伝説のドラゴン ジミー・ウォングDVD-BOX 「ドラゴン覇王拳」 「ドラゴン覇王拳2」 「ドラゴンvs不死身の妖婆」 収録 伝説のドラゴン...覇王拳馬永貞/馬素貞報兄仇/... ※題名クリックAmazonで確認できます。 |
覇王拳 Furious Slaughter ドラゴン覇王拳 ■ ジミーさんの映画には大きく分けて2種類ある。 1つがジミーさんの名をカルト的に大きく知らしめることになった ジミーさんワールド溢れる大娯楽活劇、 「片腕ドラゴン」「片腕カンフーvs空飛ぶギロチン」等の 一連の片腕拳士シリーズ、 「神拳大戰快鎗手」そしてDVD-BOXに収録されている 「ドラゴンvs不死身の妖婆」などなど。 一方でジミーさんがまず正統派スター然として存在し、 物語が方向性を失うことなくキチッとまぁだいたいハードボイルドに 仕上げられているもの。この辺が 本作や「獨臂刀」「戦国水滸伝/嵐を呼ぶ必殺剣 」「怒れるドラゴン/不死身の四天王」にあたるだろう。大抵はジミーさん前期の主演作だ。 どの作品もやっぱりジミーさんらしい魅力があることに変わりは無いので無理からに分別することはないのだが、 今回レビューする本作は正統派の功夫アクション。 荒唐無稽ハチャメチャな展開は期待できないところはあるものの、 今回改めて自分自身評価せざるを得なくなった丁善璽(ティン・シャンシ)監督の手堅い演出によって、素晴らしい 一大ハードボイルドアクション大作に仕上がっていると思った。 「馬永貞」ものである。 馬永貞を超簡単に言えば上海でのし上ったもの凄く強いヤクザ者で、善でもあり悪でもあった彼は上海のシマを広げたが、ライバル組織にあった斧頭党の罠にかかって惨殺されてしまった英雄の話である。 「馬永貞」ものであるからには、やはり張徹(チャン・ツェー)監督の「馬永貞」('72)を観ないと比べようも無いのだが残念ながらまだ未見。 他に馬永貞ものといったら金城武の「暗黒街/若き英雄伝説」('97)か。 流れと言う意味ではもちろん同じ原作ということでそんなには相違無いと思って構わない。構わないがジミーさんがインタビューで答えていたように、 "善悪入り乱れてではなく、勧善懲悪になっている" 本作でのジミーさん扮する馬永貞は完全に正義の人になっているというところだろう・・・さらにところがだ、 やっぱり実はジミーさんと言えばわかるとおり、あのう・・・・ね! その辺の仁義がどうしても演出に出てしまうところはあるのであった(笑 ■流れ 流れ者であるジミー(馬永貞)は上海(?)の片隅にたどり着く。 いきなりそこから威張り腐った車夫達が登場。 田舎から仕事を探しに来た何も知らない娘・陳莎莉が車夫に騙されて連れて行かれようとしていた。これを早速邪魔するジミーさん。 結局、連れ去られてしまうのだが車夫が同樂堂のお抱えであることを知り、街が同樂堂を収める斧頭党に牛耳られていることを知る。 彼は親友であった病院の院長を頼ってこの街にやって来ていたのだが、院長は博打の担保で店を獲られて全てを失って行方不明。 その事件とも関連性があるのでは?と見てジミーは捜査を開始する。 ジミーが街の賭博場で大儲けする頃には既に同樂堂の一味に ジミーの存在を知られていた。 ここでジミーさんが見せるサイコロ対決も他の諸作品と合わせて後の「ゴッド・ギャンブラー」に通ずるものはあるのかなぁと思ったり。 ジミーさんが金儲けしたのは友人の院長のためでした。 自分も博打でリベンジをしたということですね。 よそ者に大金儲けられて当然面白くないのは同樂堂の主人である苗天(ミャオ・ティン)。早速、手下の山芽(サン・マオ)らに襲撃を命じる。 んが、 ジミーさんはメチャクチャ強く返り討ち。 改めて斧頭党にその強さを知らしめる事となる。 博打場で知り合った薛漢(シュエ・ハン)と今度は 連れ去られた陳莎莉を救出する作戦を練る。 やっぱ売春宿に行ってました。 これを大した作戦も無く(それどころかわざわざ手下を呼んでたような気がするのですが)、ほとんど真っ向から一暴れして奪還するジミーさん。いつもどおりの豪快さです。 田舎へ戻すよう薛漢に頼みますが、 金どころか女まで獲られてなるものか!と斧頭党が捕まえます。 今度は薛漢を助けに行くジミーさん大忙し。 ここでついに同樂堂の猛者・"鉄の拳"を持つ田野(ティエン・イェー)と対決! そのままの勢いで遂には斧頭党のアジトに乗り込むジミーさん。 斧頭党が呼び寄せた日本の柔道家と対決! これを軽々とやっつけると斧頭党のボスから銃を奪ってジミーさんはこう言いました。 「同樂堂を閉鎖しろ!」 ・・・いやはや。 正義の人とは言いながらも流れる血は"仁義無き戦い" 繰り返される戦いに悩む姿は微塵も無く、 いわゆるオトシマエをきっちりつけようとする様は実際の馬永貞、いやいやジミーさんいやいや馬永貞いやいやジミーさん。 改めて斧頭党と最後の対決が迫る。 いくらジミーさんが強者と言っても、向こうは大勢の手下に龍飛(ロン・フェイ)もいれば最強柔道家の易原も構え、捨て身の覚悟で戦うしかない状況。 たった1人で孤独な戦いを続けるジミーさん。 クライマックスは延々と戦い続けるのですが、 ここには斧頭党が張ったある罠が潜んでいました。 そう、馬永貞だからこそジミーさんだからこそ(?)はまってしまうよなある罠を・・・・ 終劇 ■ まず最初から最後まで物語が綺麗に一貫しており、主人公はどこから来てどこへ行くのかなどやや不明瞭に感じるところはあるものの、 他人が困っているところを見ると、それが些細なことであれ助けずにいられない、そしてそれはいつの間にか自分の命を懸けてまでも守るべきものになっている、これこそ英雄像ですね。 前述の通り、いわゆるバカさ加減というものは全くナリを潜めておりますが、ことアクションに関してはジミーさんがジミーさんだけに工夫を凝らしてあり、単なる空手対決に終わらず、柔道家を登場させたり戦う場所を次々と変えたりと非常に頑張っています。 クライマックスはちと長すぎたかな?というところもありますが、 "クライマックスこそ濃密に!" という意気込みが十分伝わってくる迫力がありましたね。 壮絶なラストが非常に格好良いです。 その脇で光っていたのがジミーさんの相棒役となる 薛漢(シュエ・ハン)のおっちゃんで、非常に味があって良かったです。 他当時の功夫作品と比べて考えるとやはり完成度は群を抜いていたのは間違いありませんね。ダントツの面白さがあります。勿論、李小龍(ブルース・リー)は例外ですが。 これ音楽の周亮さんは私あまりよく知らないのですが、 テーマ曲がまた格好良いっす。 また助監督の名に 「ブラッドブラザース/男たちの誓い」 「少林寺逆襲ラマ剣法 」などここにもレビュー作がある台湾娯楽映画の第一人者(?)李作楠(リー・ツォナン)と後に呉思遠(ウー・セイエン)のプロダクションに赴き、董今狐と「神腿鐵扇功」を監督することになる劉立立がいるのも注目です。 |
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