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■まぁ要はクンフー無しの香港映画のレビューです。  

「北京原人の逆襲」


戀戰沖繩
Okinawa Rendez Vous
恋戦。OKINAWA



TVで観ただけ。

簡単に言えば、バカンス地である沖縄を舞台とした簡単な恋の鞘当てごっこが最後まで続く、豪華キャストを使った割にはお手軽な恋ものである。

ただこれなんか陳嘉上監督なのに
よくこんなにも抑えて作れたもんだな
と感心する。なにが感心できるって、

大筋もサブプロットも全部弱いのだ

それは感心できないことじゃないかと思われるかも知れないが、ここまで全部をサラリと弱く描かれてしまわれると、まるでこの映画自体がこれだけのキャストを使ったにも関わらず大した印象も観てるこっちの感情の起伏も起こせず、薄羽蜻蛉のように忘れ去られていく映画を意図してわざわざ作ってるなぁ・・・
と思ったら、そういったものを意図的に作ったと思われることを評価したくなってきた。

大筋は恐らく、
ヤクザ(加藤雅也)の彼女やってた王菲が嫌気がさして事務所の金持って逃走
そのヤクザから報酬金が貰えず困ってた大泥棒(張國榮)が王菲に恋心
たまたまバカンスに来てた香港の刑事(梁家輝)が泥棒逮捕&王菲ゲットに励む

ってところで、ここに
ふられた加藤雅也と梁家輝にふられた黎姿がくっつく
ひょんな事から仲良くなる張國榮の相棒・谷コ昭と王菲のバイト先の女の子・樋口明日嘉
と、そんなとこか。

一番盛り上がるところと言えば・・・
まぁ、ラスト近くの張國榮の行動といったところなんだろうけども、盛り上がらせるような演出は取っていない。恐らく大袈裟にするとあまりにベタになるからだと思われる。というわけで、盛り上がるところはない。

さらに美しい沖縄を舞台にしている割には、どうも曇りの日が多かったのか、はたまた意図的なのかわからんが、景色がきれいやなぁ・・・
とそんなに感じるシーンも無い。

だめじゃん

後は出ている役者さんに何の魅力も感じなかった人にとっては
「だめじゃん」
以外の何物でもなくなることは言うまでもない。これだけは好みの問題も大きく比例するのでどうこう言えることじゃない。

とりあえず言葉がチャンポン状態になっちゃって、最後の方になってくると加藤さんが広東語を理解してたりと製作してる方も混乱したのか、ぐちゃぐちゃになってくる。まぁそれはいい(今回、寛容なのか何なのか)。

要は役者さんの演技に惹かれたかということだ。

張國榮と王菲については、何にも思わなかったな〜
これこそ好みの問題で王菲には興味がないもので・・・
張國榮はいつもの通りいつもの芝居をこなしていたがそれ以上にどうだと言うこともないので、こちらもどうだと言うこともない。

谷コ昭、演技うますぎ
あんた本職じゃないでしょ?どうなってんの、ほんま?
いやだからね。

「少林サッカー」のゲスト出演はいいとして、
玻璃の城」ですよ!「玻璃の城」!

玻璃の城」の谷コ昭
黎明の大学時代の同級生(親友)として登場。
その後も何かと黎明の力になったり、足引っ張ったりする良き親友で、いつも食い物を頬張ってるおデブちゃんで、その様は「ゴーストバスターズ」のモンスターのように可愛らしく、それでいてクドクない感じが非常に良かった。

本作の谷コ昭
特番の「新宿24時間」とかにも出てきそうな中国ヤクザそのもの。
変にイカつくしてないとこがまたリアリティがあって怖い。
(ラストに近づくと可愛いとこもあるが)

なんで本職で役者やってない人がこんなにも上手く演じ分けられるかね。 結局、張國榮や王菲のファンでもなく観た方は
「ひょんな事から仲良くなる張國榮の相棒・谷コ昭と王菲のバイト先の女の子・樋口明日嘉」
この筋が一番印象に残るのではないか。
「私を殺してみてー」と言う樋口明日嘉と、
「そう言われてもな・・・」と困惑するリアル極道・・・いやいや谷コ昭。
このシーンが一番個人的には良かった。

後は、梁家輝&黎姿も良かった。
破局寸前のカップルで梁家輝は大泥棒・張國榮を逮捕することと、王菲ゲットしか頭にない刑事。
一見、 軽い奴だが刑事の本分に入ると本領発揮しそうだがやっぱりしねーのかよ
みたいな中途半端兄ちゃんを演じる梁家輝の肩の抜きようが好き。
梁家輝が黎姿に別れを告げるシーンが一番秀逸。

今となっては、誰にどう言って薦めて良いのかわからん映画だな。
何にも深く考えることは無いのでまぁこちらも軽く楽しめます。

■CAST&STAFF
監督・製作 陳嘉上(ゴードン・チャン)
出演 張國榮(レスリー・チャン)
王菲(フェイ・ウォン)
梁家輝(レオン・カーファイ)
黎姿(ジジ・ライ)
車婉婉(ステファニー・チェ)
谷コ昭(ヴィンセント・クック)
樋口明日嘉
加藤雅也
脚本 陳嘉上(ゴードン・チャン)
陳慶嘉
制作年度 2000

兩公婆八條心
The Strange Bedfellow
香港トワイライトゾーン 摩訶不思議物語

※題名クリックAmazonで確認できます。


寶禾影業有限公司(ボーホー・フィルム)も良い映画いっぱい撮ってたんだなぁ、「オン・ザ・ラン 非情の罠」や「霊幻道士」シリーズ、楊紫瓊(ミシェール・ヨー)、シンシア・ロスロックも出てくればということで、目覚しかったんですね。

さて本作は
"SF、ホラー&猟奇ミステリーの3話で構成されたオムニバス作品である。"
と、昔からこの予告編だけは何度も見ていたなぁ。
題名見ればわかるとおり。

サモハンが以前から、成功失敗の結果はともかくとして様々な実験的功夫映画、ホラー功夫

「妖術秘伝/鬼打鬼」も含めてチャレンジを続けていた、その映画作りの姿勢が嘉禾影片公司(ゴールデン・ハーベスト)の下の自分の子会社・ボーホーフィルムに受け継がれているのがよーく理解できる
新規に色々なことをやろうとしていたのはジャッキーだけではないのだ。
本作はサモハンのプロデューサーとしての能力が発揮された一つと言って良いだろう。

龍的種/男が産んでなぜ悪い

監督 曾志偉(エリック・ツァン)
脚本 黄宏基(ウォン・ワンケイ)
出演 曾志偉(エリック・ツァン) 鍾鎮濤(ケニー・ビー) 陳友(アンソニー・チェン) 譚詠麟(アラン・タム)

