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■ゲームについて色々書いてみた  
 


この頃、レビュー更新が滞り気味な理由は簡単で、
要はプレイステーション3で、
「Grand Theft Auto IV」(海外発売のみ)と
「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」が
発売されて、それらを遊び通してさらにMIXIをご覧頂ける方は一目瞭然ですが、休日はドライブに出かけてしまうので、映画を見る暇は作れてもなかなかレビューまでの時間が取れないというか気力が出てない実情でございます。

「ゲームやってる暇があったらレビュー書いたほうが・・・」
と自分で思いながらもついついコントローラに手を伸ばしてしまう自分がいて、ほんなら久々のゲームレビューをしようかと相成ったわけでございます。

んで、私が敬愛してきた小島秀夫作品を中心にゲームについてたっぷりと語ってみたいと思います。
以前は当HPにもメタルギアコーナーがあったのですが、容量の関係とかクオリティの問題で消してしまいました。何書いたかも忘れたなぁ・・・

※文章の最後の方では「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」のネタバレをめちゃくちゃ書いてしまいますので、楽しみにしてる方はクリアするまでそれを読まないでください。





ええと・・・
あのね、私の世代はTVゲーム的に実に幸せな世代でございました。
物心ついたときにインベーダーゲーム、家庭用ブロックくずし、そしてカセットビジョン、さらにゲームウォッチ・・・まさにTVゲームの夜明けを目の当たりにしていよいよ登場するのがファミリーコンピュータ、そしてスーパーファミコン、プレイステーションとまさにTVゲームの発展と共に私たちは大人になっていったわけであります。

そんな中、小島秀夫作品が登場するのは1985年。
記念すべき1作
「メタルギア」
プラットフォームはファミコンではなくMSX2。
MSXについては最近の若い人だと知らない人も多いだろう。
他にもスーパーカセットビジョンやセガマークVなど、マニアックなゲームハードを知ってるかな?
とにかくMSXは結局ゲーム機である。
TVに繋げてパソコンしよう!そして低価格!
・・・が売りだったMSXパソコンは、子供が
「パソコンで勉強するから!」
と言って買ってもらい、その実はゲーム三昧になるという口実ありきなゲーム機である。
ちなみに成龍(ジャッキー・チェン)の映画はMSXで数多くゲーム化されており、「スパルタンX」「プロテクター」「ポリス・ストーリー/香港国際警察」「プロジェクトA」と当時の代表作は全てゲーム化されている。が、数年前に自分が書いた「もう一つのプロテクター」を読んでもらえればわかるとおり、どのゲームもオススメできるようなものではない。ただジャッキー映画のゲーム化で今のところラストである
西環の虎も出てきます
「プロジェクトA2/史上最大の標的」は傑作には程遠いが中々の力作で、ジャッキーのデカ鼻もちゃんと再現してあればアクロバティックな動きもあり、工場での乱闘アクションから高所スタントの再現もあり、女ドラゴンや鳥男、相撲取り等と敵キャラクターもバラエティに富んでいてそこそこに面白かった。たぶんまだ持っていると思うこのゲームの特製下敷きはレアなジャッキーアイテムだろう。

そもそもMSXはファミコンと比べてスペック的に見劣りするのは避けられないハードであった。MSX2にパワーアップしてグラフィック的にはファミコンの上を行く存在にはなったものの、縦横スクロールのスムーズさやキャラクターの動きの滑らかさの点では何れにしても劣っていたと言わざるを得ない。
そんな日陰のゲームハードであったMSXのゲームを作れ!
と言われて腐っていったゲームメーカーのクリエイター達が恐らくたくさんいただろう中で(現にクソゲーがたくさんあったのだから)、腐らずに頑張っていたクリエイター集団があった。それがコナミである。
今は大企業となってしまったが、当時のコナミは執念と職人気質の塊であった。
勿論、ファミコンでも様々な傑作を放っていたメーカーではあるが、ことMSXでリリースされたコナミゲームは他メーカーが発売していたMSXゲームと比べて完全に抜きん出ていた。

ファミコン版には入ってないOP画面
「グラディウス」ではファミコン版仕様にはないMSXオリジナルステージ(ボーンステージ)を付け加えて、ファミコン版では小さかったボス敵(名前忘れたなぁ・・・)もアーケード版と同じく大きいものを再現させた。

