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サモ・ハン・キンポー(洪金寶)4  


五福星撞鬼
Ghost Puntinggers



いやあの・・・もういいんじゃないの?
と思わせる福星シリーズ第・・・???
ええと、
五福星
大福星
七福星
十福星
・・・んで本作の前に洪金寶(サモ・ハン・キンポー)抜きの「福星闖江湖」があるので、第6弾!・・・になると思います。
オールスター喜劇としては「ハッピー・ブラザー」等の家有〔喜喜〕事シリーズに取って代わられてしまった感があるのだが、一度見た夢はなかなか捨てられないのが人というもの。
羅維(ロー・ウェイ)は一度見た「ドラゴン怒りの鉄拳」の栄華を追い続けた。
シネマシティは栄華を極めたエースシリーズの夢を追い続けた。
そして、福星シリーズを作った男達もまた、その夢を追い続けたのである・・・
なんかこれだと話が終わってしまうな。


流れ


ううん・・・
真面目に書くようなあれかなぁ・・・やっつけよう。

陳百祥(ナット・チャン)は殺される。
何故って俺があんまり好きな俳優じゃないので。
じゃなくて、マフィアに狙われてとにかく殺される。

五福星!
おお、今回は「大福星」時の
洪金寶、曾志偉(エリック・ツァン) 、馮淬帆(フォン・ツイフェン)、呉耀漢(リチャード・ウン)、秦祥林(チャールス・チン)といった懐かしいメンバーが顔を揃えている。
で、決まって何するかと言えば・・・ナンパですか・・・はぁ。
あなた達、既におっさんどころか初老に近い年齢なんじゃないの?
てなわけで、曾志偉は盲人のフリして女の子に近づくも逆に財布スラれて逃げられる、馮淬帆は不細工に惚れられる、呉耀漢はお馴染みの淫乱黒魔術を使うけど間違って男にかけてしまうでナンパ失敗。

どーも、旅行に誘う女の子を捜してたようで。
結局引っ掛からないので五福星だけで旅行に。

制作費の安さも相まって(この五人じゃギャラも結構いくだろうし)、旅行先が今までの日本とかパタヤとかと違って、なんかこれ・・・地元近辺ですか?僕が有馬温泉行く程度の旅行って感じ。
ワンバトルはあったものの、かなり盛り上がらない旅行でホテル。
隣の屋敷からお化けっぽい声がするので、捜索に出かけたサモハンとオカルト大好きな呉耀漢。
屋敷でイチャイチャする陳百祥お化け。うぎゃー!

サモハン 「というわけで、お化けが出たんすよ」
シベール 「あほか、お前ら」
相談を受けたのは婦警の胡慧中(シベール・フー)。おお一応物語をシリーズ的に繋げてはいるのね。胡慧中に「七福星」でフラれたサモハンなのです。
シベール 「ほな他の女刑事とか派遣させるから帰れ。あほか、お前ら」

んで、ここから「天使行動」シリーズでも良いアクション見せてた呂少玲も合流してお化け捜索が始まるのだが、サモハンが消えます(笑
お化けはあんただったのか?ってぐらいにドロンしてます。
多分、こっから先のホラーコメディ部分はその辺が得意な劉觀偉(リッキー・リュウ)監督に任せて、別の仕事行ってるか、昼寝してるか、料理作って綺麗な奥様と一緒にランチです。

まぁやって来た派遣女刑事とイチャつこうとしたり、陳百祥お化けを使って葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)と麻雀イカサマやろうとしたりなんかして、残りの四福星はサモハン再登場まで時間を稼ぐといった感じです。

やっとサモハンも合流して、
ラストバトルはマジガチンコ!
遂には陳百祥を殺したマフィア組織をぶっ潰すぜ!


終劇





昼間っから堂々とお化け陳百祥がウロチョロしてるのはかなりどうかと思うが、まぁいいや。

ラストバトルを除いて水準一個下の出来上がりである。
そもそもあくまで推測だが、全体を曾志偉(エリック・ツァン)が見て、ホラー部分を劉觀偉が監修して、ラストバトルをサモハンと元奎(ユン・ケイ)で締めるみたいな監督のバトンリレーを行っているので全く統一感は無い。
お馴染みのギャルナンパやセクハラはもうどう考えても年齢不相応で
「いい歳して何やってんじゃこいつら」
の思いの方が強いので、あんまり面白いと思えないのね。
タルい展開が疲れちゃうのは何故かと言うとそりゃ簡単で、以前のシリーズにはユルいコメディの合間にジャッキーらが見せる超絶アクションがあったわけよ。というより、むしろそっちがメインであってコメディ部分は箸休めにしか過ぎなかったはずが、いつの間にか面白さのメインであるという風になっちゃってるのが頂けないかな。どこが面白くて評価されたのか。楽しいコメディと激しいアクションシーンの取り合わせが良くて評価されたと思うのだが。
も一個、福星シリーズに無くてはならないものが本作には欠けてるのね。
それは何かと言うと、勿論オールスターですよ。
ゲスト出演が少ない!
胡慧中だけ!しかもそれって以前の準レギュラーじゃん。
あと誰もいないの。葉榮祖なんて本作のスタッフじゃん。
なので、こんなところにあんな人が!な楽しみが全く無いというのは頂けないですねぇ。

しかし、ラストバトルを除いてと述べたようにここは流石にサモハンで、まるで突然「ペディキャブ・ドライバー」に映画が代わったかのようなハードアクションを見せており、ガチンコサモハンの白人対決も迫力があって面白い。
サモハンバック転キック!
このバトルは「死闘伝説」のような功夫ダイジェストムービーでも観たことがないので中々貴重だと思います。というか良いバトルです。
も一つ、呂少玲も敵のパンチラ(というかモロパン)女とバトルするのですが、こっちも良いです。こっちは元奎演出っぽいな。

なので、ラストバトルだけは面目躍如で良いのだが全体的にはなぁ・・・
やはり一度見た夢をもう1回見るのは難しいですねぇ・・・

■CAST&STAFF
監督 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
元奎(ユン・ケイ)
曾志偉(エリック・ツァン)
劉觀偉(リッキー・リュウ)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
曾志偉(エリック・ツァン)
陳百祥(ナット・チャン)
馮淬帆(フォン・ツイフェン)
呉耀漢(リチャード・ウン)
秦祥林(チャールス・チン)
胡慧中(シベール・フー)
呂少玲
邱月清
秦豪
呉嘉文
薛瑪莉
陳妙瑛
胡惠中
陳麗梅
劉觀偉(リッキー・リュウ)
葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
黄夢〔女尼〕
藍靖
謝偉傑
黄凱森
陳中泰
許思敏
秦虹
動作指導 洪家班
元奎(ユン・ケイ)
脚本 黄炳耀(バリー・ウォン)
音楽 周錦祥
製作 葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
製作総指揮 張玉英
洪國興
制作年度 1992


運財五福星
How to Meet the Lucky Stars


まだある!
シリーズ第7弾。
もういいだろう頭冷やせな気分だがまぁいい。
「五福星撞鬼」は流行りの・・・いや流行りを取り入れることさえも遅すぎた感があるがホラー要素を取り入れてより新たな面白味を出そうとした。
で、それから4年後の今回はこちらもブームに遅刻しているが、ギャンブル要素、賭神要素を取り入れて同様の作り方をしている。
本作が福星シリーズの今のところファイナルである。
そもそもサモハン祭りを私がやろうと思った1つは、まぁレビューに連続性、今回は例えばサモハン関連作品にずっと焦点をあてていくことで何か見えてくるものもあるのかなと。
バラバラだと見えないが固まると納得できる謎や発見があるのではないかということで、始めてみたんです。
まだ祭りは第2弾ですが、早速見えてきたのかなと。そういう感じもありまして、はい。

んでこの作品ですが、しかしぐむぅ・・・


流れ


賭王と呼ばれる陳觀泰(チェン・カンタイ)は、新進気鋭の女ギャンブラー・宮雪花と対戦したがイカサマ対決に負けて逮捕される。
冷酷なギャンブラー宮雪花に賭博界を牛耳られてはタマラン、というわけで曹達華(チョウ・ダッワー)警部は一案を練る。

