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■ドラゴン傑作選27  
 


武状元
Super Power




莊泉利(ビリー・チョン)である。

彼の主演作は揃って期待値が高い。
というのもそもそもアクションスターとしての素晴らしい才能を持っていたからこそ恆生電影有限公司が自信を持って彼を世に送り出したのであり、彼のアクションスターとしてのスキルの高さを世に知らしめる為に万全のスタッフ体制で作品が作られていたからである。
しかし時代は時にとても残酷で、彼の主演デビューがもっと早ければ彼が成龍(ジャッキー・チェン)に取って代わっていた可能性は十分にあるし、逆に遅ければ今頃「葉問」の主演は彼だったかもしれないのだ。
それだけの素晴らしいポテンシャルの持ち主だったのである。


流れ

オープニングから冴えてます
でもパターンから「ドラゴン・カンフー水晶拳」と同じです。

今回は敵の侯朝聲
「水晶拳」では父役でしたが、今回は敵役。
ヒゲ付き馮敬文

ま、とにかく侯朝聲の父が危篤であかんと。
で、とにかくその父が色んな流派の奴らが嫌いやから殺して来いって感じで遺言伝えるので、侯朝聲と手下の江島と李天鷹で色々倒すわけだ。

一方で、
廖安麗さん
廖安麗さんは許婚相手がいることを知ってトキメキで
気持ちが抑えられなくて
練習してたりして。
お金持ってます
許婚相手は勿論、ビリー。
大手の道場息子であるビリーはドラ息子ながらも腕自慢。

侯朝聲が各流派を招いた会食で、侯朝聲は意図的に仲違いさせることを画策。
また出たよ劉鶴年師匠
もう・・・・・。
いい加減にしてよ(笑
とりあえずこれ→「血雙」いい加減にして欲しい理由
いいように仲違いさせられた各流派の長達。
その間に江島と李天鷹が道場に飛び込んでいって潰すという。
ほら負けてる
ほんとこの人はこの役柄専門やな。

それと関係ない廖安麗は
男装して
許婚相手の動向をしっかりチェック。
そりゃ未来の旦那様ですからその人となりとかしっかり確認しておかないとね。
んで、その辺で偶然侯朝聲が他所の道場の門弟をぶち殺しているところを見てしまう廖安麗。

いつもブラブラしてるから犯人扱いされるビリーを助けたことから仲も良くなって、仲が良くなって良くなったら良くなったで
肉体自慢中
早速、服脱いで演舞しだして肉体自慢しまくるビリーさん。
ものすごく直結的なアピールですな。
完全にラブラブしているのでもう好きにしてください。

んで突然黄志明師匠という人が現れて修行。
修行の動機がようわからんのだがとにかく侯朝聲らは倒さなあかんと。
まだ直接的に何をされたというのも無いんですけどね。
修行終ったら早速、
vs李天鷹!
ここの丘は死ぬまでに行かないと。俺が。
綺麗なところですね。
そして抜群の
vs江島!
vs江島!
vs江島!
個人的にはこのファイトが一番の見所かな。
江島さんも実は大柄な体にも関わらず良い動きするんですよね。

そしてラストバトルで不利になると
ビビり拳・・・
何とビビってるフリしながら戦うビビり拳炸裂!
ビビりながら逃げて、
隠れたところから蹴りを見舞うという・・・ってあかんやろ!


終劇





あのもう、堪能させて頂きましたって感じでビリーのキレの良い動きを十二分に楽しめる作品である。
確かにストーリー的にはこれと言って惹き付けられるものはなく、ドキドキトキメキ許婚話は途中で立ち消えになっちゃって、廖安麗は冒頭演舞したからアクションするのかと思ったらしないし、クライマックス前に消える。主人公そのものはそないに悪役から迫害されたわけでもないので命を賭けて戦う動機も弱い。「蛇拳」「酔拳」を大きくパクった作品がビリーの「ドラゴン・カンフー水晶拳」であるならば、「笑拳」の場面場面をパクったのが本作に当たる。
これにしても
これにしても
明らかに「笑拳」から拝借している演出で、「笑拳」での陶器を使ったアクションはこっちでもほぼそのまま存在する。