「悪魔城ドラキュラ」はファミコン版も名作と言われているが、ファミコン版、MSX2版、どちらもクリアしている私にとって間違いなくMSX2版の方がより名作であると断言出来る。
とにかく、当時のコナミのMSXチームには
「ファミコンなんかに負けてたまるか!」
という熱いソウルが感じられた。
その中で最も熱いソウルとして登場するのが「メタルギア」である。

画面に出てくる敵を次々とぶっ倒し・・・・
というのが発想の常であったゲーム業界であるが、
画面に出てくる敵を見たら次々と逃げまくり・・・
と全く逆の発想でゲームを作ったらこうなったのが「メタルギア」である。
これは2008年をもって終焉を迎えた・・・らしいシルベスター・スタローンのランボーがシュワちゃんの「プレデター」に姿を変えたような素晴らしい逆発想で、画面に出てくる敵は常に倒さなければいけないという先入観に囚われていた当時の私のようなゲームっ子にとってまさに衝撃的であった。
クライマックスでラスボスのBIGBOSSが放つ名台詞、
「MSXノデンゲンヲキレ!」
は、ゲーム世界と現実をリンクさせる楽しさを披露して見せた小島秀夫独特のセンスである。このセンスは今の今まで披露され続けている。
またキャラクターの魅力、特にボス戦でのボス的のキャラクターのインパクトの強さや小島作品独特のただ撃ちまくって倒せ!等とは一味違った攻略法などは既にこの作品で確立されている。

矢継ぎ早に登場した小島作品第2弾は

「スナッチャー」。
既にここで小島ワールドは確立されていると言ってもいいだろう。
重厚なストーリーとウィットに富んだ会話、現実離れしすぎない今を見据えたこのサイバーパンクアドベンチャーは余りに衝撃的で、当時流行っていたアドベンチャーゲームではエニックスの「JESUS」等、質の良い脚本を用意したゲームも確かにあったのだが、圧倒的な背景設定とテキストボリュームでこの「スナッチャー」は他社のアドベンチャーの遥か上を行く存在になってしまった。今思えば、やたら長いローディングやMSX2版では容量の関係上、話が途中で終わっている等という弱点も垣間見られる作品ではあるのだが、それを補って余りある魅力溢れた作品であった。
それを証拠に完全版として出したPCエンジン版からプレイステーション版、セガサターン版と次世代機ブームの中でも移植され愛され続けたゲームになっている。
小島作品らしい演出は時限爆弾爆発のシーンで、わざとゲーム中の効果音のボリュームを下げて、プレイヤーにTVの音量を上げさせておいて
どかーん!!
と一気にデカい音を出してプレイヤーをびっくりさせる演出はとても楽しかった。

そして小島作品MSXラストの作品として登場するのが、

「メタルギア2 ソリッドスネーク」
である。
ハッキリ言って2Dか3Dかの違いだけで、メタルギアの魅力の全てはこの作品に詰まっていると言ってもいい。
当時、ゲーム史上初であった物音に反応する敵キャラクターの存在と、メタルギアシリーズお馴染みの「発見!」「索敵!」等のモードの変化、レーダーの存在、ユーモアもたっぷりの敵ボスキャラクターの数々・・・特に走るだけがひたすら得意のランニングマンは小島キャラの傑作である。クライマックス近くのステルス装備したボス敵に対して、
「諦めろ。勝てねえぜ・・・」
といった通信相手の台詞も印象的だ。
更に、後にサイボーグ忍者・グレイ・フォックスとしてメジャーシーンでも名を馳せるフランク・イェーガーの存在も興味深く、彼の恋ロマンスの話(ナターシャ・マルコヴァ)はこの作品でしか語られていない貴重な話である。
さらに匍匐前進、敵を尾行、モールス信号での暗号解読、パッケージの裏を見ろ!(わかる方にはわかりますよね?)、粋なオープニングに洒落たエンディングと全て網羅していると言っても良い。後は表現方法の問題だけである。
個人的にはこの作品、この年になってもまだ1年に1回ぐらい遊んでいるような気がするな・・・間違いなく私個人のゲームベスト3に食い込む作品である。