ATMで引き落とし中の馮淬帆(フォン・ツイフェン)。
何故かATMからゴソゴソ金が出てきたので、喜んで取ってったら・・・というかこの伏線が大して意味が無いのだが、突然洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が出てきて気絶させられる。
「金を倍以上にして返してやるから宮雪花倒せ。五福星再結成よろしく。」
・・・なんで五福星がそんなことしなきゃならんのかわからんな。かなり強引。
しかもこれね、ここに出てくるサモハンはどうやら五福星メンバーのサモハン役ではなく、新たなキャラクターとして出てきた刑事のサモハンなの・・・意味わかりました?同じ人が違う役で出ているのね。だから馮淬帆にとってこの刑事サモハンは知らない人なの。

というわけで、火星(マース)や袁祥仁(ユアン・チョンヤン)のような懐かしいメンバーと麻雀していた苗僑偉(ミウ・キウワイ)とかいつも通りの仲間を集めて五福星再結成・・・してない!
こっちの福星メンバー役のサモハンがいねぇ!
代わりに出てきたのが少林寺からやって来たという僧侶・劉コで、こっちにしてみれば
「ああコイツがサモハンの代わりでアクション担当ね」
ってな気持ちになっちゃうわけね。
ほんで、シリーズパターンとしては五福星に付き添うヒロインが必要ですな。というわけで今回は葉芳華(フランソワーズ・イプ)たんが来ましたぁ!プロポーション抜群おっぱいたっぷり!

で、まずは宮雪花を倒すためにギャンブルの腕を上げないといけません。
ここで武侠影后・鄭佩佩(チェン・ペイペイ)様がギャンブル師匠として登場。合間に葉芳華へのセクハラを挟みながら・・・しかしあれですねぇ、流石は英語ペラペラグローバルインターナショナルコンチネンタルセンチメンタルの葉芳華様ですから、今までの古式なヒロインのように露骨に嫌がったりせず男を傷つけずにサラリと笑顔でセクハラを避けるところが素晴らしい(どこ評価しとんねん)。
んで、ギャンブル修行・・・・・・うーむ。

いざ実戦で成奎安(シン・フイオン)とやり合ったり、陳百祥(ナット・チャン)とやり合ったり・・・うーむ。

うーむうーむと言ってるのは勿論サモハンのことで、
これサモハンは怪我して入院中の設定でやっぱ全然出てきません。

いよいよ宮雪花と対決だ。
この対決の司会はドラゴンアイドルNo.1であり続けた功夫映画永遠の恋人・苗可秀(ノラ・ミャオ)さんが務めます。
しかし・・・今更ながらノラミャオて誰が付けた名前でしょうね。
ノラ・・・ミャオて。もう子猫ちゃん。
ノラ・・・ワンて。もう子犬ちゃん。
ノラ・・・カーカカカ。もうアシュラマン。
ノラ・・・マキマキー。もうミスターカーメン・・・
ノラ・・・・・・こ、こんなネタで文章稼いでるのが何でかわかるか!?
ラストになってもサモハンが出てこないからだ!!

もういい!バトルだ!
というわけで始まるラストバトルサモハン抜き!
当たり前だがサモハン代役の劉コが良い動きを見せる。当たり前だ。
良い動き出来るからこそ代役させてもらってるんだ(キレ気味)。
葉芳華たんと vs 黎強權(ベニー・ライ)さんといったマニアックな対戦もあるよ!
いよいよ宮雪花を追い詰めた最後の最後でサモハン登場!


終劇





ラストは何故かモテモテな感じのサモハン・・・・・・うむむ・・・
ああ・・・・・・
つまんねーもん見たなーこれ。

ここ最近はつまんねーもんもそれなりに楽しんで見てたんだが、この作品は終わった後、「つまんなかったなー!」とがっくり肩を落としてしまいました。しばらく落とした肩を探すような。
確かに「五福星撞鬼」とは違ってこちらはゲスト出演が豊富で、お金もこちらの方がかかってるのですが、敢えて選ぶなら「五福星撞鬼」の方がガチンコバトルがある分まだいいですね。
最佳賊拍档」で確かな監督の腕前を披露した陳勳奇(フランキー・チェン)の評価を帳消しにしてしまうようなキツイ作品でありました。
観れば明らかに見えてくる(サモハンが全然出てこない等)様々な事情も含めて彼一人の責任では全く無いことはわかりますけどね。

劇中では許冠傑(サミュエル・ホイ)が「Mr.Boo!!ギャンブル大将」で唄った主題曲"鬼馬雙星"が替え歌で全編に渡って流れるのですが、唄ってるのは曾志偉!はっきり言ってヘタクソ!狙いなのはわかりますが、濁り声が心地悪いですな。サビの"鬼馬雙星♪"は"五福星♪"に替えてあります。
アクション面についてはそこそこ。

さてその連続して観ることで発見できたものでありますが、
その"五福星の夢をもう一度!"というのを何もサモハンが観てたわけじゃない、ってのがここまで来るとわかります。
1996年と言えばジャッキーが「ファイナル・プロジェクト」、周星馳(チャウ・シンチー)が「食神」、当のサモハンは翌年に傑作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ 天地風雲」と久々にジャッキーと組んで「ナイスガイ」でメガホンを取っており、何をどう考えてもこのタイミングで本作で本気で大ヒットを狙っていたのなら、その見通しはかなり甘いと言わざるを得ません。
それよりもゴールデンハーベストとサヨナラしたサモハンに頼み込んで本作にちょろっと出てもらい、いわゆるある程度、あくまである程度の興行収入を見込んだ映画だったと思われます。製作総指揮は許麗華(シューリー・ホワ)。古くはジャッキー「少林寺木人拳」や「蛇鶴八拳」を羅維(ロー・ウェイ)と共に制作したその人・・・うーむ・・・だってさぁ、
昔は苗可秀も曾志偉も許麗華の近くにいたんだもんなぁ。
鄭佩佩も陳觀泰も。

■CAST&STAFF
監督 陳勳奇(フランキー・チェン)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
馮淬帆(フォン・ツイフェン)
曾志偉(エリック・ツァン)
呉耀漢(リチャード・ウン)
苗僑偉(ミウ・キウワイ)
葉芳華(フランソワーズ・イプ)
劉コ
宮雪花
彭丹
鄭佩佩(チェン・ペイペイ)
陳觀泰(チェン・カンタイ)
陳百祥(ナット・チャン)
苗可秀(ノラ・ミャオ)
何柏光
龍方(ロン・ファン)
曹達華(チョウ・ダッワー)
火星(マース)
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
盧冠廷(ローウェル・ロー)
太保(タイ・ポー)
成奎安(シン・フイオン)
苑瓊丹
沈威
麥鶴頓
金瑪莉
黄一山
伊凡威
劉永(トニー・リュウ)
段偉倫
鬼塚
米奇
黄樹棠
陳鴻烈
葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
黎強權(ベニー・ライ)
張華
陳達廣
秦貴寶
黎強根
黄莎莉
馬コ鐘
丁羽
張同祖
黄雄
動作指導 袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
火星(マース)
脚本 李智為
李炳光
李慕瓊
音楽 Roel A. Garcia
製作 曾志偉(エリック・ツァン)
製作総指揮 許麗華(シューリー・ホワ)
制作年度 1996


福星闖江湖
Return of the Lucky Stars


まだある!(笑
福星シリーズ最後のレビューをお送りします。
本作はシリーズ第5弾にあたる作品で今度は誰が夢を見たのか、今回は洪金寶(サモ・ハン・キンポー)はそもそも制作に全く関わっていない。関わっていないのでカテゴライズが間違ってもいるが、そもそもシリーズの始まりはサモハンありきなのでこちらで。
そんでサモハンのポストを代わりに務めたのは劉嘉玲(カリーナ・ラウ)。
そういえば「クラッシュ・エンジェルズ 失われたダイヤモンド」以外の作品でこの人のアクションを観たことがない。
本作では見せてくれるのでしょうか?
・・・はてさてほいほいくるりんぱ。


流れ


ああ・・・
もうここまでしつこいと疲れるなぁ。
馮淬帆(フォン・ツイフェン)
曾志偉(エリック・ツァン)
呉耀漢(リチャード・ウン)
苗僑偉(ミウ・キウワイ)
四福星の発情期。
やっぱり冒頭から姉ちゃん騙してスケベぇ作戦発動。
女装して姉ちゃんの裸見るとか、そんなんばっかり。
もうプロに行け!プロに!

