Contents
 
トップへ
掲示板

■まぁ要はクンフー無しの香港映画のレビューです。  
 


鬼馬智多星
All the Wrong Clues
ツイ・ハーク ミッション・ポッシブル M:P-1



本作は徐克(ツイ・ハーク)初期の作品で、

ミッドナイト・エンジェル暴力の掟」の次に当たる作品がこれで、本人が
「映画をヒットさせたかったので出てくる登場人物みんなオシャレにしてオシャレな映画を作った」
と言うとおり、正にオシャレな映画になっている。
彼の器用さはまさにここにあり、前作とのギャップは凄まじいものがあり、とても同じ監督が撮った様には思えない。思えないが、今の目で観れば本作はまさに徐克といった抜群のカメラワークやオシャレさ香港映画の泥臭い雰囲気に全く捉われない、徐克らしい作風に満ちた作品であることがわかる。

これも何度も述べている通り、「香港電影百科」(芳賀書店)での日本未公開映画ポスター傑作選、
「大急星與小妹頭」「發銭寒」「掌明人
御猫三戯錦毛鼠」「 瘋猴 」「武館」「蟷螂
「鬼怒川」「 長輩 」「鬼流星」「一夫富関」「追撃」
「小英雄大閙唐人街」「滑稽時代
人嚇人 」「敗家仔 」「少林三十六房續集
蜀山/新蜀山劍侠 」「十八般武藝 」「豪侠 」「爛頭何
そして本作も合わせて・・・いやぁだいぶレビューしましたねぇ、後は6本。
その内2本(かな?)は日本でDVD化してますので制覇は時間の問題ですな。いやぁもうこの本を手にしてから23年が経過していますが。23年て。


流れ


黒社会の大物・麥嘉(カール・マック)が出所。
彼がムショにぶち込まれる原因になったのは探偵・林子祥(ジョージ・ラム)が撮った彼の写真で、逆恨み甚だしく麥嘉はこの探偵を消しにかかる。
早速、組織NO.1の殺し屋・曾志偉(エリック・ツァン)を差し向けたが、なんつったってこの映画はコメディなのでいつも曾志偉らしくドジばかりで中々成功しない。ここでの李小龍(ブルース・リー)が大暴れした「かわいい女」のパロディはマニアックやなぁ。
林子祥の幼馴染で警部補の泰迪羅賓(テディ・ロビン)は麥嘉を再び捕まえて林子祥を助けたい感じ。ただこの辺の友情的なものを実にサラリと流しているのがオシャレやね。

ひょんなことからこちらも黒社会ボスであるケ寄塵や姚〔火韋〕と知り合った林子祥はケ寄塵の娘・陳hh、さらに黄造時も交えて、上に下にのしったんばったんを繰り広げるのであるが、林子祥殺害と株券強奪を企む麥嘉の手は激しくなるばかり。

遂には今まで助けを求めなかった泰迪羅賓と手を組んで、麥嘉、さらにはその配下にあった4大ファミリーをも逆に罠にはめようと企むのであるが、このラストには思わぬ落とし穴があった・・・


終劇





この作品はなかなかにヤバイ作品だ。
作品を彩る華やかな女優陣が多すぎて誰が誰やらわからなくなるのが難点なのだが、オツムいまいちの私では書ききれない(書くのが面倒な)複雑に絡み合う脚本もなかなかよく出来ている作品で、作品のタッチとしてはピーター・フォークの

「名探偵登場」「名探偵再登場」に近い。ちなみにどちらの作品も非常にオシャレで笑えて汚い刑事コロンボ慣れしてしまった今ではピーター・フォークの渋い探偵が非常にステキなオススメの作品である。でもって、これは当時正に香港映画ニューウェーブの旗手であった徐克のアメリカ帰りの手土産でそれまでの香港映画には全く無かった新感覚ムービーである。

さらにここからが面白いのだが、綺麗処がたくさん出演している作品でパッと思い出したのがジャッキー

プロジェクトA2/史上最大の標的」で、こちらも 張曼玉(マギー・チャン)、關之琳(ロザムンド・クワン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、簡慧珍(レジーナ・ケント)、黄曼擬(イザベラ・ウォン)と豪華。更にその「プロジェクトA2/史上最大の標的」に出てくる"みんなでかくれんぼ"のシーンは明らかに本作からのインスパイアであったことがわかる。
岑建勳(ジョン・シャム)や楊斯(ヤン・スエ)を交えた酒場での大乱闘シーンはいわずもがなの

プロジェクトA」酒場乱闘シーンに繋がるし(さらにバーテン役で出演しているのがどちらも同じ杜少明ですがな)、蓄音機のくだりは本作でのピアノを置き換えただけである。
さらにさらに最後には倉庫で対決するハメになるマフィア同士のバトルはどう考えたって

五福星」を連想させるし、さらにさらにさらに敵でも大して味方でもない林子祥と泰迪羅賓の関係描写は後の

悪漢探偵」での麥嘉と許冠傑(サミュエル・ホイ)の関係に間違いなく繋がる。本作にその「悪漢探偵」の監督である曾志偉が出演しているのも大きなポイントだ。

要するに徐克がアメリカから持ち込んだ新しいテイストを従来の香港映画人たちが参考にして、それを香港風にアレンジ、泥臭いテイストを逆に加味したり、さらに007を持ち込んだり、スタントアクション、マーシャルアーツで彩ったりしたのがその後続く香港アクション映画の正体でもあるのだ。

