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■まぁ要はクンフー無しの香港映画のレビューです。  

林小櫻たんは好評だったのでこっちでずっと表示。

山中傳奇
Legend of the Mountain


とにかく。
この映画の一番凄いところは
何だか引きつけられて最後まで観てしまう力
である。確実にそんな力が存在する。

お話超要約
旅してた剣士さんがちょっと休憩で、海の崖(東尋坊みたいなとこ)で一息つく。
ほんで旅先の山中小さな村で、妖艶な美女と可憐な少女に恋してまう。  いろいろ惚れた腫れたあったけど、村の人み〜んな幽霊でそれがばれると村人全員サクッと消えてしまう。  
「あ〜あ。」ってことで、一人残った剣士さん、海の崖で一息つく。おしまい。

正直、見終わって
「なんじゃこりゃ〜!?」
って感じでした。憤慨ではなく驚き。これだけの事を3時間もかけて観てたのか俺はぁ。なんだかイベントが結局何にも無かったような気がするのだが、 それならそれで何故俺は観きってしまったのだぁ
見所と言えば、張艾嘉たんが本当に可愛いのと、胡金銓らしいアングルでとらえた美しい風景だけなんだが・・・

よく黒沢明監督と比べられるけど、類似している点はやはり撮ってる作品の作風の流れ。これは誰でも音楽の世界でもこのような流れになって行きやすい傾向にあるけれども、
エンターテイメントから芸術へ偏重していく
当然、娯楽性は薄れてくるわけで
「つまんない」の一言で切り捨てる人も出てくるわけで。
ただ僕は好きなんだなぁ・・・この作品(どっちやねん)。

逆に考えて、
派手な演出やら、素晴らしいアクションが展開すれば誰でも惹きつけられるが、そういった事を一切しないで人を惹き付けられるとすれば、もっと凄いんじゃないの?」 ってとこ。
ただし、成瀬巳喜男監督や小津安二郎監督とか比べてしまうと
「まだまだ」って気がします。あれは、こっちが年喰えば喰うほど「凄い映画」なのがわかる。
胡金銓監督の享年は64歳。早すぎるとは言いかねる部分もあるが、黒沢明監督が80代になっても バリバリ映画を撮り続けた事を考えると実に惜しい。
ところで、石雋さんは「頼りない感じ」演じさせたら非常に上手い。ほんとに頼りなさそう。

■CAST&STAFF
監督 胡金銓(キン・フー)
出演 徐楓(シー・ファン)
張艾嘉(シルビア・チェン)
石雋(シー・チュン)
〔イ冬〕林
呉明才(ウー・ミンサイ)
田豐(ティエン・ファン)
徐彩虹
孫越(スン・ユエ)
陳慧樓(チェン・ウェイロー)
呉家驤
脚本 鍾玲
製作 黄卓漢
制作年度 1979
 



施錯車
Cop Busters
GO・KI・GEN/白バイ野郎ヒゲ&デブ



邦題がなんぼなんでも酷すぎる
このタイトルで「借りてみよう」と思う奴なんかいるのか。やる気あんのか。 ちなみに僕は当時、テレビ大阪放映で見ました。
本当はシリーズ的な作品(これはPART3らしい)だそうで、 まぁ香港式「ポリス・アカデミー」といった所でしょうか。

お話としては・・・ああストーリー書くの・・・苦手。
モテない白バイコンビの王青(ヒゲ)&鄭則士(デブ)が共同生活してるのですが、ひょんなことからそこに美女が一緒に住むことになり、 ヒゲは美女にメロメロ。一時は結婚か?ってとこまでいくが、美女はヒゲをマスコット的に可愛い(よくあるやね)って思ってただけだった・・・・・・
ヒゲは絶望の内に飛び降り自殺。目の前で友人を亡くしたデブが逆ギレし、美女を丸焼きに・・・・じゃなくて!
自殺を必死で止めるために説得してふられたけど友情は復活!

本作の魅力はいつも悪役の大口・王青、元々コメディアンなのだから、こっちが本業のはずだがジャッキー「新ポリス・ストーリー」の悪役のおかげで、俺個人的には悪役の印象しか無くなった鄭則士、彼らがとっても可愛らしいコメディ演技をしているとこにあります。
中でも王青のキュートさはなかなかで、今までは大ボスの隣でへいこらする嫌〜な悪役もそうだし、古くは「復讐のドラゴン」でもムカムカする悪役だったのがどうでしょう。
蝶ネクタイのタキシードで美女とのデートにウキウキルンルンしてたり、泥棒にズボン盗まれて制服とパンツ一丁で駆け回ったり、排便中に便器に差し歯が落ちて拾ったり(下品やな〜でもこの時の王青の顔がケッサク)。
ラストの王青が涙ながらに語るシーンは必見。

そんでもって全体の雰囲気がホンワカしてるのも○
李修賢ってこんな雰囲気の映画撮るんだ〜ってのも知れば新鮮な驚き。
鄭則士に関しましては、当時TV放映の吹き替えが滝口さん (「ぶらり途中下車の旅」でわかるかな?リンク先で声が聞けます。  ブラウザの設定いかんによっては聞けませんが。) ということもあって、とても良い味出してました。

な、なんか結構誉めてしまったがコメディものとしてはそんな大爆笑できるほどもなく、テンポもちょっと冗長気味なので、退屈と言えば退屈か。


■CAST&STAFF
監督 李修賢(ダニー・リー)
出演 鄭則士(ケント・チェン)
王青(ワン・チン)
成奎安(シン・フイオン)
制作年度 1985
 

人民英雄
People's Hero


狄龍おっちゃんの様々な表情を楽しみたい方にお薦めしたい一本。
なぜならば、お話が
脱獄して銀行強盗を企んでいた男(狄龍)が、その銀行の様子見に。
しかしそこでチンピラ(梁朝偉)が先に強盗を起こしてしまったため人質の身に。そのチンピラを軽く小突いてそのまま自分が強盗の主犯格に。後はずっと銀行の中で、他人質とのやり取り、警察とのネゴシエート・・・
見事、狄龍は銀行から脱出なるか!?

って感じなので、シーンはずっと銀行の中、ずーーーっと出ずっぱりです。
これだけでも特異な映画だよなぁ。しかも本当にさりげなく梁朝偉・梁家輝というスターが出てるのも何だか貴重。梁朝偉なんか、
こいつが本当に周潤發と死闘を繰り広げた奴か!?
と疑いなくなるよな、気の弱さっぷりを発揮しています。
ナイチンゲール症候群みたいな感じで、「犯人と人質が長い間一緒にいる間に仲良くなっちゃうこと」が本作では大きく関わっており、

狄龍のおっちゃんは強盗犯のくせに、
・親に逆らうなと人質の女学生に説教(その前に放してやれよ)
・さらに親が娘をかばうと親にも説教(だからその前に放せよ)
・しかし負傷したガードマンに慰めの言葉を(しかも放してやる)
・緊張のため心臓発作を起こした葉榮祖のおっちゃんを心臓マッサージで蘇生!(根本的な解決になってないぞ)
・だがしかし超個人的勝手な理由で
「この中から一人、悪いが死んでもらう。」
・梁朝偉ではなくただ本当にお金を引き落としに来てただけの別のチンピラがゴネると逆ギレ!「ではお前がいい!お前に死んでもらう!」
・元妻に連絡を取り、「一緒に逃げよう!」 
元妻「・・・・・・・・・嫌よ。」  
でブチギレ!人質に対して「みんな、どう思う!!」(知らんがな)