そしてゲスト出演で、
鄭則仕(ケント・チェン)
王晶(バリー・ウォン)
陳百祥(ナット・チャン)警官登場。
今回は脚本が王晶(バリー・ウォン)!
五福星ミーツ王晶というのはなかなか興味深いがはてさて。
まるで小学校の理科室にあるよな安いスライドショーで、今回の悪い奴を紹介する曹達華(チョウ・ダッワー) 警部。

とりあえず今回の倒す相手はベテラン悪役・王青(ワン・チン)さん。
証拠を掴まないと逮捕も出来んということで、
その王青にハメられて逆にオリに入れられた盧海鵬から情報を聞き出すために、誰かを刑務所に潜入させましょう。ということで、四福星が。

金を下ろしに行っただけなのに銀行強盗にさせられる呉耀漢や、白人ナンパしただけで痴漢にさせられて逮捕される苗僑偉のシーンがそこそこおもろい。
程なく全員逮捕される四福星。

・・・なんちゅうか、ここまでヒロインとして劉嘉玲は出ているのだが、こっからは"プリズン・オン・ファイヤーin四福星"となってしまうのでサッパリ出てこない。これじゃあ呼んだ意味が全然無いぞ。
やっぱ刑務所なので、他の囚人にボコボコにされたり、馮敬文と李家鼎(リー・カーティン)から黒社会の徹底教育を受けたりと散々。

晴れて盧海鵬とも接触して情報を得る四福星。
警察の全面協力を得て脱獄(笑
ここの看守が逃げてるのを知らんふりしたり、スポットライトが逆に四福星に当たらないように逃げたりするシーンもそこそこおもろい。

が!
やっと再登場した劉嘉玲は撃たれて死んでしまう!まじっすか!
この人、何のためにこの映画に出ているのよ!

ラストバトル!・・・・か?


終劇





・・・・んん〜ぐむぅああ〜〜もうやっぱつまんねー!!

残念ながら福星シリーズ中、ワーストである。
本作に至っては豪華なゲスト出演は皆無、ハードなアクションも無い、サモハンがいない、代わりに来てるはずのカリーナまでもがロクに見せ場が無い、せっかく動作指導が劉家榮(リュー・チャーヨン) なのにアクションシーンに彼の活躍場をほとんど与えていない、もうほんとにないないづくしのミスターノーボディな作品だ。
そりゃ確かに脚本は王晶らしく、「男たちの挽歌」から「プリズン・オン・ファイヤー」などのパロディはちりばめてある。女好きの福星メンバーと下ネタ大好きの王晶なら取り合わせも良いはずだ。
小品ながらも面白い作品になる要素はそれなりにあったと思うのだが、完全に吹っ切れていない演出の中途半端さも災いして如何とも観る側にただただ退屈感を与えるだけの作品になってしまっている。

・・・これで福星シリーズのレビューが終わってしまうのでは何とも寂しいではないか。
是非、それなら夢の「超福星」を今更になって作ってみて欲しいところ。
ヒロインは林熙蕾(ケリー・リン)と鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)で。

■CAST&STAFF
監督 馮淬帆(フォン・ツイフェン)
出演 劉嘉玲(カリーナ・ラウ)
馮淬帆(フォン・ツイフェン)
曾志偉(エリック・ツァン)
呉耀漢(リチャード・ウン)
苗僑偉(ミウ・キウワイ)
盧海鵬
唐麗球
王青(ワン・チン)
曹達華(チョウ・ダッワー)
陳奕詩
馮敬文
李家鼎(リー・カーティン)
鄭則仕(ケント・チェン)
王晶(バリー・ウォン)
陳百祥(ナット・チャン)
許紹雄
劉家榮(リュー・チャーヨン)
成福安
何柏光
魚頭雲
陳敬
呉志雄
余國樂
趙俊超
徐寶華
劉崇峰
夏占士
伍國健
夏國榮
動作指導 劉家榮(リュー・チャーヨン)
脚本 王晶(バリー・ウォン)
音楽 周錦祥
策劃 曾志偉(エリック・ツァン)
製作 張國忠
製作総指揮 朱錫珍
制作年度 1989



猛鬼入侵K社會
My Flying Wife


サイクロンZ」という作品はジャッキー、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)、元彪(ユン・ピョウ)ゴールデントリオ最後の作品であった。
それ以降ははっきり言ってみんなまるでゴールデンハーベストを追われる様な形で去り、各々の活動を続けた(ジャッキーはもうちょっといたが)。

本作はやはりそんなもうサモハン何回目の過渡期と言うんでしょうね。
本作の特色として挙げられるのはサモハンが南燕(ナム・イン)と組んだというところか。
南燕はプロデューサー・脚本家として有名なお方でいわば真面目な王晶(バリー・ウォン)(笑 
脚本家としては周潤發(チョン・ユンファ)の「プリズン・オン・ファイヤー」「フルコンタクト」や曾志偉(エリック・ツァン)監督「安樂戰場」等などたくさんの傑作を残しており、腕も確かな人である。ちなみに、役者としては「男たちの挽歌3 アゲイン明日への誓い」での悪役が印象深いか。顔が濃い。

そんな南燕をプロデューサー・脚本に迎えてお送りするのは・・・
やっぱサモハンの好きなホラーものでした。
何かタイトルを読んだ時に、
「香港ノワールシリアス系かなぁ・・・」
と思っていましたが、タイトルに"鬼"がある時点でホラーなんですね。大抵の映画は。


流れ


早速、黒社会抗争勃発。
一人功夫アクションで奮起するサモハンであったが、功夫は銃に勝てず、あっさりと銃殺されてしまう。
天国か地獄への入り口へと導かれたサモハン、そこには殺されてやってきたサモハンの手下達がいて、
「俺達殺されてしまったのか!わーん!!」
みんなでワンワンオイオイ泣きまくり!

・・・サモハンの夢でした。
サモハンは車の整備工場を仕切る傍ら、黒社会の小ボスも務める人物。
心優しい感じなので手下からはとても慕われていた。

さて閻魔様。
場面変わって突然天国地獄の入り口です。
成奎安(シン・フイオン)のおっちゃんが閻魔大王です(笑
このゴツイ顔なら閻魔様にピッタリだぁ。
成奎安閻魔様なので賄賂OK!
さっさと転生したい人たちは賄賂を渡します。
その代わり、転生したい人たち(死んだから人ではありませんが)は現世で死んで間もない遺体を捜して、人魂をかっさらって来る必要アリ。

于莉さんは男に騙されて自殺直前です。
「自殺きたーっ!」
って感じで人魂狙ってる袁潔瑩(フェニー・ユン)とその息子登場。
しかし、それを助けてしまったのはサモハンの手下である霍瑞華。
「いらんことしやがって!空気読め!」
と、人魂取り損ねて怒り心頭のフェニー様。

特に霍瑞華は霊感が強いのが厄介でしたね。
ちなみに私も20歳になるまでは霊感・・・と言うべきかどうか変な感じはありました。猫がここで死んだかな?とか、今後ろに3人いたよな?とかそういう変な感じ。それを霊感と呼ぶのかわかりませんが。
というわけで霍瑞華はフェニーたんの子供に憑依されます。

外目から見れば霍瑞華が大騒ぎする子供になってキチガイ扱いって感じで大騒ぎ。
何とか霊を追い払おうとここはボスサモハンの威厳を見せなくてはなりません。
なので関羽様に扮して霊を追い払うサモハン(これが上記のパッケージ画像)。

なんで黒社会が悪霊と戦わなあかんねん。
って気持ちでしょうが、しょうがないので道士・黄光亮に見てもらいます。
「あきまへんな、こりゃ」
ってことで。

一方、フェニー様は友人(?)の悪霊・張耀揚(ロイ・チョン)さんに復讐を依頼。
また悪い奴に頼んだなぁ、こりゃ。

早速、ゾンビ引き連れてサモハン事務所で大暴れする張耀揚さん。
たまったもんじゃありません。
サモハンは小ボス。
大ボスがやって来て、
大ボス 「どこの組織にやられた!」
小ボス 「お化けです!」
大ボス 「アホかお前は!」
って感じで取り付くシマもありません。第一、シマ荒らされました。

そんな感じで、自殺を止められた于莉はサモハンの薦めで娼婦に。
・・・ま、黒社会なので仕方ないですな。
しかし、于莉に惚れていた霍瑞華はこれに納得できず、サモハンとケンカして于莉と事務所飛び出し。普通の香港ノワールならここで2人ともサモハンに惨殺されるのがお決まりですが、見逃してやる優しいサモハンでした(黒社会じゃないじゃん)。

そんな2人の心の隙を突いてまた霍瑞華に憑依するフェニー様の子供。
また子供になって戻ってきます。

「しゃーないな」
ってことで道士・黄光亮はサモハンに霊視能力を伝授。
遂にフェニー様と対面したサモハン。
そこから聞かされた話は驚くべきものでした。

フェニー様が生きていた時代・・・
いや、これは観てからのお楽しみってことで伏せとこうかしら。

ほんでもってやっぱ悪い感じだった張耀揚と対決だー!


