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■天皇巨星・ジミー・ウォング(王羽)2  


追命槍
Desperate Chase
戦国水滸伝/嵐を呼ぶ必殺剣



実は日本公開もされてる王羽作品。

冒頭からなかなかのアクションを披露してくれます。 また音楽もいつものようにパクりではなく、ちゃんとオリジナルのサントラテーマを作っています。 (と思ったらこれは海外が差し替えたサウンドらしい)


この人のインタビュー、誰かやって。
また出た龍飛。 もはや、「伊丹十三と宮本信子
羅鋭と常山」みたいな仲ですな。で、勿論悪役。
冒頭から武術家夫婦をぶち殺し、その夫婦から巻物みたいなもんを渡されたガキを追います。(詳細は英語なのでよくわからん)
で、ガキとヒロインにも当然龍飛の魔の手が・・・・とそこへ!

木の上で何をやっていたかはともかく・・・・ 「止めときな!」
・・・さすがはジミー先生。格好いい登場です。今回のエモノの槍を武器に龍飛一味を追い払います。

その後、何故だかよくわからんが、ガキと一緒に旅をすることに。それにしてもガキを追っ払ったヒロインが妙に嬉しそうだったな・・・ で

、とある道場でジミー先生はある若者に戦いを挑まれます。
誰かと思ったら、冒頭でジミー先生がうち倒した親父の息子でした。勝負はやっぱジミーさん有利だったのですが、息子の仕込み刀のせいで、

ジミー先生ピンチ! 背中を斬られました! 流血が止まらない!
しかしここは、数々の名作でアイデアを出してきた(片腕とかギロチンとか雙流星とか)先生、ガキを包帯がわりにおんぶで血を止めるアイデア炸裂!

ちょっと見難いですが、ガキをおんぷしてます。
この場を何とかしのぎます。

・・・その後、またヒロインのいる旅館に帰って後はずっとその辺でごちゃごちゃしてるのですが、残念ながらずっと「深夜のシーン&画質が悪すぎる」ため、よく見えません。
DVDなのにぃ・・・ というわけで、すっ飛ばしてクライマックス!

その旅館の前で夜明けから、ジミー先生vs悪者大軍団の戦いが始まります!

数多すぎでしょ。
ここから戦いが延々と続きます。
次々とその槍で悪者をぶっ刺していくジミーさん。

その様は黒沢明の「椿三十郎」を彷彿とさせます。そうなんです。この映画は、相当当時の日本の時代劇を意識して作られてるみたいで、ガキを連れて〜云々は「子連れ狼」に通じるというか雰囲気もそっくりだったし、ここでの戦いは黒沢時代劇でのアクションを(または座頭市)明らかに意識しているのがわかります。
しかも、「その上をいってやるっ」といった気概が感じられます。

見難いですが、屋根の下から上の敵を刺しました!

トランポリンを使っての空中アクションも豊富!
で、「その上をいってやるっ」については、そりゃあ黒沢と比べるのは酷ですが、当時のアクションとしては迫力十分で二重丸でしょう。
勝新太郎と友人で「いろいろ教えてもらった」と言われるジミーさんらしく、「アクションの間」や「カメラアングル」もそこそこメリハリがあると思います(勿論監督の影響もあるでしょうが)。ジミーさんらしい武器やアクションのアイデア「仕込み刀」「鎖から刀に変わる武器」等々。
壮絶な闘いの果てに・・・
「追命槍」というタイトルの通り遂にジミー先生も・・・・

立ったまま絶命!
ウォーズマンっすか!?

戦闘終了後。
先生が立ってたので、喜んで駆け寄ったガキとヒロイン。しかし、先生は既に事切れていたのでした・・・

終劇


改めて、ジミーさんを尊敬してしまったのが正直な感想である。
冒頭始まってしばらくはかなりヤバイ雰囲気、つまり「つまらなそ〜」だったのだが、終わってみればラストをインパクトの頂点にして、「いやー面白かったぞ!」 という気分にさせてくれました。ラスト辺りに一気にアクションを見せるとこなんか、ジャッキーもよくやってたよね。
この映画の好評判って一つも聞いたことなかったけど(観てる人が圧倒的に少ないだろうし)、意外に隠れた傑作だったと思ったりするぞ。
今まで観たジミーさん映画も「決定的なハズレ映画」ってのは個人的に無かったし。これからはジミー先生メインで集めていこうかな・・・

■CAST&STAFF
監督 高寶樹(カオ・パオシュ)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
龍飛(ロン・フェイ)
焦〔女交〕(チャオ・チャオ)
楊洋(ヤン・ヤン)
田野
苗天(ミャオ・ティン)
易原
葛小寶
江青霞
蘇真平(スー・ツェンピン)
柯佑民
雷峻(ライ・ジュン)
歐立保
原森
張義貴
黄飛龍
王永生
余松照
脚本 倪匡(イ・クオン)
制作年度 1971


手足情深
Brotherly Love



ちょっと調べた限りでは、彼のフィルモグラフィーに全然載っていないレア度高いかも? と思われる作品。
ただ、Yesasiacomでは普通に販売してます(あっという間に在庫切れになったりするけど)。別に購入を促しているわけではございませんので、あしからず。

さてさてさて、この作品ですが数あるジミー作品のなかでも極めて異色と言えます。なぜならば
「グログロしていない!」
「全体的になんとアットホームドラマである!!」
「LOVEがある!!」
「ジミーさんが普通だ!!」

VCDを包むパッケージも、いつものおどろおどろしい(片腕とか、片腕とか、片腕とか) ではなく、
正直「いかにもつまんなそうな普通のドラマ」のパッケージだ!
だからね、わしゃーこんな作品全然知らんし、
ジミーさんはゲスト出演程度か?あとは秦祥林の独壇場か?
と大方当たるであろう不安な気持ち満載だったのよ。でもちゃんとジミーさん主演のメロ・アットホーム・アクション・ドラマです(なんだそれ)。
そう! となると反対に「全然アクションなしか?」という別の不安が渦巻きますが、「天王巨星がそれで済むハズがない!
こちらの予想はバッチリ当たりました!
普通のクンフー映画とだいたい同じだけクンフーあります!


いざ始まると広大でのどかな牧場の風景が(香港の山上か台湾かな?)。 そこに流れてくるまるで、「日曜花王ファミリー劇場」でも始まったかのような、ほんわかBGM。こ、これがジミー作品なのか!?
すぐに出てくる秦祥林と恬〔女丑〕さん。そして、 馬に乗って颯爽と登場する格好いいジミー先生の姿が!!そして、

間違いなく主演だ!
「兄貴ッ!」 と秦祥林が声を掛ける。馬を降り対峙する2人。いきなり、

おお!?初っ鼻から格闘ありだ!
対決!? ・・・じゃれあってるだけなのだが、 「これはこの後もクンフーはあるな。」 とかなり確信。

粋なオープニングでありながら、かなり彼っぽくない。
2人で乗馬しながらスタッフロール。間違いなく西部劇サントラからパクった粋なBGM。ちゃんとスタッフロールに武術指導もある。

【人物相関】
※北京語音声の字幕一切無しなので、言葉がほぼわかりません。わかったの「兄貴ッ!」ぐらい。ですから推測です。

(義兄弟?
恬〔女丑〕を取り合いながらもケンカには発展せず)

(ほぼ恋人)

(先生も捨てがたいと恬〔女丑〕さん、
 硬派なので先生は好きながらも表面に出さない)

道場主の娘(好き、先生は興味なし)
よって、

     (恋敵

同門の男
(言い寄っているが、娘の方が嫌がる)
これによって

同門の男
恋敵に勝手にされる

あと父ちゃんと、道場主さん(推測)と、いつ出てきたかわからない女性(この娘のおかげで混乱)が出てきます。

で、職業は
ジミー先生が「空手道場の師範代にして、映画スタントマン」
秦祥林が「就職の内定した大学生」
恬〔女丑〕が「絵描きを目指す美大生」
父さんが「牧場主」 と思われます。


チャリンコ使ったアクション炸裂!

おお!?これが「プロジェクトA」の原点!!(大嘘です)
冒頭から先生はいきなり絡まれてます(原因不明)。でも先生だぜ、先生。 当たり前の如く、雑魚キャラをなぎ倒す!!しかし、

おわーっ!?前が見えーんっ!?

こてっ
先生がそういったギャグですかー!?こっちの方が驚くわほんまに。

「いいか、お前ら。指のツメかたってのはなぁ〜」
ではなくスイカ切ってるだけですが、ここで何故か怖い音楽が・・・なぜ?(後半明らかに!)

