■CAST&STAFF |
監督・脚本 |
羅維(ロー・ウェイ) |
出演 |
王道(ワン・タオ) |
チャック・ノリス |
張艾嘉(シルビア・チャン) |
ロバート・ジョーンズ |
ダニエル・イワン |
ボブ・タルバート |
チャック・ボイド |
銭月笙(チェン・ユーサン) |
林正英(ラム・チェンイン) |
音楽 |
ジョセフ・カ−チス |
製作 |
鄒文懐(レイモンド・チョウ) |
制作年度 |
1974 |
火焼少林寺
The Blazing Temple
少林寺炎上
■
典型的な拾い物の一本。
製作年度は1976年。監督は郭南宏(ジョセフ・クオ)そして主演は黄家達(カーター・ウォン)。
ということで、この取り合わせの1976年であればアクション的にもそんなに期待できないし、
どのような作品かも大まかに予想できてしまうこともあって全く期待してなかったが、
「意外に面白いじゃん」
というのが正直な感想。
「火焼少林寺」
ということで、ああいつもの焼き討ちね、とストーリー的にも使い古されているが、
ショー・ブラザーズでもゴールデンハーベストでもない小プロダクションの作品にしては
スケール的に非常に大きく、セットもエキストラもバッチリの力作で、
「こんな古い映画をどうして今さらビデオ化するのだろう?」
という疑問も、この作品の出来上がりを見れば納得できるところがある。
■流れ
卑怯な手で皇帝の座にのし上り暴虐の限りを尽くす雍正帝。
その雍正帝を暗殺せんと付狙う嘉凌(ジュディ・リー)だったが、
暗殺敵わずに一旦、その雍正帝から恨まれまくってる少林寺に駆け込む。
「ちょこざいな!少林寺!」
というわけで大砲持って軍を引き連れ少林寺に攻撃を開始する雍正帝。
大砲なんて近代兵器で襲ってきたもんだから少林寺は大パニック!!
次々と命を落とす僧侶たち。そして燃える寺院。
とりあえず館長の下へ集まれー!
【提案】
・十八銅人に挑戦して通り抜け脱出して逃げるか
・戒律を破って岩を動かして逃げるか
・ただひたすら神に祈るか
ロクな案が出てこねぇ!!
誰が祈るかって!
なんのために功夫修行してきたんじゃ!
そして十八銅人がどうとか言ってる場合かよ!そこ担当も逃げろよ!
十八銅人に挑戦する少林僧たち(だからみんな逃げろって)
銅人とかそれを管理する僧侶たちは外の事情を全然知らないのか、
次々と挑戦する僧侶達を毒牙にかけます。仲間内で殺し合いしてる場合じゃないと思うんですけどね。
一方で、
・戒律を破って岩を動かして逃げるか
を実行した館長たち。その館長自ら犠牲となって岩を動かし、みんなを脱出させます。
最後に岩を抜け出す黄家達(カーター・ウォン)に究極奥義の十八経典を授け息絶える館長。
十八銅人の方も何とか張翼(チャン・イー)、金剛(カム・コン)たちが抜け出します。
しかしここで追ってきた雍正帝の部下どもからみんなを守るために金剛が犠牲になります。
やっと少林寺から抜け出たのに可哀想なもんですなぁ。憎むべし雍正帝。
「暴君に制裁を!」
少林寺を焼き討ちされて怒りに燃える少林僧たち。
雍正帝暗殺を企てますが雍正帝がそこら中に現れるといういつもの(?)分身戦法にやられ失敗。
しかも少林僧の中には密偵がいたのです。
やっとこさ雍正帝の宮殿に侵入したものの、その密偵に騙された
黄家達や張翼たちは敵に取り囲まれてしまうのでした。
絶体絶命!力の限りに戦いますが多勢に無勢で不利になる張翼たち。
その時、 雍正帝に突然飛んでくる毒矢!!
