)がプロデューサーやった作品って名前だけではなくてちゃんと一味違う。
前半はことが中々進まない感じで冗長は避けられないが、王祖賢が殺された後からは俄然面白くなっていき、ラストまで興味を殺さずにサスペンス妙味を保つ演出はなかなかのもの。何しろ敵も殺したい敵と殺したくない敵がいて、敵と敵(つまり王祖賢と王小鳳)は組んでいるはずなのに、殺すことはさせまいと対抗しあったりの非常にゴチャゴチャした人間関係をこちらが混乱することなく描けている辺りが気に入った。もう少し怖い演出にしても良かったのではとは思うが。
改めて思ったことは笑いも恐怖も紙一重だということで、
この映画の一番面白いシーンである最後の一夜シーンだが、ある映画のシーンを連想させる。ある映画とは
「プロジェクトA2」のことで、シーンはジャッキーが張曼玉(マギー・チャン)の家で敵や味方大勢入り乱れてかくれんぼ大会になるあのシーンである。
あれは驚きのイベントが全て笑いに変わるのだが、隠れあって狙いあって助け合って戦いあってと同じようなことをしているのにこちらではそれらのイベント全てが恐怖に変わるのだ。やっていることはどちらも大差は無いのに演出一つで恐怖にも笑いにも成り得てしまう。この辺、非常に勉強になりました。
ということは
「13日の金曜日」も演出一つで大喜劇になるってことですよね。
なかなか面白い作品でした。
掘り出して見つけたら入手してみるのもいいかも。
日本のビデオパッケージにはエロティックサスペンスと書いてあるが、エロティックでは無いので下心は持たぬように。
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■CAST&STAFF |
監督 |
鐘志文(デヴィッド・チャン) |
出演 |
林青霞(ブリジット・リン) |
王祖賢(ジョイ・ウォン) |
王小鳳(ポーリン・ウォン) |
李美鳳(エリザベス・リー) |
李子雄(レイ・チーホン) |
陳子輝 |
陳巧玲 |
成運安 |
金彪 |
脚本 |
呂花(ルイ・ファー) |
音楽 |
趙文海(チュウ・マンホイ) |
製作 |
徐克(ツイ・ハーク) |
制作年度 |
1989 |
忘不了
Lost In Time
忘れえぬ想い
■
ラブストーリーが苦手な私であるがゆえ、例えすっごい好きな女優さんでもドラマがつまらなかったら耐えられないのが正直なところ。要は
「好きな役者さんが出てるから」
というだけではつまらないラブストーリーに客を引き込むのは難しいのだが、その辺で感心させられたのは本作である。
流石は香港映画。
俺の前世は中国人か。
とりあえず今は日本人だ。
ええ・・・まぁいいや後で語るか。
■流れ
張柏芝(セシリア・チャン)はミニバス運転手の古天樂(ルイス・クー)と結婚間近。
しかし、古天樂はそのミニバスで事故死。彼が残した前妻との間にできた息子・原島大地と二人きりになってしまったセシリアは一気に天国から地獄に叩き落される。
気丈な彼女はこの自分と全く血の繋がっていない大地くんを育てることを決意。さらに親兄弟の反対も押し切ってミニバス運転手に自分がなって生計を立てることも決心。
しかしもってミニバスなんて運転したことの無い彼女だもの。
しかも組合に入れないピンの流しだからそれは無理がある。
何のルールもわからないで苦労に苦労を重ねる彼女。
はぁもし俺が同業者ならすぐにでも行って助けてあげたい・・・(下心たっぷり)
下心と言っても助けたいのも本心だ!
という俺の叫びに同調したのはその同業者にして古天樂の死を看取った運転手・劉青雲(ラウ・チンワン)だった。
一目惚れだったのか、それからもセシリアと大地くんに限りなく優しい手を差し伸べる劉青雲。少しずつセシリアも惹かれていくのだが、それより重要な問題が・・・お金。
「やっぱり養うのは無理だ!」
というわけで大地くんを孤児院に預けようとするのだが、すんでのところで劉青雲が止める。
「一緒に暮らそう」
少しずつ、ほんとに少しずつ自体は好転していた。
していたのだが、忘れえぬ想いを持っていたのはセシリアだけではなかった・・・
終劇
■
香港映画を露ほど知らない、そして邦画をヌルーク観ている友人にこう言われたことがある。
「香港映画はつなぎが荒くてようわからん」
言われて納得はしないが理解はした。
もし本作が邦画であるならば、最初の恋人である古天樂の馴れ初めからラブラブから結婚までこと細かく描いたのではないだろうか。それこそ彼が死ぬのは30分過ぎてからってところになりそうな予感がする。
実際の本作は始まって彼が死ぬまで一分あったかないか。
本格的にセシリアと劉青雲の物語が始まるのはあっという間の1分後なのだ。
冒頭で言いたかったのはそこで、本作はラブストーリーの苦手な私でさえもあっと言う間に物語に引き込む力を持っている。まぁ自分一人の話になるのかもしれないがアクション映画よりも恋愛映画に引き込むほうがよっぽど難しいだろう。流石は既にベテラン監督になった爾冬陞(イー・トンシン)の演出力だ、これぞ香港式の恋愛映画、俺ってやっぱ香港映画好き。
要は本作はいわゆる香港タイムでドラマが刻まれる。
そのテンポは速い。
速いということは物語の中の色々なニュアンスが必要不必要含めて切られるということで、
「星願 あなたにもういちど」の時も同じことを思ったのだが切られた部分はこちらの頭で補うことになる。補うということは想像力を膨らませるということでその辺の脳内補完しながら物語を完成させていく行動も含めて鑑賞が楽しいのだ。1から10まで説明してもらってもさらに11を欲しがる様な人間には絶対楽しめないだろう。1から9まで説明してる多くの邦画(勿論例外もあります)に慣れてる人間には1と2だけで語ろうとする本作に着いていくのが難しいのではないか。元から細分化して鑑賞する傾向にある女性には関係ないことかもしれませんけど。
つーか、セシリアかわいーっ
そして陳惠敏(チャーリー・チャン)突然のゲスト出演も興味深いのですが、不器用なセシリアの父を演じる秦沛(ポール・チュン)もよかったですね〜彼は悪役裏切り者専門役者のように感じるから尚更。やっぱ監督の兄貴だから美味しい役もらえた?
