Contents
 
トップへ
掲示板

■ドラゴン傑作選14  

巡捕房
Tiger Over Wall
非情のハイキック〜黄正利の足技地獄〜


この作品のウリは

高飛(コー・フェイ)vs黄正利(ホアン・チョンリー)

である。
それが無ければまた功夫グレードが高くなければ、正直あんまり観るべきところのない作品だなぁ。
功夫映画ゆえに拾えるというのが正直なところか。

流れ

白人を旦那に持つ、金持ち夫人の飼い犬・ボクサーがいなくなる。
真っ先に容疑がかかったのは、ちょっと知恵の足らない陳樓。
夫人の邸宅の前で犬の真似して子供と遊んでたからね。
白人どもの犬に成り果てている警察は陳樓を逮捕し、拷問にかける。

一方で、
警察長官の黄正利は部下の朱鐵和、江島に"犬捜索"を命じる。
黄正利 「飼い犬の行くところなんて限られているぞ。
知っておく必要があるのはまず主人への忠誠度だ。
忠誠心が低ければ低いほど家には帰らない可能性が高い。
逆ならば臭いをかぎつけて帰ってくる可能性は高い。これは覚えておけ。
次に捜索する場所だが、犬の行きそうなところ、つまりは水と食べ物を見つける必要があるわけだから、
・ゴミ収集所(飲食店関係は特に)
・河原(水を飲むため)
とにかく水と食べ物に関わる場所を怪しんで捜索することだ。
小さい犬であれば、家のすぐ近くの配管の中も注意しなければならないぞ。 あっと!もちろん"犬の大きさ、色、性格"等もしっかり聞いておけ。
その情報を元に村民への聞き込みも怠るんじゃないぞ。
それでは、諸々皆さんよろしく!・・・って、誰もいねぇ!?」

半分、脅しのセールスマンみたいな態度で聞き込みを行う朱鐵和と江島。 そんなんじゃ村民から信用は得られません。
劉鶴年が持っている道場の一番弟子・高飛はそんな警官が嫌い。
高飛主演は珍しいね
高飛 「自分で探せや!それが村民に対する態度か!こらぁ!」
で、朱鐵和とケンカになる。
高飛わかるぞ、その気持ち。
俺も新宿でなぁ、
「おいっ!そこの!」
ってサツに声掛けられた時は流石にムカツいて無視したな。
俺は"そこの"って名前じゃない。
おかげで散々、職務質問されてもうたわ。
も1つ思い出したけどマクドナルドでお持ち帰りして、自転車で帰るところを運悪く警察に捕まって、"パクチャリ検査"受けた時は最悪やったな。
だってその自転車、友人からもらったもんやもん。
「その友人に電話しろ」
とか言われてさぁ、電話したらいないし。
悪いこと何もしてないのに長い間拘束されて、やっと帰って来たらお持ち帰りのチーズバーガー冷え冷えですよ。冷たいもんですよ。
と、無実の人間を人の行き交う道ばたで拘束するような奴らだ。
あんなTV番組「新宿警察24時」なんてやって
エリート警官ばっかりいるみたいなイメージ出してるけど、とんでもない話だぞ

犬一匹見つけられず、時間だけが過ぎていく。

顔からして悪役面の警官・江島はとりあえず犯人をデッチ上げて、白状させて何とか事なきを得ようと悪知恵を働かせる。
そんなところに知恵を使わずに犬捜しに使え
犯人役にさせられた王葆真は夫人の前で、
王葆真 「犬はソテーにしたら結構美味しいんですよ、えへへ!」
「食べちゃった♪」
夫人  「まぁ!そうだったでございますの!私も一口味見してみたかったものですわ!おほほほほほほほ!!」
旦那  「HAHAHAHA!Today is Happy!」
江島  「じゃ今度、犬のすき焼きパーティでもしますか!」
夫人  「それは名案ザマス!!おほほほほほ!!」
今日も夕日が暮れてゆく・・・

「渡る世間は犬ばかり」
第一話完 つづく




というわけで、結局はアットホームな雰囲気の
夫人 「そうはいかないザマスっ!!そんなアットホームに終わられてたまるものですかっ!!」
うう、そうですか。
夫人 「そうザマス!い、い、犬をっ!?し、しかもワタクシの可愛いボクサーを食べるなんて死刑ザマスそうザマスっ!!」
それに反応した白人旦那が王葆真に暴力を加え、足を折る。

まぁまずはこれを提案した江島がバカだ。
文化の違いを考えていれば、
「ごちそうさま」
で済むわけがない
。こんな提案は実行されなかっただろう。
その上、これでは逆に犬が見つかってしまうと江島ら警察が怪しまれる。

単なる犬捜しからまるで"瀬戸内シージャック事件"のように、
事件は悲惨化の一途を辿る。
犯人役をさせられた王葆真はそのまま犯人にされて毒殺された。
王葆真殺害の一件で、警察の裏工作を頼まれた劉鶴年は反発。
道場生と一緒に警察に立ち向かったが、黄正利の前に全員殺された。
王葆真の妻も旦那の死を見てショック死。
説明忘れたが王葆真の娘・文雪兒が高飛の妻だったりする。

気がついたら義父も義母も師匠も同士も全て無くしていた高飛。
犬一匹いなくなってしまったことから、ここまで大惨事になってしまったのだ。怒りを爆発させた高飛は、同士の張力とで警察署に乗り込んだ。
江島、朱鐵和は無論のこと、
全ての警察官(しかし風貌がチンピラですが)をぶっ倒す高飛、張力。

最後に残った黄正利の屋敷に単身乗り込んだ高飛。

ここに数々の功夫スターを悪役として苦しめてきた2人が対決する。

高飛 「もうこの村にはいられない。村を出よう・・・」
必死の思いで本懐を遂げた高飛はそう言って、
高飛、張力、文雪兒らと共に村を去る。
見送ってくれたのは、数々の惨劇を目の当たりし、自らも拷問され続け、
完全に狂ってしまった陳樓の悲しい姿だけだった・・・

終劇

(ふざけたセリフは全部創作です)



努めて明るくしてみたけど、暗いでしょ。
話としては、
外国人の横暴のために犬捜し→大惨事まで発展してしまった・・・
といったものであって、
「わからんでもないけど、なんかなぁ〜  
 もうちょっとやりようあったんじゃないの(警察が)。」
って気がして、あんまり共感できない。
犬ぐらい頑張って探せよ、まず。

ただし、登場する功夫シーンはどこも出来が良く改めて高飛のポテンシャルの高さを実感できる。象形拳の型も非常に綺麗に決まっている。
最後の戦いは勿論、

江島との対決で鐵傘功も面白いです。

その最後の戦いは、
武器を持った戦いがまず始まり、
それだけでは倒せないとお互い悟るや、
黄正利はその足技を、
高飛は蟷螂拳を武器攻撃と混ぜ合わせての戦いに。
連続三段飛び正面蹴り!
素手の戦いに入るとやはり黄正利が有利か。
ハイジャンプ飛び蹴り!
十八番の飛び三段足刀!
ジャッキーも火星くんも鐘發も喰らってきた飛び蹴り!
黄正利やり放題アクション満載で
ここは功夫迷なら間違いなく楽しめるだろう。

