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とりあえず3回観て、後はスクリーンセーバー(VCD持ってます)にしてずっと流したままにしてあり、 こりゃ色鮮やか超豪華なスクリーンセーバーだわい と重宝しております〜♪

じゃなくて、
まだまだ勉強中というか考え中なところあるのですが、
凄いと面白いは違うんじゃないの?
というところで、そりゃー単純に
・凄いなぁ

・色使いが綺麗だし、その色でキャラ心情も映えてるなぁ
・さすがワダさん
とは思いますが、それが「面白かったっす」にはあんまり繋がらなかったというのが個人的に正直な感想でして、だって例えば
「アルマゲドン」でホワイトハウスがどかーん!!
すげーっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それで?
まぁ、それはともかくそれならば

娯楽映画じゃなくてアート映画に偏重してるから?

と考えてしまいますが、実際に絶賛の声も大きく聞こえてくるわけで、単純に「俺には合わなかったのかな?」だけが理由になってしまい、正直なところ、

ここに本作を評価してる良いレビューを代わりに転載したい気分

でございます。マジで。
この映画は俺の所感だけじゃなくて、ご意見頂戴して集めて掲載しておきたいな(ください)。

万里の長城マインド

そもそも。

そもそも「万里の長城」なんて、とんでもない建造物が存在するからこそ中国というものは何だのかんだの大言壮語でJAROに訴えられそうな大見出しが多くあり、それが中国という国の大きな特色の1つだと私は思っております。良い悪いの問題ではなくて。

エジプトのスフィンクスが火星人の建造物かも?とか、
ストーンヘンジは宇宙人からのメッセージ?とか、
ナスカの地上絵はUFOの空港?だとか、
そんなオカルトチックな噂は非常に楽しいものですが、

だって万里の長城は人間が作ったやん

これを考えれば
じゃ、他のもやっぱ人間が作ったやんな
と納得せざるを得ません。この地球で一番デカイ建造物を造ったのは恐れ入ったか鬼子母神三色スルメの人間なのですから。単純にそれより小さい建造物なら人間が造れないということはないと思うのです。

それほどの「万里の長城」。
このHPでも何回か語っておりますが、この万里の長城マインドと言いますか こういったものが中国人の中で脈々と受け継がれており、色んな香港映画でその万里の長城マインドの一端を垣間見ることができます。

「ヤング・マスター・師弟出馬」 ジャッキー監督
ジャッキー功夫集大成。集めすぎてラストバトルが長すぎ。

「ポリス・ストーリー/香港国際警察」 ジャッキー監督
壊しすぎ。ガラス割りすぎ。

「Who am I?」 ジャッキー監督
ラスト裏切りCIAを捕まえるために軍隊出しすぎ。

「ナイスガイ」 サモハン監督
アクション続きすぎ

「男たちの挽歌2」呉字森監督
撃ちすぎ撃たれすぎ死体転がりすぎ

「不死身の鉄腕28房」郭南宏監督
バカすぎ

全て面白い面白くないは別の話です。
・・・幾らでも出てきそうなので止めますが、要は日本人の感覚だと
「そこまでやらなくても・・・」
というぐらい過剰に突っ走ってしまう、何も一国を守るために
日本の本州より長い城壁作ることがあるかよ!
これぞ万里の長城マインド、中国人の気質だと思うのです。

ただねこの辺で、
確かに万里の長城をあなた達は作り上げたけども、だからと言って

100万本ぐらい一気に飛んでくる矢に関して
「本当にあった」
と言われても信じられませんよ。ってとこ。

なんか万里の長城を俺達は作ったんだから、他のどんなことでも実在したかのように見せられる見せるという、あまり良いとは言えない意気込みというか大言壮語がこの映画にも感じるのです。
それに少なくとも私個人は白ける。
映画全体が王晶が作ったような娯楽もんだったらそれも楽しめる箇所なんだけど、ここまで色気づいた映画だとシャレだけでは済ませられなくなってくる。他の演出も含めて、その辺のリアリティと虚構の境目にちょっと納得行かない気分はあります。

いやそりゃバトルそのものが、

その100万本ぐらいの矢を避けながら戦い合ってたり、
すいません、わかりにくいっすね
水上でぴょんぴょんと戦い合ってたりと非現実的なものなので
矢ぐらいでウダウダ言うのもな・・・
って気にもなりますが・・・

バトル

そのバトル。
そもそもそんなに期待してないんだけど、まぁ期待してないなりに期待している心もあんまり満たせなかったかな。別に少なかった多かったなんてのは気にならなかったし、十分そのようなシーンはあったと思う。んだけど。


李連杰vs甄子丹に関しては、
もう言わずもがなで素晴らしいアクションを見せてくれたので文句無しです。本当に素晴らしいす。ただこれこそが象徴してしまったというか、
この戦いってさー ワイヤーがそんなに顕著じゃないのね
2人とも武芸者だから無理してワイヤー使って表情失うより、ガチガチキンキン!と実際に戦ってもらった方が迫力出るのが当たり前。なのでこれだけ観たらの話ですが、

最初に李連杰vs甄子丹を持ってくるのはあまりに疑問

梁朝偉や張曼玉がアクションで勝てるとか勝てないとかいう次元ではないし、彼らが武芸に長けていないことを責めるつもりは全くないが、ただ李連杰vs甄子丹がクライマックスにバーン!と来た方が絶対良かった・・・
梁朝偉や張曼玉が見せるそれは「フライングバトル」と同じだし、それならば「フライングバトル」だって十分頑張ってたな、あっちも衣装には非常に凝っていたな・・・「フライングバトル」は10年前('93)の作品・・・ そうすると・・・うむむ別にな・・・

ラブ

だからラブだよな、ラブ。

結局、ここに集約されてくるんだけどこの映画って主役って
梁朝偉と張曼玉ですよね〜
次が章子怡でその次に李連杰だと思う。
残念ながら張曼玉も章子怡も「メチャ好き」というほどではないので、後はドラマ部分でどれだけ見せてくれるのかってことになりますが、元々ラブものがダメな私にとってやっぱダメだったな。
どうしても犬も喰わないに感じてしまう。
梁朝偉&張曼玉で同じようなこと何回も繰り返されてもな。一回でいいす。 --------------------------------------------------
そこで!

