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■まぁ要はクンフー無しの香港映画のレビューです。  


無間道
Infernal Affairs
インファナル・アフェア



涅槃経第19巻
八大地獄の最たるを「無間地獄」という
"絶え間無く責め苦にあう"ゆえに そう呼ばれる

 1991年、ストリート育ちの陳冠希(エディソン・チャン)は香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボス・曾志偉(エリック・ツァン)によって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年余文樂(ショーン・ユー)は突然退学となる。彼は、黄秋生(アンソニー・ウォン)警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられたのだった。
やがて2人の青年は、
陳冠希(エディソン・チャン)→劉コ華(アンディ・ラウ)
余文樂(ショーン・ユー)→梁朝偉(トニー・レオン)
に成長。
それぞれの組織で台頭していく。

そして10年後、警察は梁朝偉から大きな麻薬取引の情報を受け取る。しかし警察の包囲網は劉コ華によってマフィア側に筒抜けとなっていた。検挙も取引も失敗に終わったことで、警察、マフィア双方がスパイの存在に気づいてしまう・・・

※ストーリーは転記改変になります。
※ストーリーは大まかにしませんでしたが、こっから下はネタバレあります。



この映画一つで興味深いこと、気づいたことがある。
一つ一つ追従していきたい。


陰と陽

これは侠片である。
アクションシーンは少ないので"武"は取ってみた。
無理にジャンル分けするなら私はこれを侠片とカテゴライズしたい。

この映画が香港で大変評判である・・・と、聞いて検索してみたら
"潜入捜査官もの"
なんだまたか。」
と思ったのが観る前の正直な気持ち。だって、

友は風の彼方に」「ハードボイルド/新・男たちの挽歌」そして「ポリス・ストーリー3」古くは「少林寺秘伝拳」なんてのもある。「ドラゴン少林拳」はちょっと違うかもしれんが。
傑作珍作はともかく当テーマを扱った作品は結構あるのだ。
だから「なんだまたか。」 けれどこの映画が評価されているのは、
その半端無い作りこみの深さと表現の巧みさにあった。
で、"何が作り込まれていたのか?"
まずはこれに迫ってみたい。

また潜入捜査官に間違いないが、本作のそれは日本の"草"に近い。
前述の「友は風の彼方に」のように血みどろの中で情を培っていくのではなく、既にそれは培い済み。その上での潜入捜査官の苦悩に重点が置かれている。「友は風の彼方に」の周潤發(チョウ・ユンファ)があの戦いの後も生き長らえて3年経ったような後の話みたいなそんな感じだろう。
それは潜入捜査官の梁朝偉とて、
潜入マフィア君の劉コ華とて同じことだ。
※ 草・・・幼い頃から敵方に送り込んで敵側で成長してまるまる信用させる忍者。現代の企業スパイのように働いたらしい。

香港映画を長年見ていれば、当然その香港人中国人が持っているナショナリズムってもんが見えてくる。それを上げるならこんな感じ。

・家族第一
・お金第一
・明るく前向き楽観的
・感情剥き出し
・猪突猛進

香港の楽しい娯楽映画をたくさん見れば誰でも見えてくる事柄だろう。
これに当たる映画は

「大英雄」「プロジェクトA」「少林サッカー」「ゴッド・ギャンブラー」「悪漢探偵」「ミスター・ブー」・・・・・・有り過ぎますが。

しかし一方で、
「んん?」
とそのナショナリズムに矛盾を感じてしまうような映画が多いのも確か。
表立って見えるナショナリズムを陽とするならこっちは陰である。

・虚無が漂う
・救いが無い
・ハッピーエンドを嫌う

もの凄い矛盾である。

有名なところで許冠文作品「いつも心の中に」。
この作品はガンに冒されたアナウンサー(許冠文)が、余生の仕事で華を咲かせて手術台に乗ったところを家族に見送られる顛末で、
日本で公開したときは見送られるところで終劇
香港で公開したときは手術して完治してハッピーエンド
と、ハッピーエンドを好む香港人のためにわざわざラストを変更しているというものだ。
それほどまでにアンハッピーな終わり方を好まない方たちなのだ。
特に旧正月映画によく見られる傾向で、基本的に旧正月映画は
"明るく楽しく元気の出る映画 今年も一年楽しくネ!"
というのが恒例である。

ところが、そこまでしてハッピーエンドを望んでいる方たちなのに、
アンハッピーな映画が堂々作られ、堂々ヒットしている例が多々あるのが興味深い。こっちに当たる映画は古くから

ドラゴン危機一発」「報仇」「刺馬

愛奴」そして前述の「友は風の彼方に」や「狼 男たちの挽歌・最終章」「英雄」ヒット作ばかり上げたが、それ以外も上げたらこっちだって数え切れないほどある。
そして本作は最たるものであるとも言える(大ヒットしたわけだしね)。

ちなみに上げてみた作品、そして本作に共通点があるのがわかる。
それは主役の設定だ。

・悲劇的である
・知り合いが少ない(失う)
・活躍しても誰にも表彰されない

人は常に自分に無いもの、対照的にあるものを求めるというが、
中国人の方々が基本的に
"辛くても明るく楽しく家族とお金で乗り切るぜ!"
といった精神を内包しているとすれば(そんな単純ではないがあくまで抽象的に)、その対極にある悲劇的で孤独な設定というものに、一種の恐怖と憧れを抱いている・・・ということも有り得るんじゃないだろうか?

とすれば、
本作に出てくる梁朝偉&劉コ華がどれほど魅力的に映えていたことだろうか?
憧れの対象が人であれば、それは"英雄"と呼ばれる。

"何が作り込まれていたのか?"
それは香港の人達が心の裏面で望んだ英雄像が作り込まれていた。

この映画の成功の要因はそんなとこなんじゃないだろうか。

そして本作は一見、香港人の楽観的明るいという表面から
一気にひっくり返して裏面をとことん楽しめる映画であるということも言える。

とすると、波及させようとしたがヒットしなかった日本。
そしてこれからヒットするだろうかアメリカ。
この二点で新たな興味深い思いが出てくる。


ハリウッドがどう出るか?

