■CAST&STAFF |
監督 |
桂治洪 |
出演 |
陳觀泰(チェン・カンタイ) |
汪禹(ワン・ユー) |
葉靈芝 |
〔人冬〕林 |
宗燦枝 |
馮敬文 |
韋弘 |
沈勞 |
劉陸華 |
陳美華 |
林偉圖 |
王克 |
呂紅 |
黄志強 |
強漢 |
邵音音 |
陳立品 |
〔赤〕履仁 |
高雄(エディ・コー) |
李海生(リー・ハイサン) |
井E |
王清河 |
陳浩祥 |
呂小龍(ブルース・リ) |
楊志卿 |
武術指導 |
唐佳(タン・チァ) |
脚本 |
司徒安 |
音楽 |
陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U |
製作 |
邵仁牧(ランミー・ショウ) |
制作年度 |
1975 |
無間道3/終極無間
Infernal Affairs 3
インファナル・アフェアV/終極無間
■
あのーまず疑問なのが、これって1作目がヒットしたから続編に至っているのか、最初から3部作予定だったのか。どうなんでしょ。
最初から予定だったらいささかすまないが、どーもヒットしたから次々に作ったというような印象を受けるのが正直なところ。続編において過去に戻ってるところが如何にも正直怪しい。最初からだと通常時間軸は直行して作るものではないだろうか。逆行はしないような気がするのだが。
というところで最終作の本作はどんなもんだったでしょうか。
■流れ
潜入捜査官だった梁朝偉(トニー・レオン)が殉死し、警察に潜入していた曾志偉(エリック・ツァン)組織のマフィアである劉コ華(アンディ・ラウ)は生き残って正体はバレないまま警察に留まる。
アンディは潜入マフィアと立場を捨てて、真っ当な警察官として生きていくために残りの潜入マフィアを次々と検挙し血祭りに挙げていく。その功績が称えられ内調に復帰。残る潜入マフィアはあと1人だ。
その折、アンディの前に保安課の黎明(レオン・ライ)という男が現れる。潜入マフィアを平然と警察内部で殺した彼に対してアンディは
「こいつこそが最後の潜入マフィアなのでは?」
と捜査開始。
新妻に正体を知られて別れを告げられ、トニーの亡霊に苛まれる日々を送るアンディは何とかして全てのマフィアを殺して過去を塗り潰し、善人になりたいと血眼になって捜査を続けるのであるが、やはりは因果応報か、少しずつ真相に近づくにつれてアンディは自分が知らないままに狂気の道、まさに無間道を辿りはじめる・・・
終劇
■
トニーが既に死んでる本作でトニーも主演とはこれ如何に?
と観てみるとなるほど、確かにアンディは今、トニーは時間軸をずらして過去のイベントを辿ることで何やかや事なきを得ている。2人の時間軸は何処でどういう風に繋がって行くのかというところである程度の納得の行く結末ではあったかな。
最後のマフィアは誰だ?
・・・・・・・・っていうかお前だよお前!
とどんどん狂っていくアンディにツッコミを入れたくなる展開もなかなか見事に無間道なサマでよろしい。
全体的に悪くない作品ではあるのだが、やはり蛇足的に感じるところが多すぎるのが頂けないか。陳道明(チェン・ダオミン)はまぁ100歩譲って許せないこともないけども(けれど彼があれだったっていうのも解せないけどねぇ・・・大物すぎるような・・・)、黎明(レオン・ライ)は不味いでしょ。レオンがここまで物語に深く関わっていた人物であるならば1作目からチラチラ登場していないとおかしいってことよ。いきなり3作目に登場して実はああでしたこうでしたと今更言うのはやっぱりどうかねぇ?と思うわけ。その割には彼のキャラクターの掘り下げがイマイチだなぁとクールな表情を決めたまま終わっていくレオンくんの空しさがある意味、無間道。
「俺は一体何のために呼ばれたんだ?」
アンディの狂ったサマを見るためだけに呼ばれたようなキャラクターに終始しているのはかなりどうかと思う。
まぁ無理からに感じるところはかなりあったんだけど、結構楽しめる作品ではあるけどね。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
劉偉強(アンドリュー・ラウ) |
麥兆輝(アラン・マック) |
出演 |
劉コ華(アンディ・ラウ) |
梁朝偉(トニー・レオン) |
黎明(レオン・ライ) |
陳道明(チェン・ダオミン) |
陳慧琳(ケリー・チャン) |
曾志偉(エリック・ツァン) |
黄秋生(アンソニー・ウォン) |
杜〔三文〕澤(チャップマン・トウ) |
鄭秀文(サミー・チェン) |
劉嘉玲(カリーナ・ラウ) |
余文樂(ショーン・ユー) |
陳冠希(エディソン・チャン) |
脚本 |
麥兆輝(アラン・マック) |
莊文強(フェリックス・チョン) |
音楽 |
陳光榮(チャン・クォンウィン) |
製作 |
劉偉強(アンドリュー・ラウ) |
高鳳俊 |
製作総指揮 |
韓宏飛 |
荘澄(ジョン・チョン) |
制作年度 |
2003 |
憧板愛情狂
No Problem
無問題モウマンタイ
■
観る人観たならば・・・・・・
まぁこれって私のことなんだけど、数多の他の方々のご感想・酷評も納得、それでも私はこの作品結構好きなんだぞと言える作品である。
■流れ
CINECITYで働いていた岡村隆史くんは、たぶんその岡村くんの影響で成龍(ジャッキー・チェン)好きになった彼女の佐藤康恵にふられる。佐藤はジャッキーの事務所に就職したとの事。
ところでこのCINECITY、私も上京前には香港ショップといえばこの店しか知らなくて(ネット普及もまだだし)、上京というか東京旅行した時は早速このCINECITYに足を運びましたねぇ・・・懐かしいなぁ・・・ただあそこはジャッキーよりも'90年代オシャレ系香港映画の商品が中心なので、俺のような泥臭い'70年代功夫映画を愛する人間がいっても大して面白くないんだけどね。
「片腕ドラゴン」とか「空飛ぶ十字剣」みたいなもんは売ってませんし。場所も青山の一等地にあって何か歩いててもプチセレブみたいな人がいっぱいいてブランド品に関心の無い俺には場違いなとこだし。
ちなみにCINECITYHP。
未練たっぷりの岡村くんは彼女を取り戻すために香港へ。
ここでなぜかスタントマンとして頑張ってる友人の吉田親彦くんがいたりするのがご都合主義ではあるが。
彼女に近づくためにスタントマンになっちゃう岡村くん。
早速貫禄のゲスト出演・洪金寶(サモ・ハン・キンポー)に後ろ回し蹴り喰らってるところが羨ましい様なそうでもないような・・・・
続いて車から出てくるのが盧惠光(ロー・ワイコン)と佐藤ちゃんと段偉倫というのが面白い。段偉倫は出番というかわずか1秒ぐらいの出演でしたけど。
「だから、別れたんだって」
と岡村くん恋人復活を完全否定する佐藤さん。
遠く香港に来ている時点でそりゃそうなのだがそれでも諦めない岡村くんはジャッキーの事務所の事務員から締め出し喰らったりなんかして。
そんなところで岡村くんが泊まっていた宿に正体不明の美少女・宋雲〔女尼〕(ジェシカ・ソン)が飛び込んでくる。なかなか心優しい岡村くんはジェシカが彼氏を追って密入国して香港に来たと聞いて、一緒に彼氏を探すことを約束。内心は下心だらけか?そうでもないか?