「何言うものぞ!」
と思われる方は掲示板とかでご意見を募集して、この辺に掲載したい
ところ。特に女性からこの「ラブ部分」における素晴らしさを教えてくれるような
ご投稿があったらいいなと思います。
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歴史の部分に私が全然触れないのは、私が全くの無知だからです。
いや実史の顛末というか流れぐらいは知ってますが。
というわけで、歴史大好き派からもご意見欲しいな。

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※以下、狂童子様、hidebi様、いさいさ様より頂いた書き込み及び私のレスです。書き込み有難うございました。

英雄
狂童子 投稿日:2003年9月27日<土>16時35分
なぜか公開中の「英雄HERO」についての話がないですね。李連杰と甄子丹が出ているのに・・・・・・。「香港映画」じゃないから?でしょうか。 この映画、かなり評判がいいみたいで、実際ウットリするほどの映像美でアクションも綺麗に撮れていたのですが(特に二人の対決は見事)、私は映画の主題に正直あまり共感できなかった、という感じです。胡金銓の深遠な世界にはまりすぎたせいか、ああいうわかりやすい展開とまとめ方がどうも不満に感じられるのかもしれません。あそこらへんの歴史には個人的にいささかこだわりがありますし。ちょっと皆さんの感想を聞いてみたいです
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Res:なるこう(管理者)
お久しぶりです! 投稿日 : 2003年9月27日<土>21時40分
さてさて、

>なぜか公開中の「英雄HERO」についての話がないですね

これについて、私もご意見を募集してみたのですが無いですね。
個人的にはラブストーリーの部分にノレなかったこともあって、そんなに良い感想じゃないということもあるので、反論を怖がられてるのかな?
むしろ誰かに代わりに「ここがいいんだ!」と言ってくれると良いんですけどね。まぁ胡金銓作品とは基本的に違いますからね。これは「英雄」ではなくて胡金銓作品が違ったということでしょう・・・なんじゃそりゃ
ええとつまり、「英雄」は武侠片、胡金銓は自然を舞台にした政治劇ですから。
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Res:狂童子
題名:独り善がり批評 投稿日 : 2003年9月28日<日>17時47分
私は少々中国思想をかじっている視点からちょっと語らさせていただきます。かなりネタバレです。本当はHPに書くべきなんでしょうがほとんど読まれないので。私が不満だったのは、
「テーマが陳腐!!」
のひと言に尽きてしまいます。私仇を忘れて天下のために身を犠牲にする、天下を動かし安んじ英雄は少数の傑人ではなく、平和を希求する「無名」の人たちなのだ・・・・・。いやいや違うんじゃないか、
親兄弟の仇も果たせない「天下」などよき「天下」なのか?
「天下平和を築こうというのに、親兄弟や友人のことなんかにこだわるんじゃない」なんていうメッセージ、そんなに立派なんでしょうか?

そもそも中国哲学には「天下」と「私」が対立するという観念はありません。この緊張関係を前提とするのは西洋哲学的発想あるいは日本の「滅私奉公」的な発想です。西洋の場合は「天下」と「私」の間に「神」という超越普遍性を第三者に置くわけですが、この「英雄」には一見深遠そうでありながらそうした「神」のような超越的視点が欠けている、と思いました。だから「天下統一という政治的目的のためには個人的事情は些細なこと」という以上の何かが見えてきません。同じ張藝謀でも「紅いコーリャン」ではちゃんとあったんですが。胡金銓は私仇を自然な感情として肯定しつつ、同時に「それも広大無辺な自然宇宙の一つの営みにすぎん」という超越的視点を導入しています。両者は対立することなく融合しています。私は胡金銓のこうした世界観のほうに魅力を感じますし、より高い普遍性をもっていると考えてます。

ただこの映画はあくまで中国人向けなんだなあ、とは思いました。つまり、これは伝統中国的な英雄観に対するアンチ―テーゼとして作られているという気がしました。実際、日本でこの映画が受けて中国や台湾で不評であるというのは、中国人の自然な感性にあわないものをわざわざ意図した可能性があるように思います。 かなり長くなってしまいました。いろいろと批判が過ぎましたが、これは単に好き嫌いではなくテーマについていろいろ語るべき作品だと思うので。ただ、こんなわけわからんことを書くとレスがつかないかも。
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Res:hidebi
題名:横槍すんまそ 投稿日 : 2003年9月29日<月>01時06分
語りつくされたことですが、過度な演出(ワイヤー・CG)は李連杰や甄子丹クラスになると足かせにしかならんような気がしますた。生身の凄みに勝るものなしです。ストームライダー巣あたりに出てる役者さんのほうが逆にいいかもしれないな〜〜〜などと・・・
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Res:なるこう(管理者)
題名:ご意見、ありがとうございます! 投稿日 : 2003年9月29日<月>13時26分
狂童子さん、文章上手いなぁ・・・
茶化してるわけじゃないす。本当にそう思います。
「英雄」についてはジェットもドニーも
「とにかく台本が良かったので引き受けた」
とありますので、台本そのものを読んでみたいですね。

>親兄弟の仇も果たせない「天下」などよき「天下」なのか?

自身の英雄観念に照らし合わせるだけになりますが、個人的に英雄は"トニー"だなぁと思ってます。一見、女のことで最初から最後までウダウダしてるだけに見えますが、 純粋に守るべきものだけを守った(守ったとは言えないかな)、 という意味でトニーだと思いますね。かつて"ギャートルズ"で父ちゃんが家族の為にマンモスと戦う姿があったように英雄の基本は"親愛なる者を守ること"だと思います。そうすると"親兄弟の仇も果たせない"である彼は個人的には英雄ではないですね。彼の役柄としては語り部的存在でもあり、監督としてはやっぱり
それで、あなたはどっち?
と観客に問いかけているように感じました。

>「神」のような超越的視点が欠けている

欠けてるところが武侠片なのかなぁ・・・と思いますね(思うだけ)。
登場する美しい色彩美はあくまでキャラクターの"心の表現"であって、それ以上のものではないですし(個人的には必要以上に無くてもいいこと、それこそこちらの心で描けばいい)、広大な風景に関しても胡金銓のように "漠然とデカイ自然がドン!そこで人間が何やってても俺(自然)は知らん" みたいな、崇高なデカさとは違い、 "ほら中国ってすごいでしょ?すごいでしょ?" みたいなちょっと中国の自然を誇示する感触を受けましたね。

>中国や台湾で不評

あっ、そうなんですか。知りませんでした。
映画が残す余韻的なものが日本ウケしそうなところはありますよね。
単純な発想ですが、やっぱり英雄って言われたら "ジェット・リーがたくさん悪漢倒してスカーッ!!" ってなことを連想しがちですので、"お答えはご自身で"というような映画に不満があったんじゃないでしょうか。 "わざわざ意図して作った"の理由はパッと思いつくことが無いのですが。