珍しい先生の爆笑顔!

このグローブは・・・

「燃えよドラゴン」でブルース・リーが考案。今はシュートボクシングで使われているアレですよね。

弟秦祥林に絡んできたチンピラを威圧だけで追っ払うジミー先生!

前半は執拗に絡んでくるヤクザとのファイト。
でも、あくまでLOVEとドラマがメインだから爽やかなもんです(他に比べたら)。
遂に先生、 走ってくるチャリンコの前に縄を仕掛けるという小学生的発想の罠に引っかかります!

あーっと!!先生の足が縛られたぞ!!??
しまった!? この映画のタイトルは「手足情深」!!
手足・・・手足・・・手無し・・・片腕ッ!?!?
ここまでの和やかホームドラマ雰囲気から一気にドグラマグラ片腕ドラゴンかっ!?!? (結構本気で思いました)

助けに来る秦祥林!
俺だって弱くはないぞ!片腕展開は違いました・・・なぜかホッ。チンピラどもを立った2人で一網打尽。チンピラ関係はここであっさり出番終わり。やれやれ一件落ちゃ・・・・

どうした秦祥林!(っていうか誰にやられた!?

入院した秦祥林。しかしやけに元気。
完全推測になりますが、恐らく骨髄の病気なのではないでしょうか? (そう思ったきっかけは後述) そして、ジミーさんは師範代の仕事もこなしつつ、映画スタントマンの仕事に精を出します。

ねずみチャイナでこの辺は本領発揮ですね!!
ばっちりクンフー映画!! ね?アクションもしっかりあるでしょ。

さらに師範代として試合シーンも!

こっちは宝石泥棒の準備(大嘘。それは「五福星」)

ほんでもって、そっちはそっちで秦祥林も恬〔女丑〕さんとの仲を深めていきます。 どうてもいいか。

んだけど!! 後半からは怒濤の展開に!!次週をお楽しみに!!



にしようと思ったが、早く言いたいので最後まで言ってしまおう。

同門の男
恋敵に勝手にされる
前述したように実はこういう関係がまだ生きてたりして。
この男が嫉妬心からか(推測です。本当は別の理由なのかも知れません)、 ジミー先生に襲いかかります!!一人で大暴れ!!
それをかわす先生!!

先生「いやいや今回は俺じゃない!!」
哀れな男、勝手にデカいナイフに刺さって死んでしまいます。しかし、そのナイフを持った先生と死体を恬〔女丑〕さんが見てしまったからさぁ大変!! ドラマは一気に重くなります!裁判劇(というほどでもないか)

「兄さん逃げちゃダメだ!僕が必ず兄さんの無実を晴らしてみせるよ!!」 (ってな事を言ってるとおもわれ)

秦祥林推理中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ!?

「いいか、お前ら。指のツメかたってのはなぁ〜」(だから違うって)
まぁ、真相はご自身がご覧になった時にお確かめ下さい。全然たいしたことないですが。ちょっとぐらい隠さないとつまんないし。

可愛き弟分のおかげで晴れて無罪放免となった先生!
(ただ死んだ男はあまりに哀れだけど) そして先生はその弟分の骨髄移植のために、一緒に手術台に行きます。(DNAが合ったのか?やっぱ無理があるかなぁ?単なる輸血かなぁ?でも秦祥林が倒れる時、2回とも腰を押さえてたからなぁ・・・?)

弟も全快。先生も爽快。お父さんが誕生日。
元のアットホームな雰囲気に。上半身すっばだかになって、先生が華麗に乗馬しながらハッピーエンド。

僭越ながら先生、グラサン似合いません・・・


いや結局ね、俺は面白かったんだけど、なにが面白いって、
ジミーさんが普通のドラマで普通の演技してるのが面白い
って事だと思う。こんなジミーさん見たこと無いもん。だから映画自体はまぁ凡作に過ぎないと思うわけね。あくまでドグラマグラ・ジミー映画があるから、この作品も際だって見えるんだと思う。
しかし今の所! 俺が選んでみたジミー作品はハズレなしだ!
(先生あっぱれ)

【おまけ】
恬〔女丑〕さんベスト・ショット


長髪の恬〔女丑〕さん。今回、蛇拳は披露しません。

■CAST&STAFF
監督 王時政
出演 王羽(ジミー・ウォング)
秦祥林(チャールス・チン)
恬[女丑](ティアン・ニウ)
王引
催福正
葛香亭
史仲田
金石
韓江
李彗彗
劉静敏
干恒
乾徳門
武術指導 謝興
音楽 黄茂山
製作 江文雄
制作 呉振竹
製作総指揮 王龍
制作年度 1977


虎鶴雙形/少林虎鶴震天下
Savage Killers
Tiger and Crane Fist
ドラゴン修行房

cover
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王羽作品を一気に集めて、ダダーッと観ていったら
すっげー気持ちいいだろうなー

この作品、実はビデオを長いこと紛失していたので、全然見てなかったのだがこの度、小掃除であっさり見つかったので見直してみた。

なんかおもしれー!

何て言ったらいいんだろうな・・・なんちゅうか雰囲気が・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・ 表現できないので考察してみたいと思います。

オープニング

まず最初に断っておくと、私が所有しているのはローカル地方局のKBS京都で放映してたバージョンです。それ故に、例えばこのオープニング。
虎拳師匠vs鶴拳師匠(陳慧樓)の戦いそのものはどうってこと無いように見えるのですが、ドロドロとした迫力のBGMが独特の雰囲気を醸しだし、その後に王羽、劉家榮らが見せる演舞の時のBGMがエレキトリックでチャイニーズ風味でもあってマッチしていて最高です(個人的に)。
だけど、これがTV局の差し替えか元からのBGMかは知りません (ご存じの方、お教え下さい)
エレキーなBGMだとだいたい差し替えが多いですから。孟飛方世玉ものも多い。
でも本作はBGMのバランスが非常に良く(元サントラも差し替えと思われる箇所も)、王羽作品独特の雰囲気を大いに盛り上げています。
映像そのものを止めりゃいいのに、鶴の恰好して止まってグラグラ微妙に揺れてる王羽巨星がたまりません

先に大筋をお話しましょう。
最強拳法とされる「虎鶴拳法」があったが、伝承者の2人が仲違い、
「虎拳」「鶴拳」と2つの流派に別れてしまう。
そこに地上最強のクンフー使い龍飛が現れ、伝承者2人は殺される。
「虎拳」「鶴拳」それぞれの一番弟子だった王羽と劉家榮が協力し
「虎鶴拳法」を復活させて龍飛に立ち向かう!以上!すっきり!

ごーんごーん♪

オープニング終えて、すぐ虎拳師匠、弟子の王羽vs龍飛。
龍飛は攻撃されてもビクともしない鋼鉄の体で無敵。さらに飛び熊手を自在に操り、虎拳師匠に致命傷を負わせる!
対決場所はあの滝!

あの滝というと「少林寺木人拳」でジャッキーが一生懸命練習してたあの滝だ!あの滝は何れ行こう、絶対行こう!そしてジャッキーの真似してこよう! 負傷した虎師匠を背負って弟子の王羽が逃げます!
舞台は寺院に。
か、隠れ場所がない・・・
焦った王羽は師匠を抱えて大鐘の中へ・・・
ごーんごーん♪ごーんごーん♪ごーんごーん♪ごーんごーん♪

お前、いるのわかってるやろ?

鐘の中にいるのか疑っている龍飛が鐘鳴らしすぎ。はよ確認せー
おかげで中の師弟はうるさくてフラフラ。
危機一髪のところを鳥の大群が飛び立ってくれたおかげで龍飛の注意を引き、 なんとか逃げ出す師弟であった。
それにしても鐘のシーンなんか、王羽さんらしいな〜と思う。

「シャンハイヌーン」とかでもありましたし、 どっかにデカイ元ネタがあるんでしょうね。

恐れ入った自惚れ屋め!

何とか「鶴拳」師匠の道場に匿われた虎拳師弟。
そして仲違いしてた2人の師匠は和解したものの、
虎拳師匠「虎鶴拳法を復活させ、龍飛を倒さないと・・・」
と鶴拳師匠である陳慧樓に告げて、ついに絶命する。
陳慧樓「・・・というわけだ。お前達、協力して虎鶴拳法をマスターし、龍飛を     倒してくれ!」
とはいったものの、今度は鶴拳道場の一番弟子・劉家榮が
劉家榮「いやいや、鶴拳だけで十分っすよ〜
と言ってやる気無し。
王羽が虎拳を教えても全然やる気見せず。
歴史は繰り返しておきますか。
ここに王羽vs劉家榮バトルが始まった!

