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■周星馳(チャウ・シンチー)1993  

唐伯虎點秋香
Flirting Scholar
詩人の大冒険



詩人、というべきなのかなんなのか
とにかく主人公のモデルであるのが唐伯虎、唐伯虎を周星馳(チャウ・シンチー)が演じるというのが実に彼らしいなぁ、と思う時代劇アクションコメディ。
いわゆる
"英雄が身分隠して結局大活躍"
ってパターンは非常にお約束で世にたくさんたくさん出回っている使い回しではある。パッと「ドラゴン少林拳」を思いついてしまった私はどうなんだろうと思うけど。

とはいっても私、こういった王道パターンは結局好きである。
みんな結局王道パターンは好きなんじゃないのって気がする。
だから、それ以降は要は見せ方なのよね。
何をウリにしてどこにオリジナリティを出すのか
それはこの映画が周星馳作品ということで、それなりに安心できたんだけどもさてさて。

流れ

周星馳演じる稀代の詩人・唐伯虎。
富も名誉も得、8人もの愛人を囲って何不自由ない暮らしをしていた。
傍目から羨ましがられる一方だったが、彼は愛人からの愛を感じることが出来ず、日々悶々としていたが周りの人間は誰も気づいてくれず、孤独感を感じていた。

そんな時、
友人の「江南四才子」と連れ立って遊楽をしていると、貧しい人たちに施しをする華家の秋香・鞏俐(コン・リー)を見つける。ナンパ気分でそんな鞏俐の前に飛び出した唐伯虎だったが、彼女の誰にでも平等に優しくする態度に感動し、彼女を見初める。

だが、彼女がいるのは華家。
唐伯虎は実は"覇王槍"と目される槍の達人で、かつて父は悪魔の書生と呼ばれる劉家輝(リュー・チャーフィ)と対決し敗北、父の仇がここにあり、華家の夫人は以前、唐伯虎の母と父を取り合ったことで因縁があった。
そんな華家に堂々と「唐伯虎ッス」と訪ねるわけにはいかなかったのである。

そこで、身分を隠し貧乏人に扮して旅をし、一番早い船で華家に駆けつけ何とか入れてもらおうとする唐伯虎。
ちなみに一番早いってのは沈むのが一番早いってことだったりする。
リアル貧乏人とのバカバカ貧乏比べ対決を制するといよいよ華家の奉公人となった。
かといって鞏俐口説きがなかなかうまく進まず、苦しい毎日が続く。

そんな時、華家にエロ魔王四人組が忍び込む、鞏俐目的で入ったこの輩たちから彼女の安全を確保するため、注意を促した唐伯虎だったが、彼女が唐伯虎のファンであることを知って舞い上がってしまう。
「我こそは唐伯虎!」
と白状して見せたものの、鞏俐が挙動不審のこの男のことをいきなり信じるはずも無く、撃退されてしまう。
というわけで、助けることが出来ずエロ魔王四人組襲われてピンチ!
これを助けたのが華家の奥様・鄭佩佩(チェン・ペイペイ)だった。
ところが、思いを寄せる人を取られた事から唐家を憎んでいる鄭佩佩が鞏俐の落とした唐伯虎の詩集を発見。
「落としたのは誰じゃ!」
激怒する鄭佩佩。このままでは鞏俐が罰される!
そう思った唐伯虎は
「私が持ってました!」
と嘘をつく。しかし、
「切り刻んで犬のエサ!」
いやはや実に決断の早い鄭佩佩夫人。
絶体絶命の唐伯虎はここを得意の中華風ラップで
「唐伯虎は私の仇!」
と嘘ついて、またラップの素晴らしさから夫人を上手くだますことに成功、そのうえ華家の息子たちの書生に昇格する。

バカ息子2人を手玉に取って、助けられて貸しの出来た鞏俐とも段々と仲良くなる唐伯虎。
だがここに第二のピンチが襲う。
華家の武状元・梁家仁(リャン・カーリャン)が唐伯虎の作品を町で売っていた江南四才子の1人、陳百祥(ナット・チャン)を唐伯虎と間違えて捕まえてきたのだ。
このままでは陳百祥に自分が唐伯虎であることをばらされてしまうと焦った唐伯虎はお茶を濁してその場をやり過ごすが、唐伯虎大好き人間の鞏俐は陳百祥を唐伯虎だと思ってしまう。