まぁ張藝謀監督は苦労されたと思いますよ主に
"迎合するか己の道を突き進むか"
という点で。 キャストも制作費もあれだけかけたのですから"失敗は出来ない"ということもあって大衆受けするような演出を数多く取り入れたんでしょうね。難しいですね大衆受けって。
大衆って言っても"大衆"という形は無いわけですから。
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>過度な演出(ワイヤー・CG)は李連杰や甄子丹クラスになると足かせにしかならんような気が

hidebiさん、こんにちは!
私はこの頃になってくると"むげにワイヤー非難するのは止めよう" と思っておりますが、このご意見は仰るとおりですね。 あくまで両者の対決をより一層盛り上げるためのちょい補足だけで十分だと思います。 まぁ実際この2人に関しては、他と比べてワイヤー少ないですよね。 逆にもしワイヤー的演出が両者の対決に無く、そして濃い剣術ファイトなんかしちゃった日にゃ、その後のvsマギー、トニー戦が見てられなくなりそうです。 後、ワイヤーアクションてもうそんなに進化してないような気がするんですよね。 この頃のワイヤーもんと'90年代中盤にかけて大差ない気がします。
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本当にお久しぶりです。
いさいさ 投稿日:2004年2月3日<火>02時51分
長らくハードなスケジュールのためネット切断状態でしたが、やっと休みが訪れました。劇場で見て以来「英雄」を久しぶりにDVDで見ました。
この映画についての批評はとにかく「好き」か「嫌い」かに分かれると思います。私的には「好き」な作品でかなりレベルの高いものだと思いますが、批判的な意見も充分納得理解できるものです。
簡単に言うと「グリーンディスティニー」的なアクションエンターテインメントを期待すると完全にスカシをくう作品ですね。はっきり言ってアクションの見せ場はドニー・イェンVSジェット・リーぐらいで、あとは完全にアートになっています。アートが好きな私は(エンターテインメントも好きですよ。)この作品かなりはまりました。劇場で見た以上にDVDでさらにはまりました。
「英雄」についてはこれぐらいにしときますが、 「あずみ」最高でした。
追い求めていた理想の強いヒロインがいました。徹底的なアクション演出の北村監督も今後注目しています。
4月ぐらいに「少林寺三十六房」がやっとDVD発売されますね!
嬉しいっス! 以上、まとまりの無い文章ですがお許しを!
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■CAST&STAFF
監督 張藝謀(チャン・イーモウ)
出演 梁朝偉(トニー・レオン)
張曼玉(マギー・チャン)
李連杰(ジェット・リー)
章子怡(チャン・ツィイー)
甄子丹(ドニー・イェン)
陳道明
張鐵林
武術指導 程小東(チン・シュウトン)
脚本 張藝謀(チャン・イーモウ)
李馮(リー・フェン)
王〔文武〕(ウォン・ビン)
服装・人物造型設計 和田恵美
音楽 譚盾(タン・ドゥン)
策劃 李少偉(フィリップ・リー)
製作 江志強(ビル・コン)
張藝謀(チャン・イーモウ)
制作年度 2002


報仇
Vengeance!


張徹監督代表作の1つ、1970年のヒット作。

これねー
なんか変な映画。
第一印象は"まぁまぁ"
第二印象は"なんかすげぇ"
第三印象は"やっぱすげぇ"
第四印象は"傑作じゃん"

つーか、俺は何回観てんねん。
って話ですがこれまたスクリーンセーバー化させてずっと流してたもので。 それでもってこう観るたびにジワジワジワジワ面白くなってくるの。
初見はどうしても過剰な期待が膨らむから難しいところあるし、正直「こんなもんかな」って感想だったんだけど、本作に対してその辺の感想で終わってる人は是非二度、三度と流してみてほしい。
張徹エッセンス濃縮度200%みたいな映画であることも間違いないです。
「刺馬」もそうなのですが、濃縮度はこちらの方が高いですね。
まさに



って感じで、これなら色々と疑われない方が不自然です。
これもね。
俺最初、 ギンギンっ!! って感じで観てたのよ。
つーかギンギンってなんだよ。
観てるこっちも歯ぎしりしてたというか、そういう気合いで。
・・・・・・・・・・・えらく疲れた。
なので、次回からはサラサラと。
冷静になってみるとそこかしこから感じる、
張徹映画エッセンスの面白味+こんなところにあの人が
でまた非常に楽しめる。

で、これどうなんでしょーね。
男はともかくとしても女性から観てこの映画はどうなんだろ。
女の子ってさー
どんなロマンチシズムっぽい女の子でも"男のロマン"に関しては
「バカじゃない?」
の一言で済ます


何を持ってロマンなのか?
その辺の基準が男女で全然違うので、女性に「理解しろ」なんてのはとっくに諦めてますが、その女性陣がこの映画を観たらどうなんでしょ。

「必ず帰ってくる・・・」

やっぱ「バカじゃない?」の一言でおしまいなんでしょか。


狄龍流れ

オープニングの雑誌記事写真使ったような暗く重い雰囲気&BGMがイカしてます。まさに
どんよりどよどよごごごごご・・・・
な感じですね。

また展開が早いんだよな。
京劇の開演中で狄龍はお芝居の最中。槍で腹を突かれて絶命する狄龍。 舞台裏では町の功夫道場主・谷峰とほとんど浮気状態な狄龍の妻・區燕青の姿が。いぶかしがる他の劇団員。その通りだ。

お前らの不倫、目立ちすぎ

これを旦那の狄龍が見逃すはずもなく、妻を問いつめる。

妻 「谷峰?知らないわよ、そんな男。」
なんかむかーっ ←俺が
狄龍 「そんなわきゃないじゃん!ここに入るのを見たんだ!」
妻 「知らないったら知らないわ。失礼な人ね。」
なんかむかーっ ←俺が

総じて張徹作品にてヒロインだろうが何だろうが出演する女優さんというのはやはり損をしているのでは無かろうか。こうなんちゅうかある種の女性に対する偏見的なイメージを画面から感じてしまうのは俺だけだろうか。

映画開始数分で寝取られクンな狄龍。
奥様はこんな男前を旦那にしてるというに何が不満だったのか?
やはりステーキばかりじゃラーメンも食べたくなるというのか?
しかし幾ら何でも狄龍を旦那にしてるのに谷峰さんを選ぶというのも変でしょう。


狄龍さん 

谷峰さん

どうですか?女性の皆さん?
(いやだからこの辺にも監督の女性に対する偏見的なイメージを感じるのだが・・・と、俺が監督に対する偏見があるからそう見えるのかもしれんしな)
もしかしたら狄龍の旦那はカタブツ過ぎたかな?
まさかアッチの方が弱々しいとは思えないし。けたたましいでしょう。
いや夜の夫婦生活がけたたましいことが必ずしも女性にとって喜ばしいことではないこともまた然りなのだが。
「さっさと終わってくれ」
って思ってる女性も一杯いるから・・・そもそも(以下略)

妻の不倫を確信した狄龍は谷峰道場に殴り込み!
狄龍 「俺達はアジアの病夫じゃない!」
と言ったかどうか知らないが(全く言ってないが)、
格好付けて殴り込みしても別に寝取られクンは寝取られクンなワケで・・・  俺だったら恥ずかしいので谷峰さんが一人きりの時を狙いたいと思います。

これで面子を潰された谷峰さんは・・・
そもそも何で俺は今回悪役の谷峰さんに「さん付け」してるんだ。谷峰は町のもっとビッグな悪党共の協力を経て、「狄龍殺人計画」を企画。