まさに徐克が時代の先端を突っ走っていた。
それを象徴・証明する作品がこれそのものなのである。

林子祥と泰迪羅賓の2人というのは役者として個人的には余り好みではないのだが(「望郷ボートピープル」の林子祥は素晴らしかったですが・・・これDVD化されないなぁ・・・)、ミュージシャン2人を主演に持ってくるあたりも既存のスターに頼らない徐克らしい構成力で、常に役者にも新しい力を求める点が興味深い。

男たちの挽歌」では元モデルにして公務員の李子雄(レイ・チーホン)を大ブレイクさせた徐克の役者を見る目もまた確かなものなのだ。

今の目で観ると大掛かりなアクションシーンの無いコメディ作品に結局はなっているので、物足りなさを感じてしまう部分も否めないのだが、当時これが香港で大ヒットした事実にも十分頷ける当時の新しい映画として大きな賛辞を贈りたい作品である。

■CAST&STAFF
監督 徐克(ツイ・ハーク)
出演 林子祥(ジョージ・ラム)
泰迪羅賓(テディ・ロビン)
麥嘉(カール・マック)
ケ寄塵
姚〔火韋〕
黄造時
陳hh
曾志偉(エリック・ツァン)
曹達華(チョウ・ダッワー)
馮敬文
岑建勳(ジョン・シャム)
杜少明
楊斯(ヤン・スエ)
黄百鳴(レイモンド・ウォン)
施介強
麥國良
陳劍雲
何柏光
傳玉蘭
胡大為
泰山
成運安
李鵬飛
呉殷志
羅偉平
陳志榮
石中玉
鄭英豪
洪玲玲
韓江
脚本 黄百鳴(レイモンド・ウォン)
司徒卓漢(シートゥ・チャホン)
音楽 泰迪羅賓(テディ・ロビン)
策劃 黄百鳴(レイモンド・ウォン)
製作 麥嘉(カール・マック)
石天(ディーン・セキ)
制作年度 1981


陷〔こざとへん〕井邊沿
Edge of Darkness
狼の墓場



題名の漢字が正しく表記できないのはご勘弁を。
無招勝有招」にて馮克安(フォン・ハックオン)出演作レビュー数は62作品でした。そこで、

【馮克安出演レビュー作品 2009.1.15時点】

「英雄十三傑(1970)」
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー(1970)」
「ヴェンジェンス/報仇(1970)」
「小殺星(1970)」
「雙侠 (1971)」
「フィストバトル/拳撃(1971)」
「新片腕必殺剣(1971)」
「惡客 (1972)」
「復讐ドラゴン/必殺拳(1972)」
「水滸伝(1972)」
「上海ドラゴン/英雄拳(1972)」
「武道大連合/復讐のドラゴン(1972)」
「ファイティング・モンキー・昇龍拳(1973)」
「小雜種(1973)」
「殺出重圍(1973)」
「ドラゴンvs七人の吸血鬼(1974)」
「続少林寺列伝(1974)」
「嵐を呼ぶドラゴン(1974)」
「洪拳與詠春(1974)」
「ドラゴン少林拳(1975) 」
「カラテ愚連隊(1975)」
「叛逆(1973)」
「後生(1975)」
「マジッククンフー 神打拳(1975)」
「ワンス・アポン・ア・タイム英雄少林拳(1976)」
「大哥成(1975)」
「流星・蝴蝶・劍(1976)」
「ブルース・リー物語(1976)」
「マジック・ブレード(1976)」
「必殺!少林寺武芸帳(1977)」
「三十六迷形拳(1977)」
「少林寺・怒りの鉄拳(1977)」
「少林虎鶴拳(1977)」
「スネーキー・モンキー・蛇拳(1978)」
「燃えよデブゴン3/ダーティタイガー(1978)」
「燃えよデブゴン/友情拳(1978)」
「燃えよデブゴン(1978)」
「ブルース・リー/死亡遊戲(1978)」
「佛山贊先生(1978)」
「鬼馬功夫(1978)」
「豪侠(1979)」
「燃えよデブゴン7(1979)」
「蛇形醉歩(1980)」
「ヤング・マスター/師弟出馬(1980)」
「少林寺破戒大師伝説(1980)」
「ツーフィンガー鷹(1981)」
「老鼠街(1981)」
「ドラゴンロード(1982)」
「激突!キング・オブ・カンフー(1982)」
「五福星(1983)」
「蜀山奇傳/天空の剣(1983)」
「ポリス・ストーリー/香港国際警察(1985)」
「ファースト・ミッション(1985)」
「プロテクター(1985)」
「十福星(1986)」
「サイクロンZ(1988)」
「烈血風雲(1988)」
「奇蹟/ミラクル(1989)」
「ワイルド・ヒーローズ 暗黒街の狼たち(1989)」
「ツイン・ドラゴン(1992) 」
「カンフーハッスル(2004)」

・・・いやぁ凄い数ですな。
そして今回レビューする本作が63作品目となります。
おまけに今回は監督作。
これ・・・というかこの辺の作品、ブックオフで必ずと言っていいほど売ってますね。
そして必ずと言っていいほど誰も買わないのですが、僕が買ったりして。
「か、買うんだ・・・」
と店員さんの方も思っていることでしょう。そして、
「在庫が掃けた・・・」
と嬉しがっていることでしょう。
ええと・・・まぁいいや。


流れ


錢小豪(チン・シュウホウ)は警察学校時代に萬梓良(アレックス・マン)警部に見出されて潜入捜査官に。
羅維(ロー・ウェイ)の組織に潜り込み、撲滅の機会を狙っていた。
マフィアの取引に羅烈(ロー・リエ)と共に・・・
もう・・・こっちもこっちでレビュー何本目よ羅烈先生・・・
相手組織の唐偉成(ウィルソン・タン)らと取引していたが、
ここに警察が網を張っており銃撃戦に。