そしてプラットフォームを変えて出された小島作品が「ポリスノーツ」。
ハードは3DO・・・3DO!?皆さん、ご存知ですか?もしくは覚えてますか?
松下が出した次世代機で大失敗したハードでございます。
私個人としては電化製品はソニーよりも遥かに松下と思っていますが、ゲーム機だけは失敗しましたね、松下。
ちなみに私がプレイしたのはプレイステーション版でございます。
もうここに来ると全然違いますよ。
だって、今度は一流の声優さん達の演技合戦も繰り広げられてしまうのですから。
俺、ゲームのラストでウルウル・・・と来たゲームってこれが一番じゃないかなぁ・・・
ストーリー的にも「リーサル・ウェポン」や「ダイ・ハード」等数々の作品をパロディ化しながらそれらを美味しく消化しつつ、ハリウッドの大作映画と比較しても何ら遜色の無い素晴らしい脚本をもってアドベンチャーゲームとしては・・・これが最高傑作だと思いますね。
私はアドベンチャーゲームが大好きで、今となっては古いジャンルゆえにサウンドノベル(「かまいたちの夜」とか)という形でぐらいしかアドベンチャーゲームは残っていないのですが、当時はそれこそ有名な「ポートピア殺人事件」から「オホーツクに消ゆ」、エッチな表現もあることからファミコン発売が見送られた
シナリオはドラクエの堀井雄二
「軽井沢誘拐案内」、そしてアドベンチャーゲームと言えばリバーヒルのJ.Bハロルドシリーズや「琥珀色の遺言」「黄金の羅針盤」ですね。他にもたくさんありましたがアドベンチャーゲームがブームを興した時代がありました。
ま、それはともかくこの「ポリスノーツ」は当時のコナミサウンド集大成的な素晴らしいサウンドトラックも相まって、またまた大好きな作品ですね。

「メタルギア2 ソリッドスネーク」と「ポリスノーツ」。
今のところ、個人的にはこれが小島作品の最高傑作だと思っています。
というのも、アクション的な演出の巧みさは既に「メタルギア2 ソリッドスネーク」で確立しており、ストーリーテリングとしての巧みさは「ポリスノーツ」で確立しており、両者を併せた発展系が今の小島作品であると言えるからです。

というのも、「メタルギア2 ソリッドスネーク」発売は1990年で、世界的にその小島秀夫の名を知られることになった大ヒット作プレイステーションの「メタルギアソリッド」は1998年発売で、8年のブランクがあるんですね。
8年のブランクがあるんですがこの「メタルギアソリッド」はハッキリ言って「メタルギア2 ソリッドスネーク」の世界を2Dから3Dに描き直したリメイク作と言って良いでしょう。
お馴染みのダンボールやパッケージを見ろ!敵キャラクターの容姿や攻撃方法も随分と被ります。ラストの肉弾戦も同じ。むしろ「メタルギア2 ソリッドスネーク」にはあった卵からフクロウを孵して成長させてホーホー♪と鳴かせて敵兵に夜と思わせてセンサーを切らせる・・・といったギミックがプレイステーションで再現されていないのは残念でした。
パッケージを見ろ!イベントは当時の友人たちの間でも話が盛り上がりましたが、私自身は8年前に体験していたことなんですね。
なので、この「メタルギアソリッド」、あのメタルギアを3Dポリゴンで楽しめるということで私も大いに楽しんだ1人ではありますが、新鮮味という意味では8年前の焼き直し感も強く、最高の作品とはなっていません。ただ、「ポリスノーツ」で登場したメリル・シルバーバーグが再度ヒロインで登場するなど相変わらず粋な演出も多くてプレイステーションゲーム傑作の1つであることは間違いありません。