客棧に待ち伏せていた谷峰の手下から会食の招待状を受け取る狄龍。
狄龍がふと気を許したところで、

一斉にナイフが斧が狄龍に襲いかかった!!
客棧で客のフリをしていたほとんどが狄龍の命を狙うチンピラだったのだ! 狄龍は道場破りするぐらいだからそりゃ強かったが、最初に腹を裂かれた時点で勝負は決まっていた。 ほっといても勝手に弱っていくであろう狄龍に異常なほど冷酷に襲いかかる男ども。腹を裂かれ、両目を潰された狄龍に対して執拗に"死"という結果が出るまで地獄は繰り広げられた。
遂に絶命する狄龍。

奇しくも最初に自ら見せた京劇と同じような死に方で・・・・・・


はっきり言えばサモハンだ。
と面食らうことをいきなり言ったが、サモハンが撮る映画についてずっと疑問だったことがある。それは、

「時々、敵が異常なほど冷酷で怖い

一番わかりやすいのは
「贊先生與找錢華(燃えよデブゴン/友情拳)」で、こちらは客棧で飯食ってた贊先生(梁家仁)が乞食(鐘發)に施しをして、ふと安心したところをその乞食が後ろからグサッ! これを合図に周りの客の全てが武器を手に贊先生に襲いかかり、贊先生の足を潰したり頭をかち割るなど、こちらも同じく執拗に"死"という結果が出るまで地獄は繰り広げられ、遂に贊先生は絶命する。本作ほぼそのままと言ってもいい演出である。

他には「敗家仔(ユン・ピョウ in ドラ息子カンフー)」。
これも劇団を皆殺しにするシーンは異常なほどその刺客達が冷酷にスマートに人殺しを実戦していく。
「群龍戯鳳(ペディキャブ・ドライバー)」。
まさに叙情酌量の隙間も無し。
否応なしに肉体を切り刻まれていく莫少聰&袁潔瑩の姿は惨すぎる。

この辺のサモハンが時折見せる演出の原点はまさしくこの映画だろう。さすがに本作が功夫片の大きな原点であることを確認することが出来る。
コメディ功夫が主流だったサモハン監督にさえも張徹節は引き継がれていたのだ

他にもいわゆる客棧で、斧持ったチンピラがたくさん、味方は少数もしくは1人といったケース、つまりこの映画が原点になっている功夫シーンは実に多い。日本でもポピュラーなのは「酔拳2」でしょう。あれでの客棧で戦うシーンは本作のシチュエーションとそっくりです。これもいつものジャッキー映画と比べると明らかに手に斧持つチンピラどもが冷酷に"死"を迫って来てましたよね。

姜大衛流れ

ここからさらに血が血を呼んで血が血が血だらけな執仇が始まる。

兄弟弟子だった近藤正臣が・・・
いやいや姜大衛が巡業(?)から戻ってきたのだ。
姜大衛は早速、大哥成(狄龍)の仇討ち相手の調査開始。

谷峰に気に入られていた汪萍の手引きを経て、谷峰の隠れミノに侵入。
手下を一人一人血祭りに挙げながら谷峰に近づいた。
「刺馬」では陳観泰の仇を討つために狄龍を討った姜大衛だったが、 今回は狄龍の仇を討つために陳観泰を倒す姜大衛。
陳観泰はまだちょい役。
汪萍とエッチしようとそればっか考えてた谷峰に襲いかかる!
ついには谷峰を追いつめバルコニーより叩き落として仇を討った。


谷峰さんってさー
この当時、石投げられただろうね
見事なほど、悪役ヅラだもん。悪いことしか考えてませんみたいな。一応、「Crack Shadow Boxers」ではとってもお茶目な主役で、そのオジサンキャラの可愛らしさから今回も谷峰さんと呼んでいたのよとフォローしておこう。

谷峰さんが死んで、怖くなっちゃったのは楊志卿のおっちゃんだ。

今回、名古屋章さんみたいな髪型で出ているため、人の良いおっちゃんに見えるが中身は悪魔。元々の「狄龍殺人計画」で谷峰さんを焚き付けた本人というか首謀者だ。

やはり色々な手を使って姜大衛を阻止せんとするが、狄龍の怨念と一体化して氷鬼のように戦う姜大衛を止めることは出来なかった。
だが首謀者が楊志卿である事実に気づいていないとこに付け入る隙があった。
今度は楊志卿にとって都合の悪い人物を偽首謀者にデッチ上げて姜大衛に殺させ、その隙を見計らってスナイパーの陳星に姜大衛を始末させようってハラだ。ホッとさせといて殺す要領は「狄龍殺人計画」と同じだ。

「必ず帰ってくる・・・」

汪萍との恋仲もちゃっかり深めていた姜大衛。
自身が築いた屍の山の向こうに、息吹きある天国を夢見ていたが・・・

楊志卿の屋敷で晩餐会が行われる。
姜大衛は偽首謀者とも知らずに仇討ちのチャンスを伺う。ついに晩餐会は大戦争にあっちこっちで血で血を洗う殺し合いになる。
遂に姜大衛は首謀者の心臓にナイフを押し込めた!
これで仇を討った!

楊志卿 「よくやった・・・・・・押さえろ!」
楊志卿の手下が突然自身を押さえつけたためすぐさま跳ね飛ばす姜大衛。 しかし、陳星はそんな一瞬の隙を逃さず狙撃!

これを合図に狄龍の時と同じく、一斉にナイフが斧が袁信義が馮克安が、 姜大衛を殺さんと襲いかかる!
多勢に無勢で血を吹き上げて遂に絶命したかに見えた姜大衛、 死を確かめに近づいた楊志卿、狙ってか奇しくもか。

招待状を受け取って幾分ホッとする狄龍
汪萍とエッチで幾分油断する谷峰
仇を討ってホッとする姜大衛
姜大衛を殺してホッとする楊志卿

歴史は繰り返される

「大哥成(アニキ)・・・」
多くを語らずしても十分説明の足りる一言のセリフ
だがしかし次の姜大衛の回想で特に張徹作品がどのようであるのか、張徹監督がどのようであるのかを全く知らなかった人にとっては幾分衝撃を受けそうな回想を見ることになる。

「必ず帰ってくる・・・」

彼はどこに帰るつもりだったのだろうか・・・・・・

終劇




「刺馬」では仇討ちを終えた姜大衛がその先に「自らの死」しか見ていなかったことに対して、本作では仇討ちを終えた先に「幸せな生活」を夢見ていたという対比が面白い・・・・・・・・・・・・ように見えるのだが、
狄龍アニキとの楽しい思い出(仲良し過ぎ)がフラッシュバックされるシーンがちょくちょく入ることによって、
本当に彼は仇討ちの先に「幸せな生活」だけを夢見ていたのだろうか?
と、どちらとも取れそうな幕切れを見せているのがさらに面白い。

何故ならばそうなってくると、
悲壮な決意を胸に街に現れる姜大衛登場シーンのところから、コイツは最初から死を覚悟で行動してるのではないかと思えてもくるし、汪萍への想いは一時の俗世への未練であったようにも思えてくるのだ。
ね?
一回観ただけじゃわからないでしょ?