既にハリウッドでのリメイクがブラッド・ピット主演で決定済み。
ブラッド・ピットはともかくもう1人は誰が演るのだろう?
って、興味の部分は別にそこじゃない。
もっと他に大変興味深いところがある。

信じる者は救われる

「マトリックス」の発端は最高だが、キアヌスーパーマンにがっかり。
だって、あんだけ複雑な設定にして無理やり功夫入れて、難しいこといっぱいやってる映画だけど「結局はスーパーマンなのかよ」って行き着くところがどうしても凡庸に感じてしまって、ちょっとなぁ。
最近観た作品を思い出しても

「スパイダーマン」「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」「ターミネーター3」・・・うぬぬ。
無理にけなすつもりはないが、全てにおいて予定調和って言ったら良いのかなぁ、キリスト教がしっかりと根付いているというのか何と言うか、
"どんな物語でも、あんたら上手くまとめちゃうよね"
ってのがあって、勿論これはハリウッド娯楽映画に限ったこと、そして私が観てる数が少ないことなんだけど、
"たまには何か違う面、見せろよ"
って気がして食傷気味になっていることも確か。
うんざりなアメリカン・ドリーム。
それはアメリカのハリウッドなんだから、しょうがないでしょ。
ああ、しょうがない。
だったら、本作の終わり方はどうするべ?

劇中に梁朝偉&劉コ華が警察署のオフィスで再会して、
少し和むシーンがある。緊迫感が持続し続ける展開の中で一際安堵感を与えてくれるシーンだろう。
しかしこのシーンはほんの1コマ。
もしこの間に用を足して戻ってきたらその後の展開に着いていけなくなるかもしれない。

もしかしたらハリウッドじゃここで劇が終わってしまうんじゃねーの

辛いこと哀しいことがあるのは、アメリカでも香港でも新小岩でも同じである。ただその先に何を見つけるのか、見つけないのか、その思想は国によって人によって違うだろう。本作はそれがアメリカに則しているとは到底思えない。
まぁこの辺の不安は余計なお世話で終わると思うが(ハリウッドもそこまで頭悪くないよね)、頼むから単純な娯楽アクションで終わらないでほしいところだ。そういった意味で注目を続けたい。


日本人は・・・

日本人は日本人を卑下する

そういう性質にある。私も例に漏れない。
だってそんなに変わらないすよ、それこそマトリックスの世界と今の日本。
俺今日本ってさぁ、"アホ製造国"じゃねーかって気がする。

"授業中に携帯電話をいじることは悪いことと自覚している"
50人の高校生に聞きました。これに"自覚している"と答えたのは1人なんだって。
後の49人はなぜ自覚していないのか?その答えは簡単。

"悪いことだと誰かに教えられないと自分では判断できないから"

"マニュアル世代"なんて簡単な問題じゃないと思うべ。
私なりに言うならば、
"マニュアル勝手に自分の都合の良いように解釈世代"
だと思うべ。
コンビニ割り箸の袋に
「注意して開けて下さい ようじが入っています」
と書いてあるけどさぁ、これだってマニュアルに埋もれて生きてきたガキにしてみれば、
「もっと大きく書いてなきゃ、わかんない」
って言って済ますに決まってるよ。

子供たちは、この全てマニュアルで囲まれた世界の中で、
自分の判断で選択していく行動していくということを学べずに気づかずに、
どうやってマニュアルから逃れて都合よく生きればいいのか?
って、その逃避方法ばっかりを生きる術として身に付けてると思う
べ。
マニュアル前提だから、マニュアルが無い事柄には何にも対応できないんだよ。

この先その先と、俺の世代がすっかり爺ちゃんになってる頃には
"自覚している"と答えた1人が後の49人を食い物にする時代になってんじゃないのかな。気づいた奴だけが得をする。自分で考えることを忘れなかった奴が成功する。そういう時代になっていくと思う。
まず他人の前言ありきじゃなきゃ、何の判断も出来ない49人は
その1人に食い物にされてることさえ自覚できないだろうよ。

と、作品レビューから大きく外れてしまったが。
「無間道」の脚本は非常によく練れた良いものである。
そして、この作品の凄いことはこの緻密な物語展開が、
全て香港アクション映画タイムで刻まれている ということだ。
そう。
昔なら良かったよ。
いっぱいスターが出てきて、
コメディやって功夫やって麻薬組織潰してスッキリの100分!
でもこれは違うでしょ。
十分説明されてるし少なくとも二回観れば全てわかるとは思うよ。
お馴染みのハイスピードテンポ+脚本濃い
これに若い日本の方々は着いて来れるのだろうか、受け入れられるのだろうか。
受け入れられてたらもう少しヒットしてないか?
俺は営業・広報の問題じゃないと思うよ。「黄泉がえり」の例もあるしさぁ。


恐るべし曾志偉(エリック・ツァン)

それにしても、
このおっちゃんの凄さは2000年を超えても留まることを知らない。
香港映画の重要な節目節目に必ず顔を出してる。
スポーツ選手がその後、別の分野で大活躍ってのは日本だと板東英二ぐらいしか思いつかないぞ。
もう北野武がなんぼのもんじゃい!ってところだ。間違いなくそれより凄い。

監督として処女作である「クレージー・モンキー・笑拳」、
'80年代の映画の流れを決定付ける「悪漢探偵」、
'90年代にかけてはボスとして「君さえいれば」とか放ってるし、
私の世代では「大福星」のチビの印象が強いが、役者としても数々の賞を受賞。

ジェネックス・コップ」も良い助演だったなぁ・・・
そして今回もただ悪辣なだけにとどまらない深みのある悪役を好演。
おまけに言えば香港TV界でも大活躍! まさに八面六臂!



もう既にPart3まで完成しているどころか販売されているのは凄いことというか今さら言っても無駄なのだが、個人的にはこれのサブストーリーで二匹目、三匹目のどじょう探しに精を出すのではなく同じ製作スタンスで違うオリジナル映画をひねり出して欲しいのにな。


※オフィシャルサイトに「プロデューサーの中にはジャッキー・チェンも名を連ね・・・」とありましたので、下記に記載しています。
■CAST&STAFF
監督 劉偉強(アンドリュー・ラウ)
麥兆輝(アラン・マック)
出演 梁朝偉(トニー・レオン)
劉コ華(アンディ・ラウ)
曾志偉(エリック・ツァン)
黄秋生(アンソニー・ウォン)
鄭秀文(サミー・チェン)
陳慧琳(ケリー・チャン)
杜〔三文〕澤(チャップマン・トウ)
蕭亞軒(エルヴァ・シャオ)
余文樂(ショーン・ユー)
陳冠希(エディソン・チャン)
林家棟(ラム・カートン)
呉廷Y
尹志強
動作指導 林迪安(ディオン・ラム)
脚本 麥兆輝(アラン・マック)
莊文強(フェリックス・チョン)
音楽 陳光榮(チャン・クォンウィン)
製作 劉偉強(アンドリュー・ラウ)
成龍(ジャッキー・チェン)
製作総指揮 施南生(ナンサン・シェー)
荘澄(ジョン・チョン)
制作年度 2002