毒矢を投げたのは密偵でした。何とか雍正帝に近づくために、同門の前で裏切りを繰り返していたのです。
張翼 「よくやった!お前を疑ってすまなかった!!」
最後の最後で理解しあって息絶える密偵だった僧と張翼。呉字森(ジョン・ウー)もびっくりの友情ドラマが展開!
しかし、ということは生き残りは黄家達ただ1人!
ここで使うしか!
ということで、黄家達は貰った経典で覚えた少林究極奥義"十八の型"で応戦!!
すんでのところで駆けつけた嘉凌の活躍もあって形成は一気に逆転し雍正帝の首をはねるのでした。
終劇
■
話としてはこれだけなんですが、まぁ低予算の功夫映画によくありがちな
・少林寺と言ってる割には修行僧とか5,6人しかいませんなぁ
・皇帝と言ってる割には部下が5,6人しかいませんなぁ
・建物が出てこなくて野っ原ばっかりですなぁ
こういったことが全然無く、エキストラと大小のセットを組んで織り成すスケールはなかなかのもん。
それでいてシンプルながら男どもの汗臭いドラマもなかなか熱くて面白く、その辺でも飽きさせません。
郭南宏監督の代表作ですね、これは。
|
■CAST&STAFF |
監督・製作 |
郭南宏(ジョセフ・クオ) |
出演 |
黄家達(カーター・ウォン) |
嘉凌(ジュディ・リー) |
張翼(チャン・イー) |
金剛(カム・コン) |
唐威 |
衛小雲(ウェイズ・ワン) |
易原 |
魯平 |
南少夫 |
陳少鵬 |
柯佑民 |
邵羅輝 |
洪化朗 |
黄冠雄 |
林望南 |
劉立祖 |
解元 |
魯平 |
陳家凱 |
胡威 |
胡光 |
呉可 |
何〔王韋〕 |
張寶善 |
岳峰 |
阿輝 |
楊金玉 |
陳森林 |
張美儀 |
葉茂 |
荘偉明 |
張宗貴 |
阿雄 |
陳雷 |
王凡 |
何中 |
武術指導 |
陳少鵬 |
脚本 |
郭南宏(ジョセフ・クオ) |
徐銘〔三兼〕 |
音楽 |
陳勲奇(フランキー・チェン) |
策劃 |
江南 |
製作総指揮 |
郭藩〔人利〕君 |
制作年度 |
1976 |
コータローまかりとおる!
■
まぁ香港映画じゃないし、カテゴリー的にもあんまり関係ないんだけど、久しぶりに観てみたら意外にバカバカしくて面白かったのと、この作品も詳しく解説してるとこなんかほとんど無いだろうってことで、改めてちょっと詳しく書いてみようかと思ってみたりなんかする。邦画。
1983年に「カンニング・モンキー・天中拳」と同時上映されたJAC・東映製作で新人の黒崎輝を主演に起用した「伊賀野カバ丸」大ヒットのため、翌年「五福星」同時上映の同じパターンで本作が作られた。こっちも当時ジャッキー大人気ということで便乗ヒットを重ねたし、TVでもJAC新人スターだった高木淳也主演の「魔拳!カンフーチェン」がゴールテンタイムに放映されてたりしたもんだ。「伊賀野カバ丸」にも出演していた高木淳也は今回出演していないが、その分、真田広之そして「宇宙刑事ギャバン」の主演で有名な(?)大葉健二の出番も見所も多くなっている。豪華というか面白ゲスト人続々登場パターンも健在。
■流れ
※ちなみに私は原作の漫画「コータローまかりとおる!」を読んだことがありません。
ここは鶴ヶ峰学園。
イマイチ高校なんだか大学なんだかわからんが(高校だと思うが)、ここの一生徒であるコータロー(黒崎輝)は部員がコータロー1人の空手部主将(だから1人だけど)。っていうか、スケベで今日も暇つぶしに女子更衣室をのぞいて楽しんでいた。っていうか、案の定見つかって大騒ぎ。
新聞部の部長である斎藤ゆう子は・・・斎藤ゆう子て!!
