「天誅参」

(PS フロム・ソフトウェア)
なんだ動物か・・・


つーかわりぃ。
これ香港映画でなくてPS2のゲームなのね。
ここ一応ゲームの感想なんかも書くこともなきにしもあらずなので暇つぶしにね。

このゲームは簡単に言うと主人公は忍者、くの一、始末人(仕事人)で、
各お城とか城下町とか要塞とか洞窟とかに潜入してはボスをやっつける内容
で、
(めちゃ要約だけど)
ウリとなってくるのは
・忍者としてのある程度のリアルさ
・忍殺

になります。

アメリカ忍者、香港忍者のように真っ昼間から金色の忍者服来て、
ぼく、にんじゃくん!よろしく!
と大々的にアピールしながらスーパーマンばりの活躍を見せる忍者君とは違い、
こっちは
・多勢に無勢となると辛い(それこそ三少爺のようなことは出来ない)
・ちょっと高いところから落ちると足をくじく
・もっと高いと当然死ぬ
・行動時間はもちろん夜に目立たないように

とある程度リアリティある忍者になりきれるのがまず見所やり所です。

「忍殺」というのは、このゲーム独自のシステムで
・敵に見つかる前にその敵に攻撃すると一撃で殺せる(ボス敵以外)
・見つかってからだと普通に戦わなくてはならない(一撃で死なない)

こんな感じで、忍殺した時にはちゃんとキャラそれぞれ独自のモーションが数々用意されており、
この辺の爽快感も大きなウリなのです。

ただし、当初からそのつもりだったのかどうかはわかりませんが、
似てきちゃいましたね。「メタルギアソリッド」に。
どうしても「潜入する」「敵に見つかるな」ってところで被ってしまいます。
今回、匍匐前進も出来るようになったのでなおさらです。

こちらに感想もある前作の「天誅弐/立体忍者活劇」から比べると
余計なアクションは削って、必要なアクションを追加してその辺はスマートに進化してて結構好感でした。

簡単に言えば
忍者なりきりゲーム
なので、その辺自分自身がノリノリになれるかどうかが善し悪しの判断でしょう。
なりきれれば問題ありません。
設定は部屋をできるだけ暗くして、ゲームの音響設定でBGMを低めに効果音を高めに設定しましょう。
ヘッドフォンがあればもっと効果的です。
同居人がいる場合はやりにくいでしょうが・・・

ストーリーの感想から言うとペラペラです。
つーか、これでいいのです「天誅」は。
なるこう忍者になりきってるのでストーリーなんか自分の頭で作ってます。
確かに前作は話がしっかりまとまっていたものの、
しっかりまとまっているために俺の妄想が入る隙がなくて感情移入しにくかったす(なんてわがままな)。
マルチエンディングを謳ってはいますが、
マルチだからと言って 中身のやることは変わらないのであんまり効果は無かったですね。

残念な点を言うと

・音楽が
 いや、全然悪くはないんですけど初期の「天誅」の方が好きですね。
なんつーか以前のは旋律がはっきりしててノリやすかったけど、今回はちょっとな。主題歌は好きだけど。

・死体が
 持ち運べないのです。これは若干痛い。
だって殺した後、放置だと他の敵が見つけちゃうんですよね(猛ダッシュで走ってくる)。
確かにそれ以上に必要ないっちゃー必要ありませんが残念です。

・奈落が
 落ちたら一発死。スーパーマリオかいな。
シリーズ通してずっとそうだし緊迫感を保つためと言えばそうなんですが、
連休でも無い限り例えば
寝る前とかにね、ミッション一つやってやっとこさ最後の方まで行って直前で奈落落ちて死んでというのは辛いす。
次回から体力減るぐらいにしてほしか。

・ロードが
 ステージのロードが長いのは構いません。覚悟してますので。
ただし、ステージ中にも例えばポーズを掛けたら
「タイトル画面に戻る」「ミッションの始めから」「戻る」
ぐらいはつけて欲しかったですね。
無いので自ら死んだり本体リセットしないと 始めちゃったらやり直せません(ソフトリセットが裏技的にはありますが)。
長いのはいい。ただし、長いならインターフェースでフォローしろと。

良かった点
もちろんその前に「忍殺」がウリ前提

・グラフィック綺麗
 これは「PSからPS2へ」ですから当たり前ながらやっぱ凄いですよ。
各キャラクターから背景・町のつくり城のつくりまで凝りに凝ってます。素直に誉めたい。
越後屋屋敷の中なんかじっくり見て回れますよ。
さらに遠景となる月や星や空や山なんかも配置が考えられてて、
うまい具合に良いアングルで入り込むんですよね。忍殺モーションの時とか。
キャラもちょんまげでもちゃんと整っていなかったり、ヒゲとか汚かったり 逆にその辺がリアリティあります。
くの一だけはそこそこに「萌え」を狙ってますが、これだけはねー
ブサイクな「くの一」と戦うことを考えれば断然OKです。