命からがらこれを抜け出したのは錢小豪と羅烈のみで、
ボスの羅維は
「組織にイヌが?」
と錢小豪に疑いをかける。

錢小豪はその職業を他人に明かすことが出来なくて苦悩していた。
一緒に警察学校に入学して今は刑事の親友・岑建勳(ジョン・シャム)も彼が何をやってるか知らず、
妻の陳玉蓮や息子にも素性を明らかにしていない。
息子が交通事故で入院した際もロクに見舞いすることが出来ず、
妻には離婚を持ちかけられる始末。

組織のチンピラとして警察に認識されている錢小豪は遂に捕まり、
刑事の馮克安から殴る蹴るの拷問を受けるが、それでも自白を拒否。
実はこれは羅維が張った罠で、馮克安も羅維一味。
拷問されても口を割らない錢小豪を見て、一度はイヌ疑いは晴れる。

「出て行きます」
と妻に言われてどうしようもなくなった錢小豪は、遂に自分の正体を岑建勳と妻に告白。
その辺でスッキリしたので和解する家族と親友、
そして潜入捜査官としての任期もあと一ヶ月であったが。

錢小豪を潜入捜査官にした萬梓良は自身のギャンブルで作った多額の借金に悩んでいた。
マフィアから押収した金を使って、またギャンブルに投じたがさらに自滅。
自殺を図ろうとしたが妻に咎められそして促されて、錢小豪を売ることに。

萬梓良より錢小豪の正体を知らされた羅維。
「一番可愛がってやったというのに!・・・」

組織壊滅に向けて最後の戦いが始まろうとしていた。
萬梓良警部はマフィア皆殺しを命令。
錢小豪をそのまま闇の中に葬り去ってしまう腹積もりである。
しかし、正体を知っている岑建勳がそれに従うはずもないわけで・・・

終劇




本作製作1988年以前に

友は風の彼方に」といった潜入捜査官ものの傑作があるだけに
この出遅れは非常に惜しいのだが、
警察上がりの陳欣健(フィリップ・チャン)が書いた脚本は確かなもので、
羅維にしても萬梓良にしても単なる憎たらしい悪役像に終始することなく、
より深みのあるキャラクター造形が施されていることに感心を受ける。

主演の錢小豪、萬梓良、岑建勳の熱演も光るところながら、
一際目が行ってしまうのはやはり羅維の役者振りであろう。
私なら一連のジャッキー作品はじめ

「ドラゴン怒りの鉄拳」などベテラン監督としてのイメージが強い羅維であるが、
本作の40年前から既に役者として演技を続けているとされる羅維の演技は確かなもので、
同じくベテラン監督・楚原が

ポリス・ストーリー/香港国際警察」などで役者としても活躍したように、
晩年の羅維の貫禄ある演技がもっと観てみたかったという残念でとても惜しい気持ちが凄く沸いた。
劇中では子飼いの錢小豪を可愛がり、アジトは何と映画撮影所!
いつも優しい笑顔を浮かべているが、錢小豪がイヌとなると容赦ない仕打ち!・・・
これってどうしてもあのう〜義理の親子の契りまでしたとされるジャッキーとの関係にかぶっ(以下割愛)


実際にあの「インファナル・アフェア」に本作からインスパイアされている部分があるのかどうかはわからないが、
誰もいない夜の墓場でひっそりと会う潜入捜査官・錢小豪と上司・萬梓良の関係は、
やはり「インファナル・アフェア」での梁朝偉(トニー・レオン)と黄秋生(アンソニー・ウォン)との関係に酷似するし、
錢小豪を可愛がるボス・羅維の姿もやはり梁朝偉を可愛がった曾志偉(エリック・ツァン)の姿とダブる。

ローマは一日にして成らず
そして傑作も一日にして成らず

どこの誰からもブックオフの本棚のスペースを埋めるだけに存在している作品としか認識されていない本作であるが、
やはりこれを簡単に"価値の無い作品"と捨て切ってしまうことは到底出来ない。
同じく馮克安監督作の「老鼠街」も本作も完全に歴史の闇に埋もれ去ってしまっているので、
是非私自身がここにこの二つの傑作を押しておきたいところである。


■CAST&STAFF
監督 馮克安(フォン・ハックオン)
出演 錢小豪(チン・シュウホウ)
岑建勳(ジョン・シャム)
萬梓良(アレックス・マン)
陳玉蓮
羅維(ロー・ウェイ)
羅烈(ロー・リエ)
何家駒(ホー・カーキン)
恬〔女〕尼
馮克安(フォン・ハックオン)
林克明
米奇
馮克安(フォン・ハックオン)
程東
唐偉成(ウィルソン・タン)
陳敬
黄斌
何家勁
劉晃世
陳全
朱斗
黄哈(ウォン・ハー)
李超
羅禮賢
何永祥
曾醒光
動作指導 馮克安(フォン・ハックオン)
大白鷺
洛奇
脚本・製作 陳欣健(フィリップ・チャン)
音楽 陸崑崙
策劃 楊以和
製作総指揮 岑建勳(ジョン・シャム)
王祥應
制作年度 1988