懐かしいというか完全に脳裏から消え去っている人というか、俺より下の世代ではもうさっぱり知らないだろうというか、セガのふる〜いゲーム機のCMに出演していただろうとか、とにかくその部長がコータロー大騒ぎの不始末見出しにこうつけた。「コータローまかりとおる!」
風紀を厳しく取り締まりたい生徒会長の山口良一は・・・山口良一て!!(こっちはそこまで驚くこともないか。現役でTV出てるし)
イモ欽トリオなんてもう完全に知らないんだろうなぁ、今の人たちは・・・(哀)
コータローの忌々しい長髪切ったら100万円!!
と多額な懸賞金を出してまでコータローを懲らしめたい。
テニス部、茶道部、バスケ部、野球部、色々なクラブがその100万円を予算に当てたいとコータローに襲い掛かる!!
ああ、ほんとにバカバカしいオープニングである。
長い髪を付け狙う学生達をヒラリヒラリと交わしてコータローは散髪屋へ。由利徹がマスターを務めるこの店で出会ったのは風紀委員会特別機動隊隊長(た、隊長って・・・)であるスキンヘッドの大葉健二だった。
早速、大葉健二と対決するコータローだったが大場が切った大木に押しつぶされて絶体絶命。ここはなんとかヒロインの千原麻里が救った。
その後も続く長髪奪取攻防戦・・・に嫌気がさしたコータローは生徒会長の目の前で自分で長髪を切ってしまう。
「つーわけで、俺に100万円くれっ!!」
・・・うーん、ぶくぶくぶくぶく・・・・・・泡を吹き卒倒する生徒会長。
しかし、ここは機転の良い風紀委員長・真田広之の詭弁で100万円払わないで何とか済まさせる。
しかし、イライラの収まらないコータローは学生ライヴに乱入。大葉健二に向けて"ハゲ音頭"をシャウト!!
怒り心頭の大葉はステージ上でコータローに襲い掛かる!!
まぁその前に大場さん日本刀をずっと持ち歩いてるんだけど、それは違法なんですが。
大場が切ったコータローの帽子、中から出てきたのは切ったはずの長髪だった!!切ったふりしてただけなのだ!!ということでまた大騒ぎ!!
ついに蛇骨会が動き出す。え?
鶴ヶ峰学園を裏で牛耳る蛇骨会。そのNo.1である鞭使いの伊原剛士は、やり放題のコータローと剣術凄まじい大葉健二が気に入らなくて、倒したい倒してみたい。それよりも伊原剛士さんの若いこと!
しかし蛇骨会会長である紅花(志穂美悦子)は伊原剛士の出動を許さず、まずは傘下である剛武流空手道場にコータロー撃退を命じる。
ここに剛武流空手vsコータローの100人組み手が始まった!!
戦う理由も映画そのものもバカそのものな気がするも、ここで行われる100人組み手アクションはJAC功夫の総決算のようななかなか素晴らしいアクションシーンに仕上がっている。そして必死の攻防の末、ついにコータローは100人を打ち破る。
画像は「忍者武芸帖 百地三太夫」
「後継者にピッタリだわっ、うふっ♪」
と、確かに嬉しそうなバラを片手に志穂美さん、お綺麗はお綺麗ですが好きですが、あなたまさかこれ高校生の役のつもりじゃないでしょうね!?
とそればかりが気になってしょうがない、いやいやそもそも学園を牛耳る蛇骨会てなんやねん?ってのが一番気に掛かるのだが果てもさてさてあーこりゃこりゃ。
と、そんな蛇骨会牛耳る鶴ヶ峰学園にあろうことか、どっかのプリンセスであるクララ姫が留学することに。
「何か粗相があっては大変だ!」
と慌てふためく校長のハナ肇さんを尻目に、来日したクララ姫にさっそくMHKアナウンサーのフリして近づいたコータロー、姫のスカートをペロッとめくってしまう!
