獨臂雙雄
One Armed Swordsmen
■
むむむ・・・
こりゃだめだ。
まさに完全に観てる側としては
獨臂刀王 vs 新獨臂刀!!
これだけがウリになってしまったな。
そこにいたるまでの流れというのは
「片腕必殺剣」
「続片腕必殺剣」
「新片腕必殺剣」
これらのレビューご拝読頂ければということにしまして、
その元祖・片腕ドラゴン王羽(ジミー・ウォング)と新星片腕ドラゴン姜大衛(デビッド・チャン)の夢の競演の作品がこれなのだ!
これなのだが字幕なしだと何が何だか置いてけぼりで・・・
■流れ
葬式の最中に葬儀を襲う謎の男たち。
すると棺から人が復活した男が襲ってた奴らを襲ったりして。
するとそこに張翼(チャン・イー)が現れて復活男とバトル!
そしたら張翼が負けて片腕を斬り落とされて、
「わっはっは!」
と笑ってた復活男だが、ここにジミー先生が現れて
そしたら復活男が負けて片腕を斬り落とされて、
「獨臂雙雄」
・・・・・・・・・・・・。
そう言われてもな。
そして・・・
というかその事件からどのくらい月日が経ったのか、一日か一年か十年かわからないのだが、洞窟みたいなところに隠れていた張翼は敵がやって来たの一緒にいた子供・葉小益を逃がし、敵に挑むが殺される。
逃げた子供は片腕の刺客・羅烈(ロー・リエ)に匿われる。
この事件を追って登場したのはジミー先生とニヒルな新獨臂刀・姜大衛で、中盤になって彼らが同じスクリーンに登場するシーンはそれだけで
「おお!」
・・・とは思った。
敵は少林寺にあり!
というわけで、少林寺に着いたジミー先生は、ここでいつもの舎弟・龍飛(ロン・フェイ)と1ドラマ起こすのだが、なんちゅうかここからが長くて意味不明、ここまでも十分意味不明なのだが、夜のシーンでやたら長い少林寺がダルくてしょうがない。
そして最後の敵は何故か張翼なのだ!!
最初の方で思いっきり死んでた気がするが・・・
終劇
■
なのにラストカットで2人の片腕ドラゴンが対峙するシーンで
「おお!」
・・・とは思った。
ちなみに2人がバトルするシーンは残念ながらありません。
それが観たかったのにぃ
しかし興味深いことに「不死身の四天王」の鶏小屋ラストバトルと同様のラストバトルがこちらにも待ち構えていたりするのだ。「不死身の四天王」の鹿村さんのコメンタリーで、
「鶏小屋バトル撮影時の飯はいつも鶏スープだった」
というのにはウケた。やっぱ撮影で踏んづけていっぱい死んだらしい。
ちなみにこのコメンタリーは鹿村さんが貴重なお話をたっぷりと話してくれるので機会があれば是非聞いてもらいたい。
うーん、これって脚本・古龍なのでちゃんと話がわかればつまらないということは絶対無いとは思うのだけれど・・・ストーリーの全容解明を待ちたいところ。
それとこれほんまに武術指導は韓英傑(ハン・イェンチェ)なのだろうか?
劇中にも見つけられなかったような気がするが・・・
|
■CAST&STAFF |
監督 |
王羽(ジミー・ウォング) |
姜大衛(デビッド・チャン) |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
姜大衛(デビッド・チャン) |
張翼(チャン・イー) |
羅烈(ロー・リエ) |
龍飛(ロン・フェイ) |
葉小益 |
劉夢燕 |
谷音 |
洪流 |
洪化郎 |
葉小儀 |
余松照 |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
王永生 |
張義貴 |
金龍 |
初本科 |
葛小寶 |
曾明昌 |
齊後強 |
薛彰文 |
陳金海 |
呉可 |
李強 |
柯受良 |
武術指導 |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
脚本 |
古龍(クー・ロン) |
音楽 |
周福良 |
製作 |
黄楓(ファン・フェン) |
制作年度 |
1976 |
龍虎鬥
The Chinese Boxer
吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー
■
王羽(ジミー・ウォング)監督第一作目である。
本人によれば
「主演と監督、両方のギャラが貰えるし」
ということで、金銭固執な台詞を残してはいる作品であるが、拝見してみてなんのなんのといったところの、彼らしいアイデアがたくさん詰まった一作である。
■流れ
話はものすごシンプルである。
小さな町の功夫道場である忠義武館に柔道家・趙雄が殴りこんでくる。
道場のザコを早速蹴散らす趙雄。
投げ飛ばされてタイトルバックになる人物は恐らく
袁日初(サイモン・ユアンJr.)!
つーか彼はいつも若く見えたのでようわからんのだが、この時は幾つなんだろう?
だってここから10年後の「激突!キング・オブ・カンフー」('80)でもまだ子役扱いみたいな感じですよ。
しかしもって趙雄も道場主の房勉には勝てずに敗退。
「一ヵ月後に空手家を連れてくるぞ!」
早速連れてくる一ヵ月後。
沖縄で20年空手修行した羅烈(ロー・リエ)にその弟子の陳星(チン・セイ)と王鐘(ワン・チュン)である。
20年の修行の中に精神修練は全く入ってなかったらしい。こいつの師匠は誰だったんだ全く。
早速、忠義武館門下生の王光裕を地獄送りにすると(いや、善側なので天国かな)、道場に再度殴りこみ!
はっきり言って弱すぎる忠義武館の門下生たち。
羅烈が出なくともその弟子だけで十分の弱さである。
ここで始まった最初のバトルは何と、
袁和平(ユアン・ウーピン)vs陳星!
マニアックにも程があるマッチだ。
系譜を考えれば袁小田(ユアン・シャオティエン)が本作の武術指導、唐佳(タン・チァ)の師匠で袁小田の息子たちを唐佳が預かっている、というわけで妙に本作でも袁ファミリーの扱いが美味しいのはその為であろう。
そういえば、「酔拳2」では喧嘩別れしてしまった袁和平とジャッキーであったが、李連杰(ジェット・リー)共演のジャッキー新作、タイトルもまんま「功夫之王」で再び袁和平は武術指導である。つーか、なんちゅうかジェット&ジャッキーでタイトル「功夫之王」って・・・むしろ、心配なくらいだがとりあえずは期待するしか!
話ずれ。
袁和平が殺られて次の対戦はやっと出たジミー様。
しかしもって、何とジミーさん陳星にあっさり敗北。
弱いジミーさんは珍しい!
