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■成龍(ジャッキー・チェン)1982  
 


龍少爺
Dragon Lord
ドラゴン・ロード(大陸版)



さてさて大陸版の登場である。
当初、本作は今から紹介するバージョンで香港での公開を行っており、その興行成績が失敗だったせいなのかなんなのか、日本で公開される時は別編集バージョンつまり今では日本でも香港でも一般的に流通されているバージョン(「ドラゴンロード」)になった。
その後、特に
・ジャッキーが子供を抱えてるシーン
このスナップのシーンがどこにもないことを疑問に思い、
「別バージョンがあるのでは?」
と囁かれてもいた。そして中国で発売されたDVDでついに大陸版(中国で発売されたDVDだから大陸版と呼ばれるようになったのだが)の存在が明らかにされる。
問題のスナップのシーンはここにあったのだ。
しかし、このDVDもすぐ廃盤になってしまい、日本のジャッキーファンの多くはこの大陸版を観るに至らず歯ぎしりな毎日を過ごすことになる。

そして今年。
ジェネオンから突如リマスターが発売された。
誰もが単なるリマスター版、何の告知も無いし画面が綺麗になっただけと思っていたそのDVDこそが大陸版だったのである!
ああ、もったいない!!
インターネット口コミを耳にしたから私も入手できたものの、インターネット環境が無い人は勿論、環境を持っている人もまだまだこの大陸版が出たことを知らないジャッキーファンは多いのではなかろうか。
これがもし発売元のメーカーが大陸版であることに気がついていて、
いよいよ大陸版発売!!
などと銘打って広報すれば、もっともっと反響が良かっただろうに・・・
巷には「なんか変なバージョンになっていて残念」なんて声も上がっている。これも単なるリマスターだと思ってる人から見れば当たり前だと思うところあるし、最初から認識できるようなパッケージ等の展開しておけば、最初からバージョン違いの作品と認識できたのにああもったいない。

せっかくだから、こういった認識違いからくる誤解を今後出来るだけ生まないように、
私の知る得る限りでバージョン違いのジャッキー作品のあるものを紹介しておこう。
※全部挙げるとキリがないので、目立つものだけ。

「プロテクター」
日本公開版とUS版
これが一番有名だろうか。
ジェームスグリッケン・ハウス監督の下、完成されたのがUS版で、監督が帰ってから密かにジャッキーチームが新たなシーンを付け足したり撮り直したりして完成させたのが日本公開版である。現在一般的に流通しているのは日本公開版で、確か香港でもこのバージョンが一般的だったと思う。
各バージョンの違いは「プロテクター」←こちらで確かめて欲しい。

必殺鉄指拳
ラスト昼版と夜版
なぜ2種類あるのか理由は明らかになっていないが、とにかくラストの戦いが昼行われるものと夜行われるものと2種類存在する。ただそちらもそっくりさんジャッキーが演じていることに変わりはない。オススメはやっぱり昼版。

プロジェクトA2/史上最大の標的
試写会版と通常版
試写会版にはジャッキーが狙撃されるシーンがあり、通常版はカット。当時出版されていたこの映画の特集本にもこのシーンの写真、説明がされており、当然あるものと思っていたシーンが無かったので私も初見の際は?と思った。
狙撃シーンが入っているソフトは現在流通していない(はず)。またジャッキーは
「3つほどクライマックスシーンを撮った」
と言っており、現在ではドデカイ看板落ちがクライマックスとなっているが、それ以外のクライマックスシーンになっているフィルムもある・・・のかもしれない。

カンニング・モンキー・天中拳
ジャッキーが金持ちのおっさんに食事を招待されるシーン、竹やぶでの演舞シーン、これらのスナップは残されているのだが、シーンは無い。竹やぶの方は単なるスナップ写真のみかもしれない。
金剛(カム・コン)と戦うクライマックスは追加撮影らしく、実はその前のバージョンがあったが羅維(ロー・ウェイ)に捨てられたという噂もある。

拳精
ヒロインの女の子の他にもう1人の女の子が登場し、ジャッキーを取り合う(?)とかジャッキーとのラブシーン(?)もあるバージョンが存在する。
※「JACKIE CHAN STYLE」様を参考とさせて頂きました。

プロジェクトA
これは別バージョンというより、カットされたシーンだけど撮影していたことを覚えている、またはスナップだけは見ているといったシーンが滅茶苦茶多い作品。是非その辺をノーカット版というか形は何でもいいから公開して欲しい。元彪(ユン・ピョウ)と戦っている(練習)シーンも存在する。
※この未公開シーンを収録したDVDが発売されました!