スタントマンをこなしながらジェシカの面倒を見る岡村くん。
ジェシカも徐々に心を開いていく。
そんなやり取りを見ているうちにだんだんと嫉妬してきた佐藤さん。
ジェシカの言葉を通訳する中でジェシカにも岡村にも嘘の通訳をして2人をくっつけないようにする。
遂には彼氏である呉鎮宇(フランシス・ン)を探し当てるのだが、
「もう俺の役目はない」
と岡村くんはそっとその場を離れる。
傷心しきっていた岡村くんの姿を見て、元・恋人の佐藤はもう自分の下に心はないと気づき、通訳は嘘だったことを別れ際に話す。
しかしもって呉鎮宇はチンケなマフィアのプレイボーイ。
今度は岡村を
「俺の女に手を出しやがって」
と恐喝。彼女を誘拐して身代金を迫る。
そんな大金の無い岡村くんは
「レッド・ブロンクス」を彷彿とさせる大スタントを敢行して(細かいことはいいじゃないすか)金を用意し、すっかり信用を得たスタント仲間と共に呉鎮宇組織へ乗り込んでゆく・・・
終劇
■
「恋はいつも嘘からはじまる」「オン・ザ・ラン 非情の罠」の2作だけでも観ていれば
「ああ張堅庭(アルフレッド・チョン)らしい作品だなぁ」
というのがすぐわかる。
コメディでありながら香港映画特有のドタバタ感やバタ臭さ、やかましさが無く、すましたコメディ。退屈に感じてしまえばそれまでなのだが、この辺のオシャレな演出は実に彼らしいところ。確かにコメディ映画としては余りにギャグが弱い面があるが、見方を変えれば典型的とはいえ良い映画である。
流石は「岸和田少年愚連隊」でブルーリボン賞を受賞した岡村くんか。
無理なキャラ作りではなく岡村くんそのものの主人公が意地っ張りで駄目な奴、関西流に言うといちゃびり、でも憎めないという要は実に人間的な主人公を演じていて好感。もう1人の好演は勿論ジェシカで、これ以外に出演作品が無いのかなぁ(調べても何か出てきません。歌手として忙しい?)と思ってしまうぐらいに光っている。まぁ現実に可愛い女の子が突然飛び込んでくるなんてことは100%ありませんけどね。最後に彼女が唄うエンディングテーマも素敵。
「無問題2」は完全なハチャメチャコメディになってしまったが、それもまたよし。個人的にはこのシリーズ続けていってもらいたいものなのだが・・・無理かな。
火星(マース)が何処に出てるか探してね!
それと孟海(マン・ホイ)痩せなさい!
|
■CAST&STAFF |
監督 |
張堅庭(アルフレッド・チョン) |
出演 |
岡村隆史 |
佐藤康恵 |
宋雲〔女尼〕(ジェシカ・ソン) |
呉鎮宇(フランシス・ン) |
盧惠光(ロー・ワイコン) |
孟海(マン・ホイ) |
吉田親彦 |
甄志強 |
胡金顧 |
段偉倫 |
山梨ハナ |
山本圭子 |
火星(マース) |
洪金寶(サモ・ハン・キンポー) |
動作指導 |
李志傑 |
脚本 |
張堅庭(アルフレッド・チョン) |
黄宏基(ウォン・ワンケイ) |
音楽 |
MARI FUKUHARA |
製作 |
刈部謙一 |
梁コ森 |
木幡久美 |
河内俊昭 |
製作総指揮 |
木村政雄 |
制作年度 |
1999 |
奸人鬼
A Friend From Inner Space
■
隠れすぎ。
アクションスターのイメージが強い狄龍(ティ・ロン)主演作品としては非常に異色でありながら中々面白い作品がこれ。ショーブラ全解禁が無ければ全く目に触れないまま埋もれ去ったのではなかろうか。埋もれなくてよかったねぇ・・・そんなマイナーながらピカリと光る作品をしっかり紹介して少しでも皆様に知ってもらう努力をしておこう。
■流れ
眼鏡少年・・・少年よりも幼い幼稚園児に見えるのですが、
とにかくその少年・梁俊傑は名士・狄龍(ティ・ロン)の息子でボンボン。
高級外車でスクールバスの隣に乗り付けるもんだから他の小学生とか先生までもが嫉妬心メラメラという感じ。梁俊傑本人は純粋そのものな気がするのだがみんなから村八分にされる。
公園でスケッチ。
村八分の梁俊傑はたった一人で子豚でもスケッチしようかと思ったが、そこに野うさぎ発見。
「となりのトトロ」のメイがチビトトロを追いかけるように(いやあれこそが不思議の国のアリスのあれですけど)野うさぎを追いかける梁俊傑。追いかけてる途中に番犬に吠えられ一目散に逃げ出した梁俊傑。可哀想に森の中で迷子になって、梁俊傑は怪しげな屋敷の中に。
屋敷に入った途端にポルターガイスト祭り!