21世紀近未来の香港。
様々な遺伝子開発によってどのようなお子様でも産めるようになり、
すっかり男の精子が役立たなくなった、男と女の立場がまるっきり逆転してしまった時代。

専業主夫をやっていた曾志偉(エリック・ツァン)は何とかして自分の子供が欲しかった。奥様は拒否。
ドラゴン社という精子提供会社で優秀な遺伝子を探し出し、
優秀な代理母の下で出産させてインテリキッズを持ちたいというわけだ。
さらに言えば、通常産めばヘソがつき、優秀な会社に任せて出産させてしまえばヘソがつかない、将来ヘソつきの子供はヘソなしの子供に差別されるのを懸念して・・・というわけだ。

「他人の精子と卵子で僕たちの子供と言えるのか!?」

曾志偉がそう嘆くのもごもっとも。
曾志偉は家で保管していた優秀な精子を捨てて、自分の精子と入れ替えてしまう。だが、すぐばれた。
奥様との直接交渉(つまり性交渉)を説得するも、妊娠拒否。
なんとかして自分の血肉を分けた子供が欲しい!
そう思った曾志偉は自分自身が妊娠して産んでしまうことに!

「冗談じゃないわ!私はドラゴン社の子供が欲しいの!」

ついに奥様は家出。
曾志偉は大きくなったお腹を抱え、
「1人でも立派にこの子を育ててみせるわ!」
と奮い立つのであった・・・

果たして子供は生まれるのか!?
そして夫婦の行く末は!?

終劇


ロケ場所が筑波研究学園都市かぁ。
確かにあそこは近未来っぽいよな。周りを見渡すととんでもない田舎が広がるが。
近未来ということで、みんな変なメイキャップなのがおかしい。
奥様がいつもの香港映画っぽく口やかましいのではなく。あくまで近未来の夫婦像を演じているのが良い感じ。つまり大袈裟にしてないところが。

小島秀夫監督作品である「METAL GEAR SOLID」とテーマがほぼ同じなのが興味深いところだが要は
「遺伝子に運命付けられた子供で良いのか、運命とはそんなもんか」
「血肉を分けない子供で良いのかどうか」
この辺のところをサラッとこの物語は描いている。

答えは考えなくても、誰でもわかる話であるが、
昔の常識が未来で通用しないように、近未来にこのようなことも全く無いとは誰も言えないだろう。
また、個人的には血肉を分けないことで血肉を分けたからこそある能力というものがどんどん失われるとも思うのだが。

本来面目/顔がなければ死人なし

監督・脚本 盧堅(ロー・キン)
出演 陳友(アンソニー・チェン) 渡辺良子 林威(デビッド・ラム)

林威(デビッド・ラム)が女と共謀して奥様を殺害し、車ごと海に沈める。
翌日、警察の樓南光(ビリー・ロウ)らによって車は引き揚げられたが炎上沈下していたため、遺体は頭蓋骨しか見つからず、警察では身元判明困難に。

頭蓋骨の復元を専門としている研究者・陳友(アンソニー・チェン)が復元を一任される。その陳友の下へ警察から
「復元を勉強したい」
と渡辺良子がやって来る。
渡辺さんの色気に戸惑いながらも、気分良く授業する陳友。
遂には偶然倒れた勢いから2人は一夜を共にしてしまう。
その後も彼女の挙動不審さから怪しみつつも、色気に惑わされる陳友。

しかし、警察に彼女の所在を確認してみると
「そんな研究生はいない」
との知らせが。
慌てて彼女の身元を調べたが見つからない。
「彼女は幽霊だー!!頭蓋骨の主だー!!」
ってことで、彼女の顔に復元して発表。
「陳友先生の活躍によって身元が晴れましたー!!」
と、記者会見する樓南光と陳友。

「彼女が自分を見つけてくれない無念さから、幽霊となって現れ、自分を見つけることを懇願したのだろう。彼女もこれで事件解決に向えば成仏してくれるはずだ。」
そう思っていた陳友であったが、
これにはとんでもないウラがあった・・・

終劇


うーん・・・・・・
悪くないけど納得行かないなぁ。
だって、どっちにしたって何れ林威(デビッド・ラム)に容疑は行き着くでしょ。
完全犯罪からは程遠いと思うよ、これ

またホラーであるところの演出がイマイチで研究生として現れる幽霊?も全然怖くないんだよなぁ。
それこそ「世にも奇妙な物語」のスタッフがやったらもっと面白くなったんじゃないの。

雙生傷生/女房知らぬは亭主なり

張堅庭(アルフレッド・チョン)は浮気の真っ最中。
しかし浮気が本気になり、
旦那大好き人間の妻・葉童(イップ・トン)にいつ別れを打ち明けようか悩んでいた。

「別れてくれ」
奥様の誕生日にそう漏らした一言が地獄の始まりだった。

いつも優しい奥様は一気に悪魔に変わり、
飲ませた毒のお茶で張堅庭の体の動きを止めると、
死へのフルコースを楽しみだした。

「実は私は奥様じゃないのよ。あなたが結婚したのは姉。」

葉童は双子だった。
同じモノを好きになり欲しがる姉妹はついには殺し合い、
殺された姉の代わりに妹が張堅庭の妻になったのだ。

「あなたは私のこと、何にも知らないわ。」

煮えたぎったお風呂に張堅庭を連れて行く奥様。
熱湯で殺した上、さらにマレーシアの薬で体を小さくさせてしまうつもりだ。

いいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけい 道士  「お、お待ちください皇帝様!いいわけいいわけいいわけ ここより遥か東の島国に不老長寿の薬を作る術を知っている仙人がおります!いいわけいいわけいいわけ だだだ、だけどその仙人に合うためには吉日の日に美女をいっぱい連れて旅立たねば仙人は会ってくれませぬっ!!」いいわけいいわけいいわけいいわけいいわけいいわけ

それはテラコッタ・ウォリアの言い訳よ。」

「ままま、間違った!!聞いてくれ!!じ、実は・・・!!!」

終劇


・・・うーん。
そんなわきゃねーだろ
「テラコッタ・ウォリア」ではなく、張堅庭の実際の言い訳が
うそつけ
ってな内容で、奥様の葉童もまるで信じてないのだが、その後の展開で正直こっちの気持ちが冷めちゃったなぁ。
ただ葉童の奥様は可愛らしく、こんな奥様なら最初から浮気するなよといった気分満載。
人の性格はサイコロの目のようなもんで、どの目が表に出てるかだけだろう。つまりは、普段お嬢様雰囲気なギャルには違う角度に違う面があるというわけだ。腹黒さも汚さも貪欲さも優しさも、個人差による容量の違いがあるだけで、みんな持ってるものだ。
「女房知らぬは亭主なり」とはその通りだが、知らなくても結婚するぐらいの勢いがないと結婚なんて出来ないなぁ・・・と思う私でした。



