大小通吃
Win Them All
用心棒ドラゴン
■
女流武侠片功夫片監督・高寶樹(カオ・パオシュ)作品。
当時から彼女は独立会社を持ち、監督業をなさっていたご様子で、相変わらずの女性らしさを垣間見せない男気たぎる功夫映画を作っているのがかなり特筆。
本作は倉田保昭と胡金銓(キン・フー)作品の花形女優・
徐楓(シー・ファン)、そして田豐(ティエン・ファン)などを迎えてストレートな功夫片に仕上げている。
■流れ
賭博場。
ゲスト出演の女将・高寶樹(カオ・パオシュ)監督本人がディーラーで(上画像の赤い服)、チンチロリンなサイコロゲームをやっている。ところがこの高寶樹が強くて誰も勝てない感じ。
遠巻きに見ていた田野(ティエン・イェー)は、彼女がイカサマを使っていることを見破る。そして勝負。
この勝負に勝って一儲けすると賭博場を後にした。
許すはずが無い。
用心棒の倉田保昭兄貴がこれを強襲!
一進一退の攻防もやがては田野不利に。
哀れ、倉田兄貴必殺の虎拳にその身を引き裂かれ絶命する。
ツンデレちゃん、涙
田野の娘であったツンデレちゃん・・・いやいや徐楓(シー・ファン)は仇討ちを強く心に誓い、友人の胡錦(フー・チン)、陳慧樓(チェン・ウェイロー)と仇討ち相手を捜索。
不貞寝のツンデレちゃん
妖艶とツンデレちゃん
街でチンピラをことごとくやっつけるコンビ。とにかく強い。
胡錦はツンデレちゃんと正反対の性格で、色香で男を騙しては金を奪い取り、ここ戦いにおいては全てのチンピラのズボン脱がして財布を奪っちゃう豪快さ。ひたすらツンツン顔のまま男を蹴倒していく徐楓との対比が面白い。
ほんでもって奪った金で博打。
どっちが悪なんだか(笑
この博打の最中に現れていた謎の男・黄元申(ウォン・ヤンスン)とひと悶着起こしているうちに、ツンデレちゃんは彼こそが仇討ち相手なのでは?と勘違いして
ツンデレちゃん、戦う
改めて賭博場の元締め・田豐(ティエン・ファン)ところの用心棒・倉田が仇討ち相手だとわかる。早速乗り込む!
黄元申も実は倉田追っていたぁ!さぁ対決だ!
必殺の倉田キック!
と思ったらずーーっと倉田vs黄元申だったー!
「私の出番はどうなってんのよ」
とツンツン状態のツンデレちゃん?
・・・それでもまぁ、憎っくき仇討ち相手が倒れたとあって
ツンデレちゃん、ちょいデレ
ハッピーエンド。
終劇
■
お話がシンプルすぎて何も言うことが無いので、ツンデレちゃんストーリーにしてみました・・・って、これじゃ
ツンデレちゃんじゃなくて、
ツンツンちゃんじゃないかぁ!
ってぐらいに全編に渡ってツンツンしている徐楓さんの変わらなすぎる芸風が素敵?
全編に渡って功夫アクションだらけで、中盤は胡錦さんのお色気攻撃もあって、雰囲気は何故か結構明るい映画である。一番良い動きしてたのが陳慧樓だったような気もするが・・・
かっちょいい兄貴の肉体
勿論、倉田兄貴のラストアクションは
「手加減しないとほんまに死ぬな」
ってぐらいに迫力を出して、その蹴りがほんとに黄元申に当たると昇天してしまう感じがあるのは否めないが流石に見応えがある。黄元申のアクションには特にこれといった特徴が無いのが困りものだが。
まぁなんですか。
ツンツンしてる女の子をデレデレさせてこそ、
これが男のロマンじゃないすかぁ。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
高寶樹(カオ・パオシュ) |
出演 |
黄元申(ウォン・ヤンスン) |
徐楓(シー・ファン) |
胡錦(フー・チン) |
倉田保昭 |
田豐(ティエン・ファン) |
唐沁(タン・シン) |
高寶樹(カオ・パオシュ) |
田野(ティエン・イェー) |
孫越(スン・ユエ) |
薛漢(シュエ・ハン) |
陳慧樓(チェン・ウェイロー) |
湯志偉 |
邵羅輝 |
劉楚 |
王台慶 |
鄭福雄 |
租勃林 |
葛復中 |
鄭萬学 |
小史 |
武術指導 |
王永生 |
葛小鐘 |
脚本 |
倪匡(イ・クオン) |
音楽 |
周福良 |
製作 |
柏文祖(ベンジー・パク) |
制作年度 |
1972 |
SAMOURAIS
SAMURAI
■
期待してなかったぶん楽しめた。
・・・って先に結論言ってしまったな。
というか・・・
どこがサムライだ!!
■流れ
戦国時代の日本のどこかで襲われているお姫様(?)
姫か単なる民かわからんが、彼女を襲う老侍。
なぜ彼女を襲っているのか?襲うってあれじゃないすよ、殺そうとしてるんですよ。
そんなこんなでバトルの果てに出産!