ドタバタドタバタ色んな物が動くので怖くて逃げ出す梁俊傑であったがこのシーンが面白い。梁俊傑が次々と扉を開けて(それこそ気持ち15ぐらい開けた感じ)逃げるのだが行けども行けども扉扉扉で気が付いたらまた玄関に逆戻り。遂にはポルター現象が梁俊傑を襲う!魔界(?)に引きずり込まれそうになる梁俊傑であったがここに颯爽と白スーツの石堅(シー・キェン)が現れて梁俊傑を助けて外に連れ出してくれる。
「ありがとう!おじさん!」
「いやいやなんのなんのどうしてどうして」
「ところで、おじさんは誰?」
「おじさんも妖怪です」
「んがっ・・・」
遂には気絶してしまう梁俊傑くん・・・まぁ大人でも気絶するだろうというかむしろ気絶した方が楽だ。
息子がいない!
曹達華(チョウ・ダッワー)警部らの警察も呼んで誘拐だ誘拐だと大騒ぎの狄龍家。姉さんの黄韻詩(ウォン・ワンシー)も大騒ぎ。
話を聞きつけてここに別居中の妻・蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ)が現れる。もうのっけからかなり強烈なマザーインパクトばっちり!(実際見てね)
家族が集合したところで梁俊傑は2Fの自分の部屋に現れる。妖怪・石堅が送ってくれたのだ。
「よかった!」
わけわかめではあるがとにかく息子が戻って一安心な狄龍家。
これを機に妻・蕭芳芳とのヨリを戻したい旦那・狄龍は奥様に迫る。
しかしもってバッドタイミング。
狄龍の女と思しき人物がここに現れてしまったのだ。
怒り心頭の蕭芳芳、
「誰が戻るもんですかっ!」
出て行こうとしたが、車が警察にレッカーされたりして。
「レッカーしやがって!」
警察をボカッ!と殴ると白バイぱくって走り去る奥様・蕭芳芳・・・この奥様痛快でかっちょよすぎる。
しかしもって狄龍がプレイボーイ的な役柄とは・・・
ほんで何故彼は家の中でもシルクハットしたままなのだ?
気が付いた梁俊傑くんのそばに現れたのはまたも石堅。
どーも彼は悪いお化けではないらしい。とここでコンコンと彼は経緯を語る。
むかーしむかし。
貧乏で苦労していた若き石堅は出稼ぎのために恋人の黄韻詩(2役)と別れてサンフランシスコへ。そこでも苦労して苦労して彼は金の鉱脈を発見(たぶん)。腰に金の延べ棒巻いて意気揚々と香港に帰る石堅。港で黄韻詩の迎えを受けたのに目の前で足を滑らせて海に落下する石堅。金の延べ棒腰に巻いてたので重くて溺死・・・・
石堅 「というわけなのさ・・・・って、寝てるじゃん!」
というわけで妖怪・石堅と少年・梁俊傑のおかしな同居生活が始まる。
ちなみに他の人は石堅が見えません。
見えないもんだから朝食が突然消えたり、姉さん黄韻詩がおちょくられたりと狄龍家は奇妙な出来事ばかりが起こることに。
そう奇妙といえば狄龍が朝食の時に既にシルクハット!
なぜかわかった!
ちょうどこの時、狄龍の頭が某カツラメーカーのお世話になる時期!
(彼は結局お世話になりませんでしたがその関係でシルクハットなのでしょう)
今度は一緒に学校行って、担任の意地悪女教師や校長の陳百祥(ナット・チャン)をおちょくって楽しむ石堅。年齢を感じさせない演技が素敵。
プールにて久しぶりに妻・蕭芳芳も合流。
つーか凄いぞ色んな意味で。蕭芳芳さん、惜しげもなく水着を披露。
当時37歳とは思えぬプロポーションは由美かおるさんもビックリ・・・由美さんの方が凄いが。
そのプロポーションに惹かれているのは校長の陳百祥ではあるのだが、何しろ別居中とはいえ狄龍という怖い旦那がいるからなぁ・・・
しかしもってここでもまた狄龍の女(みたいな)が現れ、復縁延期。実に狄龍らしくないプレイボーイぶり。
この後見せる蕭芳芳さんがバッグで狄龍を殴るシーンが最高。笑えます。
遂には蕭芳芳さん、息子の梁俊傑を自分のところへ連れて行ってしまいます。
何とか仲直りして復縁、そして息子も取り戻したい狄龍さん。
会食作戦決行。
久しぶりに親子水いらずで・・・いや妖怪・石堅が実はいるのですが、とにかく食事する3人。会話もあったまってきて良い感じなのに結局この夫婦は喧嘩してしまうんですね。遂には怒った梁俊傑が会食を飛び出してしまいます。
梁俊傑が飛び出した先は冒頭の怪しげな屋敷!
ここで狄龍家vs屋敷のバトルになるかと思えばそうでもなく、石堅が助けてくれるのでした。
すっかり復縁した夫婦。
「・・・潮時だな・・・・」
別れた恋人に瓜二つ(2役ですから)の黄韻詩とも想い出を作ったし・・・
ということで少年・梁俊傑に別れを告げる石堅。
「いやだいやだ!」
と梁俊傑がゴネる暇も無く姿を消した石堅。
そこには一つの幸せな家族が残るだけでありました・・・
終劇
■
そりゃ話のベタさからも察しがつくように、すげー面白い!というほどの映画ではない。ではないが、ベタさという以外にケチのつけようのない作品でもある。コメディドタバタに無理が無く、物語の大きな破綻も無い。おまけに皆、キャラクターが立っている。
クレジット上、狄龍が一番主演のようになってはいるが同時に石堅も立派な主演である。ここで、
「あれ?でもな・・・」
と思った人は中々鋭い。石堅と言えば「燃えよドラゴン」の時点でお爺ちゃん扱いされていた人物。それもそのはず、調べて自分もびっくりしたのだが、本作出演当時で71歳なのだ!さらにもっと凄いのは本編を見て頂ければすぐわかるのだが、71歳とは全く思えぬ動きの軽快さ!さらにメイクをしているとはいえ普通なら30〜40歳代の俳優が演じそうな役柄なのに違和感なし!こいつはすげー驚きである。
まだまだ美人女優を行く当時の蕭芳芳の豪快マザーも面白いし、新たな発見は狄龍である。功夫コメディの
「少林拳王子」ではやんちゃな青年という本来ならジャッキータイプが演じる役柄をして違和感バリバリだった(それが面白かったのだが)狄龍ではあるが、今回のコメディ挑戦は違和感なし。まるで
「奥様は魔女」に出てくる旦那様のように、本人は至って真面目ながら回りに振り回されて災難被ってしまう面白さが絶妙であった。狄龍が真面目顔だからなおさらおかしいの。
勿論、ハートフルなファンタジーコメディだからアクションは皆無ではあるが、血生臭い狄龍アクションに疲れたらこの作品が迷わずオススメ!