八百壯士
Eight Hundred Heroes
ロンゲスト・ブリッジ



ああ・・・・・・。
何もかも根底から覆された・・・そんな気分である。
明らかに甘く見ていた。台湾映画というものを。
そして、思い知らされた。この映画に。

台湾の武侠・功夫映画は数多く観てきたが、現代劇や恋愛劇、喜劇等はまだまだ全く未知と言っても過言ではない。

なので言い切れるものではないのだが、
この作品は凄い!
はっきり言って信じられない!
第二次上海事変で日本軍と戦った国民党軍"八百壮士"の活躍を描いた戦争映画であるが、とにかく凄いのはそのスケール!
個人的には当時の香港、台湾の映画でこれ程スケールのデカイ、莫大な予算を費やしたであろう作品を他に知らない。勿論、これは巨大なオープンセットとスター、役者を山ほど抱えていたショーブラザーズも含めての話だ。
ダントツである。
これは一映画会社が戦争もの作ろうっと、な感じで製作されたものではないはずだ。
国を挙げての一大プロジェクト。恐らく映画会社そのものも国が興したものではないだろうか。
どっかから借りてきた戦争フィルムの繋ぎ合わせなんかでは決してない、まるで戦争そのものをこの映画が起こしているかのような映像は圧巻である。
さらに呼ぶも呼んだりの台湾オールスター、この映画は凄い。


流れ



上海空襲。
もうのっけから信じられないスケールだ!

すげぇ!なんだこれ!

大量のエキストラとハンパない火薬量、空に飛び交うゼロ戦!
これが台湾映画だというのか!
いつも野原と台湾映画村で一本、のくせに!
不意に空襲に見舞われ、河原で写生をしていた林青霞(ブリジット・リン)と教え子たちも空襲に遭う。
職を奪われ、今や国を奪われそうな勢いに負けじと林青霞は

国民党軍入隊を志願。

国民党軍の小隊長は柯俊雄(オー・ジョンホン)。
日本の軍隊が大手を振って歩く街道に佇む食堂の二階に作戦本部をこっそり開いて作戦を練っていた。給仕をしている徐楓(シー・ファン)は妻。

軍艦もバンバン登場。
ゼロ戦とか戦車とか軍艦とか、大よそ台湾功夫映画ばっかり観ていた人間には考えられないシーンが延々と続く。

日本が余りにも強すぎるので絶望的。
作戦本部がばれたので逃げる柯俊雄家族。
友人役の黄家達(カーター・ウォン)は出てくるだけ出てくるが見せ場は全然無しだ!
逃げる時の銃撃戦とか・・・まだ香港ノワールも何も始まってない時代なのにレベルが高いよなぁ・・・どうなってんだこりゃ。

逃げおおせた国民党軍の反撃が始まる。
手始めに日本の連絡所を襲うと見事にこれを粉砕。
合流した林青霞や少ない出番ながら熱演が光る張艾嘉(シルビア・チャン)らで力を合わせて日本軍に立ち向かう。
上海の町に身を翻し、

占領したと街を闊歩する日本軍に奇襲をかけ大ダメージを与える。

国民党軍は善戦したが、日本軍には勝てなかった。
有名な松井石根による増援で30万の日本軍が雪崩れ込んできたからである。
どれだけ火薬使ってねん!
この人海戦術に国民党軍はボロボロに殺られ、気付けば残りは800人に。

遂には上海を捨て逃げるしか無くなるのであるが、
ロンゲスト・ブリッジ。
上海を離れるには日本軍の猛烈な攻撃を避けて、この橋を渡る必要があるのだった・・・


終劇





ああ、この作品が「ロンゲスト・ブリッジ」だったのねぇ。林青霞の出演作にそういうタイトルの作品があるということは知っていたが、まさかそれがこの本作にあたるとは思いもしなかった。

本作を観て予想がつくのは、これをティーンエイジャーが通う学校で教育の一環として見せたのではないかということで、本作は端から娯楽映画であろうことをそれほど目指してはいない。
勿論、丁善璽(ティン・シャンシ)監督の演出は今回断然ベストと言える仕事ぶりで戦争モノゆえに暗い話であるのも当たり前であるが、戦闘シーンの撮り方は抜群中の抜群。
私はワールドワイドに映画を語ることが出来るほど戦争映画を含めた色々な他映画を観ていないのでメジャーな、一般市民が誰でも観てるような

「戦場に架ける橋」とか「地獄の黙示録」とか

「ランボー」「コマンドー」なんかと比較する以外に選択肢が無いのだが、その辺と比較して何ら遜色ない素晴らしく迫力ある戦争シーンを描き出している。当時の台湾映画でこの表現力は群を抜いているどころの話ではない。その辺は退屈させないだろう。
印象的なのはラスト近くのみんなで大国旗を守るシーンで大きな木の杭に立てられた大国旗を大勢の軍人が命を散らしながら守るのだが、このシーンは後の

ドラゴンロード」のゴールデンポイントのシーンを連想させる。
しかもこれだけグレードの高い映画で活躍するのはみーんな野原で功夫やチャンバラやって戦っていたお馴染みの面子、徐楓や黄家達や楊群(ヤン・チュン)や張翼(チャン・イー)や張沖(ポール・チャン)や金剛(カム・コン)や苗天(ミャオ・ティン)や山茅(サン・マオ)や・・・どんだけおんねん!
ほとんどはワンポイント出演でしかないが、林青霞・徐楓・張艾嘉の豪華共演ヒロインにはそれぞれちゃんと見せ場があるし、威厳ある柯俊雄の芝居は申し分ない。

ただ、明らかに台湾の若者達への啓蒙を目的とした戦争映画である。
だから面白い面白くないで論じる作品ではないと感じる。
それを無視して敢えて語るならば、娯楽性が低く上映時間の長い映画であることは欠点で、授業で流されたりなんかした日にゃ居眠り決定じゃん、なところもある。

