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サモ・ハン・キンポー(洪金寶)2  
脚本無しの映画作りをずっと捨てない永遠のデブゴン
世界中のデブに夢を与えた。

老虎殺星
End of Wicked Tigers
エンド・オブ・タイガー 〜悪虎死すべし〜



※題名のところ、本当は「殺」って漢字の旧字体。パッケージ画像参照。

物語のパターンとしては「黄飛鴻少林拳」とかと、ほとんど同じ。

村を牛耳る悪い奴ら、悪さのし放題
  ↓
正義の味方、村に現る
  ↓
でもいい村人達はほとんど皆殺し
  ↓
正義の味方、 悪者一掃

羅維ってジャッキーはバカにしてるけど、やっぱ多少は他と違う映画を撮ると思ってただけに、このワンパターンさにはがっかり。まぁ日本の時代劇もワンパターンなので、その辺は責められないのだが。

となると、興味の先はやはり、
「こんな人がこんなとこで出演」 「こんな人がこんな役柄で出演」
になってきます。

サモハン。今回は酷い
確かに「四大門派」でも、金剛(カム・コン)を焼き殺したりする悪役師範を演じてたけど、 ばっちりメイクしてたでしょ。本作はあの「黄飛鴻少林拳」で可愛い顔してるサモハンそのままが悪逆非道なんだもん。愛くるしい笑顔のせいで、余計に酷い。
悪役にみえなくて、可愛い笑顔で悪逆非道が一番怖い。」
ジャッキーには悪いけど、「女警察」でのジャッキーのチンピラっぷりを観たとき、 「やっぱ悪役演じると、悪役ヅラしてやがんなぁ・・・」 って印象で逆に全然怖くなかったもの。

冒頭から店をぶち壊し、村人殴り、
店の主人が林正英です。(右から2番目)
唐偉成と揃って女性を3人も強姦。
邪魔な村人はどんどん撲殺。
それでもこの愛くるしい笑顔。こわ〜
でもって、貴重な感じなのが
「侠女」「忠烈図」でも共演してます。
韓英傑、サモハンのツーショット。
この2人の関係、当時の現実と一緒。 劇中ではボス(ハン)の腹心の部下を演じ、武術指導の名前を見ればわかるとおり、
ハン 「いいか、デブゴン。観てる人を惹き付ける殺陣ってのはこうやるんだ!」
サモ 「はいっ!先生!」
ってな感じだったと考えると、感慨深いです。

唐偉成。(名前覚えてみた)
よく顔観るけど名前知らなかったお方。いつもの如く、悪役。

大爆笑!!ほんとに殴られてやがる!!
左目見てください!マジで目が腫れてます!! 殺陣の途中でぶつかったんでしょう。思わず大笑いっ

李家鼎。
最近、「霍元甲」で切腹する日本人役で観たばっかり。って、今回正義の味方かよ。なかなか足技いいっす。他は・・・あれ?書いてる今思い出したけど、 もしかして「サイクロンZ」でジャッキーに投げ飛ばされてなかったか? (投げ飛ばされてました)


顔だけならこっちの方がジミーさんより怖い(今ね)。
向華強。
しゅ、しゅ、しゅ、主役かよ!?あんたが!?
いやこの方が「子連れドラゴン女人拳」などに出演のクンフースターだったのは知っているが、 どうしても違和感あるなぁ・・・ 確かに「賭神(ゴッド・ギャンブラー)」でも格好いい役柄だったけど・・・ まぁここをお読みになっている時点でご存じの方が多いと思われるので、詳細では言いませんが、とにかく今は映画会社の偉いさんです。
そして会社はもうバリバリの(以下割愛) ・・・いろいろありました。

今となっては相当前、ジャッキー「サイクロンZ」公開時に「地球発24時」ってドキュメント番組で、「香港映画の裏側」ってテーマで放映したことがありまして、実は今も録画分を持っているのですが、「サイクロンZ」のメイキング風景を中心に、(これはジャッキーvsユキーデのリバイバルマッチのリハとかもあって、かなり貴重ですよ。火星くんとか元華がスタジオをウロウロしてるのが見えたりして。)
なんせ中村敦夫がパーソナリティでしたから、「盗作問題」とか「香港返還」とかもやってました。
その中で、日本からビデオシネマ会社の若い社長さんが、「香港映画会社と提携してアクション映画を撮りたい」 ということで、やって来るシーンがあって、その香港映画会社というのが、この社長さんが知ってか知らずか(たぶん知らなかったのでは)、彼の会社に来たわけです。是非、その時の向華強の表情をお見せしたいところですが、 ウチではTV画像をここにアップする機材を持っておりません。残念。

熱い想いを語る日本の若き社長!

それを冷徹な微笑みで聞いている向華強兄貴。(ここの笑顔がとびきり怖いぜ!

話が終わるやいなや、向華強兄貴が言った一言。
金は幾ら出せるんだ?」 (ここは香港ですよ。社長さん。)

しばしの沈黙の後、若き社長「こちらでは1億ぐらいを用意しておりますが・・・」

「・・・ふむ」と向華強兄貴。(さらに怖いぜ〜社長さん話持ちかける人、間違ってるぜ〜

その後は向華強兄貴に軽く一蹴されて出てきた社長さんのインタビュー
「ま、まぁ今回は話を聞いてくれただけでも、有り難かったということで・・・」 素直にゴールデンハーベストかUFOにでも行くべきです。