見る見るうちに赤子が成長して化け物SAMURAIコデニに。
コデニは早速母親殺害して・・・つーか、なんだこれ。
オープニング
うおお、随分と期待していない心をも萎めてくれる冒頭ではないか。
とは言いつつも、のっけからかなりのバカ映画認識。
現代。
あんまりようわからんが殺された若者の殺人事件を追って倉田保昭警部は老体化したコデニを追い詰め、コデニが暴れ始めたため射殺。しかし、いまわのきわにコデニは侍の悪霊に、
「お前の娘の体内に入って出産して生まれ変わる」
ってなことを言い残す。
不安になった倉田警部は娘のいるフランスへ。
そもそも事件はコデニの組織が発売したプレイステーション2のゲーム「ブシドー」と謎の手裏剣が発端となっており、それを調べるためにフランスに向かうことになるのだが、こっちでは格闘技大好きな兄ちゃんたちがそのゲームを買ってたりなんかしてだな・・・
終劇
■
後はまぁコデニに夜這いされた倉田アニキの娘が妊娠し、苦しむ娘を見て倉田さんが娘を殺そうかなと思うわけで、これでやっと冒頭の姫に襲い掛かる老人の真意がわかりますね。
まぁその後はコデニとの壮絶な戦いになるわけですが・・・
アクション面については予想以上によく出来ており、正直言って倉田さんと動作指導・郭振鋒(フィリップ・コク)とのコンビネーションが上手くいったんでしょう。古い付き合いですから(「倭寇掃討作戦 忍者外伝」)。中でも空港トイレ(?)でのトンファーバトルは流石倉田アニキと言った出来栄えで老いて尽きせぬパワーが素晴らしいですね。
「帰って来たドラゴン」以来のトンファーバトルでしょうか?そうすると29年ぶり?
ただ、これ郭振鋒が殺陣付けてる時点でおかしいのですが、本作は功夫映画です。チャンバラではなく完全な功夫映画と見るべきでしょう。つーか、フランス人も他の方も武士道と功夫を混同してるんじゃないでしょうか。その辺が心配です。
物語としては、そうなんだよなぁ昔「ブシドーブレード」って格闘ゲームがあって、
「リアルに一太刀斬られたら負ける」
ってのがウリで、おおこれは面白そうだとプレイさせてもらったのだがいきなり敵が飛び道具あり!撃たれて死んだりなんかして!
と、ブシドーを根本から揺るがす最悪な敵が出てくるゲームで実にがっかりした記憶があるな。
それはともかく、ヒロインがちょっと・・・あまり可愛くありませんね。
フランス人にしてみればジャパネ・ビューティフルなのでしょうか。この辺はセンスの違いなのかしら。
劇中に出てくる「ブシドー」なるゲームがとてつもなくつまらなそうなのに、登場する若者が発売前を待ちきれずに買ってしまうとこが笑える。他に面白いゲームあるやろうに。ウイニングイレブンでジダンでも使ってなさいよ。
完全なB級映画で下らない展開なのだが、そして無理に持ち上げるつもりはないのだが、どう考えても倉田アクションだけが光る作品である。
若い奴も頑張れ。
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■CAST&STAFF |
監督 |
ジョルダーノ・ジェデルリーニ |
出演 |
倉田保昭 |
シリル・ムラーニ |
メイ・アンリー |
サイード・セラーノ |
ダラ・インド・オーム |
動作指導 |
郭振鋒(フィリップ・コク) |
脚本 |
マット・アレクサンダー |
ジョルダーノ・ジェデルリーニ |
音楽 |
川井憲次 |
製作 |
オリヴィエ・デルボスク |
マルク・ミソニエ |
制作年度 |
2002 |
マスター・オブ・サンダー 決戦!!封魔龍虎伝
■
そういえば他の方々に大きく先を越されたこともあって、この方のことを全く語っていなくてやはや失礼します。
本作の監督・動作設計を務める谷垣健治さんは私と同世代の人で、当時ジャッキーに憧れた少年たちなら誰しも夢見るアクションスター及び武術指導の香港ドリームを実現させた数少ない日本人である。
ジャッキー同時代に活躍した日本人は勿論倉田保昭兄貴や鹿村泰祥、松井哲也や竜咲隼人、山下タダシってのもいたな(笑 いることはいる。
ただその当時は功夫ごっこに明け暮れるガキんちょで今はモノホンという人はこの人一人と言っても過言で無いかもしれない。かつて、オリンピック体操種目でメダルを獲った池谷幸雄は類まれなるセンスで体操世界では活躍したが、目指していた"ジャッキー・チェン"には届かなかった。ケーン・コスギは確かに
「DOA」などで活躍するアクションスターになったが、彼の父はショー・コスギである。例え現在絶縁状態にあろうともその影響は計り知れない。
完全に0からのスタートで・・・ということなら何よりも谷垣健治さんであろう。
■流れ
松村雄基が悪い感じ(笑
流石は「川浜一のワル」(笑
えっ?知らない?
最近の若い人にはわからんか・・・
彼の「スクール☆ウォーズ」登場シーンは最高に格好良いんですよぉ、いきなりケンカして余裕で歌なんか唄いながら殴ってる(笑
今回はもっと悪いらしい。
どーもよく復活する鬼だそうで。
昔、この鬼を封印する役目を授かっていた岡田秀樹と竹財輝之助が何とか封印するが、彼らのマドンナ長谷部瞳は命を落としてしまう。
現在。
そろそろ松村が川浜高に戻ってくるので泣き虫先生が・・・
違うな、鬼松村が復活しそうな雰囲気満載なので封印に行く倉田保昭(竹財輝之助)の弟子たち?