陰から心配そうにガチンコを見守るヒロイン、謝玲玲が可愛い。
この人、厚化粧なんだけど可愛いんだよな(個人的に)。

どうやら対決は王羽が若干有利かマジメに練習していた差が出たか。
だがしかし、劉家榮は奥の手を出してきた!
敵の目前で突然ジャンプして相手の両腕を自分の両腕で叩きつけ、そのスキに必殺の鶴拳を叩き込むのだ!
王羽「ぐわっ!?」
劉家榮「一発喰らったご感想は!!もう止めるか!?」

・・・お前はそれまで王羽に5発ぐらい喰らっとるやろ(アザ出来てんじゃん)
王羽「バカ言うな!君の方こそ止めたいんじゃないのか?」
そりゃ「バカ言うな」とも言いたくなるわな。今まで有利やってんから。
劉家榮「恐れ入った自惚れ屋め!行くぞっ!
お前じゃー!!
と、劉家榮のナルシストぶりが素敵(素敵かい)。
おまけに「謝玲玲は俺の彼女」と彼の中で断定されてるところも素晴らしい。 おまけに声が神谷明(「キン肉マン」「北斗の拳」「シティハンター」)なのも素晴らしい。

キャップかよ

中国武術の全支配を目論む龍飛の次のターゲットは当然、鶴拳師匠の陳慧樓だ。陳慧樓師匠の腕前は素晴らしかったが、持病を持っておりこれが致命傷になった。それにしても
銀魔王なみに無敵のくせに、武器まで持ってるのは卑怯ナリ!
銀魔王は一回も武器は使わなかったぞ!
ただし老獪な陳慧樓師匠はタダでは死ななかった。
ちゃんと龍飛の弱点を見破っていたのである。

だって、 弱点にキャップしてあるんだもん(おいおい)

いまわのきわに愛弟子の劉家榮に弱点を告げ事切れる師匠。
弱点は「得意になり、己を忘れた時」ではなかったのか・・・

どうだ!!図星だろっ!?

弱点がバレて「やべっ」と内心焦っていたと思われる龍飛は遂に鶴拳道場に踏み込んだ!だが誰もいない・・・(あんたが殺したんでしょ)
三番弟子ぐらいと思われる若き日の郭振鋒はたまたまハチ合わせて可哀想だった。
龍飛 「2人(王羽、劉家榮)はどこだ?」
との詰問に答えず、あくまで戦う郭振鋒。一緒に戦ってた同胞が倒れる!
龍飛 「これでも答えないのか!?」
郭振鋒 「・・・当たり前だっ!!」
一瞬、
あれっ?この人は準主役でもやっていたか?
と思ってしまいそうな、無名時代にして郭振鋒の格好良いシーンである。
殺された郭振鋒をエサにして、ひるんだ謝玲玲が捕まった!
すぐさま助けに駆けつけた劉家榮(王羽は寝てたのか?)が謝玲玲を安全な場所に待避させ、自分はvs龍飛と大勢の手下たち という不利な戦いへ。
劉家榮 「お前の技など怖くはないぞ!
      胸のキャップを外せば何も出来ない!どうだ!!図星だろっ!?」
図星の龍飛 「だったら若造、外してみろ!」
まぁあれだけキャップが目立ってたらせめて、
"取れにくくしてる"のはそりゃそうだわな
簡単に取れちゃ世話無いもんな。

正々堂々と戦いを挑んだ劉家榮こそが間違いだった。
いいか、これは王羽作品なんだ

vs龍飛の最中も容赦無しに手下の攻撃が飛んでくる。
敵も味方もたおしゃーいいんだ
飛び熊手に心臓を貫かれ、
ボコボコリンチ状態の劉家榮が海に投げ込まれる!
パッと見、もう死んでたが、さらに死んでる劉家榮を溺死させる手下達。
子供の時はこのシーン、かなり引いた。

ばーばばー♪ばばばばー♪ばーばー♪

この映画、味方が死ぬとイチイチ短いレクイエムが流れるのだ。
王羽とはいがみ合っていた劉家榮だが、最後は仇と謝玲玲を王羽に託し死んでいった。
王羽は仇討ちの誓いを立てて、一旦道場を逃げ出すのだった。

薛漢と王羽を間違えんなよ

隠れ家で王羽は龍飛の"飛び熊手"を何とかするための修行、そして
キャップをスムーズに取り外す修行を続ける。
それ以外に役立たない修行をしているところがミソであり前菜だ。
そしてそして、
ちゃっかりヒロインの謝玲玲と同棲しているところがオードブルだ。
あんた、劉家榮の彼女取ってるやんか。

王羽対決

ついに宿命の対決。
最初にごーんごーん♪で苦しめられた寺院に龍飛を呼び出す。
龍飛 「・・・・・・誰もいねーっすよ?」
警戒する龍飛にいきなり陰から火薬、爆竹、導火線を投げつける王羽! "飛び熊手"に導火線を龍飛にも導火線を絡めて火をつけた!!
龍飛 「あち!?あち!?あちぃ!?」

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弟子 「先輩。銀魔王を倒す良い方法を思いつきました!」
先輩 「んん?なんだ?」
弟子 「奴が寝てるスキに屋敷ごと火をつけ、焼き殺すのです!」
先輩 「!?だめだだめだ!!雷平武館の名折れになる!!」
この枠内は「ドラゴン太極拳」での一幕である
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何が名折れだ!!
こっちの天王巨星・王羽を見てみたまえ!


死角からいきなり火炎物を投げつけ火をつける!

正々堂々と戦いを挑んだ劉家榮こそが間違いだった。
いいか、これは王羽作品なんだ

たまらず"飛び熊手"を手放した龍飛!
ここでの必殺の"虎鶴拳法"で龍飛に攻撃を仕掛けた!!
まだキャップは取れないものの、キャップ部分へ強烈な鶴拳を叩き込んだ! 転げ落ちる龍飛!
・・・しかし、立ち上がって
龍飛 「がーはははははははっははははーーっ!!」
異様な迫力で
"お前の攻撃効いてねぇ!ぐへへへ!" と、挑発を繰り返す龍飛。
恐らく差し替えのサントラも合わせて、強くインパクトに残るシーン
である。
完全マジになった龍飛の顔が怖すぎ(本職そのもの)
予想通り、鋼鉄の体から繰り出される攻撃1,2発で王羽はグロッキーに!
しかし、王羽も忘れていなかった!
かつて自分がやられた劉家榮の奥の手を!!
敵の目前で突然ジャンプして相手の両腕を自分の両腕で叩きつけ、 そのスキに必殺の鶴拳をキャップに叩き込むのだ!
ついにキャップ奪取に成功する王羽!
と、同時に痛すぎるボディブローを龍飛から喰らってしまった!
=戦闘不能!!
龍飛 「がーはははははははっははははーーっ!!」
・・・・・・・・・・・・ ドピューーーーーーーーーーーッ!!
キャップを取った箇所から大量に血が!!
なぜキャップを取ったら血が出るのか、取っただけで死ぬのか、その辺の説明は最後まであるはずもなく遂に龍飛は絶命!
龍飛の死を見届けると、
王羽はボディから鉄板のプロテクターを取り出した!
あらかじめ攻撃に備えて防御(ズル)もしっかりね!! さすが王羽先生!
自らの戦い方を貫き通し、今回も強敵を打ち倒す!

登場人物ほとんどが死亡したものの、
王羽と謝玲玲には平和が戻ったのだった・・・

終劇



というわけで、正統派功夫ながらしっかり王羽さんらしい"戦闘方法"で戦い抜き、悪役を虐めるファイトも素晴らしい(?)
脇を固める劉家榮、陳慧樓、郭振鋒(?)も各々美味しいシーンがあってちゃんと盛り上げつつ、全てを自身の活躍に昇華していくあたりはさすがワンマンで今までも作ってきた王羽監督の手腕と言えるだろう。

また、前述の通り差し替えのサントラを交えた演出は結構良く、特に龍飛の強大さは非常に上手く表現されており、数多い彼の悪役人生の中でも一際強大な悪役だったと思われる。

ぴょこんぴたん♪ぴょこんぴたん♪

ちゃんと功夫習ってない王羽の動きで特に
こりゃ、おもろい
と思っているのが、立ち回りしながらの立ち構えで腕や足がカラミ合う殺陣と殺陣の合間の構えが、ぴょこんっ!ぴょこんっ! と、少し飛び上がりつつ起立なのだ!(手は全然構えず)
攻撃をよける!ぴょこんっ!
攻撃を仕掛ける!ぴょこんっ!

