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■周星馳(チャウ・シンチー)1994  
 

破壊之王
Love on Delivery


日本の「破壊王ノリタカ」を元ネタにした格闘コメディ。
貧乏者がサクセスを掴んでいくという過程を考えても「少林サッカー」の原型とも言えるだろう。

私が入手したのは泰盛ビデオでなぜか2巻セット。
前編、後編ともにテープが余っちゃうということで、劉徳華(アンディ・ラウ)のカラオケと映画予告編、
それにパトリシア・チャンおばさん(誰やねん)のお料理教室が入ってます。
映画が終わると突然「杏仁鶏」とか「なんとか豆腐」の作り方番組が始まるのはどうなんだろう。
しかも淡々と。また正直まずそうなんだよね。

さぁさぁ!こういう作品はこっちもテンション高くいかなきゃあ!

流れ

しがないレストランのボーイ兼岡持をしていた周星馳(チャウ・シンチー)は貧乏で貧弱!貧弱ゥゥゥ!
(そろそろこれをやると歳がばれる時代になってきたな)
でも持ち前のいつものギャグ精神は健在だった。

一方、学園の柔道部で最強を誇っていた主将は必殺の"排山倒海"で今日も部員を蹴散らし、部の紅一点であるタレ目の可愛い
でもちょっと「喜劇之王」の張栢芝(セシリア・チャン)的ガサツさ入ってる(同じ監督だもんね)
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン以後、クリスティ)にアプローチ。
強い男が大好きなクリスティとしてはまんざらでも無い感じではあったが、
如何せん顔がブサイク系だということで(推測)、心を許すには至らなかった。

そんな時、たまたまクリスティに猛アプローチを掛けていたキャプテンとのいざこざの前に出前を持ってきた周星馳が現れる。
ちゅっ
「この人が私の彼氏よ」
その場から逃れるために適当に周星馳を捕まえキスして恋人にしちゃうクリスティ。

でもいきなりこんな美人にキスされたら誰だってなぁ!

俺だったら一週間ぐらいそのことしか頭にないんじゃなかろうか。
当然、周星馳もさっきのは嘘だと頭では理解していても、心では
「これをきっかけに何とかしたい」
で、クリスティに猛アプローチ。この人、結構女性に積極的だよね。

張學友(ジャッキー・チュン)のコンサートに誘う周星馳。
クリスティもさっきの手前、断れないって感じか。
さすが"四大天王"

あーあー♪ああーーーー♪
ああーーーー♪ああーーーー♪
(「怒れるドラゴン/不死身の四天王」テーマ曲)
じゃなくて、とにかく流石に張學友コンサートチケット争奪戦は凄まじく、
最後まで粘っていた周星馳だがチケットゲットならず。
「これを使いな」
そう言ってチケットを渡してくれたのは張學友本人だった。
さすがにカリー&ペッパーって感じか。

「さぁ行きましょう!すぐ行きましょう!ほら行きましょう!」
と息巻く周星馳だったが、これを邪魔したのは柔道部主将であった。
「オレの女に何してくれるんじゃあ!」
すかさず主将の攻撃! 恐がりの周星馳はこれをしゃがんでよけた!
ぼかーん!!
おかげで
ヤング・マスター」ジャッキーもびっくりの空中横回転で吹っ飛ばされたのはクリスティだった!

クリスティ 「あ、あ、あたしはね・・・強い人が好きなの!」

というか、その前によく軽傷で済んだなって気がするけど。
クリスティを守れなかったのでコンサートどころか、フラレてしまう周星馳くん。しょぼん
つーか、この人ほんとよくフラレるのね。
というわけで、強くなろうぜ!シンチー!

中国古拳法 ば〜ん!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、確かにだな、コメディ功夫の歴史からすると、
強さの比較 
ちゃんとした功夫道場主<道ばたの爺さん

と、ボロ屋に住んでる乞食の方が強い。
だけど、このプレハブの中国古拳法に入門しようってのはどうだろう?
ボクシングジムでも行こうぜシンチー。

俺の言うこと聞かず、呉孟達(ン・マンタ)が営むこの道場に入門してしまう。他に生徒など無し。
周星馳も怪しいとは思いつつも、結局は数々の映画(「ベスト・キッド」など)パロった修行をさせられる。
レストランの仕事中でも修行を続けて黄一飛大師兄に怒られるシーンは爆笑!