ほんでもって他の門下生も程なく殺されると、師匠も羅烈に飛び蹴りに沈む。
道場を潰したら何故か町は牛耳ったことになるらしく、
賭博場や高利貸しを始めて、町でやりたい放題になる羅烈軍団。
こいつらなんか警察がみんな銃殺したらおしまいだと思うのだが。まぁまぁ。
唯一生き残ったのはジミーさんとヒロインである汪萍(ワン・ピン)。
なんちゅうか流石はジミーさんである。
陳星にKOされた時にすかさず倒れた袁和平のさらに下に潜り込んで死んだフリして難を逃れた感じである。
「復讐だ!」
まぁ、そりゃそうだ。
空手に対抗するには軽功と鉄沙掌である。
この二つを一生懸命練習するジミーさん。
程なく練習を終えるとさぁぶっ殺すぜ!羅烈軍団!
前にも同じジミーさんの頁で書いたのだが、
「ドラゴン太極拳」で銀魔王を倒せない弟子たちが
「もういいから奴を火にかけて焼き殺しましょう!」
「いや、そんな汚いことはできん!」
なんてやり取りがあるのだが、
その汚いことをいの一番にするジミーさん(笑
賭博場に油まいて放火!(笑
羅烈は頼りない趙雄の手下だけでは物足りないとして日本から武士を呼び寄せる・・・つーか、やっぱ出た王青(ワン・チン)。
張徹(チャン・ツェー)監督に出るようになってからは
弟・王鐘は善役で、兄・王青は悪役といった図式が多かった王兄弟だがここでは両方とも悪役ってのが珍しい。王鐘は「吸毒者」が良かったな。ちなみに王鐘監督で周潤發(チョウ・ユンファ)主演の「パラダイス・パラダイス」なんて作品もある。共演はやっぱ兄貴の王青。
話ずれ。
再度賭博場に今度は殴りこんだジミーさんとザコ軍団の戦いが始まる!
ザコ軍団といってもかなり豪華なザコたちだ!
最初に目立つのはいきなり白彪(パイ・ピョウ)!
当HPでも彼主演の「黄飛鴻與鬼脚七」があり、
最近では徐克(ツイ・ハーク)「セブンソード」で良い芝居を残してまだまだ現役。
次に目立つのは言わずもがなの陳觀泰(チェン・カンタイ)!
ご存じない方は当HPを熟読!
いともあっさりジミーさんに殺られてしまうけど。
さぁ次に目立つのはジミーさんを鎖で絞め殺そうとする袁祥仁(ユアン・チョンヤン)!
本作で唯一悪役側に回っている袁ファミリー(笑
今では「チャーリーズ・エンジェル」でアクション監督を務めるなど世界で活躍する彼である。
やっぱり目立つのは四角い顔の徐蝦!
さらに笑えるのは馮克安(フォン・ハックオン)の存在だ。
こいつ、忠義武館門下生としてさっきまで出てたぞ!
いつの間にか悪役側に回りやがった!
その裏切りっぷりはやっぱりいつもの馮克安だ(笑
程なくザコ軍団をぶち殺して(笑
出てきたところを今度は武士軍団に急襲されるジミーさんであったが、
これも程なくぶち殺す(笑
さぁラスト!
ジミーさんは趙雄、王鐘、陳星、そして羅烈と一気に4人を相手にしなくてはならないというのに勝てるというのか!?
4人がかりでやられたら絶対勝てない気もするのは気のせいか!?
終劇
■
ちなみに陳星と羅烈という二匹のゴリ・・・
失礼、この似た濃い顔同士の共演は面白い。
何となく貫禄だけで言うと陳星の方があるように感じてしまうのだが、先にスターになった羅烈の手下役という力関係も興味深い。後に・・・まぁ他にもあるんだろけど2人は「大武士與小〔金票〕客」で対戦し、「醉猴女」では逆に羅烈が陳星の手下役になっているのも面白い。
スタッフも豪華だ。
武術指導に唐佳と恐らく袁ファミリー、助監督には実質的な本作の監督といわれる呉思遠(ウー・セイエン)、呉思遠は本当に李小龍(ブルース・リー)からジミーさんからジャッキーからジャン・クロード・ヴァンダムまで何でも関わっている凄い人物なんですね。
さらに撮影は傑作武侠片「殺絶」を監督した華山(ファ・シャン)があたっており、本作のどうしてもトロクなりがちな功夫シーンを職人的カメラワークで効果的に見せることに成功している。
ちなみに本作のカット編集も良いものがある。
功夫映画は本作と「ヴェンジェンス/報仇」から始まっているといっても過言ではない。
それは
"誰かと誰かが野っ原で戦った"
といった簡素な始まりではない。
本作には挑戦、復讐、友情、修行、大乱戦、大決闘とコメディ以外の功夫映画の要素がほぼ全て詰め込まれており、ストーリー面でも最初の功夫映画として申し分ない出来だし、何しろ感心したのは恐らくジミーさん発案のアクションシーンである。
日本の「柔道一直線」やカラテ映画、時代劇が参考になっているのは当然としてもそれを自分の映画の中のアイデアとしててらいもなく取り込んで単調冗長にならないように十分考慮して様々な工夫を凝らしているのが伺える。対決でも長くて激しいシーンもあれば、武士との決闘では西部劇風の一撃必殺なスカッとする短いシーンに変えていたりとバリエーションの豊かさはこの後に量産される凡百の功夫映画と比べて抜きん出ている。
まだまだ功夫シーンの稚拙さは否めない部分もあるが、
はっきり言ってジミーさん万歳!な傑作であろう。
もう一つちなみにヒロインの汪萍さんはジャッキー「飛龍神拳」で雇い主を演じたマドンナ。本作ではまだまだ可愛らしいですね。
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
王羽(ジミー・ウォング) |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
汪萍(ワン・ピン) |
羅烈(ロー・リエ) |
趙雄 |
鄭雷(チェン・ライ) |
房勉 |
陳星(チン・セイ) |
王光裕 |
康華 |
王鐘(ワン・チュン) |
王青(ワン・チン) |
陳星(チン・セイ) |
江玲 |
游崇傑 |
馮克安(フォン・ハックオン) |
袁和平(ユアン・ウーピン) |
袁日初(サイモン・ユアンJr.) |
曾楚霖(ツァン・チョウラム) |
白彪(パイ・ピョウ) |
陳觀泰(チェン・カンタイ) |
袁祥仁(ユアン・チョンヤン) |
徐蝦 |
武術指導 |
唐佳(タン・チァ) |
音楽 |
王福齢(ワン・フーリン) |
製作 |
邵仁枚(ランミー・ショウ) |
制作年度 |
1970 |
獨臂拳王
One Armed Boxer
片腕ドラゴン
■
今宵のこの「片腕ドラゴン」レビューでレビュー作品は700本を迎えました。
さらに来月末から当HPは10年目に突入します。
10年て・・・やりすぎ。
今回は本作を酒の肴にしつつも、1人でこの当HPについて振り返ってみたいと思います。
かなり内輪というか1人よがりな話になりそうなので、付き合える人だけ付き合ってください。
元々HPを始めたきっかけは芝居をやってた友人のその芝居を告知するために作ったHPを見たことでした。