こんな感じで次々と「厳格なお父さん」「強盗犯」「自分勝手な野郎」の3変化を演じて見せます!狄龍好きにはたまりません!
・・・たまりませんが、ウチのおかんが「駄作や」と言って何も否定出来ない自分もいたりして。
オープニングと終わりのティンパニとドラムだけのBGMが好きです。

■CAST&STAFF
監督 爾冬陞(イー・トン・シン)
出演 狄龍(ティ・ロン)
梁朝偉(トニー・レオン)
梁家輝(レオン・カーフェイ)
金燕玲(エレイン・ジン)
黄斌
林保怡
田青
何佩兒
葉榮祖(イップ・ウィン・チョウ)
秦沛(ポール・チュン)
江道海
莫潔玲
黎少芳
李嘉茜
林聰
脚本 爾冬陞(イー・トン・シン)
李百齡
關耀榮
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
製作 岑建勳(ジョン・シャム)
制作年度 1987


阿飛正傳
Days of Being Wild
欲望の翼



ああ・・・無理だ・・・
俺には本作の明確な分析なんてでけへん。なんて書けばいいの。
しょうがないので感情インプレッションでいこう。

たまらなく好き

ほんまかいな!?
って思った人、確かに僕はアート的な映画をバッチリ理解できるよなインテリさは持ち合わせていません。好みから言っても行き過ぎたアート映画はダメです。でもこの作品は「いいなぁ」って思えるんです。
ところが「恋する惑星」「天使の涙」はダメなんです。これでないと。なんでかわからんが更に複雑になったからかなぁ(わかりやすくなったとも言うが)。

途方もなく果てしなく深い意味を含んでいるようで(あくまで含んでいるようで)、やっぱりな〜んの意味もない感じもする・・
この映画をぼんやり観ていると、「果てしない」←→「意味はない」の間を脳がゆら〜りゆら〜りと揺れているようで、それがとても心地よいんです。

もし、この映画のビデオをお持ちで、でも「つまんない」から あんまり観てないのであれば、下らないTV番組を垂れ流す時間にぼんやりと流してみてください。そのうち、
「無理してわかろうとしなくてもいいや。」
って思えてきますから。そしたら楽しくなってくるかもしれません。

やはり映画を観るときって娯楽にしろアートにしろ、
「予習もしないで、考えないで、ぼやっと観る」
が一番なんじゃないでしょうか?(期待作へのドキドキを抑える必要はありませんが)
もし、自分が監督するなら本作みたいな映画か、そうでなければバリバリの娯楽アクションかどっちかを撮ってみたいっすね〜(超夢)

ここでの素っ気ない張曼玉が一番好きかも。

■CAST&STAFF
監督・脚本 王家衞(ウォン・カーワイ)
出演 張國榮(レスリー・チャン)
劉徳華(アンディ・ラウ)
梁家輝(レオン・カーファイ)
張曼玉(マギー・チャン)
劉嘉玲(カリーナ・ラウ)
梁朝偉(トニー・レオン)
張學友(ジャッキー・チュン)
潘廸華
動作設計 董〔王韋〕(ツン・ワイ)
撮影 杜可風(クリストファー・ドイル)
編集 譚家明(パトリック・タム)
主題歌 「是這樣的」 梅艷芳(アニタ・ムイ)
製作 ケ光榮(アラン・タン)
制作年度 1990



天若有情U之天長地久
A Monment Of Romance Part2
風よさらば 天若有情U



「欲望の翼」とは正反対にもう本当に誰が観ても、そのベタベタな展開でラストもバレバレしちゃって、正直うんざりして、個人個人の好きなキャラ
つまり郭富城か呉倩蓮を好きでないと途中でビデオ止めたくなる映画。
とにかくベタベタ。
個人的なポイントは、水商売に身を落とした(ってか売春ですな)呉倩蓮の セクシーな服とか中途半端な濡れ場ですな(おっさんやな)。

他は別に。
なんでやろう。例えば「霍元甲」もベタベタな展開と言えばそうなんだが素直に感動したな〜 (クンフーが入ると全然違うか)
こっちは陰気くさいのがいかんか?
確かにスカッとはしない。
黄秋生が「ただ郭富城とレースしたいだけのバイクレーサー」という彼にしては何だかちっちゃい役で出演。
しかも郭富城に負けて悪いことしてないのに負傷までするチンケな感じも違和感。
オープニングから呉倩蓮を連れてまわるチンピラが、「引っ越しのサカイ」のおっさんによく似てて何だかムカツク。

■CAST&STAFF
監督 陳木勝(ベニー・チャン)
出演 郭富城(アーロン・クォック)
呉倩蓮(ン・シンリン)
郭晉安
黄秋生(アンソニー・ウォン)
關海山(クァン・ホイサン)
韓義生
秦沛(ポール・チュン)
謝偉傑
何家駒(ホー・カーキン)
張達明
脚本 陳淑賢
音楽 胡偉立
主題歌 「就算是情人」 郭富城(アーロン・クォック)
製作 杜〔王其〕峯(ジョニー・トウ)
制作年度 1993


警賊兄弟
Caper
九龍の狼



さぁさぁ、「警賊兄弟」。
未見の方はこのタイトルを読んで、どんな内容か想像してください

・・・・・・想像しましたか?
内容はあなたが想像した通りです。以上。
牛馬が良い味出してるんですよねぇ。義理のお父さん役で。
■CAST&STAFF
監督 馮意C
出演 張國強(チャン・コッキョン)
温碧霞(アイリーン・ワン)
何啓南(ステファン・ホー)
午馬(ウー・マ)
王撼塵
方剛(ファン・カン)
動作指導 林滿華
脚本 陳冠中
羅啓鋭(アレックス・ロー)
音楽 魯世傑
制作年度 1986


赤膽情
No Comprise


おいおい、オープニングがまるっきり「男たちの挽歌」だよ。
といきなり観る気を削がれてしまいますが、やっぱり最後まで観てもイマイチだったのが正直な感想の刑事アクションものです。
これも展開が読めすぎるんですよねぇ〜
となると、間のドラマ・アクションが充実してないと面白くはならないのですが、アクションは冒頭にちょっとしか無いし、ドラマは頑張っているけどちょっと李修賢じゃ役不足に感じるのは個人的な気持ち。惹きつけられるほどではない。 林威のいつもの悪役振りはいいんですけどね。
当時、製作の向華強が 「我々が作りたいのはアクションじゃなくて、人間ドラマです!」 と、本作のポスターをバックにして発言してました。

■CAST&STAFF
監督 陳會毅(チェン・フォンイー)
出演 李修賢(ダニー・リー)
鄭裕玲(ドゥドゥ・チェン)
王小鳳(ポーリン・ウォン)
林威(デビッド・ラム)
午馬(ウー・マ)
樓南光(ビリー・ロウ)
金興賢
成奎安(シン・フイオン)
盧淑儀
韓馬利
黄偉棠
李志杰
曾光展
盧惠光(ロー・ワイコン)
武術指導 李〔敬手〕柱
音楽 袁卓繁
脚本 沈西城
製作 向華強(ヒュン・ワー・キョン)
制作年度 1987


摩登天師
To Hell with the Devil
アーメン・オーメン・カンフ−メン

※題名クリックAmazonで確認できます。


まぁこれも「鬼打鬼」の影響から始まってるホラーものなのだが、
本当にこれ「呉字森が撮ったの?」と思うぐらい駄作。眠気たっぷり。
いろんな成功作・失敗作を繰り返して呉字森さんが監督として成長したのは 理解しますけど、これは中でも酷い。「少林門」の方がずっと面白い。 ラ
ストの化け物とのゲーム対戦がやや盛り上がる部分だろうけども、そこに行くまでの過程が果てしなく辛い。
うう・・・他に書くことが・・・
「カンフーメン」となっているが功夫なんかない。