ま、これがなんだかんだ強くなっちゃうんだな。
遂に柔道部主将と対決!キャットマスク!
猫覆面被って登場するのでクリスティも主将も周星馳なのかどうか確認できず。
この辺は「破壊王ノリタカ」から来てるんでしょうかね。
主将に何度投げ飛ばされても立ち上がるキャットマスク!
遂には必殺"無敵風火輪"(まぁ地獄車ですね)で主将を破ります!

あーあー。
せっかく主将に勝って、ここで正体晒せばあの娘のハートもどきゅーん!
・・・だったのにモタモタしてしまいました。
クリスティはキャットマスクが誰なのかわからないうちに、
メッチャクチャ強い男・空手家の林國斌(ベン・ラム)と出会ってしまい、
強い男に弱いクリスティはこっちに惹かれちゃったのです。

もったいねー!!

周星馳 「あのやろ〜!!」
ちょっと強くなったからって息巻きだした周星馳は挑戦書(挑戦状ではなく挑戦書なのがなんか面白い)持って、
呉孟達師匠と共に林國斌のところへ。
だがしかーし!
各流派となんかの話し合いをしていた林國斌は突如各流派との戦いとなり、
ボクサーからキックボクサーからさっきの柔道部主将から、その強力な空手技でベキバキ打ち倒してしまいます。
ちなみにキックボクサーには周比利(ビリー・チョウ)が扮していますが、
林國斌に一発やられただけで出番終わり!こんなに弱いビリーは見たこたねぇ!

周星馳 「これは止めときましょ。挑戦書出すの止めときましょ。」
と恐れおののいてトンズラしたいところでしたが、
林國斌のマネージャーである秦沛(ポール・チュン)が挑戦書を取り上げてしまい、バレちゃいます。

大々的に林國斌vs周星馳に!

その日から、生死を賭けた戦いに向けて地獄の特訓が・・・・・・・・・
は、はじまらねぇ!?!?
林國斌の方がよっぽど真面目に練習してるぞ!?大丈夫なのかシンチー!?

とか言ってる間に最後の対決へ!!
なんか修行したか!?シンチー!?

かーん!!

呉孟達 「Round1は心理戦だ!それだけだ!もうそれだけだ!」

・・・なのかどうかよくわからんが、 いきなり林國斌に対して背を向ける周星馳。
林國斌 「こ、これは誘いだ!近づいた瞬間に何か凄い技が飛んでくるんだ!」
と警戒してなかなか近づけない。
んだけど、これじゃー何もやってないので試合が盛り上がらない。
しょうがないので色々な資料とか読み上げる実況者。

セルジオ越×も好きじゃないけど、風間×宏の解説はもっとイヤなんだよね。
と、いきなりサッカー中継の話でわからない人に置いてけぼり喰らわすけど言わしてよ。
こっちはサッカーの試合を見たくて中継見てるんであって、
あんたの講釈聞きたくてチャンネル合わしてるんじゃないって。
と、これはどちらかと言えばセルジオさんの方だけど、 いや両者とも悪い人じゃないのは重々承知してますよ。
ただ特に風間さんに対して物言いたいことは、
"もちっと要約して喋れ"
野球のようにインターバル長くないんだからさ、だらだら喋ってる間に次の展開になってんだって。
その展開の方が重要なんだって。

かーん!!

ふう。
とりあえずRound1終了。
まぁK1参戦のお相撲さんのために、
少々の盛り上がりというか気をつかってあげて勝利したRound1なんてのもあったけどまぁいいとして。
だって色々ありますけど、
そのうちあのお相撲さんがムチャクチャ強くなって K1チャンプになっちゃったりしたらそれこそ痛快じゃないすか。
格闘技界になっちゃうと私は明るくないのでようわかりませんが。
Round1は周星馳優勢と判定か?

かーん!!

呉孟達 「Round2は俺の出番だ!俺の陽動作戦を見ておけっ!」

今度は呉孟達がリングに様々なものやんわりと投げ入れる(投げつけるのではなく)!
林國斌はそれで攻撃されてるわけじゃないけど気になって仕方がない!
そのスキを見て周星馳がパンチ一発!
林國斌 「痛ててて!・・・きさまーっ!!」
中華賭侠」の時は憎々しげでしょうがなかったけど、 これでは別にそんなに悪役でもないというか、
真面目に練習して試合に臨んでるのは林國斌の方なんだけどなぁ・・・

かーん!!