残酷描写も非常に激しく、血が出すぎる映画ですが、身も蓋もない言い方をすればあれはどう見ても赤ペンキなのでそういうのが得意ではない男の私でも大丈夫。女性はどうだろ?
(でも例えば「トータル・リコール」の方がよっぽど酷いよ。関係ないけど)

クライマックスのシーンでは姜大衛がジャッキーが「プロジェクトA」で見せたアクションのヒントを見せてくれます。 まさか「プロジェクトA」のあのシーンが本作からパクられ・・・ いやいや、リスペクトされて作られているとは思いも寄りませんでしたね。 ただそれだけ本作がパイオニアな映画であったことは間違いありません。

また、こんなところにあの人が!
という楽しみ方も非常に顕著で、

このシーンなんかは谷峰のボディガードに
陳観泰(チェン・カンタイ)と袁和平(ユアン・ウーピン)という夢の取り合わせがさりげなく実現してたりします。どちらも単なるチンピラ役ですけど。


■CAST&STAFF
監督 張徹(チャン・ツェー)
出演 姜大衛(デビッド・チャン)
汪萍(ワン・ピン)
狄龍(ティ・ロン)
川原
區燕青
楊志卿
谷峰
陳星(チン・セイ)
鄭雷
王光裕
王鍾
洪流
劉剛
王清河
金童
沈勞
蒋榮法
古龍
徐蝦
袁信義(ユアン・シュンイー)
王清(ワン・チン)
陳観泰(チェン・カンタイ)
白彪(パイ・ピョウ)
馮克安(フォン・ハックオン)
鄭康業
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
袁和平(ユアン・ウーピン)
楊威(ヤン・ウェイ)
武術指導 唐佳
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
脚本 張徹(チャン・ツェー)
倪匡(イ・クオン)
音楽 王福齢(ワン・フーリン)
製作 邵仁枚(ランミー・ショウ)
制作年度 1970


洗黒錢
Tiger CageU
タイガー・コネクション


安かったので俺としては珍しく甄子丹(以後、ドニー)ものに手を出してみた一本。シリーズものらしいので出来れば「特警屠龍/Tiger Cage」('88)から観ておくべきなのだが、すまぬドニー。

感想をハナから言うと
製作年度から考えれば、何か物足りないと言うか・・・(いきなり言うなよ)
ま、後にしようか。

簡単に流れ

メチャクチャシンプルだ。
麻薬組織の捜査をする熱血刑事と事件に巻き込まれた女弁護士が二人三脚(足の引っ張り合い)をしながら事件を解決するまで。
終劇

話がシンプルなのは構わないが(それにしてもな)、それであれば勝負すべきところはアクションと詰め込まれたギミックということになるが、
果てさて・・・

スーツ姿良いねぇ
やはりアメリカ帰りの関係か、スーツ姿も決まってる仇雲波。
今回は悪役す。この人、年齢不詳なルックスだな。
關之琳(ロザムンド・クワン)
ヒロインは「プロジェクトA2/史上最大の標的」でのドレス姿がメチャ綺麗だったクワンさん。あの時は落ち着いた良い女役でしたが、今回は女弁護したる颯爽とした法廷劇は一切見せずにただただ張曼玉のようにおキャンな演技で結構ハツラツ。アクションというか痛いシーンも結構あって大変ある。

楊麗青(シンシア・カーン)の女刑事役は萌えやなぁ・・・
何となく「女必殺拳」の悦ちゃんを思い出すのは俺だけか?
現代劇でも古風な魅力が感じられるのよね。
出番が少ないのが残念なところ。そろそろ楊麗青作品集めようかな。
「夜のヒットスタジオSUPER」?
・・・とこのバスに書いてあるのだ。
スタントよりその文字が気になる今日この頃。
'90年だと「夜のヒットスタジオ」が番組分割してた時かな(あの構成も今考えると面白いな)。

さすがですわドニー
本作でとにかく目立っているのは彼のアクションの素晴らしさ。
袁和平の隠し玉というのがよく理解できます。そりゃ彼に目を付けるわ。
まだまだそこそこに「笑太極」の時の初々しさ明るさがあって、爽やかドニー
誰も彼についていけない
変な話だけど、李小龍リスペクトなそして黄正利も黄仁植も舌を巻くような足技が素晴らしい
仇雲波では役不足だったあるか?
意外とあっさり倒される仇雲波。
仇雲波の武芸者ぶりは詳しくないので、何とも言えないがもうちょっとここのバトルが濃かったらさらに面白かったのにな。



袁和平が大きく名を馳せたのは「スネーキー・モンキー・蛇拳」で、無論これは功夫映画。時は'78年。
ところが、ジャッキーの"脱功夫宣言"や新鋭シネマシティの台頭によってこのコメディ功夫全盛時代は意外と長く続かず(作られた作品は無数にあるが)、「悪漢探偵」が登場した'82年の時点で終わったと言っても良い。
負けずにジャッキーも「プロジェクトA」、サモハンも「五福星」、 といった現代アクションを製作し成功を収め、劉家良は功夫を捨てずに「十八般武藝」? しかし、袁和平は?
というところで個人的には思いつく作品が見あたらない。

いわゆる秘蔵っ子デビューを飾ったドニーの初主演作、袁和平作品「ドラゴン酔太極拳」('84)は、数々の新しいギミックを取り揃えていたチャレンジ精神ある功夫映画だが、ジャンルとしてはコメディ功夫そのものであり、製作年は関係ない現在ならば非常に楽しめる傑作であっても、「皇帝密使」が興行収入1位を記録し、スペインロケの「スパルタンX」がお披露目される'84年当時で考えれば明らかに時代遅れだったであろう。

古装片ブームの再来もまだ無く、この作品にしても袁和平の過渡期にあった作品だと思われる。
開脚キックは俺が先だ!ジェット・リー!
ドニー自身のポテンシャルの高さがとにかく素晴らしく、ホントに彼自身には敬意を評す。仇雲波もいるってことでファイトシーンの出来映えは素晴らしいのだが、正直言うと 「袁和平ならもっと出来るだろ」と贅沢思ったのも確か。
仇雲波や楊麗青、まぁ羅烈は年齢的に厳しかったのかもしれんが、彼らとドニーがもっとアクションで絡んでくれれば良かったと思う。