「こんな簡単に出来るんや」
というわけで、早速真似してみようとHP作りに勤しんでみるのですが、元々私のパソコン購入のきっかけはDTMにありました。
楽器に関しては素人に毛が生えた程度の腕前だった私でもいわゆる"打ち込み"コンピュータミュージックであれば作曲が出来る。それがしたくて購入したわけです。
まぁそのDTM系統のお話はあんまり関係がないので割愛しますが、とにかく急造的にHPを作ってみたわけです。
んで、当初の目的は履歴にも書いてありますが、
結局掲示板にありました。
まぁそこを内輪の連絡板のように使えればいいなと考え、コンテンツは申し訳程度に日記やらTVゲームの批評やらを書いていたわけです。
香港映画のコンテンツは1ヶ月くらいしてから始めて・・・といってもこれは映画大好き人間なら誰でもやるんじゃないかというようないわゆる"感想ノート"ですね。これをネットに丸写ししただけのもので、今の目で見ると(何せ10年ですから)一言で言えば稚拙です。実は未だにそのまま残しているものも結構あります。一杯読んでくださった方にはわかるんじゃないでしょうか。
まぁ要は全然このHPに対して大した思い入れもなく、高い志もなく、長く続けようとも思っていなかったわけですね。
しかしむしろ自分の流れではなく、周りの流れが今あるHPの形を作っていきました。
つまり、
「掲示板に全然人が来ない」
これはネット上でのお知り合いの方の話ではなく、実際の友人知人での話です。元々そういった方との内輪掲示板だったわけですから。
んで、結構へこみました。
あの時は友人も多かったのになぁ・・・人望ないか?
当初の目的である内輪の連絡掲示板の役目は全然果たせなかったわけです。
普通ならここでHPは止めます。
止めないのならどうなるかという点で、
「さらに自分の世界を勝手に広げる」
ということになっちゃうわけです。
ハッキリ言って当初は香港映画コンテンツはそそくさと置いておりました。
何となく恥ずかしかったのです。
でも誰も見ないのなら「もういいや」って感じで、結局このコンテンツを広げていくことにしました。
まぁ今でもそうですが質よりも量!
って感じで、成龍(ジャッキー・チェン)の全作品レビューを目指して書きました。
他のスターも書きました。
気づいたらネット上でのお知り合いが増えていました。
最初にリンクして頂いたのは後に「Achoo!JAPAN」となるHP「PLANET KUNG-FU TRASH」の管理人さんでした。
ここの管理人さんが紹介してくる作品はB級C級のダメ映画を含めてどれも魅力的で、自分自身の香港映画の知識を拡大させてくれることにとても役立ちました。残念ながら現在は「自分の役割は果たした」ということで、HPは閉鎖されてらっしゃいます。
しかしこの「PLANET KUNG-FU TRASH」掲示板で知り合ったのがfake様でした。この時、fake様はまだHPを開設してらっしゃらなかったのです。
お恥ずかしい話・・・
本音を言えば恥ずかしいとも何とも思っちゃいないのですが、fake様がHPを開設された2001年上旬当時、私は本作の龍飛(ロン・フェイ)、山芽(サン・マオ)といった役者の名前はおろか、王龍威の名前さえも知らなかったのです。
その辺りの手ほどきを優しくして下さったのがfake様でした。
結果、香港映画の知識を増やすという楽しみが自身の日常で欠かせないものになっていました。
これはfake様に限らず、ネット上で他の方々のいわゆる批評文を見ると凄い勉強になることが多々あります。上手い文章を見ると感嘆するんですよねぇ、ちゃんとしたその人自身の見解も物凄く大切で必携だと思いますが、一番難しいのはそれを如何にわかりやすく読み手に伝えるか。
その為に必要なのは一言で言って語彙(その人の使う語の総量)の豊富さになります。
「これこれこう伝えたいのに上手い表現が出てこない」
ってのはとてもよくあることです。
そこで上手い人の文章を読むと、「なるほど!」となるわけです。
ちゃんと自分なりの展開をすること
語彙を豊富にするために知らない活字を見逃さないこと
ラッキーだったのはHPを始めて数年後に十分にレビューを書くのに割ける時間があり(要は暇だった)、そこで"感想ノート"の丸写しにすぎなかった作品レビューを今一度書き直せたことで、それ自体がそれなりに満足いけるものになりましたし、そこで文章の勉強もまぁまぁしたかなぁと。
これが面白いことにですね。
fake様HPと当HPどちらも熟読されてる方なんかはお分かりになるかもしれませんが、例えば冒頭に、
"王羽(ジミー・ウォング)である。"
こういった入り方をするのは私が思っていることですが、実はfake節なんですね。
んで実は私も同じような入り方をしているレビューが数多く存在しまして要は結構fake節っぽくなっちゃってるのがあります。勿論、知識・見解の豊富さの点に於いて、とても追いつけるとは思っていません。節だけです節だけ。
・・・なんだっけ。
途中で休憩入れて書いてるからなんやわからんようなったな。
・・・まぁあれですよ。
こんな風に当然自身の持ち味、ってのがあって・・・というかあればいいなぁということで、私のところの行き当たりばったりで書いてるサモハン映画みたいな文体もこれはこれで味だということでまぁこれからも続けようと。小さく勉強しつつゆっくり進歩してばいいかなぁと思っていたらこんなに続けてしまった・・・そんな感じですね。
流石にこれが商売だったらいいのになぁ・・・と思いますね。
うーん。
HPを長く続けて自分でも凄いと思いますが、
・気負わずやってた
ってのがデカいでしょうね。
HPを作るのは簡単です。
誰でも出来ます。
しかしね、最初に作る時は誰でも楽しいと思うのですが、そこから続けるとなると話は全然別になってきます。大抵の場合、
・ネタが尽きる
・人が来ない
この2点で更新意欲が衰えて閉鎖或いは放置になることが多いです。
続けるコツとしては、
・ネタが尽きないものにする
映画は星の数ほどあり、時間が経てば経つほど増えていくものです。
私が死ぬまでに観たい映画を全部観る・・・ことなんて到底出来ないでしょう。ネタ切れには全然困りません。
・更新作業を簡単なルーチンにする
毎回毎回更新作業が面倒くさいものなら続かないでしょう。
ルーチンにしておくことをオススメします。
・でも結局ライフワークにする
しかないね、結局。
ま、逆に・・・10年ぐらいやってるのもどうかと思いますけど(苦笑
この先どうなるかは私にもさっぱりわかりませんが、とりあえずレビュー1000本を目指したいですね。
そっから先どうなるかは私もわかりませぬ。
果てさてレビューといきましょうか・・・って前置きながっ!