早速邪魔に入る鬼の側近、中村浩二と対戦!
ここで見せるオープニングアクションは素晴らしい。
三谷幸喜が「ラヂオの時間」でロングワンカットのオープニングを作ったが、それどころではない凄さである。
とにかく観ていただくのが一番なのだが、6分間に及ぶワンカットの大人数バトルは何よりもそれをやり遂げたことが素晴らしい。ここだけでも作品の価値はあるだろう。
「やばいじゃん」
鬼を封印するための仲間が7人いるってことで、倉田さんはその1人である弟子のカワイコちゃん・木下あゆ美に仲間集めをさせることに。
かつて鬼を封印した仲間の子孫集めということで、
不良少女の永田杏奈、
イケメンプレイボーイの椿隆之、
アイドルオタクの平中功治、
ガリ勉黒縁めがねちゃんの芳賀優里亜、
しがないバーテンのアドゴニー・ロロ、
秋葉アイドルの小松彩夏たん
とかなり早いとこ集める。
・・・うーむ。
かつての封印仲間に黒人がいたのですか?
という疑問はともかく、意外とトラブルもなくすんなり鬼封印の為に頑張ることになる7人。
・・・別に連れて行かなくても良いような人がかなり多い気がしますが・・・
倉田保昭師匠の下で鬼封印のための修行を続ける7人。
最初から武術を知ってる奴以外は全然成長してない気がするのは気のせいではなく、成長してないぞ。
意外や倉田師匠の修行は厳しいというよりは"まったり"という感じで、目の前に世界を崩壊させようかという鬼松村が迫ってきている割にはアットホームな雰囲気で物語は進む。それよりそんなカワイコちゃん(表現が古いな)が4人もいる母屋で合宿しているということで、俺だったらカワイコちゃんのことしか頭にないだろう。ちなみに小松彩夏たんがタイプだ。
そんなほのぼのムードが災いしてか、先に鬼の側近・中村浩二が倉田師匠に襲い掛かる!
倉田vs中村浩二!
流石のファイトを見せるも倉田さんが負けてしまい、さらわれる。
こうなったら7人で鬼を倒すしかない!
・・・絶対無理な気がするが、それでも行っちゃったりする勇気というかバカさ加減が凄い。
さぁ鬼の待つ洞窟へ。
この洞窟みたいなのが上手いこと階段とかちゃんと作ってあるのが凄い。
封印されてた鬼のくせしてちゃんと建設会社にこういう建物作らせてる。
本作に出ているアイドルの中では現在売れっ子として1つ抜きん出た感のある"オシリーナ"ことお尻の女神、秋山莉奈たんを堪能した後は、
いよいよ来るか!
倉田保昭 vs 千葉真一 !!
終劇
■
偉い。
本作を観終わって思った感想はズバリ、偉い。
谷垣健治監督が百も承知のB級映画で興味の無い人が観ればアクションシーン以外はゆるい動画に過ぎないと言われても仕方の無い部分は多分にある。
しかし、本作には彼がやろうとしたこと、やったことと、
自分のような功夫迷が思い描くこと、こうあってほしいことがピタリと当てはまるポイントがちゃんとあるのだ。
まずは冒頭の努力と根性で撮り上げた6分間ワンカットアクションである。
事実、谷垣健治監督でなくとも日本でそれなりの功夫アクション映画を撮ることは勿論、可能である。
実際「恋人はスナイパー」や谷垣健治監督の師匠である甄子丹(ドニー・イェン)がアクション監督を務めた「修羅雪姫」等と作品は結構存在する。
しかし、どれもこれもアクション面で後一歩足りないというのが現実で、この後一歩こそ一番難しいところ。だって、実際に功夫職人が出ているわけではないし、昨日今日功夫習った役者がアクションするんだもの。古き良き時代のいわゆる"功夫映画"ってやつに追いつくのは至難の業である。
だからこそ、だからこそ個人的には
"この作品にしかないアクションシーン"
というのを欲する。
全体的なレベルとまでは言わないが、ある一瞬でも素晴らしいものを見せてくれればそれで良い。こういったハッとさせてくれるシーンをアクション映画迷はいつも待ち侘びているのだ。
他の作品に負けないシーンを一瞬でも作る。
その期待に冒頭からいきなり応えたということは大いに評価できる。
逆に低予算の作品でそういったシーンを作ったわけだから素晴らしい。
もう1つは勿論、
倉田保昭vs千葉真一!
である。
功夫迷なら誰でも思うこと、それは夢の対決である。
まだ実現していない対決、やって欲しかった対決でいうと例えば
ジャッキーvs劉家輝(リュー・チャーフィ)
劉家良(リュー・チャーリャン)、劉家榮(リュー・チャーヨン)とは対決済み。後は彼だけ。
ジャッキーvsサモハン←完全ガチンコで
絡み役でサモハンに殴られたことは遠い昔。
「サイクロンZ」もおふざけ入ったものでガチンコとは言い難い。
ジャッキーvs李連杰(ジェット・リー)はもうすぐ「ドラゴン・キングダム」で軽いものが見られるだろう。
考えてみればジャッキーは相当数と対戦しているなぁ、まぁ一応李小龍(ブルース・リー)にも絡んでいるし。
しかし私の考える夢の対決ベストは絶頂期の
黄正利(ホアン・チョンリー)vs黄仁植(ウォン・インシック)
このテコンドー対決ですね。
もしかしたら韓国産功夫映画にあるかも・・・ないかな?