サモハンやジャッキーといった京劇出身(でも袁和平も元はそうだよな)の彼らが意外とすんなりと典型的な功夫から→フリーファイトパターンに移行できたのに比べ(特に「スパルタンX」はジャッキーvsベニー・ユキーデといった素晴らしいフリーファイトがある)、まだワイヤーワークにもあまり手をつけてない時代の袁和平はフリーファイトの殺陣にどのような色を付けるのか、どうしたら自分らしいファイトとして仕上げられるのか、非常に迷いながら作っていたように見える。そうすると出来は比較するまでもないだろう。
つまり変なフォローになるがこの映画、
ドニーがいるからもっている
と言っても良い。彼のポテンシャルの高さ(武術だけではなく)があって初めて成り立っている気がする。

前作が未見だからよくわからんけど、その前作のヒロイン鄭裕玲(ドゥドゥ・チェン)があっさり殺されるのは良いのかなぁ・・・


■CAST&STAFF
監督 袁和平(ユアン・ウーピン)
出演 甄子丹(ドニー・イェン)
關之琳(ロザムンド・クワン)
仇雲波(ロビン・ショウ)
呉大維(デビッド・ウー)
楊麗青(シンシア・カーン)
鄭裕玲(ドゥドゥ・チェン)
梁林玲
羅烈(ロー・リエ)
米高活斯
武術指導 袁信義(ユアン・シュンイー)
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
甄子丹(ドニー・イェン)
郭振鋒(フィリップ・コク)
脚本 袁若光
製作 潘廸生(ディクソーン・プーン)
制作年度 1990


陰陽奇兵
The Young Taoism Fighter
妖怪奇兵


いわゆるオカルトコメディ功夫映画の1つ。
ジャッキーの「木人拳」「天中拳」等を監督した陳誌華作品である。
何故か羅維プロなのに袁家班メンバーで映画は固められているということで 何か"小さい者同士、肩寄せ合って"感が強い感じがするなぁ。

物語としては
陰陽道修行中の身であった袁日初が、様々な陰陽術を習い、ヒロインの劉皓怡を力を合わせて悪者退治するというシンプルストレート。

製作年度が1986年、「サンダー・アーム/龍兄虎弟」や「上海エクスプレス」が公開されていたことを考えるとこの映画は製作年度1978年みたいな出来映えで古くささは否めない。
この辺は昔は金が無くても知恵と努力で功夫映画は何とか追いつけたが 現代アクション主流となって、制作費を掛けられるプロダクションと低予算しか無いプロダクションではっきり差が出てきてしまったということだろう。
「ファイナルファンタジー」を作ったゲーム会社が生き残り、作れなかったゲーム会社らがこの世から消滅した・・・これと同じやね。

年代を考える必要の無い今となっては、そんな先入観はいらないのだが
まぁ袁家班が作るアクションシーン以外にはそんなに見所も無く、決定的な凡ミスやシナリオの破綻は無いものの、全体的には凡庸一個下ぐらいの出来上がりなのは残念。
ヒロインの劉皓怡が大した美人ではないがハツラツとしており功夫もガンガンということで結構よか。
ラストの対決に袁日初が夢で見た拳法"夢見拳"を駆使して戦うあたりなんかは結構面白い。
劉皓怡 「夢と全然違うじゃないっ!!」

李文泰が陰陽和尚を愉快に演じているのは面白いです。
任世官はちょっとだけ出演。


■CAST&STAFF
監督 陳誌華(チェン・シーホワ)
出演 袁日初(サイモン・ユアンJr.)
劉皓怡
任世官(ニン・シークワン)
關聰
太保(タイ・ポー)
張一道
李文泰(リー・マンチン)
白黄基
武術指導 袁家班
脚本 謝自生
製作 羅維(ロー・ウェイ)
制作年度 1986


摩登如來神掌
Kung Fu Vs Acrobatic
サンダーボルト〜如来神掌〜


ファインディングニモなのね。
ファイティングとしばらく勘違いしてた私でした。
と、関係ない話はともかく期待してなかっただけに逆に結構楽しめた作品。

どうしても私自身がドラゴンボール的戦いより生身的戦いの映画を求めるので、
昔からSFXを駆使した戦いがウリであるこの「如來神掌」モノはやや敬遠しがちなのである。
ショーブラ復刻からも「如來神掌」は出ている。

だけど、本作は冒頭に元祖「如來神掌」('64)のダイジェストがあるので物語的にも入りやすいし、
いざ始まってみれば物語が複雑ということも無く、
また不必要に血も出なくて良い感じコメディの楽しい作品でした。

それでは

流れ

劉コ華(アンディ・ラウ)と陳百祥(ナット・チャン)コンビは同じ会社の単なるサラリーマン。
しかも陳百祥は借金持ちでヤクザの山怪らにボコボコ殴られたりして、今日も惨めな生活を送っていた。
というところで、 劉コ華は中国に出張せざるを得なくなる。

陳百祥は、 「密輸入やって一儲けしようぜ!」

と一緒に中国まで着いてくるが、劉コ華は法を犯す気なんかないのに。
とかなんとかの間に密輸団と接触することに。
とかなんとかの間に周りは警察で一杯だったー!

いきなり密輸犯扱いされて逃げまくる2人(未遂ですが)。
逃げまくった末に謎の竪穴に落ちてしまいます。
落ちたところで張藝謀(チャン・イーモウ)が出てきたら「テラコッタ・ウォリア」の始まりだが、オチはそんなに変わらなくて、
拳法の奥義書を見つけた2人が、
その拳法の練習をしているとフワッ
突如、王祖賢(ジョイ・ウォン)皇女と侍女の梅小惠が現れます。

というわけで、
無関係の2人は、遥かむかーし昔の元朝から元華(ユン・ワー)に追われている王祖賢らを守ることに。
とりあえず元華がバッチリ目を覚ます前に香港に逃げ帰る四人。
しかし、元華の耳にはしっかり「香港!香港!」という言葉が聞こえていたのだった。

その後は香港で如來神掌の技を覚える二人。
以前の借金取り山怪らをボコボコにしたりしてどんどん成長していったが(こんなに簡単に成長して良いんかいな)
遂に現れる元華!
劉コ華家での対決が始まった!
劉コ華もさっき覚えたばっかりのくせして、なかなか頑張ったが、やはり元華には敵わない!
そこに現れたのは何と陳百祥の父である曹達華(チョウ・ダッワー)!
元祖「如來神掌」('64)で主役の龍剣飛に扮したその人である!

元華 「お前は龍剣飛!?」

今回は単なるお父さん役なのだが、
劇中の元華が龍剣飛と勘違いするという昔と今がリンクした面白いシーンである。

しかしその通り今回は陳百祥の父役なので実は何にも出来なかったりして・・・結局、元華を騙したままその場を去っていくゲスト出演でございました(笑)

ビル屋上にて最後の戦いへ。
以前より格段に腕を上げていた劉コ華だったが、手だけでなく脚技も使いこなす元華はやはり強い。
途中でミュータント・ニンジャ・タートルズよりずっと可愛いアニメ忍者亀くんも参戦するが、陳百祥をいなしたようにはいかなかった。
忍者亀くんを助けようとして吹っ飛ばされた劉コ華。
吹っ飛ばされた先は巨大なパラボナアンテナだった。
このアンテナを利用して仏陀の法力を集める劉コ華。

果たしてこの巨大な敵、元華に打ち勝つことができるのか!?