「片腕ドラゴン」である。(苦笑
こんだけこの作品のレビューを伸ばしに伸ばしに伸ばしまくっていた理由はですね・・・ありまへん。
あのねぇ僕ねぇ、誤解されてるんじゃないかなと思うのですが、そんなに執着心が無いんですよ。
「いつか観られればいいや」
って思ってるものがほとんどでそれがいつかしか時の流れで
「今観れるから観るか」
ってなるわけで、「片腕ドラゴン」に関してはその時がなかなか来なかったわけであります。
李小龍(ブルース・リー)なら「燃えよドラゴン」
ジャッキーなら「ドランク・モンキー酔拳」
そして王羽なら「片腕ドラゴン」
そのような有名な作品なのでご存知の方が非常に多いと思うのですが、まぁそこはなんちゅうか関西のノリでまぁまぁ・・・・
■流れ
流れと言うか、ううう・・・
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」とほぼ同じような・・・(苦笑
「キング・ボクサー大逆転」とぼぼ同じような・・・(苦苦笑
田野(ティエン・イェー)率いる道場は悪。
馬驥率いる道場は善。
善の主役が悪道場潰しておちまい。
・・・だけじゃダメだよな。だけなんだけど。
どーもこのー・・・なんちゅうか後にするか。
客棧でいつものように横暴を繰り返していた田野道場の門下生たち。
たまたまメシ食いに来てた王羽(ジミー・ウォング)ら馬驥道場の門下生たちはその横暴に見かねて早速田野道場vs馬驥道場!
如何にもジミーさんらしい勢いあるオープニングがかっちょいい。
山岳で決着つけるとジミーさんの強さにすごすごと逃げていく田野道場の門下生。
「遂に田野とモメてしまったか・・・」
田野さんは悪い奴なので、出来るだけ関わることを避けていた馬驥であったがケンカっぱやいジミーさんが揉め事を起こしてしまった為、困ったちゃん。
早速、殴りこみに来る田野一味。
賭博場や阿片の密輸も取り仕切っていた田野は、馬驥の煉瓦工場などにも狙いを付けており、ここぞとばかりにバトル!
しかしですな。
思いますが、何で町一番の道場になったらそれが町を牛耳ることになるんでしょうね。いつも。何で功夫の腕前と経営の腕前が繋がるのかわかりません。
あんまり関係ないかもしれませんが、「続少林寺三十六房」で悪辣な方法で従業員を苛めて首にした染物工場の社長・王龍威を劉家輝(リュー・チャーフィ)が学んできた功夫で懲らしめる・・・というのがありますが、武術と経営は全然別物で、別に王龍威に武術で勝ったからといって本当はどうだということはありません。それが何で給料の値上げに繋がったり復職できたりするのか理解しかねますな。
ここで師匠同士の田野vs馬驥が始まるが、馬驥が一枚上手。
「覚えてろっ!」
基本的な悪役の台詞を吐いて立ち去る田野。彼の行動は実に早かった。
金で世界中から凄腕の武術家を召集。
そんだけの力は何処にあったんだ?と言いたくもなるが飲み込もう(言ったじゃん)。
世界中からと言ってもお近くのアジア各地にしましたが(苦笑
そして今気づきましたが、
「それより銃を買えばいいじゃん」
というのはナシですよね。
さぁ日本からは
空手家の
龍飛(ロン・フェイ)扮する二谷さん
蔡弘扮する長谷川さん
王永生扮する坂田さん
柔道家の
呉東橋扮する高橋さん
さぁインドからは
藩春林扮するヨガファイヤー
さぁタイからは
柯受良(ブラッキ・コー)扮するキックボクサーA
關洪(クァン・ホン)扮するキックボクサーB
さぁ韓国からは
山芽(サン・マオ)扮するテコンドーの達人
さぁチベットからは
蘇真平(スー・ツェンピン)扮するラマ僧侶A
張義貫扮するラマ僧B
・・・・・・呼びすぎ(笑
しかも全部外国人のフリしたチャイナ。
早速、この嘘外国人ファイターを連れて馬驥の煉瓦工場とか鍛冶場を荒らしまわる田野一味。ほんとに汚い奴らだ。
そしてシメで道場に殴りこみ!
勇敢にも馬驥道場の門下生たちはこの嘘外国人ファイターと戦ったが、必要も無く跳ね回った小デブゴン・呉明才(ウー・ミンサイ)も倒され、偽インド人ヨガファイヤーの逆立ちしてくるくる回りを回るだけ殺法というとても真面目にやっているとは思えない演出に惑わされた一番弟子・薛漢(シュエ・ハン)も倒されてしまう。
いよいよジミー先生の登場だ!
これにテコンドーの山芽が立ち塞がったが、流石は監督・脚本・主演をこなすジミーさんのパンチ一発が決まる!
馬驥 「これは見事な洪拳だ!」
・・・ど、どこが!?
俺にはいつものジミー先生のへなちょ・・・いや、失礼。
これを見ていた最強の空手使い・龍飛が怒った!
いつものジミーvs龍飛!
だがしかし、今回めちゃくちゃ強い龍飛の手刀によって、ジミーさんは片腕を叩き落されてしまう!
んぎゃー!ジミーさん退場!
さらにそのままの勢いで馬驥を破った龍飛を見るや、田野軍団が一斉に襲い掛かり馬驥門下生皆殺し!
いつものように上手いこと1人だけ逃げたジミーさんだったが、片腕では逃げるのもおぼつかなく途中で失神。
これを助けたのが町医者爺さんとヒロインの唐沁(タン・シン)であった。
彼らの看病によって順調に回復したジミーさんはいつもの如く、悪運が強い。
なぜか最強の片腕パンチを生み出す秘薬を作っていた爺さんの秘薬を使って、腕の神経を焼き切ってスーパー片腕を会得するジミーさん。
町に繰り出すと早速、田野の一番弟子である雷敏をぶっ殺し、以前も勝っていた山芽もぶっ殺す。
引き続き、この町に道場を開いていた高橋さんの道場もこれを殺してぶっ壊す。
やはりジミーさんを怒らせるとキッチリと落とし前つけられるのだ
別府の地獄温泉を彷彿とさせる水蒸気溢れる石切り場(?)で遂に対決を向かえるジミー先生。
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」の時にも
"4人がかりでやられたら絶対勝てない気もするのは気のせいか!?"