3作品ともクオリティは保っているのでそんなに退屈せずに見れるし、物語の展開はどれもそこそこ面白いので水準は保っていると思う。ただ、
テーマが"近未来"というとこ以外、一貫してないような気がするのが残念
話の全く違う3話ながら、何か一貫したテーマ"誕生"であるとか、そういった大きいテーマを含ませれば、全てを見終わった時に何かが見えてくる、そのような感想にさせてくれるのだが、そうはなってないんじゃないかな。
そうすると近未来3話くっつけたってだけだから、まとめて一本の作品としては評価できない。映画レベルならそこまでやってほしかったけど。

■CAST&STAFF
監督 曾志偉(エリック・ツァン)
張堅庭(アルフレッド・チョン)
盧堅(ロー・キン)
出演 曾志偉(エリック・ツァン)
陳友(アンソニー・チェン)
張堅庭(アルフレッド・チョン)
渡辺良子
林威(デビッド・ラム)
劉雅麗
葉童(イップ・トン)
余安安
樓南光(ビリー・ロウ)
古嘉露
鍾鎮濤(ケニー・ビー)
譚詠麟(アラン・タム)
葉智強
脚本 張堅庭(アルフレッド・チョン)
盧堅(ロー・キン)
黄宏基(ウォン・ワンケイ)
音楽 林敏怡(バイオレット・ラム)
策劃 陳友(アンソニー・チェン)
黄炳耀(バリー・ウォン)
製作 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
製作総指揮 何冠昌(レナード・ホー)
制作年度 1986


城市特警
The Big Heat
城市特警

※題名クリックAmazonで確認できます。


徐克(ツイ・ハーク)プロデュースによる李子雄(レイ・チーホン)主演作。
当時、徐克のスカウトによりいきなり

「男たちの挽歌」で大役を与えられた(これが映画デビュー)李子雄は、
その後「大丈夫日記」と本作でも徐克に呼ばれ出演している。
興味深いのはそのどれも"キャラクターが違う"ということで、
"悪役" "真面目な警官" "お人好し" と性格の違うキャラクターに挑戦させている。
よっぽど李子雄を気に入っていたんでしょうね。
また、呉字森も「ワイルドブリット」の主演に再び選ぶなど、
この突然大抜擢新人の才がとっても高いところにあったというのが伺える。
本作は彼が真面目で格好良い刑事に挑戦した一作。
ただひたすらに彼と彼らのチームが犯罪組織を追いつめていく一貫性を保った物語に終始している。

流れ

素早い判断力と行動力で定評のある李子雄刑事は
今日も部下の郭振鋒(フィリップ・コク)と人質立て籠もり事件を解決し、
(犯人殺しただけではあるが)
新入り刑事その他から慕われていた。
一方で、彼の活躍をいぶかしむ上役の存在も。

マレーシア
マフィア同士の取引が行われる。
ところが取引相手のチンピラは実はチンピラではなく潜入捜査官。
取引相手の朱江(チュー・コン)にそのことがバレてしまい捜査官が殺される。
この殺された潜入捜査官は李子雄の良き後輩であった。
李子雄は何としても犯人を検挙し、無念を晴らすことを誓う。

死んだ捜査官が遺物から事件に関わる写真を発見。
さっそく写真に写っていた重要参考人の捜査に乗り出す。
が、 郭振鋒(フィリップ・コク)が追った参考人は殺されていた。
またチーホンも襲ってきた殺し屋を捕まえようとするが殺してしまう。

病院に収容された生き残り参考人に、
みのもんたもびっくりの尋問を続けた李子雄が遂に自白させる。
「犯人は朱江だ!」
しかし、朱江がこの参考人の口封じを企んでいたのは明らかで、病院にキンパツ偽ナースが侵入。
この病院でナースをしていて新入り刑事の恋人でもあった王祖賢(ジョイ・ウォン)が
「キンパツナースなんていないわよ」
と言ったことから、殺し屋と発覚。キンパツナースを郭振鋒が倒すも、
様子を見守っていた他の殺し屋との間で病院銃撃戦になってしまう。
そして、この参考人も死んでしまうのだった。

唯一の望みは朱江の取引先工場からパクってきた缶詰だった。
この鑑識を李子雄の妻・呉家麗(ン・ガーライ)が行う。
再び、工場に潜入しようとした李子雄チームは警察の他チームに敵と勘違いされ、
お互い敵か味方かわからず銃撃戦になる。
この不祥事をいいことに上役のケン・ボイルは
今回の事件から李子雄チームを外そうとするが、李子雄は断じてそれに応じない。

ここらで一旦、
朱江 「お前らなかなか骨があるじゃねーか。ここは1つ仲良くなろーや。」
と李子雄チームに買収を持ちかける。が、当然これを拒否。
貰った札束をばらまいて李子雄チームはその場を後にした。

缶詰の鑑識を続けていた呉家麗が何かを見つけ、李子雄チームに連絡。
しかし、李子雄チームが駆けつけた時は遅し、朱江の怒りもあって呉家麗は殺され、
結局鑑識結果もうやむやに(?)

そんな時、 李子雄チームの新入り刑事は、以前自分を襲った殺し屋を町で偶然発見し尾行する。
ついにアジトを見つけ、幹部同士の会議を録音することに成功。
なんと、朱江と結託していたのはケン・ボイルら警察の上役だった・・・

終劇




予定調和過ぎるかなぁ。
「そうなるんじゃないか」と思った通りにことが進みすぎる。
簡単に先の話が読めてしまう展開で、読めてしまう展開ならせめてその間のアクションやドラマを面白く盛り上げる必要があると思うのだが、それほど盛り上がらない。
リアリティを持たせたアクションとドラマを描写しようとしているのは理解できる。
李子雄がビバリーヒルズ・コップやあぶない刑事といったものではなく、能力的にはゴリさん+ヤマさんぐらいに抑え、現実感を出そうとしているのも理解できる。
理解できるが、そのおかげでどちらとも中途半端になっちゃったかな?
という印象に見受けられるかな。
そのドラマ部分が余り面白いとは思えなかったのよね。

残酷描写が異様に激しいのは
"現実とは淡々とこんなに怖いもの"
であることを演出しようとしてかどうか、ハッキリとはわからないけどそれが映画からの痛烈のメッセージというより、単なる陰惨な演出としか私には取れなかった(「ミッドナイト・エンジェル」と同じようには受け取れなかった)。
郭振鋒(フィリップ・コク)のちょっとジーパンぶり、 頼れなそうで頼れる兄ちゃんっぷりは格好良いやね。