終劇




軽い出来上がりで面白かった。

武侠片的で元華が悪役と言えば冷酷非道で殺しまくり・・・
といったイメージがどうしても払拭しにくいが、
今回の彼は敵ながら劇中では結局1人も殺しちゃいません。
途中、劉コ華&陳百祥を子分にしちゃってATM機相手に四苦八苦する姿も面白いし、
建物に立て籠もった後にTVCMとか見て踊り出すシーンも苦笑い。
クライマックスを終えた後は何だかしおらしくなっちゃってるあたりも可愛い。
数々ある元華悪役の中でも非常に愛嬌のある悪役ぶりと言って良いでしょう。

黄泰來(テイラー・ウォン)監督というと、
どうしても硬派なイメージがあるのでこの映画も出血の激しい映画なのかな?
と思っていたが、どっこいどっこい肩の力抜いて楽しめる作品でした。

ただ、香港映画初めて!とかいう人だったらつまんないかな?
(色んな作品に言えることだけど)


■CAST&STAFF
監督 黄泰來(テイラー・ウォン)
出演 劉コ華(アンディ・ラウ)
王祖賢(ジョイ・ウォン)
陳百祥(ナット・チャン)
梅小惠
元華(ユン・ワー)
曹達華(チョウ・ダッワー)
劉洵
劉志榮
山怪
黄一山
陳敬
武術指導 元華(ユン・ワー)
音楽 盧冠廷(ローウェル・ロー)
脚本 王晶(バリー・ウォン)
策劃 羅國強
製作・製作総指揮 向華強(ジミー・ヒョン)
制作年度 1990


三十六叛揆
36Super Kids
ドラゴン・キッズ2 少林寺三十六福星


パッケージを見て、
「ああ、コレか」
と思ったレンタルビデオ屋を徘徊するのが好きな方も多いのではなかろうか。そう、そのコレである。
あるのよね〜コレ、よくアジア映画コーナーにポツンとさ。
俺も前々から
「借りようかしら」
と思いつつパッケージを手に取るも
「また今度で良いや」
と返す。ほんでもってコレが「貸し出し中」になってるところを一度も見たことが無い・・・
というわけで、今回は借りてみました。なんと1円で(ゴールデンウィークセール)。
実は改めて「あずみ」を借りに行ったのだが、有名作は全部借りられていたのでしょうがなく借りてみたのがこれである。
まぁ「あずみ」もいつでも借りられるし良いんだけど。

流れ

崇山少林寺。
ここでは厳しい師匠の下、36人のガキどもが今日も厳しい功夫修行。
朝起きたら
「布団、たたみなおし!」
「服はちゃんと着ろ!」
とうるさいうるさい師匠。んだけど、子供達も師匠がいないところで怖い師匠の真似したりしたりとかしてたくましく頑張っていた。
師匠に罰を言い渡されて"罰"と書いてある円に入って、罰を受ける子供の姿が愉快である。

そんな時、少林寺にフラリと口がきけない男・ソニー・ユーが現れる。
師匠の友人であるソニーは口はきけないが拳法の達人。子供達はこぞって彼に憧れ、功夫鍛錬鍛錬。

やんちゃな彼らガキ少林僧が出会ったのが、近くに住んでたこれまた少女。
寺の中の世界しか知らない彼らは、彼女と一緒に魚釣りをしたり、食事に出かけたりして俗世間を大いに楽しむ。

が、やっぱりトラブル発生。
清朝の役人どもとケンカしたチビっ子少林僧たちが捕らえられてしまう。
これを師匠が助けて脱出には成功するのだが、役人たちの不意打ちにあって負傷してしまう。

少林僧を逃がしてしまってメンツの立たない清朝としては実はそれどころの話ではなかった。
彼ら36人の少林僧は実は明の役人の遺児で、明の役人たちが皆殺しにされたあと、少林寺に匿われていたのだ。つまり清朝にとっては遺恨。

さっそく少林寺に追ってくる役人たち。
だがしかし、危機を察した師匠たちは近くの洞窟に逃げ隠れ、ここで子供たちに必殺の技を仕込む。
子供たちはどんどんと成長したが、師匠の言いつけをまた無視して、洞窟の外に出てしまったため役人どもに気づかれてしまう。これを師匠が何とか助けるが、命を落としてしまう。

遂には洞窟に乗り込んできた役人たち。
頼りになるのは口のきけないソニーと
チビっ子三十六僧は習い覚えた必殺のコンビネーション床机拳だけ。
今、最後の戦いが始まった!

終劇




パッケージに描いてある女性に注目してほしい。
この女性は確かに出てくる。しかし、パッケージのようなものを想像するととんでもないことだったりする。

これが意外に面白かった。
当時のカンフーキッズ映画続々リリースの中にはとんでもない駄作もあったりしたので、その辺で期待できなかったのだがそこそこ良い感じの映画だろう。

武術指導はここのところ俺の中だけで評価の上がっている蘇真平(スー・ツェンピン)。「英雄有涙」でもなかなかかっちょいい殺陣だったように、ここでもワイヤーを駆使した面白い殺陣を構築している。

それにしてもこの邦題は実にずうずうしい贅沢なタイトルである。

 
■CAST&STAFF
監督 孫栄荘
出演 (ソニー・ユー)
(シャン・ユンペン)
 
 
 
 
武術指導 蘇真平(スー・ツェンピン)
音楽 黄茂山(ウォン・ムーサン)
脚本 〔革斤〕蜀呉
製作総指揮 黄卓漢(ウォン・チェクホン)
制作年度 1982


碧血藍天
The Blacksheep Affair
スティル・ブラック


ま、どっちにしても(この入り方はどうかと思うが(笑)
非常にお金を掛けて作られたアクション大作である。
先にサクサク物語解説いってみよー

流れ

熊欣欣(ホン・ヤンヤン)らによって空港の旅客機がハイジャックされる。救出チーム一員の趙文卓(ウィン・ツァオ)は仲間と2人で潜入するも、相手方に見つかり戦闘に。
ここで仲間が殺されてしまい、怒り爆発。
劉洵隊長の抑止を無視して旅客機に一人で乗り込み、熊欣欣バトル!たった一人でハイジャック事件を解決してしまう。

お手柄!!
上司 「だけども命令聞かなかったから左遷ね
なんでやねん!!命懸けて!!
俺やったらこの場で辞表叩きつけて、
「手柄はあんた!!責任は俺が取る!!」
なんて、ジャッキーが「プロジェクトA」でぶちかましたセリフ吐いて立ち去りたいところだが、趙文卓さんは俺より真面目だったか(比較にならないほど誠実ですが)、左遷を甘んじて受け入れる。