で、そんな彼が本作では正義の味方してます。ほらやっぱり違和感。

アクションについての感想は 「黄飛鴻少林拳」に比べたら大分スピーディになってよくなったと思うけど、 まだまだこれからやなって感じ。

で、謎が出来ちゃったのですが、オープニングロールの出演者に
「徐少明」
ってあるんですね。これってツイ・シャオミンの事だと思うのですが、どこに出てるんでしょう? サラッとみた限りではよくわかりませんでした。 「天山回廊」「木綿袈裟」で監督・出演している彼ですから顔はよく知っているはずなんですが、あれぇ? ロール表示も前の方だったので、はっきり彼と認識できるほどの役柄だと思います。もしかしてもの凄く痩せてたりするのか?(今の彼は小デブゴン) これが徐少明なら、まさしく「こんなところにあの人が」ですね。
徐少明?(左)


■CAST&STAFF
監督 羅維(ロー・ウェイ)
出演 向華強(ヒュン・ワー・キョン)
李家鼎(リー・カー・ティン)
韓英傑(ハン・イェン・チェ) 
唐偉成 クレジット名は唐山
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
程可篤
林深
徐少明(ツイ・シャオミン)
徐松鶴
甘露
陳全(チン・チュアン) 
陳鳳鎮
王克
陳強
何霊
何柏光
陳會毅(チェン・フォンイー)
郭少萍
朱由高
曾志偉(エリック・ツァン)
林正英(ラム・チェン・イン) 
徐蝦
武術指導 韓英傑(ハン・イェン・チェ)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
陳全(チン・チュアン)
脚本 雷鳴 他
音楽 王居仁
製作 雷鳴
製作総指揮 沈幼芳
制作年度 1976


過埠新娘
Paper Marriage
恋はいつも嘘からはじまる

※題名クリックAmazonで確認できます。


ある意味、
ジャッキーの下積みより可哀想になる張曼玉(マギー・チャン)やられ放題の映画。
ってか、「ポリス・ストーリー/香港国際警察」から3年も経ってるんだから、
「仕事選べよ」
って気になるが、向こうだと男優スターに比べ女優は極端に貰えるおゼゼが少なかったらしく、李麗珍(ロレッタ・リー)なんかもだからこそ3級片出演をしたのだが、劇中でお金の為に悪組織と戦ってでも死んでも良いと張曼玉が暴れるサマは実際とそう変わらなかったのかもしれない。

本作はサモハンが超大作「イースタンコンドル」でコケた後で、とりあえず肩の力抜きつつも他の色んなことやってみようかってな時代に作られた一本で過渡期とも言えるかもしんない。
相変わらず役得をフルに活かした女優セクハラからサモハンのスケベっぷりが伺えるのも見もの?

流れ

場所はL.Aチャイナタウン。
組織に借金をしている元チャンピオンにしてキックボクサーのサモハンは今日も競馬でスッて、前に座っていた観客の首締めてブン殴って憂さ晴らししていた。
とにかく金が欲しいということで、研究所の実験台になったりもするが、
大した足しにはならず。

そう言えば俺も昔、臨床実験の実験台のバイトをやるかどうか悩んだことがあるが、そこに行き着くまでの健康審査やら手続きが面倒だったので止めたっけ。あれって、確かにお金にはなるんだよなぁ。勿論、何が起きても保障されないという契約書にサインしなきゃならないんだけど。薬だったりすると間違えば不能者になったりすることもあるらしいし。

元事務所のトレーナーに職探しを頼むと
「偽装結婚はどうだ?」
と話を持ちかけられる。

一方でL.Aに到着したばかりの張曼玉(マギー・チャン)はカナダの永住権を得るために偽装結婚、ほとぼりが冷めたら改めて恋人の張堅庭(アルフレッド・チョン)と結婚するつもり。

2人の奇妙な共同生活が始まった途端に、張堅庭はトンズラ。
サモハンはアテにしていた金づるに逃げられ、
張曼玉は婚約者に逃げられ、全くの他人であった2人は共に途方に暮れる。

特に悲惨だったのは張曼玉の方で、
元妻の高麗虹(ジョイス・コウ)に逃げられたサモハンに、金と女の両方からきつく当たられる(もう少し優しくしてやれよ)。
はっきり言って八つ当たり。
それでも他に行き場所も見当たらず、香港に帰るわけにも行かない張曼玉は生活を続けた。

サモハンは金の為にとうとう闇の試合に出ることを決意する。
サモハンvs高飛(コー・フェイ)!
最初は高飛優勢だったが、徐々にチャンピオンであった頃のカンを取り戻したサモハンが見事KO勝利!
「奴を倒せたら借金も帳消し。ただし、負けたら地獄行きだ。」
そう組織に言われたサモハンの相手は周比利(ビリー・チョウ)だった。

「仕事したい」
そう言っていた張曼玉に適当に
「泥レスでもやったら」
と返事していたサモハンだったが、2000$という数字に目が眩んだ張曼玉は何にも知らずに泥レスへ。
泥レスチャンピオンの女にメチャクチャハチャメチャに投げ飛ばされて泥まみれで号泣する。酷い!

最初は前妻からくる女への偏見から張曼玉にも冷たかったサモハンだが、徐々に張曼玉に本気で惹かれることに。
しかも、対戦相手である周比利は前妻の恋人だった!これは倒さねば!