ふう。
とりあえずRound2終了。
まぁこれは映画なので、どっかの一家のように試合後から
「俺は負けてない!審判はグルだ!」
なんてギャーギャー言ってこないので安心だ。例え周星馳の方が卑怯であっても。

ここでハーフタイム?
なぜかカツラつけた陳欣健(フィリップ・チャン)が歌を披露します。なぜーっ!?!?

かーん!!

呉孟達 「いよいよお前が真の力を発揮するRound3だッ!絡みつけッ!」

いよいよまともに向き合う2人!
林國斌の強力な空手技を封じ込めるために周星馳は林國斌の体にしがみついた!
何とかふりほどいて攻撃を仕掛けたい林國斌!
しかし周星馳はさっき言った何とか一家もびっくりな絡み技で林國斌にしっかりしがみつく!

〜回想〜
この絡みつきをマスターするために、
実は極秘で暴走するトラックにしがみつくという地獄の特訓をちゃんとしていたのだ!(?)

多少の攻撃を受けて蓄積するダメージに我慢しながらも、
絡み技(サブミッション一歩手前みたいな形が多くてね、ボストンクラブはあったけど)をしつこく続ける周星馳!
ここでサラッと「ヤング・マスター」vs黄仁植で
ハイパー化してたジャッキーが見せたガムシャラ戦法がちょこっと再現されてるのには爆笑!!

サラッとやってるので何となく見てると逃しちゃうよ。

かーん!!

最終判定で周星馳が勝利!!勝利!?勝利??
ようわからんかったがそうなのかしら?

しかし、ここまで超もったいないのが何とクリスティはエレベーターに閉じこめられてて試合見てないのよね。
ここでやっと出てくる。

林國斌 「納得できるかー!!」
怒るのも当然のような気もするが、負けは負けだ。
今度は林國斌、判定審査員をしていた各流派の方々とモメモメに!
林國斌が色んな流派を敵に回して大暴れを始める!!

クリスティ 「もうほっといて行きましょ!」
そう周星馳を促したが、戦闘後のハイテンション周星馳は以前の弱々しかった周星馳から大きく成長していた。

周星馳 「い、今の俺なら倒せる!今なら奴を倒せる!・・・例のモノを!!」

出てきたのは巨大なビンゴマシーン!

さぁ果たして(試合は終わってるような気がしますが)、
最強空手家・林國斌を破ることが出来るのか!!
そしてクリスティとの恋の行く末は!?!?

終劇




2巻に分かれている泰盛ビデオは分けて見るとつまらなく感じてしまうのでご注意。
あらかじめ下巻のテープは最初の予告編とか飛ばした段階のところでスタンバイしておきましょう。

本当に何にも小難しいこと考えさせられることなく、誰でも楽しめるシンプルなストーリー。
それだけであれば数々ある青春スポ根コメディ等の焼き直しに過ぎない・・・
となってしまうのですが、そこに周星馳らしいギャグセンスと様々な映画のパロディを盛り込んで、
彼にしか表現できない味付けの映画になっているところが特色ですね。 長

■CAST&STAFF
監督 李力持(リー・リクチー)
出演 周星馳(チャウ・シンチー)
呉孟達(ン・マンタ)
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)
林國斌(ベン・ラム)
李力持(リー・リクチー)
鄭祖
古巨基(レオ・クー)
黄一山
黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)
周比利(ビリー・チョウ)
迎風
張學友(ジャッキー・チュン)
林雪
谷コ昭(ヴィンセント・クック)
秦沛(ポール・チュン)
陳欣健(フィリップ・チャン)
黎彼得
梁家樹
梁榮忠
梁詠琳
陳志良
李文標
神仙
武術指導 程小東(チン・シュウトン)
林迪安
劉家豪
脚本 谷コ昭(ヴィンセント・クック)
製作 方逸華(モナ・フォン)
制作年度 1994


國産凌凌漆
From Beijing with Love
0061北京より愛をこめて!?