日本で吹替え版作っても十分面白いものが出来ると思うなぁ・・・
|
■CAST&STAFF |
監督 |
陳家〔草冠に孫〕(リッキー・チャン) |
出演 |
狄龍(ティ・ロン) |
蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ) |
石堅(シー・キェン) |
陳百祥(ナット・チャン) |
黄韻詩(ウォン・ワンシー) |
梁俊傑 |
曹達華(チョウ・ダッワー) |
文雋(マンフレッド・ウォン) |
陳全(チン・チュアン) |
梁克遜 |
程可為 |
金燕玲 |
脚本 |
陳家〔草冠に孫〕 |
周文 |
製作 |
方逸華(モナ・フォン) |
製作総指揮 |
邵逸夫(ランラン・ショウ) |
制作年度 |
1984 |
心動
Tempting Heart
君のいた永遠(とき)
■
やっぱり俺ってこう、スキスキッと展開がポンポンしないとかったるくなるのが正直なところで、そうでない映画で好きな作品もあるんだけんど、本作は一言で言えばその辺のノロサにまず参ってしまったところはある。
物語そのものは簡単で学生時代の初恋から金城武、梁詠〔王其〕(ジジ・リョン)、莫文蔚(カレン・モク)のきまぐれオレンジロード(そろそろこのタイトルも古くなってきたか?)な三角関係が始まり、時を経て大人に至って再会、再び愛を構築しようと思ったりなんかしたが、既にお互いがお互いの伴侶を持っており、大人の関係だけで過去の永遠(とき)を確かめ合って別れるといったもので、最後のオチになって結局監督本人である張艾嘉(シルビア・チャン)が美味しいとこ持って行きやがった!・・・みたいな展開がある意味素敵。
やはり古くはショーブラにて娯楽アクション映画タイムな現場で製作ノウハウを経てきた爾冬陞(イー・トンシン)監督のようにテンポが早くてスキッとする展開だと、俺みたいな頭の回転のそんなに速くない人間だと楽で、始まってすぐにシチュエーションを理解させてくれた方が、後はどれだけそのシチュエーションに引き込めるような力を映画が持っているのかだけになるのでわかりやすい。本作のように気がついたら展開は簡単だったけど、最初の入り込みでハッキリ人物関係を描写せずにぼんやりと始め、その上その展開もノロノロされてしまうと早く全体像をザックリ掴んでから物語に没頭したい男としてはその前に疲れてしまう。その辺が面白さ半減だったって感じかな。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
張艾嘉(シルビア・チャン) |
出演 |
金城武 |
梁詠〔王其〕(ジジ・リョン) |
莫文蔚(カレン・モク) |
張艾嘉(シルビア・チャン) |
金燕玲(エレイン・ルイ) |
戴立忍 |
楊儀雪 |
唐文龍 |
蘇永鴻(ウィリアム・ソー) |
谷祖〔王林〕 |
脚本 |
張艾嘉(シルビア・チャン) |
關皓月(キャサリン・クワン) |
音楽 |
黄韻玲(ケイ・ファン) |
製作 |
蘇志鴻(ソロン・ソー) |
荘澄(ジョン・チャン) |
製作総指揮 |
鐘再思 |
陳自強(ウィリー・チャン) |
制作年度 |
1999 |
旺角黒夜
One Night In Mongkok
ワンナイト・イン・モンコック
■
正直何を言えばいいかあんまり思い当たらないのだが、とにかく爾冬陞(イー・トンシン)監督最新作にして大ヒットしたということなので鑑賞してみました。それにしても"デレク・イー"という名前はイマイチ浸透しませんな。
■流れ
モンコック。
チンピラ同士の小さなシマ争いをきっかけに二つの黒組織が抗争を始める。
この抗争を食止めたい警察は管轄の方中信(アレックス・フォン)チームに指令を出す。誕生日パーティもそこそこにこれから起こる事件への不安を感じて祝杯ムードに浸れない方中信。うーむいつもの方中信だ。たまにはハイテンションな彼も見てみたいものだが「天使行動」シリーズ以来見てないな。
抗争している組織は大陸からの殺し屋斡旋を請け負っている林雪(ラム・シュー)に殺し屋を呼んでくるよう要請する。
大陸からやって来た殺し屋は呉彦祖(ダニエル・ウー)。どう見ても朴訥な青年にしか見えない彼が殺し屋だ。
仕事を遂行するまでは誰とも会わないようにしていた呉彦祖であったが安普請のホテルの廊下でヤクザに苛められている娼婦の張柏芝(セシリア・チャン)を忍びなく思い彼女を助ける。知り合った二人は同郷の大陸出身者ということで意気投合、行動を共にし、仲を深めていくのだが呉彦祖が殺し屋であることがバレてしまい、張柏芝は逃げようとする(そりゃそうだ)。逃げようとする張柏芝を金で取り敢えず引き留めた呉彦祖。引き留めた理由は暗殺とは別のところにあり、彼も仕事だけで香港に来ていたわけではなかったのだ。
一方で林雪へのガサ入れから殺し屋が香港に到着したことを知る方中信チームは仕事を遂行される前に何としても阻止せんとワンナイトインモンコックな捜査を始め、遂には呉彦祖を追い詰めてここにワンナイトインモンコックチェイス開始!