■CAST&STAFF
監督 呉宇森(ジョン・ウー)
出演 許冠英(リッキー・ホイ)
馮淬帆(フォン・ツイ・フェン)
徐杰
秦沛
陳百祥(ナット・チャン)
岑建勳(ジョン・シャム)
元武
鍾發(チュン・ファット)
脚本 呉宇森(ジョン・ウー)
司徒卓漢(シー・トウ・チャ・ホン)
舒〔王其〕
製作 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
何冠昌(レナード・ホー)
制作年度 1981


金玉満堂
The Chinese Feast
決戦!炎の料理人 金玉満堂



「香港版・美味しんぼ・・・なのかっ!?」
ってことで、一気に観たくなってレンタル屋に走ったのがこの一本。
内容はそりゃ全然違うけんど、グルメバトルを繰り広げる事に変わりはない。 これはなかなか面白いのねん。
私は実家に帰る際、いつも東京駅で「美味しんぼ」最新刊買って、新幹線で読みます。向こうは(漫画の中)時の流れがゆっくりでええなぁ〜
栗田さんって俺が小学生の時に新入社員だったから、現実の流れでいけば 今は40代でお局のはずなんだが・・・

ええと、そうそう。
本作はのっけから異常なハイテンションで始まり、なんだか作品を完全に把握する前にラストまで突っ走ってしまう異常な勢いが特筆で、張國榮・袁詠儀が演じるキャラクターも何だか変で強烈。
最後の料理のオチがまたいい。

■CAST&STAFF
監督 徐克(ツイ・ハーク)
出演 張國榮(レスリー・チェン)
袁詠儀(アニタ・ユン)
鍾鎮濤(ケニー・ビー)
羅家英(ロー・ガーイン)
趙文卓
熊欣欣(ホン・ヤンヤン)
倪淑君
樊奕敏
劉洵
動作指導 元彬
脚本 徐克(ツイ・ハーク)
鄭忠泰
呉文輝
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
製作 徐克(ツイ・ハーク)
黄百鳴(レイモンド・ウォン)
制作年度 1995


小生怕怕
Till Death Do We Scare
魔界天使

※題名クリックAmazonで確認できます。


「アラアラタイヘンサーアノアノサー♪アラアラタイヘンサーアノアノサー♪」 何よりもその主題歌が大変だろ

というわけで、日本でも「スペクターX」と同時公開されたホラーコメディ。
幼き感想としては
「アクションは全然無かったけど、まぁまぁかな。」
サム・ライミの特殊メイクもなかなか話題になったけど、子供にとって怖すぎない程度に作ってあるのも幸いしたか(個人的に)。

■CAST&STAFF
監督 劉家榮(リュー・チャー・ヨン)
出演 譚詠麟(アラン・タム)
曾志偉(エリック・ツァン)
鄭文雅(オリビア・チェン)
王青(ワン・チン)
姜大衞(デビッド・チャン)
黄百鳴(レイモンド・ウォン)
脚本 黄百鳴(レイモンド・ウォン)
高志森(クリフトン・コウ)
音楽 泰迪羅賓(テディ・ロビン)
策劃 曾志偉(エリック・ツァン)
施南生
製作 黄百鳴(レイモンド・ウォン)
製作総指揮 石天(ディーン・セキ)
麥嘉(カール・マック)
制作年度 1982


第一類型危險
Dangerous Encounter
ミッドナイト・エンジェル/暴力の掟


これの日本版ビデオパッケージがまるで「戦争アクションもの」みたいなのを使用してるんだけど、中身はまるで違います。

ティーンエイジャーの狂気暴走・・・・
果ては地獄までを描いている社会派バイオレンスといえばいいのか、よくわからんがとにかく怖いです。
中高生(特に中学)の時期ってのは、
実は頭の中「セックス」のことで一杯のくせに
「進学どうしよう」
「就職どうしよう」
「将来どうしよう」
「友人どうしよう」
「身内どうしよう」
「宿題どうしよう」
「お金どうしよう」
「空腹どうしよう」
「日本どうしよう」
「地球どうしよう」
このような事を同レベルで深刻に考え
、ことさら
「子供でもない、大人でもない」 ということを、大部分の若者が
「大変ラッキーな時期」とは捉えずに
「俺らだけが不当な扱い」とネガティブに捉え、(こんな良い時期、二度と来ないのになぁ〜) じぇんじぇん周りが見えなくなっている時期でございます。 元から周りが見えていないさらにガキよりよっぽどタチ悪いです。勿論、自分もそうでした。
今考えると、 「なんで、あんな事してたんだろ?」 と思うフシたくさんあります。とにかく精神はいつも不安定、思い返せば
世界が見えてきてしまって、それに戸惑い、順応しよう・反発しようとしている時期
なんだと思います。
さらにこの当時の香港は「香港中国返還でどうなってしまうんだろう?」という大きな不安を抱えていた時代でもあり、香港の若者の暴走を止めきるのは難しい時代であったのです。これはそんな物語。

■お話

親父の車をこっそり借りて無免許運転ドライブしていた少年3人がその車で人を轢き殺してしまう。その現場を見ていた少女が少年達に、
「バラされたくなきゃ、アタシのハイジャック手伝って」
とゆすられたので、少年・少女共々バスのハイジャックへ。ハイジャックから逃げ出すことは出来たものの、外タレの乗ってた車に轢かれそうになってので、少年・少女ブチギレ。その車まで襲い、外タレから箱を強奪してしまいます。
ところが、外タレは退役軍人達の密輸組織一員。箱は重要機密なモノだったため密輸組織に狙われる羽目に。
少女は殺され、少年3人は逃げ出すのだが、密輸組織シンジケートから逃げおおせるはずもなく1人1人殺され、殺された少女の兄だった刑事(羅烈)はなんとか残りの少年1人を助けたものの、少年は完全発狂し、近くにあった機関銃を墓地に向かってぶっ放し続けるのでした・・・ ・・・

書いてて怖くなったわ、ほんまに。
冒頭、少女がハツカネズミの脳天に針を刺し、発狂するハツカネズミを見ているシーンから いきなりかなりエグイのだが、その後も残酷描写はかなりどぎつい。(この発狂するハツカネズミが若者の暴走を比喩しています)
岑建勲でさえ、残酷な死体となって現れます。
それでも徐克曰く(有名な話ですが)、
現実に起きていることより、よっぽど抑えて表現したそうです。

普段、恐がりなので残酷描写の激しい映画は観ませんが、これは何回か観てます。どちらかと言うと好きな作品でもあります。それは、やはり10代の頃の狂気な思想が自分の中にも強くあったからだと思うのです。

■CAST&STAFF
監督 徐克(ツイ・ハーク)
出演 羅烈(ロー・リエ)
林珍奇
龍天生
呂良偉
車保羅
歐瑞強
馮愛慈
章國明
劉成漢
胡大爲(デビッド・ウー)
徐克(ツイ・ハーク)
梁普智(レオン・ポーチ)
岑建勲(ジョン・シャム)
動作導演 程小東(チン・シュウトン)
脚本 司徒卓漢(シー・トウ・チャ・ホン)
故事 司徒卓漢(シー・トウ・チャ・ホン)
陳方
方令正
美術指導 區丁平(トニー・オウ)
製作 張永鋭 他
製作総指揮 馮永發
制作年度 1980