なので大筋はどうだってことはないのが正直なところだ。
じゃあなんで、傑作選に入れてるの?って言われるともう、
莊泉利(ビリー・チョン)の素晴らしさ、そのもの
なのだ。
足技は黄正利(ホアン・チョンリー)のようにしなやかで、
身のこなしは元彪(ユン・ピョウ)のように柔らかい、
それでいてその筋肉から想像出来るように剛の拳、力強さの迫力もバッチシでもうどの側面から見ても功夫スターとして超一流なのだ。
この当時にこんな男を映画プロデューサーが見つけたら是が非でもこいつをスターにしよう!と思うはずである。

というわけで、功夫シーンの出来の良さは今更言うまでもないが、個人的にとても気に入ったvs江島戦が素晴らしい出来だし、勿論他の対戦もハイレベル。ただ、ラストバトルの隠れて戦うのはちょっと卑怯じゃないかというのが残念ですが。

ほんとに冗談抜きで一つ時の歯車が違ったら、ジャッキーじゃなくてビリーだったのかもしれない。
何しろその肉体ポテンシャルはジャッキーより高かったのだから。
同じようなジャッキーのエピゴーネンと一緒くたにして語るには余りにも惜しい逸材である・・・


■CAST&STAFF
監督・脚本 林展偉
出演 莊泉利(ビリー・チョン)
侯朝聲
廖安麗
江島
李天鷹
黄志明
劉丹
馮敬文
劉鶴年
王憾塵
張作舟
李壽祺
胡大為
西瓜包
林克明
蒋金(ジャン・ジン)
麥天恩
何其昌
洪玲玲
盧慧
江全
金天柱
武術指導 黄志明
ケコ祥
音楽 周福良
製作 包明
制作年度 1980


上海灘大亨
Big Boss of Shanghai



私が成こ家班映画金馬賞2007最優秀作品に選んだ

上海ドラゴン/英雄拳(馬永貞)」は・・・って、Amazonの値段高っ!!
いつの間にこんな高値のソフトに・・・
ともかく、張徹(チャン・ツェー)監督にとっても主演の陳觀泰(チェン・カンタイ)にとっても代表作で男のロマンと悲哀や愚かさがたっぷり描かれた任侠アクションの傑作である。
何度も言及してるが、これ以降陳觀泰(チェン・カンタイ)はこの「馬永貞」を彷彿とさせる作品に何本も主演、馬永貞モドキの駄作・怪作が何本か生まれたのも確かだが傑作が生まれたのも事実で、本作はその傑作の部類に値する一本である。
製作年は1979年にして本作のプロデューサーは羅維(ロー・ウェイ)、ジャッキーが大ブレイクを果たした裏で撮られたという興味深い撮影背景のある作品である。
しかも監督は陳觀泰本人だ!


流れ



陳觀泰と龍方(ロン・ファン)は腕っ節は強いが貧乏。
それでも早速メシだ!ケンカだ!レッツゴー上海だ!
・・・上海はちょっと待て。
というわけで薪割りして小銭稼いで賭場だ!
と思ったら、友人の鄭康業がチンピラにボコボコにされてる情報が!
せっかく博打で勝ってたけど投げ出して助けに行く陳觀泰、やっぱりアニキのこういうところが格好良いね!

そしてチンピラをボコボコにして鄭康業を助けたのだが、助太刀していた龍方が思わず殺っちゃったって感じでチンピラ1人殺してしまう。
このままじゃ刑務所行きだ。
ってことで、とりあえず逃げるために列車に飛び乗る陳觀泰&龍方、結果予定よりも早く上海に行ってしまうことに。

早速上海では

水揚げ場を仕切るヤクザの陳慧樓(チェン・ウェイロー)が貧乏な龍方見つけてイジメにかかる。なので、

早速バトルでボコボコにする陳觀泰兄貴!
こんな人が知り合いにいたら良いなぁ・・・

だから仕切ってるのは陳慧樓だってのに、波止場で働き出す二人。

当然バトルになって、そしてこれ陳觀泰だけじゃなくて龍方も強いですから。

シマを荒らされる失態を繰り返してボスの史仲田に怒られる陳慧樓であったが、

逆にこの失態を利用しようと思いつく陳慧樓、やたらと頭が切れます。

陳觀泰&龍方をアジトに誘い出し、史仲田と対決させる。
陳觀泰&龍方が全てのチンピラを蹴散らして史仲田を窮地に追いやるとトドメを刺したのは陳慧樓自身であった。最初からボスに嫌気が差していた陳慧樓の画策だったのだ。
陳觀泰&龍方はそのまま波止場のボスへ。
次に陳慧樓は正義感の陳觀泰よりも金が好きな龍方の方が利用しやすいと悟り、誘惑を持ちかける。