義膽群英
Just Heroes 
ワイルド・ヒーローズ 暗黒街の狼たち


リスペクトって言葉が流行ったと思ったら、いつの間にかトリビュートに変わってるような気がするなぁ。

というわけで、張徹リスペクト&トリビュートなこの映画は張徹作品往年オールスターが集まってそこに+αブレイク直前の周星馳(チャウ・シンチー)も参加した、香港ノワール活劇である。
通常、このようなオールスターそして企画もん的作品だとお話部分において、
「まぁまぁ祭りだし記念だしええやんか」
って感じで、薄っぺらいものになりがちだが、そもそも張徹自らがメガホンを取りたかったというこの作品はさすがにその張徹の弟子どもである呉宇森(ジョン・ウー)&午馬(ウー・マ)監督に手抜きは許されない。
大作にするには予算足らずという感は強く感じるも、十分に腰の入った張徹直伝の"男の血潮ドラマ"が展開する面白い作品である。
なにしろ功夫映画世代の私にとっては出てくる面々面々、そして取り合わせだけでホントに盛り上がってしまう。

流れ

いきなり冒頭から波頭で展開する銃撃戦!
その主なメンツは

高飛(コー・フェイ)、張午郎(チェン・ウーロン)
vs
シンチー!、午馬、李修賢(ダニー・リー)、
さらに

「嵐を呼ぶドラゴン」 陳觀泰(チェン・カンタイ)!!

その新鮮すぎるシンチーのクールなアクションだけで十分に盛り上がるのだが、そのシンチーと師弟関係でかっちょいいとこ見せてるのが陳觀泰なんだからもうタマラナイ!
これこそまさに新旧スター夢の競演である。そして引き続き陳觀泰&李修賢という「五虎将」コンビ炸裂で高飛&張午郎撃破!
「この世界に勝者は無い。未来永劫にな。」
と粋なセリフ残して去っていく午馬が渋すぎます。

引き続きのオープニングはみんなで京劇鑑賞。
ここでは三国志でお馴染みの"桃園の誓い"が演じられてます。 劉備、張飛、関羽の3兄弟の誓いってことで有名ですね。このオープニングが物語を暗示しているのは言うまでも無く、これがあの作品のリスペクトであることも言うまでもありません。あの作品とはそう、

あの作品
シンチーの隣で鑑賞しているのがゲスト出演の狄龍(ティ・ロン)なのは最早、当たり前かもしれませぬ。

あまたの血生臭い戦いを乗り越えて一応の平穏を見ている午馬、李修賢らの組織。しかし、極道に平穏は続きません。誰かの差し金により組長のソウ先生、側近の劉家榮(リュー・チャーヨン)、谷峰さんが殺されてしまいます。
またこれまた豪華メンバーを。
ボスをこよなく愛するシンチーが駆けつけるもとき既に遅し。

訃報が部下に駆け巡ります。
シンチーには先生を守りきれなかった後悔し切れない悔しい思いが。
でもとりあえず葬式。
以前、この組織でキレモノとして活躍した姜大衛(デビッド・チャン)は今は漁業を営むおっちゃんになっていたので、ひっそりと葬式参加。

後は当然、跡目の問題。
有力候補は姜大衛が足を洗ってるので李修賢と陳觀泰に絞られます。
シンチー 「ボスにはあんたがなってほしい。」
陳觀泰先輩もこよなく愛するシンチーはそう願うのでした。

「後継者は李修賢に決定じゃん」
当たり前のように李修賢に決まったりなんかして。
陳觀泰は内心ふざけるなと。
なぜ俺じゃないのかと。シンチーもがっかり君。
しかしここは数々の作品でボス役も演じてる陳觀泰さん。実に大人な対応をするのでした。

しかし、陳觀泰は情報屋・馮克安(フォン・ハックオン)から"組長殺しは李修賢"みたいなテープを入手。これを公開。
愛する先生と陳觀泰を罠にはめたのが李修賢だと思って激怒するシンチー。手始めに李修賢の妻を軽くひき逃げ。
それにしても馮克安の役柄がいつもの如く、いつものってのが意図的で面白い。

妻をひき逃げされた李修賢はこれをシンチーではなく、
以前から悪い誘いを持ちかけていた別組織のボス、成奎安(シン・フイオン)が仕組んだことと思い、石切り場に誘い出し殺してしまいます。
さらにタレコミを受けていた刑事も駆けつけたが、勢い余って李修賢が刑事も撃ってしまいます。
タイミング悪いよ刑事さん。
遠くから李修賢を狙撃しようと狙っていたシンチーもびっくり。さらにそこへ陳觀泰が現れ李修賢を助け、刑事も殺す。

「青二才みたいなことをして!お前はボスだぞ!」
と午馬に怒られ、李修賢しょんぼり
「俺が責任を取る」
とここで代わりに自首しようとする陳觀泰の姿を見て、事の発端(ひき逃げ)の責任を感じたシンチーが代わりに自主。

「李修賢はボスにはイマイチだなぁ・・・」
と組織の風評が成り立ってくるが、
「でも、ま、今後ともよろしく」
ってことで、それでも頭の座は李修賢に変わらず。

ここで全てを悟っていた陳觀泰の妻は自殺。
しかもこの妻は姜大衛の元恋人。
姜大衛は元恋人が死んでしまったことで、極道に戻るかどうか悩みます。

世間の風は"李修賢が真犯人"というように、表向きは見えていましたが実はそうではありませんでした。
気づいてないのはシンチーだけ。ひたむきに仁義を貫き通すシンチーに
「お前は踊らされてるんだ。気づけ!」
と顧問弁護士の黄霑(ジェームス・ウォン)も警告しますが、
「そんなはずはない」
とシンチーは聞き入れようともしません。

遂に李修賢の誕生日パーティで大事件勃発。
李修賢は被弾、致命傷を負います。
銃撃したのはなんと姜大衛でした。
誤解から来る大悲劇。李修賢は事切れます。

これを見て
内心ふざけるなと。
なぜ俺じゃないのかと。
復讐と野望の炎を燃え滾らせていた陳觀泰が遂に本性を剥き出します。
まずは自分の都合の良いように操って最早用無しとなったシンチーを獄中にて殺害。
「そんなまさか・・・・」
と息絶えるシンチーが哀しすぎます。

続いて本部に押し入り、
「無理やりでも俺が今日からボスだ!ちなみに先生は俺が殺った!!」
と高笑い!!
姜大衛、陳觀泰、李修賢のトリオでならした桃園の誓いはどこへやら、関羽像が空しく照り光を放ちます。