是非、今度注目して見てほしい。
(「ドラゴン特攻隊」の頃はそこそこ修正されてます)

んで結局

なんかおもしれー!

何て言ったらいいんだろうな・・・
「これやったらウケるだろう!」
そればかりが詰め込まれていること、他の思想が一切無い潔さ。
これだけじゃないよな。
王羽作品にはさらに言い表しにくい魅力ってのがあると思う。

あなたにとって"王羽作品の魅力とはなんですか?(逃げた)

■CAST&STAFF
監督 王羽(ジミー・ウォング)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
劉家榮(リュー・チャー・ヨン)
謝玲玲
龍飛(ロン・フェイ)
陳慧樓(チェン・ウェイ・ロー)
馬驥
雷峻
薛漢(シュエ・ハン)
龍方
王永生
郭振鋒(フィリップ・コク)
荊國忠
史亭根
齊後強
呉可
劉幼斌
武術指導 劉家榮(リュー・チャー・ヨン)
脚本 倪匡(イ・クオン)
製作 黄卓漢
制作年度 1977

神拳大戰快鎗手
Return of the Chinese Boxer
cover
※画像クリックAmazonで確認できます。

ついに日本でもDVD-BOXが発売されるとあって、話題沸騰中(?)の王羽作品。今回は某店で珍しく王羽ものを安くゲット(あそこ王羽モノはいつも高いのよ)、さっそく視聴してみたこの作品はどうだったか?



人型ゴミ袋相手に殴る蹴るの王羽さん。
おお!?
お、おお!?なんと・・・・なんと迫力の無い演舞オープニング!!
しかものっけから飛び道具ばっか使って卑怯さ満開のアクションだ!
脚本 古龍!?
まじで!?別人!?

そして日本の武家屋敷。
侍さんが。そして殿様(乾コ門)が。
何かしらのミーティング中だ。
殿様 「カトーサン、ドウカネ?」
加藤さんは体格に合わない高くて可愛い声が魅力だ(これは英語版)。
そして殿様の乾コ門がクワマンに似てるのも隠れたポイントだ。
そして最大のポイントはこの武家屋敷、結構よく出来てるのだ。
何を使ったんだろうね。

蒸気機関車が走ります。
しゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽ・・・
殿様がいて侍がいて武家屋敷 and SLしゅっぽー!!!
ほんの5分程度で早くも歴史メチャクチャ感が漂い出したー!!
その蒸気機関車に潜むたくさんのお侍さんたち(なんでやねん)。
そこをチャイナ盗賊どもがダイナマイト使って蒸気機関車止めさせ強襲!
爆破シーンは爆破シーンが全く映っていない予算を考えた演出が魅力だ!
襲い掛かる盗賊どもを担え銃で撃ち落すお侍さんたち!
何とか頑張って壮大なスペクタクル感を出そうともがく演出!

世界のクロサワ+地獄の黙示録+王羽演出妙味!!

し、しかし・・・このお侍さんたちが銃を撃つ姿、どっかで見たことある!
・・・そ、そ、それは、
・・・ウーラウラカカカウラウラー カカウーラウラカカカウラウラー カカウーラウラカカカウラウラー♪
そう、ド、ドラゴン特攻隊
それを証明する演出がすぐさま飛び込んで来た!
銃口たくさんありすぎ機関銃!
この機関銃は「ドラゴン特攻隊」でジャッキーが使って一発で後ろに吹っ飛んだアレだ。

それにしてもさっきから侍を指揮するくの一の張盈真さんが可愛い。
男尊女卑の武士道で早くも活躍は素晴らしいものだ(ちゃんと研究しろ)。

と、いろいろツッコミ入れたが

まだ始まって正味10分弱だ

まだ王羽本人は物語で登場してないのに、早くもこの面白さは何事か?

強い侍の薛漢叔父さん。
「残酷ドラゴン/血斗竜門の宿」で上官霊鳳のお兄ちゃんやってた人と言えばわかる人もいるはずだ。

エンペラー登場。
謁見する張盈真、薛漢一行。
宴を設けた皇帝の粋な計らいで中国舞踊が始まる。

しかしどうやらさっきの盗賊を使って日本人を襲ったのも皇帝の一派(裏切り?)。
そっちに登場した秦之敏さんも目がパッチリして可愛い。
「ドラゴン修行房」の謝玲玲さんもそうだが、一つわかった。

王羽さん、
美人を連れてくる力、センスはさすがだ!
この辺のショーブラ以外の映画に登場する女優さんは正直、キツイ人もいるからなぁ。

場面変わって移動中のエンペラー。
野菜の自主販売でリヤカー引いてた農家の方々が実は敵だった!
エンペラーピンチ!
その前にエンペラーのくせに護衛が5人ぐらいなのは少なすぎ!
あっという間にやられる護衛!あほあほあほ!

そこにどこからか颯爽と王羽先生が登場!
それを見た敵があるモノを王羽先生に投げつけた!
キャッチして投げ返す王羽先生!敵にあるモノが刺さって絶命!
あるモノとは大根だ!おでんの汁を吸い込むととても美味しいのだ!

こんなもんが刺さって死ぬかぼけっ!!

さらに薛漢(日本人侍役ですよ)の手引きで皇帝軍は襲われる!
引き続き王羽先生が助ける!
薛漢を追いかけた王羽先生は逆に日本軍に囲まれた!

薛漢 「やるな!何者じゃ!?」
王羽 「俺か?しがない天皇巨星さ。」

ははーっ
その場にいた全員がひれ伏した・・・・もちろん俺のウソだ。

張盈真 「殺してみたりするわ」
ホントのセリフはこっちだ。大勢に取り囲まれてピンチの王羽先生。
これを類稀なる脱出方法で逃げ出した・・・つまりどうやって逃げたのかさっぱり俺にもわからなかった・・・まさに煙に巻くとはこういうことを言うのだ

場面変わって、
客棧でピーナッツを食らう王羽先生。独特の食べ方が素敵だ。絶対元ネタがあるんだろう。そこに改めて慎ましくして先ほどのくの一・張盈真が現れた。さっきのくの一姿も素敵だが、長髪下ろして喪服みたいな着物で、何か間違っていることは間違いないが可愛いのも事実だ。(恐らく邦画のヤクザ映画で親分を亡くした姐御さんの喪服姿で討ち入り!・・・を真似したのだろう)

張盈真 「惚れてしまいましたわ。」

と言ったかどうだか、とにかく殺したいほど惚れたらしく、ナイフ投げの殺し屋を連れてきた。この殺し屋あいつだ。「ドラゴンカンフー/龍虎八拳」でカサノバ先生雇ってたボスだ。ナイフを次々と投げる!
壁を垂直に駆け上がる「片腕カンフーvs空飛ぶギロチン」で見せた全く重力を無視した王羽先生の得意技でこれを避け、殺し屋を退ける!

場面変わって、滝の前で敗れて落ち込む殺し屋。

張盈真 「落ち込んでる場合じゃないと思うんですけど」
殺し屋 「あいつは王羽先生だ。俺に彼は倒せない。」

ってなことを言ってたような気がするが、ところで何故俺が張盈真が可愛いと言っているか、自分でわかった。昔好きだった人にどことなく似てるからだ。内輪話で誠に失礼した。だって、

今度はこのブサイクな殺し屋を責めることなく慰めてるんだもん
張盈真 「元気だしてっ」

というわけで、
誰が最強かを決める、
第一回全日本アマチュア武士道選手権大会が始まった!!
(もちろん大会名は俺の想像)
想像はともかく、なぜ始まるーっ!?!?
(王羽先生倒せる奴を選ぶため?)

さぁさぁ、ちゃんと日本式に行事もいるぞ!
もちろん相撲ではなくカンフー方式で戦うのだ(なにがもちろんだ)!

第一戦 巨刀流 勝田 vs 寶蔵院 嵐風

ちゃんと木札で名前まで表示。参加者はあくまで日本人のようだ。

勝田さんは日本の僧侶の格好(日本少林寺拳法のアレ)だ・・・・
(「風流残劍血無痕」の金剛)
っていうか、勝田さんに扮しているのは金剛かよ!?
金剛扮する勝田さんは強靭な体で嵐風さんに勝利!

