武状元
Super Power
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莊泉利(ビリー・チョン)である。
彼の主演作は揃って期待値が高い。
というのもそもそもアクションスターとしての素晴らしい才能を持っていたからこそ恆生電影有限公司が自信を持って彼を世に送り出したのであり、彼のアクションスターとしてのスキルの高さを世に知らしめる為に万全のスタッフ体制で作品が作られていたからである。
しかし時代は時にとても残酷で、彼の主演デビューがもっと早ければ彼が成龍(ジャッキー・チェン)に取って代わっていた可能性は十分にあるし、逆に遅ければ今頃「
葉問」の主演は彼だったかもしれないのだ。
それだけの素晴らしいポテンシャルの持ち主だったのである。
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流れ
オープニングから冴えてます
でもパターンから「
ドラゴン・カンフー水晶拳」と同じです。
今回は敵の侯朝聲
「水晶拳」では父役でしたが、今回は敵役。
ヒゲ付き馮敬文
ま、とにかく侯朝聲の父が危篤であかんと。
で、とにかくその父が色んな流派の奴らが嫌いやから殺して来いって感じで遺言伝えるので、侯朝聲と手下の江島と李天鷹で色々倒すわけだ。
一方で、
廖安麗さん
廖安麗さんは許婚相手がいることを知ってトキメキで
気持ちが抑えられなくて
練習してたりして。
お金持ってます
許婚相手は勿論、ビリー。
大手の道場息子であるビリーはドラ息子ながらも腕自慢。
侯朝聲が各流派を招いた会食で、侯朝聲は意図的に仲違いさせることを画策。
また出たよ劉鶴年師匠
もう・・・・・。
いい加減にしてよ(笑
とりあえずこれ→「
血雙」いい加減にして欲しい理由
いいように仲違いさせられた各流派の長達。
その間に江島と李天鷹が道場に飛び込んでいって潰すという。
ほら負けてる
ほんとこの人はこの役柄専門やな。
それと関係ない廖安麗は
男装して
許婚相手の動向をしっかりチェック。
そりゃ未来の旦那様ですからその人となりとかしっかり確認しておかないとね。
んで、その辺で偶然侯朝聲が他所の道場の門弟をぶち殺しているところを見てしまう廖安麗。
いつもブラブラしてるから犯人扱いされるビリーを助けたことから仲も良くなって、仲が良くなって良くなったら良くなったで
肉体自慢中
早速、服脱いで演舞しだして肉体自慢しまくるビリーさん。
ものすごく直結的なアピールですな。
完全にラブラブしているのでもう好きにしてください。
んで突然黄志明師匠という人が現れて修行。
修行の動機がようわからんのだがとにかく侯朝聲らは倒さなあかんと。
まだ直接的に何をされたというのも無いんですけどね。
修行終ったら早速、
vs李天鷹!
ここの丘は死ぬまでに行かないと。俺が。
綺麗なところですね。
そして抜群の
vs江島!
vs江島!
vs江島!
個人的にはこのファイトが一番の見所かな。
江島さんも実は大柄な体にも関わらず良い動きするんですよね。
そしてラストバトルで不利になると
ビビり拳・・・
何とビビってるフリしながら戦うビビり拳炸裂!
ビビりながら逃げて、
隠れたところから蹴りを見舞うという・・・ってあかんやろ!
終劇
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あのもう、堪能させて頂きましたって感じでビリーのキレの良い動きを十二分に楽しめる作品である。
確かにストーリー的にはこれと言って惹き付けられるものはなく、ドキドキトキメキ許婚話は途中で立ち消えになっちゃって、廖安麗は冒頭演舞したからアクションするのかと思ったらしないし、クライマックス前に消える。主人公そのものはそないに悪役から迫害されたわけでもないので命を賭けて戦う動機も弱い。「蛇拳」「酔拳」を大きくパクった作品がビリーの「ドラゴン・カンフー水晶拳」であるならば、「笑拳」の場面場面をパクったのが本作に当たる。
これにしても
これにしても
明らかに「笑拳」から拝借している演出で、「笑拳」での陶器を使ったアクションはこっちでもほぼそのまま存在する。
なので大筋はどうだってことはないのが正直なところだ。
じゃあなんで、傑作選に入れてるの?って言われるともう、
莊泉利(ビリー・チョン)の素晴らしさ、そのもの
なのだ。
足技は黄正利(ホアン・チョンリー)のようにしなやかで、
身のこなしは元彪(ユン・ピョウ)のように柔らかい、
それでいてその筋肉から想像出来るように剛の拳、力強さの迫力もバッチシでもうどの側面から見ても功夫スターとして超一流なのだ。
この当時にこんな男を映画プロデューサーが見つけたら是が非でもこいつをスターにしよう!と思うはずである。
というわけで、功夫シーンの出来の良さは今更言うまでもないが、個人的にとても気に入ったvs江島戦が素晴らしい出来だし、勿論他の対戦もハイレベル。ただ、ラストバトルの隠れて戦うのはちょっと卑怯じゃないかというのが残念ですが。
ほんとに冗談抜きで一つ時の歯車が違ったら、ジャッキーじゃなくてビリーだったのかもしれない。
何しろその肉体ポテンシャルはジャッキーより高かったのだから。
同じようなジャッキーのエピゴーネンと一緒くたにして語るには余りにも惜しい逸材である・・・