しかしそこに、全てを悟っていた姜大衛が復讐の機会を伺っていたのでした。ある大どんでん返しを手土産に・・・

終劇




撮影には爾冬陞(イー・トンシン)も参加。
観ればお分かりの通り、二人の弟子監督が見事に
"張徹イズム"
を浸透させた
、オールスターものにしては珍しい骨太ドラマ展開の活劇である。
紹介した意外にもチラッと登場するゲストとして、岳華、袁和平(ユアン・ウーピン)、羅烈(ロー・リエ)、秦沛(ポール・チュン)、董驃(トン・ピョウ)、江島、田青などなど実に豪華、張徹作品出身の俳優がいかに多かったかを物語っています(違うような人もいますが)。

まず目立つのがシンチーのかっちょいいでも一本木すぎる殺し屋っぷりで、どこまでも仁義を貫き通した挙句に待ち受けているのは天国ではなく地獄なのが、実に張徹イズムらしい展開で、悲劇の若者の演じっぷりはなかなかです。やっぱ李修賢が連れてきたのかな。

後は陳觀泰のゴツイ顔で貫禄の演技ってとこでしょか。
彼の実は"裏で何考えてるかわからんなこいつは"
みたいな、含みのある演技というか芸風は実に素敵です。まぁ李修賢や姜大衛はいつもどおりって気がしましたが。

それにしても張徹作品を何本かご覧になった方には是非チェックしてみて欲しい作品です。シンチーファンにもたまにはシンチーのシリアス演技をってことで良いじゃないかな。

■CAST&STAFF
監督 呉宇森(ジョン・ウー)
午馬(ウー・マ)
出演 姜大衛(デビッド・チャン)
李修賢(ダニー・リー)
陳觀泰(チェン・カンタイ)
午馬(ウー・マ)
黄霑(ジェームス・ウォン)
周星馳(チャウ・シンチー)
趙雪
恬〔女丑〕
倪震
成奎安(シン・フイオン)
岳華
谷峰
狄龍(ティ・ロン)
唐佳
徐婉薇
袁和平(ユアン・ウーピン)
劉家榮(リュー・チャーヨン)
馮克安(フォン・ハックオン)
羅烈(ロー・リエ)
劉玉基
高飛(コー・フェイ)
呉少雄
張午郎(チェン・ウーロン)
秦沛(ポール・チュン)
夏占士
黄柏文
鄭康業
董驃(トン・ピョウ)
江島
伊凡威
楊澤霖
田青
鄭雷
元彬
易天雄
武術指導 劉家榮(リュー・チャーヨン)
元彬
脚本 倪匡(イ・クオン)
侯志強(トミー・ホー)
音楽 戴樂民(ロメオ・ディアス)
黄霑(ジェームス・ウォン)
策劃 姜大衛(デビッド・チャン)
李修賢(ダニー・リー)
製作 徐克(ツイ・ハーク)
製作総指揮 張徹(チャン・ツェー)
制作年度 1989


眞心英雄
A Hero Never Die
ヒーロー・ネバー・ダイ



こういうのってあれだよな、何か作品がメチャクチャにハードボイルドに格好良い映画なので、
「なんかこっちもかっちょいい文章書くべきか」
なんて気分にはなったりするのだが、うーん今のところあんまり大したことがあまり思い浮かばなくて、困ったちゃんだったりする。
ただし、この頃ずっと興味の湧いている「無間道」での陰と陽についてだが、色んな作品を観て理解を深めるどころかさらによくわかんなくなってきたりしてこれがまたお得意の色々下らないこと書き連ねて文章量増やすだけの雰囲気になってきているが、まぁいいや。

"杜h峰(ジョニー・トゥ)監督は良い奴だろう"
エモーショナル
と彼を形容するにあたってよく使われる言葉だが、全くその通りで彼の作品に出てくるキャラクター達は、心の蔵からこみ上げてくるような、心の葛藤が必ず描かれ、時には悲劇的に時には喜劇的にと、物語を盛り上げる。
"この人があの人に殺されてその人が復讐"
なんてドラマを描くにあたって、アクション映画であればまず楽しいアクション設計を施したい気分ではあるが、彼はまずそのときのキャラクターの感情をこと細かく描く。それだけにそのキャラクターに感情移入できた時の観客の気持ち良さといったらタマラナイ。
"この人があの人に殺されてその人が復讐"
に対して、面白いアクションだけ演出してキャラクターの心が映し出されてない画作りに終始している映画が何年経とうと何十年経とうと横行している中で(良い悪いでなく)、そのときにこみ上げてくる心情をキチッと描き出す。逆に言えばアクションシーンはアクションのためのアクションではなく、キャラクターの感情表現をより引き立たせるためのアクションとしてちゃんと成り立っている。好きなジャッキーに対して厳しいこと言えば、ジャッキーアクションのほとんどはジャッキーアクションのためのジャッキーアクションだ。

新ポリス・ストーリー」はそうじゃないアクションでも頑張っているが。

アクションのためのアクションにならず
キャラクター心情をきっちりと描き出し
それでいて難しくなくちゃんと娯楽映画である

この辺がしっかり出来る監督として、俺じゃなくても誰でも評価するような素晴らしい監督さんなんだな、とこの頃わかった。彼が良い奴だろう、と言ったのは、それだけキャラクターの演出に秀でているのだから、
"相手の気持ちを考えられるお人"
ではないかと思ったので、そんな感じで。

簡単に流れ

二つの対立する組織にはそれぞれ凄腕の殺し屋がいた。
黎明(レオン・ライ)と劉青雲(ラウ・チンワン)。
劉青雲がテンガロンハットの衣装はカレーうどんにキムチをたくさんのせるような濃すぎる印象があるが、それがまたある意味格好良い・・・ような。

「占いなど無意味。銃こそが全て」
と語り、じじいの占い師を突然撃ったりするのは
黎明、劉青雲のどちらともで、2人はお互いをライバルとして認め合い、そしてお互いに
「兵士が敵と味方で振り分けられただけだ」
と、これは本作と関係ない

「メタルギア・ソリッド」でのセリフだが、敵対関係にあることをクールに認め合い、
「いつでも殺し合い、OKだぜ」
みたいなことを既に承知し合っていた。

というわけで、遂に二つの組織が銃撃戦に。
銃撃戦の末に黎明のボスである任世官(ニン・シークァン)と黎明、劉青雲は残ったが現代の任世官に

クレージー・モンキー・笑拳」で反清を皆殺しにしていった脅威の"鉄の爪"の力はなく(関係ないやん)、ただただ自分は生き残りたいという義侠心の無い未練だけがあった。そこで、
手負いの劉青雲、味方である黎明までを自分で銃撃し、相手のボスに取り入ることで何とか生き長らえようとする。

突然、裏切られた黎明は重傷を負って行方不明に(あんなので生きてるはずないと思うけど)、劉青雲は足をダメにされて下半身付随になってしまう。

任世官の目論見は見事成功する。
対立組織は和解の方向へ。
「仲良くやりましょうや」
ってことで、こっちだけで言えば凄腕の殺し屋という側近は失ったものの、ハッピーエンドな雰囲気に。完璧にハッピーエンドで終わらすには当然、お互いその殺し屋たちが邪魔になった。