第二戦 神爪門 宮本次郎 vs 二心流 荒木武夫

マニアックだー
マニアックなマッチメイクだー

(「ドランクマスター・酒仙拳」の龍世家)
宮本さんに扮しているのは龍世家で、
(「激突!キング・オブ・カンフー」の高飛)
荒木さんは高飛。
龍世家vs高飛なんてマニアックだー

・・・つーか、もうあかんわ。
面白すぎるわ、この映画。脱力するわほんまに。すげーよ。

ドラゴン太極拳」でもその身軽さを披露した龍世家のアクロバティックな動きが目立ったが、その足に縄を絡めた高飛が奥の手!なんと縄が爆発!!
足を失った龍世家が敗北。

・・・・・・脱力したでしょ?ね? はぁ・・・

さぁさぁ気を取り直して。
どうやら柔術 大鵬さんの戦いをすっ飛ばして、先ほどの金剛と地火流 小次郎(李強)との戦いが始まる!
それにしても王羽さんが出なくなった途端に殺陣アクションレベルが数段上がったあたりが素敵だ!

ばーん!ばーん!

いきなりピストル出して撃った小次郎!・・・・

気なんか取り直せるかっ!ぼけっ!!

「クンフーは銃に勝てない」

徐克のメッセージはものの見事に王羽作品に否定されているぞ!
当たり前のように功夫+銃で戦ってるこの大会を見よっ!
金剛が銃弾を見切ってさばくっ!!(んなアホな)

決勝は金剛vs高飛!(いいねこのマッチ)
勝ったのは金剛(もう説明がめんどい、とにかく卑怯な大会だ)


場面変わって、
くの一張盈真が率いる一行が向かったのは満を持して登場した龍飛の家。
あれ?トレードマークのヒゲがない?

(「ドランクマスター・酒仙拳」のヒゲあり龍飛)
と、張盈真vs龍飛!(恐らく腕試し)

その前に認識してもらいたいが、この映画の戦いの基本は
クンフー+銃だ。当たり前のようにクンフーの間に銃が出てくる。

張盈真 「惚れてしまいましたわ。」

またかよ。

まるで「男たちの挽歌」でも始まったかのような周潤發(チョウ・ユンファ)もびくりの龍飛の二挺拳銃さばき!
張盈真さんは、王羽さんにもブサイクな殺し屋にも龍飛さんにもと、
基本的に母性本能が高いのね(違うだろ)
張盈真のちょっととろんとした色気と含みのある瞳が素敵だ。
てっきり、王羽&張盈真でくっつくかと思ったが、龍飛&張盈真に。
ちきしょー、俺も二挺拳銃さばき習おうかな。
つーか、薛漢叔父さんが全く出てこなくなったが?

秦之敏 「瞳の魅力なら、私も負けないわ」

と今回、皇帝の孫娘役と思われる大きな瞳の秦之敏さん。
うーん・・・・・・・
(「クローサー」の趙薇。直接関係なし)
'70年代の趙薇(ヴィッキー・チャオ)と勝手に名づけてしまおう。
現代でも通用するカジュアルなルックスもよかだ。ダブルヒロインどちらともタイプです。

龍飛に張盈真取られて酔いつぶれる(違う違う)王羽先生。

ここからは
王羽vs金剛、龍飛、張盈真の壮絶な戦い・・・いやいや爆笑の戦い!
になるのかと思ったが、まだまだまだまだ!
謎のムエタイボクサー兄弟も登場だ!

もう勘弁してくれよ!!
こんなにツッコむとこあったら
書ききれないよ!!


vs金剛戦!!
あれだけ大会での最強を誇っていた金剛さんだが、王羽先生の手にかかればハッキリ言ってイチコロ。「KillBill」での劉家輝師匠の元ネタはこれか?
金剛のエモノである大槍の上に立つ王羽先生!
お前はキン肉マン・マリポーサか!

金剛戦の後はムエタイボクサー兄弟の謎のダンストレーニング披露だ!
コンビネーションムエタイ殺法で子のためだけに登場したと思われる日本人空手家を打ち倒す!そしてvs王羽戦!

ここまでまだ1時間強!

日本認識の間違いなど書いてたらキリがないので、それを書くのは端折ってもこんだけ見所たっぷり!詰め込むのもいい加減にしろ!

しかし、俺は甘かった。
こんなとこでへこたれてるようではこの映画は看破できないのだ!
ハッキリ言って一回で書ききってしまうよりも、
連載モノとして俺も書きたいぐらいだ!


はぁはぁ・・・・・・

王羽さんは兄弟のムエタイ殺法に苦戦!
そこで!小麦粉を兄弟に投げつけた!!
視界を失った兄弟に王羽先生のミラクルパンチ!!
こともなげに沈む兄弟!!

場面変わって、さぁ皆さん驚きなされっ!
再び出てきてる薛漢と張盈真一行がなにやら怪しげな儀式。
三つの棺桶を用意して一体何をやっているのか!?
なな、なんと!!

今まで劇中で殺られてきた
3人(李強など)が
キョンシーとして甦った!!


そんなことまで詰め込むのか王羽作品!!
「ポリス・ストーリー」で村一つぶっ壊したジャッキーも溜飲下げじゃっ!!


キョンシートリオが秦之敏お姫様一行を襲う!!
死人が真っ昼間に大活躍!!
そして秦之敏がさらわれた!

キョンシートリオvs王羽戦!!

必殺の王羽ミラクルパンチも死人なので効果なし!!
さーて、いったいどうやって倒す!?
その時、最初にやられてへこんだブサイクなナイフの殺し屋も復讐の機会を伺っていた・・・

実に合理的な方法(内緒)でキョンシートリオを打ち倒した王羽先生!
だめだ!!最高だ!!だめだ!!最高だ!!どっちもだ先生!!

今度は洞窟でvs薛漢(シュエ・ハン)!
・・・って、引っ張った割には叔父さんよわっ!
王羽ミラクルパンチでおしまい!張盈真もひっ捕らえた!

「そこまでだ」

王羽先生に匹敵するかの如く格好良く登場する龍飛。
そりゃそうだ彼女(張盈真)を助けるんだもん。

遂に始まるラストの大決戦!お馴染みの王羽vs龍飛!!

おまけに龍飛は四挺も拳銃を備え、さらにあのメチャクチャ機関銃も持っていて丸腰の王羽先生は超不利だ!

いったい、どうやって龍飛を破るのかっ!?

もうここまでで、相当な濃いエンターテイメントが詰め込まれた詰め込みすぎにも程がある!この映画には程がない! という作品だが、
クライマックスにこんな大仕掛けがまだ用意されていた!!

もう俺はおなかいっぱいでパンクしそうなのにっ!!

怪しげな小屋へ龍飛を誘った王羽先生。
龍飛が入るとそこには、

王羽人形がいっぱいだった!!

これではどれが本物の王羽かわからない!!
無駄弾を使う龍飛。弾が切れた際に王羽先生が襲い掛かった!!
龍飛 「きさまーっ!!」
怒って王羽先生を叩きつけたが、これも王羽人形!!
さらにアドベンチャーは続き、簡単な鏡の間まで用意周到な先生!

アイデアいっぱいの壮絶な戦いの果てに・・・

こっからさらに!!
普通なら功夫映画なんて"敵倒して即終了がお約束"なのに!
驚愕のオチ(だと思われる)がまだ待ち受けています!もういいよ!
しかし、元から話もまともに理解してないのでようわからんかった!

劇終




これも間違いなくDVD化候補作品の一つだわ。大傑作!!大当たり!!

もうその密度の濃さといったら、満漢全席おなかいっぱい。
片時も飽きさせることなく観客を楽しませるアイデアの数々がほんとに凄いわ。
個人的にはまぁ「片腕カンフーvs空飛ぶギロチン」よりこっちが好きだな。
もちろん、あれがあったからこそこれがあるんだけど。

実にバカバカしい。
バカバカしいったらありゃしない。
メチャクチャな日本認識、暗躍するニンジャとくの一、
マシンガンを使用する侍たち、相撲の行事がいる試合・・・

そのメチャクチャさ、バカバカしさが全て面白さにつながっているのだ。

また、個人的には張盈真&秦之敏(どちらも初見だが)のダブルヒロインがタイプだったのもデカい・・・(すまぬ)
しかし残念ながら張盈真さんの入手しやすそうな他作品は無さそうだ。
(林青霞さんとの共演作が多いみたいです。台湾の女優さんでしょうね)

それにしても王羽さんの功夫腕前がアレであれ、映画なんてアイデア次第でいくらでも面白くなるもんなんだなぁ、と感じました。

王羽好きは(というかそんな人はとっくに見てると思うが)必見!