もう見たとおりなんだけど、007パロディもの。
この作品で周星馳(チャウ・シンチー)は初監督に挑戦している・・・とはいっても、彼のそれまでの作品を見ても彼自身が演出したのではないか?と思われるシーンが多いので、クレジット上の正式ではということになると思う。

007。
007はねぇ、まぁ数々の映画が大小知れずパロディやってんだけど、この映画のように最初から最後までやり通す、ならばやってもらわなければ困るお約束、というのがあると思うのよ。007ならではの。その辺はどうだったか。それも合わせて行きましょう。

流れ

国宝級の"恐竜の頭蓋骨"は盗賊団に狙われていた。そこで、国の秘密工作員である于榮光(ユー・ローグァン)が盗賊団の手から頭蓋骨を守ろうとしたが、盗賊団のボス・黄金銃を持つ男に返り討ちにされる。

何とか頭蓋骨を取り戻さないとやばい国家保安局はむかーしクビにされ、今は肉屋を営んでいた工作員の周星馳(チャウ・シンチー)に"頭蓋骨奪還作戦"を一任させる。同時に秘密兵器開発委員の羅家英(ロー・カーイン)も復帰。さっそくおバカな兵器を次々と披露し、周囲を不安にさせる。

肉屋とダメダメ開発者。
なぜそんな2人に大事な任を命じたのか。
答えは簡単だった。
黒幕は公安隊長の1人である黄錦江(ウォン・カムコン)で
一応の動きを見せるだけのために、任務を到底遂行できないであろう周星馳を選んだのだ。そして黄錦江はその周星馳に殺し屋・袁詠儀(アニタ・ユン)を差し向ける。

待ち合わせの相手を犬と間違える周星馳を見て
「こんな仕事余裕ね」
と舐めてかかる袁詠儀。
やすやすと殺せると思っていたが、周星馳の奇跡的な回避によって全て避けられていく。

遂には殺せぬまま敵方のパーティに潜入することになった周星馳。
ここで見せる秘密兵器・ゴッドウィングが最高だ。
会場にいる周星馳を狙撃しようと構える袁詠儀。
遂に彼を狙撃し任務を終えたかに見えたが、
周星馳が被弾したのは足だけ。しかも彼女のために
彼女自身が撃つ銃弾の雨の中、花を取って来たいたのだった。さすがにこれで彼女も周星馳に惹き付けられていく。

しかし、足の治療が終わったところで結ばれたかに見えた2人だったが、袁詠儀が命を狙っていた本人であることが遂に周星馳にバレ、周星馳はその場を後に。
1人取り残された袁詠儀に後悔する暇は無かった。
ここに謎の2人、陳寶蓮(ポーリン・チャン)とケ祖(チェン・チォ)が現れ袁詠儀は誘拐されてしまう!

周星馳は彼女を助けることが出来るのか?
そして謎の2人の正体は?
さらに黄金銃の男とは?

終劇




007に必要なものを列挙すると、
・タキシード
・美女
・秘密兵器
・強敵
大きく分けると4つだろうか。
しかし、最も重要視しなければいけないのはこれだろう。
・スリル
あのシリーズの流れは基本的にこうだ。

冒頭アクションでいきなり大ピンチ!

すんでのところで交わして涼しい表情を決める

オープニング

指令・美女との出会い

中間のアクションでピンチ!

美女とのエッチ

ラストアクションで大ピンチ!

すんでのところで交わして涼しい表情を決める

美女とのエッチ

THE END

少なくとも3回以上は
「どうするんだ!?007!?」
といったようなピンチシーンが出てくる。
ここをすんでのところで交わす007。
ここで観客は大きなスリルを味わえる。

対して本作はどうだったか。
周星馳はほとんどのピンチをピンチと捉えることなくノラリクラリと交わし、全てをギャグで落とした。
オチのギャグが全て大笑いできるようなものであればまだしも、この瞬間に観客が得たいのはギャグではなくピンチを切り抜けるスリルと切り抜けた後の爽快感ではないだろうか。

面白いといったものが分裂して起きていて1つにまとまっていない気がする。オープニングは面白いし、肉屋なのにドライマティーニ飲んでるのも面白いし、羅家英(ロー・カーイン) も面白い。
しかし合間に挟まるシーンに不必要に出血するシーンが多く、見ていて
「これはパロディじゃなかったの?」
と気もそぞろになってしまう(ここで分裂されてしまうのだ)。
簡単に言うと、ギャグで撃たれたり死んだりしてる人と、マジで撃たれて死んでる人との区別がついていない。コメディとシリアスの境界線が余りに不明瞭なのだと思う。

確かに007については良く研究されており、オープニングはもちろん、黄金銃、ハロルド坂田、リチャード・キールにグレイス・ジョーンズ(?)、ラストのオチも間違いなく007を踏襲したものだ。
しかし、007におけるスリルといったものが味わえなかった限りは個人的にはどうしても"もう1つ"という評価した下せないところはある。