しかし、ここからが面白いのだが、この作品は一種のバロメーターになっている作品であろう。
つまり、この当時の香港映画台湾映画を知ってれば知ってるほどこの作品を面白く感じるだろうし、逆もまた然り。
つまりにつまり、これ、
僕のような人間になってる人ほど驚く映画なのだ
香港・台湾アクション映画に関する固定観念が完全に出来上がっており、
「こういうものだ。そういうものだ。」
とパッと連想させるもの以外のものが出てくるとそれだけでびっくりする。
例えば戦争映画好きでそれ系ばっかり観てる人が本作を観たところで大した驚きは無いだろう。他の傑作戦争映画との比較でその人の頭の中は始まるのだから至極当然。
だが僕のような人間だと・・・これ極少数だと思うが、台湾アクション映画と聞いて連想させるもの・・・野原・・・台湾映画村・・・ジャッキーがよく使った滝・・・ジャッキーがよく使った寺・・・嘘少林寺・・・護衛が5人しかいない皇帝・・・
こんなものを連想していた頭の中に突然、
大爆発!信じられない数のエキストラ!
戦車!軍隊!ゼロ戦!軍艦!うわぁあ!!・・・となってしまうのだ。

とこれだけ言っておいて、
これがもうバリバリの抗日映画であることは無視できない。
製作は1975年。
日本が中国との国交を正常化させ、同時に台湾は日本との国交を断絶、その矢先に蒋介石総統が亡くなった台湾にとっては孤立無援、漆黒の時代である。さらにその4年後にはアメリカとも国交を断絶している。
調べた結果、本作は西ドイツ資本の下に製作された映画だと聞く。
詳しいことは想像でしか補えないが、西ドイツと言えば他大国が国交を断絶した中で国交を台湾と結んでいた国だ。


■CAST&STAFF
監督・脚本 丁善璽(ティン・シャンシ)
出演 柯俊雄(オー・ジョンホン)
徐楓(シー・ファン)
林青霞(ブリジット・リン)
張艾嘉(シルビア・チャン)
黄家達(カーター・ウォン)
楊群(ヤン・チュン)
金漢
張翼(チャン・イー)
秦漢
張沖(ポール・チャン)
金剛(カム・コン)
陳鴻烈
聞江龍
游天龍
馮淬帆(フォン・ツイフェン)
田野(ティエン・イェー)
安平
易原
蔡弘
曹健
葛小寶
房勉
山茅(サン・マオ)
苗天(ミャオ・ティン)
葛香亭
戴良
柯佑民(ブラッキー・コー)
王宇
常楓
薛漢(シュエ・ハン)
策劃 張法鶴
製作 梅長齡
制作年度 1975


辛亥雙十
The Battle for the Republic of China



やっとこさ、復帰しました。
いやぁパソコンが壊れてからというもの、しばらくは仕方がないので、携帯メールとかプレイステーション3のコントローラで文章書いてましたよ。
くうーっ寂しい&面倒くさい!
携帯の文字打ちは苦手。遅い遅い!

しかし、今回のパソコンクラッシュで思いました。
やっぱバックアップはしなあかんなぁ。
HPのデータ軒並み消えました。なので自分がアップロードしたサーバから逆にダウンロードして補う形に。面倒くさい!

思えばその壊れたパソコンはとにかく音が凄くてねぇ。DellですよDell。
メーカー名言っちゃったけどDellDell。
買って半年ぐらいしたらもう、掃除機に匹敵する音がゴオーっ!
電源落とした時の音なんか掃除機まんま!中を掃除しても効果なし!
そのパソコンが死んだのでドラえもんがいなくなったのび太の部屋のように静寂に包まれてましたよ。こんなに静かだったのかと。
もうDellは絶対買わないぞ。
富士通とかNECとかでもういいや。昔はこれらも安定してなかったけど今は大丈夫でしょう。多分。

結局壊れたHDDを新品と入れ替えて、OSを入れ直しました。
そしたらよう!
DellのリカバリーCD-ROMのくせにそのCD-ROMにはDellハードに対応するドライバーが何も入って無くて音は出ないわ、アプリはインストール出来ないわ、ネットに繋がらないわで、またそれに対応したCD-ROM探すのに苦労してほんまにもう。未だにインストールが出来ないアプリもあるままようやくここまで来ました。
ネットの接続IDだとか接続パスワードだとか、もうその時の通知書探すのも一苦労であれですね、今度からはスムーズな復帰とバックアップを兼ねて、USBキーにパスワード類を書いたテキストと入れ直しに必要なものや手順を書いて入れて、ロック保存しとくとかしないとダメっすね。
1つ1つその場で思い出してやってたらメッチャ疲れます。

まぁというのも、単にその掃除機ボイスの大声Dellが復活しただけなので、熱暴走で度々フリーズしてたコイツがいつまで持つのか不安たっぷりですし、近い将来新機種を考えないといかんのよ。はぁ。

気を取り直して作品レビューに行きたいと思うべな。
本作は上記作品「ロンゲストブリッジ」と同じコンセプトで製作されたもので、やはり台湾市民への国家啓蒙が目的の作品になっている。
一番の注目点は勿論、本作が「ロンゲストブリッジ」を製作した中央電影公司とショーブラザーズが合同で製作しているという点で、スタッフキャストと共に他作品では有り得ない顔合わせが本作の大きな魅力の一つ。武術指導も台湾功夫映画の武術指導家として名を馳せ、朱延平(チュ・イェンピン)監督とのコンビ作も多い林萬掌と、唐佳(タン・チァ)や劉家良(リュー・チャーリャン)といったショーブラザーズの名武術指導家と共に数々の作品に武術指導クレジットの名を残した黄培基があたっている。