さらに別のシマを取り仕切っていた
デカい役もらってるなぁ
鄭富雄(チェン・フーシェン)を陳觀泰&龍方でボコにする。
陳觀泰は殺す気は無かったのだが、龍方が殺す。この男、最初にチンピラを殺してから人を殺すことに慣れてしまっていたのだ。

いよいよ龍方だけこっそりと

大ボス陳星(チン・セイ)の下へお目通しする陳慧樓、そこで龍方が見たのは
全てに目が眩む龍方
金に女に権力、彼が欲しいもの全てであった。

いよいよ狂ってくる龍方。
陳觀泰のシマ、つまり弟分である自分のシマでもあるのだが独占せんとばかりに荒らし出す。

二人の仲は崩壊。楽しく薪割りやっていた日々は何処へ。

とうとう兄貴であった陳觀泰を始末するため罠を張る龍方。
罠にかかって深手を負う陳觀泰であったが、これを助けてくれたのが

以前助けて今回は車で駆けつけた鄭康業であった。

最後通告
ここで大ボス・陳星が動く。
この件は手打ちにしようと会食を持ちかける陳星。
甘んじてそれを受け入れる陳觀泰であったが、当然の如く罠で
またも剛と剛の戦い!
始まるラストバトル!

最早、金に権力に目が眩み亡者と成り果てた龍方であったが・・・


終劇





というか、陳觀泰監督!いいじゃないすか!
物語は冗長することなくテンポ良く進んで任侠ものでありながら功夫シーンも随所にたっぷり。倪匡(イ・クオン)の脚本は流石に矛盾の無いもので物語はわかりやすくて面白く、特に文句の付けようの無い傑作である。

またどう考えてもこれが始まりだなと思う

ゴッド・ギャンブラー」を彷彿とさせる龍方の悪役の原点演技が花開いており、本作があったからこそ後のノワールブームで彼が再び悪役としてスポットライトを浴びたのだと思うと実に興味深い。
陳觀泰兄貴のいつもの兄貴らしい格好良さは本作でも抜群で、まぁ今回は主演というよりも監督として評価を上げたというかそんな感じかな。
個人的に特筆しておきたいのは

やっぱり陳慧樓で、1979年と言えば同羅維プロデュースの

クレージー・モンキー・笑拳」にて彼はジャッキーの師匠役を演じており、真裏の本作でこんな狡猾な役を演じているところに彼の演技力の幅の広さを感じさせる。考えてみればこれまでお調子者や厳格な師匠や組織の親玉やチンピラや政府の高官やあれやこれやと様々な役柄をこなして更にアクションにも秀でる彼はなかなかの名優なのだと改めて思ってみたところ。

んでこれ、もしかして「クレージー・モンキー・笑拳」がヒットしたお金で撮ってたりして・・・完全な邪推ですが・・・
しかしジャッキーと陳觀泰兄貴の凄いニアミスだったりするんだよなぁ・・・


■CAST&STAFF
監督 陳觀泰(チェン・カンタイ)
出演 陳觀泰(チェン・カンタイ)
龍方(ロン・ファン)
陳星(チン・セイ)
鄭康業
陳慧樓(チェン・ウェイロー)
金露
孫嵐
史仲田
鄭富雄(チェン・フーシェン)
王太郎
史亭根
李皓
呉可
張宗貴
歐立保
蔡中秋
葛長生
李龍吟
張鴻基
許文鋭
呂雲保
武術指導 陳木川
武術顧問 陳秀中
脚本 倪匡(イ・クオン)
音楽 陳勲奇(フランキー・チェン)
製作 羅維(ロー・ウェイ)
製作総指揮 許麗華(シューリー・ホワ)
制作年度 1979


血肉磨坊
Blooded Treasury Fight



本作のメガホンを取った鮑學禮は元々ショーブラザーズ所属のカメラマンで後には張徹(チャン・ツェー)監督と共同で

上海ドラゴン/英雄拳」や「大海盜」「大刀王五」等の傑作を撮り上げた監督さんである。呉宇森(ジョン・ウー)や午馬(ウー・マ)のように張徹監督の助監督を務めていたのではなく、あくまで共同監督とクレジットされているのが特徴的で、その後は台湾に渡って独立し数々の作品を手がけており、「決鬥老虎莊」や「カンフー・エンペラー」といった傑作も輩出しているのだが、本作はそんな鮑學禮作品の中でも1,2を争う傑作である・・・かと思う・・・たぶん。