■CAST&STAFF
監督 魯俊谷
出演 高飛(コー・フェイ)
黄正利(ホアン・チョンリー)
張力
江島
文雪兒
朱鐵和
陳樓
劉鶴年
王葆真
白沙力
魯俊谷
林靜
許瑩英
黄志明
蕭コ虎
李發源
李恆
武術指導 ケコ祥
音楽 呉大雄
製作 呉協建
制作年度 1979

胡惠乾血戰西禅寺
Showdown at the Cotton Mill



この作品のウリは

戚冠軍(チー・クワンチュン)vs譚道良(レオン・タン)

である。
とは言っても他のとこでも

胡惠乾に扮する戚冠軍の力強い功夫がたくさん見れて画質は凄いことになってますが、結構楽しめる作品でした。

お話としてはタイトル通り、
実際の「胡惠乾史」晩年(こういうの晩年っていうのか?)の部分というか、ラストクライマックスの再現ですね。
今回は台湾常連悪役さんのご紹介を交えて紹介しましょう。



vs山茅
紹介する4人の中では一番ポピュラーですね。
一大悪役である龍飛(ロン・フェイ)とペアで出てることも多い印象があります。
個人的にはやはり「少林寺」か。
最初に戚冠軍扮する胡惠乾は彼と対決し、その強大さを見せつけます。
他「新死亡遊戲」等。

李強(左)
一番個性的な顔してるのが彼です。
何と言ってもその太いモミアゲ!
うまくキャプチャーできなくて残念ですが、
台湾功夫映画でモミアゲの凄い奴がいたらそいつはほぼ間違いなく彼でしょう。
他に「神拳大戰快鎗手」「雍正命喪少林門」等に出演しています。

張紀平
見てくださいこの顔。
恐縮ながら悪そうなツラしてますね〜
目が大きいので彼も出てくるとすぐわかります。


結構、足技が得意なようですよ。
他出演作「猫拳カンフー無宿」 「武林客棧」「火拱楓林渡」 等。

荊國忠(右)
台湾デブゴンの登場です。
昔、「ドラゴン修行房」を観ている時に、

あれっ?今後ろに映ったのサモハンじゃなかった?

って、何度も巻き戻して確認したことがあったのですが、それが彼でした。
いっつも太ってて弱そうに見えるのですが、意外と大きな悪役を与えられてるのが常で、
功夫猛者に混じって一生懸命功夫してる姿が可愛・・・く見えないこともありません。
ただ今回は戚冠軍と同門の兄弟子で、
身を挺して戚冠軍を助けるという悪役ではなくて結構美味しい役柄をもらっており、台湾デブゴンの本領発揮です。
他出演作は「燃えよ飛龍神拳・怒りのプロジェクトカンフー」「スリーピング・モンキー・睡拳」「少林鬥喇嘛」等。

というわけで、
戚冠軍は彼らとどんどん対決し、次々と闇に葬っていきます。
もう悪者が悪いことする暇が全く無いとばかりに。

そこで刺客として現れるのが譚道良。
彼は最初に味方のように近づき、戚冠軍と杯を交わします。
しかし、力自慢披露ということで大木を抜こうとした戚冠軍の背後から
フラッシュレッグキック!!
かなり卑怯な感じ。
いきなり蹴られて訳のわからない戚冠軍は失神。
さっき言ったようにすんでのところで荊國忠が身を挺してこれを助け、
戚冠軍は仲間に抱えられて退散。

んで、戚冠軍の嫁さん、息子、そして三コ和尚が構えている西禅寺へ。

ここが胡惠乾と三徳和尚が立て籠もった西禅寺。
本物じゃないと思いますけど。

ついに、
譚道良がこの寺に乗り込み

戚冠軍(チー・クワンチュン)vs譚道良(レオン・タン)

まさに真っ向から"南拳北腿"!
見応えありますよ〜

戚冠軍は真っ向から花拳(?)で勝負。
しかし、少林寺でテコンドー相手の練習はしてないやね。
譚道良の鋭くそしてバリエーション豊富、まさに変幻自在なフラッシュレッグに苦戦します。
にゅい〜んと伸びるみたいに足が上がる
連続二段蹴り
さらに飛び蹴り!

というわけで、
上記の「巡捕房」と被せるように紹介してみました。
戚冠軍は犠牲無しに倒せないと悟るや、捨て身の戦法に出ます。
最後は史どおりに・・・

終劇




お話は、本当に西禅寺の部分を再現しただけ。
あってないような感じなんですけど、功夫シーンも多く面白いのでなかなか見ごたえがあります。
vs
「巡捕房」の黄正利と本作の譚道良を対決させてみたくなりますね。
■CAST&STAFF
監督 午馬(ウー・マ)
出演 戚冠軍(チー・クワンチュン)
譚道良(レオン・タン)
荊國忠
張鵬
李強
山茅(サン・マオ)
費雲
張紀平
戴秉剛
鄭世耕
譚道恭
何剛
陳森林
張宗貴
張義貴
制作年度 1978


少年黄飛鴻之鐵馬〔馬留〕
Iron Monkey
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 アイアン・モンキー


「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱」にて、香港電影金像奨の最優秀アクション設計賞を受賞した袁和平(ユアン・ウーピン)。
それまでに当時武術指導グループNo.1の実力といっても過言で無かった袁家班が「タイガー刑事」や「情逢敵手」など、流行の現代アクションでは今ひとつその能力を発揮しきれていなかった時代。
まさしく、袁和平は再び現れた古装片ブーム、ワイヤーアクションブームを見て「これだっ!!」 と思い立ったのではないだろうか。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱」を観た人にはわかるように素晴らしいアクション設計である。
以後、再び袁和平の名は大きくなり、本作や「マスター・オブ・ リアル・カンフー 大地無限」「レディ・ファイター/詠春拳伝説」など袁和平設計のワイヤーアクション古装片作品が生まれてくるわけである。

本作は1978年当時ジャッキーと一緒に
「次は黄飛鴻をやるんすよ!」
と当時所属事務所のプロデューサー呉思遠(ウー・セイエン)に言って
「ドランク・モンキー・酔拳」を作り上げた袁和平自身の黄飛鴻作品である。 黄飛鴻を題材に大ヒットを飛ばした実績のある彼としては徐克(ツイ・ハーク)が作ったジェット・リー黄飛鴻シリーズの大ブームに歯ぎしりする思いもあったのではなかろうか(なかったらすまぬ)。
「かと言って、俺もジェット・リー使って黄飛鴻じゃあなぁ・・・」
というわけで、考え出されたのがこの作品ではなかろうか。
ジェット・リーの「方世玉」は既に元奎(コーリー・ユン)が撮っていたしね。