姫 「オー!!エキゾチックジャパーン!!」
と、その過激な日本文化に嬉しくて何度もスカートめくりを要求する姫。
さすがは「堕靡泥の星 美少女狩り」とか「エロ将軍と二十一人の愛妾」なんて映画も撮ってる鈴木則文監督である(「トラック野郎」も鈴木さんだけどね)。まぁこの辺の日本エログロ作品で良いのたまに撮ってた気もするが。
コータローのことが大好きになるクララ姫だったが、そこに悲報が。
姫の父、つまり国王が重病になっちゃって昨日今日留学した姫は帰国することに。なんちゅうご都合主義な展開。この作品の全てを牛耳っているJAC館長・千葉真一が登場して姫を連れ帰ってしまう。
その後、ずっと蛇骨会会長の悦ちゃんにバカにされていた伊原剛士が遂に単独行動へ。そもそもこの作品のヒロインだったような気がするが、これ一本で引退してらっしゃるような気もする千原麻里を誘拐。コータローに対決を迫る。
蛇骨会本部に乗り込むコータロー。
行く手をさえぎるのは妙に強敵ばかり。それもそのはず各武術系のクラブはみーんな蛇骨会の傘下だったのだ!!
・・・でも蛇骨会ってなに?
多勢に無勢のところで助太刀したのは大場健二だった!
日本刀で「ルパン三世」の石川五右衛門のように敵を斬り、
「早く行けっ!」
とコータローに促す大場さんが実に格好良い。
時計台裏で行われる伊原剛士vsコータロー
ところどころで丸々「プロジェクトA」のパロディ、いやリスペクト、いやトリビュートがあったりするのは意外と知られていないところ。
伊原剛士を何とか倒すコータロー。
「やっぱりこの不良グループ、蛇骨会会長の後継者としてピッタリねっ、うふっ♪」
画像は製作年度の近い「里見八犬伝」('83)
えっ!?
結局、蛇骨会って単なる不良グループ!?
何か後ろでもっとこう例えば麻薬密輸に関係とか何とか、そんなんじゃなくて単なる不良グループ!?
単なる不良グループが時計台の裏に豪華な要塞築いてたりするの!?そ、そ、そ、そして・・・
し、志穂美さん、あなたまさかホントに高校生のつもり!?
上半身毛皮で下半身がピンクのレオタードという凄い衣装も特筆ものだが、何よりも役柄が凄い。さらに凄いは続く。
会長の座を拒否したコータローに容赦ない悦ちゃん攻撃!
JAC新旧スター、志穂美vs黒崎 である!
時間こそ少ないが、ここでの志穂美さんの剣技、見事だなぁお世辞でもなんでもなく・・・こういうの観ると勿体無いよ、ほんま。
志穂美さんの剣技に成す術もないコータロー。
やはり御大・千葉真一主演メチャクチャ空手映画の脇役女ドラゴンから成り上がり、「女必殺拳」「必殺女拳士」「女必殺五段拳」等など数々の主演功夫映画をこなしてきた日本が誇るスーパー女ドラゴンとたかだか真田広之の「吼えろ鉄拳」で単なる人の良い兄ちゃん演じてたに過ぎない黒崎輝では文字通り役者が違ったか。というか、また「吼えろ鉄拳」観たいな、もう忘れたな。
絶体絶命のコータローは苦し紛れに何と!志穂美さんの×××を触る!!
しかも、そこには女性にはついてない存在のはずの朝元気になったりするモーニング息子。の感触が何故かしっかりと!!
ぼはっ!!とそこにまた何故か大量のスモークが焚かれる!!
荘厳なBGMにて姿を現したのは何と風紀委員長の真田広之だったしかも化粧ばっちりだったしかも目張りも入れてあったしかもメチャメチャ恥ずかしい衣装だった!!
