監督・脚本 |
金聖恩 |
出演 |
王羽(ジミー・ウォング) |
劉家榮(リュー・チャーヨン) |
龍飛(ロン・フェイ) |
梁家仁(リャン・カーリャン) |
王冠雄 |
魏平澳(ウェイ・ピンアウ) |
程天賜 |
易虹 |
喜翔 |
關洪 |
薛漢(シュエ・ハン) |
田明 |
李影 |
K鷹 |
高飛(コー・フェイ) |
夏侯俊 |
余松照 |
岳峰 |
金萬希 |
王太郎 |
黄哈(ウォン・ハー) |
劉幼斌 |
何維雄 |
張義貴 |
陳森林 |
茅敬順 |
金龍 |
陳金海 |
呂雲保 |
武術指導 |
劉家榮(リュー・チャーヨン) |
製作 |
黄卓漢(ウォン・チェクホン) |
制作年度 |
1977 |
大江南北
Double Double Crosser
■
今や、王羽(ジミー・ウォング)作品の数多くが日本国内でも出回ってはいるが、まだまだ世に知られていない作品が存在するということも確かで、この辺がもうほとんどの出演作を掘り起こされてしまった他ビッグな功夫スターと比べて楽しみがいっぱい残っている、というわけで本作も私が見るのを非常に楽しみにしていた作品である。
大江南北。
タイトルだけでは内容がさっぱり予想つかないので余計に楽しみだったのだがはてさて。
■
流れ
オープニングが雄大な景色と壮大なテーマ曲から始まるのですが、その雄大な景色が物語とどう関係があったのかさっぱりわかりま・・・大河が映されていたので水路での密輸を連想しろと?
漁港。
さっそく
現代劇では7:3分けが基本(笑
黒いスーツに黒いスーツケースで登場のジミーさん。
今回は現代劇であります・・・?
と思ったらジミーさんが泊まるホテル(笑 は功夫映画お馴染みの二階吹き抜け客棧やから功夫時代劇と変わらへんがな。
まぁ何にしろ大規模な密輸組織を挙げるべく派遣されたスパイ・・・らしい。
早速、先に組織に潜り込んでいた
扮装怪しすぎる孫越のおっちゃん
孫越(スン・ユエ)と嘉凌(ジュディ・リー)から情報提供。
ただ歩いて見回るという基本的な捜査を繰り返している(と思われる)ジミーさんはチンピラとかに絡まれても強いので一網打尽。
組織の腹心である
いつもダンディに決めてます
張翼(チャン・イー)が強いジミーさんを見てスカウトしようかって感じで。
しかし、ジミーさんが先に組織に潜り込ませていた使いの身元がバレテしまって同じく腹心の毎度お馴染み
髪型も変で今回単なるおっさんやな
龍飛(ロン・フェイ)さんに殺され、それを知って怒り心頭のジミーさんはスパイ的潜入な計画台無し関係無し(笑 で
大暴れ!
このシーンはなんと!
ジミーさんが甄子丹(ドニー・イェン)ばりに開脚ジャンプキック!
早速、龍飛とこのチンピラ蹴散らして、さらに龍飛ぶっ殺し。
スパイなんじゃないの?
って思ってたのにあっさり正体ばらして復讐するところがジミーさんらしいが、
こっちのサングラスもどうかと
大ボス・田豐(ティエン・ファン)は来たる
苗天(ミャオ・ティン)兄貴も来ました
苗天との取引準備。
悪役大集合ですな。
張翼が孫越を痛めつけて、
嘉凌がスパイであることを突き止めると
張翼vs嘉凌の末に嘉凌を捕らえるが、
それを早速知ったジミーさんが今度は南宮勳(ナン・ゴンクン)と戦って嘉凌さんを奪還。
・・・さっきから全然現代劇になっていません。
やってることが功夫時代劇と全く一緒。
車の一つも出てきません。いつの時代よ?これ。
やっぱ張翼が一番悪い奴で苗天を殺すと、田豐の片腕とされる張紀平と組んでその田豐を裏切ってNo.1へ。
と思ったらそこにジミー&嘉凌さんが乱入してラストバトル!
アクションはいいです!
どりやーっ
ほいやーっ
はいやーっ
終劇
■
惜しい!!・・・い、いや全然惜しくないか?
監督の田豐と言えば日本ではジャッキー「
ヤング・マスター・師弟出馬」「
ドラゴンロード」「
必殺鉄指拳」での父・師匠役が一番有名か。想像つくとおり昔から映画界で活躍、他印象に残るのは
「
~刀」「
迎春閣之風波」での悪役、「
天下第一」での皇帝・柴栄役あたりか。
というわけで役者としてはベテラン中のベテランなのであるが、監督としては些か弱かったか。
話の骨子も登場人物の心情もまともに描けていないというのが本作の感想で、大筋が全然しっかりしていないので、私がちゃんと翻訳しきれていないことを差し引いても物語が余りにスカスカである。
これこれこうでこうなった、だから戦う
というものをもうちょっと丁寧に描く必要があったのではないか。
同時に演者の怒りや悲しみの描写もまるで忘れているかのように薄っぺらいのでこれでは感情移入のしようがない。
そもそも、現代劇なのかなんなのかもよくわからんのだが。
翻ってアクション面ではなかなかの作品で、スタントダブルもあろうが、スピーディーでアクロバティックな立ち回りは随所に見所がある(完全に功夫時代劇での振り付け、ともすればファンタジー武侠片みたいに飛んだりもしているが)。地形や建造物、小道具を活かした工夫ある殺陣も多く、また編集技術の点でもすこぶるテンポの良い流れを形成しているので飽きることがない。ジミーさんもジュディさんもアクションだけはとても良いものを残しているだけに総評として尚更残念な作品である。
ちょっと武術指導の黄國柱は注目しとこうっと。