辛亥革命の1911年当時を扱った作品の為、 1937年日中戦争を扱った「ロンゲストブリッジ」程の火薬量ではないが、こちらのスケールも他台湾映画ではなかなか見つからない大迫力の作品である。


流れ(難しいので簡単に)


内戦は続いていた。
清朝を倒し、帝政を廃止させ、中華民国を興すために。
革命の同志たちは陳觀泰(チェン・カンタイ)や汪禹(ワン・ユー)、爾冬陞(イー・トンシン) 、上官役がいつもぴったりの柯俊雄(オー・ジョンホン)。
そして町の食堂親父としてひっそり暮らす傍ら、革命の指揮を執っていた狄龍(ティ・ロン)である。ちなみに妻役が現実に成龍(ジャッキー・チェン)の奥様である林鳳嬌(ジョアン・リン)さんである。

この状況を苦々しく思っていた清朝の高官である王道(ワン・タオ)は心を鬼にして革命軍を駆逐、容赦ない詰問尋問を繰り返し、革命軍の人物を洗い出していた。

しかし時代は流れていくもの。
爾冬陞をはじめとする数々の革命軍の同志たちは清朝に捕らえられ時代の犠牲となったが、最早弱体化した清朝には革命軍を抑える力は残っておらず、遂には王道も狄龍に追い詰められ、ここに他作品でもあるかもしんないけど、レアなマッチっぽい王道vs狄龍が!
流石はお互い功夫スターとして互角の腕を披露するが、いつの間にやら王道の方が多勢に無勢で捕らえられ、こっちはこっちで時代の犠牲者に。

長い革命軍と清朝との戦いの末に孫文によって中華民国が誕生するのであった。


終劇





清朝から中華民国に変わりゆく時代への悲哀と当時の台湾現況へのオーバーラップ、そして
「それでも頑張れ!」
と観てる観客を鼓舞するような演出が見事で変な話、最高の啓蒙映画である。
もう本当に今回も丁善璽(ティン・シャンシ)監督やるな!
と思うしかない。
さらに言えばその演出に乗ってドラマを繰り広げるのは、ご覧の通りのオールスターなのだから。

個人的に一番輝いていたと感じたのは王道である。B級功夫映画スターのイメージが強い、というかその通りなのだが、そのB級アクション映画の巨匠・李作楠(リー・ツォナン)監督に鍛えられたのだろうか、本作では清朝の高官を憎々しげに演じつつも一方で我が妻子を思いながら、時代の流れの犠牲者になる哀しき悪人を堂々と演じており、単なる二枚目功夫スターに終わらない幅広い彼の演技には感嘆させられた次第だ。

注目のジャッキーワイフ、林鳳嬌だが残念ながら印象に残る活躍が少なくイマイチだったかな。

「ロンゲストブリッジ」と本作で感じたのはとにかくスケールのデカさ、迫力のスペクタクル感で、このスペクタクル感にさらに強い娯楽性を加味すれば最高のアクション映画が出来るのではないか?
というのは誰しもが考え得る事で、
そのスペクタクル感抜群の演出を施した丁善璽監督は本作の2年後に、ある映画の執行導演を務める事になる。
その映画の名は「プロジェクトA」。
ジャッキー映画最高傑作の誉れ高い作品である。


■CAST&STAFF
監督 丁善璽(ティン・シャンシ)
出演 狄龍(ティ・ロン)
林鳳嬌(ジョアン・リン)
王道(ワン・タオ)
柯俊雄(オー・ジョンホン)
劉皓怡
陳觀泰(チェン・カンタイ)
王〔王王〕
劉コ凱
汪禹(ワン・ユー)
凌峰
爾冬陞(イー・トンシン)
羅莽(ルー・フェン)
徐明
楊志卿
苗天(ミャオ・ティン)
金永祥
房勉
戴秉剛
呉可
李長安
陳思佳
楚湘雲
江洋
葛天
・森
楊烈
金士傑
伍克定
鐵人
黄天儒
王コ生
陳良月
張嘉泰
雲天柱
歐立保
楊倫
胡威
王復蓉
于世耕
艾絲
武術指導 林萬掌
黄培基
脚本 丁善璽(ティン・シャンシ)
小野
音楽 駱明道(ロー・ミンタオ)
策劃 方逸華(モナ・フォン)
製作 明驥
方逸華(モナ・フォン)
製作総指揮 邵逸夫(ランラン・ショウ)
黎世芬
制作年度 1981


策馬入林/逃亡
Run Away



この作品を観るきっかけはひょんなことで王羽(ジミー・ウォング)先生のトンデモ映画「神拳大戰快鎗手」で敵のくの一を演じていた張盈真さんが何とは無しに可愛くて、ちょうど台湾ニューシネマについての文献を読んでいる際に本作が張盈真さん主演であるとわかったので観てみました。
台湾ニューシネマ、いわゆる'80年代から'90年代にかけてのその潮流に乗った作品というのは片手で数えられるほどしか観ていないのだが、本作を観てやはりいきなり当時の台湾の方々の想いを掴むのは難しいなぁと思ったのであるが、同時に「結局そうだよな」と思うこともあった。


流れ(簡単にしか書けへんが)


盗賊に襲われ、農作物を差し出すことになったとある村。
ただ今年は不作で・・・というか差し出したら村が飢え死にしてしまう、ということで村長が抵抗。
それを見ると盗賊は村娘・張盈真を誘拐、数日後に農作物と交換だと言って立ち去る。