かくして、爾冬陞監督は改めて注目せざるを得なくなりました。
ちょっとこれから彼の他の作品も鑑賞してみようと思います。
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■CAST&STAFF |
監督 |
爾冬陞(イー・トンシン) |
出演 |
張柏芝(セシリア・チャン) |
劉青雲(ラウ・チンワン) |
古天樂(ルイス・クー) |
原島大地 |
秦沛(ポール・チュン) |
陳惠敏(チャーリー・チャン) |
制作年度 |
2003 |
渾身是胆
Enter The Eagle
エンター・ザ・イーグル
■
で、最近は何をしているのだろうか?
李小龍(ブルース・リー)の愛娘・李香凝(シャノン・リー)が主演したアクション片。
レディアクションならお任せの元奎(ユン・ケイ)がメガホンを取り、父・李小龍をスターダムに押し上げたゴールデン・ハーベストが製作をしている、鄒文懐(レイモンド・チョウ)は流石に関わっていないが。
■流れ
巨大ダイヤが美術館に飾られる。
これを盗んで売って大金を。
というわけで、王敏コ(マイケル・ウォン)率いる泥棒グループは盗品売買組織のボス、ベニー・ユキーデと交渉。交渉は命がけに渡ったが取り合えず成功する。さぁダイヤを盗まなければ。
以前にチームを組んでいた李香凝(シャノン・リー)をスカウトして準備を整える王敏コの前にスリコンビの袁詠儀(アニタ・ユン)と陳小春(チャン・シウチョン)が「仲間に入れてくれ」と現れるのだが、実力不足で入れてくれず。
泥棒決行の日。
泥棒プロジェクトは順調に進んだがここに問題発生。
スリコンビの陳小春がプロジェクトの大詰めでダイヤを盗んでしまいそのまま警察に捕まったりなんかして。
つーか中国人は捕まっても拘置所や刑務所を襲えば良しといつも短絡的に考えているのだろうか。あっちのアクション映画でその手の場所を強襲するシーンが多すぎる。これだと中国じゃ悪い奴はすぐ殺しておかないとロクなことにならないって印象を受ける・・・ああだから実際も死刑判決から執行までが無茶苦茶早いのか。
王敏コ、李香凝そして彼らに捕まった袁詠儀は拘置所から陳小春とダイヤの奪還を実行。
ベニー・ユキーデ組織も同じく拘置所強襲でダイヤ奪還を同時実行。
組、警察、ベニー組と三つ巴の大激戦が繰り広げられた末に流れ弾に当たった陳小春は死に、ダイヤは王敏コ組から出た裏切り者の手に渡る。
新たなボスを見つけた裏切り者は再びベニーと交渉。
陳小春や仲間を殺され、復讐を誓っていた王敏コ、李香凝、袁詠儀がコレを許すはずも無い。
場所を飛行船に移して最後の戦いが繰り広げられようとしていた・・・
終劇
■
まさか李小龍の時のような大当たりを期待したわけでもないだろうが、
主演級の出演陣とベニー・ユキーデの抜擢、全編海外ロケと予算をかけた派手なアクションシーンを見ればわかるとおり、ゴールデンハーベストが本作に如何に力を入れていたかが理解できる。
シンプルに面白いかと聞かれれば「そこそこ」が正直なところで派手なアクションシーンもドラマの貧弱さと共に演出心中しているような印象でノリ切れなかったかな。
またしても個人的にはカメラワークの不必要な歪さが鼻についたのは残念ではあったが、限られたシチュエーションの中で小気味良く戦うファイトシーンは中々のものではあった。
ただベニー・ユキーデといえばどうしてもガチンコ勝負を想像してしまうので、想像したとおりのベニーvsシャノンがもっと見たかったところ。戦闘場所が狭いというのと中途半端に勝負が終わっているところは残念か。
注目のシャノンについては、B級映画のアクションスターとしては十分やっていけるなとは思うが、それ以上には成り得ない印象というのが本音か。敵を一発で吹っ飛ばして超格好良いスターといえば李小龍しかいないのか。いやもう一人可能性のある男がいた。だが、その男ももう今はいない。その名は李國豪(ブランドン・リー)。
で、シャノンさんは最近何をしているのだろうか? |
■CAST&STAFF |
監督 |
元奎(ユン・ケイ) |
出演 |
李香凝(シャノン・リー) |
王敏コ(マイケル・ウォン) |
袁詠儀(アニタ・ユン) |
陳小春(チャン・シウチョン) |
ベニー・ユキーデ |
動作指導 |
元コ |
音楽 |
金培達 |
製作 |
陳錫康 |
製作総指揮 |
何冠昌(レナード・ホー) |
制作年度 |
1998 |
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