本作に出てくるのはタイトル通り、
少年時代の黄飛鴻(曾詩敏)そして主役は甄子丹 (ドニー・イェン)扮する父の黄麒英、アイアンモンキーの于榮光 (ユー・ロングァン)である。
ジャッキーが二十歳ぐらいの黄飛鴻演じたから、今回はさらに若くってことか。(そんなに「酔拳」に執着してたとは思えないですけど)

流れ

功夫映画を撮るにはピッタリの時代、清朝末期。
淅江ではゴエモンのように大泥棒して金盗んで貧しい人へキャッシュバックの
一目で于榮光とバレバレのような・・・
義賊・鐵猴が大暴れ。
まてぇ!!るぴゃーーん!!
役人の袁順義は色んな人間、
やたら弱い少林僧ども
少林坊主とか雇って何とか鐵猴を捕らえようと必死だったが、今日も取り逃がしてしまい頭を抱える。

たまたま訪れていたドニー黄麒英と黄飛鴻は、
早すぎてうまくキャプチャできぬ・・・
功夫強いじゃん

ってことで捕まってしまい(なんでやねん)、

鐵猴を捜すハメに。
「役人の犬かよ」
って感じで町の人から蔑まされるが、
理想的な夫婦像ですな
ここで町医者の于榮光、その妻の王靜瑩と出会う。

今回良い味出してます袁信義
袁信義さんは清朝の役人なんですけども、
清朝=悪人
って簡単な図式に収まらないキャラクターの深さが良い感じです。


プチ黄飛鴻の鐵傘功炸裂!!
大活躍カンフーキッド!
つーか、最初の方にいた少林坊主らが登場する悪玉・任世官(ニン・シークァン)の子分になっちゃってるというかはじめからそうだったというか・・・

少林寺は何を教えてるんじゃ!!
王靜瑩を犯そうとしたぞ!!
つーとこで、プチ黄飛鴻が助けてくれます!・・って、
少林寺出身の方々が一師匠の息子ふぜいに負けますか!

ほんとキャプチャ難しい・・・

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明」からまたも親玉登場の任世官。普通、徐克は同じような役柄で同じキャストを起用しないことが多いのですが、熊欣欣(ション・シンシン)と同じくその腕前と悪役たる演技が買われていたんでしょうね。

終劇
(あんま説明してなくてすまぬ)



まさにここが俺のフィールド!

袁和平がそう言わんばかりのアクションシーンは目を見張るばかりで、一切の迷いが無く爽快。
また、出演者の甄子丹、于榮光、任世官など言わずもがなの本物武芸者が集まっており、繰り出される功夫は半年そこら訓練した俳優とは比較にもならない。

以前、「ドランク・マスター酔仙拳」のレビューで、
--------------------------------------------------
例えばジャッキー「酔拳」とか見て御覧なさい。
・バレリーナおばちゃんとの戦い
・蛇拳での戦い
・大男との戦い
・剣での戦い
・棒との戦い
・足技との戦い

ね。
それぞれの戦いに特徴があって、戦闘シチュエーションも変えてあるの。だからアクセントがついて。アクションシーンへの興味も一行に薄れないのね。 --------------------------------------------------
と書いたが、これにも全く同じことが言える。

鐵猴がザコども相手にぴょんぴょん暴れまわり、
親父の黄麒英が黄飛鴻"鐵傘功"のルーツである技を披露して、
両者とも悪役、善役どちらもこなせて腕前も一級品の甄子丹vs于榮光!
プチ黄飛鴻がキアヌ・リーブスも思い切りへこむほど、華麗な功夫アクションを披露して喜ばせれば、個性的な悪役もどんどん登場、
ラストは任世官vs甄子丹、于榮光で袁和平得意の
"バランス取るのが難しい場所での闘い"
が手に汗握る面白さを演出と、ほんとに飽きさせません。

知らない人もいるだろうから教えますと、

このプチ黄飛鴻、実は女の子なのよ。

ただ正直に言うと、
監督としてはいつも物語の緻密さには欠けるかなぁって気はする・・・

■CAST&STAFF
監督 袁和平(ユアン・ウーピン)
出演 甄子丹(ドニー・イェン)
于榮光(ユー・ロングァン)
王靜瑩
任世官(ニン・シークァン)
曾詩敏(ツァン・チーマン)
李輝
黄霑(ジェームス・ウォン)
袁信義(ユアン・シュンイー)
小侯
ケ泰和
陳紹華
陳恩文
張鳳〔女尼〕
段偉倫
秦貴寶
動作指導 袁信義(ユアン・ウーピン)
袁祥仁
古軒昭
脚本 徐克(ツイ・ハーク)
劉大木
ケ碧燕
製作 徐克(ツイ・ハーク)
制作年度 1993


黄面老虎
Yellow Faced Tiger
Slaughter in Sanfrancisco
チャック・ノリス in 地獄の刑事



ゴールデン・ハーベスト初期の現代アクション。
元々は李小龍(ブルース・リー)のために企画を立てたものだが「冷面虎」同様に李小龍に蹴られた後に立て直して作られた。
主演は当時、新進気鋭ルーキーだった王道(ワン・タオ)、
ヒロインもこれまたデビュー当時の張艾嘉(シルビア・チャン)、
敵役には「ドラゴンへの道」のチャック・ノリスを起用することで、
なんだかんだ李小龍の恩恵を受けつつ作られている。
企画を蹴られた監督の羅維(ロー・ウェイ)にしてみれば、
俺なりのドラゴンへの道(現代アクション)を作ってやる!
といったような意気込みがあったのではなかろうか。
後に日本では「チャック・ノリス in 地獄の刑事」というタイトルでビデオ化されているが、前述の通り主演は王道である。

流れ

in サンフランシスコ

黒人警官のジョンと共にパトロールに出かける王道警官。
女の死体を見つけて早速事件発生!かと思いきや、
外でエッチしてるカップルだったりなんかして平和だったりする・・・・
かと思いきや、
「助けて〜!!」
の声が!!
2人が現場に駆けつけると暴漢に襲われる張艾嘉発見!
得意の功夫で王道がこれを助けた。

ところが警察に連行すると
「私達は友達よ」
と張艾嘉が言い出し、釈放。
何でも「強姦ごっこ」をやっていたようだ。
というか、2人の男に襲われていたが3人で外で強姦ごっこか・・・
全く最近の若い娘は・・・(王道が止めなかったら何が始まったのよ。ナニが始まるんだけど。)

その後、
不当な逮捕で怒った張艾嘉の彼氏は王道ではなくジョンを誘拐。
これをジョンの奥様が王道に電話。バイクで駆けつけて追う王道。
砂浜でリンチされているジョンを発見!
その彼氏とかを蹴散らしたがその最中にチンピラの1人の首を鎖で絞め殺してしまう王道・・・バカじゃないの!?