と書いたが、今度は
ジミーvs田野、柯佑民、龍飛、キックボクサー2人、ラマ僧2人、蔡弘、王永生と、
相手は何と9人である!!
勝てるわきゃない!!
勝ちます(笑
何せスーパー片腕を身につけたジミー先生ですから。
まずはキックボクサー2人。
実際タイ出身でも何でもない嘘キックボクサーのこいつらなどスーパー片腕を身に付けたジミー先生の敵ではありません。だいたいキックボクシングとしての技がなってねぇ。
そしてラマ僧2人。
なぜか体ふっくら無敵拳法を使うラマ蘇真平を打ち破るための秘訣というのをこれまた単なる町医者爺さんが知ってたりするんだよな。
急所を教えてもらってたジミーさんはそこにスーパーパンチ一発!
嘘ラマ僧2人を撃破!
彼らの師匠である金剛(カム・コン)が空飛ぶギロチン持って復讐にやって来るお話は
「片腕カンフーvs空飛ぶギロチン」で是非お楽しみください。
崖の上から対決を見てた田野と柯佑民はそこからジミーさん向かってダイナマイト投下!
そんな・・・あんたやっぱ爆発物持ってんじゃん・・・って感じですな。
上手いこと最初からそれ使えよ。
それにしても柯佑民さんと言えば
「少林寺への道」や「少林寺炎上」といった台湾製少林モノで館長と言えばこの人!といったお方でここでの悪役は珍しいですねぇ。
まぁどっちにしても田野さんと柯佑民はジミーに投げ返されたダイナマイトであっさり爆死。
次は蔡弘と吊橋で対決!
私この前ね〜
行って来ましたよ、谷瀬の吊橋。
奈良県吉野郡十津川村上野地にある日本最長の鉄線の吊り橋で、高さも抜群ですよ〜本作に出てくる吊橋より全然高いです。
渡った感想としては・・・想像以上に怖かった。
揺れが凄いんですよ、揺れが。思ったよりもっとぐらぐら揺れる。
それが怖いのですが、渡ったところでどうだということはなく、これまた戻ってこなければなりません。何せ日本最長なので往復すると今度は恐怖じゃなくて普通に疲れます。
蔡弘を吊橋から叩き落して王永生を地獄温泉に招待すると、
いよいよジミーさんvs龍飛(二谷さん)!
終劇
■
これぞ「片腕必殺剣」から始まったジミー映画の決定版である。
「片腕必殺剣」で片腕となったジミーさんが
「続片腕必殺剣」で様々な剣豪たちと戦って、
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」では剣を捨てて素手で戦い、
「新座頭市/破れ!唐人剣」をゴールデンハーベストで作ってショーブラに怒られて、片腕剣士のヒーローをショーブラに取られて
さぁどうする!?
ということで、本作は
「片腕必殺剣」
+
「続片腕必殺剣」
+
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」
なのだ。
本作では
物語途中から片腕となったジミーさんが
修行して復活して様々な敵と素手で戦う映画なのだから。
考えてみればごく自然なことなのかもしれない。
上記3作品はどれも成功を収めており、さらに李小龍(ブルース・リー)も登場して功夫ブーム真っ只中とあって、ジミーさんが送る新たな功夫映画、ということで考えれば本作が生まれるのは必然であったのかもしれない。
「新座頭市/破れ!唐人剣」に対してショーブラが起こした訴訟によってゴールデンハーベストは大きな痛手を受けたが、だからこそ同時に功夫映画の歴史に確実に名を残す本作を作ることが出来たのだ。
同時に己こそ知己。
物凄く当たり前のことを言ってしまったが、考えてみて欲しい。
李小龍ブーム真っ只中にあり、ここから何年も李小龍のエピゴーネンが生まれ続け(現在も!)、あの成龍(ジャッキー・チェン)までもが李小龍の真似事をさせられた時代の中で、本作を思い返せば王羽は王羽なのだ!
「俺ならもっと上手く作れる」
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」を観てそう言った李小龍だが、そして本人がどう思っていたかは知れないが、本作を観ると
「それでも俺(王羽)の映画は俺(王羽)の映画だ!」
という強い主張を感じる。
それは中身を考えれば明らかで前述したように、本作は今までヒットした王羽作品の魅力の集大成的作品であり、全くもって李小龍の真似事などとは引っ掛からない作品である。
だからこそ逆に李小龍に対する強い意識を感じるのである。
それは数年後に李小龍を強く意識したが故に、李小龍と全く反対のことをやってコメディ功夫ブームを起こしたジャッキーと似ているではないか。
己のことをよく知っていなければ決して出来ないことである。
よく王羽の功夫のことをバカにする人間がいるが・・・あっ俺か。
その功夫の腕前を一番よく知っていた他でもない本人であっただろう。
それは本作を観れば明らかで、本作の魅力は王羽の素晴らしい肉体技ではなく、たたみかけるようなアイデア勝負の連続した画作りにある。
本作は功夫映画なのに功夫技が見所ではなく、それを装飾するアイデアそのものが魅力であると言う稀有な、そして最高のB級功夫映画なのだ。
という感じで・・・・
700本書いたなぁ・・・
また1000本目指して頑張ります。
今後とも、よろしくどうぞ。
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
王羽(ジミー・ウォング) |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
唐沁(タン・シン) |
馬驥 |
田野(ティエン・イェー) |
薛漢(シュエ・ハン) |
龍飛(ロン・フェイ) |
山芽(サン・マオ) |
關洪(クァン・ホン) |
柯受良(ブラッキ・コー) |
蔡弘 |
王永生 |
呉東橋 |
藩春林 |
蘇真平(スー・ツェンピン) |
張義貫 |
雷敏 |
柯佑民 |
呉明才(ウー・ミンサイ) |
杜偉和 |
馬金谷 |
武術指導 |
陳世偉(チェン・シーウェイ) |
音楽 |
王福齢(ワン・フーリン) |
製作 |
鄒文懐(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1972 |
大刺客
The Assassin