■CAST&STAFF
監督・製作 王羽(ジミー・ウォング)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
龍飛(ロン・フェイ)
金剛(カム・コン)
薛漢(シュエ・ハン)
張盈真
雷峻
余松照
乾コ門
秦之敏
王永生
謝興
柯受良
程天賜
張義貴
高飛(コー・フェイ)
龍世家(ジャック・ロン)
孫榮志
李強
侯伯威
岑潛波
馬驥
齊後強
歐立保
關洪
荊國忠
閔敏
楊奎玉
張寶善
武術指導 謝興
脚本 古龍
制作年度 1975


直搗黄龍
The Man From Hong Kong
スカイ・ハイ




ジミーさん映画にハズレなし!

未だにこのジンクスは私の心の中で破られたことが無い。
どの映画でもそれなりに面白いポイントを作っている。

今回は「ドラゴンへの道」「ドラゴン世界を征く」などと同じく現代、そして海外ロケに挑戦したアクション片で、遠くハリウッドに挑戦するかのような作品となっている。
元々李小龍(ブルース・リー)が作ろうとしていた本当の「死亡遊戯」に出演する予定で香港に到着したジョージ・レーゼンビーだったが、その李小龍が急死してしまい、慌ててかどうかは知らずともその代わりとして用意されていたのが、本作であるというのは結構有名な話。
ま、その割にはブライアン・トレンチャード・スミスなんて監督さんも用意してたりなんかして、本作を撮るという企画はまぁその前から鄒文懐(レイモンド・チョウ)及びゴールデンハーベストの上役にあったんだろうなとは思う。

消去法の問題で、李小龍逝去、許冠文(マイケル・ホイ)はキャラクター違い、サモハンはまだまだスターじゃない。ショーブラ・スターを連れて来るわけにもいかない。それでいて、大作に耐えられるスターはいるのか?
と考えると当時では王羽(ジミー・ウォング)が最も適当なのは明白。
んでもって、まぁ鄒文懐もそこまで考えてはいなかったろうが、
監督 王羽(ジミー・ウォング)
とロールにあるように、本作の演出にジミーさん本人が大きく関わったことによって、単なる"昔の現代アクション""どうでもいい一本"に終わらなかった、ジミー味が大きく影響して今でもある意味通用する作品になったことが、今ではこの映画の大きな魅力だろう。というか、当たり前なのだが。
もう一つのちょっとした魅力は後述。

流れ

オーストラリアの荒野で真昼間から堂々と麻薬取引をしている2人の男。
このバイヤーを演じているのは当時のゴールデンハーベスト、縁の下の力持ち的存在であった洪金寶(サモ・ハン・キンポー)。

つーか、昼間だからやっぱり警察にバレバレだったのですが

というわけで、刑事に追いまわされるサモハン。
「ああ・・・・・・もっと痩せておけばよかった・・・(涙)」
と思ったかどうだが、逃走劇の末、サモハン捕獲。

すかーいはーい♪

久しぶりに聞いたジグゾーの「スカイハイ」いいねー!!!!
ジミーさんのジの字も知らないが、ミス・マスカラスの入場曲「スカイハイ」と言えば知ってる人もグッと増えるだろう。作品ではなく主題曲が超有名になった香港映画なんて5本もあるだろうか(無いんじゃないの、李小龍、ジャッキーのサントラ関係とか除けば)。
逆にあの「スカイハイ」が元々この映画の主題曲だって知ってる人はいないに限りなく近い。数々のサントラとかパクって作品にくっつけてきた香港映画の中で逆に自作の主題曲が有名になるのは極めて稀だ。

みねんちょてぃんと こよんちまっとん
てぃんいかんやん ちんさほいろん
おめんきゅきんこん こふんちじぇーむすぼん
じょいけいぱっとん ♪

って、それは「悪漢探偵」の主題曲じゃんか、名曲じゃんかそうじゃんか。
だって被ったんだもん。
本作の映画の表向きのウリは勿論、当時映画にて初めて使用された乗り物ハングライダーであり、オープニングにて優雅に香港の上空を飛び回ってくれる。
・ハングライダー
・オープニングで飛び回る
・場所は香港
と来れば、「悪漢探偵」のオープニングがハングライダーにエンジンがついていることを除いて同じ。もしかして曾志偉(エリック・ツァン)もしかして・・・?

そしてハングライダー着地!
着地した場所はジミー教官が練習生に指導中のグランドだった。
ハングライダーの操縦者はレディ!・・・いやいや、レディだろうが
「許可無く空を飛ぶな!着地するな!」
って感じで、ジミーさんはいぶかしむ。
「私は記者よ!」
・・・記者だから何だってこともないと思うが、それよりなにより先の展開が凄かった。
ジミー 「このまま捕まるか、もしくは俺と一発だ!

あっはーんうっふーん

これがさっきまで警官の卵たちに武術訓練を指導していた威厳ある教官だというのか!むしろここまで型破りだからこそ、強烈な悪に憧れるが如く、若手が慕うというのか!そして女性記者もほだされるのか!

さぁ若手の指導も、レディへのベッド指導もここまでだ。本業に戻るぜ!
というわけで、ジミーさんは遥かオーストラリアまでサモハンの身請けに。
綺麗な7、3分けのヘアスタイルが素晴らしい。

ジミーさん in オーストラリア

さっそく拘置所でサモハンをボコボコにするジミーさん。
わっはっは! 白目むいてるよサモハン!
こういうグロッキー演技が意外に上手いんですよ、サモハンは。

護送中のサモハンはジョージの部下に狙撃されてしまう。
まぁ普通なら狙撃犯取り逃がして困ったな・・・ってなことになって次のシーンに移ってしまいそうだがこれは既に何がブライアン・トレンチャード・スミス監督なのか判別つかないぐらいにジミーさんの映画。
執拗以上に狙撃犯を追いかけるジミーさんの姿がそこにあった。

ノースタントで車やバイクを使ってのアクションを見せるジミーさんがなかなかに素晴らしい。恐らくサモハンアイデアも多分にあった・・・のかな?
んでもって、狙撃犯はレストランの厨房に逃げ込んだ!
レストランの調理器具を使って戦うジミーさんvs狙撃犯!

こ、この光景は「ミスター・ブー」なのか!?
許冠文(マイケル・ホイ)はこっからヒントを得たか!?
曾志偉然り、許冠文然り、

香港映画は1日にしてならず

ですねー
だけど、狙撃犯殺しちゃいかんだろ。捕まえて情報聞けよジミーさん。
なに?死体のズボン探るからいい?あっそ。

この事件の裏にはジョージ・レーゼンビーがいる・・・
敵の大きさに尻込み気味の現地の刑事どもだったが、
何処にいようと何をしようとジミーさんはジミーさん。我が道は続く

場面変わってここは黒幕ジョージの空手道場。
っていうか香港のスタジオだろ。
最初にジョージにぶっ飛ばされてスローで吹き飛ぶのが恐らく元彪(ユン・ピョウ)だろうと思われる。
あとホテルの部屋前でジミー先生を襲った一人はたぶん元奎(ユン・ケイ)。

雄大なオーストラリアをバックにジミー先生のバシッと全く決まってない演舞が素晴らしすぎ。サモハンも頭を悩ませたことだろう(大先輩だもんね)。

しかしもってさっきから流れるサントラの旋律が、「プロテクター」のメインテーマに似ている気がするのは気のせいだろうかというか、似ている。

さて我が道
ジョージ主催のパーティに乱入して、ジョージの子分どもと大暴れを繰り広げるジミー先生。理屈の無い大胆さがほんとに心地よい。
強大な敵の前ではグッと飲み込んでクライマックスまで力を溜める展開が多いアクション映画の中で、一切の遠慮をしないジミー先生は快挙かも。
さらに、夜になればジョージのアジトのビルに駆け上がり!

配管を使ってスルスル登っていく様は「ダイハード」のブルース・ウィルスも目を見張るばかりだろう。

駆け上がると今度はジョージの道場でまたも子分に1人大暴れ!
ただ今回は相手も武器を持ち出してしまい、手負いに。
これをたまたま!ほんとにたまたま助けたのがレベッカ・シリングだった。
ここに来てやっとヒロインが登場する作品も珍しい・・・というかなんちゅうかもう。すぐ死ぬし。

さぁ我が道!
オーストラリアでメチャメチャアジア人の一重まぶたの男がモテるのだろうか・・・なんて不安はジミーさんには微塵も無い。
俺を助けたいなら俺と一発だ!
ってな感じで、もはやわけはさっぱりわからない。
わからない上にしばらくはジミーさんとレベッカの愛の劇場が続くのだから、
こっちも諦めるしかない笑うしかない。
わっはっは! わっはっは! わっはっは! わっはっは! わっはっは!
わっはっは! わっはっは! わっはっは! わっはっは! わっはっは!
わっはっは! わっはっは! わっはっは! わっはっは! わっはっは!
(というぐらい、愛の劇場は笑えます)

部下はたくさん殺されるわ、悪役としての威厳は全く轟かないわでちっとも面白くないジョージが刺客を差し向ける。
ここまで事件に全く関係の無かったレベッカが敵の爆弾で爆死。
遺骸を抱えて立ちすくむジミーさん。
意を決してジョージのビルに乗り込んだ!