「助けるにしても殺す必要はなかっただろ!」
と上司に怒られる。当たり前やん。留置場に入れられる。
1年は出られない。

1年後(違うかもしれん)

王道は警察を解雇されてウェイターになっていた。
そして張艾嘉らにからかわれる。酷い女だ。
その後、チャック・ノリスに根性焼きされる王道。なぜ?
さらにノリスは王道を丘の上に誘い出し、
「俺の部下になるか、死ぬかどちらかだ」
とむちゃくちゃな要求で付け込んで来る。
断わる王道とりあえず猶予をもらう。

嫌なことばっかりあってたまらん王道はジョンと飲み明かして帰路へ。
こちらも千鳥足のジョンは家路の最中に銭月笙(チェン・ユーサン)ら中国人グループが強盗しているのを発見。これを追い詰めるが逆に殺されてしまう。酔ってるし。
たまたまジョンが殺された場所が張艾嘉家族が住んでる屋敷内だった。
・強盗団は中国人
・この家にすんでるのも中国人
というだけで、張艾嘉の親父が容疑者連行される。そんな安直な。
その後も警察部長の
「つーかこいつで犯人決まり」
みたいな無茶苦茶な尋問は続く。

ジョンの死を悲しんだ王道はジョンの墓にビールをかけると
缶を握りつぶし復讐の炎を燃やす。捜査開始。

どうやって見つけたか知らないが、中国強盗団のアジトに乗り込む王道。
まずは中にいた見張りの林正英(ラム・チェンイン)を倒して捜査する王道。
銭月笙の部屋で見つけたシャツが現場に落ちていたシャツの切れ端と一致
警察部長に銭月笙を突き出すが、
「証拠が無い」
といって取り合ってくれない(そんなわきゃないだろ証拠あるじゃん)。

アホアホ警察どもに怒った王道はついに独自に復讐開始。
捕まえた銭月笙を脅迫して事件の裏でてぐすね引くものを探し出すと、
そいつはなんと警察部長だった。こいつがノリス結託だったのだ。
それなら理不尽な尋問も納得がいく
しかし、警察部長と戦った王道は殺してしまう。
殺してしまったら自白させられへんやん。

で警察部長の部下もやっぱりグルで、
張艾嘉の親父を獄中で殺し、スケープゴートに見せかけようとしていたが、
間一髪で弁護士が助ける。
しかし今度はノリスの命令でこの弁護士が林正英に消される。
ついに仲間になる返事をしなかった王道の殺害命令がノリスにより下される
でもザコばっかりだったので返り討ちにする王道。

張艾嘉の彼氏はノリスの弟だった。
親父ははめられてるのにアホ丸出しやな張艾嘉。可愛いけど。
ノリスは張艾嘉を一目見ると自分の部屋に誘い出し、さっそく暴行。
弟のものは俺のもの、俺のものは俺のものなジャイアニズムが炸裂する
遂にその弟が怒って(そりゃそうだ)張艾嘉の前で兄貴・ノリスの悪事をばらしてしまう。まぁその前に、
外で3人で強姦ごっこして遊んでた女が、その彼氏の兄貴に犯されても同情されない気がするけど。

逃げて王道のところに駆け込む張艾嘉(よくあっさり逃げられたな)。
王道に全ての事件の黒幕がノリスだと告げると
「じゃ、やっつけてくる」
と軽めに言って出て行く。そんな淡々とあんた・・・

サクッとノリス邸に乗り込んだ王道は、
ノリスの部下大勢を相手に大立ち回り!
ついに李小龍とも死闘を演じたノリスとの対決に臨む!

長い戦いの末、ついにはノリス組織を一網打尽にして、
汚職警官達もいなくなり、晴れて王道は警官復帰。
張艾嘉にも祝福されながらパトロールに向うのだった・・・

終劇




時々いきなり敵を殺してしまう王道が暴走してはいるものの、
理不尽な警察部長や物語の幕の引き方などは結構しっかりしており、
監督・脚本 羅維ってのもダテじゃないなって思わせるに十分の作品である。
その上で、1974年で考えればアクションもなかなかだったと思われる。
この当時の現代アクションではなかなか面白いと思えるものが少ない中でこれは十分頑張った方だろう。
これがもし王道ではなく王羽だったらもっともっと面白いものになっただろうなってのは間違いないんだけど。

デビュー当時の張艾嘉はさすがに初々しくて可愛いし、
当時、活躍していた他女優さんと見比べてもトップクラスの美しさだったと思われる。本作では不良娘役なので「悪漢探偵」出演時の片鱗がチラチラ見れるのも興味深い。

まぁ常人なら借りて観るほどの作品ではないけども、
香港映画好き、そして張艾嘉迷は迷わずチェックだ。

■CAST&STAFF
監督・脚本 羅維(ロー・ウェイ)
出演 王道(ワン・タオ)
チャック・ノリス
張艾嘉(シルビア・チャン)
ロバート・ジョーンズ
ダニエル・イワン
ボブ・タルバート
チャック・ボイド
銭月笙(チェン・ユーサン)
林正英(ラム・チェンイン)
音楽 ジョセフ・カ−チス
製作 鄒文懐(レイモンド・チョウ)
制作年度 1974


火焼少林寺
The Blazing Temple
少林寺炎上


典型的な拾い物の一本。
製作年度は1976年。監督は郭南宏(ジョセフ・クオ)そして主演は黄家達(カーター・ウォン)。
ということで、この取り合わせの1976年であればアクション的にもそんなに期待できないし、
どのような作品かも大まかに予想できてしまうこともあって全く期待してなかったが、
「意外に面白いじゃん」
というのが正直な感想。

「火焼少林寺」
ということで、ああいつもの焼き討ちね、とストーリー的にも使い古されているが、
ショー・ブラザーズでもゴールデンハーベストでもない小プロダクションの作品にしては
スケール的に非常に大きく、セットもエキストラもバッチリの力作で、
「こんな古い映画をどうして今さらビデオ化するのだろう?」
という疑問も、この作品の出来上がりを見れば納得できるところがある。

流れ

卑怯な手で皇帝の座にのし上り暴虐の限りを尽くす雍正帝。
その雍正帝を暗殺せんと付狙う嘉凌(ジュディ・リー)だったが、
暗殺敵わずに一旦、その雍正帝から恨まれまくってる少林寺に駆け込む。

「ちょこざいな!少林寺!」
というわけで大砲持って軍を引き連れ少林寺に攻撃を開始する雍正帝。
大砲なんて近代兵器で襲ってきたもんだから少林寺は大パニック!!
次々と命を落とす僧侶たち。そして燃える寺院。
とりあえず館長の下へ集まれー!

【提案】
・十八銅人に挑戦して通り抜け脱出して逃げるか
・戒律を破って岩を動かして逃げるか
ただひたすら神に祈るか

ロクな案が出てこねぇ!!
誰が祈るかって!
なんのために功夫修行してきたんじゃ!
そして十八銅人がどうとか言ってる場合かよ!そこ担当も逃げろよ!