で、これってなんで0061なんだろう。
劇中ではそのまま007なのに・・・

■CAST&STAFF
監督 李力持(リー・リクチー)
周星馳(チャウ・シンチー)
出演 周星馳(チャウ・シンチー)
袁詠儀(アニタ・ユン)
陳寶蓮(ポーリン・チャン)
黄錦江(ウォン・カムコン)
羅家英(ロー・カーイン)
ケ祖(チェン・チォ)
李力持(リー・リクチー)
黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)
李健仁(リー・キンヤン)
于榮光(ユー・ローグァン)
武術指導 潘健君(プーン・キンクワン)
脚本 谷コ昭(ヴィンセント・クック)
周星馳(チャウ・シンチー)
李力持(リー・リクチー)
張肇麟(チョン・バッロン)
音楽 胡偉立(ウイリアム・フー)
策劃 羅國強(ジミー・ロー)
製作 向華勝(ジミー・ヒョン)
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
向華勝(ジミー・ヒョン)
制作年度 1994


九品芝麻官白面包青天
Hail the Judge
広州殺人事件


なんか散々「残酷」とか「張敏(チョン・マン)可哀想」とか言われている映画なので恐々と観てみたのだが、何のことはない個人的には結構スリリングに楽しめる作品じゃないすか。

大大ヒットを飛ばした周星馳(チャウ・シンチー)の「審死官」は観ていないので何ともあれだが、それと同じく裁判劇シンチーの作品がこれ。「審死官」は杜h峰(ジョニー・トゥ)監督だが、本作は王晶(バリー・ウォン)作品で(シンチーも監督したらしいが)、なんちゅうか
「さすが王晶、流行り物頂いて料理しちゃうのが上手い」
と思わざるを得ない作品って感じか。

流れ

シンチーは賄賂もあっさり受け取るダメ判事で、今日もあっさりと悪徳弁護士・呉啓華(ン・カイワー)の賄賂に負けて不当な判決を繰り返す。町民もシンチーには嫌気がさしており、町中からの嫌われ者だった。

病弱ながらそこそこの金持ちの息子である田啓文(ティン・カイマン)が見目麗しき張敏(チョン・マン)と結婚。
披露宴に招待されたシンチーだったが、そこにこの屋敷に盗賊がいると追ってきた怪力の徐錦江(チョイ・カムコン)が乱入。盗賊の子分(?)どもを地獄に送る。
目の前で法を犯されたシンチーはいつの間にか徐錦江と対決。町民がシンチー判事を落とすために作っていた落とし穴に徐錦江がはまって逮捕。一躍シンチー判事は名を挙げる。

惨劇はここから始まる。
田啓文屋敷に潜り込んでいた倪星(コリン・チョウ)が張敏を暴行。その上、現場を目撃した人間を次々と殺害。生き残りは張敏と下男の程東(チン・トン)だけとなったところで、偶然居合わせたシンチーがこれを捕まえる。

シンチー判事の裁きにより、一旦は倪星を留置所送りにしたが、倪星の親父は高級役人の谷峯(クー・ファン)、そしてそのバックには宦官の劉洵(ラウ・シャン)がついていた。そして直接の弁護人にはあの悪徳弁護士の呉啓華が・・・
あっという間に裏工作がなされる。
全ての証人を買収し、部下の手により死体は全て撲殺から毒殺と変えられた。
その上、次の裁判では判事を黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)がやることに(既に買収済み)・・・

全ては妻である張敏が下男の程東と密通し、家族全員を毒殺したことにすりかわる。
裁きの席で拷問を受ける張敏。
メタメタに殴られ血塗れになりながら
「死んでも許さない!」
と叫んだ張敏の姿を見て、さしものシンチーも正義のためにと立ち上がる。
さっそく死体を調べて毒殺の状況がおかしいと悟ったシンチーだったが、ここに黄一飛らが現れ、現場を荒らしたことからシンチーも逮捕される。

獄中で張敏と和解し、
「必ず君を無実にしてみせる!」
と誓ったシンチー、養子の呉孟達(ン・マンタ)がどっかから連れてきた(ほんとにどっから連れてきた?) いつもの李健仁(リー・キンヤン) 、つまりあのオカマの活躍で脱獄に成功する。