そして日本人同士で考えるのなら・・・
間違いなく本作の対戦であろう。
ちなみに倉田保昭vs鹿村泰祥は「倉田保昭の「カンフー大作戦」」で実現しています。
このクライマックスで谷垣健治監督は2つの私が望むことを見せてくれているのだ。それは即ち、
・夢の対決
・本物の拳闘シーン
である。
可愛いアイドルたちが頑張るアクションシーンもそれはそれで健気で楽しいが、それだけで終わられると流石に薄っぺらい。そこで、高齢になったとはいえ本物のアクションスターである2人が火花を散らして戦うことで物語を本物の肉体アクションの迫力・面白さでピシリと締める。メリハリのある展開がこちらの気持ちを救ってくれる・・・やるじゃん谷垣健治!
個人的には是非にも次回作を期待したい谷垣健治監督である。
勝手な推測だがこの先は功夫というよりもアクション映画の監督として良いものを撮っていくのではなかろうか。それこそ本格的にジャッキーと同じ製作者として1つの映画を作るその時が来るのかもしれない。
|
■CAST&STAFF |
監督・動作設計 |
谷垣健治 |
出演 |
倉田保昭 |
木下あゆ美 |
芳賀優里亜 |
椿隆之 |
永田杏奈 |
小松彩夏 |
アドゴニー・ロロ |
平中功治 |
松村雄基 |
岡田秀樹 |
竹財輝之助 |
長谷部瞳 |
中村浩二 |
秋山莉奈 |
天川美穂 |
中谷隆信 |
倉田竜太郎 |
山本哲郎 |
織笠福之 |
石嶌良一 |
春田純一 |
横田椋 |
佐藤友哉 |
尾上玲夢 |
弥富司 |
桜澤寛樹 |
谷中田トキオ |
シンチェン |
福岡サヤカ |
市川春樹 |
向野章太郎 |
春樹珠和 |
林由起子 |
瀧野陽介 |
山田悠香 |
林美和 |
大石収実 |
三本綾子 |
藤本るみ |
服巻泰三 |
矢口義文 |
宮ア永子 |
瀬戸麻里子 |
出雲晴信 |
亀山拳修 |
小林博次 |
鳥羽孝光 |
小倉光晴 |
中山義治玄道 |
竹財輝之助 |
岡田秀樹 |
長谷部瞳 |
中村浩二 |
千葉真一 |
脚本 |
谷垣健治 |
青木万央 |
音楽 |
吉川晃司 |
特撮 |
製作 |
安村重幸 |
大西正人 |
倉田奈々 |
製作統括 |
倉田保昭 |
制作年度 |
2006 |
歡樂龍虎榜
Book of Heroes
悪漢列伝
■
この前、Youtubeで見つけた
画像は「覇海紅英」
大島由加里さんへのインタビューを見て、大島さんの受け答えが非常に可愛らしくて好感だったということと、そのインタビューの中で出てきた作品「最佳賊拍賊」でジャッキーがワンシーンだけ殺陣をつけたという話もあって、その作品が観たかったのだがYesasiacomに売ってないみたいなのでこれ買った。
朱延平(チュ・イェンピン)監督と言えば、台湾アクションコメディの旗手的存在で、勿論師匠・先輩方には李作楠(リー・ツォナン)、郭南宏(ジョセフ・クオ)がいるが、日本で人気絶頂時のジャッキー「ドラゴン特攻隊」、結構好評を博した「カンフーキッド」と監督作が2本公開されて恐らくそこそこヒット、本作を含めてビデオ化された作品も一番多い朱延平が一番日本での知名度が高いだろう。事実、この時代になると李作楠も郭南宏も監督ではなく製作側に回っていることが多いので、作品が無いというのもあるのだが。
■流れ(簡単に)
マフィア同士のダイヤ密輸を取り押さえようとしていた刑事・胡瓜であったが、その場でマフィア同士の抗争が勃発し、ダイヤはどこかの誰かが持ち去ってしまう。
失ったダイヤを求めて捜査を開始する刑事組、胡瓜と藍心〔三眉〕。
夜のクラブの一暴れで情報を掴み取る藍心〔三眉〕はその場で謎の女・大島由加里と遭遇し、一戦を交えるが互いの腕を認め合うとその場を後にした。
ダイヤ強奪の黒幕は倉田保昭組織。
大島由加里は彼の元を訪れると、次々と彼の手下をぶっ倒して用心棒の座に収まった。
この失われたダイヤの噂を聞きつけた詐欺師の楊惠珊、陶大偉(タオ・ダァウェイ)も警察vsマフィアの合間を縫ってダイヤを奪取しようと動き出す。
全ての結末は軽いBGMと爽快なアクションをもって、ゆるゆるなコメディでクライマックスに向かうのだが・・・
終劇
■
「五福星」シリーズと「クラッシュ・エンジェルズ 失われたダイヤモンド」をくっつけたような内容でまっぽしサモハンやジャッキーコメディの亜流ものだ。
朱延平作品は二番煎じ三番煎じの感が強い。