サモハンvs周比利!
「イースタンコンドル」の後ということで、いつもより体の引き締まったサモハンが結構格好良い。引き締まったといってもあくまでサモハン水準での話だが。ちなみに「ペディキャブ・ドライバー」ではすっかり元通り太っていたが。
壮絶なファイトの末にサモハンのラリアットが炸裂!勝利!
元妻の鼻も明かして(というか、このゲスト出演は皮肉すぎる)大喜びのサモハンは、張曼玉にプレゼントも買って帰宅。

しかし、泥レスですっかり傷ついた張曼玉は(つーか、あれは誰だって傷つくわ)全て諦めて香港に帰ることに。
情が移った張曼玉を帰したくないサモハンは、張曼玉のカバンを外にほおり投げて時間稼ぎしたが、張曼玉が拾ってきたカバンは別のカバンで中には札束がどっかどか。

大金の所有でモメながらも大喜びの2人だったが、
この大金を取り戻すべく組織が2人を狙っていた。

銀行に金を預けて、ホッと家に帰ったところを組織の狄威(ディック・ウェイ)に張曼玉は捕まり、サモハンは逃げ出した。

金と張曼玉を巡って最後の戦いが始まる。

2人は金持ちになれるのか!?
2人の恋の行方は!?

終劇




全体的にテンポが緩めで緩めなら緩めなりのギャグの見せ方があると思うのだが、唐突に張曼玉が便器に顔突っ込んだりする姿が作品のどちらかと言えば若干控えめな演出(あくまで王晶映画とかああいうのと比べて)に合ってない気がしてどうも笑えないのが正直なところ。

泥レスのシーンにしても思い切りコメディに徹して笑いを取るでもなく、はたまた呉字森(ジョン・ウー)作品「モダン・タイム・キッド/滑稽時代」の

↑このシーンのように、滑稽な姿でも健気に頑張ることで感動を呼ぶシーンにもなっていなくて、中途半端。号泣する張曼玉が普通に可哀想なだけになっているのも痛々しい。貴重な貴重な張曼玉の水着姿が拝めるのだが、それどころでなくて何ともな。
2人の恋愛模様にしても正直かなり描けてない気がするし、ドラマ作品としては正直大した出来上がりだとは思わなかった。

ただし、単純に変テコラブコメディなだけではなく、永住権うんたらでわかるように、
1997年香港返還に関する俺らよそ者ではわからない苦悩が元のテーマ
であることは見逃せない。やはりこの当時、香港人が求めるものは
"未来への安心"
だったのではないか。
そのために"移住権""お金"を特に強く求めている姿が偏重的に描写されているのだろう。

キックボクシングでの対決は流石にオハコで面白い。
後はクライマックス、レジャーランドでの大乱闘で
サモハンはじめ狄威と周比利、さらに駆け出し時代の錢嘉樂が、
「お前、私服そのままで出てるやろ」
ってラフな格好で戦ってるのが面白い。
サモハンとの爽やかな勝負に敗北してた周比利はこのクライマックスに味方として参戦!こんなに心強い味方は他にいねーべ。
周比利の空中回転キックはこの映画、最大の見せ場か。
スタント面でも必要以上に頑張っていて、
とにかくアクション面では満足できる作品である。

張曼玉はとっても可愛いんだけど、
もうちょっと強気な女の子設定でも良かったのではないのかな?

■CAST&STAFF
監督 張堅庭(アルフレッド・チョン)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
張曼玉(マギー・チャン)
張堅庭(アルフレッド・チョン)
周比利(ビリー・チョウ)
高麗虹(ジョイス・コウ)
狄威(ディック・ウェイ)
林建明(リン・チェンミン)
高飛(コー・フェイ)
錢嘉樂(チン・ガーロッ)
武術指導 林正英(ラム・チェンイン)
元華(ユン・ワー)
脚本 張堅庭(アルフレッド・チョン)
黄宏基(ウォン・ワンケイ)
音楽 林敏怡(バイオレット・ラム)
策劃 陳友(アンソニー・チェン)
製作 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
製作総指揮 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
制作年度 1988


畫皮之陰陽法王
Painted Skin
ペインテッド・スキン
ジョイ・ウォンの魔界伝説



結果的に胡金銓(キン・フー)監督の遺作となった作品。
いわゆる「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」から始まるワイヤーアクションブームそして王祖賢(ジョイ・ウォン)お化けブームに乗っ取った映画であり、これは本作プロデューサー呉明才(ウー・ミンサイ)の商業的な考えから始まっている。事実、ヒロインは王祖賢だし、意図的かどうかはわからんが午馬(ウー・マ)まで出演している。

ま、それはともかく胡金銓監督自身が本作のことを
「あまりうまく撮れていません」
と語っていたように、正直に言うと
「どこが胡金銓作品なんだろう?」
と首を傾げてしまう、というか共同監督っぽいような印象を受ける。

過去の胡金銓作品とは全然違うという意味で言えば、異色の作品・・・という表現も出来ないわけではないが、むしろその演出、カメラワークからして凡庸に感じてしまう映画だったことが主な感想か。

流れ

科挙の試験に落第続きの鄭少秋(アダム・チェン)が、
深夜、幽霊に出会って逃げ惑っていたところで王祖賢と出会う。

恐怖心よりスケベ心

人間というものは、男というものは・・・
それじゃあ科挙試験も落ちるわな。
行く当てが無いという王祖賢を自分の家まで誘うと早速下心剥き出しにする。王祖賢が上手いこと避けてしまうが。

奥様が子供を授からないことをいいことに王祖賢を側室に入れてしまおうと考える鄭少秋。そんなことしてたら科挙なんか永遠に受からんぞ
しかし、王祖賢の行水中を覗いてみるとそこには
人間の顔皮を被っていたグロテスクなお化けの姿が!!
恐れおののいた鄭少秋が以前、
「鬼にたたられている」
と言って来た劉洵道士の下へ助けを求める。