指名手配になったシンチー。
さらにこっちも脱獄していた徐錦江に追い掛け回される。
すんでのところで雑技団の船に逃げ込んだシンチー。
はっきり言って完全なブレイクタイムだが、雑技団の鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)との楽しい毎日が始まった・・・

始まってる場合じゃねぇだろっ!
はよ張敏助けてやれッ!
というわけで、鍾麗〔糸是〕と良い仲になったのも束の間、都に向う。
都に向って以前、自分の父(こっちも判事)が恩を分けてやった大臣に協力を頼みに行くのだ!
こてん
大臣の協力は全然ダメだった。
なぜなら谷峯(クー・ファン)の犬に過ぎなかったから。
シンチーは無一文で町に放り出される。

頼る相手もお金も無くなったシンチー。
とりあえずタダ食いでもしようかといつも前向きなところが素敵。
娼館でタダ飯食らったがバレて、女将の(ユアン・キンタン)の下で働かせることに。自分の頼みの綱である法の聖典も焼かれてしまい、完全に張敏を助ける手立てを失ったシンチーは呆然。
そんなある日、他の娼館の女将とここの女将が大喧嘩。
口ゲンカ、口論、口だけで敵を制する女将の話術を見たシンチーはここに裁判解決のヒントを得る。
今度は女将の話術テクニックを盗んでは修行する毎日が続いた。
シンチーの先祖は包青天。稀代の名裁判官として名を轟かせた人物である。遂には修行を得てシンチーもその詐術テクニックを開花させる。

そんな時、徐錦江(チョイ・カムコン)が娼館に現れ、シンチーはベッドの下へ。そんな時、皇帝陛下がお忍びで現れ、徐錦江はベッドの下へ。と、そんなルーティンギャグをかましている間にシンチーは皇帝陛下に直訴。

かくして皇帝陛下によってシンチーは最高判事となり、広州殺人事件の再審に乗り出す。
飛躍的にたくましくなったシンチー話術のおかげで裁判は順調に進んだが、ここにNo.1の宦官である劉洵(ラウ・シャン)が遂に姿を現す!
さぁ果たして公正な裁きを行い、正義の鉄槌を下すことができるのか!?

終劇




張敏(チョン・マン)は古装片の衣装がよく似合う。
とは「シスター・オブ・ドラゴン 天女武闘伝」のところで述べたとこだが、本作の彼女の美しさはその中でもピカイチというか、「フライング・バトル」とタメを張る。ところが「ゴッド・ギャンブラー2」とか現代片で観ると個人的にはあんまり魅力的に見えないんですよね。しかしその張敏が確かにこの映画ボコボコにされます。

作品としては改めて王晶監督を評価しなければいけないほどによくまとまっており、ラストも胸のすくものだし、シンチーギャグもたっぷり盛り込んであり納得。話が脱線するのはお約束だが、その部分が裁判劇だとどうしても重くなりがちなドラマに一息つけるシーンとしてとても役立っている。またその時に出てくる鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)が何だかほんわかと良いんだよね。
「浮気しないで」
とか言いながらさっそく蔡少芬(エイダ・チョイ)とも出来ちゃうんだけど。

後は徐錦江(チョイ・カムコン)がとても良い味を出してます。

これはシンチー迷なら満足の一本じゃないかな。
上記「0061北京より愛をこめて!?」よりこっちの方が私は好き。

■CAST&STAFF
監督・脚本 王晶(バリー・ウォン)
出演 周星馳(チャウ・シンチー)
呉孟達(ン・マンタ)
張敏(チョン・マン)
徐錦江(チョイ・カムコン)
鍾麗〔糸是〕(クリスティ・チョン)
蔡少芬(エイダ・チョイ)
倪星(コリン・チョウ)
呉啓華(ン・カイワー)
谷峯(クー・ファン)
黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)
劉洵(ラウ・シャン)
田啓文(ティン・カイマン)
程東(チン・トン)
夏萍(ハー・ピン)
(ユアン・キンタン)
黄一山(ガブリエル・ウォン)
李健仁(リー・キンヤン)
呉回
武術指導 潘健君(プーン・キンクワン)
音楽 胡偉立(ウイリアム・フー)
策劃 羅國強(ジミー・ロー)
製作 向華勝(ジミー・ヒョン)
製作総指揮 向華強(チャールズ・ヒョン)
向華勝(ジミー・ヒョン)
制作年度 1994

 
 

0061北京より愛をこめて!?
広州殺人事件
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