というわけでこの映画、個人的に一番のウリは
"王祖賢(ジョイ・ウォン)の白衣の天使"
だったりする。 こんなナースが看護だったら一生病院にいます

■CAST&STAFF
監督 杜h峰(ジョニー・トー)
金揚樺
出演 李子雄(レイ・チーホン)
王祖賢(ジョイ・ウォン)
黄衍濛
郭振鋒(フィリップ・コク)
盧景華
朱江(チュー・コン)
翁世傑
郭富城(アーロン・クォック)
周文健
張耀揚
麥翠嫻
仇雲波(ロビン・ショウ)
黎萱
王力
動作指導 王坤(ウォン・クワン)
朱繼生
郭振鋒(フィリップ・コク)
脚本 陳嘉上(ゴードン・チャン)
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
製作 徐克(ツイ・ハーク)
製作総指揮 黄百鳴(レイモンド・ウォン)
制作年度 1987


殺手蝴蝶夢
My Heart Is That Eternal Rose
風にバラは散った



実に切ないハードボイルドアクション。
先に流れ行こうかしら。

流れ

關海山(クワン・ホイサン)と王祖賢(ジョイ・ウォン)は小さな酒場を切り盛りしている親子。今日も恋人の鍾鎮濤(ケニー・ビー)との楽しい戯れもあったりなんかして、貧しくとも楽しい毎日を送っていた。
しかし、關海山は密入国の手助けをしていた元マフィア。本人はもう年だということで足を洗いたかったが組織がそれを許さない。というわけで、またも密入国の手引きを組織から命令される。

密入国を手伝うことになった鍾鎮濤。
同じく手引きをして一儲けしようという悪徳警官の呉孟達(ン・マンタ)とともに密入国に向う。しかし、その最中に呉孟達が
「もっと金をくれ」
とごねだす。すったもんだの揉め事の末に呉孟達は密入国者を銃殺してしまい、これを止めに入った鍾鎮濤は呉孟達を殺してしまう。

一気に地獄が訪れる。
鍾鎮濤は恋人を残してフィリピンへ逃亡。
關海山は店を獲られ、どうしようもなくなった王祖賢は店を獲った陳恵敏(チャーリー・チャン)牛耳る組織に身を寄せざるを得なくなる。

6年後。
王祖賢は陳恵敏の女として身を落とし、父の關海山はパンチドランカーに。ここには王祖賢と父の気を使ってくれる優しいチンピラの梁朝偉(トニー・レオン)がいた。
王祖賢はフィリピンに逃亡した鍾鎮濤を気遣って別れの手紙を出していた。その鍾鎮濤は今は殺し屋。仕事のために香港に舞い戻る、そして2人は再会。
別れるの別れないのと色々あったが結局2人は逃避行することを決意。
しかしこれを、陳恵敏の腹心である劉家輝(リュー・チャーフィ)が見ていた。

逃げようとする王祖賢をレイプしようとする劉家輝。
ここに梁朝偉とボスの陳恵敏が現れる。
「あなたのために尽くしてきたわ!どうか見逃して!」
陳恵敏に懇願する王祖賢。
しかし陳恵敏は冷酷に王祖賢を殴りつけ、劉家輝にレイプをけしかける。絶体絶命のその時、これを助けたのは梁朝偉だった。王祖賢に密かな恋心を抱いていた彼がボスを裏切って彼女を助けたのだ。

鍾鎮濤に会わせる為に王祖賢を連れて逃げる梁朝偉。
自分とは結ばれないとわかっていながら行動せざるを得ない彼が切ない。ここに陳恵敏は梁朝偉の祖母を誘拐するという卑劣な手段を取る。

2人の未来をかけて、助けてくれた梁朝偉もかけて、
陳恵敏組織と彼らの最後の戦いが始まる・・・

終劇




タイトル通りにことが進む本当に切ない映画。
そのノワールものとしての演出はもちろん呉字森(ジョン・ウー)とは一味違い、一層シュールになっている気がする。リアリズムとは言えないけど。

お話としては単純なものなのだが、この作品をよくしているのは杜可風(クリストファー・ドイル)のカメラワーク、譚耀文(パトリック・タム)の美術、それもあるが何よりも俳優陣の演技の面白さ。
中でも実らない恋心を抱きながらも王祖賢をサポートし続ける梁朝偉(トニー・レオン)の演技は素晴らしく、賞を貰うにふさわしいと言える。感情移入しやすいキャラクターなんだよね。
陳恵敏(チャーリー・チャン)の冷酷ボスももの凄く怖いものがあるし、それにしても腹心をやっている劉家輝(リュー・チャーフィ)がラストの方までアデランスなのは笑ったな。最後は開き直って取っちゃうんだけど。まぁ彼としては汚れ役だし、余り思い出したくない作品だと思う。

もう1人の注目はやっぱ呉孟達(ン・マンタ)。
もちろん昔は悪役が多くて「男たちの挽歌U」でもそうだったりしたんだけど、周星馳(チャウ・シンチー)との爆笑コンビの姿に見慣れているとかえってそのギャップが興味深い。今回は非常にこわーいおっさんです。出番は短いながら彼の悪役演技のなかでも非常に良い演技をしていると思います。
王祖賢(ジョイ・ウォン)は相変わらずお美しいです。

「男たちの挽歌」があって、俗に言う"香港ノワール作品"が以前のコミカルクンフーブームと同様に亜種乱立したわけだけど、やっぱ数々の駄作が生み出されては捨てられていく中でこういった違ったタッチの良い作品ってのも必ず出てくるんだよね。

■CAST&STAFF
監督 譚耀文(パトリック・タム)
出演 鍾鎮濤(ケニー・ビー)
王祖賢(ジョイ・ウォン)
梁朝偉(トニー・レオン)
陳恵敏(チャーリー・チャン)
劉家輝(リュー・チャーフィ)
關海山(クワン・ホイサン)
張達明(チョン・ダッミン)
呉孟達(ン・マンタ)
金雷
金彪
黄智強
動作指導 梁小熊
ケコ祥
脚本 陳冠中
曾謹昌
音楽 鐘定一(ダニー・チュン)
主題歌歌唱 梅艶芳(アニタ・ムイ)
撮影 杜可風(クリストファー・ドイル)
策劃 陳冠中
製作総指揮・製作 岑建勳(ジョン・シャム)
制作年度 1987


成記茶樓
The Tea House



こうなんちゅうか自分の語学力の低さや何かでがっかりくるんですが・・・がっかり来た映画がこれ。
要はよくわからんのですよ、これ。起きていることはわかりますよ画面見てりゃ。でも、それが「だから何なんだ?」と言われるとイマイチ掴めないのね。

流れ(推測入ります)

陳觀泰(チェン・カンタイ)大兄貴が喫茶店と言うか、場末の定食屋みたいな成記茶樓をオープン。
兄貴は元マフィアのボスでそれがそのまま足を洗ってカタギの店に鞍替え、そしてそのときの部下もそのまま給仕とか調理師に・・・・なったのかもしれません推測です。