子供の時に狂喜したジャッキーの名作「プロジェクトA」だが、サイレント映画を見ててふと同じようなシーンに遭遇したり、海賊島潜入の下りが胡金銓(キン・フー)作品「忠烈圖」と同じだったり、スタントアクションの原型が過去の名作功夫映画に既にあったりと、まぁ自転車チェイスの元ネタがピーター・セラーズの「ピンク・パンサー」(流石にTVでやらなくなったな)だったりもしてるし、誰も誰かを責めることの出来ない状況であるのだが、朱延平はそのパクリまくったネタをごった煮することでモザイク化させて、再度調理、自分の色として出すことの出来る娯楽映画の秀才である。
見事調理しきって全部自分の色のように見せきってしまった"究極のスタイルの掃き溜め映画"「炎の大捜査線」は彼の代表作の1つであろう。それで思い出したが彼の代表作の1つと言われている劉コ華(アンディ・ラウ)主演の「異域」も観たいのだが、これまたYesasiacomで廃盤なのだな。
本作はユルイ展開で物語面での面白みは薄いが、アクション面でのレベルが非常に高い作品である。
加えて何気に藍心〔三眉〕、大島由加里、楊惠珊、3人の女ドラゴンがメインでアクションを張っており、その活躍ぶりたるや当時のシンシア・ロスロックや楊紫瓊(ミシェール・ヨー)に勝るとも劣らないもの。
やられ役のスタントマンもみんな成家班(ジャッキーアクションチーム)ばりに、そのジャッキースタントと同じようなスタントを体を張ってこなしているのが素晴らしいのだが、女ドラゴンの方も藍心〔三眉〕がガラスに顔から突っ込んだり(正にジャッキーですな)して、スタントでも頑張っている。
楊惠珊さんがお色気的に頑張っているのも見てて楽しいし、クールな大島由加里さんの格好良さもちゃんと出ててよろしい。藍心〔三眉〕は何となく呉君如(サンドラ・ン)を連想させてしまうのだが。
対決でいえばやはり注目は
大島由加里 vs 倉田保昭
の日本人対決である。
そもそも倉田さんの紹介から始まっている大島さんの女ドラゴン街道なので、倉田さんと言えば大恩人、同じように海を渡った2人、この対決を一番嬉しがったのは実は当の2人同士だったのではないだろうか。
ここの人選は朱延平、ツボを押さえているなぁといった感じである。
ちなみに大島さんは剛柔流で私と同門、生まれも同じ博多だったりする。だからなんだということも全く無いが応援したい。
ラストでその大島さんが見せる笑顔が可愛い一篇。
シネマシティはやはり大島さん衝撃のデビュー作「上海エクスプレス」で、大島さんが香港の人に注目されている時代で、その辺もあって本作を買った(製作協力した)のではなかろうか。
|
■CAST&STAFF |
監督 |
朱延平(チュ・イェンピン) |
出演 |
藍心〔三眉〕 |
胡瓜 |
大島由加里 |
楊惠珊 |
朱鳳崗 |
倉田保昭 |
陶大偉(タオ・ダァウェイ) |
尤金湯姆斯(ユージン・トーマス) |
小彬彬 |
藤強英 |
滕強美 |
方正 |
陳慧樓(チェン・ウェイロー) |
李長安 |
張藝騰 |
蔡中秋 |
蘇國〔木梁〕 |
林光進 |
武術指導 |
林萬掌 |
脚本 |
薛興國 |
音楽 |
傅立(フー・リー) |
製作 |
黄百鳴(レイモンド・ウォン) |
製作総指揮 |
麥嘉(カール・マック) |
石天(ディーン・セキ) |
王應祥 |
制作年度 |
1986 |
虎拳
Gold Snatchers
■
前回のレビューが「唐人票客」でして引き続き劍龍監督作品をお送りしたいと思います。しかもこちらも「唐人票客」と同年1973年製作。主演はハイスパート功夫の基本を作った陳星(チン・セイ)さんであります。はてさて。
ちなみにその「唐人票客」のレビューをお読みになってからすぐこちらを読んだ方がやや楽しいかもです。
■流れ
シャバ!
何らかの刑期を終えて出所してきた陳星さん。
叔父さんの馬驥が迎えてくれます。
早速、馬車に乗ってどっかへ。
どっかと思ったら亡くなった母の墓参り。母ちゃん!
・・・ちょっと待て。
この展開、どっかで見たぞ。
というか、同じく陳星主演「黒名單」とほとんど同じじゃねぇか!
同じじゃねぇか!
と思ったらこっからの展開が違ってた。
いきなり墓の横辺りを掘り返す陳星。
出てきたのは金塊どっさりの宝箱!
そんなの出したら必ず出てくるチンピラ軍団!
早速、陳慧樓(チェン・ウェイロー)、柯受良(ブラッキー・コー)らのチンピラ軍団とバトル!
やたら強い陳星さんなので18人がかりぐらいでも負けませんが、チンピラは隙を見て宝箱持って逃げ出す。
さぁそこで馬驥のおっちゃんは言いました。
「そうよ!あなたの宝箱を奪ったのは龍飛(ロン・フェイ)よ!とにかくどうせあいつよ!」
というわけで龍飛の屋敷へ乗り込め!