プレイステーション2で発売された「メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」。
ここから決定的に逆になったことが1つあります。
それまでの小島作品というのは「東邪西毒」を撮れないスタッフが「大英雄」を撮ってしまうが如く、逆境の中から傑作を生み出すのがパターンでありました。
元々、「メタルギア」の登場はキャラクターを画面に一杯登場させられない当時の低スペックマシンの理由から逆に少ない敵相手に如何にドキドキ出来るか?を突き詰めた結果であり、プレイステーションにしても敢えてローポリゴンでの演出でプレイヤーの頭の中に映像の創造を委ねた結果、成功を収めた作品であります。
しかし、ハードの性能が向上してあれも出来る、これも出来るとなると今度は逆に、
低スペックマシンで如何に表現するか?ではなく
高スペックマシンの性能を如何に使いきるか?に変わりました。
主婦がその辺のスーパーで買ってくるような食材で最高の料理を作るか、キッチンに並べられた最高の食材で最高の料理を作るか、の違いですね。
こうなってくると事情は変わってきます。
既に食材がそのままでも美味しい、性能が高いのですからかつてローポリゴンでの人形劇で感動的なシーンを演出した作品のムービーは正にムービーそのものになりました。
いつの間にか、小島作品はスクウェアの「ファイナルファンタジー」のように高性能グラフィックスの賜物になりました。
しかし、これを嘆いているわけではなく、
「ああ、これで小島さんが本当にやりたかったことが出来るな」
と非常に楽しみにしたわけであります。

「メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」はストーリー面での余りの難解さと主役がスネークから雷電に代わってしまっている点で、不評も耳にする作品ではありますが、ことゲームの肝部分であるプレイヤーがプレイするアクション面において非常に優れた作品でした。
まさに
「メタルギアでは本当はこんなことがしたかったんだ!」
というのがたっぷりと盛り込まれており、また遊び心の溢れようも顕著で、主演の雷電がクライマックス一歩手前ですっぽんぽん丸出しで走り回る演出があったり、 ストーリー上の演出でステージの表示が「池袋一丁目」になっていたり、中でも遊びすぎにも程がある(私は大好き)ロイ・キャンベル大佐の壊れっぷり(本作ではAIコピーが大佐に成りすましていたというオチなので)は、何度も聴いても楽しく、通信が壊れて何故かグラビアアイドルのPVが始まるなどやりたい放題さが非常に楽しかった作品です。


「メタルギアソリッド3 スネークイーター」
さらにプレイステーション2の性能を最大限に活かした小島作品がこれ。
1作ごとに全く新しいストーリーとキャラクターになる「ファイナルファンタジー」とは違い、続きものの「メタルギア」はそろそろストーリーが辛くなってくる。何しろ元々シリーズ化など予定されていなかったMSX2の単なるゲームが発端で、魅力ある敵キャラクターたちはそりゃスネークの手によって全て倒されてしまっているからで、行き詰ったら0に帰れ!と言わんばかりに本作はスネークが主役ではなくスネークの父であるBIGBOSS(ネイキッドスネーク)が主役の物語になっている。
オールドファッションに身を包んだこの作品は今までの近未来サイバーパンクな小島作品のイメージとは一味違う作品になった。オープニングの「007/ゴールドフィンガー」を連想させる主題歌もとてもいい。
いつもの遊び心という点で演出的な新鮮さは流石に減ったかもしれないが、作品全体のメインテーマそのものが遊び心に溢れたもの(サバイバル)であり、ジャングルの中で蛇や蛙や果実、果てはコウモリや蜘蛛や何とツチノコまで食ってしまうスネーク自体がこの作品のストーリー根幹から離れた面白味そのものである。
ただ舞台が密林地帯になった為、敵から隠れるという点でより面白くもなったがより難しくもなってしまい、小島本人の華麗なデモプレイのように隠れて敵の目をかいくぐり1人ずつ倒すような初期ランボーの動きをすることはなかなか難しく、どうしても敵に見つかって一気にシュワちゃんの「コマンドー」になってしまうジレンマは強く感じる作品であった。
小島さんご本人が「メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」でのストーリー面で反省した点があるらしく、こちらは期待通りストーリーもシンプルでわかりやすいものになっており、ラストのザ・ボスとの決戦演出も素晴らしい出来上がり。CQC導入によって今までワンツーパンチでしかなかった肉弾戦も非常に楽しいものになっている。

余談ですが、「メタルギアソリッド3 スネークイーター」の通常版ではなくて、上記リンクのSUBSISTENCEにはMSX2版の「メタルギア」と「メタルギア2 ソリッドスネーク」も特典ディスクに入っており、遊ぶことが出来ます。通常版には入っていませんのでご注意を。さらに余談で実を言うと、スネークの容姿というものが本決定したのはプレステ以降であり、「メタルギア2 ソリッドスネーク」でのスネークの顔はスタローンとハリソン・フォードの真ん中みたいな全然違う顔をしています。上記にある画像はその顔。SUBSISTENCEではそれが不味かったらしく全編に於いてキャラクターフェイスのグラフィックが差し替えとなっているのですが、これがまた何だか下手糞なキャラになってまして、実はここだけはオリジナルのMSX2版の方が良かったりするのです。