大刺客
■
司馬遷の「史記」に出てくる「刺客列傳」を映画化した作品。
明らかに他の張徹(チャン・ツェー)作品と作風や雰囲気が違うのだが、やっぱり張徹は張徹である。
■流れ
・・・古い。
紀元前390年て・・・日本じゃ弥生時代ですよ。
歴史解説下手なので簡単な説明にします。
宰相・黄宗迅と論争になった将軍というか田豐(ティエン・ファン)は、その宰相に嫌われて国を追われる身に。
一方、道場で剣の練習に精を出していた若者・王羽(ジミー・ウォング)は
"いつか俺も戦績を上げて有名になりたい"
と夢描いていた。
まぁ一番弟子だし主演なのでしっかり焦〔女交〕(チャオ・チャオ)という彼女もいたりするのが羨ましい限りだ。
しかし、同門の張佩山も焦〔女交〕に恋しており、気まぐれオレンジロードな三角関係が出来上がるが、練習試合の際に卑怯にも張佩山がジミーさんを殺そうと襲いかかり、道場主・房勉の怒りをかった張佩山は破門。
道は気まぐれではなく血まみれになった。
破門された張佩山は道場を反政府分子の集まりだと朝廷に密告。
房勉は殺され、一門はチリジリになってしまう。
王羽は戦乱を避けるため母・林靜、姉・李香君と別の町へ。
王羽の親友で同門であった鄭雷はこちらも逃げ隠れていた田豐のところに身を落ち着ける・・・と思ったらこちらは落ち着けなかった。
「俺の友達強いっすよ」
と言った鄭雷の言葉もやおら朝廷が攻めてきたのである。
逃げまくった田豐。
頼りはその"強いっすよ"とされるジミーさんの下へ。
肉屋を細々とやって食いつないでいたジミーさん。
あの将軍・田豐が自分をスカウトにやって来たとあって、英雄になりたいと心が揺れる。しかし、母も姉も
それは=死
であることを十分承知しており、親子で平穏な日々を送りたいので息子・ジミーを行かせたくはなかった。
何度もスカウトに来る田豐に遂に心動かされたジミーさんは出兵を決意。
命を捨てた戦いになることを知っていた田豐は彼に全てを用意する。
死出の旅に出向く前に恋人・焦〔女交〕と一夜の再開を果たすジミー。
彼女との愛を確かめると一気に宰相に迫る!
終劇
■
いつもならジミーさん映画はのっけからパワー全快アクション満載って感じで、いっさいの"溜め"を感じさせない作風がお馴染みで、それの原点は「続片腕必殺剣」だと個人的には思っているが、本作はそれより前のジミーさんで張徹作品である。なのでここまでジミー映画ではないジミー映画で彼がスター然として輝いている作品も珍しい(他ジミーさんらしくないジミー作品もあるが失敗気味だし)。
張徹にしても胡金銓(キン・フー)にしてもそうだが、物語を描きたいのではなく描いた物語を通してテーマを感じ取ってもらいたいという意気込みが伝わる。それが胡金銓の場合に地球然大地然とするならば張徹の場合には全くもって"漢"然である。ちなみに張徹から離れたジミーの娯楽作品にテーマはないと言っても良い。
"漢とは?"
これを表現したい張徹にとって、この「刺客列傳」はピッタリである。
平穏な生活を抜け出し、恩や義の為に命を捨てて戦い、壮絶な死に様を見せる。
基本的にはこの後続く、張徹作品の傑作「上海ドラゴン/英雄拳」や「ブラッド・ブラザーズ/刺馬」、「ヒーロー・オブ・クンフー 裸足の洪家拳」でも同じで、野心ある若者が基本的には義に命を賭けて戦う。
全部ひっくるめてそれらの原点はここにある。
ラストの白装束に返り血を浴びてファイトするシーンは剣劇史上でも歴史に残されるべきシーンで、その"死の美学"を描いたという点では明らかに群を抜いている。
|
■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
張徹(チャン・ツェー) |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
焦〔女交〕(チャオ・チャオ) |
田豐(ティエン・ファン) |
黄宗迅 |
林靜 |
李香君 |
金童 |
張佩山 |
鄭雷 |
房勉 |
趙心妍 |
胡同 |
林〔馬恩〕 |
王清河 |
馬影 |
劉剛 |
邱玉明 |
劉家良(リュー・カーリャン) |
唐佳(タン・チァ) |
鄭康業 |
王光裕 |
袁祥仁(ユアン・チョンヤン) |
武術指導 |
劉家良(リュー・カーリャン) |
唐佳(タン・チァ) |
音楽 |
王居仁(エディ・ワン) |
製作 |
邵逸夫(ランラン・ショウ) |
制作年度 |
1967 |
唐人票客
Screaming Tiger
■
さすがジミーさんと言うしかないわ、ほんま。
監督の劍龍は倉田保昭、金剛(カム・コン)主演「死對頭」を撮った人で、本作は同年に撮られた作品である。
思えば・・・
そうなんですよ。
思えば、「面白い文章が書けたなぁ・・・」って思った最初の作品が「死對頭」だった気がしますね。作品そのものが余りにも速すぎるスピード感の作品だったものでレビューも何もツッコミまくってたら文章も終わったみたいな。んで、「死對頭」のレビュー更新が2001.8.2ですか・・・もう8年も前のことかぁ・・・長いなぁ本当に。
ほんで、倉田保昭著では「早撮りで有名な」との記述があって、映画完成までが本当に早い監督さんらしいのですが、映画のテンポもはやっ!その監督さんと元祖・娯楽映画王・王羽(ジミー・ウォング)のコラボ!
はてさてどういうことになっておりますでしょうか!?
■流れ
うむむむ・・・・・・
怪しい。実に怪しい。
本作は全編日本オールロケになってないとおかしいのだが、ここは本当に日本か?台湾だろうなぁ・・・
さてそんな日本の夏祭り。金鳥の夏です。
盛り上がる祭り。人の垣根を縫ってお仕事中なのは張清清らのスリ集団。
この祭り見物にはるばるチャイナからやって来たのは我らが天皇巨星・ジミー先生。
とにかく日本人は気に入らねぇ!
早速、祭り男たちとバトル!(な、なんでやねん!)
謎の虚無僧がやって来て、
「暴力はいかんぞ〜」
と、尺八を振舞う。
そんなわけわからんシーンを素っ飛ばしたら、張清清に財布を盗まれてしまうジミー先生。
そしてすったもんだやってたら、
とにかく日本人は気に入らねぇ!
早速、祭り男たちとバトル!(な、なんでやねん!)