ああもう本当に今回は龍飛の悪役人生の中でもかなりの悪役です。
龍飛は二番弟子。陳星が一番弟子。
何のって?どこかの流派の。
この龍飛が悪い奴でさぁ、まったく。
人殺して罪を陳星に着せるわ(それで入獄)、ヒロインの陳英鳳を犯しそうになるわ。
これって当HPではそろそろお馴染みになって来た表現である血塗れオレンジロードな三角関係まであったりなんかして。
さらに金塊巡って邪魔な陳星を消しにかかるわけよ。
それなのにあれですね、
陳星さんはどーも殺生を墓前で禁じたみたいで、防衛としてしかここから戦わなくなっちゃうわけよ。
というわけで、どっか行く陳星。
この人、何処に向かって走ってるのかようわかりません。
しかしやたら場所を変えて走りまくるってのは劍龍監督の真骨頂というところでしょうか。
そのどっか行ってる陳星を追っかけて、龍飛の手下どもとバトル!
さぁ海岸で!
そら吊橋で!
やれ貨物列車で!
岸壁のところで岩落とされたーっ!
ぐわーっ!(岩に当たる陳星)
がくっ・・・
そして、死んだと思ってチンピラが近寄る。
むくっ!!
生きてる生きてる全然平気!!
今度は馬車に轢かれた陳星ーっ!!
がくっ・・・
そして、死んだと思ってチンピラが近寄る。
むくっ!!
生きてる生きてる全然平気!!
まるで未来からサラ・コナーを消しにやってきたカリフォルニア州知事のような陳星の不死身っぷりが凄すぎ!
業を煮やした龍飛は悪すぎ。
陳星の住処に放火。さらに馬驥を誘拐。
これで遂に捕まる陳星。
ここで殺さないってことは金塊はどこに?
その辺はようわからんが、無残にも結局馬驥は殺されてしまう。
陳英鳳の手引きで脱出した陳星は龍飛を追う。
・・・つーか、おいおい。あれよ。
あれはどうしたのよ。
というわけで物語も終盤に差し掛かってやっと登場しました、倉田保昭兄貴!
どうやら今回はその金塊の取引相手みたいな感じですか。
裏切るぜ!!
取引する雰囲気で早速龍飛軍団とバトル!!
倉田保昭 vs 龍飛 !!
という価値があるんだか無いんだかな悪役対決!
やっぱそりゃあ強い倉田さんの足技で龍飛死ぬぞ、さぁ殺せ!
龍飛殺せ!その後で陳星が出てくる感じが良いぞ!
と思ったらピンチの龍飛を助けるように陳星登場!助けるなよ!
やっとメインの
倉田保昭 vs 陳星 !!
お互い上半身裸でぶつかり合う迫力バトルは流石ですな・・・
と思ったら倉田保昭兄貴が馬車に轢かれて死んだーっ!
さっき轢かれてもピンピンしてた陳星さんと違って
意外とあっさりですかー
完全ゲスト出演だった倉田兄貴の出番が終わり、
やっぱ結局これなのかよなvs 龍飛。
今度は馬車に轢かれた陳星ーっ!!(またです)
がくっ・・・
そして、死んだと思って今度はヒロイン陳英鳳が近寄る。
むくっ!!
生きてる生きてる全然平気!!
まるで未来からジョン・コナーを守りにやってきたカリフォルニア州知事のような陳星の不死身っぷりが凄すぎ!
はい!もう
終劇!
金塊どこ行ったかようわからん。
■
感想を一言でまとめると
陳星の力強さは十分魅力となって表現されているが、敵役を殺すのに最後まで躊躇する陳星にイライラ感を禁じえない映画
といったところか。物語の後味も悪い。
確かに陳星さんの異常なまでのタフガイさが凄くて、この男の強さは何なのだ!?こりゃあ確かに王羽(ジミー・ウォング)作品「怒れるドラゴン/不死身の四天王」で珍しく一番美味しいとこ持ってった、というか一番強い役だったのがその王羽ではなく陳星だった意味がわかるというものであるが、
ただこの映画抜群に龍飛が憎たらしくてねぇ・・・
その「怒れるドラゴン/不死身の四天王」でのオーディオコメンタリーでの鹿村さん。
質問 「龍飛はどんな人でしたか?」
鹿村 「ああチンピラチンピラ」
といともあっさり答えていた爆笑の鹿村コメント通りに悪い顔してるんだわ龍飛が。
倉田迷的にはラストファイトは流石の迫力だが、そこ以外は出演していない映画なので何ともしようがないか。
それで何がどう虎拳というか・・・
|
■CAST&STAFF |
監督 |
劍龍 |
出演 |
陳星(チン・セイ) |
陳英鳳 |
龍飛(ロン・フェイ) |
倉田保昭 |
馬驥 |
魯平 |
陳慧樓(チェン・ウェイロー) |
金銘(トミー・リー) |
柯受良(ブラッキー・コー) |
龍方(ロン・ファン) |
王太郎 |
呉可 |
關洪 |
何維雄 |
岑潛波 |
陳森林 |
孫榮志 |
何明曉 |
武術指導 |
李銘文 |
梁少松 |
脚本 |
朱向敢 |
音楽 |
周亮 |
製作 |
黄卓漢 |
制作年度 |
1973 |
怒雙衝冠/我是中國人
Unsubdued Furies/I Am a Chinese
倉田保昭の『激怒の鉄拳』
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しかし、この本作発売元のラインコミュニケーションズって会社は変わってるよなぁ。通常、商品リリースというものは市場のマーケティングを行って
「よし、いける!」
となって初めてリリース作業を進めていくもんだと思うのだが、この社の香港映画のリリースっぷりは端から見ても
「売れやせんが、まぁ出してみるべ」
といった感じで、はなから黒字をちゃんと狙って発売しているのか甚だ疑問である。
当HPでもラインコミュニケーションズ作品はたくさんレビューしているがその中の一つ「狼の墓場」レビューで語った通り、結局はブックオフの棚埋めに使われてしまうだけの作品になってしまうのだが。
まぁここになるこうというそれを待ち望んでいる酔狂な人間もいるのだが。
この会社がメインでDVDリリースしているのはアイドルのセクシーものでGoogleから飛べばまずあっはんうっふーんの世界だ。そこからリンク先でやっと紹介ページ、これなんなんですかねーこの会社の担当者の一人だけは
「どういう形でもいいからとにかく香港映画リリースしちゃる!」
ということなんでしょか?