真田広之は表では風紀委員長、裏では志穂美悦子に化けて蛇骨会会長になり学園を裏表から牛耳っていたのだ!
この際、牛耳って何の特があるのだろう?とかそんな質問は無しだ。と製作側から聞こえてくるではないか。
それよりも、単なる真田の化け役に過ぎなかった志穂美さんが余りに可哀想というか、そこまでして新人を立てなくても良いだろうという気がするのが一番だ。
それもさておきここに、
真田広之vs黒崎輝
という夢のような気がする対決が始まった!!
終劇
■
まぁ確かにこの辺から徐々に流行りだしていったような気がする学園犯罪組織モノ、「スケバン刑事」とか主演であるはずの中山美穂が主演なのにまるで「太陽にほえろ!」のボスのようにオープニングと最後しか登場しない「セーラー服反逆同盟」とか、「少女コマンドーいずみ」とか・・・俺も結構覚えてるな。とにかく、高校や中学の短い短い3年間の中に何故か巨大な悪組織がはびこるパターンが当たり前のように存在していた時代が懐かしい。
この映画は蛇骨会という可愛い会長のいる組織との戦いがメインに見えつつも、クララ姫のパンツはじめ爽やかエッチシーンやいつも真面目演技ばっかりの大葉健二や真田広之が本作ではコミカルに徹しているのも興味深いし実際面白い。特に大場さん。後に大場さんは千葉真一御大とともに「KillBill
Vol.1」に出演し、真田さんが「ラスト
サムライ」に出演しているのも非常に興味深いところである。ちなみに主演の黒崎さんは現在は沖縄の方でスキューバのインストラクターをしているらしい。
ちなみに、『牛耳る』の意味は昔の中国の偉いさんが、 領主に牛の耳を削ぎ落とした時の血を飲ませて忠誠を誓わせるとこからきてたりします。
|
■CAST&STAFF |
|
監督 |
鈴木則文 |
出演 |
黒崎輝 |
千原麻里 |
真田広之 |
大葉健二 |
志穂美悦子 |
伊原剛士 ※クレジットは伊原剛 |
崎津隆介 |
鈴木玄秀 |
関根大学 |
シャナ・ホーキンス |
卯木浩二 |
春田純一 |
山本咲子 |
斎藤絵里 |
加藤由美 |
坂本朋恵 |
飯田容子 |
今泉ゆかり |
澄川真琴 |
小山みゆき |
沢田祥ニ |
藤川聡 |
庄司浩和 |
佐久間浩司 |
矢野和弘 |
良久誠 |
赤田昌人 |
吉瀧久司 |
青木ルースりざ |
加納美和 |
吉田真弓 |
四戸圭子 |
有栖川淑子 |
佐々木俊彦 |
和田博喜 |
高橋武志 |
北島佐和子 |
内田タクマ |
タンクロー |
西村陽一 |
浅利俊博 |
西田真吾 |
藤井忠勝 |
吉井勝 |
小林英治 |
小林勇治 |
多田雄司 |
波多野雄一郎 |
加藤勝英 |
富田健介 |
川口一二三 |
阿部はるみ |
高橋美紀 |
磯田弥重美 |
戸谷昌弘 |
青野真己 |
真弓伸子 |
伊野口和也 |
真矢武 |
砂川真吾 |
藤大介 |
山口良一 |
斎藤ゆう子 |
由利徹 |
ハナ肇 |
山城新伍 |
千葉真一 |
武術指導 |
高木薫 |
脚本 |
鈴木則文 |
志村正浩 |
原作 |
蛭田達也 |
音楽 |
佐久間正英 |
製作 |
豊島泉 |
厨子稔雄 |
佐藤公彦 |
制作年度 |
1984 |
五毒天羅
The Web of Death
■
姜大衛(デビッド・チャン)、狄龍(ティ・ロン)といったショーブラ大スターが出ていないだけに、あんまり触手を伸ばす人もいないんじゃないか的作品であるが、これが意外に力作で面白い。
冒頭の始まりで、
「なぬーっ!そのままかよ!」
みたいななんだこりゃ始まりを見せるので、
「こりゃだめか」
と思ったが、その後の展開はスリルもあって面白くなかなかの傑作であった。バカ映画かと思ったが。
■流れ
夜。
呉杭生ら剣客達を姜南(チャン・ナン)らが待ち伏せ。
「なんだお前らは!」
「我らは五毒教なり!」
と言って姜南が燈篭みたいなものを取り出すと、
そこから蜘蛛の糸がシュワーッ!!!