そして2008年6月に発売された小島作品の集大成が

「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」
だ。
と言いつつ、いきなり続けて言うがクリアした感想はやや残念なものになってしまった。
小島作品の特徴として挙げられるのは
「ムービー部分が長すぎる」
という点でこの点は既に2作目の「スナッチャー」から現れており、「スナッチャー」のACT3はほとんど丸々デモシーンだけで物語が進み、さらにMSX2版ではエンドロールだけで何と10分以上!エンディングテーマも10分以上である。これは当時のゲームとして余りに凄いこと。
続く「ポリスノーツ」からシリーズ化となったメタルギア全てのデモシーン、ムービーシーンがとにかく長い作品群である。
その極め付けがこの作品でとにかく自分がコントローラを持っていない時間が滅茶苦茶に多い。もうずーーーーっと観てるだけのシーンが延々と続く。
流石にハイレゾハイクオリティのムービーなのでカメラワークの巧みさも含めて十分鑑賞に堪えられるシーンではあるが、流石にこの作品はやり過ぎである。飽きさせない為に様々な工夫が凝らしてあるのは認めるが、少し勘違いをしているのか、それとも集大成としての居直りであろうか、そもそも小島作品は映画ではなくTVゲームなのだということを今一度認識してもらいたい作品に私は感じた。
ただ、物語はやや複雑すぎるところがあるものの、感動的だ。
でも今までは例えムービーシーンが長くてゲーム的もボリュームたっぷり、というのが小島作品のウリであったのに対し、本作はそのバランスを欠いている。
発売前のこの作品のウリの1つはボリュームである。
しかし、蓋を開けてみるとやっぱりメタルはメタルであり、つまりあれだ。

今までから揚げ弁当、ステーキ弁当、鮭弁当、と出してきてこれらを一気に出す弁当・・・とするわよね。
そうすると幕の内弁当になるわけだが、考えてみてください。
幕の内に色んなものを出すとすると当然全てがこじんまりとしたスペースに埋め込まれる。たっぷりステーキやから揚げを楽しめた弁当とは違って、どれもこれも一口二口食べておしまいといった内容になってしまう。
本作はそれに該当する。
確かに内容は正に集大成!といった内容でお送りし、「ポリスノーツ」の主役コンビ、エド&ジョナサンと同じ名前の兵士が登場して同じ台詞を喋ったり(さらに2人とも同じ声優さん!)、メタルギアとしても舞台は前作の密林も出てくるし、中盤では「メタルギアソリッド」の舞台となったシャドーモセス島にもう一度行く羽目になるし、ラストの戦艦は「メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」を少し模したものになっている。
バラエティ溢れる内容になっているじゃないか、と思いがちだがそうではない。中東から欧州に舞台が移ってしまう驚愕の展開はとてもびっくりしたが、実際に欧州で出来る(プレイヤーが遊べる)部分は尾行アクションとバイクレース、ボス戦でおしまい。尾行アクションを除けばゲームの上手い人だと自分が操作する部分はほんの20分程度で終わってしまう。さらに例によってムービーシーンだけはここも滅茶苦茶長くて後は見ているだけ・・・これでは消化不良な気持ちになるのも無理は無い。

そもそも、中東の戦場が舞台ということが数年前から発表されており、これまでの区切られたステージで戦うメタルギアとは全く変わっているという触れ込みの多くから、私は「Grand Theft Auto」シリーズのイメージを重ね合わせていた。
「Grand Theft Auto」は簡単に言えばニューヨークやロサンゼルスを模した箱庭ワールドの中で自由に犯罪に享楽に手を染めるクライムアクションで、その内容の過激さから日本では一部の地域で販売禁止になったり、事件などの問題が起きたりと話題の多い作品ではあるが、その作品のクオリティは素晴らしいシリーズである。
てっきりこの辺の影響から、今回のメタルギアは中東の箱庭戦場を作ってそこにスネークが飛び込み、自由に街を徘徊しながらも物語の真相に迫っていくんだろうと思って楽しみにしていたのだが、残念ながら勝手な私の妄想は裏切られて、やっぱりメタルはメタルのステージ紋切り型だった。
・・・じゃあだったのは良しとしようじゃないか、本来のメタルギアを楽しめばいいじゃないか、という点で幕の内弁当では消化不良なのだということである。