ここからは逆にジミーさんによるジョージ虐待劇場が始まるのだった・・・


終劇




この作品の面白さを支えるポイントはささやかながらも結構ある。
まずはこの映画のアクションを裏で支えているのはサモハン一行だということ。唐佳、劉家良、袁家班などに並んで一流の殺陣師グループとしてその名を轟かすことになるサモハンボスの洪家班。いくら功夫映画に下火の時代があったと言っても他に有力な殺陣師グループの見当たらなかったゴールデンハーベストとしては絶対に手放せない大事な存在であっただろう。
そのアクションはジミーさんが主演でしかも相手もレーゼンビーということもあって、特に功夫シーンにおいてはジミーさんのキャラクターの痛快さ以外に特に見るべき点は無いとは思うが、スタントシーンの多くやカーチェイスシーン、高層ビルの屋上でアクションするジミー先生などなど、当時のアクション片として考えれば十分に盛り込まれていて飽きさせない。もっともこれはサモハンだけがアクション監督だったわけではないのだが。

次にはやはり、ジグゾーの正規主題歌、そしてサントラ。
「ミッドナイト・エンジェル暴力の掟」と同じサントラも聞こえてきたが、これが差し替えなのか、「ミッドナイト・エンジェル暴力の掟」はパクったのかはよくわからない。ただ他のサントラは恐らくオリジナル?

ここまでで終われば、本作の評価はそれほど良いものではないのだが、
なんつったってジミーさんのジミーさんたる絵の具がベターッだからね
理屈も屁理屈もこねずに、ただただ自分の倒したい敵、やりたい女に向って突き進むジミーさんの行動そのものが痛快。愛の劇場では何の恥ずかしげも無く恥ずかしくイチャイチャしてるのもここまでくると、もはや凄いかもしれぬ。

「ドラゴンへの道」という海外ロケ現代アクション片の魅力を
李小龍は自分の武術で彩った。
「ドラゴン世界を征く」という海外ロケ現代アクション片の魅力を
梁小龍(ブルース・リャン)は倉田保昭とのマラソンファイトで彩った
そして
ジミー先生はこの「スカイ・ハイ」という海外ロケ現代アクション片の魅力を
功夫の技ではなく自身そのものの痛烈なキャラクター描写で彩ったのだ
■CAST&STAFF
監督 鄭嘉時(ブライアン・トレンチャード・スミス)
王羽(ジミー・ウォング)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
ジョージ・レーゼンビー
レベッカ・シリング
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
湯錦棠
楊世鈞
林克明
羅絲比
麗?嘉吉林
岩士朗
林正英(ラム・チェンイン)
元彪(ユン・ピョウ)
元奎(ユン・ケイ)
武術指導 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
脚本 鄭嘉時(ブライアン・トレンチャード・スミス)
製作 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
制作年度 1975


千人斬
The Beheaded 1000
The Legend of a Chinese Witch
ジョイ・ウォンの妖女伝説



これがジミー流だ!

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」('87) ヒットにより起きたいわゆる"美人お化け物語+ワイヤーアクション"ブーム。
日本でもレンタル屋ではある程度の売上を期待できるほどで、その「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」主演でブレイクした王祖賢(ジョイ・ウォン)をこぞって色んな映画会社が使ったが、そのほとんどが
"お色気お化け"
であった。胡金銓(キン・フー)監督の遺作でもある「ペインテッド・スキン」でさえも倣った。

この作品もその一つ。

製作はほぼ同時期に撮られたジャッキー「炎の大捜査線」でのコンビ、王羽(ジミー・ウォング)と柯俊雄(オー・ジョンホン)。
まぁジミー先生だけでも
「俺の作品に出てくれるよな?」
と聞かれるだけで迫力抜群であるが、柯俊雄までもが
「次の作品の主演はお前だ。」
と言って来たら断われる役者はごく一部だろうつーかいないだろう。
(柯俊雄は「奇蹟」でジャッキー組織と対抗するボス役の人です)
しかし、ここからがこの作品の面白いところで普通ならブームに合わせた便乗、亜流の一つで斬って捨てられるような作品になりそうなところを、ジミー先生の
「俺ならこのような作品はこう料理する!!」
といったやっぱりジミー先生色たっぷりの娯楽作に仕上がっていて痛快

そう、この作品が他の亜流女お化け物語と決定的に違うのはジミー先生が大活躍しているというところなのだ。

流れ

ジミー先生は古くから死刑囚を処する執行人。
鍛え抜かれた剣術で処刑を行い、役人からも尊敬されている人物だ。
今日も盗賊団"鬼八仙"のうち2人を処刑。
斬首した瞬間に首を落とさず、体にすげてお札貼って鬼にならないように成仏させるという凄い技を見せる。ああ、このなんだかバカバカしい感じを真面目にやりきってしまうところが相変わらずのジミー作品である。
この刀でジミーさんが処断した死刑囚はなんと997人に。
この様子を苦々しく見つめていたのは鬼八仙の1人である王祖賢(ジョイ・ウォン)。
他では弱々しいような手を出すと強いような幽霊を演じていている王祖賢だが本作ではいきなり悪役で始まっているのが興味深い。

復讐をしたい王祖賢は何と大凧に乗って空から囚人護送する役人達を強襲!
大凧を自分の手で羽ばたかせて飛び、
「あはははははははは!!」
と高笑いする王祖賢が可哀想かなバカ映画そのもの
に見える。しかも強襲失敗。

夜半、ジミー先生宅に王小鳳(ポーリン・ウォン)が突然現れる。王小鳳は
「私は今度死刑にされる鬼八仙の首領に被害に遭った犠牲者。同じように首領をゆっくり切り刻んで被害者と同じ苦しみを与えて殺して欲しい」
とジミー先生に懇願すると、どこへなと消える。

「そんなことして、俺が恨まれたら鬼になって復讐されるじゃん」
とジミーさんは悩んだ挙句、出したアイデアはなかなかのものだった。
まだまだ技の未熟な弟子であった錢小豪(チン・シュウホウ)に死刑執行を任してしまったのだ。
死刑執行当日。
錢小豪はまだ未熟だから死刑もすんなりいかない首もうまくきれない、なので首領が苦しむと。
散々痛めつけておいたところでジミー先生登場。
最後に出てきて首切ってまとめるあたりがもっと酷い感じ。
しかも、ジミー先生は未熟と知りながら任したくせに
「なにをやっとるか!」
と錢小豪を怒るのだ。
一番、恨まれる方法で処断した気もするが物語は進む。

残り1人の王祖賢捕獲を任されている役人の陳法蓉は実は王祖賢ラブ。
「私と一緒に逃げよう」
堂々と口説き文句を口にするあたりが実に図々しい感じだ。一番そう思っていたのは王祖賢本人だったか。
なんと口説かれるフリをして近づき陳法蓉のチンチンを斬ってしまう!去勢!
"去る勢い!"とはよくもまぁ上手く表現したものだ。

ジミー先生に怒られた意気消沈の錢小豪は、斬り口を研究しようとして死刑囚の墓をあけるが先の変な殺しかたのせいで鬼になってたので憑依されたりなんかする。
憑依されたままほっとかれて話は次へ(笑

街を散歩してたジミー先生は、脱穀屋に売られていく貧しい娘を発見する。
これから奴隷にされることを知ってたジミー先生は無関係なのに脱穀屋に入っていって大乱闘!
相変わらず脱穀機や脱穀そのものを使って卑怯に戦うジミー戦法炸裂が痛快無比!
助け出した娘を自分の家に匿った。
だけど、この娘に化けていたのは王祖賢だった。
王祖賢は首領を惨たらしく殺したジミー先生に復讐しようとしているのだ。
その話のよこでジミー先生の娘が憑依した錢小豪の除霊。