呉杭生らは蜘蛛の糸に巻かれてグワアーッ!(死)
"五毒天羅 The Web of Death"
「なぬーっ!そのままかよ!」
Webとは即ち蜘蛛の巣のこと、ほんでdeathと。
ほんでもってSFチックな演出も満載でこの先この映画どうなるのかと。
五毒教。
決して絶対的な悪ではないが、邪教として人々から忌み嫌われており、やはり人前で正体をバラすのも憚られるような組織。そして強大・・・・・まぁたぶん。
五毒教は今日もアジトでミーティング。
教祖様は王侠で、手下が羅烈(ロー・リエ)というわけだ。
「俺たちはいったいどうしたらいいかのう・・・」
って感じで決して悪巧みをしているといったことではないと思われ気分、しかし。
羅烈は教祖の妻を密かに寝取っており、反旗を翻すチャンスを伺い、作戦を練っていた。
一方、武林では会合が開かれ各門派の長が会議。
「五毒が襲ってきた時のために団結しなきゃな」
ってことで(だと思う)話し合ったが、
「それじゃあ少林vs武當をなんとかしないとな」
ってことで、武當派きっての使い手である岳華を少林派によこし、少林派の谷峰(クー・フェン)大師と手打ち的協力をしてくることにする。岳華は弟弟子の王鐘と妹弟子の李麗麗(リリー・リー)に見送られて旅立つ。
客棧。
「蛇鶴八拳」の金正蘭(クム・チンラン)みたいに思いっきり乞食の格好した汚い女の子が料理をパクつく。
宿主の馮敬文が
「金を払え!」
と言ったがやはり持っていない様子でやっぱケンカ。
それにしてもこの女の子強い!
そしてこの戦いの中にチラッと元彪(ユン・ピョウ)らしき人物が見えるが断定できず。元彪である確率60%。
そしてこの汚い女の子がヒロインの井莉だった!
あんた、こんな汚れ役で頑張ったねぇ!!
そこを通りがかった岳華が助けてくれる。
井莉を助けた後に岳華は少林派・谷峰大師のいる三休壷へ。
興味津々の井莉が尾行してたりして。
ここで見事に岳華は谷峰大師との協力を取り持つことに成功する。しかし、お互い五毒教のアジトの場所などは知らないのであった。岳華を誘い出す井莉。
井莉 「五毒について知りたければ夜半に銀湖においで」
岳華 「銀湖?なぜ君が?」
夜半。
銀湖で乞食の井莉を待つ岳華。
しかしそこに現れたのは絶世の美女。
↓
岳華 「あ、あなたは?」
井莉 「わからない?」
この絶世の美女こそ乞食の井莉だったのだ(そりゃそうだ)!