刺客を2人の殺し屋に対して向けるものの、
これを殺し屋の彼女たちが命懸けで守る。
ここからの彼女たちのガッツが凄かった。
黎明の彼女は全身火傷を負ってまでも黎明を逃がして、看病を続ける。
劉青雲の彼女は両足を切断せざるを得なくなった劉青雲の全てを介抱し、お金のために身を売り、復讐の機会を待った。
2人の女性の人生はいったいなんだったのだろうか。
結局は2人とも殺され、哀しすぎる結末を迎える。

ヒーロー・ネバー・ダイ

何として男を英雄と呼ぶのか
とにかく、これで黙ったまま朽ち果てていく 黎明、劉青雲ではなかった。
復讐の鬼と化した2人の男は全てを絶望に追いやった組織に対して、立ち向かっていく。

終劇




個人的に哀しい映画がダメ。
ただ、これは凄い。疲れたけど。
何が凄いってこうなんちゅうかねぇ
・監督のワールドが完成されている
・それでいてエンターテイメントとしても完成している
この両立
よ。
カメラアングルから演出から何からそれは一歩間違えば

ドニー・イェン COOL」と化してしまいそうな雰囲気満載よ。
「監督1人が世界作って楽しんでるんじゃないの?」
ってほどに、スクリーンの中では杜h峰(ジョニー・トゥ)ワールドが展開にしているにも関わらず、この映画を観て良い印象を持った人の感想は
「しびれるー!!」
って感じだろう。自己満足に終わってないのだ。それでいて観客に擦り寄っていないワールドなのだ。そりゃすげー
北野武も参考にしろと思いたくなる一品である。

このワールドが自分の感性とピッタリと合えばもの凄く好きな作品になるのではないだろうか。

■CAST&STAFF
監督 杜h峰(ジョニー・トゥ)
出演 黎明(レオン・ライ)
劉青雲(ラウ・チンワン)
梁藝齢(フィオン・リョン)
蒙嘉彗(ヨーヨー・モン)
方平
任世官(ニン・シークァン)
武術指導 元彬(ユン・ブン)
脚本 司徒錦源(セット・カムイェン)
游乃海(ヤウ・ナイホイ)
音楽 黄英華(レイモンド・ウォン)
製作 杜h峰(ジョニー・トゥ)
韋家輝(ワイ・カーファイ)
製作総指揮 林小明(ダネール・ラム)
制作年度 1998


暗戰
Running Out of Time
暗戦 デッドエンド



個人的に杜h峰(ジョニー・トゥ)作品ではこれが一番好きになりました。なんつったって、
劉青雲(ラウ・チンワン)かっくいーっ!!
面白かったーっ!!(めちゃ普通の感想ですけど)
上記「ヒーロー・ネバー・ダイ」のテンガロンハットの時はどうしようかと思ったけど(別に嫌いじゃないけど)、これはいいねぇ〜
二枚目じゃねぇのに

ファイヤーライン」でも実に良かったもんな。
今年の上半期レビューは年始めの「聾唖劍」以外は俺大好き映画がなかなか出ないなぁと思っていましたがやっと出ました。単なるTV鑑賞だったりしますが。

簡単に流れ

劉コ華(アンディ・ラウ)は末期のガンにより、あと四週間ほどの命と診断される。
一方で今日も強盗立て篭もり事件をコロンボばりの頭脳とクソ度胸で解決した破天荒刑事の劉青雲(ラウ・チンワン)。
劉コ華はこの型破りな刑事との完全犯罪ゲームを楽しむべく強盗計画を実行する。
「要求は何も無い。72時間、俺とゲームを楽しもうじゃないか」
そう劉コ華に言われた劉青雲はいつしかこの男の犯罪を解決する"ゲーム"にのめり込んでいく・・・・・・



ほんま簡単ですいません。
ただ脚本は劇中でたっぷり楽しんでくださいませ。

先に残念なとこ言うと久しぶりに李子雄(レイ・チーホン)がキャスティングされていたので、どんな役かな?と楽しみにしておりましたが、
またボスかよ普通かよ
これが残念。またボスってのも残念だが、彼だけがキャラが大して立ってない。
彼の部下である物忘れの激しい男の方がよっぽどキャラが立ってる。でも不満はそんなもんかな。

後は男と男の火花バチバチの闘争ドラマが凄まじく面白い。
劉青雲の無能な上司や仕事に情熱を傾けない部下の体勢、事件に大きく絡んでくる金融会社の偉いさんから、事件に静かに巻き込まれるヒロイン(出番は少ないが)など引き立てる脇役たちも見事。
香港でもこういう本当に面白い刑事ドラマが作れる人が出てきたんだなぁ・・・と感慨ひとしおです。
それにしても参ったな劉青雲には。
もっぺん「つきせぬ想い」とか観てみようかしら。

もし自分が
「もうちょいで死にます」
と言われたらどうするのだろう。
大抵の人は
"好きな人と一緒にいる"
"好きなこといっぱいやる"
など抽象的な答えは出せるが、具体的にこれこれこうするというのは簡単に思い浮かばないのではないか。
それは勿論、死を近いものと理解していない考えていないからで
「明日やればいいじゃん」
と生きているからに他ならない。例え、
「明日、死ぬかもしれない」
とわかって生きていても頭で理解することと体で死を身近に感じることは違うのだから。
というわけで、私は
"明日やればいいじゃん出来事を一つぐらいは今日やろう"
って感じで生きてます。部屋の掃除とかこのHPの更新とか全然大したことじゃないんだけど。

でも、こんな作品を観ると
"余命宣告された時にどうするか計画"
なんてのを立てておこうかしらと考える今日この頃です。

■CAST&STAFF
監督・製作 杜h峰(ジョニー・トゥ)
出演 劉コ華(アンディ・ラウ)
劉青雲(ラウ・チンワン)
蒙嘉慧(ヨーヨー・モン)
李子雄(レイ・チーホン)
許紹雄(ホイ・シューハ)
林雪(ラム・シウ)
黄卓玲(ルビー・ウォン)
林偉健
ロバート・スパークス
洪偉良
羅靖庭
邸萬成
易天雄
李壽棋
蘇恩磁
黄華和
脚本 游乃海(ヤウ・ナイホイ)
ローレンス・クロチャード
ジュリアン・カーボン
音楽 黄英華(レイモンド・ウォン)
策劃 陶雲
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
制作年度 1999