・独り言が
 俺も独り言多いけど、このゲームに出てくる敵キャラもみんな独り言多いです。
前作では特別ミッションで「サラリーマン忍者」ってのが出てくるのですが(今回はいません)、彼の
今夜も残業でござる・・・
ってセリフがみょ〜にリアリティがあって面白かったんですよね。
聞かせないとわかりませんが「ござる」を抜いたら、よく聞こえるセリフだなって。
それでよく考えてみればこのゲームに出てくる敵のボス敵以外全てが
見張り人
なんですよね。だからみんな暇なの。しかも夜だし。
くの一ちゃんの独り言聞いてたら、
はぁ、疲れた・・・
ふわぁ〜(あくび)
肌が荒れるわよ・・・
疲れ切ったOLみたいな刹那なセリフを次々と飛ばしてくれます。
難儀に思ったので後ろから斬りました。

・必殺!
 今回から登場したキャラが始末屋。つまり仕事人なんですね。
んでもって、忍殺するときのモーションがこりゃたまらん!
必殺仕事人で出てきた殺し方ばかり!
基本的には骨をガツガツ外したり折ったりするあの殺し方がメインですが、
ちゃんと三味線の弦で敵を吊し首にして殺すのもあります!
でも、1ミッションに3回しかこれが出来ないのは残念〜 仕事人好きにはたまらねー!
これに限ってはお話もメチャ渋くて良かった! 是非「天誅外伝・始末屋の書」発売希望!

・まぬけさ
  敵や町民達、果ては主人公までもが若干、時にはかなりおマヌケなのも歴代からこのゲームの特徴で、
要は昔はほとんどバグに近かかったけれども例えば
・町娘が主人公(忍者)を見て逃げ出し、勝手に川に落ちて溺死
・敵の剣兵と矢兵に見つかるも剣兵の後ろに矢兵がいたので、主人公を狙った矢が剣兵にブサブサ!
・出現位置の分かっているボス敵に対し、あらかじめ地雷を仕掛けておくと格好良いセリフ吐きながら勝手に自爆

とまぁ、キリが無いんですが
こういうゲーム作りのスキこそが味だったりします。
一番有名なのは「毒団子」で、確か元々邪魔な番犬に食べさせてKOさせるため・・・
だったはずですが、最初の「天誅」の時点でポイッと毒団子投げると
人も犬も「毒団子」目掛けます!
間違って投げた団子が屋根に引っかかって敵キャラが取りに行けない時なんか、
メチャクチャ物欲しそうな目で団子を見つめ続けています!
食べたら食べたでこれがまたケッサク!

町のお嬢さんの前にポイッと毒団子

お嬢さん脇目もふらずにかぶりつく!

腹痛!「うっ!?うっ!?」

さらに腹痛中の娘さんの前に毒団子ポイッ!

拾い食いした団子で明らかに腹痛起こしてるくせに
またその団子を食おうと腹を押さえながら近づく娘さん!

だいたい、毒なんか入ってなくたって団子の拾い食いはヤバイだろ。
まぁ今回は毒団子の件もだいぶ修正かかっていますけどね(しなくてもいいのに)。

代わって今回まぬけさが顕著なのは「物真似笛」。
これは吹くと動物の鳴き声「わんわん」「こけこっこ」「にゃ〜」が鳴って敵に
「動物がいたのかな?」
と誤認識させる道具です。これがまた面白すぎ。

くの一ちゃんの前にいきなり登場して戦闘!

隠れる。くの一「どこだ!?

物真似笛吹く「わんわん!」

くの一「なんだ動物か(ほっ)・・・

なわけねーだろ!あんた今、俺と戦ったばっかじゃん!
しかも一太刀斬られてんじゃん! さらにセリフの言い回しが
小動物を殺さなくてよかった・・・
って感じで、何だか可愛いし!

んで、物真似笛が犬にも熊にも幽霊にも機械にも通じるのはどうだろう。

つまりこうやっておマヌケな敵さんたちを色々な忍具でからかうのも面白いところの一つです。

・香港映画的には
 主役の力丸の決めの蹴りが入った時(通常戦闘にて)なんかはよく処理落ちするので(ダメじゃん)、
その変わり蹴られた敵が例の横回転落ちするので、
「ヤング・マスター・師弟出馬」の黄仁植に蹴られたジャッキーが何回でも再現できます
(処理落ちスローが格好良くなっちゃうのよ、これが呉字森かってぐらいに)。

それからプレイヤーである主人公達が前述の通り、リアリティに近い忍者でありながら、
やっぱり最後は大ボスを倒しちゃうわけで、足もくじくし、ワイヤーで空を飛んだり出来ないけれども
屋根から屋根へ飛び移っては飛び移ってのそのサマってのはこじつけに近いけども
胡金銓監督の「天下第一」で考察した
"ふわふわ感が英雄を感じさせ、英雄だからふわふわなのだ"
"限りなく近くにいそうで、別世界にいる方たち"
に共通する部分というか遊んでて私自身が感じる部分があるんですよ、本当に。
だから胡金銓ファンも納得の・・・ってなことはないだろうけども、
とにかく主人公の飛び回るサマに何となく胡金銓映画の英雄達が被っちゃったわけよ。
(屋根から屋根へジャンプボタン連打するとさらにソレっぽくなります)

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