開店当初からさっそく問題発生。
荒くれの若者・汪禹(ワン・ユー)が自分の持ち場を離れて仲間と街に繰り出し、仲間にそそのかされて強盗・強姦未遂で逮捕される。
陳觀泰は汪禹にきつくお咎めを出し、これで一旦は丸く収まるのかと思ったらとんでもない。
兄貴の言うことをちっとも聞かずに今度は銀行強盗して逮捕。
これにておしまい。再度捕まった汪禹に二度と出番は来ないのであった。

ほっといて話は続く。
今度は陳觀泰のご家老的存在であった?履仁の娘が未成年のチンピラともめており、夜の公園で襲われたところを娘が逃げ出して交通事故に遭い死亡。
悲しみに暮れる成記茶樓であったが、その死んだ娘の弟は復讐を誓う。
道端で姉を死に追い込んだチンピラを待ち伏せするとナイフで強襲して刺殺。

ここまで若者の暴走劇、「ミッドナイト・エンジェル暴力の掟」もびっくりのそういう映画なのかな?と思ったがはてさて。

ひっきりなしに成記茶樓は今日も大騒ぎ。
それもタダゴトじゃない血を見る大騒ぎばかり。
チンピラを殺したゴタゴタで色んな組織から睨まれる成記茶樓。
成記茶樓に寄ろうとするご老人達を強盗したり様々な嫌がらせを繰り返す。
成記茶樓メンバーも負けていない(元そういう奴らだから?)。
邪魔しに来たチンピラを逆にボッコボコ。

遂には成記茶樓と未成年チンピラ野郎どもとの戦いは
陳觀泰兄貴と組織の幹部との争いに発展、
永遠に平和の来ない成記茶樓に明日はあるのか!?

終劇




観る前は「馬永貞」みたいな映画を想像していたのだが、
前半は不安な世の中で荒くれる未成年者たちの暴走を描き、
「そういうティーンエイジャーの物語なのかな」
と思ったのが、後半はマフィアとの争いになってしまい、しかもその結末もなんだかよくわからんもので、功夫アクションも無く、陳觀泰兄貴が大暴れ!というものもなくこっちの気持としては消化不良。

いやだから、そういう映画じゃなかったんだから・・・
と考えるのだが、
「じゃーこれ何なのよ」
って感じで、まぁ前半はわかろうともトータルではよくわからない。ほんとにこの映画何が言いたかったのだろう。

この映画をご覧になった方、感想くださると幸いです。

■CAST&STAFF
監督 桂治洪
出演 陳觀泰(チェン・カンタイ)
葉靈芝
劉午h
〔人冬〕林
楊志卿
・森
江洋
李鵬飛
夏萍
樊梅生(フォン・メイサン)
汪禹(ワン・ユー)
李壽祺
沈勞
程小東(チン・シュウトン)
西瓜〔包リ〕
?履仁
陳立品
強漢
馮敬文
王清河
程剛
李修賢(ダニー・リー)
宗燦枝
林偉圖
凌漢
鄭偉明
朱今
楊澤霖
呂小龍(ブルース・リ)
司徒
呂紅
陳美華
林風
呉四
梁國忠
陳尚志
梁健華
呉澤偉
陳浩祥
高雄(エディ・コー)
武術指導 程小東(チン・シュウトン)
脚本 司徒安
原作 江之南
製作 邵仁枚(ランミー・ショウ)
制作年度 1974


乾隆下揚州
The Emperor and the Minister



やっぱあれですな、ラーメンばっか食ってるとステーキでも食べたくなるし、ステーキばっかりの贅沢野郎はたまにはお新香とお味噌汁なんてものを有り難がったりするのだろう。だからと言って例えば私は別に飯島直子はタイプではないが、飯島直子ほどの美人がもし自分の伴侶だったらもういいだろう。飯島直子が自分の嫁なのに離婚するのか?それ以上に良い女が自分に寄ってくるとでも?
人とは本当に欲の尽きない生き物である。南無阿弥陀仏。

という前置きは本作と全く関係無い(無いんかい)。
要はこの頃、血しぶき飛び交う武侠片ばっかり観ていたので、そうすると楽しい感じのこういう作品を観て気分を変えたくもなるもんだ。さて、
本作はタイトルをよーく見てもらえばわかるように、
清の皇帝であった乾隆帝がお忍びで身分を隠しながら揚州の街を練り歩きそこで騒動に巻き込まれるといったなかなかシャレたコメディである。監督・脚本は巨匠・李翰祥(リー・ハンシャン)。
実際に乾隆帝は24歳で即位しその後84歳まで皇帝でい続け、清も国として絶好調を迎えていた時代である。よって、劇中での揚州は実に活気に溢れており、功夫映画ならよく扱われる清朝末期とは違ってみえる煌びやかさがあるのが興味深い。まぁ劉永(トニー・リュウ)が乾隆帝に扮しているので即位したばかりの話なのであるが。

んで、話としては正直申し上げまして、いつもの語学力の低さによってよくわからないところが多く、この作品の本当の面白さ、そもそも良作なのかそうでないのかさえ私にはようわかりません。
お付きの李昆(リー・クン)と姜南(チャン・ナン)を引き連れて、次々と面白いことに遭遇する乾隆帝。でも、ゲスト出演の岳華の部分もようわかりませんでした。

物語中盤では土皇帝なる揚州で勝手にいばってるチンピラっぽい奴らが登場。
可愛い惠英紅(ベティ・ウェイ)に土皇帝が色目を使うのですが、惠英紅さんは当然お怒り。
力でねじ伏せようとした土皇帝でしたが、惠英紅さんは功夫猛者!ここに乾隆帝も楽しそうに参加して功夫ファイトなシーンもあったりする。だから武術指導がいたのね。

まぁあの、それ以上に理解をしていない私にこの映画を評価する資格なんか無いんですが、あれですね、
「もうちょっとカタルシスな展開が見たかったりして」
つまりこの映画は日本人大好きなパターン、英雄が身分隠してって奴ですから「水戸黄門」「暴れん坊将軍」とかと類似したケースなんですね、だからこそ
"この紋所が目に入らぬか!!"
みたいな感じで乾隆帝がその正体を露にし、
ははーっ!!!!
ってなところを見たかったりするのね。そういうのはちょっと無かったかなぁ、そんなことしたら大変なことなのかしら(大変なことでしょうね)。
というところから、考えていたんだけどやっぱりなんちゅうかなんだろうねぇ、
"人が人にひれ伏すってのを見たいという気持"
これはどういうことなんだろうねぇ、単純に相手が悪だからそれでいいのでしょうってそりゃそうだけどそうかなぁ。