天與地
Tian Di
天と地



後味の悪い映画No.1作品。
ちょっとこれ以上の悪い映画は記憶にない。
阿片戦争時代を扱った作品なのだが、それほどまでにあの時代というのは 絶望的・絶対的な支配があったのだろうか。

お話
麻薬捜査官そして自らの正義漢から麻薬(阿片)を扱う組織を絶対に許せないアンディ。しかし、捜査官の中にも裏切り者、スパイが潜んでおり、味方がいない。やがては元阿片常習者だった刑事や、阿片に怨みを持つ女捜査官などが協力してくれるのだが、余りにも阿片組織は大きく手に負えない。
協力者の刑事も女捜査官も失意のうちに惨殺され、果てはアンディの妻までもが 機関銃で蜂の巣にされてしまう。
怒りに燃えるアンディは遂に組織の決定的な証拠フィルムを掴み、これを映画館で行われた組織のパーティで上映。証人抹殺のため組織はその場で、パーティに来ていた招待客を大量虐殺。アンディからフィルムを取り返そうとするが、命からがらアンディは逃げ切り、証拠フィルムを政府高官に渡した。 突然、響く銃撃音。
「お国のためだ、許せよ」
そう言って去っていく政府高官。
アンディは自分が何故殺されたのかわからないまま犬死にするのだった・・・

ひどいでしょ。
アンディって一時期、信じられないほど大量の映画に出演してたから、これもその一つなんだけど、少しは作品選べなかったのだろうか。脚本が渡されて無かった?元から無かった? (いろいろな事情があるんでしょうね)
とにかく終わった途端、「ムカーッ!!!!」と来ます。
なにがどう「天と地」なんだ!天がなかったぞ!天が!
ムカムカしたい人はどうぞ(いないいない)。

■CAST&STAFF
監督 黎大[火韋]
出演 劉徳華(アンディ・ラウ)
劉松仁(ダミアン・ラウ)
顧寶明
金士傑
陳少霞
動作設計 元コ
脚本 陳子慧
制作年度 1994


城市判官
Armageddon



かなりパッケージを見た時点で予想がついて、その予想通りに事が運んだ。平たく言えば、つまんね。
角度を変えれば面白い見方も出来るかと・・・・・・無いな〜そんな角度。
一つ言えることは、スタッフ・キャスト共名の知れた方が携わっているので 取り上げられるとしたらその辺か。

お話
ベトナム難民家族だった萬梓良一家は香港へ亡命を試みる。父ちゃん、弟の嫁はんという犠牲を出しながらも萬梓良一家は何とか亡命に成功する。 数年後。萬梓良は有能な刑事になっていた。
ゲスト出演の馮淬帆と京劇戯れなんかして幸せ気味。
ってなところで、徐少強率いる悪軍団が宝石強盗・輸送車強盗を画策。徐少強の舎弟のミスで計画は失敗、後は萬梓良刑事が活躍して軍団を半壊させる。
怒り狂う徐少強は萬梓良の妻を誘拐して強姦の上、返還。(返還するのは大いに謎なのだが) 傷心した妻は自殺。萬梓良は怒りに燃えて軍団を追求。 しかし敵の巧みなかわしによりボコボコにしたものの、証拠不十分(?)かなんかで釈放。上官の(メルヴィン・ウォン)に諫められる。
当然、また怒り狂った徐少強らは萬梓良一家を強襲の上、皆殺し。
一人何とか生き残った萬梓良は徐少強らに決戦を挑む。徐少強ら全てを倒したかに見えたが、軍団の真のボスが現れた。そいつはなんと・・・

暗いでしょ。
暗いのは話だけでなくて厄介なのが画面が暗い。
これー恐らく、香港の正規販売ビデオだと思うんだけどなぁ。こんな画質で満足してるのか、あっちは。
「そいつはなんと・・・」 なんて書いてはいるが、
検事Mr.ハー」と同じパターンだと結局オチを言ってみたりする。
「結局、どこの誰の魅力も引き出せていない」
ってのが一番ネックか。

アクションとかはまぁ可もなく不可もなく。
懐かしい人が多く出てるってのが唯一のポイントかな。

徐少強はもっと昔が格好良い(画像は「〔足易〕舘」)

陳龍がごっつ悪役で出てる(画像は「〔足易〕舘」)

この人とかも出てる(左)(画像は「蛇猫鶴混形拳」)

アクション指導は林正英、小候らがやってるんだけどその割にはなぁ。

■CAST&STAFF
監督・脚本 黄少俊
出演 萬梓良(アレックス・マン)
温碧霞(アイリーン・ワン)
徐少強(ツイ・シャオチャン)
黄錦〔炎木〕(メルヴィン・ウォン)
〔龍共〕嘉玲
沈威
陳龍
李岡
梁鴻華
金標
許蛍英
馬鋭〔三山〕
杜少明
エディ・マーブル
陳會元
何柏光
山〔金峯〕
黎就
王清河
李浩群
米奇
馮淬帆(フォン・ツイ・フェン)
動作設計 林正英(ラム・チェンイン)
呉勉勤
小候
二肥 他
音楽 黄志雄
策劃 顔力
製作 林江
製作総指揮 林江
李成
制作年度 1989


十萬火急
Lifeline
ファイヤーライン



「バックドラフト」香港版。
ってな言い方は決して聞こえは良くないが、消防士モノのアクションとヒューマンドラマの傑作だった。これ値段100円。超お買い得。
ジャッキーが「ファイヤーマン」(ジャッキー流バックドラフト?)を散々、「やりたいやりたい」って言ってたけど結局実現せず、なんか本作に先を越された感があります。
最初に苦言を弄するのであれば、やっぱ相手が火だけに
「何やってるか分かり難い」ってのはあります。でもこれ、メインのお話からサブストーリーも絡めて実に人間くさくて面白い映画だったのだな。

主演は劉青雲。
顔がバタ臭い。逆に言えばこのバタ臭さが本作ではとても良い方向に出ており、本作の主人公がもしスッキリとしたお顔立ちの例えば謝霆鋒とかが演じてたりしたらと思うと・・・(やっぱ格好良いか?そんなことないか) なんちゅうか中年のおっさんの格好良さが劉青雲の演技と独特の顔でうま〜く表現されてます。
これたぶん、始まってすぐの劉青雲のイメージ(初見の人ね)とラストの頃のイメージは随分違うことでしょう。私は今回マジマジと彼を見るのは初めてで、かなり本作だけで好きになってしまいました。

■劉青雲(ラウ・チンワン)的お話

劉青雲は消防チーム隊長で隊員から愛される良き隊長なのだが、現場主義が災いして昇級試験にいつも受からず、「運の悪い男」と言われていた。 事故現場にて劉青雲の活躍も空しく隊員が負傷、隊員を心配する一方で 搬入された先の病院の女医さんに劉青雲は惚れてしまう。
そんな時、劉青雲の新しい上司として方中信が来る。現場主義も影響してなぁなぁになっている隊員関係を方中信は厳しく批判。当然、劉青雲とも対立する関係に。
女医さんは女医さんで別にふられた男がおり、飛び降り自殺しようとする。 必死で食い止める劉青雲(しかし、この役目は消防士か?SWATじゃないの?)。この辺の一連で女医さんも劉青雲にだんだんと惹かれてハッピーな方向に。そんな時・・・

■方中信(アレックス・フォン)的お話

方中信は新しく赴任した署長さん。
とにかく命が助ける方助けられる方とも懸かっている仕事なので、
勿論なぁなぁは許されない! ・・・と考え、隊員の馴れ馴れしさ(優しい気遣いなんだが)にも反発。なぁなぁの中心だと思った劉青雲にも当然厳しくあたった。
しかし、一方で方中信は離婚調停(別居中)の妻と娘がおり、
「私を見ないで!」
と娘にもキツイこと言われる可哀想なお父さん。お父さんとしては何とか娘とだけでも仲良くなろうと必死だ。そんな時・・・


(両者合わせて)
そんな時、原因はちょっとわかんなかったけど(テロ?)ガス爆発の大火災が発生!
劉青雲、方中信ら (他に「避妊に悩む女消防士」 「怖くてポール(消防署から出るときのアレ)も降りられないヘタレ」等々の消防隊員らが加わります。) ・・・は様々な思いを抱えたまま消火と人命救助のため炎上中の巨大要塞に突入した!