ややこしい事態の時には大抵次のややこしい事態が重なったりするもの。
華家の政敵である寧将軍・林威(ラム・ウェイ)が悪魔の書生・劉家輝を連れてやって来る。
唐伯虎vs谷コ昭(ヴィンセント・クック)
との詩詠みあい対決を制したすったもんだの末、
「本物の唐伯虎はここにいる!」
と言ってしまった華家の皆さん。そりゃそうだ陳百祥が唐伯虎だと思ってるんだもの。
捕らえてあった陳百祥を連れてくるがこれが偽者だとすぐばれる。
寧将軍が持ってきた唐伯虎の画を破ってしまった鄭佩佩夫人。
「このままでは皇帝も敵に回すことになるぞ!」
大ピンチに陥りそうだったが、当の本人・唐伯虎が
「この画は偽物でござる」
と言って緊急回避。すぐさま部屋に戻って自分で画を描いた。
「これは確かに唐伯虎先生の画です」
谷コ昭が証言したため、破れた画は偽物ということに。
寧将軍は悔しい思いをしながら逃げ帰った。

一連の大手柄。
そして唐伯虎の画を描いた彼が唐伯虎本人であると確信する鞏俐。
しかし確信しているのは鄭佩佩夫人も同じだった。
「唐伯虎だと白状してくれれば鞏俐と結婚させるのに・・」
その一言にあっという間に決心した唐伯虎はとうとう白状。
すぐさま周りを兵が取り囲む。夫人の罠だったのだ。
夫人とのTV毒薬ショッピング対決でお茶を濁した唐伯虎。この人本当上手いこと誤魔化して緊急回避が得意だ。

そんな時、恥をかかされて頭に来ていた悪魔の書生・劉家輝が殴りこむ。寧将軍から華家皆殺しを命じられて来たのだ。
鄭佩佩夫人がこれと対決をするが、どうも劉家輝が一枚上手。
今度は夫人が危機一髪!
しかしここに槍を持って現れた唐伯虎!
遂には"覇王槍"を駆使して悪魔の書生を倒し、仇討ちに成功する。
これでさすがに大きな貸しが出来た夫人。
遂には晴れて和解し、鞏俐との結婚を許す。

結婚式。
意気揚揚と式場に現れた唐伯虎だったが、
目前には花嫁さんがいっぱい!
「この中から鞏俐を探し当てることが出来たら結婚させてやろう」
夫人の嫌がらせはまだ続いていたのだ!
さぁ果たして唐伯虎は鞏俐を妻にすることが出来るのか!?

終劇




面白かった。
って簡単すぎる感想だけど、香港映画しかも香港娯楽映画が好きな人なら誰もが楽しめる内容だと思う。逆にこれは毎回言っているような気もするが、どの映画を基準として観ているのか、どちらかからの観点しか持ち得ていない人にしてみれば酷く駄作、という輩もいるだろうというのが本作の感想である。

特に昔からの香港映画好きには見所が多い。

(画像は「ゴッド・ギャンブラー/東京極道賭博」より)
久しぶりの梁家仁(リャン・カーリャン)もちょろっと功夫を見せてくれるし、周星馳(チャウ・シンチー)は今回功夫の達人ということで、
vs劉家輝(リュー・チャーフィ)
という面白いマッチメイクで盛り上げてくれる。
中でも
(画像は「大醉侠」)
鄭佩佩(チェン・ペイペイ)
(画像は「少林寺三十六房」)
劉家輝(リュー・チャーフィ)
この対決は最も盛り上がるとこだろう。

大御所・鄭佩佩様が他にコメディに挑戦しているのかどうかは知らないのだが、やはり大御所も香港映画人。何の違和感も無くコメディもサラリとそして色濃くこなし、周星馳とのやり取りも実に楽しいものだった。大陸出身の鞏俐(コン・リー)はやはりコメディ馴れしていない違和感がつきまとうものはあったものの、やっぱ美しさは群を抜いたものがありましたね。

周星馳本人が「やりすぎ」と語っていたように、本作の周星馳ギャグはもう連戦連発連打という感じで次から次に飛び出していて面白い。
やはり王道パターンはそこにある独特のオリジナリティと混じ合わさることでいつでも面白くなるのだ。

■CAST&STAFF
監督 李力持(リー・リクチー)
出演 周星馳(チャウ・シンチー)
鞏俐(コン・リー)
鄭佩佩(チェン・ペイペイ)
陳百祥(ナット・チャン)
林威(ラム・ウェイ)
劉家輝(リュー・チャーフィ)
黄一山(ガブリエル・ウォン)
(ユエン・キンタン)
朱〔口米〕〔口米〕(シュー・マイマイ)
梁家仁(リャン・カーリャン)
谷コ昭(ヴィンセント・クック)
黄霑(ジェームス・ウォン)
呉鎮宇(フランシス・ン)
藍潔〔王英〕(ナム・キットイン)
李健仁(リー・キンヤン)
武術指導 潘健君(プーン・キンクワン)
脚本 李力持(リー・リクチー)
谷コ昭(ヴィンセント・クック)
陳文強(チャン・マンキョン)
音楽 胡偉立(ウイリアム・フー)
策劃 羅國強(ジミー・ロー)
製作 蕭若元(スティーブン・シュウ)
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
向華勝(ジミー・ヒョン)
制作年度 1993