王祖賢はこの世とあの世の狭間である陰陽界を牛耳る陰陽法王に捕まってしまった現世にも地獄にも行けない魂。陰陽法王の留守を狙って飛び出してきていたのだ。

「私らの力じゃ陰陽法王に勝てませんや」
と困ったちゃんな劉洵道士と師匠の午馬道士は王祖賢を連れて、強力なパワーを持つ仙人探しの旅に。

その頃、 陰陽法王は王祖賢を連れ戻すために現世に襲来、鄭少秋の体を乗っ取り子分どもと共に現世を荒らし始める。

長い旅の末、大きな桃林の中で桃を育てていた老人・洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が仙人だとわかり、彼に全てを託す。

その後、陰陽法王と仙人との妖術合戦が始まった。

終劇




同じ"聊斎志異"を原作としている「侠女」。これに出てくるうだつの上がらない画家の石雋(シー・チュン)と、今回のスケベ青年鄭少秋が非常に共通しているところが面白い。幽霊女に恋するところも弱気なところも一緒である。後半は鄭少秋が陰陽法王になってしまうので、今度は「蜀山奇傳/天空の剣」と被ってしまうのだが。

鄭少秋の奥様は中盤で殺された気がするのだが・・・?
という、非常に疑問な謎を残してはいるが物語自体はそれ以外に破綻も無く、ちゃんとセリフを読んでいけばわかりにくいこともなく進む。
話の展開には疑問符をつけるほど不満は無い。
これが別の監督の作品であれば、
「ブームに乗っ取った割にはきちんと撮れてるじゃん」
ぐらいの感想に落ち着いただろうと思う。
しかしこれは胡金銓作品でしょ?
と思ってしまうと不満は図らずも多い。

オープニングの歩くショットにわずかに「大醉侠」のイメージがあったり、アクションの間のカットカットに胡金銓らしさを感じるところは勿論あるも、全体的に見て特に個人的には
"人と人とのドラマ部分にどうも胡金銓を感じない"
すなわちいつもの胡金銓活劇であれば、
"動のための静、動で活きる静"
と、そのドラマ部分に心地よい緊張感があり、先々の展開の興味を失わせない演出の妙味が素晴らしいのだが、本作のそれはほとんどそういった感を抱かせない。無難過ぎるドラマに終始している感がある。
一人一人のキャラクターを見ても、
以前の胡金銓作品「忠烈圖」に出演した時の洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が自作に出演している時のキャラクターと全く違う一面を見せていたのが印象的であったが、今回の洪金寶の老け役に大した驚きは無く、「蜀山奇傳/天空の剣」の老師役とさほど変わり映えしない点に些かがっかりしている。王祖賢(ジョイ・ウォン)の相変わらずのナヨナヨっぷりも同じく。
この辺、制作期間が短かったというのもあるがもう少し胡金銓色の演出が見たかったというのが正直なところか。

後半の派手なアクションも低予算でどうも特撮部分が・・・
とかそこの不満を述べる前に、
特撮なぞ使わなくても胡金銓が時間をかけて撮るのなら、
フィルムから滲み出す幻想的な雰囲気だけでも十分面白いというか奥ゆかしい対決が見られたのではないのかなというところが残念。
それだけの力は間違いなくある監督さんだっただけに。

総じると、本作は王祖賢(ジョイ・ウォン)幽霊ブームの一端に乗っかりながらも毛色の違う作品、そしてちゃんとまとまっている作品としてそこそこの線はいっているものの、それ以上に何があるかと言われれば何もない作品・・という表現でいっぱいかな。全く面白くないとは言わないが、遺作であることが余りに残念である。


※参考文献 香港映画パラダイス(ビクター・エンターテイメント)
■CAST&STAFF
監督 胡金銓(キン・フー)
出演 王祖賢(ジョイ・ウォン)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
鄭少秋(アダム・チェン)
劉洵
午馬(ウー・マ)
林正英(ラム・チェンイン)
買琴芳
呂樹桂
周〔女亭〕
楊〔三益〕
李勝源
張麗華
動作指導 徐忠信
脚本 胡金銓(キン・フー)
鐘阿城
音楽 呉大江
策劃 鐘發(チュン・ファット)
劉嘉尉
製作 呉明才(ウー・ミンサイ)
鐘偉成
製作総指揮 呉明才(ウー・ミンサイ)
制作年度 1992


方面俾
Don't Give a Damn
Burger Cop
金城武の死角都市・香港

※題名クリックAmazonで確認できます。

・・・どっちかにしろよ〜 って感じもするかなぁ。

出てくる面々だけは私だと十分楽しいんだけど、'80年代のオールスター喜劇的でもなければ、今風のテイストに大してなってるわけでもなく、どういう映画が作りたかったのかイマイチわからん。
「デブゴンの霊幻刑事」と「マーシャル・ロー(LA.大捜査線)」の真ん中みたいな映画。
字幕無しものを見たので、改めて評価する必要もあるのだが 現時点では正直つまらない部類ですね。

サモハンカテゴリーに入れてる通り"金城武の"とあるが、
実際は"サモハンの"である。



バスの中で取引する洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と
黒ヒゲ元彪〜剃った方が良いすね〜
元彪(ユン・ピョウ)。
しかしサモハンも元彪もバイヤーに化けた刑事でミッション失敗。

さっそく上司にどやされる2人。
っていうか、また黄錦〔炎木〕(メルヴィン・ウォン)が上官ですか。

金城くん主演じゃありませんよ
サモハンはその後、エリート警官だと自慢しまくる金城武と組まされて、日本の麻薬組織の取引現場を抑えることに。
張り込み中にサモハンが他のレイプ犯を見つけてしまって危うく失敗するとこだったが何とか取引を抑えることに成功。

しかし、麻薬組織も当然黙ってはいなかった。
警察署に爆弾仕掛けて、扇動しつつ麻薬を奪還する。
この辺がなんちゅうか大胆だよな、香港。
「デッド・ヒート」とかでも堂々と拘置所襲ったりするもんな。
相手は警察なのだが。足つきまくると思うんだけど。