ところで話変わりますが、
ああ、そうか。
と思う所がある。
本作にも小さな役で出演している午馬のことで思うところがあるのだが、彼の経歴を見てみると台湾では自身のプロデューサー、監督、俳優そしてコンサルタントとしての腕を磨きながら香港帰還のチャンスを虎視眈々と狙っていたのではないかと推測してしまう。
台湾では主に監督として活躍した午馬は同時にゴールデン・ハーベストのアクション映画の旗手となりつつあった洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と接触してサモハン作品への出演を果たしているし、新しい香港アクション映画時代を幕開けさせたシネマ・シティ・カンパニーの旗揚げ作品「モダン・タイム・キッド/滑稽時代」にも顔を出している。
このように香港でもその顔を忘れられないようにと何度も足を運んだその結果、実質大部分を監督したのではないかとも言われるサモハン作品

ファースト・ミッション」の助監督をすることになるのだが、諸事情あってとにかく急造する必要のあったこの作品の完成に大きく貢献することで、サモハンや成龍(ジャッキー・チェン)、そしてゴールデン・ハーベストに大きな貸しを作ったのではないだろうか。
その後はジャッキー作品では

奇蹟/ミラクル」にて大役を務めたし、サモハンが興した寶禾影業有限公司(ボーホー・フィルム)の作品にて俳優又は監督やプロデューサーとして大きく活躍しているし、シネマ・シティ・カンパニーの大作「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」で当たり役の道士役を演じてもいるのである。映画界で生き残る為に精力的にそしてその豊富な経験と知恵を使って渡り歩いた午馬、実に尊敬すべき策士か。
・・・全然関係無い話をしてしまった。


流れ




政府の高官である譚道良(レオン・タン)は屈強な山賊達が住んでいる血肉磨坊と呼ばれる場所にあるとされる財宝(白蓮教が隠した?)を奪還してくるという勅旨を受ける。
早速、
彼の出演が怪しいんだよな
乞食でスリだが頭のキレる樊梅生(フォン・メイサン)や、蔡弘、陳碧鳳が奪還メンバーに選ばれる。譚道良は続いて
何と囚人として登場
今は囚人であるが(何でか不明)、腕の立つ姜大衛(デビッド・チャン)をメンバーに加えようとする。行くのを渋る姜大衛であったが恋人(元?)の陳碧鳳も行くとあっては断るわけにも行かず渋々着いて行く事に・・・んだけど、これあれですね。たぶんそうだと思うんですが、陳碧鳳はもう全然姜大衛に対して未練が無いのか何だか知りませんがお宝に目に眩んだかで相手にもしないので(どころか蔡弘と仲が良い)、やっぱり逃げ出したい姜大衛って図式になってます。


んで↑これ見ればわかりますが、要は

飛龍神拳」のように山賊のアジトでアドベンチャーってわけですね。
わけですね・・・って、
山賊のチンケな罠にかかっていきなり足を負傷する譚道良!!
フ、フラッシュレッグがぁ!?!?
あんたが足怪我したら映画的に全然あかんやん!!

なので結局譚道良置いて、姜大衛、蔡弘、陳碧鳳、樊梅生の四人で冒険続行で感じだがどうもおかしいぞ!?
さっきから樊梅生だけはたまにアップで映るだけ!しかも適当なところで矢で射られて死んだ!そしてその辺りの他役者のリアクション無し!
絶対別撮りだろ!そしてこんな別撮り意味ねーだろ!

一方でこれ別に山賊が宝を持ってるわけではなくて、山賊も宝の在り処を知らないから探してるっていうね、そういうことなんですね。なので、
かなり暴力的です今回
山賊ボスの陳惠敏(チャーリー・チャン)は

娘の金正蘭(クム・チンラン)とか張一道使って捜索。

さらに彫師として現れた王鍾(ワン・チュン)も使ったりなんかして。

置いて行かれた怪我人・譚道良。
実はこれはフェイクの嘘怪我で高強とかの部下と合流すると、姜大衛らが張一道や金正蘭と功夫バトルを展開する裏でお宝こっそり頂こうと暗躍。観てる側としてもこのままフラッシュレッグは炸裂しないのかと不安だったのでホッとすることに。

ラストは宝があるとされる穀物蔵に
姜大衛、譚道良、陳惠敏、王鍾、蔡弘、金正蘭、陳碧鳳、ちゃっかり王青(ワン・チン)と全員集合!!
こうなりゃ敵も味方もねぇ!というか最初からお互い味方じゃねぇ!
殺し合って生き残れ!!