十八銅人に挑戦する少林僧たち(だからみんな逃げろって)
銅人とかそれを管理する僧侶たちは外の事情を全然知らないのか、
次々と挑戦する僧侶達を毒牙にかけます。仲間内で殺し合いしてる場合じゃないと思うんですけどね。

一方で、
・戒律を破って岩を動かして逃げるか
を実行した館長たち。その館長自ら犠牲となって岩を動かし、みんなを脱出させます。
最後に岩を抜け出す黄家達(カーター・ウォン)に究極奥義の十八経典を授け息絶える館長。
十八銅人の方も何とか張翼(チャン・イー)、金剛(カム・コン)たちが抜け出します。

しかしここで追ってきた雍正帝の部下どもからみんなを守るために金剛が犠牲になります。
やっと少林寺から抜け出たのに可哀想なもんですなぁ。憎むべし雍正帝。

「暴君に制裁を!」
少林寺を焼き討ちされて怒りに燃える少林僧たち。
雍正帝暗殺を企てますが雍正帝がそこら中に現れるといういつもの(?)分身戦法にやられ失敗。
しかも少林僧の中には密偵がいたのです。

やっとこさ雍正帝の宮殿に侵入したものの、その密偵に騙された
黄家達や張翼たちは敵に取り囲まれてしまうのでした。
絶体絶命!力の限りに戦いますが多勢に無勢で不利になる張翼たち。
その時、 雍正帝に突然飛んでくる毒矢!!
毒矢を投げたのは密偵でした。何とか雍正帝に近づくために、同門の前で裏切りを繰り返していたのです。
張翼 「よくやった!お前を疑ってすまなかった!!」
最後の最後で理解しあって息絶える密偵だった僧と張翼。呉字森(ジョン・ウー)もびっくりの友情ドラマが展開!

しかし、ということは生き残りは黄家達ただ1人!
ここで使うしか!
ということで、黄家達は貰った経典で覚えた少林究極奥義"十八の型"で応戦!!
すんでのところで駆けつけた嘉凌の活躍もあって形成は一気に逆転し雍正帝の首をはねるのでした。

終劇




話としてはこれだけなんですが、まぁ低予算の功夫映画によくありがちな
・少林寺と言ってる割には修行僧とか5,6人しかいませんなぁ
・皇帝と言ってる割には部下が5,6人しかいませんなぁ
・建物が出てこなくて野っ原ばっかりですなぁ
こういったことが全然無く、エキストラと大小のセットを組んで織り成すスケールはなかなかのもん。

それでいてシンプルながら男どもの汗臭いドラマもなかなか熱くて面白く、その辺でも飽きさせません。
郭南宏監督の代表作ですね、これは。

■CAST&STAFF
監督・製作 郭南宏(ジョセフ・クオ)
出演 黄家達(カーター・ウォン)
嘉凌(ジュディ・リー)
張翼(チャン・イー)
金剛(カム・コン)
唐威
衛小雲(ウェイズ・ワン)
易原
魯平
南少夫
陳少鵬
柯佑民
邵羅輝
洪化朗
黄冠雄
林望南
劉立祖
解元
魯平
陳家凱
胡威
胡光
呉可
何〔王韋〕
張寶善
岳峰
阿輝
楊金玉
陳森林
張美儀
葉茂
荘偉明
張宗貴
阿雄
陳雷
王凡
何中
武術指導 陳少鵬
脚本 郭南宏(ジョセフ・クオ)
徐銘〔三兼〕
音楽 陳勲奇(フランキー・チェン)
策劃 江南
製作総指揮 郭藩〔人利〕君
制作年度 1976


コータローまかりとおる!


まぁ香港映画じゃないし、カテゴリー的にもあんまり関係ないんだけど、久しぶりに観てみたら意外にバカバカしくて面白かったのと、この作品も詳しく解説してるとこなんかほとんど無いだろうってことで、改めてちょっと詳しく書いてみようかと思ってみたりなんかする。邦画。

1983年に「カンニング・モンキー・天中拳」と同時上映されたJAC・東映製作で新人の黒崎輝を主演に起用した「伊賀野カバ丸」大ヒットのため、翌年「五福星」同時上映の同じパターンで本作が作られた。こっちも当時ジャッキー大人気ということで便乗ヒットを重ねたし、TVでもJAC新人スターだった高木淳也主演の「魔拳!カンフーチェン」がゴールテンタイムに放映されてたりしたもんだ。「伊賀野カバ丸」にも出演していた高木淳也は今回出演していないが、その分、真田広之そして「宇宙刑事ギャバン」の主演で有名な(?)大葉健二の出番も見所も多くなっている。豪華というか面白ゲスト人続々登場パターンも健在。

流れ

※ちなみに私は原作の漫画「コータローまかりとおる!」を読んだことがありません。

ここは鶴ヶ峰学園。
イマイチ高校なんだか大学なんだかわからんが(高校だと思うが)、ここの一生徒であるコータロー(黒崎輝)は部員がコータロー1人の空手部主将(だから1人だけど)。っていうか、スケベで今日も暇つぶしに女子更衣室をのぞいて楽しんでいた。っていうか、案の定見つかって大騒ぎ。

新聞部の部長である斎藤ゆう子は・・・斎藤ゆう子て!!
懐かしいというか完全に脳裏から消え去っている人というか、俺より下の世代ではもうさっぱり知らないだろうというか、セガのふる〜いゲーム機のCMに出演していただろうとか、とにかくその部長がコータロー大騒ぎの不始末見出しにこうつけた。「コータローまかりとおる!」

風紀を厳しく取り締まりたい生徒会長の山口良一は・・・山口良一て!!(こっちはそこまで驚くこともないか。現役でTV出てるし)
イモ欽トリオなんてもう完全に知らないんだろうなぁ、今の人たちは・・・(哀)
コータローの忌々しい長髪切ったら100万円!!
と多額な懸賞金を出してまでコータローを懲らしめたい。
テニス部、茶道部、バスケ部、野球部、色々なクラブがその100万円を予算に当てたいとコータローに襲い掛かる!!
ああ、ほんとにバカバカしいオープニングである。

長い髪を付け狙う学生達をヒラリヒラリと交わしてコータローは散髪屋へ。由利徹がマスターを務めるこの店で出会ったのは風紀委員会特別機動隊隊長(た、隊長って・・・)であるスキンヘッドの大葉健二だった。
早速、大葉健二と対決するコータローだったが大場が切った大木に押しつぶされて絶体絶命。ここはなんとかヒロインの千原麻里が救った。

その後も続く長髪奪取攻防戦・・・に嫌気がさしたコータローは生徒会長の目の前で自分で長髪を切ってしまう。
「つーわけで、俺に100万円くれっ!!」
・・・うーん、ぶくぶくぶくぶく・・・・・・泡を吹き卒倒する生徒会長。
しかし、ここは機転の良い風紀委員長・真田広之の詭弁で100万円払わないで何とか済まさせる。

しかし、イライラの収まらないコータローは学生ライヴに乱入。大葉健二に向けて"ハゲ音頭"をシャウト!!
怒り心頭の大葉はステージ上でコータローに襲い掛かる!!
まぁその前に大場さん日本刀をずっと持ち歩いてるんだけど、それは違法なんですが。
大場が切ったコータローの帽子、中から出てきたのは切ったはずの長髪だった!!切ったふりしてただけなのだ!!ということでまた大騒ぎ!!