サモハン、金城、元彪は合間にケンカしたり、
新人婦警の周海媚(チャウ・ホイメイ)といちゃついたりしながらも、
その仲を深めていく。

そんな折、麻薬組織と組織に雇われていたラッパー軍団が仲間割れ。
巻き込まれる形で周海媚が誘拐されてしまう。
売れそうで売れない周海媚
「シュリ」のヒロイン、キム・ユンジンに野沢直子が少し混ざったような顔してる・・・失礼しました。

あのな〜
踊りながら登場した元彪と金城が黒人ラッパーに化けて、3人して敵の根城に潜入。
悪者どもを一掃してシャンパンをあげた。
(シャンパンをあげるのは撮影終わってからだけど)

終劇


まぁ一回目は

猿拳」思い出す3ショット
元彪、劉家榮、サモハンの3ショットや、
錢小豪、呉耀漢のゲスト出演とかで何とか楽しめるんだけど、それ以上はキツイ。
サモハン、元彪、ジャッキーの変わりに金城というのはなかなか良い予感がするし、さらに刑事モノ、対立する組織と設定が'80年代の「大福星」「ファースト・ミッション」のような現代アクションを想起させて思わず期待したが、相当面白くなかったというのが正直な感想。

'80年代のようにただただギャグとアクションをハイテンポで持っていく演出とは違って、間のドラマに尺を持たせ、アクションとドラマの両立を計ろうとしている点は理解できる。
サモハンも元彪も仕事に恋にと怒ったり悩んだりする様子は、勧善懲悪で敵だけを追いつめて戦っていた時代の映画とは明らかに違うモノだ。
ということは、そのドラマ部分が面白くないといけないわけなのだが、
残念ながら本作ではそのドラマ部分がそこそこの出来にしか感じなかったかな。

アクションもそりゃサモハン製作だからクオリティは高いのだが、それだけにこちらが要求する敷居も高くなるし、それをクリアしているかと考えれば、やっぱりこの映画ならではの新味に欠けるかなという感じ。
これは'95年だとジャッキー映画にも否めない時はあるのだが、本作はジャッキーワンマンではなく金城武や他の若手も一杯いるので、しんどそうにアクションするサモハンを跳ね除けてその辺の奴らで頑張って欲しかったところ。

劇中、サモハンが"肥仔"ではなく"肥老"と呼ばれてたのが淋しい。
淋しいがそのサモハンがいつもの独壇場にせずに、
もっと若手が活躍できるように配慮した映画にすればもちっと面白くなったかもしれない。

■CAST&STAFF
監督・製作 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
元彪(ユン・ピョウ)
金城武
周海媚(チャウ・ホイメイ)
童愛玲
劉曉〔丹三〕
洪天明
洪天祥
倪星(コリン・チョウ)
王霄
葉榮祖(イップ・ウィンチョウ)
陳百祥(ナット・チャン)
劉家榮(リュー・チャー・ヨン)
梁家仁(リャン・カー・リャン)
林迪安
黄錦〔炎木〕(メルヴィン・ウォン)
午馬(ウー・マ)
張國強
錢小豪(チン・シュウホウ)
柯受良
呉耀漢(リチャード・ウン)
陳龍
樓南光
苗僑偉(ミウ・キウ・ワイ)
動作指導 洪家班
曹榮
錢嘉樂(チン・ガーロッ)
元武
脚本 司徒卓漢(シー・トウ・チャ・ホン)
鍾偉雄
郭偉鐘
音楽 陳勳奇(フランキー・チェン)
製作総指揮 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
制作年度 1995

拳神
The Avenging Fist
拳神



日本公開時もとにかくその辺を
"気づかれちゃダメだけど、気づいて観にきて欲しい"
みたいな感じで大変だったろうなと思われる本作。
その辺とは本作の原作となっている部分のことで、後々ナムコに承諾取ったのか、全く別物と認識させることで事なきを得たか知らんが、この作品のベースはナムコの3D格闘ゲーム「鉄拳」シリーズである。
「鉄拳」シリーズは俺も非常に遊び込んだことのある格闘ゲームで、3D格闘ゲームの代名詞でもあった「バーチャファイター」シリーズと対を成す人気ゲームだ。まぁこのゲームに出てくるキャラクター自体がジャッキーや李小龍(ブルース・リー)そのものだったり、何かしらのパロディだったりするものが多く、人のこと言えない感じもするけど。
単なるTV鑑賞で。サモハンも元彪(ユン・ピョウ)も出てるし、上映前からチェックしたけど、個人的に劉偉強(アンドリュー・ラウ)監督にあまり良い印象が無かったのでそのままほっといたらすっかり忘れてた。

流れ

人間の脳の9割はぐっすり眠ってます。
この9割の部分から力を引き出したら凄いことになります。
というわけで、軍隊はその9割の力を引き出すパワーグローブを開発。

確か「北斗の拳」も原理はそうだったし、この脳の残り部分については色々と取り沙汰されると言うか要は
ここ開発できたら超能力者かも
みたいな説が結構あるよね。でも個人的には全然そうは思わないなぁ。個人的見解ですと、
"単なる予備エンジン"
だと思いますよ、残念ながら。ま、それが非常時にいわゆる"火事場のクソ力"って奴で発揮されると。
だって、ジェット機だって予備エンジン何個もつけてるのよ。それと同じことでしょ。