賭侠大戰拉斯継加斯
The Conmen In Vegas
ゴッド・ギャンブラー ラスベガス大作戦



だんだん関西圏にいる人は次に何を更新するかわかっちゃうんじゃないかという気もするが、やっぱりTV放映鑑賞ですまぬ。
ローカルは香港映画放映が多いみたいで、随分とタダで観れそうな楽しい気配である今日この頃。
見るからに正直「はずれだろうな」と思う映画を次々と放映してくれるあたりがレンタル料のわずかなお金を浮かせてくれて嬉しい。


劉コ華(アンディ・ラウ)
陳百祥(ナット・チャン)
張家輝(ニック・チョウ)
の3人はイカサマ師。
今日もマフィアのボス、南燕(ナム・イン)を騙して大儲け。

ところでタイトルに「賭侠」とあるからには、「ゴッド・ギャンブラーU」で"賭侠"と名乗っていた劉コ華はそのまま賭侠役なのではあろうが、話は特に繋がっていないのでようわからず。年取ってからのお話と考えれば、自分の舎弟の張家輝に"ドラゴン"と名づけているところなどを見て納得できなくも無い。

儲けた金でバカンス中のお三人。
巨乳ギャルや可愛い可愛い林照蕾を見つけて大はしゃぎ。
相変わらず1999年製作だというのに'80年代アクションコメディの空気を堂々と流す辺りがさすが王晶(バリー・ウォン)監督である。
というところで、先の騙された南燕の手下が襲ってきて劉コ華と陳百祥は何とか逃げるが張家輝は捕まる。
白髪になってしまった賭侠を恐らく演じながらも、相変わらず海で溺れて魚の網に引き揚げられるギャグなど、バンバンかましている劉コ華が流石というかお茶目というか、可哀想というか製作総指揮・向華強(チャールズ・ヒョン)というか・・・

南燕には捕まらなかったが警察に捕まる劉コ華ら。
警察は
・アメリカに金持って逃亡した萬梓良(アレックス・マン)を捕まえて欲しいとのこと
劉コ華は捕まってしまった張家輝(ニック・チョウ)の身代金作りのために仕方なく協力することに。

あっさりと in ラスベガス
予定調和絶対予定調和絶対予定調和
500%ぐらい予想してたけど劉コ華らは先の巨乳ギャルと林照蕾に偶然顔を合わす。
しばらくは任務を忘れてラスベガスを楽しむ方たち。

萬梓良(アレックス・マン)登場。
久しぶりやなぁ、太ったなぁ。
早速対決する劉コ華ら・・・いきなり勝っちゃってるんですけど・・・
ここで萬梓良についていた女が逃げ出すがこれが罠で女にホイホイ着いて行ってしまった陳百祥はミッキーマウスの形したウンコを喰わされそうになります。
というか、天下のウォルト・ディズニーがこんなの観たらどうなることやら・・・

知り合いの助けを借りよう(なぜ?)。
ってことで、劉コ華の知り合いの映画監督、ジョン・ウーならぬハンサム・ウーのもとへ赴く一行。

ハンサム・ウーを演じているのは本作監督の王晶(バリー・ウォン)!
「最新作はフェイス・オフならぬファック・オフ!
「ウチの会社名はちんぽ島!
厚顔無恥な自作自演もここまで来ると気持ち良い・・・わけないだろっ!!
撮影中の男優のチンチンが勃起しない!
そこにたまたま林照蕾が登場!
ピコリンコ!!
白人さんのチンチンはデッカイために勃起チンチンにぶつかる王晶監督!!
鼻血流しながら、
「こ、この娘は最高だ!」
もうやりたい放題だ。
あんたやりたい放題だ。

本当に確かに可愛い林照蕾さんがこのような感じで演出させられるなんて可哀想だ。

映画に出なくて済んだものの、林照蕾は萬梓良を誘惑して騙すことに。
「 ゴーゴーゴー!セックス最高!」
と吼える年季の入った萬梓良が凄いというか
"もうヤケクソで演技してませんか?"
という気になる。どうやったらここまでハイに持ってくんだ。

「じゃあ私は何の出番も無いじゃない」
これに怒ったのは林照蕾の相方だった巨乳ギャル。
怒った末に萬梓良の方に寝返ってしまいます。
ところが!
これこそが本当の罠で遂に萬梓良を捕まえる一行。

空港は萬梓良の手下が取り囲んでいてダメだったのでバスでロスへ。
途中で騒ぎ起こして荒野を歩き死にかけるが、またしても登場する王晶が映画撮影していたので助けてもらう。

と思ったら萬梓良の手下がヘリコプターで襲ってきた!
逆に劉コ華らが捕まってしまい、絶体絶命!!
このまま彼らは敗れてしまうのか!?ところが・・・!?

終劇




個人的な収穫は林照蕾さん。
可愛いし、王晶監督であることが嬉しくも影響してバンバン水着など露出度の高さで楽しませてくれる。他出演作品もチェックしてみようっと。

ラストには劉コ華が'98年ワールドカップ、イングランドvsアルゼンチンで見せたデビッド・ベッカムの退場劇をベッカムに扮して演じてくれるのだが、これが結構似てて面白い。
確かに彼、ベッカムに似てないことはないね。

だが無茶苦茶だ。
まずもって第一に
"どこが賭侠なの?ゴッド・ギャンブラーなの?"
ってことで、いつものパターンである"最後はギャンブルで決着"は全く無く、劉コ華が最後に格好良いとこ見せるのかと思ったらそうでもない。大したことしない。
萬梓良を騙す大掛かりな罠こそあれど、それはあくまで罠であってギャンブルとは違うだろう。というところでタイトルにも大きく疑問を感じる。
また陳百祥(ナット・チャン)、張家輝(ニック・チョウ)の両氏は個人的にあまり好みではないのよ。

ああ無茶苦茶だ。
劇中に登場する監督本人は書いたとおりに無茶苦茶で、作品全体も本来彼の王道である"エロ、アクション、コメディ、下品、流行りモノのごっちゃ煮"の王晶ワールドが見事に完成している。

1999年という時代で一体何処で受け入れられるのだろうという作風で堂々とバカ映画を撮っている

この映画は大して面白くは無い。
それはここまで読んでくれれば一目瞭然だろう。
ただし、正統派の賭神シリーズとして挑戦して失敗している「ゴッド・ギャンブラー 東京極道賭博」よりもある種の潔さを感じてしまうのは確か(これは監督ではなく製作ですけど)。
何がどう変わろうと俺が撮りたいと思ったから撮るんだ!
この映画は大して面白くは無い。
ただし、このようなことを今も続けられる監督というのも希有ではなかろうか。