あ、あの今日本人2.3人殺したような気がしますが・・・
なので、早速スリメンバーの1人の女の子が村の愚連隊に殺されてしまう・・・だからなんでやねん!
とにかく日本人は気に入らねぇ!
早速、祭り男たちとバトル!(な、なんでやねん!)
ああ・・・日本人殴りまくってたら腹が減ったぜ。
金を出せ張清清。そうだ俺からスッた金だ。にしんそば食べるぞ。
ちなみになるこうはカレーうどんが好きだ。
あの、あれね。昆布出しが効いててお揚げが美味しいのが好き。
私なんか関西・関東両方住んでるのであれですが、
私が関東のうどん・そばで嫌いなのはつゆが黒いということではなくて、油揚げが乾いててボソボソしててしかも辛いってことなんですよ。あれは嫌い。
天ぷらもつゆが濃すぎ。
さて、物語と今のところ関係無しに隣でそば食いまくってる魯平さん。
ところで・・・まずそうな麺だなぁ・・・
日本人め、まずそうな麺出しやがって。
周潤發(チョウ・ユンファ)がお忍びで日本にラーメン食いに来るって言うから俺も来たって言うのに。
こうなったら日本の国技に挑戦だ!
というわけで、鄭富雄(チェン・フーシェン)ら偽相撲取りとバトル!
力士を片っ端からフルボッコにしていくジミー先生。
いったいこれは何が起きている映画というのか!!
地元のささやかな和睦深める"相撲大会"を、血塗れの合戦場と化して戦うジミー先生!
「これはいかん!」
とばかりに祭り男が集まった!
とにかく日本人は以下同文!
あ、あのまた今日本人2.3人殺したような気がしますが・・・
ひとしきり日本人をフルボッコで暴れ回ったジミーさんは旅館で一息。
翌朝、日本のとある道場に現れたのは昨日、まずそうな麺を食いまくっていた魯平さん。
館長の龍飛(ロン・フェイ)と戦ってあっさり返り討ち。
「そうなのよジミー!あなたの仇討ち相手は龍飛よ!」
そう言い残して事切れるヒロイン・張清清。
面倒くさいのでよくわからない途中のドラマは俺がカットだ!
もう許さん!龍飛め!
さしたる確証なんかいらない。
俺、ジミー。俺こそが正義だ!
終劇
■
ここから始まるジミーvs龍飛が伝説の命懸けバトルで、
普通に野原で戦えば良いのに、何故か逃げ出して機関車に飛び乗る龍飛!
爆走する機関車トロッコの上で戦い合う2人!
もう功夫がどうだとかそういう問題じゃないこれがジミー流のケンカ殺法!
橋から川に飛び降りた後は川上でもうグチャグチャの迫力ド突き合いファイト!
さすがジミー先生である。
やっぱりこのジミー&劍龍のコラボ、
その劍龍の説明必要なことさえもロクに説明せずに端折って、ジミー先生がひたすら戦いまくってる間にヒロインとの悲喜こもごものやり取りまで断片的に(笑 挿入し、後はラストバトルにまっしぐらな作風はやっぱりこの人って感じ。
そこに倉田さんのように迫力の空手技を炸裂させることが出来ないジミーさん。しかし彼には豊富なアイデアがある。シチュエーションを次々と変え、いつも通りの汚い手段(笑 も頻繁に使って後はひたすらド突き合い、さらに完全ノースタントで
「ポリス・ストーリー3」のジャッキーもびっくりな命懸けトロッコアクションを完成!
「死對頭」は肉体と肉体のぶつかり合うハイスパートアクションがウリの映画であったが、どっこいどっこいジミー先生だって負けてないぞ!と言うに足る作品なのだ。
ちなみにヒロイン・張清清の元気いっぱいな活躍も可愛らしいところ。
ただこれ、やっぱ日本じゃないだろ・・・
|
■CAST&STAFF |
監督 |
劍龍 |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
張清清 |
龍飛(ロン・フェイ) |
魯平 |
紫蘭 |
山茅(サン・マオ) |
葛小寶 |
馬驥 |
鄭富雄(チェン・フーシェン) |
康凱 |
薛漢(シュエ・ハン) |
黄飛龍 |
雷鳴 |
呉東橋 |
羅斌 |
王太郎 |
古軍 |
崔立 |
金蓮 |
張亦飛 |
蔡弘 |
侯伯威 |
上官亮 |
周俊 |
魏朝瑞 |
林漢 |
武術指導 |
黄飛龍 |
潘村鈴 |
脚本 |
何浩 |
音楽 |
唐亮 |
策劃 |
王必仁 |
製作 |
時潮欽 |
張文彬 |
制作年度 |
1973 |
闖將
Clash of the Professionals
■
俺にも出来る!
いや、俺が先だ!
ジャッキーに向けてそう言いたかったような、
王羽(ジミー・ウォング)先生のテイスト爆発の作品がこれ。
これってジミー先生が主演でバリバリ活躍したアクション映画の最後になるのかなぁ?
これ以降は客演とかだけだからね。
流石に最後だけあってアクションめたくた頑張ってます。
■流れ
ヘリコプターが・・・・
俯瞰の都会は新宿だ・・・おおこれはジミー先生の「新宿インシデント」!
そして麻薬取引が行われます。
とそこへ特殊部隊の格好した兄ちゃんが空から急襲。
たった一人でマシンガンでマフィアを皆殺しにすると麻薬持ってスタコラ。
ああ、この兄ちゃんは伊原信一さんですね。キックボクシング会長。
んで、ボス神澤に麻薬渡して報酬貰って。
このままでは麻薬ルートは全部神澤の独壇場なので、それはどうかと神奈川新聞・・・神奈川新聞?
場面変わって台湾。
おお!台湾では今「プロジェクトA2/史上最大の標的」が公開中ですな。映画館の看板が見えます。
とそこに黒ポルシェでジミー先生登場!相変わらず格好いいぜ!?
早速客引き2人を
「うるせーんだよおまいら!」
とボコにすると、目の前で銀行強盗発生!
これは許さん!
と今度は強盗犯を車から引き摺り下ろしてボコる先生。
さぁ仕事だ!
今のアクションはなんだったんだ!?
ジミー先生は私立探偵。
歌手の唐〔女那〕(以後、面倒くさいので"カナ"で)が不倫しているというのを調査。
調査のために早速あの「スカイ・ハイ」でも見せたビルの配水管をスルスル登るスタントを披露。
必死の思いでビルを上ったが、先に普通に階段でビルに入った助手が歌手の性交渉の場面をフラッシュフライデー!