それは置いといて
ここは近未来の香港。
主役の王力宏(ワン・リーホン)は今日も友人の錢嘉樂(チン・ガーロッ)とつるんで遊び放題。
なるほど王力宏が風間仁にあたるのね。本当の仁くんはもっとクールなはずなのだが、まいいか。それよりも錢嘉樂の幾つになっても若い役柄演じられるのが素敵

ストリートファイト場
今は馮徳倫(スティーブン・フォン)が戦っている最中。
ほほぉ馮徳倫はファランか。なるほどこれはよく似合ってる。技もそこそこに再現されてるぞ。衣装はファランそのままやもん(リンク先の胴着は違いますが)。
馮徳倫に次に挑戦したのは王力宏だった。
一進一退の攻防が続く。もう漫画みたいな戦い。つーか漫画や。
の、末に王力宏は秘技である神拳道を出し勝利する。

意気揚揚と勝利凱旋した王力宏だったが、帰宅すると母ちゃん・葉童(セシリア・イップ)の怖い顔が。
「神拳道は使うなって言ったでしょ!!」
なるほどこの母ちゃんが風間準ちゃんである。エコロジカル・ファイター。年齢的な矛盾を含ませないよう考えると葉童さんは実に適任である。ちなみに「鉄拳2」での風間準ちゃんのテーマ曲が好きだ。
「パワーグローブを手に入れて親父を探したいんだ!」
という王力宏。何も遊びほうけているわけではなかったのだ。

夜も一生懸命に功夫練習を重ねる王力宏。
練習に付き合っていたのは過去のホログラム映像であるお父ちゃんの演舞。っていうか、こんなの真似できるかーっ!!といった感じだが(観ればわかります)。
それよりも父ちゃん役が元彪だった!!
ええーっ!?元彪が三島一八っ!?
本来なら三島一八は親父も息子も毒牙にかける冷酷無比マンで、余りに強大なパワーを手に入れたのでそのままデビルに変身した男だぞ。

その後はディスコシーンへ。
何となくこういうシーンを見るとなんちゅうか
「SFにしただけで別に変わってない」
って気がするなぁ、お決まりのパターンだもん。
バーテンやってたのはこの前負けた馮徳倫だった。
馮徳倫は結構純情クンで王力宏の姉貴の楊恭如(クリスティ・ヨン)にキュンと来たりして。
でも、当たり前の如く、誰も必ず予想するが如く、ディスコシーンはケンカシーンへ。このパターンっていったい幾つあるのだろう。
ここに警部である洪金寶(サモ・ハン・キンポー)がケンカ取り押えにやってくる。もの凄い迫力でチンピラどもを取り押えるサモハン。さすがマーシャルロー。
当然、王力宏も捕まりそうになるがこれをまたも神拳道披露で逃げおおせる。
しかしサモハンはその神拳道の姿を見逃さなかった。

その後、母ちゃんの葉童の前に現れるサモハン。
サモハンは父である元彪の友人でありながら、パワーグローブ実験のために暴走、そして危険な神拳道を使いまくる元彪を倒した男だった。葉童の
「良心の呵責だけじゃなく、食欲もあったようね」
というセリフが面白い。
「これを使ってくれ」
サモハンは王力宏のためにパワーグローブを渡すとその場を去っていく。

その頃、張耀揚(ロイ・チョン)率いる鬼神会は世界征服を企んでいた。元彪は元仲間だったこの張耀揚に洗脳されて殺人マシンになっていた。

殺人マシン・元彪が王力宏たちに牙をむく。
王力宏、葉童、いつの間にか友人になってた馮徳倫とみんなで戦うが、どれもこれも元彪の足元に及ばず。
遂には元彪は自分の妻である葉童に致命傷を与える。
さらにその後、何でかよくわからんが楊恭如を誘拐。

この後、サモハンが昔の思い出話を語るのだが、
サモハンの若い頃を鄭伊健(イーキン・チェン)が演じているのは無茶苦茶だ。劇中ではサモハンはパワーグローブの副作用で太ったことになっているのだ。
あなたは入院中に食べすぎて太ったんでしょうに。

戦いの犠牲が次々に出る。
死んでしまった葉童の次は楊恭如が馮徳倫に不思議な力を与えて消滅する。この辺からわけわからん感じになってきているのだが。
馮徳倫は凄いパワーを身に付けてとんでもなくデカイバケモノを打ち倒す。このバケモノはモデルがトゥルー・オーガである(紹介ページが無かったので紹介できないが)。

遂にパワーグローブを身に付けた王力宏と父である元彪が対決。その末に元彪は一瞬だけ父の記憶を取り戻したが、その王力宏をかばって死んでしまう。
元彪の哀しすぎる役どころがかっちょいい。

ついに世界の全てを牛耳ろうと動く張耀揚との最後の対決が始まった!!


終劇



というわけで、こうして流れを書いてみるとですな。
梁 詠〔王其〕(ジジ・リョン)が出ている必然性が無い
一応、ヒロインだし可愛いし王力宏とくっつくんだけど、展開にあんまり関わってないのね。書く必要も無いぐらいに。

アクションは今回、サモハンや元彪、共同監督・武術指導に元奎(コリー・ユン)ということで「風雲ストームライダーズ」よりは期待できるかなと思っていたけどあんまり変わらんな。「ドラゴンボール」やわ。

ただし出演陣の熱のこもった演技は良いので、ドラマ部分はなかなかに楽しめた。「鉄拳」好きとしては出てくるキャラクターで忠実なのが風間仁とファランつまり、王力宏と馮徳倫だけなので、その辺寂しいところはある。
ジャッキーかぶれの香港刑事や風間仁と同級生のシャオユウちゃんとかパンダ、何と言ってもからくり宇宙忍者という素晴らしい肩書きを持つ吉光が出てこなかったのが残念だな。