左遷先 ラベリア

どこやねん!
そんな中国と国交あんのかよってところに飛ばされた趙文卓。
まぁまぁそんなところやったらのんびり暮らして羽伸ばしてまぁそんなとこでええんちゃうか。しばらくは腐ってたらええやんか。人生そんな事もあるで。ほんでもってマスコミとかになぁ、
「俺がハイジャック解決してんでぇ」
とか言って取材受けて遊んでればええやんか。

「久しぶりだな」
趙文卓を親友の同じく刑事が迎えに来ていた。
2人とも飛ばされたのかよ!
まぁええやんか。
それやったら友達もおるし、しばらくはのんびりしたらええやんか。ゆっくり太極拳でもしとったらええねん。

・・・と、なぜか目の前で事件発生!
国際警察の方々が日本人らしき奴らに真昼間から殺害される。
こんな目立つところであんたら・・・
義憤にかられた趙文卓は自分とは関係ないのに、この日本人どもを追走!!赴任早々から見知らぬ街でクンフー活劇の幕が開ける!

そしてこの、悪い奴らが逃げても逃げても追いかけることを止めない趙文卓、いや中国人の方々の執念は凄い。これが「太陽にほえろ!」なら車で逃げられたりなんかしたらそこで諦めて、ボスのいる署まで戻って
「それは違うぞジーパン」
なんてヤマさんが途中から入って来て・・・まぁいいか。
とにかく見知らぬ日本人と趙文卓は地下鉄を舞台に凄い戦い!
の末に、遂には日本人逮捕!!
そういえば初めて「ポリス・ストーリー/香港国際警察」観たとき思ったな〜
「バスに足だけで追いついちゃったよ捕まえちゃったよ」

んでもって逮捕してみたらこの日本人が何とまぁあれですね、地下鉄サリン事件起こした首謀者の教祖。事件もそのまんまで、違うのはその教祖が功夫使いってところ。

立て続けに旅客機ハイジャック解決、大テロ事件の首謀者逮捕ということで普通はもうちょっと盛大に祝福どころか未来を約束してやってもええような気がするのだが、今度はまた運悪いことに、ラベリアはアジア嫌い。ラベリア警察は手柄を横取りしてしまうのだった。
「まぁまぁ人生色々あるわな」
と友人そしてバーのマスターの曾江(ケネス・ツァン)にフォローしてもらってお茶を濁す趙文卓。

あのね。
こういう超生真面目な人ほど溜まり溜まって、ってのが非常に危険なのよ。これ映画じゃなくて現実の話でね。精神も肉体も緊張と緩和のバランスが必要ですよ。

とぼとぼ帰路に着く趙文卓。
と、そこでばったり出会ったのはなんと昔恋人だった舒淇(スー・チー)。
ほぉ〜ほほォ〜ほぉ〜
別れた友達も恋人も都合よくラベリアとかいうわけわからん国に偶然いたりなんかするのね

趙文卓 「祖国を捨てたお前など愛せない信じないもんふんっ」
と、おいここは遠く最果ての地で、アジア人が嫌われてて恋人が出来る確率なんて非常に低いところで舒淇ちゃんに冷たくするなんて硬派にも程があるぞ趙文卓。

まぁこの辺からメチャクチャになっていくのだが、とりあえず教祖が邪魔であるラベリア政府は獄中に刺客を差し向け教祖を殺そうと画策。しかし、どこで習い覚えたか功夫の達人である教祖はこれを返り討ち。もし本物のあの教祖も功夫の達人だったらと思うとゾッとする一幕である。

と思ったら、今度は日本から教祖の身請けに来た警視庁の連中が逆に殺される。今度はラベリア政府と教祖が結託したらしい。アジア人嫌いだから。なんじゃそりゃ。

自分を逮捕した力のある趙文卓を教祖は教団にスカウトするが当然拒否。
すると逮捕された腹いせ&見せしめとかもあって(結託してたような気がするんだけどな)、大使館襲撃を合図にラベリア各地で教団テロ勃発。ラベリア市民が死にまくる。
ラベリア人にしてみれば中国人も日本人も一緒くた。
舒淇も反日感情が高まるラベリア人に日本人と誤解されて危険にさらされる。

その後、教祖を護送する任務を中国人が任せられる。
「中国人はこういうときに使い安いぜ、うひひー」
・・・どうも白けるな、そんなんあるかな。
この護送任務の際に教団の連中が教祖を助けんと妨害する。しかしもって強いぜ趙文卓。これを全て阻止。
だがこの護送そのものが罠だった。
隙を見て中国大使館が教団によって占拠。
典型的なバカヒロインの行動をとり続ける舒淇もやっぱり大使館の人質にされ、趙文卓も大使館に連行されて絶体絶命に。裏切り者はバーのマスター曾江だった!!こいつは教団のラベリア支部長だったのだ!!
・・・はぁ、そうなんですかそうですか。遠く最果ての地、ラベリアの支部長がラベリア人じゃなくて嫌われてる中国人が日本の教団の支部長ですか。

大使館から逃げ出そうとする大使らを撃って来たのはなんとラベリア人の奴ら。
いい加減、この辺でストーリー展開に冷めた。
どこの世界にテロリスト以外で大使館の中にいる人間に対して攻撃を加える政府があるのよ。まずまずの先進国でそんなん有り得るか?ましてや相手は中国だぞ。小国ごときが。

そのストーリー展開には疲れるものがあるものの、
いよいよクライマックスへ。
ここに趙文卓vs教祖のラスト功夫バトルが始まった!!

終劇




というわけで、一見精巧に作られてるストーリーかと思いきや、ご都合主義な展開でどうも冷めてしまうことが多いのが些かいやいやとっても残念だったが、間に挟まれるというかメインディナーであるアクションシーンはとても良いものがあるし、テンポも悪くないので面白くないことはない。それというのもやはり主演の趙文卓のポテンシャルがお墨付きなのが大きいだろう。
舒淇に関してはあまりに典型的で印象にも残らない役柄で残念だったな。

それにしても「刀/ブレード」で趙文卓と死闘を展開した熊欣欣が今回は実にあっさり倒れたな。

■CAST&STAFF
監督 林偉倫(アラン・ラム)
出演 趙文卓(ウィン・ツァオ)
舒淇(スー・チー)
連凱
王合喜
曾江(ケネス・ツァン)
張同祖(ジョセフ・チェン・ツン・ジョ)
熊欣欣(ホン・ヤンヤン)
劉洵
武術指導 程小東(チン・シュウトン)
脚本 羅敢鋭
司徒彗〔火卓〕
音楽 辛偉力
製作 羅敢鋭
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
催寶珠
制作年度 1998
 
 


 
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