牢屋に入った張盈真を監視するのは盗賊・馬如風。
小汚い村娘・張盈真を泥水で洗って虐めるなど彼に情は微塵も無かった。

数日後。
農作物を用意して待った村民たちであったが、これは官憲の協力も得て村民たちが張った罠。
すぐさま農民vs盗賊になると両者多数の犠牲者を出し、形勢不利になった盗賊は逃げ出したのだが、盗賊の頭が捕まってしまい、官憲によって斬首。

頭は殺される、食糧は奪えないと良いとこなしの盗賊。
残ったのは村民が奪還出来なかった張盈真であった。
仕方なく張盈真は自力で逃げようとしたが、馬如風によってこれを阻止され、気概のある張盈真は馬如風を殺そうとしたので、逆に馬如風によって犯されてしまう。
犯してからじゃ遅いが、流石に良心が咎めたのか、放心する張盈真を殺さずに連れて行くことにする馬如風。

「そんな女、殺してしまえ!」
アジトに戻れば当然頭を殺した村の娘ということで、盗賊同士で揉めるのであるが・・・驚くことに本作はむしろ盗賊たちが揉めてるところがメインストーリーなのだ。
その後も
「おや?あれ?張盈真って結構かわいいじゃん」
と気づいた他盗賊たちや馬如風との張盈真奪い合いや、悪天候から疫病にかかってしまってどうしたもんだべさ、そもそも食糧強奪に失敗しているのでどうしたもんかということでしょーがないから騎馬を殺して食べたりして何とかやり過ごす。
帰ろうとすれば殺されるとわかっている世界の中で張盈真は何とか自分の居場所を見つけ出し、生きようとしていた。また、いつの間にか馬如風は張盈真を心の支えとしていることに気づいていた。

そんな時、近々金塊護送団がやって来るという情報を聞き、当然彼らは盗賊なのでこれを襲う算段を。しかし、頭いない馬いない病人いると弱体化した盗賊たちが戦いを仕掛けるのは無謀ではないのか?盗賊たち誰しもがそう考えながらも背に腹は変えられないとばかりに・・・


終劇






もの凄く早い段階で、ああこれは黒澤明だ、「七人の侍」だとわかってしまう作品で、いわゆるなんちゅうかなぁ邦画を見ている目からしてみれば演出・カメラワークに斬新さは何も無い。変な話、台湾B級娯楽映画の方が日本人にしてみれば良い悪い関係なく斬新なわけで(「狼女白魔」なんかその代表ね)、黒澤明作品等に慣れ親しんでいる私たちにとっては、本作の映像美は文字通り美しいものがあるけれども、模倣の範囲から抜け出せていないという印象が強い。まぁ、香港ニューウェーブ作品と比較したときにオリジナリティは香港ニューウェーブ作品の方が遥かに高いなと、少なくとも本作だけを比較すると思ったわけで。

とは言いつつも、てっきりバリバリの「七人の侍」展開で行くのかと思ったら序盤であっさり盗賊が敗退しちゃって、その後は村が映し出されることもなく、盗賊たちのモメモメとその中で生きる張盈真という少女の描写がメインになるとは思いもよらなんだ。まさかそっちに焦点を当てるとは。

劇中に登場する張盈真は汚い格好に終始するもやはりその瞳は美しく、くるくる表情を変える歩く万華鏡のようなデビュー当時の章子怡(チャン・ツィイー)を彷彿とさせるものがあり、監督が抜擢したのも納得に値する一世一代の芝居を見せている。一言で言って、良い女だ。
ただ、それこそ監督は張藝謀(チャン・イーモウ)ではないのでカメラが張盈真だけを追ってくれる事は無くあくまで全体風景の一部分、随分と良い演技がそして表情がそのまま画面に表れることなく見過ごされているような気がして残念。もっと彼女を見たかったのに。
なんてったってこれ、彼女を除けば全員がむさ苦しい男どもしか画面に出てこないからね。

単純に面白いかどうかだけで言えばまぁまぁの作品なんだよな。
映像は綺麗だが模倣感が強くて新鮮味は無いし。台湾映画が新しいことに挑戦しているという気概は十分に伝わってくるんだけれど。

私が「ロンゲスト・ブリッジ」で台湾映画への認識を覆されたと述べているように、台湾ニューシネマ時代が始まるまでの台湾映画はなかなかA級には成りきれない娯楽映画が多く、一部を除いてレベルの高い作品ではなかった、というのが世間的にも通説であっただろう。
だからこそ、国をあげての映画革命が始まったわけだし、後には

「冬冬の夏休み」「悲情城市」「ウェディング・バンケット」等といった傑作が産まれるに至ったわけである。
国をあげてと言ったがそこに台湾映画が進化した理由が存在する。

日本然り、香港然り、台湾然り。
良い作品が生まれて来る時代は必ず国が↑を指している時であり、↑だからこそ映画もバンバン作れるのであるが、映画の内容は国の現状や未来・過去を憂うものであることが多いのが如何にも皮肉だ。
日本がバブル絶頂期に向かって行く最中、
「世の中、本当にこれで良いのか?」をテーマにした邦画は実によく生まれた。その作品の内容が当時の現況や未来を言い当てていたとしてもだ、
その作品そのものは当時国が↑だったからこそ製作出来たのではなかろうか?という皮肉からは逃れられない。
今現在、作られている邦画と比べてみるとよくわかる。
同じことが台湾ニューシネマ時代にも言えるだろう。
ちなみに香港は当時、国が上向きとはいえ、1997年の香港返還、そしてその確定された未来を一層不安な青写真に落としこんだ天安門事件と、バンバン作れるわ、でも不安がハンパないわで、何故あれほどまでに'80年代〜'90年代前半の香港映画にパワーがあったのか、熱気があったのかと言うのも自ずと理解出来るというものである。