壮烈なチェイスの顛末に何が待ち構えているのか・・・
終劇
■
一番のテーマが大陸と香港の変わらざる関係だとは思うのですが、同時に一番の謎が何故今更このジャンル、というところで違和感を感じるのが一つ。ジャンル的には今まで何度もあったパターンでこの手の作品だと1987年の「風にバラは散った」というような傑作も過去に多くあり、かなり出遅れた作品に感じてしまうのだが。やはり普遍的なテーマジャンルということか。
個人的に感情の起伏をグイと動かしてくれるような作品ではなかったが、役者陣の演技の良さはお墨付き。ダニエル君もその小洒落たスマートルックスを上手く抜いて朴訥青年をとてもよく演じてる。方中信が
「ダブルタップ」まんまなのは本作がそれを意図しているかららしいし、彼にはこんな落ち着いた感じが似合うわな。まぁそれにしても錢嘉樂(チン・ガーロッ)はこんな感じが板についてきたというか、いったい彼は役者やりたいのか監督やりたいのか動作指導やりたいのか、とにかくどの役割でも重宝される人材だなぁ・・・
張柏芝は演技面で十分OKだがもうちょっと綺麗に撮ってほしかった・・・というか「忘れえぬ想い」でのジーパン姿の方が個人的に倍以上可愛い。
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
爾冬陞(イー・トンシン) |
出演 |
呉彦祖(ダニエル・ウー) |
張柏芝(セシリア・チャン) |
方中信(アレックス・フォン) |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
林雪(ラム・シュー) |
李燦森(サム・リー) |
惠天賜(オースティン・ワイ) |
動作指導 |
錢嘉樂(チン・ガーロッ) |
音楽 |
金培達(ピーター・カム) |
制作年度 |
2004 |
老夫子
Master Q 2001
恋のQピッド
■
ディズニーの一連のCGアニメ映画
「シュレック」「カーズ」「ファインディングニモ」とかは観てないので何とも言えないけど、どっちにしても本作はたぶんそういうのを徐克(ツイ・ハーク)が目指した実写+CGアニメ融合のファンタジーコメディ。王澤(アルフォンソ・ウォン)原作の漫画「老夫子」の映画化ということになるが、それは知らなかったりして。
■流れ
生徒にモテモテの女教師・張柏芝(セシリア・チャン)は・・・
彼女が先生やったらたまりせんな〜
アヒル声で怒られるのが快感になってしまいますな〜
んで、張柏芝は刑事の謝霆鋒(ニコラス・ツェー)と婚約してたりして。
ですが!
漫画の世界から飛び出してきたQ先生、ポテト、ノーボディの3人とひょんなことから謝霆鋒を守ることになった黒社会の親分・陳惠敏(チャーリー・チャン)とさらに殺し屋・劉以達との争いに巻き込まれたラブラブな2人。哀れ、2人とも記憶を失ってしまいます。
この記憶喪失を上手く利用としたのがまずは先の陳惠敏で、謝霆鋒が幸運をもたらすと坊さんに言われた陳惠敏は記憶喪失の彼に、
「お前はウチの跡目継ぎだぜ!」
と言って信じ込ませたりなんかして。
一方で張柏芝の記憶喪失を利用しようとしていたのは市議会議員の母。娘に対する愛情が全く無く、政略結婚させようというとんでもない母だったりする。
何故か「老夫子」のメインキャラクターと思われるノーボディはこの後、実際に出演している原作者の王澤と武富山まで釣りに行ってしまい、出番が無い。3人のCGを作るのは大変なので一人削った?
んでこの2人、記憶喪失の間に刑事なのがチンピラになったというのもあって、せっかくラブラブだったのにまたゼロから始めなければいけなかったりなんかして。そんな2人のことを申し訳なく思うQ先生とポテトは何とか2人を再び結び付けようとするが、そんなこた露とも知らない陳惠敏らと市議会議員の母が当然邪魔をしてくるわけで、さぁ果たして2人は再びゴールインとなるのか!?
終劇
■
現実にも張柏芝&謝霆鋒、ゴールインとなりました!(2006年9月末)
いやぁ私は張柏芝迷ですけど相手がニコラス君であれば格好いいもんねぇ、「しょーがないや」と納得するしかありませんや。くぅーっ(涙)
いいなぁこれでニコラス君は
「星願 あなたにもういちど」の任賢齊(リッチー・レン)みたいに張柏芝様と楽しく出来るのねん。
無難であって突出したインパクトには欠ける映画ではあるが、一通り家族揃って楽しめる映画である。不思議なのはCGキャラはあくまでサポート役で主演は張柏芝&謝霆鋒ってことか。CGをメインにはしてないからあまり画面がバタ臭くならないし、個人的にはその程度が良い。と同時にやっぱり娼婦姿やお姫様の格好よりもその辺のねーちゃんの格好している張柏芝が一番可愛いなぁと思う今日この頃、俺のレビューが爆笑映画の「怒れ!タイガー/必殺空手拳」主演、往年の功夫スターであった陳惠敏の年季とユーモラスの混じった演技も実に面白い。流石に張堅庭(アルフレッド・チョン)は「夏日情人」のことを考えると年取ったなぁ・・・
ラストが実にあっさり終わってしまって、各々キャラクターの後日談が語られないのは少し残念だけど、一回レンタルしてみる価値はあるかも?