とにかく劉永の皇帝ぶりもなかなか決まっていて格好良いのだが、ちゃんと理解しないことには私には如何ともしがたいっす。

■CAST&STAFF
監督・脚本 李翰祥(リー・ハンシャン)
出演 劉永(トニー・リュウ)
李昆(リー・クン)
姜南(チャン・ナン)
・森
惠英紅(ベティ・ウェイ)
呉杭生
倫家駿
?履仁
楊志卿
岳華
沈勞
顧冠忠
王撼塵
矮冬瓜
梁曼儀
張瑛
王沙
王菜
武術指導 唐佳(タン・チァ)
黄培基
音楽 陳永煌(チェン・ヤンユー)
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1982


龍在江湖
A True Mob Story



何というかそうですねぇ・・・
うん、よく出来てる、でもな。
って感じかなぁ。

流れ

劉コ華(アンディ・ラウ)は一見、組織の武闘派として知られるちょっとしたヤクザの若頭。部下には李燦森(サム・リー)などがいる。
だけど実際はボス・陳惠敏(チャーリー・チャン)にていよく使われるだけの駒に過ぎず、さらに妻子持ちだった彼をケ浩南(マーク・チェン)など他の幹部はちっとも認めてはいなかった。

よその組織と揉め事を起こしたケ浩南を助けるため、戦いに参加したアンディ、その組織のボスの目をぶった斬って助けたがその最中、戦いに巻き込まれた我妻が死んでしまう。残ったのは息子と唯一自分を慕ってくれる妻の友人・關秀媚(スーキー・クワン)。おまけにケ浩南は助けられたことを何とも思っちゃいない、どころか關秀媚を自分の女にしようと躍起になっていた。

先の抗争などで訴えられたアンディは女弁護士の梁詠〔王其〕(ジジ・リョン)と知り合う。知り合うがその女弁護士の彼氏である方中信(アレックス・フォン)は刑事でアンディを追って捜査していたのであった。

その後、關秀媚はアンディの目の前でケ浩南にレイプされるところだったが、服を剥いだところ、アンディと同じ刺青が・・・
「そういうことだったのか!」
遂にはアンディ、ケ浩南にボコボコにされ放り出されてしまう。そしてその夜、アンディと關秀媚は結ばれる。
さて女弁護士の方は型破りなヤクザとアンディを見下げる傍らで、いつしか彼のことを慕う自分がいることに気がついていた。

アンディにさらに悲劇が襲い掛かる。
アンディが襲ったよそのボスが復讐にやって来たのだ。
關秀媚は輪姦され、息子は失明させられる。
当然、復讐には復讐で返したいアンディであったが、ボス・陳惠敏はじめ組織は
「お前だけの問題だろ」
と誰も協力してはくれなかった。
ケ浩南と共同で経営していたVCD工場は麻薬密輸の隠れ蓑にすぎなかった。アンディはそうとも知らずに経営者の名前を貸していたのだった。

まるで母性本能を突き動かされたように、アンディと結ばれる女弁護士。彼には既に結ばれた關秀媚がいるとも知らずに。
裁判は女弁護士の活躍で良い方向に向うが、關秀媚とアンディがすでに出来ていることを知り落胆。仕事をこなした後に女弁護士は去っていってしまう。

組織のイヌにすぎなかったアンディが今すべてに復讐するため動き出す・・・

終劇




いつもの王晶(バリー・ウォン)作品特有の濃いギャグ下品ギャグはすっかりなりを潜めてハードボイルドな演出に徹し、合間の李燦森(サム・リー)などとの若干コメディチックなやり取りもやり過ぎにならずにバランスが良くちゃんとカンフル剤になっている。いつもの何でも面白いもの放り込んだごった煮テイストではなく、ハードボイルド一直線な作風はなかなか格好良く、王晶の監督としての手腕の高さを再認識できるだろう。

しかし、ちょっと古いんじゃないかなぁ。
これが香港ノワール絶頂期に出されたものであれば、傑作に近い評価を得たかもしれないが、杜h峰(ジョニー・トゥ)が飛躍し、呉字森(ジョン・ウー)がハリウッドに飛び出た後ではちょっと遅いという気がしてならない。
アンディにしても、まぁ彼は永遠の青年って感じで本当に実年齢より若く見えるんだけど、実年齢に合った役柄にはさすがに思えないかな。もっと若い人がやるべき役柄。

■CAST&STAFF
監督・脚本・製作 王晶(バリー・ウォン)
出演 劉コ華(アンディ・ラウ)
梁詠〔王其〕(ジジ・リョン)
方中信(アレックス・フォン)
關秀媚(スーキー・クワン)
ケ浩南(マーク・チェン)
李燦森(サム・リー)
陳惠敏(チャーリー・チャン)
呉毅将
呉志雄
李兆基
李尚文
馬コ鐘
王天林
陳國新
陳コ森(テディ・チェン)
動作指導 馬玉成
音楽 金培達
策劃 李兆基
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
制作年度 1998


鎗火
The Mission
ザ・ミッション 非情の掟



映画って不思議よね。
NHKBSで放映された「香港映画のすべて」で劉家良(リュー・チャーリャン)がこう言ってた、
「功夫をリアルに再現すると地味な技も入っちゃうので、映画的見栄えが劣り、面白くない。そこで武術指導家は出来るだけ派手な技を組み込む必要があったんだ。」
つまりはリアルではないということ。
同じようなことはどんな作品にも辺り、映画を面白くするために周潤發(チョウ・ユンファ)が二挺拳銃で階段滑りおりながらバンバン撃ったり、ブルース・ウィリスが銃弾の雨をよけて一人で大勢の敵に打ち勝ったり、まぁ映画を面白くするためにリアルよりもファンタジーを選択して盛り上げているところってのがあるやね。

ところが、本作のように演技もアクションもリアリズムに捉えた良質な作品が登場するとだな、
「クールでスタイリッシュで素敵!」
ってなるわけだ。
昔の胡金銓(キン・フー)作品なんかも近いものがあり、
"人を斬って血が噴出すと格好良いから描く"
ではなく、
"人を斬って血が噴出すのは当たり前だから描く"
というリアリズムに基づいた演出方法で、例えば本作と胡金銓作品なんかを比較してみるのもなかなか面白いと思う。

映画を派手に盛り上げるためファンタジーを取り入れる
でもあるのに、
余計な演出を排除し、リアリズムに徹したらクールでスタイリッシュ
つまりは、スタッフ・キャストの質とやる気さえ高ければどっちにしたって良い作品は出来るのだ。

本作は北野武作品の「ソナチネ」にそこそこ似ている。
どっちが好きか嫌いかは個人の問題だが、なぜかおっぱいが出てきたり、海岸でのシーンが長い「ソナチネ」よりは、本作の方がさらに余計な演出を排除してよりスタイリッシュに感じるところは間違いない。黒澤明「七人の侍」については言うまでもないといったところか。