■CAST&STAFF
監督 王童(ワン・トン)
出演 馬如風
張盈真
古軍
沙利文
陳慧樓(チェン・ウェイロー)
ケ炳辰
王瑞
李文泰(リー・マンチン)
丹陽
管管
何維雄
劍龍
呂雲保
裴コ雲
楊元璋
魏伯勤
張宗貴
武術指導 葉照旭
楊平安
脚本 小野
蔡明亮
原作 陳雨航
音楽 張弘毅
策劃 趙g彬
製作 林登飛
製作総指揮 許新枝
制作年度 1984


大蛇王
Thunder of Gigantic Serpent



上記の「策馬入林」と同じ製作年度の同じ台湾映画で、ちょっとレビューを読み比べてみると面白いものがある台湾娯楽映画である。「策馬入林」が出た同時代にこのような作品があったのか、と考えるとやはり台湾映画は随分と遅れていたのは明白である。

台湾でも登場しますか!

と思ったのは李修賢(ダニー・リー)さんで、ショーブラザーズ所属時代はそりゃあもう

実録ブルース・リーの死」「北京原人の逆襲」等などそして極めつけは「中国超人インフラマン」とイロモノゲテモノ映画を十八番としていた、せざるを得なかった?李修賢さん・・・って台湾でもまたこういうの出てますよ!

考えてみりゃよくこれで「狼 男たちの挽歌・最終章」とかで注目されるような俳優さんになれたなと思うな。よう頑張らはった。


流れ


まぁ大体簡単ですよ。
川遊びしに行った台湾の普通の女の子・珮珮は、その川で蛇を見つけて
珮珮 「へび、カワユス♪」
なんて思ったりなんかして、
赤丸が蛇のモスラーちゃん
モスラーって名前付けて飼い始めたりなんかして、
あんた名前がモスラーって、それそのまま日本の・・・

一方、どっかの研究所では

張沖(ポール・チャン)が指揮する軍の下で、生物巨大化の研究が続けられていた。ほんでもって研究は成功。アマガエルがね、
ゲロゲーロ♪
こんなに大きくなりました。ゲロゲーロ♪
いやいや凄い研究成果ですね!

だがしかし!
なに涼しい顔して出演してんだ
ここにテロリスト戚冠軍(チー・クワンチュン)集団が立ち塞がる!
戚冠軍もなんでこんな仕事やってんだ。
ああ、功夫映画下火で仕事が無かったのよね・・・
研究所を襲うテロリスト達!
1人の女性研究員を残して後は全滅!
警備していた軍はショボショボでテロリストに負けてやんの。
軍ですよ、軍。それが負けるのかと。
車で1人で逃げた女性研究員だったが途中で事故ってしまい、
生物を巨大化させる特殊ボックスが紛失。

その特殊ボックスを偶然拾ったのは勿論、珮珮ちゃん。
珮珮 「蛇入れておくのに調度いいんじゃね♪」
なんて感じで蛇入れたじゃん。だから、
早速、蛇も巨大化!
これあれですな、もう珮珮ちゃんを飲み込めるサイズですな。

この後、テロリストは珮珮ちゃんの家まで嗅ぎ付けて襲撃したりしますが、軍よりも頼りになる警察(なんでやねん)のおかげでテロリストは何とか撃退。
・・・って、勿論そんな場合じゃなくて、
蛇でかっ!!
ぼーやー♪よいこだねんねしな♪
「まんが日本昔ばなし」
これ是非、Googleで"まんが日本昔ばなし"で画像検索してください。
こんな感じでぼーやが乗ってますから(ありゃ龍だ)。

ということは

最後はキングコングのようになっちゃって、台湾の町が大変なことになってもうたので、さっきのテロリストにも勝てなかった軍が倒さないとこれはどうしようもありませんよ。


終劇





ぼーやー♪よいこだねんねしな♪
これから番組が始まるオープニングでねんねしな♪
って唄うのもどうかっていう・・・

うーん・・・
まぁ悪くなかったけどあれやね。
大人が観るには物足りない映画やね。
そう考えると同じような「北京原人の逆襲」って映画は

こんな感じでお色気シーンも満載、序盤は川口浩探検隊的面白さもあるし、色々工夫されてたんだなって思ったりなんかして。いやそっちは俺のようなエロ親父向きか、子供には向かないか。

思えばそうですねぇ、生まれて初めて観た映画が

「ドラえもん のびたの恐竜」だったかなぁ?
違ったかもしれんが、これを思い出しましたねぇ、前半は。
巨大化した後はSFがちゃちくてなぁ・・・

李修賢は大した活躍しませんでした。

■CAST&STAFF
監督 徐玉龍
出演 珮珮
李修賢(ダニー・リー)
梁修身
伍楓
張沖(ポール・チャン)
戚冠軍(チー・クワンチュン)
周瑞舫
康威
康凱
龍天翔
川原
葛小寶
楊雄
姜大川
李菁芳
呂耀華
金劍
林光進
曾超
萬里鵬
朱昆洋
脚本 呉文良
姚慶康
音楽 黄茂山(ウォン・ムーサン)
策劃 朱占美
製作 傳仁和
製作総指揮 李信
制作年度 1984
 
 
 
 
 
 
 
 
 

狼の墓場
ロンゲスト・ブリッジ
辛亥雙十
策馬入林
大蛇王
inserted by FC2 system