逃學威龍3之龍過鶏年
Fight Back to School 3
ファイト・バック・トゥ・スクール3 秘密指令は氷の微笑
 


よく考えてみるとこの映画は呉孟達(ン・マンタ)が出ていない。その上、代役っぽいのが陳百祥(ナット・チャン)か。
ほんっっとに好みの問題だが陳百祥、俺好きじゃないんだよなぁ。なんか鬱陶しくて。

まぁなかなかPart3ってのは面白くするのが難しいわね。
個人的には「ポリス・ストーリー3」しか面白いの3映画で思いつかないけど他に何かあるかな?
・・・と検索してみる。
「うる星やつら3 リメンバー・マイラブ」
俺、このシリーズは3が一番面白かったな。
「ダイ・ハード3」も結構面白かったなぁ。
「ロッキー」も3までは悪くなかった・・・こんなもんか。

と、その中で本作の3。
いやぁ考えましたなぁ・・・・・・
「これのどこが続編なんじゃ!」
呉孟達出てない、学校行かない、上司がまた違う、監督も違う、つながってるのは潜入捜査とヒロインの張敏(チョン・マン)だけ。
これぞ王晶(バリー・ウォン)の荒技、当時流行っていた「氷の微笑」を持ち込んで全然違う映画として面白く仕上げてしまうのだから。

流れ

2件の大手柄を立てたにも関わらず、今日も大して出世してなくてガラクタ刑事の陳百祥(ナット・チャン)を警護するという何とも情けない仕事をしている周星馳(チャウ・シンチー)・・・であったが、シンチーそっくりの大富豪の主人が何者かに殺されるといった事件が発生、早速その主人に成りすまして大富豪のお屋敷に潜入捜査。
「もう潜入捜査しません」
と婚約者・張敏の前で誓っていただけにその張敏大オカンムリ!

シャロン・ストーン(この頃見ないな)ばりのセクシー開脚を披露したのは大富豪の妻である梅艶芳(アニタ・ムイ)。
主人に化けたシンチーを引っ張ってお屋敷に戻ったが、シンチーが全然家族構成を把握していなかったので、偽者ではないかと疑う。
この富豪の友人であった黄秋生(アンソニー・ウォン)の誘いでクラブに赴くシンチーとアニタ。
「良い女がいるんだよな」
と黄秋生が言ってきたのは何とシンチーの婚約者である張敏で、ここで魅せる張敏と男装のアニタとのセクシーなダンスが大きなポイント。

引き続き行われる潜入捜査。
その黄秋生がいつもの如く、やっぱり黄秋生なのでかなり怪しい感じであったが、学生癖のあるアニタも未だミステリアス。
困惑しながら捜査を続けるシンチーであったが、結末は意外なところにあるのであった・・・!

終劇




サスペンス妙味はかなり早い段階で読めてしまうが、黄秋生の顛末などに工夫が見られたし、本格的なミステリーコメディという意味では十分面白かったと思う。
またまたまた「賭聖」になってる周星馳のギャグも好調で全編に渡って笑える仕上がりはさすが。
それでいて王晶作品にしては珍しく余計な血は飛ばないし、最後の最後でアニタが明るく登場するシーンの何とも言えない切なさの締めが非常に独特なものにさせている。意図してこういったラストシーンを演出できるだろうか、かなり秀逸なラストシーンじゃないかなぁと思う。
さすがは王晶
やっぱり王晶
色々な表現があると思うが本作においては間違いなく前者である。
やはり改めて思うのは梅艶芳というアクトレスが唯一無二に近い存在だったのだと思い知らされる。これこそ言葉で表現するのが非常に難しいのだが、硬軟使い分けは当たり前に唄や踊りも文句無しで、彼女にしかない妖艶さと彼女にしかないコメディセンスは香港の、いやアジアの女優において郡を抜いていると思う。本当に残念。

■CAST&STAFF
監督・脚本 王晶(バリー・ウォン)
出演 周星馳(チャウ・シンチー)
梅艶芳(アニタ・ムイ)
張敏(チョン・マン)
陳百祥(ナット・チャン)
黄秋生(アンソニー・ウォン)
周海媚(チャウ・ホイメイ)
梁家仁(リャン・カーリャン)
朱〔口米〕〔口米〕(シュー・マイマイ)
秦沛(ポール・チュン)
陳欣健(フィリップ・チャン)
程東
武術指導 孟海(マン・ホイ)
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
策劃 羅國強
製作 蕭若元
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
向華勝(ジミー・ヒョン)
制作年度 1993
 
 

ファイト・バック・トゥ・スクール3 秘密指令は氷の微笑
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