ついに蛇骨会が動き出す。え?
鶴ヶ峰学園を裏で牛耳る蛇骨会。そのNo.1である鞭使いの伊原剛士は、やり放題のコータローと剣術凄まじい大葉健二が気に入らなくて、倒したい倒してみたい。それよりも伊原剛士さんの若いこと!
しかし蛇骨会会長である紅花(志穂美悦子)は伊原剛士の出動を許さず、まずは傘下である剛武流空手道場にコータロー撃退を命じる。

ここに剛武流空手vsコータローの100人組み手が始まった!!
戦う理由も映画そのものもバカそのものな気がするも、ここで行われる100人組み手アクションはJAC功夫の総決算のようななかなか素晴らしいアクションシーンに仕上がっている。そして必死の攻防の末、ついにコータローは100人を打ち破る。

画像は「忍者武芸帖 百地三太夫
後継者にピッタリだわっ、うふっ♪
と、確かに嬉しそうなバラを片手に志穂美さん、お綺麗はお綺麗ですが好きですが、あなたまさかこれ高校生の役のつもりじゃないでしょうね!?
とそればかりが気になってしょうがない、いやいやそもそも学園を牛耳る蛇骨会てなんやねん?ってのが一番気に掛かるのだが果てもさてさてあーこりゃこりゃ。

と、そんな蛇骨会牛耳る鶴ヶ峰学園にあろうことか、どっかのプリンセスであるクララ姫が留学することに。
「何か粗相があっては大変だ!」
と慌てふためく校長のハナ肇さんを尻目に、来日したクララ姫にさっそくMHKアナウンサーのフリして近づいたコータロー、姫のスカートをペロッとめくってしまう!
姫 「オー!!エキゾチックジャパーン!!
と、その過激な日本文化に嬉しくて何度もスカートめくりを要求する姫。
さすがは「堕靡泥の星 美少女狩り」とか「エロ将軍と二十一人の愛妾」なんて映画も撮ってる鈴木則文監督である(「トラック野郎」も鈴木さんだけどね)。まぁこの辺の日本エログロ作品で良いのたまに撮ってた気もするが。

コータローのことが大好きになるクララ姫だったが、そこに悲報が。
姫の父、つまり国王が重病になっちゃって昨日今日留学した姫は帰国することに。なんちゅうご都合主義な展開。この作品の全てを牛耳っているJAC館長・千葉真一が登場して姫を連れ帰ってしまう。

その後、ずっと蛇骨会会長の悦ちゃんにバカにされていた伊原剛士が遂に単独行動へ。そもそもこの作品のヒロインだったような気がするが、これ一本で引退してらっしゃるような気もする千原麻里を誘拐。コータローに対決を迫る。

蛇骨会本部に乗り込むコータロー。
行く手をさえぎるのは妙に強敵ばかり。それもそのはず各武術系のクラブはみーんな蛇骨会の傘下だったのだ!!
・・・でも蛇骨会ってなに?
多勢に無勢のところで助太刀したのは大場健二だった!
日本刀で「ルパン三世」の石川五右衛門のように敵を斬り、
「早く行けっ!」
とコータローに促す大場さんが実に格好良い。

時計台裏で行われる伊原剛士vsコータロー
ところどころで丸々「プロジェクトA」のパロディ、いやリスペクト、いやトリビュートがあったりするのは意外と知られていないところ。
伊原剛士を何とか倒すコータロー。

やっぱりこの不良グループ、蛇骨会会長の後継者としてピッタリねっ、うふっ♪
画像は製作年度の近い「里見八犬伝」('83)
えっ!?
結局、蛇骨会って単なる不良グループ!?
何か後ろでもっとこう例えば麻薬密輸に関係とか何とか、そんなんじゃなくて単なる不良グループ!?
単なる不良グループが時計台の裏に豪華な要塞築いてたりするの!?そ、そ、そ、そして・・・
し、志穂美さん、あなたまさかホントに高校生のつもり!?
上半身毛皮で下半身がピンクのレオタードという凄い衣装も特筆ものだが、何よりも役柄が凄い。さらに凄いは続く。
会長の座を拒否したコータローに容赦ない悦ちゃん攻撃!
JAC新旧スター、志穂美vs黒崎 である!
時間こそ少ないが、ここでの志穂美さんの剣技、見事だなぁお世辞でもなんでもなく・・・こういうの観ると勿体無いよ、ほんま。
志穂美さんの剣技に成す術もないコータロー。
やはり御大・千葉真一主演メチャクチャ空手映画の脇役女ドラゴンから成り上がり、「女必殺拳」「必殺女拳士」「女必殺五段拳」等など数々の主演功夫映画をこなしてきた日本が誇るスーパー女ドラゴンとたかだか真田広之の「吼えろ鉄拳」で単なる人の良い兄ちゃん演じてたに過ぎない黒崎輝では文字通り役者が違ったか。というか、また「吼えろ鉄拳」観たいな、もう忘れたな。

絶体絶命のコータローは苦し紛れに何と!志穂美さんの×××を触る!!
しかも、そこには女性にはついてない存在のはずの朝元気になったりするモーニング息子。の感触が何故かしっかりと!!
ぼはっ!!とそこにまた何故か大量のスモークが焚かれる!!
荘厳なBGMにて姿を現したのは何と風紀委員長の真田広之だったしかも化粧ばっちりだったしかも目張りも入れてあったしかもメチャメチャ恥ずかしい衣装だった!!

真田広之は表では風紀委員長、裏では志穂美悦子に化けて蛇骨会会長になり学園を裏表から牛耳っていたのだ!
この際、牛耳って何の特があるのだろう?とかそんな質問は無しだ。と製作側から聞こえてくるではないか。
それよりも、単なる真田の化け役に過ぎなかった志穂美さんが余りに可哀想というか、そこまでして新人を立てなくても良いだろうという気がするのが一番だ。

それもさておきここに、
真田広之vs黒崎輝
という夢のような気がする対決が始まった!!