良く取ればそういうことになるやろし、そうなると私なんかはむしろ見習わなくてはならないお方になりますよね。
確かにDVDの仕様は酷くて特典は何一つ無く、フィルムそのまま持って来た汚い映像ではありますが、限られた予算でリリースするにはこの形しか無いのかもしれませんね。
本作はケ光榮(アラン・タン)に倉田保昭が呼ばれて出演した作品で冒頭はあれもまぁ典型的な反日映画といった展開なのだがちょいと気の効いたようなヒネリを見せる作品である。
■流れ
色々事情があって帰郷したケ光榮(アラン・タン)。
ところが村人も両親もおらず。
使用人に聞いてみると、皆日本人に金塊が獲れると騙されて連れてからて奴隷の如くにこき使われているのだという。
現場を取り仕切るのは我等が倉田保昭。
ケ光榮は習い覚えた功夫を武器に現場に潜入していくのだが・・・
終劇?
・・・と、ここまでは正に反日映画そのものなのだが。
元々、ケ光榮は日本で武術を練習しており、
倉田はその道場の師範代。
しかもその倉田の妹・唐寶雲とケ光榮は恋仲に。
「頼むから!俺の妹に手を出すのだけはやめてちょ!」
涙を流して懇願する倉田に根負けしたケ光榮は彼女との仲を諦めて帰郷していたのであった。
ところが、その後現場の仕切りを任された倉田。
内心はケ光榮を探している唐寶雲と共に中国へやって来ていたのだった。
そもそも掘っているのは金塊ではなくタングステン。
砲玉の原材料になるということで、
「それで中国を攻撃してきたらどうすんだ!きみぃ!」
ってことで作業の邪魔をするケ光榮。
一度は倉田の手下に捕まってボコられてしまうが、機転を利かした唐寶雲が彼を入院させる(唐寶雲が院長です)。
タングステン採掘量が落ちている。
てなわけで日本国は新たに韓英傑(ハン・イェンチェ)を派遣。
倉田は手下に格下げさせられる。
さらにケ光榮を探すために病院へ。
そこで韓英傑は婦長・易虹に目をつけてレイプ。
日本人は世界一スケベな人種と思われていることでしょう。
何てったって何とアダルトメディアの豊富な国か。
まぁごちゃごちゃと色々あるが、
オチとしては倉田の母は中国人だった!
おまけに今度は唐寶雲までレイプしようとする韓英傑。
それを見つけた倉田と乗り込んできたケ光榮でラストバトルだ!
終劇
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倉田保昭が悪役になってないとこが凄い。
まさかラストは正義側に回ってしまって最後に漏らす台詞に
「ええーっ!?茨城県生まれじゃなかったんですか!?」
みたいなやや仰天なオチだ。
でも作品としてはまぁまぁやな。
韓英傑が付けた立ち回りは胡金銓(キン・フー)監督のような編集技術とカメラワーク、そして武侠片であるが故のリアリティを醸し出せるもんではあるが、本作ではもっさり感ばかりが目に付き余りアクションに迫力が無い。倉田という猛者がいるのに残念だ。
しかしこのケ光榮って人は何なんでしょうね。
他の映画会社やスター達と接点を持たず、ずーっと独自で映画制作をしているような人で、香港映画界の中では異質の存在だよなぁ・・・台湾?