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
邱〔ネ豊〕濤(ハーマン・ヤウ) |
出演 |
張柏芝(セシリア・チャン) |
謝霆鋒(ニコラス・ツェー) |
陳惠敏(チャーリー・チャン) |
黎耀祥 |
張堅庭(アルフレッド・チョン) |
羅冠蘭 |
劉以達 |
ジョー・ジュニア |
許紹雄 |
呉志雄 |
林子善 |
李立仁 |
李偉民 |
丘君平 |
羅蘭 |
史美儀 |
林雪(ラム・シュー) |
王澤(アルフォンソ・ウォン) |
動作指導 |
孔祥コ |
脚本 |
徐克(ツイ・ハーク) |
邱〔ネ豊〕濤(ハーマン・ヤウ) |
李敏才 他 |
原作 |
王澤(アルフォンソ・ウォン) |
音楽 |
麥振鴻(ブラザー・フォン) |
策劃 |
陶雲 |
製作 |
徐克(ツイ・ハーク) |
製作総指揮 |
向華強(チャールズ・ヒョン) |
制作年度 |
2001 |
~探父子兵
In The Blood
香港極道/野獣刑事(デカ)
■
元奎(ユン・ケイ)監督・主演作品である。
TV放映で久々に観ました。
彼の主演作と言うのは珍しいのではなかろうか。
監督作で出演しているものは数あるがカメオ出演であったり脇役であることがほとんど。今回に関しては製作はサモハンのボーホー・フィルム、
「サモ兄貴!これやらして!」
と頼んで主演作を撮らせてもらったのではなかろうか。
しかしそこはサモハン。
キャスティングの時点で華が無いと見るや、若き日の劉コ華(アンディ・ラウ)を招聘。主演扱いでありながら主軸をなさないサポート役を演じさせている。
■流れ
元奎は親父の牛馬(ウー・マ)のコネで警察に入ったうだつのあがらないダメ警官。
しかし昇進の野心だけは燃えていて、いつも空回り。本当は喜ばしたい牛馬親父とはいつもケンカである。
元奎のよき親友であったCID隊長の劉コ華の推薦もあって、何故かしら制服組から刑事に昇格した元奎であったが、功績を挙げたいがためにてっきり逸り、ドジばっかりおかす。親父に迷惑かけてばっかりなのに、さらに親父とケンカするダメ刑事。彼がCIDチームに入ったおかげで失敗ばかりだと同僚の太保(タイ・ポー)や劉秋生はいぶかしむが、元奎はそれでもドジばかり。
解雇危機にさらされたり、劉コ華までも停職処分を言い渡されたりする中でこのチームが追っている錢小豪(チン・シュウホウ)の麻薬組織の行方は一向に掴めない。
取引現場で捕まえた錢小豪の女である蕭紅梅を頼りに捜査を進めていく、元奎は蕭紅梅が自分の叔母である胡錦(フー・チン)の娘であることを確認すると、彼女を頼りに独自に捜査を開始していくのだが・・・
終劇
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なんか、上手く物語が説明できませんでした。すんまそん。
ここを読んでる時点でご存知の方がほとんどだとは思うが、元々は元奎作品の「検事Mr.ハー/俺が法律だ」に出てくる元奎刑事と牛馬警官の親子のキャラクターが好評だった・・・んでしょうね。それをスピンオフさせたもので、
他映画の脇役キャラクターだった人物単体で一本映画を作ってしまうという香港映画としては非常に珍しい形の作品である。
なぜ作ったかという時点でちゃんと元奎が己自身を自覚していた、ということになるだろう。
元奎は役者としてはそれこそ「検事Mr.ハー/俺が法律だ」でブレイクしたといっても良いのではないだろうか。それまでも駆け出し時代も含めてスマートで格好良い悪役として今の彼からは考えられないシャープな功夫テクニックを披露してそれなりに名を残してはいたが、裏方としてはともかく表では元華(ユン・ワー)と同じく遅咲きの感が強い。彼の役者としての代表作は
「イースタン・コンドル」だろうか。恐らく唯一のクールで格好良い役である。
が、もう一つと言えば間違いなく本作である。
ガサツで乱暴でドジだけど本当は優しくて人間味ある刑事役はまさしく彼の当たり役で、本作が彼の役者としての魅力を一番引き出しているのではなかろうか。やはり己自身を自覚していたのだ。
その証拠かどうかは知らないが、いつもならほぼ間違いなく武術指導も兼任するだろうところを今回は孟海(マン・ホイ)、元華(ユン・ワー)に任して演技面に専念したのではないだろうか(今回、だろうかが多いな)。
しかし、他出演役者もなかなかのオールスターなのが凄い。
「イースタンコンドル」の撮影直後だったか直前だったか、すっきりスマートなサモハンが見られるのもなかなか貴重かも。
功夫映画のお色気女優であった胡錦が登場しているのが興味深いのだが、えらい可哀想な役なのよね。
そんでもって、サモハンという男は透け乳首フェチか?
「スパルタンX」でローラ・フォルネルを、
「七福星」で關之琳(ロザムンド・クワン)を、
そして本作で蕭紅梅を!
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■CAST&STAFF |
監督 |
元奎(ユン・ケイ) |
出演 |
元奎(ユン・ケイ) |
牛馬(ウー・マ) |
劉コ華(アンディ・ラウ) |
蕭紅梅 |
錢小豪(チン・シュウホウ) |
胡錦(フー・チン) |
董驃(トン・ピョウ) |
陳永健 |
呉耀漢(リチャード・ウン) |
陳友(アンソニー・チェン) |
張堅庭(アルフレッド・チョン) |
林建明(リン・チェンミン) |
劉鳳屏 |
仙杜拉 |
苗嘉麗 |
葉夏利 |
西瓜包〔リ〕 |
高飛(コー・フェイ) |
太保(タイ・ポー) |
劉秋生 |
周金江 |
李志傑 |
リー・スコット |
洪金寶(サモ・ハン・キンポー) |
武術指導 |
孟海(マン・ホイ) |
元華(ユン・ワー) |
脚本 |
阮繼志 |
音楽 |
鮑比達 |
策劃 |
史美儀 |
沈治〔木梁〕 |
製作 |
牛馬(ウー・マ) |
製作総指揮 |
洪金寶(サモ・ハン・キンポー) |
制作年度 |
1988 |
兄弟
Brotherhood
男たちの絆
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D&Bは変わった映画会社であった。