アクションというかビジュアル的にも最後はすんげーです!
ノンフィクションの特番見てるみたい。だって街中で本当に大火災なんだもん。よくあんな映像が撮れたなと感心しました。ビル内でのアクションもかなり命懸け火だるまだらけ続出で痛々しい・・・
火傷ってさぁ、指先一つなっても相当痛いよ、あれ。薬塗ってもさぁ・・・
俺、親指まるごと火傷しちゃった時、痛さでずっと半泣き状態だったもん(薬塗れよ)。だから、この時の出演者みんな火傷したって言ってるけど、ゾッとするマジで。一体、何日泣いてなきゃいけないんだろうって。

ただそれでも、本作の一番面白いところはアクションではなく人間ドラマ。
方中信を「いかにもなイジワル役(例えば「プロジェクトA」前半の元彪とか)」にせず、あくまでリアリズムに厳粛であるし、出動時には劉青雲とちゃんと協力する。
任務の後、2人で煙草をふかすシーンなんかお互いに
「何とか歩み寄れないかなぁ・・・」
って思ってるのが伝わってきて感慨深い
。ただ方中信の眼がちょと怖い。
劉青雲のおっちゃんは先の「怖くてポール(消防署から出るときのアレ)も降りられないヘタレ」を ちゃんと見知っていて、後でヘタレ連れ出してポールに投げ出して慣れさせるとか仲間思いの良い感じがすげー好感。こりゃ慕われるわ。劉青雲キャラの魅力でこの映画の半分以上の面白みを形成している気がします。
敵は災害なので、極悪キャラが出てくるわけでもなく、不必要な血が流れるわけでもないのもとてもグッド。

監督は「赤脚小子」の(ジョニー・トゥ)。
正直、あの作品では狄龍(ティ・ロン)&張曼玉(マギー・チャン)カップルのやり取り以外、面白いと思える部分が個人的には無かったのだけれど、あれから数年経ってるこっちではよりドラマ部分の演出が成長してるなって感じを受けました。脚本書いてる人も同じ人ですね。
■CAST&STAFF
監督 杜〔王其〕峯(ジョニー・トウ)
執行導演 游達志
出演 劉青雲(ラウ・チン・ワン)
方中信(アレックス・フォン)
李若〔丹三〕
劉松仁(ダミアン・ラウ)
黄卓菱
黄浩然
ケ梓峰
陳啓秦
富萬来
動作導演 元彬
特技効果 劉漢章
池瑞添
脚本 游乃海
音楽 黄英華
策劃 曾愛屏
制作 夏澤信
製作 方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1997


天下第一
All the King's Men
天下第一



正直言って、わたくし全然歴史に明るくないというか真っ暗なので本作の中心人物である"皇帝・柴栄"がどれほどの人でどうのこうのってのが知らないす。早死にしたそうで、それがなかったら更に歴史に残る超大物になってた可能性もあったらしいす。

簡単な説明

西も敵 → 周王朝(柴栄) ← 東も敵
          ↓        
    やがて宋王朝(趙匡胤)
ってな状況。
平穏を装ってはいるが一触即発だったわけです。ところが、柴栄はお付きの李道士の策略のせいで毒を呑まされ"てんかん"もちに。はっきり言ってアルツハイマーみたいな状態みたいになっており、お付きの武官達はてんやわんや。
「他国に知られる前に皇帝を治さないと・・・」
ということで、一大騒動が始まるわけです。

「国随一の名医を連れて来よう」
って事で、わざわざ敵国に身分を隠して名医を捜しに行っても凄い順番待ち。身分をさらすわけにはいかず大苦戦。そんなこんなで連れては来ますが・・・

「李道士をなんとかしないと・・・」
彼が恐らく悪い奴ってのは気付いているのですが、なかなか尻尾を出しません。そこで・・・

「国随一の泥棒を連れて来よう」
なんだかんだで柴栄から翡翠の首飾りを盗まなければいけない状況になったので・・・・

んで、そんな時に限って敵国から要人が訪ねてきて、柴栄の病気がばれそうになったり、李道士が策略を巡らしたりします。
ってなことで、あらましを適当に書き出してみてもわかるように結構面白いことは面白いんですよね、ちゃんと観てみると。 李昆、李文泰、陳慧樓などお馴染みの人は良い味だしてるし、改めて田豊さんの芸風の広さ(「山中傳奇」の幽霊役も含め)を感じるし、鄭佩佩(チェン・ペイペイ)はやっとこさ胡金銓映画に復帰した割には、役が小さかったけどね。(泥棒娘役なので、ぴょんぴょん華麗に飛び回る姿を期待したんだけどね)

しかし幾ら何でもこの映画 ラストあれでいいのか?
笑えねっすよ誰も。
確かに胡金銓映画の特徴として「終わりがサッパリ」ってのはいつもそう。 話としてしっかり「こうなりました」ってとこまで表現してるのは「空山霊雨」ぐらいじゃないかな。(まだ未見もあるので何ともだが)
だけどこの映画に限って言えば、こんな終わり方していいのかな。
タダ見なのであれだけど、仮に劇場で観たとしたら俺でも「金返せ」気分だけど。

風呂敷を広げすぎたので縛れず、簡単にクリップで留めた 
みたいな


【胡金銓映画って】

「天下第一」に関するネタが思いつかないので、なんか胡金銓映画の考察なんかしてみたいなぁと思ってみたりする。自分なりに思った胡金銓映画の特徴なんかを論って、それが何故かを探ってみようかしら。その前に彼のフィルモグラフィーを。

胡金銓監督作品
玉堂春('64)
大地兒女('65)
大醉侠('66)
残酷ドラゴン/血斗竜門の宿 龍門客棧('67)
喜怒哀樂('70) ←オムニバスの一つを監督
侠女('71)
迎春閣之風波('73)
忠烈圖('75)
空山靈雨('79)
山中傳奇('79)
天下第一('83)
大輪迴('84) ←オムニバスの一つを監督
スウォーズマン剣士列伝 笑傲江湖('90) ←冒頭の数分のみ監督
ペインテッド・スキン 畫皮之陰陽法王('93)
未見は「玉堂春」「大地兒女」「喜怒哀楽」「迎春閣之風波」「大輪迴」。特に「迎春閣之風波」は評価も高いのでいつかは観ないと。

■女が強い  

個人的にすぐ思いつく特徴としてこれが挙げられる。
胡金銓映画にナヨナヨしたヒロイズムは存在せず、登場する女性はいつも孤高の侠客と言っても良い。

キャラクターの特徴挙げると
・メチャ強いが唯一無二の強さではない
・普段女っ気は出さないが、無理に男っ気を出すでもない
・お喋りではないが無口でもない
大体においてこの辺が共通している。