終劇




まぁ確かにこの辺から徐々に流行りだしていったような気がする学園犯罪組織モノ、「スケバン刑事」とか主演であるはずの中山美穂が主演なのにまるで「太陽にほえろ!」のボスのようにオープニングと最後しか登場しない「セーラー服反逆同盟」とか、「少女コマンドーいずみ」とか・・・俺も結構覚えてるな。とにかく、高校や中学の短い短い3年間の中に何故か巨大な悪組織がはびこるパターンが当たり前のように存在していた時代が懐かしい。

この映画は蛇骨会という可愛い会長のいる組織との戦いがメインに見えつつも、クララ姫のパンツはじめ爽やかエッチシーンやいつも真面目演技ばっかりの大葉健二や真田広之が本作ではコミカルに徹しているのも興味深いし実際面白い。特に大場さん。後に大場さんは千葉真一御大とともに「KillBill Vol.1」に出演し、真田さんが「ラスト サムライ」に出演しているのも非常に興味深いところである。ちなみに主演の黒崎さんは現在は沖縄の方でスキューバのインストラクターをしているらしい。

ちなみに、『牛耳る』の意味は昔の中国の偉いさんが、 領主に牛の耳を削ぎ落とした時の血を飲ませて忠誠を誓わせるとこからきてたりします。

■CAST&STAFF
監督 鈴木則文
出演 黒崎輝
千原麻里
真田広之
大葉健二
志穂美悦子
伊原剛士 ※クレジットは伊原剛
崎津隆介
鈴木玄秀
関根大学
シャナ・ホーキンス
卯木浩二
春田純一
山本咲子
斎藤絵里
加藤由美
坂本朋恵
飯田容子
今泉ゆかり
澄川真琴
小山みゆき
沢田祥ニ
藤川聡
庄司浩和
佐久間浩司
矢野和弘
良久誠
赤田昌人
吉瀧久司
青木ルースりざ
加納美和
吉田真弓
四戸圭子
有栖川淑子
佐々木俊彦
和田博喜
高橋武志
北島佐和子
内田タクマ
タンクロー
西村陽一
浅利俊博
西田真吾
藤井忠勝
吉井勝
小林英治
小林勇治
多田雄司
波多野雄一郎
加藤勝英
富田健介
川口一二三
阿部はるみ
高橋美紀
磯田弥重美
戸谷昌弘
青野真己
真弓伸子
伊野口和也
真矢武
砂川真吾
藤大介
山口良一
斎藤ゆう子
由利徹
ハナ肇
山城新伍
千葉真一
武術指導 高木薫
脚本 鈴木則文
志村正浩
原作 蛭田達也
音楽 佐久間正英
製作 豊島泉
厨子稔雄
佐藤公彦
制作年度 1984


五毒天羅
The Web of Death


姜大衛(デビッド・チャン)、狄龍(ティ・ロン)といったショーブラ大スターが出ていないだけに、あんまり触手を伸ばす人もいないんじゃないか的作品であるが、これが意外に力作で面白い。

冒頭の始まりで、
「なぬーっ!そのままかよ!」
みたいななんだこりゃ始まりを見せるので、
「こりゃだめか」
と思ったが、その後の展開はスリルもあって面白くなかなかの傑作であった。バカ映画かと思ったが。

流れ

夜。
呉杭生ら剣客達を姜南(チャン・ナン)らが待ち伏せ。
「なんだお前らは!」
「我らは五毒教なり!」
と言って姜南が燈篭みたいなものを取り出すと、
そこから蜘蛛の糸がシュワーッ!!!
呉杭生らは蜘蛛の糸に巻かれてグワアーッ!(死)

"五毒天羅 The Web of Death"
「なぬーっ!そのままかよ!」
Webとは即ち蜘蛛の巣のこと、ほんでdeathと。
ほんでもってSFチックな演出も満載でこの先この映画どうなるのかと。

五毒教。
決して絶対的な悪ではないが、邪教として人々から忌み嫌われており、やはり人前で正体をバラすのも憚られるような組織。そして強大・・・・・まぁたぶん。
五毒教は今日もアジトでミーティング。
教祖様は王侠で、手下が羅烈(ロー・リエ)というわけだ。
「俺たちはいったいどうしたらいいかのう・・・」
って感じで決して悪巧みをしているといったことではないと思われ気分、しかし。
羅烈は教祖の妻を密かに寝取っており、反旗を翻すチャンスを伺い、作戦を練っていた。

一方、武林では会合が開かれ各門派の長が会議。
「五毒が襲ってきた時のために団結しなきゃな」
ってことで(だと思う)話し合ったが、
「それじゃあ少林vs武當をなんとかしないとな」
ってことで、武當派きっての使い手である岳華を少林派によこし、少林派の谷峰(クー・フェン)大師と手打ち的協力をしてくることにする。岳華は弟弟子の王鐘と妹弟子の李麗麗(リリー・リー)に見送られて旅立つ。

客棧。
蛇鶴八拳」の金正蘭(クム・チンラン)みたいに思いっきり乞食の格好した汚い女の子が料理をパクつく。
宿主の馮敬文が
「金を払え!」
と言ったがやはり持っていない様子でやっぱケンカ。
それにしてもこの女の子強い!
そしてこの戦いの中にチラッと元彪(ユン・ピョウ)らしき人物が見えるが断定できず。元彪である確率60%。
そしてこの汚い女の子がヒロインの井莉だった!
あんた、こんな汚れ役で頑張ったねぇ!!
そこを通りがかった岳華が助けてくれる。

井莉を助けた後に岳華は少林派・谷峰大師のいる三休壷へ。
興味津々の井莉が尾行してたりして。
ここで見事に岳華は谷峰大師との協力を取り持つことに成功する。しかし、お互い五毒教のアジトの場所などは知らないのであった。岳華を誘い出す井莉。
井莉 「五毒について知りたければ夜半に銀湖においで」
岳華 「銀湖?なぜ君が?」
夜半。
銀湖で乞食の井莉を待つ岳華。
しかしそこに現れたのは絶世の美女。



岳華 「あ、あなたは?」
井莉 「わからない?」
この絶世の美女こそ乞食の井莉だったのだ(そりゃそうだ)!
しかし、五毒教については大したこと語らず去っていったりして。

井莉 「凄いハンサム君に会っちゃった!」
侍女にそう言ってキャッキャする井莉。
なんとこの井莉、五毒教の教祖の娘だったのだ。

江湖が騒がしくなる。
それと言うのも五毒教の秘密要塞の地図が出回り始めたというのだ。それを奪って五毒教を倒し、名を挙げたいとする各門派たち。
先の武當派王鐘と李麗麗も駆出されて捜索へ。
この次の李麗麗さんが服が燃えてるのに戦い続けるシーンが凄い。それとここで元華(ユン・ワー)確認。元華確率99%。
戦闘の末に秘密要塞の地図を手にしたのは王鐘と李麗麗。
そして王鐘は要塞潜入へ、李麗麗は武林に報告へ。

「少林寺への道」の十八銅人もびっくりな殺人からくり屋敷になっている五毒要塞。それにしてもセットに金がかかってます。
このきつい要塞を潜り抜けて王鐘は遂に五毒教パワーの源である蜘蛛箱、冒頭で姜南が使ってた蜘蛛の巣飛ばすあれを入手。しかしそこに井莉が!井莉vs王鐘!
井莉は王鐘を毒針でやっつけるが、彼が自分の愛しの人である岳華の弟弟子とわかり、困惑する。