老舗であるショーブラザーズは正に昔ながらの大掛かりなセットと日本の松竹役者のような芸達者が様々なジャンルの映画を作り出せる大会社であった。
ゴールデンハーベストはジャッキー、サモハン、元彪(ユン・ピョウ)といったスターを筆頭に海外マーケットを強く意識した主に大作アクション映画を作ることに重きを置いていた。
新進気鋭のシネマシティは「功夫映画は作らない」と高らかに宣言し、有言実行にモダンなアクション映画「悪漢探偵」を製作し、その後一度も功夫映画を作らなかった・・・ということはないが、新しい香港映画の形を提示する会社であった。
さぁそして本作製作である潘廸生(ディクソーン・プーン)&岑建勲(ジョン・シャム)によるD&Bであるが、まさに何でも屋の小会社のような印象を受けるのが正直なところである。
■流れ
李修賢(ダニー・リー)と萬梓良(アレックス・マン)は幼馴染の親友にして同じ刑事。
どちらかが失敗してもどちらかが庇うといった良いコンビであった。
しかし、李修賢の弟である林偉がエリート官僚候補として警察勤務になった一方で乱暴者の萬梓良が犯人逮捕の際にまたも問題を起こし、遂には萬梓良は辞職してしまう。
父の手術代を稼がなければいけない萬梓良は、土木作業に精を出すがそれだけでは足りず、遂にはサラ金に手を出してしまう。
その辺の借金を返す返さないで組織と揉めた萬梓良は組織の嫌がらせで手持ちのトラックを焼かれてしまう。
怒った萬梓良は組織に突入して乱暴を振るうが、当然警察沙汰に。
組織がトラックを焼いたという証拠も無く、土木作業の仕事も追われてどうしようもなくなった萬梓良は遂に成奎安(シン・フイオン)率いるギャングへ仲間入り。
宝石強盗をして逃げるところを李修賢に捕まってしまうが、親友への情もあって李修賢は萬梓良を逃がしてしまう。
この件について、警察の上役は
「李修賢はギャングの一味ではないのか」
と疑いをかけ、この事件を担当することになったのはあろうことか実弟である林偉であった。
「萬梓良とは手を切るんだ!」
と言う実弟・林偉に、
「弟が偉そうに指図するな!」
と反抗する兄貴・李修賢。
あくまで無二の親友を助けたい李修賢であったが事件は悲惨の一途を辿り・・・
終劇
■
北野武「Brother」よりも15年早いD&Bの「Brother」である。
本作は実兄弟と兄弟同然の無二の親友の対比を照らし合わして描いているところに特徴があり、ほぼ同じ事をやっていた北野武「Brother」に先んずる形であることがまず評価できる。
冒頭のタクシーの一端の描写など、先の物語の比喩的オープニングになっておりなかなか興味深い演出の整った作品である。ただ画面そのものが暗すぎて李修賢と萬梓良という芝居の上手い役者の細かな表情が確認しずらいのは難点だが、決して悪くない作品だ。
D&Bは正に何でもありであった。
香港ノワールが登場したからこそ余計にそうなっているのであるが、潘廸生の元夫人である楊紫瓊(ミシェール・ヨー)を筆頭に女ドラゴンアクションシリーズからその作品をプロデュースしたサモハン、そういえば何故サモハンがこんなにもD&Bに加勢出来ていたのか非常に謎である。だってゴールデンハーベストバリバリの所属だったのに。
爾冬陞(イー・トン・シン)監督の
「野獣たちの掟」もD&B社製作で本作もD&Bと、
要は形式にこだわらず面白いと思ったものは何でも撮っていた会社であったなぁと思う。「黒猫」は失敗したのかな。
まぁ最も香港らしい映画会社だなぁということだ。
さらに香港らしい映画会社となれば永盛公司だが・・・
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■CAST&STAFF |
監督 |
〔二先〕杞然(スティーブン・シン) |
出演 |
李修賢(ダニー・リー) |
萬梓良(アレックス・マン) |
林偉 |
成奎安(シン・フイオン) |
谷峰(クー・フェン) |
方洲 |
胡邊月 |
蘆雄 |
成榮標 |
魏添財 |
張炳全 |
王文成 |
黄仲匡 |
動作指導 |
黄志偉 |
脚本 |
〔二先〕杞然(スティーブン・シン) |
伍偉賢 |
葉廣儉 |
馮瑞熊 |
音楽 |
曾葉發 |
製作 |
岑建勲(ジョン・シャム) |
製作総指揮 |
潘廸生(ディクソーン・プーン) |
制作年度 |
1986 |
流氓醫生
Mack The Knife
裏街の聖者
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どれが元なのかようわからんが、いわゆる赤ひげ先生ものである。
本作は漫画「Dr.くまひげ」が原作となっている。
赤ひげものはかつて長渕剛もやってたし(「しゃぼん玉」)、料理バンザイの滝田栄さんもやってたなぁ。ほんで今度は梁朝偉(トニー・レオン)か。
・・・もう見なくても一番格好良いじゃん。
■流れが多すぎる
トニーは下町のしがない開業医で、仕事と言えば老人の健康診断とか売春婦の性病検査とか中絶とかそんなんばっかりやっていた。ただ元はエリートでちょっとしたブラックジャック。
しかし、被弾した強盗犯を緊急手術のアイデアを出して助けたことから状況が変わってくる。かつてのライバルだったエリート医者の杜徳偉(アレックス・トー)はトニーに医術の点で出し抜かれて立つ瀬が無い。
トニー、アレックスの師匠であり教授の呉耀漢(リチャード・ウン)の研究資料をトニー引き出させ、アレックスは功績を挙げようと画策する。
一方でトニーの見事なプチブラックジャックぶりにすっかり感服した新米医師がトニーに弟子入り。
一方でトニーの友人である劉青雲(ラウ・チンワン)は近所の売春婦に一目惚れ。
一方でお金持ちのお嬢様・梁詠〔王其〕(ジジ・リョン)は良家に嫌気がさして
トニーの助手になると宣言。
さらにトニーとアレックスの間で恋心揺れ動くのはセレブの鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)、
さらにさらに宣教師・羅家英(ロー・カーイン)は教えを広めるためにいつも下町でうるさい感じで地元ヤクザと大喧嘩。
はっきり言って余りにも色々なことがありすぎる下町で、
トニー先生は全てを解決するくまひげ先生となれるのか!?