「大醉侠」「侠女」と女性の強さをメインに持ってきた作品も目立ち、張徹や呉字森だけではなく他監督とも比べて常に女性を"英雄"として持ってくる傾向は際立って個性的だと思う。胡金銓映画元々の傾向が徹底的な歴史再現のこだわり、政治劇のリアリズムであるならば、そこに登場する女性たちはいつも"英雄"であったということであろうか。単に監督の趣味だったりして(それもそりゃあるだろうな)。

■時代劇が時代劇を斬る

いわゆるチャンバラという面において、日本時代劇を意識した間の取り方など日本の時代劇に倣った部分も多い胡金銓映画ながら、結局は時代劇の典型的な流れ、果ては"映画のお約束"というものを徹底的に嫌った面もすこぶる顕著だと思う。

例をちょろっと出せば
「大醉侠」
捕らえられた兄ちゃんを助ける物語なのに、感動の再会シーンはない。これまた際立って顕著だ。凡百の監督なら感動を際立たせる音楽でも流して時にはスローなんか使ったりなんかして再会を演出するだろう。これにはない。兄妹のやり取りさえも存在しないに等しい。
そんなもんはおたくらの心の中でやれ
と監督が観てる側に言ってるような気がする。

「残酷ドラゴン/血斗竜門の宿」
石雋が宿で東廠の一人を殺した後も、通常であればお約束通り
「きさまー!!」 なんて、東廠との戦いが始まったりするものだ。その辺の功夫映画であればお約束の宿ファイト始まりの合図でもある。しかしここでは東廠側からむしろ剣を鞘に収めROUND1ファイトを避ける。勿論、理由は余計な事を起こして本分に支障を来したくないということでがあるが。

こう考えると時代劇らしい演出からの脱却だけでなく、
映画の典型的な演出からの脱却さえも感じさせる。観たときの間口の広さはあっても道案内の手引きは作らない、わかりやすく見せるための妥協はしない と言ったところだろうか。
この辺は今をときめく呉字森作品でも同じような演出の意図を個人的に感じることは無いに等しく、香港映画以外のジャンルでは大して映画を観ていない俺限定で言えばこういった監督は稀有だ。

■ふわふわしている

いわゆる武侠片の書籍は恥ずかしながら一冊しか読んでないので詳しく語る術も資格も持ち合わせてはいないし、胡金銓映画そのものが武侠片を倣っていないことから根本も違うんだけど、それならば胡金銓がみせる武侠映画のイメージを私が言い表すとしたら
"桃源郷"
と大袈裟に言っても良い。
限りなく現実の世界に近い人物が一つコトが動くことで突然重力を失い、ごく軽く天を舞う。そのサマはある種、桃源郷で戯れる天女を連想してしまう。 胡金銓映画を観るとき、登場する英雄達は
"限りなく近くにいそうで、別世界にいる方たち"
であると私は思う。疲れも悩みもする英雄なんだけど、ひとたび剣を振るうとヒトのそれを超え、天をわずかにかすめる。(この"わずかに"ってのがまた重要)
やはりそのサマが"人であって人ではない"例えて言うならば "ふわふわと天女の舞う桃源郷"をイメージさせてしまうのだ。
勿論、種は武術指導の韓英傑から始まったアクションであり、胡金銓の編集技術にある。個人的には
「なぜこのシーンでなく、そのシーンで切るのか」
つまり、フィルムの1秒2秒の話で胡金銓の編集は"飛ぶ直前""着地する足"という1秒足らずのカットを残さない(少ない)。主人公が着地する瞬間にはさらに舞っていたり違う行動に出ていたりする。勿論、これが独特の"ふわふわ感"に繋がっていると確信しているが、そもそもなぜこのような演出を取るのか?
それはやはり、先の"時代劇が時代劇を斬る"であり、簡単な言い方すれば 「だってジャンプしたら着地するに決まってんだからわざわざ映す必要もないじゃん」
このほんの1秒程度が胡金銓映画を独特なものに変えていると私は思う。 変な定義だけど
ふわふわ感が英雄を感じさせ、英雄だからふわふわなのだ

加えて徐克(ツイ・ハーク)よろしくのワイヤーアクションは極めて現実的であり英雄達がワイヤーで木々を飛び回るシーンなど
ワイヤー使ってます!
ってイメージが強烈にまず来る。人を飛ばす技術は飛躍的に進歩し、
ファンタジーと認識させるのは容易になったが
逆にファンタジーを感じさせるのは容易でなくなった


ワイヤーを使い英雄が超人的な動きを見せるコトによって
非現実と現実の狭間がくっきりとした境界線で現れる
だからファンタジーに成り得にくいのであると私は思う。
監督の手腕が大きく問われるわけだが事態はそう簡単ではない。ワイヤーアクションを大っぴらに使う誰しもがそれゆえの悩みから逸脱している作品を作っているとは到底思えないのだ。

個人的にワイヤーアクションと功夫合体の傑作であると思っている「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱」の想像を張り巡らしてみると実に面白い。こちらの素晴らしいアクションは言うまでもないんだけど3つの重要なファクターがあって実現している。それは、
袁和平(ユアン・ウー・ピン)という武術指導家が構築した素晴らしいワイヤーアクションであり、それを確実に再現する力のあった李連杰(ジェット・リー)の妙技であり、徐克が織りなすダイナミックな編集技術である。
この作品のアクションどうこうに文句はない。文句はないが意見はある。
徐克が胡金銓の弟子だか何だか知らないが、"英雄"の作り方は全く違う。 徐克の"英雄"の作り方は連呼型だったと言っても良い。CMで例えるとドラッグストアの"マツ××キ×シ"とか、 "いっぱい聴けて〜いっぱい喋れる〜♪N××Aなら♪"の部類に当たる。何度も何度も連呼することで人の心に刷り込む方法である。 劇中の黄飛鴻を見てみればわかりやすい。敵をスカッと倒した後に必ず着地シーンをしっかり見せてポーズを決める。 彼が劇中に何度「俺は黄飛鴻だ!」と発したことか。決めポーズが想像できるのは既に刷り込まれている証拠である。黄飛鴻、黄飛鴻、黄飛鴻、黄飛鴻・・・・・・ 徐克は単純だが確かな方法で"英雄"を作り出したのである。 (加えて徐克作品「上海ブルース」のレビューをお読み頂ければ有り難い)
翻ってこれをもし胡金銓が撮っていたらと考えると面白い。
さらに、黄飛鴻に昔から「俺は黄飛鴻だ!」だと闊歩する英雄像があるのならば実に面白い。
前述の通り、恐らく「俺は黄飛鴻だ!」ってなシーンを胡金銓が好むとは到底考えにくい。"名は体を表す"というか悪い言い方すれば "口より先に手が出る"みたいな黄飛鴻像が想像できたりなんかしてしまう。白蓮教との戦いでは黄飛鴻様が舞っては蹴り着地するかと思えば無影脚、ポーズを決める前に敵が舞い、敵が着地する前に黄飛鴻様が蹴倒す・・・
みたいな、 それこそ天女の大演舞が繰り広げられる感じになりそうだ。

■総じて

個人的に胡金銓が生み出す武侠映画とは
"歴史をリアリズムに捉えた政治劇でありながら素晴らしくファンタジー"
だったと思っている。
リアリズムとファンタジーの境目をふわふわと行き交う万華鏡のようなもの
と言ってもいい。
「侠女」のラストで喬宏(ロイ・チャオ)扮する高僧が見せた"悟りの境地"、 天を指差す高僧のバックにギラギラと映る原色の空模様、あのシーンは実に漫画的であり、現実離れしたファンタジーである。しかしながらそれを感じさせないのは現実と幻想の行き交う演出を繰り返して私たちの前で
リアリズムとファンタジーの境界線を消してみせた胡金銓監督の妙技であろう。