「ノースタントで俺がやったのにてめぇ!」
ってことで先生、助手を往復びんた!怖いですね〜
これ順番が逆なんですが既にその時の写真を週刊誌に助手がリークしており、それから依頼主の元へ向かうジミー先生。
「順番が逆だろうが!」
と当然怒る依頼主の華倫。しかし、
「うるさい!その顔が気に食わん!」
と逆ギレして華倫をボコる先生!流石にマイペースだ!
スキャンダルに塗れた歌手のカナさんは自暴自棄に。
酔い潰れたところを何故か麻薬組織(冒頭の組織とは全然関係ないとこ)に捕まって麻薬漬けにされてしまう。
未だにカナを追ってたジミー先生の助手がこれを知ったことによって、
「それも許さん!俺は許さん!」
とジミーさん怒り心頭!
麻薬ジャンキーになってたカナさんをディスコから連れ出そうとするが、当然組織の手下達とバトル!
これをカナの手を引きながら、片腕で戦うジミー先生!
「俺を誰だと思ってるんだ!片腕ドラゴンだ!」
ってなわけで、そんな麻薬組織をぶっ潰せ!
何故かここからアイススケート場で組織と戦うジミー先生!
というか、話が本当に!実に!適当だ!
アイスホッケーの靴が危ない!
ちなみにこのバトルでのサントラはターミネーター使用!
とにかくぶっ潰した!
さぁ今度はカナさんを麻薬の魔の手から救いましょう。
禁断症状を克服してジミー先生と恋に落ちますた。
この展開はまんま「スカイ・ハイ」ですな。
得意の水泳を披露すると、東京タワーの下で抱き合う2人、
スキー場でじゃれ合う2人・・・いつの間に日本に行ったんだ?
ちなみにスノーモービルバトルはちょっとした「ファイナルプロジェクト」だ!
・・・で、とにかくカナの麻薬云々は冒頭の神澤さんとこと繋がってました。
後、龍飛(ロン・フェイ)とか陳鴻烈とかの組織とも繋がってました。
とにかく繋がってました!
というわけで今度は組織と車のプレス場で取引することになったジミーさん。
で、いつの間に台湾に戻ったんだ?
取引は勿論罠で車に閉じ込められるとプレスされて更に車を燃やされそうになるジミーさん絶体絶命!
と思ったらトランクから出てきて危機脱出!
どうやって助手席からトランクに移ったかサッパリ不明だ!
ちょっとしたジミー流のイリュージョンだ!
手下の孫亞東を逆にぶっ倒せ!
ジミー先生を殺せなかった組織はカナをさらった!
神澤総合病院の救急車でー(どこよそれ)
・・・つーか、また場面がいつの間にか日本だ!
倉庫での戦いでカナは結局死んでしまう。
遂に冒頭に出てきた伊原信一が動き出す。
ジミー先生の助手や事件を追ってた神奈川新聞の女性記者などを次々に殺していく伊原信一。
まるで「SPL/狼よ静かに死ね」での呉京(ウー・ジン)な活躍だ。
当然ジミーさんはもう許さん!怒り爆発!
ここからは完全にもうジャッキーだ!
伊原信一を追っかけるジミーさん!
その執念は凄まじく・・・いやその前にまたいつの間にか台湾だ!
「ポリス・ストーリー3」!
楊紫瓊(ミシェール・ヨー)ばりにバイクで追っかけ!
そして
「ポリス・ストーリー/香港国際警察」!
まんまだ!
まんまだ!
もうこの辺はサントラをそっちに差し替えたいぐらいだ!
遂にガチンコバトル開始のジミー先生 vs 伊原信一!
流石にキックボクサーだけあって強い伊原信一なので、
早速その辺の木材で攻撃するジミーさん!
いつものケチくさいスタイルだ!
さらに警察が追ってきたので今度は海に飛び込む伊原信一、今度は
「ファイナル・プロジェクト」!
明らかに海ではなくて水槽だが・・・
そして水中で伊原信一を撲殺!
神澤組織、そして最後はやっぱり出てきましたジミー先生、永遠のライバル龍飛・・・いや永遠の舎弟か。
その辺と決戦だ!
銃持つ先生は珍しい
しかしちょっと疲れたのか、ラストは銃メインだ!
かなりあっけなく龍飛を撃ち殺すが、神澤にはヘリで逃げられてしまう。
さぁ神澤さんのパーティだ。
と、そこへ影からジミー先生が忍び寄る・・・
そして最後はNG集だ!
劇終
■
・・・ジミー映画やなぁ・・・
というわけで、適当な物語の上に様々なシチュエーション凝らしたアクションシーンがほとんど脈略無く披露される実にジミー先生らしい後期の傑作?でした。
まさにジミー先生流のジャッキー映画、そんな映画である。
びっくりしたことにボス神澤を演じていたのはどーも黒部進さんのようで、黒部進と言えばウルトラマンですね。流石、日本での人脈も広いジミーさんらしいキャスティング?伊原さんもジミー先生が引っ張ってきたのでしょうか。
そもそもジャッキーの現代アクション映画の数々はジミー先生の作品や許冠文(マイケル・ホイ)作品がベースになっている部分も多くあり、ジャッキーよりずっと前に例えば「スカイ・ハイ」「ドラゴンvs不死身の妖婆」さらには「唐人票客」で見せた龍飛との命懸けアクションなどをジミー先生は見せているし、許冠文は高層ビルといった高所や車スタントをしながらコメディを演じて見せた。この二つを融合してジャッキーのキャラクターの魅力が加われば、それがジャッキースタイルになる、やや強引ではあるがそういったベースになっている部分にジミー先生だって大きく関わっているといったところだ。
だからジミー先生がこの映画で色々とパクったところでどうだということは無い。そもそもの始まりは先んじてるし、模倣の繰り返しが傑作を生むことだってあるのだから。
「ドラゴン武芸帖」もDVD化されたことだし、本作も是非改めて復刻して欲しいところ。
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■CAST&STAFF |
監督 |
楊靜塵 |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
唐〔女那〕 |
湯蘭花 |
方正 |
伊原信一 |
孫亞東 |
陳鴻烈 |
華倫 |
龍飛(ロン・フェイ) |
柯受良(ブラッキー・ユー) |
黒部進
※クレジットはK布進 |
張維萍 |
小川通子 |
武術指導 |
葉勇 |
李海興 |
脚本 |
黄金富 |
音楽 |
黄茂山(ウォン・ムーサン) |
策劃 |
段國慶 |
董樹寶 |
製作 |
王羽(ジミー・ウォング) |
製作総指揮 |
ピーター・ユー |
制作年度 |
1985 |
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