ただ、「暗戦 デッドエンド」と同じ製作年度ってのがやっぱ凄いやね。この劉コ華(アンディ・ラウ)のキャラクターの差が。

■CAST&STAFF
監督・脚本・製作 王晶(バリー・ウォン)
出演 劉コ華(アンディ・ラウ)
陳百祥(ナット・チャン)
張家輝(ニック・チョウ)
萬梓良(アレックス・マン)
林照蕾
郁芳
李菲
南燕(ナム・イン)
音楽 伍樂城
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
制作年度 1999


妖獸都市
The Wicked City
妖獣都市〜香港魔界篇〜



何回か申し上げているのだが、
"怖い映画ダメなんです"
なぜわざわざ楽しい映画というもので怖い思いしなくちゃならないの?というかいわゆるスプラッターな表現が嫌いなんです。
じゃあなんでこの「妖獣都市」というもうパッケージからしていかにもな映画なんかに手を出すのよってなると、それは
"150円だったから"
ってことが直接原因なんだけど、もう1つ動機を言うと葉山レイコさんが出ていて、
"妖美なエロスと過激なバイオレンス"
というコピーが付いていたからなんだな。
早い話がスケベ心だこのやろ

葉山レイコさんと言えばごっつ可愛いアイドルとしてデビューしたけどあんまり売れなかったのか、その後なんとAV女優に転向するといったことがあった方で、経緯はどうでもええとしても、個人的に非常にタイプのお姉さんだった方でいらっしゃいます。
ほんまに当時との美しさだけで言えば、他の売れっ子アイドルよりもよっぽど可愛いというか勝ってると思うのに、結局あれですね、
"売れるのは結局綺麗よりもキャラクターと運"
ただ綺麗なだけの人より色々とマルチに才能がある人、個性の強い人、そしてそれを自覚してうまく活用出来る人が生き残っていくんですね。観て御覧なさいよTV業界。
"そんなに可愛いかなぁ?"
って女優さんやらアイドルがいっぱいいますよ。
でも、売れているってことはやっぱキャラクターなんですね。裏の話は置いておいての話ですが。
久しぶりに余談が多かったな。

簡単に流れ

いきなりその葉山レイコとエッチなことして楽しもうという黎明(レオン・ライ)登場。
と、思ったら葉山レイコが蜘蛛女に変身して襲い掛かった!!
これを黎明と駆けつけた張學友(ジャッキー・チュン)で退治!さっそく首をはねられる葉山レイコさんっ!!
出番おしまい。
あああー!!
葉山レイコさんが八本足の妖怪になってもうた〜!!
しかも、無残に首飛ばされて終わった〜!!

と、一気に観るテンションが下がったりして

いまや香港は葉山レイコさんのような妖獣に支配されんとしていた。
これに対抗し結成されているのが「闇ガード隊」。
黎明、張學友はこのメンバーで隊長はあろうことか袁和平(ユアン・ウー・ピン)である。
隊員の張學友には悩みがあった。
彼は人間と妖獣との間に生まれた生物だったのだ。
果たして彼は人間か妖獣か。

闇ガードは"ハピネス"という麻薬を使って、人をメチャクチャにしている妖獣を追っていた。浮かび上がった人物は、じゃなくて妖獣は仲代達矢、李嘉欣(ミッシェル・リー)、そして何だかやっぱりの張耀揚(ロイ・チョン)。

しかし、麻薬を使っていたのは仲代たちではなく液獣と呼ばれる超恐ろしい女の妖怪だった。妖獣vs妖獣でゲロゲロドロドロな戦いが続く。
その後、妖獣・仲代さんは傷を癒すために発電所へ。
電気が治療に効くんだって。
裸で電線に捕まってビリビリビリ〜の仲代さん。
日本を代表する名俳優がこんなことでいいのだろうか。
いいのかな。わからんな。

その後、
半獣の張學友と戦うか戦わないかで悩み続ける李嘉欣、
彼らの間に挟まれて戦う人間の黎明、
妖獣たちを一掃させたい袁和平、
仲代を裏切り世界支配を企む張耀揚と、
完全に善悪がごっちゃになっての戦争は続く。
彼らの戦いの先には意外なる結末が待っているのであった・・・!!

終劇



原作は菊地秀行。
SFノベルが好きな人ならタマラン内容なのかもしれないが、すいません、私はSFノベルは読みません。現実的なのが好きです。

あのね、言ってることとかキャラクター群像が「もののけ姫」と似ているところが面白いな。要は
黎明(レオン・ライ)→アシタカ
張學友(ジャッキー・チュン)→サン
李嘉欣(ミッシェル・リー)→これもサン
仲代達矢→美輪明宏さんがやった狼
袁和平(ユアン・ウー・ピン)→タタラバの女ボス
張耀揚(ロイ・チョン)→森繁さんのおっこと主
葉山レイコ→最初にアシタカに呪いをかけるサイ
こんな風にやると「もののけ姫」観た人にしてみれば、なるほどって感じになると思う。
善悪は生物の種類によって区別するものではないということだ。
で、それが面白かったかと言われるとうーん・・・まぁ最初から好みじゃないって言ってんだからまぁまぁやな。

何しろびっくりさせるのは仲代達矢さんである。

言わずもがな黒澤作品「影武者」「乱」で超有名なあの仲代達矢さんである。他にも有名な出演作品は幾らでもだ。
仲代さんがどういった経緯でこの作品に臨むに至ったのか?その辺がひじょーーーに疑問だ。
だって仲代さんが妖怪の役で、ゲロゲロゲローって吐いたり、ちぎれた腕を生やしたり、裸になって電気ビリビリビリーって・・・どうよ?
これでまた面白いのが日本を代表する俳優である仲代さんと今やハリウッド大活躍でときめきの袁和平(ユアン・ウー・ピン)が対決したりなんかする映画なのだ。どういう映画だそりゃ。

それにしても徐克(ツイ・ハーク)さんは、面白くなりそうな素材を探してくるのが上手だね。

■CAST&STAFF
監督 麥大傑(マック・タイキット)
出演 黎明(レオン・ライ)
張學友(ジャッキー・チュン)
李嘉欣(ミッシェル・リー)
仲代達矢
袁和平(ユアン・ウー・ピン)
張耀揚(ロイ・チョン)
葉山レイコ
李若〔丹三〕
碧莎莉
音楽 荻野清子
撮影 劉偉強(アンドリュー・ラウ)
脚本 徐克(ツイ・ハーク)
(ロイ・ツェト)
原作 菊地秀行
策劃 李惠民(レイモンド・リー)
麥子善
製作 徐克(ツイ・ハーク)
制作年度 1992


養鬼
Ghost Nursing
養鬼(悪魔の胎児)