しかし、五毒教については大したこと語らず去っていったりして。
井莉 「凄いハンサム君に会っちゃった!」
侍女にそう言ってキャッキャする井莉。
なんとこの井莉、五毒教の教祖の娘だったのだ。
江湖が騒がしくなる。
それと言うのも五毒教の秘密要塞の地図が出回り始めたというのだ。それを奪って五毒教を倒し、名を挙げたいとする各門派たち。
先の武當派王鐘と李麗麗も駆出されて捜索へ。
この次の李麗麗さんが服が燃えてるのに戦い続けるシーンが凄い。それとここで元華(ユン・ワー)確認。元華確率99%。
戦闘の末に秘密要塞の地図を手にしたのは王鐘と李麗麗。
そして王鐘は要塞潜入へ、李麗麗は武林に報告へ。
「少林寺への道」の十八銅人もびっくりな殺人からくり屋敷になっている五毒要塞。それにしてもセットに金がかかってます。
このきつい要塞を潜り抜けて王鐘は遂に五毒教パワーの源である蜘蛛箱、冒頭で姜南が使ってた蜘蛛の巣飛ばすあれを入手。しかしそこに井莉が!井莉vs王鐘!
井莉は王鐘を毒針でやっつけるが、彼が自分の愛しの人である岳華の弟弟子とわかり、困惑する。
というわけで、守備隊グループに出向く井莉。
「この人と、この荷物を三日以内に武當派に送って」
なぜ三日以内かというと、毒がまわってしまうから。
大金を積んだのでこれを引き受けた守備隊であったが、これが思わぬ事態を生む。
王鐘と一緒に運んでいた荷物が蜘蛛箱だったのだ!
これに守備隊長が気づくと、目がくらむ。
「これを持てば俺は最強だ!」
狂った隊長は自分の部下を斬り捨てると蜘蛛箱を自分の屋敷へ持ち帰ってしまう。
まぁここからが隊長のバカなところだが、これを謀叛を企んでいた五毒教の羅烈に報告。自分の屋敷で盃を交わすかに見えたが、まぁそんなわきゃないわな。
蜘蛛箱奪った羅烈は守備隊ほぼ皆殺し。
井莉が駆けつけたが時既に遅しで立ち去る。
さらに岳華が駆けつけたが時既に遅しで立ち去る。ついでに自分の弟弟子である王鐘が五毒教にやられたことも知る。
さらに遅れてきた隊長部下の徐少強(ツイ・シャオチャン)
らに隊長が
「五毒教・・・岳華・・・・」
と言って事切れたので、守備隊は五毒の井莉と岳華が殺したものと思い込む。
遂には岳華が五毒教要塞に乗り込む。
多勢に無勢、さらに教祖の王侠とも戦ってフラフラまさに命懸けの戦いだったがほんまに死にそうになったので、逃げながら戦っている知らず知らずのうちに井莉の部屋へ。そこで匿ってもらい岳華は助かるのだが、井莉に結婚を迫られ、命の恩人だし可愛いし断わりきれない。
ここに戻ってきたのは蜘蛛箱を手にした羅烈だった。
羅烈はあらかじめ裏切る予定だった・森らと結託して、教祖・王侠をその蜘蛛箱から出る蜘蛛の巣で殺すと、さらにその魔の手を娘の井莉に伸ばす。すんでのところで逃げた岳華と井莉、向った先は武當の山だったのだが・・・
武當山。
毒にやられて治療を続けていた王鐘、命は取り留めたものの両足が不自由になってしまう。
その毒を投げた本人が井莉だとも知らずに岳華との結婚を祝う王鐘。だが王鐘は先の戦いの時に井莉の顔を見ている。
ここで王鐘と井莉はなんとか誤解も解け、和解に進むかと思ったがそうはいかなかった。
守備隊の徐少強が少林派の谷峰大師に自分の隊長が武當派の岳華そして五毒の井莉に殺されたと報告。
「武當め!協力するはずじゃなかったのか!」
と怒った谷峰大師が他門派も引き連れて武當山に乗り込んできたのだ!
一触触発、さらには井莉が五毒教祖の娘であることが全員にバレて誤解だらけ。井莉は各門派の長に襲われて重傷を負う。
「ふははははっは!!」
ここに現れたのは羅烈であった。
全ての悪事はもちろんこいつ。
「ここにいる全ての門派を一網打尽にして俺が江湖のNO.1になってやる!」
羅烈が蜘蛛箱を解き放つとブシャア!と飛びだす蜘蛛の巣!