■CAST&STAFF
監督 劉偉強(アンドリュー・ラウ)
元奎(コリー・ユン)
出演 王力宏(ワン・リーホン)
馮徳倫(スティーブン・フォン)
梁 詠〔王其〕(ジジ・リョン)
楊恭如(クリスティ・ヨン)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
元彪(ユン・ピョウ)
錢嘉樂(チン・ガーロッ)
張耀揚(ロイ・チョン)
葉童(セシリア・イップ)
鄭伊健(イーキン・チェン)
武術指導 元奎(コリー・ユン)
脚本 陳十三(サーティン・チェン)
製作総指揮 王晶(バリー・ウォン)
制作年度 2001


殺破狼
Spl
SPL/狼よ静かに死ね



さてはて。まぁさてはて。
めでたく日本公開されたのでレビューしようかな。

Yesasiacomの紹介文によると、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と甄子丹(ドニー・イェン)があの「マッハ!!!!!!!」に触発されて製作を開始したということで、
「そういうアクションで俺らが負けてたまるかよ!!」
というもう映画を観る前から甦れ!香港パワーをひしひしと感じるところが実に嬉しい。最近では結構そういう流れにあるかなとも思うし、何でも今度は陳觀泰(チェン・カンタイ)復活!?なんて風の噂も聞こえ来たりして(ホントになるかわかりませんが)、功夫迷にとってはワクワクするばかり。

今回はサモハンが悪役ということで、スターになってからだと「愛と欲望の街/上海セレナーデ」があるがあんまり一般的には悪役のイメージは強くないだろう。んだけど、ちょい詳しくなると知っての通り、売れる前にはたくさんの映画で悪役をしていたわけで、小慣れたもんじゃないのかな。ちなみに「忠列圖」での首領役が一番好きだが。


流れ

黒社会の大物であるサモハンは・・・
「サモハンは」って書くと何か変だがまぁいいか。
サモハンはある事件の主犯として拘留されていた。
しかし、事件の証人である一家族を刑事の任達華(サイモン・ヤム)、廖啓智(リウ・カイチー)が車で護送中にサモハンの手下である呉京(ウー・ジン)が強襲。一家皆殺しの上に刑事らも重傷を負う。
無罪釈放!!
証人が死んでしまったので証拠不十分で釈放されるサモハンボス。

「脳腫瘍です」
一方で任達華は自分の余命がガンによって犯されていることを知る。証人家族で唯一の生き残りの少女を引き取った任達華はサモハンへの執拗な捜査を開始したのが、何しろ自分が捕まえる前に死んでしまっては無念甚だしいので武闘派刑事で名の知られていた甄子丹(ドニー・イェン)に事件の協力をお願いする。

任達華、甄子丹、廖啓智、夏韶聾らでチームを組んで捜査を進めることで遂には、サモハンが少年のチンピラを惨殺している証拠のビデオテープを押収することに成功。
「これで奴を逮捕できる!」
と意気込んでいたのだが、捜査途中にしてまたも呉京によって廖啓智、夏韶聾らは殺されてしまう。
既に刑事としてではなく人間vs人間としてサモハンを許せない任達華は命懸けの作戦を決行。
サモハンのアジトに乗り込み全員ぶち殺してやろうとしたが、相手は呉京にサモハン、彼の敵う相手ではなく逆に捕えられてしまう。

最後に残った甄子丹は1人、彼らとの決着に赴く。


終劇



この作品が急造なものだったかどうかは知らないのだが、物語自体はかなりシンプルな気がする。敵味方ハッキリ分かれてて後は対決!みたいな感じで。その分、メインキャスト全員が抜群に演技力のある面々なので、そのキャラクター描写だけで十分にカバーしているとは思うのだが、もう一味何かしら欲しいかなと思ったのが正直なところ。

ハッキリ言ってこの映画のウリは
甄子丹vs呉京
甄子丹vsサモハン
この2大バトルに尽きる。
それ以上のものはない。

じゃあ「マッハ!!!!!!!」に対して、彼らはどのようなメッセージを送ったというのだろうか。その答えは2大バトルを観れば明らかである。
甄子丹vs呉京についてはお互いに警棒とナイフを持ってチャンチャンバラバラとスピード感溢れるチャンバラアクションに加えて、流石のマーシャルアーツファイトを展開しており、いわゆる"手に汗握る"がピッタリの壮絶ファイト。
甄子丹vsサモハンについてはお互いが円熟の域に達した名人同士の一騎打ち!という感じで手に汗握るというよりもその画面から溢れんばかりの彼らのパワーにただただ圧倒されるだろう。
注目したいのは甄子丹の動作導演としての手腕で、中盤には甄子丹得意の足技をメインとした功夫アクションもあるし、チャンバラ、関節技、そしてサモハンが出てくるなら当然圧倒的なサモハンパワーのキックパンチ投げ技!さらに対するは甄子丹の飛びつき腕ひしぎ等など、とにかくその出てくる武術・技の豊富さが何より光るのである。これだったらいつまででも退屈しないだろう。

翻って「マッハ!!!!!!!」にはムエタイしか技は無い。
いつも決まりはアクロバットと肘と膝。いくら凄くてもバリエーションが貧相だとすぐ観客にも飽きられてしまう。
「バトルシーンはこうやって作るんだぜ」
彼らアクションチームの意思がここにも伝わってくるではないか。

なので、
その2大バトルに興味を持った人は是非にも観てもらって、そのバトルシーンの巧妙さ、そしてそれを可能にする一流アクションスター達の妙技を堪能して欲しい。
ただ三級片指定ということで非常に残酷描写が激しいです。その辺はお気をつけて。