ポリス・ストーリー2/九龍の眼
編集が全く違い、元々出演予定だった朱寶意(エミリー・チュウ)が実際に出演しているバージョンがある・・・らしい。あくまでらしい。

デッド・ヒート
実は火星(マース)君と戦うシーンが香港版にはあるのよん。

はぁはぁ・・・
とりあえずこんなもんで。

こっちの順番

・火星くんとケンカ→仲直りまで
・黄仁植(ウォン・インシク)率いる密輸団もと役人たち登場
・ドラゴンキッカー
・凧を追って屋根へ。屋根での槍よけシーン
・寺院で雪梨(シドニー)と・・・→密輸団とケンカ
・納屋で黄仁植らとの戦い
・ゴールデンポイント

冒頭のゴールデンポイントがクライマックスに来ているところから全然違うが、そのゴールデンポイントもドラゴンキッカーもこっちの方がロングバージョンである。そして例の
・ジャッキーが子供を抱えてるシーン
これはゴールデンポイントが始まってすぐ出てくる一瞬のシーンである。
また、父の前で詩を詠み上げるシーンやお見合いおばさんとのあれやこれや、密輸団同志の会話などたくさんの日本公開版には無いシーンが続出する。

単純に比較すれば、
日本公開版は
・やんちゃジャッキー大暴れ物語
であり、大陸版は
・これこそヤングマスター
である。原題の「龍少爺」を意訳すれば
"若いドラゴン先生(つまりはヤングマスター)"
ということになり、どうしようもないボンボン息子がひょんなことから密輸団と戦ったり、友人や女の子を通して成長し、最後にはゴールデンポイントを優勝に導く立派な青年になる、といった流れはまさに「龍少爺」にふさわしいと思われる
日本公開版に見られるラストの大砲爆破シーンがこちらでは無いのも(日本公開版を出すにあたって追加撮影したのかもしれないね)、それでは最後まで阿龍が成長していないと表現されてしまうといったところからだと思う。

良いとこ悪いとこ

個人的にはどっちもどっち、という印象を受ける。

日本公開版
・テンポが良くサクサク進みはするがストーリーがあまりに薄く感じる
大陸版
・阿龍の成長物語としては明らかに優れていてストーリー的には断然こっちだが、色んなシーンの尺が長くなっており、冗長している感は見受けられる。

香港でこの大陸版が成功しなかったのは(それでもヒットはしているのだが)、ストーリー性を重視したジャッキー監督と連続アクションとコメディを期待した観客とのギャップによるものではなかっただろうか。



改めてこの大陸版を出してくれたメーカー様には感謝したい。またこのDVD(上記リンク参照)を買っても大陸版バージョンしか観れないので逆に注意されたし。

■CAST&STAFF
監督・脚本 成龍(ジャッキー・チェン)
出演 成龍(ジャッキー・チェン)
黄仁植(ウォン・インシク)
火星(マース)
雪梨(シドニー)
田豊(ティエン・ファン)
張沖(ポール・チャン)
陳惠敏(チャーリー・チャン)
馮克安(フォン・ハックオン)
太保(タイ・ポー)
馮峯(フォン・フン)
権永文
黎強權(ベニー・ライ)
何鑑江
呉浣儀
武術指導 成龍(ジャッキー・チェン)
馮克安(フォン・ハックオン)
元奎(ユン・ケイ)
音楽 陳勲奇(フランキー・チェン)
製作 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
制作年度 1982

 
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