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※以下、狂童子様より頂いた書き込みです。
胡金銓 投稿日:2003年4月10日<木>01時00分
久しぶりにお邪魔したんですが、なるこうさんの胡金銓論に驚愕しました。 ここ数か月ほとんど映画観てない状態というのもあり、ご無沙汰してて申し訳なかったです。 たぶん今まで自分が読んだ胡金銓論の中で一番面白かったです。 特に、リアリズムとファンタジーの境目をふわふわと行き交う万華鏡、という下りは非常に納得されました。 私はどうしても中国史の興味から胡金銓に入った人間なので、武侠映画一般はほとんど詳しくなく、 その点香港映画に詳しいなるこうさんの視点はとても新鮮で面白かったです。 なるこうさんの言葉を受けて言えば、胡金銓は現実はファンタジーであり、ファンタジーこそが現実である、 という世界観を示したのでしょうね。今生きている現実こそが実は空想かもしれない、という感じの。 やはりここらへんは胡金銓らしく仏教的です。 しかし、なるこうさんの指摘された点は、純粋に映画の世界というよりも、 やはり仏教や中国古典に対する胡金銓の傾倒を抜きには語れないでしょう。 「侠女」は映画もそうですが、原作自体が結構ドライです。胡金銓のインタビューなんかを読むと、 映画の世界でどうのこうのというより、中国的なるものをただ表現したかったという感じを受けます。 黄飛鴻を胡金銓が撮ったら・・・。 やはり脱俗的で超然とした黄飛鴻になったでしょうね。戦いを戦いとしてではなく、 大きな宇宙自然の世界の中で繰り広げられる一つのエピソードという感じで描いたでしょう。 胡金銓映画の主役は(少なくとも「侠女」や「山中傳奇」における)は人間ではなく何といっても宇宙自然です。
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■CAST&STAFF
監督・衣装美術 胡金銓(キン・フー)
出演 田豐(ティエン・ファン)
鄭佩佩(チェン・ペイペイ)
李昆(リー・クン)
唐慧雲
曹健
崔苔菁
雷鳴
華萱萱
陳慧樓(チェン・ウェイロー)
魏蘇周
脚本 胡金銓(キン・フー)
呉念眞
小野
策劃 趙g淋
製作 冥驥
艾越新
徐國良
制作年度 1983


猩猩王
The Mighty Peking Man
北京原人の逆襲




元の「キングコング」よりもカルト的人気を誇るパクリ作品がこれ。
「キングコング」だけじゃなくて、例えば日本の「ゴジラ」「ガメラ」なんかは当初、「子供もたくさん観るのよ」ってことも考えて、性的・暴力的なシーンはなるたけ抑えるというもの。しかしこの映画にはそんな制約はなく、お色気たっぷり流血たっぷりな実に香港らしい表現での怪獣映画なんだな。
そもそも個人的に怪獣映画に興味が無く、幼い時に「ゴジラ」なんか観た覚えがあるが物心ついてから進んで見に行ったことはない。
本作にしても香港製作であるから興味が湧いただけで他国であれば見向きもしなかったであろうことが正直なところ。つーか勢いで買ってしまった。
なけなしの金なのに・・・
そんなに期待せずに観てたのですが、
そこそこ楽しめたのがストレートな感想で。

■あらまし

中近東の奥地で「北京原人の足跡」が見つかり、学者さん・冒険家達はワクワク。 「もし北京原人を捕まえれば大金持ちになれるぞ!
・・・そうかなぁ? 大きさにもよると思うんだけど・・・?

長髪の李修賢もなかなかいいよ
さっそく名うての冒険家・李修賢を誘う谷峰(ブローカー?)。李修賢は酔いつぶれてあんまり乗り気じゃなさそうだ。しかし何とか李修賢を引っ張って
北京原人捜索隊結成!
メンバーは李修賢、谷峰、徐少強、呉杭生その他もろもろ現地の方とか。

日本人なら誰が見ても思い出すのは川口浩探検隊

しかし川口さんよりさらに危険だ。
現地の村に着いてホッとしたのもつかの間、

象の大群が襲ってきたー!!
次々と踏みつぶされる現地の方、現地の家。
ぎゃーっ! って、ちょっと待て。 なにか?
現地の方はそんなことも意識せずに今まで生きてきたのか?
対策立ててるやろ、普通
。来訪者が踏みつぶされてるならわからんでもないけど。初っ端から多数の犠牲を出して冒険は続く。

夜半、キャンプから一人離れてなぜかへこんでいる李修賢。
友人でもある徐少強、呉杭生は訳を聞いてみた。回想シーンが始まる。

要は自分の舎弟みたいな奴に女(陳萍)寝取られた!

あんたねー ここは危険なジャングルよ。
そこはかに毒蛇がいるかもしれないトラが睨んでいるかもしれない、
ほれ毒クモがほれ毒花がほれ象大群・・・
ふられてへこんでる場合か!ったく!
しかもここまで大してリーダーらしい冒険家らしいことなんかしたか!?
きみぃ!!
俺ならかなり冷たい視線を送るが、
「気にするな、女なんてたくさんいるさ。」
なんて暖かくフォローする優しい徐少強。そうです。徐少強はヒゲさえ取れば優しいのです。

ほら、 ね?(顔立ちやんか、それは)

トラだー!底なし沼だー!
次々と罠にかかる現地ヘルパー(ちゃんとガイドつけてから来いって!
友人の呉杭生が底なし沼に引きずり込まれてしまう・・・
トラに足を喰いちぎられる現地の方。
ぎゃーっ! って、ちょっと待て。 なにか?現地の方は
(以下同文)

足をもがれた現地のヘルパーは最早使い物にならない!
冷酷な谷峰は怪我人を撃ち殺した!旅を続けよう!
李修賢は谷峰を殴りつけ納得行ってない感じだったが、
一番納得してないのは観客
だろう
どうこう言う前に完全に殺人罪です
一万歩譲ってその罪を置いておくとしても他の現地ヘルパーがこれ以上協力するはずありません しかし旅は続きます。

続いては東尋坊より高いロッククライミング! 結構、マジっぽくて面白い。やっぱ落下者、続出。 多数の犠牲を出しながら
いやいやもう帰ろうよ。準備不足甚だしいよ君ら)冒険は続く。
奥地で北京原人の足跡を新たに発見した探検隊は捜索を止めない。 2日目の朝。 何となく目覚めが早かった李修賢は外に出て背伸び。

ダニー!!うしろー!!
と、そこに巨大な手が突然李修賢を掴んだ! おわーっ!?
振り落とされた李修賢は頭をぶつけて気絶。 目を覚ますと、


そこには自分を看病する謎のパツキン美女(エブリン・クラフト)がいた・・・

特に左パイが気になる、左パイが。
よく見ると下に同色のブラ着けてるんだが今にもポロリそうで気になる。李修賢も内心はそのことしか頭に無かったに違いない。
「ここはどこだ?あんた誰だ?  
 さっきの何だ?そのエッチな恰好はなんだ?
とお礼も済ませずに質問しまくる李修賢。エブリンは両親がいるという場所へガイドした。

そこには壊れたセスナ機があり、中には骸骨が。もーわかった。
回想シーンはいらんよエブリン、皆まで言うな。李修賢は調べものしていたが、突然 「腹減っただろ?」 と決めつけて何処かに連れ出す。トラが急襲!・・・と思ったら トラもエブリンの仲間だった。
よしよしチュッチュッ♪
ああ、トラになりたい・・・まではいくら何でも思わん。
木の実を見つけたエブリンはまさにお尻丸出しで木登りを始める。
父兄によっては子供の目を手で覆い隠すような丸出し度だ。
李修賢食べる。
「まずっ!?ぺっ!!」
きっさまー!!!!