その後、ジミー先生の妻が行方不明に。
ここにフラリと立ち寄ったのが午馬(ウー・マ)。
「行方不明の母が何処に行ったか占ってやる」
という午馬だったが答えはすぐそこにあった。
なな、なんと!
王祖賢が復讐の手始めとして奥さまを人肉饅頭にしていたのだ!!
対決する午馬と王祖賢!
しかし、午馬は実は地獄で鬼を監視する大物。
王祖賢など午馬にとって敵ではなく、王祖賢は負傷する。

手負いのまま逃げ切り、ジミー先生を見つけると襲い掛かる王祖賢。
しかしジミー先生もいち早く察して危機を脱する。
今度こそ捕まる王祖賢だったが、ここに現れたのは先のチンチンを斬られた陳法蓉だった。
チンチン斬られても君が好きだ!うえーん!!」
最早、バカバカしいようなでも本人にとっては超深刻な物語が展開される。再度言うが
"去る勢い!"とはよくもまぁ上手く表現したものだ
この様子に激怒するジミー先生!
「男ならしゃきっとせぇ!!」
それでも結局改心しなかった王祖賢は再度、ジミー先生に強襲!!
一太刀を斬り合う2人・・・・の末に哀れ遂に王祖賢はジミー先生に首をはねられてしまうのであった。

ジミー宅で待っていたのは午馬。
「彼女は三日後、必ず鬼となって再び復讐に来るぞ」

「王小鳳は私のイタズラ好きの妹だ、すまん」

そして三日後。
鬼八仙の8人が全て鬼復活。
ジミー先生の"成仏するように処断"の秘法がまるで効いていないということは物語が終わった後に気づく俺だったりする。
まずは先の脱穀屋で鬼の1人と対戦。
「片腕カンフーvs空飛ぶギロチン」のクライマックスを連想させる戦闘シーンである。

苦数々いくたあまたの強敵を打ち倒してきたジミー先生は戦いに負けることなかったが、
弟子の錢小豪と娘が人質に獲られてしまう。
遂にジミー先生は人質の代わりに自ら首を切り自害。
これで鬼八仙の勝利かと思われたそのとき!
登場したのは午馬だった!
幾多の血をすすってきたジミー先生の刀に午馬パワーと先生パワーが注ぎ込まれる!
黄金刀完成!!
黄金刀を持った錢小豪が今度は優位に立った!
さらに鬼の所業に怒った午馬が巨大化!!
大魔人のように街中を歩いて一人一人鬼を捕まえていく!
し、しかも!!
一番恨みを持ってるはずの王祖賢は勝手に成仏しやがった!!
(まとめられなかったのね)

黄金刀と午馬の活躍で遂には鬼八仙たちを完全に倒したそのとき、さらに今度は死んだはずのジミー先生が復活!!さらに巨大化!!

巨大化したジミー先生、万里の長城バックに終劇




いわゆるスター狩集め戦法で作られたような気がするこの作品。ただし、王祖賢が最初と最後だけに登場するというようなことはなくきっちり準主役をこなしている。
まず純粋に今回の悪役だけど強大にはなれない王祖賢が美しく、劇中では自慢の脚線美も披露してくれて嬉しい。
それ以上の収穫は無いといったらそれまでだが。

それよりなにより注目すべきは文字通り荒唐無稽な展開とジミー先生の一線から十数年退いて久々に見せるアクションの基本が全然変わっていないところがここまでくると素晴らしい。

製作が進められていると思われる「片腕ドラゴン」の続編も恐らくその作風はCGが使われようともキッチリと残しているだろうから、ジミー先生の復活振りに期待してみたい。

本作の監督は丁善璽(ティン・シャンシ)。
日本発売が予定されている「伝説のドラゴン ジミー・ウォング コレクターズ DVD-BOX」。これに収録されている「ドラゴン覇王拳」「ドラゴン覇王拳2」も彼の監督作品で古くからジミーさんとコンビを組んでいる。
ちなみにジャッキー「プロジェクトA」も執行導演は丁善璽その人である。
■CAST&STAFF
監督・脚本 丁善璽(ティン・シャンシ)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
王祖賢(ジョイ・ウォン)
錢小豪(チン・シュウホウ)
陳法蓉
午馬(ウー・マ)
王小鳳(ポーリン・ウォン)
孫亜東
沈海蓉
孫暁威
林偕文
唐文良
李海興
王徳生
泰山
王釣康
朱昆洋
陳裕正
祝家正
張寶善
武術指導 武術發展委員會
音楽 梁銘越
製作 王羽(ジミー・ウォング)
柯俊雄(オー・ジョンホン)
製作総指揮 陳常盃
呉榮億
制作年度 1992


獨臂刀王
Return of the One Armed Swordsman
続片腕必殺剣



いやぁこいつは面白い。
1も2もなく娯楽映画の道を突き進む王羽(ジミー・ウォング)映画の王道はここから始まったか。張徹(チャン・ツェー)作品としても非常にエンターテイメント性の高い作品で、ストーリーは単純明快ながらチャンバラアクションの魅力を余すことなく披露してくれる作品である。


流れ

前作での戦いから剣士を引退して焦〔女交〕(チャオ・チャオ)夫人と農業に勤しむ毎日を送るジミーさん。
しかしもって早速そこに黒白刀使(1人は午馬)が現れ、武芸大会への招待状を置いて行く。
「来なかったらどうなるかわかってんだろうな」

「引退してるし、行くわけねーだろ」
と夫人の心配もあって参加する気の無かったジミーさんであったが、行ってくれないと話が始まらない。
大会を主催する組織のボス、田豐(ティエン・ファン)はあらゆる武芸の門派をぶっ潰して武術会を牛耳ろうと考えており、彼の下には劉家良(リュー・チャーリャン)、劉家榮(リュー・チャーヨン)兄弟や袁祥仁(ユアン・チョンヤン)といった個性的な悪役が顔を揃えていた。
というわけで、各門派の長たちは人質に捕られてしまい、これを血気盛んな若者たちが助け出そうと動き出す。

「とはいっても、俺らだけでは・・・」
ということでジミーさんに頼む。
途中、期待の新人・陳星(チン・セイ)が早くも目立つ活躍をするのだが、哀れ、劉家良師父に敗れてしまう。さらには早くもイケメンスターの香りプンプンの狄龍(ティ・ロン)が登場するのだが、これまた悪役の1人で色香を使う女剣士・林嘉(?)に騙されてあっさり殺されてしまうのであった。

罪無き若者たちが次々と命を落としていく様を見て、遂にジミーさん奮起!
さぁここからは凄いぞ。
若者引き連れて、次々と襲い掛かる刺客たち、軽業師から毒刀使う奴から円盤使いからヘンテコチャンバラアクションがラストまでズズズズイーっっと炸裂だー!!

後半には姜大衛(デビッド・チャン)のちょっとした見せ場もあるよ。

終劇




劇中に説教臭いメッセージは存在せず、ただひたすら出てくるキテレツなキャラクターをジミーさんがちぎっては斬り、ちぎっては斬りする・・・これだけであると飽きてしまいそうなものなのだが、戦闘シチュエーションから戦闘武器から背景セットに至るまで工夫が様々に凝らしてあって十分に楽しめることだろう。この次から次に戦闘アイデアが炸裂し、片時も観客を飽きさせないようテンポよく配慮する演出方法は後にジミーさんが監督する「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」や「ドラゴン武芸帖」、「神拳大戰快鎗手」のジミー的傑作と相通ずるものがあり、この辺の手法(後の呉思遠とも影響しあったとは思うが)が元々張徹作品から生まれていることがよくわかる。改めて張徹の偉大さにも気づいた次第。
1969年前後の武侠片もSB解禁で随分と鑑賞するに至ったが、本作は「大醉侠」に次いで今でも十分通用する上質な娯楽アクション映画である。
■CAST&STAFF
監督・脚本 張徹(チャン・ツェー)
出演 王羽(ジミー・ウォング)
焦〔女交〕(チャオ・チャオ)
林嘉
田豐(ティエン・ファン)
鄭雷(チェン・ライ)
谷峰(クー・フェン)
賀賓
王光裕
金童
劉剛
陳星(チン・セイ)
狄龍(ティ・ロン)
姜大衛(デビッド・チャン)
午馬(ウー・マ)
唐佳(タン・チァ)
劉家良(リュー・チャーリャン)
方宇
方野
康華
劉家榮(リュー・チャーヨン)
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
武術指導 唐佳(タン・チァ)
劉家良(リュー・チャーリャン)
音楽 王福齢(ワン・フーリン)
製作 邵仁枚(ランミー・ショウ)
制作年度 1969

 
 
 
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