-プロローグ-
中国には太古より悪霊と神にまつわる神秘主義が伝わる。それは、現世は悪霊と神、即ち陰と陽によって構成される、とする思想である。この思想を代表する芽山派には、悪霊と神の力を借り、人を殺すことのできる呪術が伝承されている。科学時代といわれる現代では、人々は神秘を信じようとしない。しかしこの映画の制作者は調査を重ね、東南アジアに「養鬼」と呼ばれる非常に危険な呪術が伝わることを発見した。この物語は単なるフィクションではない。「養鬼」にまつわり、現実に発生した事件の一例なのである。--------

一例なのですか。
一例ってニ例も三例もこんなもんがあったらたまったもんじゃありませんが。

しつこいようですがホラー映画は苦手です。
んで今回は何で観たかというとあれですね、

雪梨(シドニー)さんの数少ない主演作だったからです。
まぁ香港ホラーならそんなに怖いこともないだろうと思ってみた作品、果たしてどんな感じだったか。

流れ

冒頭から荷物まとめてどっかに逃避する雪梨さん。
タイの友人を訪ねて匿ってもらう。
実は自分の借金を肩代わりするといった男が殺されたので逃げてきたそうだ。いきなり汚れ女な雪梨さん。

「ドラゴンロード」からかけ離れたイメージが早くも。

友人のクラブでホステスとして働くものの、
やっぱりその美貌。
さっそく地元のボスに目を付けられて家まで連れられ、
何の抵抗も見せぬまま強姦される。
翌朝、
「最悪だったわ」
とケロッとした顔してぼやく雪梨さん。色眼鏡で見られて犯されてしまうことには慣れっこな模様。
ほんとに「ドラゴンロード」とはえらい違いだ。

友人と気晴らしにタイ観光。

その後、地元のボスと雪梨を取り合っていた宝石店のボンボンがそのボスに殺されて雪梨さん、また逃亡。

「私の周りでは常に死人が・・・なぜ?」
ということで、祈祷師に診てもらったがこれが地獄の始まりだった。

祈祷師(というか陳會毅(チェン・フォンイー))は
「あんた、前世で悪漢の一味だったアルヨ。
 なので現世で償わなきゃならないアルヨ。
 これを防ぐために幽霊を養うしかないアルネ。
 略して養鬼アル。がんばるアル。」

なんでやねん
なんでそこまでせなあかんねん
しかも幽霊養うとかゆうてるし

雪梨さん、養いはじめました。
決まった時間に決まった服でお祈りなどやらなきゃいけないことも多く何だかシーマンみたいですな。

それからというもの、
雪梨さんが
「こいつ、うぜえ」
と思った男は次々に謎の変死を遂げていきます。
無論、あの地元のボスも。

んでもって、
雪梨さんがちょろっとすれ違って一目惚れしているのは徐少強(ツイ・シャオチャン)さんなのでした。ヒゲ取ると優しそうで格好良いからね。
「彼に会いたいわ・・・」
そう思うだけで、徐少強は強盗に会い、山中に連れて行かれ、強盗が幽霊にビビって逃げたところを脱出し、山を転がり落ちて、雪梨が乗っていた車に辿り着くのでした
強制運命の出会い!

テニス!
雪梨さんテニスへたくそ〜
そんなことはどうでもいい。
さぁ全国8000万人の雪梨ファンの皆様、お待たせいたしました
雪梨さんテニスルックでの登場です。
最高ですもう最高ですここだけのためにこの作品はあります。期待がバッチリです。
さぁ正直に言えテニス部入った男子たちよ!
テニス部に入ったのは下心だろ!そうだろ!

まぁこのシーンを堪能したら後は怖いばかりなので、ここで観るの止めにしてもいい・・・
でもこれはレビューなので続けるか。

邪魔者は全部消えて徐少強とラブラブハッピーな毎日。
しかし、ハッピーだったので養鬼を養うこと自体を忘れてしまいます。ばかだなぁ・・・

養ってくれなくなった鬼は遂に雪梨に刃を!
徐少強の周りにも次々と奇妙なことが!
会社の自分の部下が全部子供に!子供オフィス!
「むちゃくちゃだ!こいつはなにかある!」
不審に思った徐少強は友人の祈祷師である黄錦〔炎木〕(メルヴィン・ウォン)と一緒に雪梨の家に。

家に置いてあった養鬼人形が大暴れ!
黄錦〔炎木〕の術はキリスト教だったため全く役立たず!
さらに養鬼は徐少強に憑りついてしまい、徐少強が養鬼に!
黄錦〔炎木〕を惨たらしく殺し、さらに雪梨の友人もこれまた残酷に殺害。

逃げた雪梨はまたも祈祷師(今度は銭月笙(チェン・ユーサン))に今度は養鬼討伐を頼みます。

さぁ果たして祈祷師が勝つのか!
憑依されてしまった徐少強の運命は!?

終劇




唐偉成作品はロクなものを観たことがなかったため、全然期待していなかったが意外とテンポも良く、見れないほどではなかった。

制作は金城電影公司。
製作総指揮が後半養鬼ゾンビになってた徐少強本人なので、この辺の連中で設立した映画会社だったのだろうか。プロデューサーに陳會毅、監督に唐偉成、共演に黄錦〔炎木〕、銭月笙とくれば間違いなく激しい功夫映画なんか撮りそうなものをこんなホラー映画なんか撮ってるところが興味深い。興味深いが私的には実にもったいない。

んで肝心のホラー部分、怖かったかどうかについてだけどまぁ今ではそんなに怖くないかな。グロテスクだけど。当時としては結構頑張った方ではないかしら。オープニングが結局一番秀逸なシーンで、養鬼の正体が一つ一つ象られていく映像が怖い。

肝心の雪梨(シドニー)さんはバッチシ。
汚れ役でありながら、彼女自身の元から持つ清楚さ可憐さは全く失われておらずそのまま輝いています。その上で濡れ場やらきわどい服やら着ますので雪梨(シドニー)ファンは元々彼女の映画出演作が少ないのも含めてこりゃ必見でしょう。

■CAST&STAFF
監督 唐偉成
出演 徐少強(ツイ・シャオチャン)
雪梨(シドニー)
黄錦〔炎木〕(メルヴィン・ウォン)
銭月笙(チェン・ユーサン)
陳會毅(チェン・フォンイー)
唐天希
韋烈
ケ康業
劉志豪
劉雅麗
音楽 李添
黄志雄
脚本 金城編劇組
製作 陳會毅(チェン・フォンイー)
製作総指揮 徐少強(ツイ・シャオチャン)
制作年度 1980
 

 

ワイルド・ヒーローズ 暗黒街の狼たち
ヒーロー・ネバー・ダイ
暗戦 デッドエンド
ゴッド・ギャンブラー ラスベガス大作戦
妖獣都市〜香港魔界篇〜
養鬼(悪魔の胎児)
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