終劇
■
こんなに小洒落た香港映画は初めてだ。
というのが本作への素直な感想である。
他にも洒落た香港らしい匂いの抜けた作品は観て来たが、これが一番感じるなぁ。
余りにもエピソードが多すぎてトニー先生1人で飄々と解決していくには無理があり、説得力に欠けるのだがそれ以上に役者たちの頑張りで見せるものがあり飽きさせることが無い。無理に大きな盛り上がりを作らずにやや淡白にテンポよく物語を運んでいく手合いはやはりは漫画+香港映画タイムの慣わしか。どーも本作は日本ドラマに馴れ過ぎてしまった輩には評判がよろしくないようだが、何度も言うように物語の行間にこそ本当のドラマがあり、本作で言えば1カット1カットの合間にこそドラマが存在する。その想像を張り巡らせるだけでも十分面白い作品ではないか。どうして1から10まで語ってくれなきゃわからないのか、わからない。
製作総指揮の曾志偉(エリック・ツァン)がちょっとでも出ていればあっと言う間に香港映画らしくなっただろう香港映画らしくないオシャレな傑作である。
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■CAST&STAFF |
監督・脚本・製作 |
李志毅(リー・チーガイ) |
出演 |
梁朝偉(トニー・レオン) |
劉青雲(ラウ・チンワン) |
許志安(アンディ・ホイ) |
杜徳偉(アレックス・トー) |
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン) |
童愛玲(アイリーン・トン) |
梁詠〔王其〕(ジジ・リョン) |
徐濠榮(ヒラリー・ツイ) |
陳小春(チャン・シウチョン) |
呉耀漢(リチャード・ウン) |
羅家英(ロー・カーイン) |
李志毅(リー・チーガイ) |
張之亮(ジェイコブ・チョン) |
林暁峯 |
黄偉文 |
張睿玲 |
王喜 |
鄒静 |
呉啓華(ン・カイワー) |
孫家〔雨文〕 |
羅〔上下〕 |
製作総指揮 |
曾志偉(エリック・ツァン) |
制作年度 |
1995 |
千里走単騎
Riding Alone For Thousands Of Miles
単騎、千里を走る。
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わかった。
メリハリがない。
本作を撮影した様子をカメラに収めたNHKドキュメントは本当に見応えのある内容で、またスクリーンを離れた時にあの高倉健さんを見れるということで非常に面白い番組だった。となると、本作には期待せざるを得ないものがあったのだが、果てさて。
■流れ
息子・中井貴一と仲違いしていた父・高倉健は漁師を営んでいたが、中井の嫁・寺島しのぶから息子が入院したと聞き、長い間会っていない息子への見舞いへと出向く。
「会いたくない!」
病室の奥からそんな息子の声を聞いた高倉は見舞いを諦めて病院を出る。
その時、嫁が渡してくれたビデオテープを家に帰ってみる。
"単騎、千里を走る。"
この京劇唄を息子が撮る約束であったことをビデオで知り、その重病の息子の代わりに中国へ行き、"単騎、千里を走る。"を撮影してくることを決意する。
中国。
一人の知り合いもおらず、どの場所も知らない未知の空間で頼りないカタコト日本語しか話せないガイド・邱林(チュー・リン)と共に京劇役者を探す旅に出るのだが・・・・
終劇
■
奇しくもか狙ってかはわからないが(たぶん奇しくも)、
健さんには同じロードムービーとして傑作「幸福の黄色いハンカチ」があり、舞台は全く変わったとしても同じような印象を受けないことも無い。
ただし、俳優には2種類いる。
1つは悪役善役憎まれ役気弱な役冷酷な役と何でもこなしてしまういわゆる"役者"タイプ、もう1つは高倉健さんや田村正和、若いとこだと木村拓哉のようにどの映画に出ても健さんは健さん、正和は正和、キムタクはキムタクといった感じのいわゆる"スター"タイプ。
「幸福の黄色いハンカチ」では寡黙な健さんと、独特の芸風を持つ桃井かおりさんと、当時はこれに賭けるしかなかったジリ貧の武田鉄矢の頑張り・・・汚らしい武田鉄矢が一番台詞が多い映画で、
「乗ってけよぉ、乗ってけよぉ」
と桃井さんをナンパするシーンなんか実に汚らしくて面白い。
その隣で寡黙格好良い健さんがいつもの通りに格好良いから健さんと武田で凄いメリハリが出るのだ。
本作は全部素人役者を使った「あの子を探して」ワールドの中に日本を代表するスター、高倉健を放り込んだ形になった作品である。
だが痛いところが残った。
健さんの芸風は
「不器用ですから」
の名台詞が彼の芸風の全てといったように、本作でもやはり不器用である。
不器用な健さんに頼りないガイド、頼りない村長、頼りない村民、ということで何だか不器用な奴ら大集合の映画なのだ。
ガイド役の邱林は実際にガイドが職業で日本語も勉強してるらしく本作でもあの健さん相手にこれだけ頑張ったのは素晴らしい。しかしこれ、もしかしたらガイド役だけでも"役者"という職業の人間を配し、お喋りなガイドと寡黙な健さんというメリハリをつけた方が良かったのではないだろうか。
何でかっちゅうと、これだけ寡黙や喋り下手の芝居だけで淡々と長く続けられると肝心のラストに向かう最中でそろそろと飽きてしまうのだ。個人的には李加民(リ・カミン)の子供を引き連れて帰ろうとしたらその子供がグズりだした辺りから流石に飽きてしまった。
いくら大スター健さんが主演とあっても、健さんは健さんであり続けるのでせめてその周りで慌てふためいたりする道化役が笑わせて飽きないような工夫を凝らして欲しかったところ。朴訥ただそのものだけでは人は感じない。
「あの子を探して」
「初恋の来た道」と朴訥、ただそれだけでは無い感動ある作品をちゃんと作っていた張藝謀(チャン・イーモウ)監督であったが、大スター高倉さんを前にしてその素晴らしいスターの魅力をちゃんと引き出せなかった、健さんに頼ってしまった、その辺が本作の失敗と言える部分なのかもしれない。
焼肉にはタレ、そばにはつゆ、
美味しい素材にも薬味は必要である。
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■CAST&STAFF |
監督 |
張藝謀(チャン・イーモウ) |
降旗康男 |
出演 |
高倉健 |
寺島しのぶ |
中本賢 |
李加民(リ・カミン) |
蒋〔雨文〕(ジャン・ウェン) |
邱林(チュー・リン) |
李彬 |
中井貴一 ※声の出演 |
音楽 |
郭文景 |
製作 |
江志強(ビル・コン) |
修健 |
制作年度 |
2005 |
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