呉京は素晴らしいアクションを魅せていたのだが、この映画のおかげで彼に悪役ばかりがまわってこないようにと願いたいなぁ・・・
洪天明(ティミー・ハン)が若いクセして妙に味のある役者になって来ているのが興味深いね。サモハン父ちゃんもどう思っていることやら。
■CAST&STAFF
監督 葉偉信(ウィルソン・イップ)
出演 甄子丹(ドニー・イェン)
任達華(サイモン・ヤム)
洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
呉京(ウー・ジン)
廖啓智(リウ・カイチー)
夏韶聾(ダニー・サマー)
智堯
惠天賜(オースティン・ワイ)
洪天明(ティミー・ハン)
谷垣健治
BA叔
梁鏡珂
施祖男(ヴィンセント・ツェ)
劉靖琳
蘇東
動作導演 甄子丹(ドニー・イェン)
脚本 葉偉信(ウィルソン・イップ)
司徒錦源
呉〔火韋〕倫
音楽 陳光榮
陳嘉業
製作 陳承勸
製作総指揮 陳達志
黄栢高
制作年度 2005


標錯参
To Err is Humane
サモ&ケニー/人質に気をつけろ!



サモハンのこういったパターン・・・「デブゴンの怪盗紳士録」「デブゴンの霊幻刑事」「恋はいつも嘘からはじまる」そのあたりかな、従来のサモハンコメディから脱しつつよりウィットエスプリ溢れるシャレたコメディに挑戦しようとした作品はその気概は買うのだが往々にして成功してるとは言いがたい。「恋はいつも嘘からはじまる」なんかは撮影中にサモハンが高麗虹(ジョイス・コウ)を必死に口説いた映画でもあり、大女優・張曼玉(マギー・チャン)のドロンコプロレスあり、周比利(ビリー・チョウ)とのファイトやスタントアクションもありと今見ればなかなか楽しい作品でもあるのだがトータルしては厳しいところがある。
そんな中で本作は鍾鎮濤(ケニー・ビー)と競演したサスペンスコメディ、ヒロインに当時引っ張りだこだった王祖賢(ジョイ・ウォン)を迎えて果たしてどうだったか。


流れ

うだつの上がらないサラリーマンやってる洪金寶(サモ・ハン・キンポー)。今回、サラリーマンカットにちゃんとしているところが良いやね。貫禄もすっかりなくして役者やね。
会社には文句ばっかり言ってるが、
「お前自体が使えない奴だから悪いんだろう」
って観てるこっちはサモハンが逆ギレしてる印象を受けるがな。
「もう我慢できん!復讐してやる!」
と遂に逆ギレ爆発したサモハンは社長夫人を誘拐。
おもくそ悪人やんけ。
これをこちらもうだつの上がらない会社の日雇い人だった
鍾鎮濤(ケニー・ビー)が掴んでいたのだった。
というわけで、誘拐した社長夫人を今度はサモハンの家からケニーがこっそりと自分の家へ。

「お前が誘拐した奴を誘拐したぞ!」
と、ケニーはサモハンを脅して身代金の分け前を貰おうとしたが、そこで重大なミスが発覚。何と夫人と思っていた女性は別物で夫人の義理の娘である王祖賢(ジョイ・ウォン)だったのだ!
夫人誘拐ではなく娘誘拐に変わってしまったこの事件。
社長は身代金を払って娘を助けたかったが、夫人にとっては前妻の娘ということでビタ1文払いたくないというわけで。

ということでこっそりニセ金を用意した夫人は、誘拐犯に身代金を持っていく役をアホ社員のサモハンに託す!おいおいこいつが主犯だよ!

さてはて、果たしてサモとケニーは金をゲットして完全犯罪成し遂げること出来るのでしょうか!


終劇




武術指導のクレジットが無い通り、さしたるアクションの無いコメディであるがなかなかに面白かったのではなかろうか、この当時に張堅庭(アルフレッド・チョン)と陳友(アンソニー・チェン)が組んで(今回は羅啓鋭(アレックス・ロー)も)作った作品はなかなか特色のある作品が多く、捨てがたいものがある。何しろその脚本が結構練り込まれていて、まず脚本で観客を引っ張ろうという当時の香港映画らしくない気概が見えるではないか。

ただ本作にも苦しい点が多々あって、特にヒロインの王祖賢がほとんど全篇に渡って顔を隠されているという異色の出演の仕方で、これではせっかくの美人が勿体無いだろう・・・と言う前にこれでは、当時スケジュールのきつかった彼女であるからして、
「顔が隠れてるシーンは本人じゃないだろう」
と勘ぐってしまうのも仕方の無いことだ。

呉孟達(ン・マンタ)も結構良い味出してますよ。

■CAST&STAFF
監督 張堅庭(アルフレッド・チョン)
出演 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
鍾鎮濤(ケニー・ビー)
王祖賢(ジョイ・ウォン)
陳友(アンソニー・チェン)
午馬(ウー・マ)
唐麗球
呉家麗(ン・ガーライ)
梁珊
呉孟達(ン・マンタ)
曹査理
梅欣
成奎安(シン・フイオン)
成福安
孟浪
楊斯(ヤン・スエ)
呉詠h
脚本 羅啓鋭(アレックス・ロー)
張堅庭(アルフレッド・チョン)
策劃 陳友(アンソニー・チェン)
製作 鄒定歐
製作総指揮 何冠昌(レナード・ホウ)
制作年度 1987
 
 
 


恋はいつも嘘からはじまる
ペインテッド・スキン
金城武の死角都市・香港
拳神
SPL/狼よ静かに死ね
サモ&ケニー/人質に気をつけろ!
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