終劇





いや・・・正直全然期待してなかったのですが結構面白かったっす。
アクション面はラストの張耀揚対決一発って感じで、後は全然無いに等しいですし、その辺で期待できない作品であることは間違いないです。
ただやっぱ南燕が書いた脚本はひねりのあるもので、明かされるフェニー様とサモハンの謎や、ラストの大小2,3あるオチも良いのでなかなか悪くない作品だったのではないでしょうか。明らかに小品ではありますけど。

黒社会の描写の点では、いつも出てくるハードボイルドな香港ノワールの雰囲気は微塵も感じさせないので違和感がありますね。ま、結局はこれホラーコメディという位置付けが正しいんでしょう。

■CAST&STAFF
監督 柯星沛(オー・シンプイ)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
袁潔瑩(フェニー・ユン)
于莉
霍瑞華
張耀揚(ロイ・チョン)
黄光亮
杜家豪
成奎安(シン・フイオン)
呉志雄
何家駒
韓坤
夏占士
徐寶華
龍彪
動作指導 李健生
脚本 南燕(ナム・イン)
秋〔女亭〕
音楽 劉以達
製作 南燕(ナム・イン)
製作総指揮 周國忠
制作年度 1991


脂粉雙雄
Pantyhose Hero


死闘伝説だっけな?
本作のラストバトルの映像が入っており、サモハンらしい肉と肉がぶつかり合うよなファイトに目を見張ったので思わず期待してみたのだがはてさて・・・
と見てみたのだが、これはかなり決定的にダメだったのが感想で・・・すまぬがこりゃだめだ。


流れ(超やっつけ)


刑事の凸凹コンビ、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と譚詠麟(アラン・タム)は我流の捜査で午馬(ウー・マ)上司にもどやされたりしていたが、功績は残していた。
暗躍する任〔火韋〕雄の組織をぶっ潰さなあかんということで、彼らに近づくために朱慧珊から女になるための指導を受けて、オカマになって捜査を続ける。
で、唐麗球というヒロインとイチャイチャしたら任〔火韋〕雄組織と対決だ。


終劇





・・・個人的には凄くつまらなかったな。
サモハン監督作ワーストかも。
前年に同じく監督作で「サイクロンZ」という傑作があるだけに、制作費も制作期間もスケールが違うといっても、この落差にがっかりした気持ちは否めない。

この感想には賛否両論あると思う、そこまで酷くないと思われる方も多分にいらっしゃると思います。
ただ、もうこれは完全に好みの問題で捜査の為に女如何を習って覚えてオカマになっての展開に些かの興味も面白味も抱けなかったのが正直なところ。内容のかなりの部分がこのオカマ奮戦記で占められているのでかなりつまらない。

また既に高麗虹(ジョイス・コウ)という美人を実生活でゲットしているサモハンが未だに出てくるヒロインにセクハラ紛いのそしてサディスティックな演出をしているとこにしつこさを感じるのもさすがに嫌悪感が湧く。いい加減落ち着けよと。ヒロインとのカラミがそればっかりやないかい。

アクション面にも問題が無いとは言えない。
確かにアクションそのものはハードバトルにしてレベルが高く、後の「ナイスガイ」に繋がるスタントもあって興味深いし、サモハンが車にガツン!とぶつかるスタントはかなり凄いものがある。
任〔火韋〕雄との決戦含むラストバトルもビルの工事現場という「ファースト・ミッション」を再現したかのようなアクションはレベルが高い。
しかし、チェーンソーで人をぶった斬ったり、ナイフを首にグサリや太保(タイ・ポー)の惨殺等の残酷描写がやたら激しく、オカマ劇とのギャップも有りすぎる。残酷描写がB級映画感を更に強調するイメージも嫌だしなぁ。
仮にオカマ劇部分を楽しく観てた人がいても、突然始まる残酷なシーンで冷めてしまうのではないだろうか。
■CAST&STAFF
監督・製作・製作総指揮 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
譚詠麟(アラン・タム)
唐麗球
朱慧珊
任〔火韋〕雄
林敏聰
鍾發(チュン・ファット)
程守一
潘震偉
田俊(ジェームス・ティエン)
午馬(ウー・マ)
徐寶華
班潤生
朱斗
麥偉章
周金江
葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
秦沛(ポール・チュン)
陳欣健(フィリップ・チェン)
太保(タイ・ポー)
元奎(ユン・ケイ)
盧堅(ロー・キン)
李景文
劉觀偉(リッキー・リュウ)
江苗定
林克明
黄志明
夏國榮
王志強
蔡國強
肥堅
黄凱森
動作指導 洪家班
袁振洋
小虎
脚本 黄炳耀(バリー・ウォン)
司徒卓漢(シートゥ・チャホン)
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
策劃 葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
制作年度 1990


八兩金/衣錦還郷
Eight Taels of Gold
8テールのゴールド


洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と監督の張婉〔女亭〕(メイベル・チャン)そして羅啓鋭(アレックス・ロー)と言えばやはり思い出されるのは「七小福/夢に生きた子供達」で、本作はその作品から立て続けに張艾嘉(シルビア・チャン)をヒロインに迎えて制作された作品で、確かに前作は傑作であったのだが果たして今回は・・・


流れ


サモハンはニューヨークでタクシー運転手。
そろそろ中国に帰って移民しなきゃってことで、故郷に錦なのでお土産やらおめかしやらいっぱいして帰る。

っていうか、いきなりその飛行機が落ちそうです(笑
かなりやばいって感じでテレコに遺言を残すサモハン。
・・・助かりました。

さて、やっとこさ実家に帰って親を呼びますが返事なし。
どーやら両親は移民のため、既にもっと片田舎引っ越したそうで。

小さい子供を抱えた友人の友人(?)である、シルビア親子と共に片田舎までロードムービーな旅が始まるわけだが、そうすると当然恋の鞘当的なシチュエーションもたくさん出てくるわけで、二人とも大人とはいえその辺の感情は拭わないわけで、旅を重ねていくうちに気持ちを交錯させていく2人であったが・・・


終劇





すいませぬ、大筋はわかったのですが細かな部分で理解できなかったところも多いので簡単に書きました。
と同時に現段階ではこの作品についての単純な批評は避けたいと思う。
話をちゃんと理解してからじゃないと失礼にあたるから。
最も、これは他映画にも言える事なのだがまぁ何とか堪忍してちょ。

ただそこにあったもの、見えたものは中国の当時の田舎の現状、雄大な景色、そしてサモハン&シルビアという両名優の伸びやかな演技。
これらに移民問題という難しい問題を投影させた、させられた監督の腕前である。

それにしても流石はサモハン、前作でコンビを組んだ監督はこう思ったのではないかな?
「 サモハンという役者をもっと使ってみたい!彼の役者としての力をもっと引き出してあげたい!」
それは本作を観れば明らかで、まぁ役者として良いんだわ、サモハンって奴は。
豪快で良い奴だけど問題を力で解決するようなアクション映画ではなくちゃんと小市民を演じきったサモハンに拍手。
近頃だと大御所的なゲスト出演扱いになってしまいがちだが、本作を観てるとそれではもったいない!
と思わずにいられないのだ。

ああ・・・アヒル口は可愛いなぁ。
ミッキーよりもドナルドが好きな僕としては、本作のヒロイン・シルビアのようにアヒル口で明るくガァガァな女性が好きですねぇ。実に清楚な可愛いエロチシズム。上戸彩もそうだし、張柏芝(セシリア・チャン)は口がアヒル口でなくても声がガァガァ声だし。

