九品芝麻官白面包青天
Hail the Judge
広州殺人事件
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なんか散々「残酷」とか「張敏(チョン・マン)可哀想」とか言われている映画なので恐々と観てみたのだが、何のことはない個人的には結構スリリングに楽しめる作品じゃないすか。
大大ヒットを飛ばした周星馳(チャウ・シンチー)の「審死官」は観ていないので何ともあれだが、それと同じく裁判劇シンチーの作品がこれ。「審死官」は杜h峰(ジョニー・トゥ)監督だが、本作は王晶(バリー・ウォン)作品で(シンチーも監督したらしいが)、なんちゅうか
「さすが王晶、流行り物頂いて料理しちゃうのが上手い」
と思わざるを得ない作品って感じか。
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流れ
シンチーは賄賂もあっさり受け取るダメ判事で、今日もあっさりと悪徳弁護士・呉啓華(ン・カイワー)の賄賂に負けて不当な判決を繰り返す。町民もシンチーには嫌気がさしており、町中からの嫌われ者だった。
病弱ながらそこそこの金持ちの息子である田啓文(ティン・カイマン)が見目麗しき張敏(チョン・マン)と結婚。
披露宴に招待されたシンチーだったが、そこにこの屋敷に盗賊がいると追ってきた怪力の徐錦江(チョイ・カムコン)が乱入。盗賊の子分(?)どもを地獄に送る。
目の前で法を犯されたシンチーはいつの間にか徐錦江と対決。町民がシンチー判事を落とすために作っていた落とし穴に徐錦江がはまって逮捕。一躍シンチー判事は名を挙げる。
惨劇はここから始まる。
田啓文屋敷に潜り込んでいた倪星(コリン・チョウ)が張敏を暴行。その上、現場を目撃した人間を次々と殺害。生き残りは張敏と下男の程東(チン・トン)だけとなったところで、偶然居合わせたシンチーがこれを捕まえる。
シンチー判事の裁きにより、一旦は倪星を留置所送りにしたが、倪星の親父は高級役人の谷峯(クー・ファン)、そしてそのバックには宦官の劉洵(ラウ・シャン)がついていた。そして直接の弁護人にはあの悪徳弁護士の呉啓華が・・・
あっという間に裏工作がなされる。
全ての証人を買収し、部下の手により死体は全て撲殺から毒殺と変えられた。
その上、次の裁判では判事を黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)がやることに(既に買収済み)・・・
全ては妻である張敏が下男の程東と密通し、家族全員を毒殺したことにすりかわる。
裁きの席で拷問を受ける張敏。
メタメタに殴られ血塗れになりながら
「死んでも許さない!」
と叫んだ張敏の姿を見て、さしものシンチーも正義のためにと立ち上がる。
さっそく死体を調べて毒殺の状況がおかしいと悟ったシンチーだったが、ここに黄一飛らが現れ、現場を荒らしたことからシンチーも逮捕される。
獄中で張敏と和解し、
「必ず君を無実にしてみせる!」
と誓ったシンチー、養子の呉孟達(ン・マンタ)がどっかから連れてきた(ほんとにどっから連れてきた?) いつもの李健仁(リー・キンヤン)
、つまりあのオカマの活躍で脱獄に成功する。
指名手配になったシンチー。
さらにこっちも脱獄していた徐錦江に追い掛け回される。
すんでのところで雑技団の船に逃げ込んだシンチー。
はっきり言って完全なブレイクタイムだが、雑技団の鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)との楽しい毎日が始まった・・・
始まってる場合じゃねぇだろっ!
はよ張敏助けてやれッ!
というわけで、鍾麗〔糸是〕と良い仲になったのも束の間、都に向う。
都に向って以前、自分の父(こっちも判事)が恩を分けてやった大臣に協力を頼みに行くのだ!
こてん
大臣の協力は全然ダメだった。
なぜなら谷峯(クー・ファン)の犬に過ぎなかったから。
シンチーは無一文で町に放り出される。
頼る相手もお金も無くなったシンチー。
とりあえずタダ食いでもしようかといつも前向きなところが素敵。
娼館でタダ飯食らったがバレて、女将の(ユアン・キンタン)の下で働かせることに。自分の頼みの綱である法の聖典も焼かれてしまい、完全に張敏を助ける手立てを失ったシンチーは呆然。
そんなある日、他の娼館の女将とここの女将が大喧嘩。
口ゲンカ、口論、口だけで敵を制する女将の話術を見たシンチーはここに裁判解決のヒントを得る。
今度は女将の話術テクニックを盗んでは修行する毎日が続いた。
シンチーの先祖は包青天。稀代の名裁判官として名を轟かせた人物である。遂には修行を得てシンチーもその詐術テクニックを開花させる。
そんな時、徐錦江(チョイ・カムコン)が娼館に現れ、シンチーはベッドの下へ。そんな時、皇帝陛下がお忍びで現れ、徐錦江はベッドの下へ。と、そんなルーティンギャグをかましている間にシンチーは皇帝陛下に直訴。
かくして皇帝陛下によってシンチーは最高判事となり、広州殺人事件の再審に乗り出す。
飛躍的にたくましくなったシンチー話術のおかげで裁判は順調に進んだが、ここにNo.1の宦官である劉洵(ラウ・シャン)が遂に姿を現す!
さぁ果たして公正な裁きを行い、正義の鉄槌を下すことができるのか!?
終劇
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張敏(チョン・マン)は古装片の衣装がよく似合う。
とは「
シスター・オブ・ドラゴン 天女武闘伝」のところで述べたとこだが、本作の彼女の美しさはその中でもピカイチというか、「
フライング・バトル」とタメを張る。ところが「
ゴッド・ギャンブラー2」とか現代片で観ると個人的にはあんまり魅力的に見えないんですよね。しかしその張敏が確かにこの映画ボコボコにされます。
作品としては改めて王晶監督を評価しなければいけないほどによくまとまっており、ラストも胸のすくものだし、シンチーギャグもたっぷり盛り込んであり納得。話が脱線するのはお約束だが、その部分が裁判劇だとどうしても重くなりがちなドラマに一息つけるシーンとしてとても役立っている。またその時に出てくる鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)が何だかほんわかと良いんだよね。
「浮気しないで」
とか言いながらさっそく蔡少芬(エイダ・チョイ)とも出来ちゃうんだけど。
後は徐錦江(チョイ・カムコン)がとても良い味を出してます。
これはシンチー迷なら満足の一本じゃないかな。
上記「
0061北京より愛をこめて!?」よりこっちの方が私は好き。