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■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
侯錚 |
出演 |
ケ光榮(アラン・タン) |
倉田保昭 |
唐寶雲 |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
易虹 |
李強 |
邵羅輝 |
余松照 |
潘章明 |
金劍 |
郭萍 |
武術指導 |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
策劃 |
温勝 |
製作 |
黄君介 |
劉星光 |
製作総指揮 |
何民強 |
制作年度 |
1973 |
大追蹤
Fists for Revenge
倉田保昭の『激怒の鉄拳』
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うーん、何ともにんともな作品だ。
「龍拳」でジャッキーとも対戦歴のあるものの取り分けてどうだと言うこともない高強(コー・チャン)主演ってのがまた何ともインパクト無いことこの上無いが、作品そのものもどうせどこかのシノプシスもらって来たんだろうそのままだろうって感じでにんともかんとも。
余りにも物語に工夫が無く、またそれであるならば肝のアクション面に於いて頑張ってもらう以外に何も無いのだがうーむ。
■流れ
倉田保昭、唐威、蔡弘の三人は服役中の死刑囚。
金塊強奪事件の犯人でありながら兄貴分の韓英傑(ハン・イェンチェ)にはめられて捕まっていたのだった。
死刑の前日に脱獄を図る三人。
・・・なんちゅうか、中国って判決が死刑だとして執行がむちゃくちゃ早いんですよね、実際に。これって脱獄が多かったからでないの。現実は簡単に脱獄出来ないとしても怪我人とか死人とかその時に出そうだし。
やたらコンビネーションの良い・・・三人だとトリオネーションて言うのかしら?
三位一体で脱獄を成功させ、荒野を抜けて民家へ潜り込む。
そこにいた爺さん・葛香亭は彼らを疑うことなく持て成したが、極悪トリオは酷かった。
葛香亭を撲殺すると、娘の唐寶雲を輪姦、放火して逃走する。
弟の金廷勳以外に全てを失った唐寶雲。
ここから「キル・ビル」みたいにヒロインが痛快だったら面白いのだが、もう如何にも弱弱しい唐寶雲さんだとなかなか
「これは一人では三人相手に復讐は無理ですよ」
となってしまう。泣き寝入り確定か。
そこで助け舟が入る、謎の男・高強。
「イマイチ頼りない」
ってことで相手にしない唐寶雲。
一方、極悪トリオは韓英傑に落とし前をつけるべくその屋敷へ。
大人しく金塊を渡すと言った韓英傑だったが、倉庫に彼らを閉じ込めてやっぱりバトル開始。
やはりは韓英傑は強くて倉田さん一人では苦戦を強いられたらが、極悪トリオ三位一体になるとやたらと強くなるので、それで韓英傑は殺されてトリオは金塊を奪還する。
ここから三人を探して唐寶雲・金廷勳、そして高強は町を探索するのだが、物語の時間軸がおかしいというか、極悪トリオが金塊を奪取してから随分と時間が経っているのよねぇ。
賭博場にいた蔡弘は既にシケた身で、金塊も全てギャンブルで消えてしまったのか、
「昔は俺たち凄かったんだぜ」
と昔話に浸る始末。
そっけなく味方のフリして話を聞いていた高強であったが、これを発見した唐寶雲が乱入してバトルになってしまう。
何とか蔡弘を2人で倒したが、手がかりを失ってしまう。
倉田は醸造業を営んでいた。
忍び込む唐寶雲・金廷勳、高強・・・あれ?手がかり失ったんじゃ?
倉田は一人でも屈強なのに手下をズラリと揃え・・・って、全員唐寶雲、高強に倒されましたが説得力無いな。
金廷勳を人質に獲ってトラックで逃走する倉田。
名前を変えて町の名士になっていた唐威のところに飛び込むと金廷勳を閉じ込める。
今では警察署長とも繋がりがある唐威であったため、警察まで敵に回して戦う唐寶雲、高強であったが警察署長もバカではなく、またそして実は秘密捜査官であった高強であった信用もあって形勢逆転。
実は死んでなくて帰って来た蔡弘も捕まえて、三人とも御用の巻・・・
と思ったら鎖に繋がれたまま極悪トリオと唐寶雲、高強の最後の戦いが始まった。
終劇
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うーん・・・
観てもらえばこれまた一目瞭然だが、なんちゅうか「倉田保昭の『激怒の鉄拳』」のレビューに書いたのと同じことで、倉田さんが強すぎるんですわ、ほんまに。もう如何にも負けてあげてるって感じで。「武道大連合/復讐のドラゴン」でのまだ功夫全然出来なかった孟飛(メン・フェイ)の倉田戦の方がまだマシって感じで(あれは武術指導に劉家良(リュー・チャーリャン)がいたからだが)、立ち回りでは倉田さんのキレの良い足技ばかりが目立ち、唐寶雲さんのナヨッとした可愛らしいパンチではどうしようもないだろうな感触が強すぎる。せめて例えば高強が強力なパンチ力の持ち主であるとかそういった対比によるメリハリを付けて欲しかった。
テレビドラマの1エピソードであれば十分持っ内容だが、これだけのストーリーで1映画というのは些か辛いか。残念ながら倉田ファン以外には薦め難い作品だ。
・・・いやそれにしてもあの「懲罰」まで「倉田保昭の『カンフー大作戦』」となって発売予定ですよ!びっくりですね!
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■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
張美君(チャン・メイシュン) |
出演 |
高強(コー・チャン) |
唐寶雲 |
倉田保昭 |
唐威 |
蔡弘 |
韓英傑(ハン・イェンチェ) |
邵羅輝 |
葛香亭 |
金廷勳 |
胡威 |
武術指導 |
杜文波 |
音楽 |
陳勲奇(フランキー・チェン) |
策劃 |
温勝 |
製作 |
許コ珍 |
製作総指揮 |
何民強 |
制作年度 |
1974 |
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