本作は字幕が無くとも、良い景色、良い演技、アヒル口の可愛さで十分に鑑賞出来る作品でしたが、正当な評価はちゃんと物語を理解してからにしたいと思います。


■CAST&STAFF
監督 張婉〔女亭〕(メイベル・チャン)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
張艾嘉(シルビア・チャン)
謝偉雄
顧輝
朱飛
脚本 張婉〔女亭〕(メイベル・チャン)
羅啓鋭(アレックス・ロー)
音楽 羅大佑
魯世傑
策劃 羅啓鋭(アレックス・ロー)
製作 岑建勳(ジョン・シャム)
製作総指揮 陳冠中
岑建勳(ジョン・シャム)
制作年度 1989


一刀傾城
Blade of Fury



楊凡が日本軍とバトルする冒頭から嫌な連想が駆け巡った。

本作は洪金寶(サモ・ハン・キンポー)気合いの剣劇大作であり、羅維(ロー・ウェイ)晩年、"大刀王五"を原作としたこれが羅維ラストのプロデュース作品である。

しかし、映画が始まってものの数分、僕は不安に陥ってしまった。
羅維、日本軍、そして英題にFury、と来てしまうとまさか・・・また怒りの鉄拳アゲインなのか?と思ってしまうのも致し方無いところなのだが、はてさて。


流れ(ところどころ間違ってる可能性アリ)


楊凡は大刀を武器に黒旗軍を組織する隊長。
いきなり冒頭から決死の覚悟で日本軍に戦いを挑む。
流石は黒旗軍、楊凡が教えた大刀術で日本軍に夜襲をかけ大ダメージを与えたのだが、地雷や銃といった現代兵器を操る日本軍には勝てず、楊凡以外の黒旗軍は結局全滅。
しかし命からがら逃げた楊凡は、逃げる間際に相手将軍の首を獲ったのでその功績は江湖に知れ渡る。

数年後。
放浪の旅をしていた名士の狄龍(ティ・ロン)と楊麗青(シンシア・カーン)は旅先の町で謀反を企む乞食党と朝廷との戦いを目の当たりにする。
参戦するつもりは無かったのだが朝廷の趙長軍扮する袁世凱を慕って着いて来た多くの人民が戦に巻き込まれ、それを助けるために参戦する。
これに参戦したもう1人の男、それが楊凡だった。
激闘の末に趙長軍が乞食党の首領・田俊(ジェームス・ティエン)を打ち倒して戦を制し、人民を守る。

趙長軍、狄龍、楊凡は国を愛する心は同じとばかりに意気投合。
特に元黒旗軍隊長の楊凡は二人に気に入られ、町に道場を開かせてもらう。

そして早速開かれる武術大会。
楊凡の名は既に町に知れ渡っていたが、これを快く思わない連中もやはりいた。
趙長軍の上官である黄錦江やライバル道場の劉洵(ラウ・シャン)である。
さらに対戦相手を殺そうとした男を止めに入ったことで確執は深まる。

一方、これを見ていた敵側道場所属の倪星(コリン・チョウ)は楊凡の技と武術家としての気高き心構えに心酔。入門志願。
「ダメダメ」
と追い払う楊凡であったが倪星に続いて弟子入り志願者多数出現。
しょーがないので全員弟子にする。
そして、かつての黒旗軍の同志たちへの思いを重ね合わせながら新たに集まった弟子たちを教えた。

栄枯盛衰。
しかしこれは極めて意図的に作られた栄枯盛衰。
楊凡を疎ましく思っていた連中が画策。
楊凡が日本人に強い怒りを覚えていることを利用し、わざと彼に日本から来た武士との和睦の薦めを朝廷を介して行う。
「それだけはできません」
これを拒否した楊凡、道場に帰ってみると弟子数人が何者かによって殺されていた。
そこにやって来た先程の武士。
「犯人はお前か!」
とばかりにこっちから襲い掛かってしまったために、駆け付けた趙長軍によって逮捕されてしまう。
趙長軍も朝廷の厳命故に仕方なくやっているのだが、事の顛末を予期して苦悩する。
趙長軍というかさすが袁世凱、エピローグは彼の中に既にあった。

これに怒ったのは楊凡の親友となった狄龍であった。
皇帝とも縁のある狄龍は勅旨を持って楊凡の解放を迫る。
おかげで解放される楊凡ではあったのだが、その際に守衛の首を刎ねてしまった狄龍が今度は逆に謀反人として逮捕され、斬首の刑に。

刑の前日、地下牢に狄龍を助けに向かった楊凡、
そこで待ち受けていたのは番人・サモハンであった。
サモハンのデカイ体から繰り出されるパワー抜群の刀術に圧倒される楊凡であったが、大刀術で何とかこれを凌ぎきり、サモハンとの力勝負に勝利する(殺しません)。
しかし、狄龍は脱獄を断った。
端から狄龍も死は覚悟の上だったのだ。
屍の上に歴史は作られる。

何の抵抗も見せずに斬首される狄龍。
しかし、結末は明らかだった。
かつての親友を斬首し、今もう1人の親友さえも殺さざるを得ない男がいた。
趙長軍。
酒に溺れた彼はその酔った体で酔剣の練習を1人繰り返した。
決戦のその時を予期して。

遂には始まる
楊凡、倪星、楊麗青 vs 趙長軍、劉洵らの一騎打ち!
楊凡の指導で抜群に腕を上げていた倪星や楊麗青の活躍で善戦はしたが、かつて自分が指揮した黒旗軍のように敵軍を斬って落とす代わりに倪星、楊麗青らも命を落としていく。
結局残ったのは楊凡と趙長軍、達人同士の戦いは壮烈を極め、戦いの流れは徐々に楊凡に傾いたのだが、気付いた時は既に遅し。
黄錦江率いる朝廷軍が楊凡を取り囲んでいるのだった・・・


終劇





こうしてあらましを書くと關之琳(ロザムンド・クァン)の存在意義が全然無いと言うか・・・宮内で姫様を演じてらっしゃいますが大きな活躍しません。

「やっぱりかぁ・・・ほらやっぱりやぁ・・・」
って感じに最後の最後はそういう気持ちになりました。
羅維最後のプロデュース作品もやっぱり"怒りの鉄拳"ライクな物語でありました。
銀幕復帰した鄭佩佩(チェン・ペイペイ)の「鐵娃」、
ジャッキーをスターにしようとした「レッドドラゴン」、
龍方(ロン・ファン)を第2のジャッキーにしようとした「雍正與年羹堯」、
そしてラストの本作。
羅維が力を入れて製作した作品はいつもこうだった。
ここまで"怒りの鉄拳"の夢を見続けていたのだと言われてしまうと晩年なので流石に悲しくなってしまう。彼は死の間際までその夢を見ていたことになる。ここまでくると良い悪いではなく余りに悲しいなぁ・・・

ファースト・ミッション」は超絶アクションと兄弟の友情愛ドラマを奇跡的に融合させた傑作になった。この功績がサモハン1人の力では無かったことは「脂粉雙雄」を観るとよくわかる。恐縮ながらサモハンのドラマを撮るスキルは高くないと言わざるを得ない。

だがしかし見よ!
とばかりにアクションメインのこの作品はそのアクションシーンになると実に生き生きとしたカメラワークになり心地良い躍動感に溢れている。
サモハンという才能の泉から次々とアクションアイディアの雛形が飛び出し、見事にシーンに当てはめられていく。やはりサモハンはアクションメインでガンガン行く作品を撮らせたら良い監督なのだ。

また大陸ロケである本作にサモハンと旧知の間柄である趙長軍を袁世凱役にそして武術顧問に抜擢したのは大正解で(李連杰(ジェット・リー)の後に中国武術会をしょって立った人物である)、京劇ベースのサモハン功夫スタイルとワイヤーアクション、そして本場中国武術の流麗さ、この取り合わせは私のような人間にとっては新鮮味あるものに映る。まぁどこがサモハンでどこが趙長軍の指導かだいたいわかってしまい、しっかり融合してないことも確かだがそれはさておき、趙長軍の酔剣演舞は流石に素晴らしく思わず見とれてしまう。役者としての芝居も良かった。

余り目立つシーンの無い楊麗青もラストバトルではとても魅せてくれる。
今となっては悪役ではなく主人公側で戦っている倪星も貴重だ。
注目のサモハン対楊凡は迫力のソードバトルではあるのだが、短いのが惜しいな。レベルは高いのでもちっと長ければサモハン名バトルの1つになったんだけど。「燃えよデブゴン6」を彷彿とさせるようなね。