これが蜘蛛の巣!
岳華、井莉はじめ全ての者たちは蜘蛛の巣に囲まれてしまう。ちなみにこの蜘蛛の巣に触れたら何故か死にます。
「どうやってこの蜘蛛の巣を破ったらいいんだ!」
蜘蛛の巣攻略法が全くわからず、ただただ死を待つだけなのか!?
井莉は五毒教だから攻略法を知っているんじゃ?
「私もわからない」
もうだめだ!と思われたそのとき、さらに泣きっ面に蜂!
蜂ではなくて蜘蛛!
この小っちゃい蜘蛛が滅茶苦茶強いのだ!
怪獣映画みたいなことになっていく物語、でも蜘蛛が小さいの迫力は全く無しだ!でも攻略法はわからず!
井莉はあること思い出していた。
「お前に何かあったらこの貝のペンダントを開けなさい」
と持たされていた父の形見のペンダントのことを・・・
終劇
■
蜘蛛箱の存在自体が滅茶苦茶な気はあるが、その他のストーリーは破綻しておらず、裏切りや誤解、嫉妬や愛情が交錯するひねった物語は非常に魅力的であり、さらにその強大すぎる蜘蛛の巣をどうやって破るのか!?といったスリルも兼ね備えており、アクションは武術指導の唐佳(タン・チァ)、袁祥仁(ユアン・チョンヤン)のおかげで結構なもので特に文句を付ける気も無い傑作である。
これは多分同年の楚原作品「流星・胡蝶・剣」の直前に撮られたものだと思われるが、ここで既に同レベルの作品を撮っているところが興味深い。何も原作古龍(クー・ロン)を引っ張ってこなくても
脚本・倪匡(イ・クオン)で十分面白いものが撮れているではないか。
それにしてもまたこの映画は、セットが非常に豪華で改めてショーブラザーズの強大さを感じさせる作品でもありました。
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以下はいも様より頂いたご投稿です。
五毒天羅
いも 投稿日:2005年5月1日<日>00時23分
なるこうさん、はじめまして。こんばんは。
いつも楽しく読ませてもらっています。
突然ですが、なるこうさんは金庸の小説はお読みになられますでしょうか?
今回の『五毒天羅』はクレジットに名前は出ていませんが、金庸の『倚天屠龍記』の冒頭部分をそのままいただいたようなお話しになっています。
そして同じショウブラシリーズにあるチェン・ペイペイ主演の『神剣震江湖』もまた、この『倚天屠龍記』の同じ部分をベースにした作品です。
この二作品は元ネタが同じでも、作られた年代のせいか、テイストがだいぶ違うので、特撮技術やヒロインの雰囲気なども合わせて比べてみるとおもしろいですよ。ちなみに私は昔の中村玉緒のような井莉『五毒天羅』のほうが好きです。
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■CAST&STAFF |
監督 |
楚原 |
出演 |
岳華 |
井莉 |
羅烈(ロー・リエ) |
李麗麗(リリー・リー) |
王鍾 |
谷峰(クー・フェン) |
王侠 |
于倩 |
・森 |
井E |
王撼塵 |
姜南(チャン・ナン) |
王清河 |
蘆葦 |
徐少強(ツイ・シャオチャン) |
沈勞 |
〔赤?〕履仁 |
顧冠忠 |
歐陽莎菲 |
馮敬文 |
錢月笙(チェン・ユーサン) |
呉杭生 |
元華(ユン・ワー) |
元彪(ユン・ピョウ)? |
武術指導 |
唐佳(タン・チァ) |
袁祥仁(ユアン・チョンヤン) |
脚本 |
倪匡(イ・クオン) |
音楽 |
陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U |
製作 |
邵逸夫(ランラン・ショウ) |
制作年度 |
1976 |
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