というわけで、守備隊グループに出向く井莉。
「この人と、この荷物を三日以内に武當派に送って」
なぜ三日以内かというと、毒がまわってしまうから。
大金を積んだのでこれを引き受けた守備隊であったが、これが思わぬ事態を生む。
王鐘と一緒に運んでいた荷物が蜘蛛箱だったのだ!
これに守備隊長が気づくと、目がくらむ。
「これを持てば俺は最強だ!」
狂った隊長は自分の部下を斬り捨てると蜘蛛箱を自分の屋敷へ持ち帰ってしまう。
まぁここからが隊長のバカなところだが、これを謀叛を企んでいた五毒教の羅烈に報告。自分の屋敷で盃を交わすかに見えたが、まぁそんなわきゃないわな。
蜘蛛箱奪った羅烈は守備隊ほぼ皆殺し。
井莉が駆けつけたが時既に遅しで立ち去る。
さらに岳華が駆けつけたが時既に遅しで立ち去る。ついでに自分の弟弟子である王鐘が五毒教にやられたことも知る。
さらに遅れてきた隊長部下の徐少強(ツイ・シャオチャン)
らに隊長が
「五毒教・・・岳華・・・・」
と言って事切れたので、守備隊は五毒の井莉と岳華が殺したものと思い込む。

遂には岳華が五毒教要塞に乗り込む。
多勢に無勢、さらに教祖の王侠とも戦ってフラフラまさに命懸けの戦いだったがほんまに死にそうになったので、逃げながら戦っている知らず知らずのうちに井莉の部屋へ。そこで匿ってもらい岳華は助かるのだが、井莉に結婚を迫られ、命の恩人だし可愛いし断わりきれない。
ここに戻ってきたのは蜘蛛箱を手にした羅烈だった。
羅烈はあらかじめ裏切る予定だった・森らと結託して、教祖・王侠をその蜘蛛箱から出る蜘蛛の巣で殺すと、さらにその魔の手を娘の井莉に伸ばす。すんでのところで逃げた岳華と井莉、向った先は武當の山だったのだが・・・

武當山。
毒にやられて治療を続けていた王鐘、命は取り留めたものの両足が不自由になってしまう。
その毒を投げた本人が井莉だとも知らずに岳華との結婚を祝う王鐘。だが王鐘は先の戦いの時に井莉の顔を見ている。
ここで王鐘と井莉はなんとか誤解も解け、和解に進むかと思ったがそうはいかなかった。
守備隊の徐少強が少林派の谷峰大師に自分の隊長が武當派の岳華そして五毒の井莉に殺されたと報告。
「武當め!協力するはずじゃなかったのか!」
と怒った谷峰大師が他門派も引き連れて武當山に乗り込んできたのだ!

一触触発、さらには井莉が五毒教祖の娘であることが全員にバレて誤解だらけ。井莉は各門派の長に襲われて重傷を負う。

「ふははははっは!!」
ここに現れたのは羅烈であった。
全ての悪事はもちろんこいつ。
「ここにいる全ての門派を一網打尽にして俺が江湖のNO.1になってやる!」
羅烈が蜘蛛箱を解き放つとブシャア!と飛びだす蜘蛛の巣!
これが蜘蛛の巣!
岳華、井莉はじめ全ての者たちは蜘蛛の巣に囲まれてしまう。ちなみにこの蜘蛛の巣に触れたら何故か死にます。
「どうやってこの蜘蛛の巣を破ったらいいんだ!」
蜘蛛の巣攻略法が全くわからず、ただただ死を待つだけなのか!?
井莉は五毒教だから攻略法を知っているんじゃ?
「私もわからない」
もうだめだ!と思われたそのとき、さらに泣きっ面に蜂!
蜂ではなくて蜘蛛!
この小っちゃい蜘蛛が滅茶苦茶強いのだ!
怪獣映画みたいなことになっていく物語、でも蜘蛛が小さいの迫力は全く無しだ!でも攻略法はわからず!

井莉はあること思い出していた。
「お前に何かあったらこの貝のペンダントを開けなさい」
と持たされていた父の形見のペンダントのことを・・・

終劇




蜘蛛箱の存在自体が滅茶苦茶な気はあるが、その他のストーリーは破綻しておらず、裏切りや誤解、嫉妬や愛情が交錯するひねった物語は非常に魅力的であり、さらにその強大すぎる蜘蛛の巣をどうやって破るのか!?といったスリルも兼ね備えており、アクションは武術指導の唐佳(タン・チァ)、袁祥仁(ユアン・チョンヤン)のおかげで結構なもので特に文句を付ける気も無い傑作である。

これは多分同年の楚原作品「流星・胡蝶・剣」の直前に撮られたものだと思われるが、ここで既に同レベルの作品を撮っているところが興味深い。何も原作古龍(クー・ロン)を引っ張ってこなくても 脚本・倪匡(イ・クオン)で十分面白いものが撮れているではないか。
それにしてもまたこの映画は、セットが非常に豪華で改めてショーブラザーズの強大さを感じさせる作品でもありました。

----------------------
以下はいも様より頂いたご投稿です。
五毒天羅
いも 投稿日:2005年5月1日<日>00時23分
なるこうさん、はじめまして。こんばんは。
いつも楽しく読ませてもらっています。
突然ですが、なるこうさんは金庸の小説はお読みになられますでしょうか?
今回の『五毒天羅』はクレジットに名前は出ていませんが、金庸の『倚天屠龍記』の冒頭部分をそのままいただいたようなお話しになっています。 そして同じショウブラシリーズにあるチェン・ペイペイ主演の『神剣震江湖』もまた、この『倚天屠龍記』の同じ部分をベースにした作品です。 この二作品は元ネタが同じでも、作られた年代のせいか、テイストがだいぶ違うので、特撮技術やヒロインの雰囲気なども合わせて比べてみるとおもしろいですよ。ちなみに私は昔の中村玉緒のような井莉『五毒天羅』のほうが好きです。
----------------------
■CAST&STAFF
監督 楚原
出演 岳華
井莉
羅烈(ロー・リエ)
李麗麗(リリー・リー)
王鍾
谷峰(クー・フェン)
王侠
于倩
・森
井E
王撼塵 
姜南(チャン・ナン)
王清河
蘆葦
徐少強(ツイ・シャオチャン)
沈勞
〔赤?〕履仁
顧冠忠
歐陽莎菲
馮敬文
錢月笙(チェン・ユーサン)
呉杭生
元華(ユン・ワー)
元彪(ユン・ピョウ)?
武術指導 唐佳(タン・チァ)
袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 陳勳奇(フランキー・チェン)
クレジットは陳永U
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1976
 


胡惠乾血戰西禅寺
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 アイアン・モンキー
チャック・ノリス in 地獄の刑事
少林寺炎上
コータローまかりとおる!
五毒天羅
inserted by FC2 system