キャスト面でもう1人語るなら田俊だろう。
どーも銀幕での活躍は本作がラストだったようで、これ以後の出演作があるのかどうか私は知らない。
役者晩年になると功夫を見せることは無くなり、無惨に殺される小ボスばかりさせられて見ていて気の毒だった田俊さんであったが、銀幕ラストの本作では・・・やっぱり殺されるんだけど往年の動きを取り戻したかのように功夫してくれるのが嬉しい。
思えば、羅維が独立プロダクションを設立した当時から田俊さんは彼の側にずっといた。
そして張徹(チャン・ツェー)にずっと付き添った狄龍の様に、田俊も羅維に最後まで付き添った。
想像でしかないが美談と言えそうである。

その狄龍については惜しいかな、狄龍が今までショーブラザーズ所属だった為、この素晴らしい役者を使いたくても使えなかった羅維とサモハン(特に羅維は狄龍主演で次々と送り出された「マジック・ブレード」「楚留香之二蝙蝠傳奇」等などの古龍武侠片に対抗してジャッキー主演で同じく古龍原作「キラー・ドラゴン・流星拳」「成龍拳」「燃えよ飛龍神拳・怒りのプロジェクトカンフー」を撮った訳で、本当のところ狄龍を主演に撮れたら良いのになぁ・・・と思っていたという想像がつく)がやっと狄龍を起用できた作品ではあるのだが、あくまで主演は楊凡であるため中途半端な活躍で終わってしまったのは惜しい。

まぁどっちにしろ、アクション面は良い作品なので日本でもソフト化されて良い作品だと思うのだが・・・


■CAST&STAFF
監督・武術指導 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
出演 楊凡
狄龍(ティ・ロン)
楊麗青(シンシア・カーン)
趙長軍
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
黄錦江
倪星(コリン・チョウ)
關之琳(ロザムンド・クァン)
劉洵(ラウ・シャン)
田俊(ジェームス・ティエン)
葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
陳國惠
王振田
武術顧問 趙長軍
脚本 司徒卓漢 (シートウ・チャホン)
張炭
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
策劃 葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
製作・製作総指揮 羅維(ロー・ウェイ)
制作年度 1993


七省拳王
The Manchu Boxer
電光飛竜拳



午馬(ウー・マ)。
そもそもこの午馬という芸名の由来は何なのか?
ってのを聞きたい。午後の馬?午前?
火星(マース)はスタントマン時代に見せた驚異的なジャンプ力がまるで重力を無視した火星人のようだということで名付けられたが午馬さんはさぁて。
午馬は「聾唖劍」「少林英雄」この二つの傑作を撮った監督として個人的には名高いが、彼の映画人生を遠巻きに見つめると監督としてのイメージよりもいつも裏で糸を引いているような、香港映画界の方向性をいつもこっそり軌道修正させていたような人物、という印象が強い。
張徹(チャン・ツェー)の独立に手を貸し、ジャッキーが初めて撮ったコメディ功夫映画「カンニング・モンキー天中拳」に何だか意味深な出演をしているのも思わず何かを勘繰りたくなる。
プロジェクトA」にも彼の影は散らつき、「ファースト・ミッション」を取りまとめたのは彼だとも言われる。そして「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」で徐克(ツイ・ハーク)のサポート。
役者としての彼の代表作はその「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」での道士役であるが、
奇蹟/ミラクル」で新米ボスのジャッキーを影で操る大老役も良かった。この影で操る大老役が実際の午馬の真のお仕事と被る気がするんだな。
張徹の下で午馬と共に助監督をしていた呉宇森(ジョン・ウー)は我が道を貫き、徐克のサポートを得て世界に飛び立って行った。何誌強(ゴッドフリー・ホー)はフィルマークに参画し、クズ映画の山を築いていった。
表立って香港映画界を先導していったジャッキーや洪金寶(サモ・ハン・キンポー)、そして曾志偉(エリック・ツァン)や徐克の影で彼は1人、香港映画界に何を見ていたのであろうか?

本作はそんな午馬の監督作の一つで日本での空手映画ブーム時代に李小龍(ブルース・リー)の余波に紛れて公開された作品である。


流れ


劉永(トニー・リュウ)は"鉄沙掌"の達人。
冒頭からその午馬と対戦・・・ここ「蛇鶴八拳」のあの川やね。寒そう。
弟子までけしかけて劉永を倒そうと躍起になった午馬。
それでも劉永は強くて話にならず。
劉永 「じゃこれで」
と後ろ向いたところを午馬が襲う!
思わずこれに反撃する劉永。咄嗟に必殺"鉄沙掌"を炸裂!
午馬さん死亡。

「出て行け!」
爺ちゃん(兼師匠)に言われて旅に出る劉永。
とは言ってもこれは報復の手から劉永を守るために爺ちゃんも涙を飲んでいたのだった。

当ての無い旅先で追いはぎ爺さんに襲われる劉永。
拳を極めた劉永にとって追いはぎ爺さんなど敵ではない。
逆にボコられた爺さん。さらに劉永に看病してもらう爺さん。情けなや。
貧乏でそういうことするしかなかったようで。
というわけで、劉永は爺さんが出てきた町に出向き、そこで爺さん待ってた家族の世話をすることにする。

町ではいつもの下らない道場争いが始まっていた。
武術大会"七省拳王"が開かれるにあたって、これの大会参加者を次々と大会前にぶち殺していくサモハンと唐偉成(ウィルソン・タン)。
彼らの道場主が"七省拳王"の名を欲しいままにするつもりである。
なんか・・・こいつらというかこの当時の功夫映画ってこればっかやってる気がするな。それ以外に戦う理由が思いつかなかったのか?という感じで。

ヒロイン陶敏明(エミー・タオ)の紹介で建築現場の仕事をして汗を流す劉永。
既に拳を封じた劉永であったが、第2の人生に向かって前向きな爽やかさがいい感じだ。
だがそうもいかなかった。
彼が建築していたのはその武術大会の舞台だったのだ。
その関係で劉永に仕事をくれた叔父さんは、悪道場主の企みを知ってしまい殺される。さらに叔父さんを探した先の追いはぎ爺さんの娘は道場に向かって唐偉成に犯され殺される。

それでも拳封じてますな劉永を罵る陶敏明。
それでも拳は封じてます。

意を決して道場に殴り込みをかけたのは劉永の腕前の高さを一発で見破り、道場の企みを探っていた高強(コー・チャン)だった。
高強もなかなかの腕前でサモハンは倒したものの、道場主やらその娘やら唐偉成にボコられて死亡。

遂に武術大会"七省拳王"が開かれる。
・・・開かれるっつったって、参加者が誰もおらんでしょーが!!
全部殺したでしょーが!
あほか!ほんまに!
あのね。
気付きました?
この悪道場はライバル全部殺したのよ?
ということはね、
別に大会中に正式に戦っても全部勝てたんじゃないの?
ってことで。

いらんことしたからいらん奴が来る。
劉永 「誰もおらへんから、俺出るわ」
って感じで劉永が大会に参加したのだった・・・
こいつが参加しなくて、
悪道場が普通に参加してたら普通に優勝したと思いますが・・・



終劇






先にサモハン的なことを言っておかないと。
何と言うか既に流石はサモハンな武術指導っぷりでまだまだ荒削りではあるし、京劇ベースのアクション構築よりも空手主体の構成になっていて単調さは拭いきれないものの、
「ここは妥協しなかったんだろうな」
という感じのスピード感があり、この当時の功夫映画にありがちなもっさりもっさりな殺陣にはなっていない。役者に何度も振り付けさせた、厳しく武術指導したってのが伺えるなかなかの功夫シーンになっている。良い仕事ぶりだ。

このあれですな、1つ間違えばこの
"前半普通の人のフリしてるけど、後半強くなって悪い奴倒して去る"
ってパターンってのは何かを連想させる。何かってあれですよ、
「この紋所が目に入らんかー!!」
って助さんが出すやつ・・・出すのは角さん?
だから上手くやればこのパターンってのは永遠に使っていけるわけだ。
それにしても、いつもいつも道場争いってのはどうにかならんもんかねぇというか、どうにかならんもんかねぇ・・・
って感じで、今回の午馬監督作の出来はイマイチ。凡庸すぎ。
救いなのは劉永が意外とウジウジしてないってとこで、
「俺、第2の人生もがんばるっす」
って前向きな拳封じになってるとこかな。結局、拳使いますけど。
ちょっと驚いたのは「龍拳」で悪辣非道な道場主を演じた高強がまだまだ若くて爽やかな感じ。何よこの爽やかさ。