エブリンちゃんが大サービスで取ってくれた木の実だぞー!!
ちゃんと食べろー!! エブリン食べる。ばくっ
「ああーーー!!??」
いきなりオーガズムなエブリンちゃん!?・・・じゃなくて!
エブリンちゃんは食べたのではなくて毒蛇に食べられたのだ!
(股間付近を)
なるほど。だから感じているのか・・・うむ・・・じゃなくて!
早く毒抜きせねば・・・って咬まれたのは股間かよ!!
な、なんて嬉し・・・いやいや・・・

父兄によっては(以下ほぼ同文)。
何処で「咬まれた情報」を知ったのか北京原人も毒抜きの薬となる葉っぱを持ってきてくれた。それで完治。 あっという間に愛が育まれる2人。

クルピアメン♪クルピアメン♪クルピアメン♪クルピアメン♪
という謎の歌詞が聞こえる変なBGMのもと、ジャングルで愛し合う2人。洞窟で愛し合う2人。父兄によっては(もうええっちゅうねん)。

いやはや、これはいけませんマナー違反です、猩猩王さん
しかし、エッチ中の2人を猩猩王(北京原人)がピーピングしていた!
地団駄踏む猩猩王!
だってサイズが違いすぎてエブリンとあんたでは無理だもんね〜
「みなみくんの恋人」かこれは(知らない人は誰かに聞いてね)。
嫉妬する猩猩王をなだめるエブリン。猩猩王はとりあえず指でエブリンの尻を触って心を落ち着けた。
でも実際、そんなことしたら余計に・・・(つーか、なんだこの映画

しかしここから悲劇の幕開け。
李修賢のバカ度炸裂だった。
「一緒に香港に帰ろう!猩猩王も連れて!」
・・・良識有るというかなんつーか猩猩王連れて帰れば結局どうなるかなんて誰でも予想つくじゃんって気がして腹立つがそうしないと進まないのでしょうがない。

「うしししし。これで金儲けだ!」
と一時は死んだと思われた李修賢にも猩猩王にも興味がなかった谷峰がやってきて、

船に鎖で縛り付けて香港へ。
船の中でも引き続きエブリンは子供なら鼻血が出そうなサービスシーンを。

香港に着いた李修賢はエブリンとともに舎弟がやってたTV番組の収録見学。李修賢が誰かに呼ばれてエブリン一人置いて抜け出すと、待っていたのは寝取られた陳萍だった。
「後悔してるわ、あたし・・・」
と抱きついてくる陳萍。
後悔してるというより航海してるような気がするのだが、ほらやっぱり!
このバカチンが!!
キスしたところをエブリンに見られてしまう!
ショックでエブリンは逃げ出した!
逃げ出したエブリンは猩猩王が捕まっているスタジアムへ。そこではブルドーザーと猩猩王の力比べなど、

完全に見せ物とされた上に猩猩王は迫害されていた!
ショーブローカーの谷峰に「助けてくんろ!」と懇願したものの、スケベ心と金欲だけで生きている谷峰にとってはエブリンこそ「トラの檻に生肉」だった。体を奪われそうになるエブリン。しかしまたもこれをピーピングしていたのは猩猩王! 完全にブチギレした猩猩王は鎖も檻もぶち破り谷峰に迫った! エブリンを連れてスポーツカーで逃げる谷峰!

香港を破壊しながら追っかけた猩猩王は遂に谷峰を捕らえ踏み潰した!

終劇・・・
のはずはなく、おかげで香港は大騒動。
このままじゃ香港は潰されてしまうと軍隊が出動した!
「エブリンじゃないと猩猩王は止められない!」
そう言って李修賢はエブリンを捜すが見つからない。
そもそもお前がバカだ。連れてきたお前がバカだ。
昔の女にうつつを抜かすお前がバカだ。

だんだん熱くなってる俺も発見。

もちろん「キングコング」よろしく高層ビルの屋上に構えた猩猩王。
ここまで壊したビルなどの損壊物から考えて死者はとんでもない数だ。軍隊は爆破部隊を出動させビルの屋上ごと吹っ飛ばす作戦に出る。爆破部隊を止めようとする李修賢。だかしかし、爆破部隊の中に

元奎の姿が!最近よく見るなぁ・・・
と思っているうちに李修賢は殴られ気絶(頼りないよ、こいつ)。

エブリンは猩猩王の足下にいた。

刻々と爆発の時は迫る・・・
猩猩王の生死は!?
そしてエブリンの運命は!?



終劇


いやあのね、
SFがちゃちぃ〜
ってよく聞いてたので、どんなもんかと思ってたけど結構ちゃんと作ってるじゃんって逆に感心したぐらい。いやそれは他の怪獣映画全然知らないからもあるけど。何気に「カンニング・モンキー・天中拳」のロケ地でも出てきた場所が壊されたりしてるし、ミニカーが走るサマも見物・・か?

李修賢のやることは格好悪いけど、ルックスはなかなか。中年になって太ったのはやはり少し残念か。痩せろ。

ヒロインのエブリン・クラフトが非常にこの映画を助けていることは間違いない。もし彼女がブサイクだったら と考えると、それこそ怪獣映画より怖いこと違いない

エブリンさんはとっても美人でグラマラスな上、お色気でも演技でもムチャクチャ頑張っていて好感。ほんと、よくやったよ。しかも裸足よ、彼女。

内心は表現したいところを、少年雑誌であるとか健全な娯楽映画だからとか、そういうカテゴリーに縛られて表現できていない作品ってたくさんあると思うし、また観客側が思い描く妄想ってのもあるだろう。
いくら「ルパン三世」を観ても峰不二子は体を許さないし(原作は除く)、
モモレンジャーが横恋慕に巻き込まれてセクシーなんてこともないわけだ。 (露骨に言うと実に男のスケベ心のみだが)
この映画はそんな表現者側の内心や観客が実は待ち望む妄想などを見事に当てはめた映画と言えるのかもしれない。
ただし、女性からの視点はかなり無視されているかな。
・・・誰向け映画だ?
とりあえず子供は喜ばんな。別の意味で開発されるかもしれんが。
■CAST&STAFF
監督 何夢華(ホー・メンファ)
出演 伊芙蓮嘉(エブリン・クラフト)
李修賢(ダニー・リ−)
谷峰
徐少強(ツイ・シャオチャン)
林偉圖
呉杭生
テッド・トーマス
スティーブ・ニコルソン
陳萍
蕭遥
元奎(ユン・ケイ)
武術指導 袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 陳永煌
デ・ウォルフ
製作 邵仁枚
制作年度 1977
GO・KI・GEN/白バイ野郎ヒゲ&デブ
野獣たちの掟
欲望の翼
風よさらば 天若有情U
九龍の狼
愛と銃弾の掟
アーメン・オーメン・カンフーメン
決戦!炎の料理人 金玉満堂
魔界天使
ミッドナイト・エンジェル暴力の掟
天と地
城市判官
十萬火急
天下第一
北京原人の逆襲
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