流れ

黒社会の一ボスである高雄(エディ・コー)が誰かに命を狙われる。
というわけで高雄は今ではカタギであるものの、それぞれ過去に貸しのある仲間、黄秋生(アンソニー・ウォン)に張耀揚(ロイ・チョン)、林雪(ラム・シュー)さらに黄秋生が見つけてきたやり手の殺し屋・呉鎮宇(フランシス・ン)とその舎弟・呂頌賢(ジャッキー・ルイ)を呼び寄せる。

集まった5人は大小の仲間割れを見せながらも、
・高雄を守る
・狙ってる奴を捜す
のミッションをこなしていくうちに絆を深める。

そのうちに高雄を狙ってた奴もわかり、ミッションは無難に解決するかに見えたのだが・・・非情の掟。

終劇




シンプルisダウトな映画もあるが、本作は
シンプルisベスト!
ただこれだけの粗筋でありながら、切りに切ったと思われる余計なシーンの無い短い81分で一気に見せきってくるこの爽快感が快い。

固めてる役者陣もそりゃあ黄秋生、呉鎮宇、張耀揚それに任達華(サイモン・ヤム)と演技力確かな実力派ばかり。さらに王晶(バリー・ウォン)の実父である王天林が怪演しているのも興味深い。それにしても本当に張耀揚は良い役もらえて良かったですねぇ、
「うわっ腹立つなコイツ!」
って役どころが彼は実に多かったから。

杜h峰(ジョニー・トゥ)が作品をいつも腐心しているなぁと思うのは、それぞれのキャラクター群像で主要人物はどれも丁寧に描くということ。「赤脚小子」なんか丁寧すぎて脇役のサイドストーリーの方が面白く感じたけど。この辺は監督としての働きにどんどん磨きがかかっている周星馳(チャウ・シンチー)にも共通するところがあると思う。彼もキャラクターを丁寧に描くから。

いやぁ杜h峰(ジョニー・トゥ)って良い作品撮りますねぇ・・・

■CAST&STAFF
監督 杜h峰(ジョニー・トゥ)
出演 黄秋生(アンソニー・ウォン)
呉鎮宇(フランシス・ン)
張耀揚(ロイ・チョン)
林雪(ラム・シュー)
呂頌賢(ジャッキー・ルイ)
任達華(サイモン・ヤム)
高雄(エディ・コー)
王天林
脚本 杜h峰(ジョニー・トゥ)
游乃海(ヤウ・ナイホイ)
銀河創作組
(ミルキー ウェイ・クリエーティブチーム)
制作年度 1999


PTU
Ptu
PTU



なーんかなぁ・・・・釈然としないなぁ・・・・・・
いやなかなかに面白かったんですけどね。
先に簡単に流れ書いておこうかな。

流れ

香港の夜。

PTUとは夜の香港を見回って悪い奴がいないか取り締まって平和を保つ部隊。
たまたま飯食ってた刑事・林雪(ラム・シュー)は昇格寸前で良い感じだったが、チンピラにおちょくられてこれを追いかけバナナの皮でスッテンコロリン!ええーっ!?
転んだ拍子に気絶してしまい銃を紛失してしまう。
駆けつけたPTU隊長の任達華(サイモン・ヤム)に相談。
「俺が取り戻してやる」
とPTUは銃紛失の捜査開始。
林雪はその間、
「こんな失態を知られたら昇格どころか格下げか!?」
とりあえずおもちゃの銃を買って、保険にしておく。

このすったもんだの間に林雪が飯食ってた食堂でチンピラリーダーが刺殺されるという事件が発生。
CIDの黄卓玲(ルビー・ウォン)がこの捜査に当たる。

銃を失った刑事とPTU、そしてCIDが三つ巴になって時には敵・味方と交錯しながら物語りは進むのだが、殺されたチンピラはマフィアボスの息子。このマフィアとて黙ってはいなかった・・・・

終劇




この物語、たった一夜の出来事なんだよね。
だから舞台はずーーっと夜のまんま。陽の目を見ることなく物語は終わる。
日本公開も陽の目を見ることが無い感じなのは非常に残念なのだが、果てこの作品はどうだったか。

上記「ザ・ミッション/非情の掟」からの作風が続いていてそれの発展系であることは間違いない。
それぞれの偶然と必然が重なり合ってラストに集結していく展開はとても心地が良く、確かに時間を気にせず楽しめる。今回、はっきり言って主演といっていい林雪のおじさんをはじめキャストの演技も素晴らしく良い。

たださぁこれ、
キタノ映画に似すぎてない?
夜だから故のブルーを基調にしたフィルムトーンは北野ブルーをどうしても連想させるし、カメラを据えてワンカットで役者が長々と歩くショットや、主要人物の長いストップワンカット、そしてチンピラとPTUとの間に巻き起こるバイオレンス描写(それにしてもどっちかチンピラかわからないぐらいPTUはチンピラいじめてましたねボコボコ)特にゲームセンターでチンピラを任達華がビンタし続けるところ、ラストの銃撃戦で人間に派手な動きがないこと、
どれも北野映画で見た演出なんだけどなぁ。

そんなことせずとも杜h峰(ジョニー・トゥ)は素晴らしい人間ドラマ織り成す映画を作れるので他人のアートに傾倒してしまうのは何とも勿体無いことではないだろうか。
しゃべりが多い分だけわかりやすいから北野映画よりこっちの方がウケる、というのはわかるのだが、十分良い作品なだけにその辺のところがどうもうーん・・・

しかしバナナの皮でスッテンコロリンの演出ってあんた・・・(狙いなのはわかるけど)
■CAST&STAFF
監督・製作 杜h峰(ジョニー・トゥ)
出演 任達華(サイモン・ヤム)
林雪(ラム・シュー)
邵美h(マギー・シュー)
黄卓玲(ルビー・ウォン)
黄浩然(レイモンド・ウォン)
高雄(エディ・コー)
慮海鵬(ロー・ホイパン)
脚本 游乃海(ヤウ・ナイホイ)
歐健兒
音楽 鐘志榮
製作総指揮 李國興
制作年度 2003


再見阿郎
Where a Good Man Goes


俺はこっちの方がずっと「PTU」より好きだなぁ・・・
なにもその・・・まぁいいか先に流れ書こうかな。
劉青雲(ラウ・チンワン)が第5回香港電影金紫荊賞最佳男主角(主演男優賞)を受賞した作品です。