しかし、相変わらずこの当時のゴールデンハーベストの功夫映画はレイプシーンを必ず入れるよなぁ・・・いらんいらん。
エッチは爽やかに明るく入れてください。


■CAST&STAFF
監督 午馬(ウー・マ)
出演 劉永(トニー・リュウ)
陶敏明(エミー・タオ)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
午馬(ウー・マ)
唐偉成(ウィルソン・タン)
金h珠
高強(コー・チャン)
李玲玲
賀彪
金基範
武術指導 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
脚本 司徒安
音楽 周藍萍
製作 鄒文懷(レイモンド・チョウ)
制作年度 1974


奪命金劍
The Fast Sword



永らくは洪金寶(サモ・ハン・キンポー)の初武術指導作は「奪命金劍」つまり本作とされていて、私も特に疑う理由も無くそうなんだと認識していたが、実はそれは洪金寶名義での話であって(さらに初でもないそうだ)、その前の朱元龍名義では既に何本も武術指導を手掛けていたのには驚いた。というのも、本作品以前となってしまうと当時サモハンの年齢は二十歳そこそこになってしまうので、若すぎると思ったからである。
本作はまだまだゴールデンハーベストが一本一本社運を賭けて製作していた時期の作品で、主演の1人に石雋(シー・チュン)を起用しているのがミソ。石雋は胡金銓(キン・フー)作品の常連役者であったが残念ながらゴールデンハーベスト製作の胡金銓作品「忠烈圖」「迎春閣之風波」には出演していないので細かいことはともかくサモハンとはニアミスであり、ガチの共演作はこれ一本になるし、また「残酷ドラゴン/血斗竜門の宿」では屈強な剣士を演じた石雋ではあるが、またまた胡金銓作品で強い人演じたのはそれ一本ということで彼のことをそれなりに気に入っている自分としてはもう一度強い彼を見てみたかったのである。


流れ


なんとも・・・
まぁそうなんだけど、まぁなぁ・・

石雋に知らせが入る。
父の仇討ち相手が易原だと判明したのだ。
妹の韓湘琴と仇討ちの段取りをコソコソ話していると、

王菜 「・・・って何そこでゴニョゴニョしてんねん。」
立ち話を聞き付けて家から出てきたのは母・王菜。

石雋 「いやぁ、さっき友達が来て、天気が良いのでピクニックでも行こうかと。」
王菜 「嘘つけ。母さんが盲目やっちゅーことで、誤魔化してるやろ。小芝居すんな。」
石雋 「母さんには敵わないなぁ。いや実は天気が良いのでヤマダ電機でポイント貯めてこうかと。」
王菜 「嘘つけ。それがマジやったら私のポイントカードも持ってけ。」
石雋 「いやぁ母さんには敵わないなぁ。いや実は天気が良いのでヒロインと子作りの練習でもしておこうかと。」
王菜 「嘘つけ。ヒロインの設定はお前の妹やろが。兄妹でいらんことすんな。」
石雋 「いやぁ母さんには敵わないなぁ。実は天気が良いので仇討ちでもしに行こうかと。」

易原の屋敷では祝宴が行われていた。
こっそり客人に成り済ました石雋、遂に易原と対面。
首尾よく仇討ち完了。

江湖の要人が殺された!?
ってことで早速犯人逮捕に向かったのは"奪命金劍"の異名をとる張翼(チャン・イー)。だって、金の剣持ってますから。

張翼 「おたくとこの兄ちゃんが殺したやろ。」
妹  「知らんがな。」
祝宴の席での出来事なのでバレバレ。すぐに張翼やって来た。

王菜 「・・・って何そこでゴニョゴニョしてんねん。」
立ち話を聞き付けて家から出てきたのは母・王菜。

張翼 「いやぁ、実は天気が良いのでヒロインナンパしてみたりなんかして。」
王菜 「嘘つけ。明らかに不穏な空気が流れとるやないかい。盲目やからってそんなんわかるぞ。」
張翼 「いやぁ母さんには敵わないなぁ。実は天気が良いのでヤマダ電機にポイント貯めてこうかと。」
王菜 「嘘つけ。そもそも他人やから勝手に行かんかい。」
張翼 「いやぁ母さんには敵わないなぁ。実はヒロインと子作りの練習でもしておこうかと。」
王菜 「嘘つけ。早すぎるやろ。物語的にもっと後になってからにせんかい。」
張翼 「母さんには敵わないなぁ。おたくのお孫さん逮捕します。」

張翼に連行される石雋。
一方で石雋に復讐の炎を燃やしていたのは苗天(ミャオ・ティン)だった。
こっちは易原の仇を討ちたい。やはり復讐は復讐を呼ぶのだ。
ということで、高鳴、サモハンを筆頭に雷峻やら李強やら呉明才(ウー・ミンサイ)やらが石雋を狙って襲い掛かる。
これに対抗する石雋と張翼。
捕まえた奴と捕まった奴が協力するってのが良いやね。
男のドラマやね。別に女でも良いね。

作戦変更!
2人が強くて如何ともしがたいので、今度は妹と母さんに襲い掛かる苗天一行。
妹も腕前あるし、母さんも"めくらのお市"な活躍でなかなか強いのだが、哀れ母ちゃん捕まる。

この母ちゃんと引き換えに仕方なく石雋の身柄を引き渡したが、既に母さんは死んでいるのだった。

激しい義憤にかられた"奪命金劍"張翼は早く仲良くなりたいヒロイン・韓湘琴と共に奪還作戦実行。
首尾よくこの作戦を成功させると、改めて3人で苗天一行に戦いを挑むのだった・・・


終劇






うーん・・・・・・
面白い作品なんだけど、なんか足りないなぁ・・・
何が足りないんだろう・・・
こうなんちゅうか、
「これこれこうすれば良い武侠片が作れるだろう」
という感じで作って確かにある程度成功してるような、そんな作品。
まぁそうやりゃ確かに面白い作品になるんだけんど・・・うーむ。

そしてアクション面についてですが・・・
これはサモハンテイストよりもやっぱ韓英傑(ハン・イェンチェ)のテイストが強いですね。ポンポントランポリンなアクションが目立つし、そうだなぁサモハン的には「十二金牌」で見せたアイデアアクションはそれなりに散りばめてはある、といった感じで。


■CAST&STAFF
監督・脚本 黄楓(ファン・フェン)
出演 張翼(チャン・イー)
韓湘琴
石雋(シー・チュン)
苗天(ミャオ・ティン)
王菜
高鳴
易原
雷峻
王翔
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
呉明才(ウー・ミンサイ)
李家鼎(リー・カーティン)
黄楓(ファン・フェン)
江島
齊後強
陳信一
李強
劉幼斌
張義貴
王永生
戴徹
武術指導 韓英傑(ハン・イェンチェ)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
潘耀坤
音楽 周良
製作 諸葛青雲
制作年度 1971


痩虎肥龍
Skinny Tiger and Fatty Dragon



そもそも洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と劉家榮(リュー・チャーヨン)が主演し、麥嘉(カール・マック)が監督した「燃えよデブゴン3/ダーティ・タイガー」は当時の功夫映画の最も新しい形の一つであったであろう。公明正大とは無縁のチョイ悪の主人公が騙し合い化かしあい、真の悪者と仕方なく対決する。功夫映画ストーリーの王道である仇も復讐もそこには存在しない。主人公は金銭の為だけに走って最後までドタバタする。映画にヒーローが登場しないと観客は離れてしまいがちだが、逆に小市民性を持ち込むことで共感を得てこの映画は成功した。
その後に、彼らが功夫映画は勿論、主に現代アクション映画の旗手として君臨していったのはご存知の通りだろう。しかし・・・


流れ(超鬼やっつけ)


サモハンと麥嘉は仲良し刑事コンビ。
上司の胡楓(ウー・ファン)からどやされたりすることはあるものの、今日もまた悪い劉家榮(リュー・チャーヨン)の組織を潰した。

・・・・・・おしまい。





・・・というわけだ。

無論、物語中に様々なイベントは詰め込んであるものの、物語の骨子はこれだけである。
企画としては悪くないはずなのだ。
かつてガルボ映画社を立ち上げて「燃えよデブゴン6」という傑作功夫映画を作った彼らが再結集して再び映画を作った。
サモハンと麥嘉、そして監督と悪役をこなした劉家榮のコンビネーションは抜群で、今までたくさんの傑作現代アクションを撮ってきた奴らがそれらで得た規範を摺り合せてドタバタコメディアクションを撮る・・・どう転んでもそうそう失敗する作品にならないだろう、とこの布陣に彼らが持ち得たキャリアを考えれば思うのだが、本作は残念ながらコケている。
本当にどうしてなんだろう?