ipod(ゲーム中の)でのHIDECHANRADIO配信や、ネットワークでのアイテムダウンロード配信、様々な武器とそれのカスタマイズ、あれやこれやと何でも出来るゲームに見えるが、その実においてじゃあその武器をどこで使うんだ?遊ぶんだ?というスペースがプレイヤーに提供されていないような気がする。だって小さいスペースの中で戦争してるでしょ?これをスネークが助けてどちらかを勝たせてしまうともうそこには勝利した兵士しかいない。次のステージに進むしか他は無くなるわけ。んで、次のステージでも同じことが続くから次々進んでしまってエンディングというわけで。

また通信での楽しさも本作では減ってしまっている感がある。
ムービーの方で全てを喋ってしまっている、喋らせても容量的に問題ないプレイステーション3というハードであるがゆえに、通信で喋る内容は補足部分だけになってしまった。おまけに通信できる相手がオタコンとローズマリーだけというのは、考えてみればメタルギア全シリーズで一番少ないのではなかろうか?

オンライン対戦の方にも甚だ疑問が残る。
オンラインのFPSゲームをやったことの無い人には新鮮に移るかもしれないが、実はオンラインのFPSゲームというのはもう10年以上前からグラフィック・・・というもの以外に大した進化はしていない。
私がもう12年も前に全く個人的にハマっていた「DUKE NUKEM 3D」というオンラインFPSゲーム。残念ながらこちらの方が本作のオンラインに比べて滑らかで素早い動きでさらに武器も豊富に良い対戦相手が見つかれば延々と遊んでられる作品だ。本作のオンラインは動きのもっさり感と決して良いとは言えない操作性にジレンマを感じてしまう、良質なオンラインFPSが他にもある中で決して良いとは言えない出来栄えなのだ。

ここまでグダグダと愚痴をこぼしてしまうとフォローにも何にもならないのだが、本作は小島作品ファンであれば置いておきたい一本であることは間違いない・・・間違いないが本体が高いからなぁ・・・
後、数あるオープニングムービーの意味が僕にはさっぱりわかりません。

流石に多分、小島さんもメタルギアはもう作らないと思われる・・・
というところで、次の世代に託されるであろうメタルギアシリーズも楽しみなのですが、勿論小島さんの次回作にも期待がかかるところ、また0から新しい作品となると相当な年月を費やすことになると思うので、その前に裏メタルギアみたいなのを作って欲しいな。つまり、かくれんぼというものは演出1つでホラーにもアクションにも喜劇にもなるわけ。ユーモアセンスもたっぷりある小島監督にセルフパロディのいっぱい笑える作品を作って欲しいな。





さらに、まぁ多分一生ゲーマーもやってるんだろうなとは思いつつも、
流石にこの頃は食傷気分はあり、「ウイニングイレブン」以外ではコントローラを握っていない(いやメタルギアとGTAで握ってますけど)。
これは全ての作品に該当してきたことなのだが、簡単な例を挙げると、

「プロ野球スピリッツ5」
プロスピ入門
ホームラン競争
ストライクピッチ
ペナントレース
スターダム
スピリッツ
トライアル
トレーニング
VPショップ
ユーティリティ
オンライン

モードありすぎ要素てんこ盛り過ぎでむしろうんざりするのね。
ライトユーザーは絶対やり込めない、というか学生でもない限りやり込む時間なんて無いのよ。
だから個人的には
「プロ野球スピリッツ5ライト版」(もちろんこんなのありません)
オープン戦
ペナントレース
エディット選手作成
オプション
このぐらいにモードを狭めた簡易版を安価で出して欲しいのよね。
時間の無い世知辛いの世の中でサクッと出してサクッと遊ぼうと思ったらこういうライト版の製作も各ゲームメーカーさんに是非考えて頂きたいところ。





さらに追伸で「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」
のラスト、小島監督メタルギア最後のやりたい放題がこのシーンで、
・・・言わない方が良いかなぁ・・・あの人の登場にあの人の声と粋すぎる演出は素晴らしかったです。


 
 
 
 
 


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