流れ

ヤクザの幹部・・・だった劉青雲(ラウ・チンワン)が出所する。シャバに出たはいいものの、行く当ては無い。

夜の雨の中をタクシーで宿屋を捜す。
が、途中でシートを泥で汚したために運転手とケンカ。他の運転手仲間も駆けつけ大乱闘となる。
と、この目の前が宿屋。
大乱闘の後に苛立ちながら宿の女主人・黄卓玲(ルビー・ウォン)を呼びつける劉青雲。
「タバコも売ってないのかっ!」
「こんなシケた部屋で300$も取るのかっ!」
「俺が誰か知っているのかっ!」
と宿でもやり放題でさすがは元幹部。
黄卓玲は「早く出て行ってくれ」の気持ちで一杯だ。

翌朝、刑事の林雪(ラム・シュー)が宿を訪れる。
タクシー運転手を暴行したということでそのまま林雪に劉青雲は逮捕される。
この林雪という男、劉青雲に個人的な恨みでもあるのか、タクシー運転手らとも結託して劉青雲を痛めつけるご様子だ。だがしかし現場を見ていた黄卓玲が、
「先に襲ったのはタクシー運転手の方でしたよ」
と正直に証言したため劉青雲は釈放される。
釈放された劉青雲は女主人の礼もそぞろ・・・どころかむしろ怒っているという感じでまだまだ滅茶苦茶。

今度は劉青雲、自分の舎弟たちを捜す。
舎弟どもを捕まえてクラブで一呑み。
「兄貴!お帰りやす!」
などと皆言ってくれるが皆どこか違う、昔と違う。
その態度のよそよそしさに激怒して今度は店で大暴れ!
ほんとコイツはしょうがない野郎だ。

「ちっ!黒社会に戻ってもつまんねぇ!」
というわけで、劉青雲はまたも先の宿屋へ。
当たり前のように部屋に入ると、女主人の作ったラーメンを食べてビールかっ喰らって寝るって感じか。
そして毎日そんな生活が続く。

ある日の劉青雲、女主人の息子である阿郎を捕まえるとそのまま女主人の車に乗ってどっかへ・・・
「アタシの息子をどうするつもりよ!!」
これにはさすがに女主人も怒って結局は一緒に車に。
「子供をいつも宿に閉じ込めてばかり!外で遊んでやらにゃ可愛そうだろうがっ!!」
ヤクザが子供連れて逃げ出そうとしたんだから、そりゃ誘拐とも取れるんじゃないかと思うが、この男の言うことも筋が通ってないことはないのもまた一興。仕方なく黄卓玲は遊んでやることに。ここにちょっとした擬似家族が誕生気味。

いつの間にか、ご飯も劉青雲も女主人家族(旦那は昔に死去)と一緒にご飯を食べてたり、劉青雲が宿の修繕をしたり、乱暴で勝手な男と女主人との仲は深まっていく。

しかし、いつもの通り幸せは長くは続かない。
刑事・林雪はまだまだ彼を逮捕してやろうとイジワルの繰り返し。こいつも劉青雲や女主人、その息子の阿郎にまで執拗な嫌がらせを繰り返す。
「やはり俺がカタギと一緒に暮らすのは無理なのか・・・」
黒社会とカタギの世界を行ったり来たりしながら劉青雲は己の居場所を見つけられずに憔悴しきっていた。

そんな時、劉青雲の元女が姿を現すのだが・・・

終劇




1988年に長渕剛主演の「とんぼ」ってTVドラマがあって、このドラマは任侠ドラマの中でもなかなかの力作だと思う。便乗して作られた映画

「オルゴール」はゴミみたいな映画だったし、最近になって「英二ふたたび」という続編もあったがこれまたノーガキを垂れて王様が闊歩しているだけのドラマでつまんなかったのだが。

まぁこの映画を観ているとそんなドラマを思い出したので書いてみたのだが、その「英二ふたたび」じゃあさ出所した英二が職が無くてフラフラするわ辛いわ・・・と思ったら女にモテるわ、仕事は世話してもらえるわ、新しい舎弟は出来るわ、哀川翔は相変わらずだわ、で
「どこ行ってもあんた王様やってんじゃん」
って感じだったのよね。
ところが本作は全然違う、女にはフラレてる、金はあっても人望も無ければ本気で慕う舎弟もいない、刑事には虐められる、第一主人公本人の人間が出来ちゃいねぇ!
乱暴だわ勝手だわ・・・つーか劉青雲って役作り上手いねねぇ、彼の出てる作品をたくさん見てるわけではないので何とも言えないが、どちらかと言うと彼は優しい頼れるおっちゃんの部類の役をやらせたら天下一品って感じなので(「ヒーロー・ネバー・ダイ」のアフロは異色だよな)、こういった無頼漢はどうなのかと思ったが、よくもまぁ似合ってること酷い男を見事に演じてるよこの人。

物語的に無頼漢が自分の存在場所を捜して捜して、黒社会でもダメ、カタギでもダメ、俺は何処に行けばいいのか・・・というところで、クライマックス(というか大失敗をやらかします)で思わず劉青雲がグズってしまうシーンはとても感動的でグッと来る。 こんな酷い男を主人公で登場させているのにラストには観客の涙を誘ってしまうのだから、杜h峰の腕は本当に抜群でございますな。この映画、私は傑作だったと思います。
だからこそ誰かのアートに頼るようなことはせずに自分で自分のアートを広げていったらいいのになぁ・・・
先に上記の「ザ・ミッション/非情の掟」「PTU」を観た人がこの映画を観たら、作風の違いに大きな違和感を感じるじゃないかしら。あっちのタッチを期待しちゃいやよ。

ヒロインの女主人を演じている黄卓玲は「PTU」では冷徹なCID捜査官を演じているが、こっちの健気にラーメンばっかり作って、化粧もオシャレもしてない役柄も非常に良かったですね。

もう1つ面白いのがこの映画で本格的に役者デビューした林雪のおっちゃん。元々は場務役の裏方スタッフの人なのでこの映画でもスタッフ"場務・林雪"ってまだやってるのが面白い。このおっちゃんに注目した杜h峰の眼力も凄いよ、この映画で一番美味しい役柄なのは林雪のおっちゃんです。それは何故か?自分の目で確かめてみてくださいね。

■CAST&STAFF
監督 杜h峰(ジョニー・トゥ)
執行導演 游乃海(パトリック・ヤウ)
出演 劉青雲(ラウ・チンワン)
黄卓玲(ルビー・ウォン)
黎耀祥
林雪(ラム・シュー)
黄浩然(レイモンド・ウォン)
羅永昌
曽小燕
艾威
趙偉雄
鄭家生
陳惠
脚本 游乃海(パトリック・ヤウ)
銀河創作組
(ミルキー ウェイ・クリエーティブチーム)
音楽 黄嘉倩(キャシーン・ウォン)
原案 韋家輝(ワイ・カーファイ)
策劃 陳道好(キャサリン・チャン)
製作 杜h峰(ジョニー・トゥ)
韋家輝(ワイ・カーファイ)
製作総指揮 邸復生
制作年度 1998

 
 

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