ひとたびアクションシーンが始まれば、今回「燃えよデブゴン」以来、久しぶりに李小龍(ブルース・リー)に成り切って戦うサモハンアクションも良い出来で、ところどころに「ドラゴンへの道」「ドラゴン怒りの鉄拳」等のアクションを完全再現しているシーンもあり、流石サモハンでここだけは観る価値がある。
コメディ部分も呉家麗(ン・ガーライ)さんや他女優のお色気シーンも豊かに、そしてサモハンと麥嘉の息もピッタリなのでそんなにつまらないものではないのだが、何故か惹き付けられるような力をここから感じられない。

失敗した原因を今すぐに究明することはとても難しいが、簡単に言うことは出来る。要はこれ、
熱が足りないのだ
かつての彼らの映画からは、
「新しいものを撮ろう!俺達ですごいものを作ってやろう!」
という、製作者達のパワーや熱気が画面からバンバンと伝わってきた。
時にはそれが暴走しすぎる時もあったが、時代が彼らの背中をグイグイと押して彼らのパワーを引き出し押し出し、観客はそのパワーに圧倒された。
その熱気で薄いストーリーは吹き飛ばされ、コメディに大笑いし、命懸けアクションに感嘆の声を挙げた。

翻って本作には熱気が足りない。
流石にアクション面では妥協しない誠実な部分が見られたが、これこれこう作ればドタバタアクションコメディは作れるという彼らが得た方程式に乗っ取って作ったら失敗した。モノツクリは数値だけでは成功しないのだ。そして残念ながら時代という彼らを後押ししてくれる対象も存在しなかった。熱気の冷めた画面からは薄いストーリーばかりが浮き彫りになり、彼らが体を張って頑張ったアクションもコメディも台無しにしてしまった。
そこで感じたのは最早、功夫映画だけではなく彼らの十八番である現代アクション映画でさえも作れる人間が一人、また一人と消え去っていく悲しさである。

■CAST&STAFF
監督 劉家榮(リュー・チャーヨン)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
麥嘉(カール・マック)
呉家麗(ン・ガーライ)
翁慧コ
龍銘恩
胡楓(ウー・ファン)
劉家榮(リュー・チャーヨン)
倪匡(イ・クオン)
梅小惠
太保(タイ・ポー)
黄一山
葉尚華
麥鶴頓
熊欣欣(ション・シンシン)
徐寶華
呉育樞
盧雄
尹相林
呉晶晶
江浪
パトリック・ギャンブル
楊又祥
伍國健
陳志成
葉偉信
楊玉梅
夏國榮
黄凱森
王志強
肥堅
曾醒光
林華勳
動作指導 徐寶華
熊欣欣(ション・シンシン)
脚本・策劃 曾國賜
音楽 魯世傑
製作 馮永
游定漢
製作総指揮 張權
麥嘉(カール・マック)
制作年度 1990


密宗威龍
The Tantana



あーー・・・・・・

上のあーー・・・・・・
とは全然関係無いんですがそして唐突ですが、
4コママンガが書きたいんですよ。
主に職場ネタの他愛も無いものを書きたいんですが、
私、絵心が全く無いのです
ネタはいっぱい思いつくし、頭の中では絵は出来てるんですが
いざ書くとこれが下手で下手で下手で下手で。
でもネタが勿体無いので、絵無しでネタだけで残してます。
ほら、「コボちゃん」の植田まさし先生なんかは簡単な点と線で、微妙な表情を書くのが凄い上手いじゃないすか。
なんかそういう"4コママンガ教室"みたいな、良いサイトとか書籍とかあったら教えてください。
探しても劇画作り教室ばっかで。

あーー・・・・・・
もうええっての。
本作はサモハンフィルモグラフィーの中で完全に見逃していた作品で、何かあったことさえもすっかり忘れていました。
しかしもって、その布陣たるや監督・孟海(マン・ホイ)、キャストに錢嘉樂(チン・ガーロッ)、林正英(ラム・チェンイン)、午馬(ウー・マ)と中々期待できそうな面々で、さらにプロデュースは天皇巨星・王羽(ジミー・ウォング)先生という豪華布陣。
いいものみつけた!って感じで飛びついたのですが、はてさていやはや。


流れ(ようわからんわ)


夜の荒野を徘徊する太保(タイ・ポー)道士。
と、そこに盧惠光(ロー・ワイコン)大魔王出現!
メ、メイクが・・・盧惠光のメイクがデーモン小暮まんまやんけ!
盧惠光 「俺、悪い奴!お前倒す!」
って感じで野性的に太保道士に襲い掛かる!
二人の妖術合戦はやっぱ盧惠光が勝って、太保道士は殺される。
なんか太保さんも・・・この時代こんな役ばっかやな。

太保道士の死体はチベット寺院でやっぱ道士やってる林正英のところに持ち込まれる。
妖術で盧惠光が復活したことを知った林正英は、これを倒せる霊童の素質を持った青年を探すため、知り合い道士の午馬のところへ。

町の腕自慢な青年・錢嘉樂。
林正英がヒロイン・張靜如を何故か虐めていたので助けようとしたが、林正英の妖術に成す術無し。
しかも、実は張靜如はスリで林正英は被害者。
林正英の妖術の凄さに感動した錢嘉樂は早速弟子入り。
彼が何者なのか何も語られてない気がするが・・・

やっと午馬と会う林正英であったが、二人は犬猿の仲。
妖術喧嘩を繰り広げる一方で、錢嘉樂は午馬の弟子の孟海と交流を深める。そして何故かひょっこり着いてきた張靜如。
なんかこの図式って「蜀山奇傳/天空の剣」と一緒ですな。
まぁ、犬猿の仲なので断ったり意地張ったりと中々話が進まないのが困ったもので。
やっとのこさ、霊童の素質を持った青年が錢嘉樂って感じで。


ちなみに、錢嘉樂さんは寝てる時の顔が当たり前ですがお兄さんの錢小豪(チン・シュウホウ)そっくりですね。

遂にデーモン盧惠光閣下襲来!
やっぱ強いス。
もうね、信じられないほど呆気なく死ぬヒロイン・張靜如。
こんなのヒロインって呼ばんよな。
林正英もダメージを負って一旦退散。

このままじゃ勝てませんな。
ってことで、
錢嘉樂はさらに高尚なやっと出ましたサモハン老師に弟子入り。

ほんで強くなって勝ちました。


終劇





あーー・・・・・・
つまんねーもん見たなーこれ。

正直、がっかりしました。
こんだけ期待出来る布陣でこの程度かって感じで、肝心のアクションシーンは妖術メインになってしまって功夫アクションはほとんど無く、それならそれでと思いたいものの、その妖術シーンも大して驚きのあるアクションでもなく、ラストも・・・まぁ妖術合戦なんか長くたって個人的には疲れるだけなのですが、本作はラストバトルもあっさりと勝ってしまっておしまいって感じで盛り上がらず。
王羽先生はちゃんと目を光らせていたのか?
いやむしろ、これだったら王羽先生に全部任せて「ジョイ・ウォンの妖女伝説」のような怪作にしてしまった方がずっと面白かったろうな。

サモハンは後半から登場でややコミカルな老師を演じていてそこだけはそこそこ面白いです。

■CAST&STAFF
監督 孟海(マン・ホイ)
出演 錢嘉樂(チン・ガーロッ)
林正英(ラム・チェンイン)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
午馬(ウー・マ)
孟海(マン・ホイ)
盧惠光(ロー・ワイコン)
張靜如
原森
太保(タイ・ポー)
楊雄
動作指導 孟海(マン・ホイ
蕭コ虎
脚本 許莎朗
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
策劃 葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
製作 王羽(ジミー・ウォング)
製作総指揮 李耀庭
制作年度 1991
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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