オチが良いんだわ、これが。


終劇





1,2を争う傑作である・・・かと思う・・・たぶんってな言い方をしたのは、自分が話を理解していない部分があるからであって、もっとちゃんと理解していれば間違いなくもっと面白かったであろうという意味で、理解出来てない部分を残しながらも十分に本作は傑作である。

財宝を求めて山賊たっぷりのアドベンチャーは前述の通り「飛龍神拳」を連想させるが、クライマックスはそれとは違ってまるで

「バトル・ロワイヤル」のように
殺らなきゃ!殺られる!
一緒に旅したアイツもあの娘も
殺らなきゃ!殺られる!
といった緊張感に満ち溢れており、互いに命を懸けたお宝争奪戦が実に熱い。
もう性別関係無しに殴りあう蹴りあうまさにタイトル通りの血肉磨坊で、前半はアクションも少なめ抑え目なのだが、クライマックスに向けて段々と功夫アクションの比重が高まり、クライマックスで大バトル!!展開の構成も今回、重厚で迫力あるサントラを配置している陳勲奇(フランキー・チェン)の良い仕事っぷりも相俟って見事に観る側の気持ちを高めてくれる。

また当然功夫映画の魅力の根幹となる功夫アクションも武術指導・袁祥仁(ユアン・チョンヤン)が良い仕事をしており、素早くてテクニカルなキレあるアクションが良い。
クライマックスの穀物蔵では地上と天井裏を行ったり来たりする立体的な殺陣も構築しており、これは袁祥仁が本作から12年後に武術指導を手掛けた

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明」で李連杰(ジェット・リー)と任世官(ニン・シークワン)が穀物蔵で戦ったラストバトルを連想させるのも興味深いところだ。

いやこりゃあ良い作品ですよ。
是非、綺麗な画面で字幕を付けてもう一度ゆっくり楽しみたい作品である。


■CAST&STAFF
監督 鮑學禮
出演 姜大衛(デビッド・チャン)
譚道良(レオン・タン)
陳惠敏(チャーリー・チャン)
王鍾(ワン・チュン)
蔡弘
金正蘭(クム・チンラン)
陳碧鳳
高強
樊梅生(フォン・メイサン)
張一道
王青(ワン・チン)
金峰
午馬(ウー・マ)
李皓
蘆葦
洪鐘國
周潤堅
金程中
王圻生
史亭根
袁日初(サイモン・ユアンJr)
陳金海
張鴻基
葛長生
武術指導 袁祥仁(ユアン・チョンヤン)
脚本 倪匡(イ・クオン)
〔革斤〕蜀美
原作 朱羽
音楽 陳勲奇(フランキー・チェン)
製作 陳天慶
楊友舜
製作総指揮 陳天来
制作年度 1979


望子成蟲
I Will Finally Knock You Down, Dad



いつの間にか傑作選に入れる敷居が高くなっちゃってるんだけどね、そりゃ私個人のみの問題だからまぁどうでもいいとして、いやぁなかなか良い作品に出逢うことが出来ました。これは結局、セレスティアルからリリースされなかったのか?全然違うパッケージだからショーブラザーズ映画だともわかっていませんでしたがそうでした。
本作の監督・武術指導である徐蝦もやっぱりね、面白そうな功夫映画を捜す重要なキーワードですから・・・と言いつつも本作なんかは製作年度1984年ということで功夫映画なんかどうかも知らなかったのですが、そもそも董驃(トン・ピョウ)が出てる時点で功夫映画じゃないだろうなと思っていたのですが、バリバリの功夫映画でした。もう1984年でガッツリこれを提供しますかみたいな功夫映画。






まるでチャップリンの映画でも始まったかのような大らかな音楽が心地良いオープニングはとても功夫映画とは思えません。
村の名士であり、道場の経営主でもある陳觀泰(チェン・カンタイ)・・・の息子である錢小豪(チン・シュウホウ)の所に遠くから嫁さんが嫁いで来ました。

早速、
見事な獅子舞!
素晴らしい獅子舞を披露する錢小豪。
ちなみに右下にカラフルな大箱が映ってますね。
この中に嫁さんが入ってます。中々萌えな仕掛け。
珍しい衣装の趙志凌先生(左)

序盤から抜群の腕前
息子の出来の良さが嬉しいご夫妻
陳觀泰&李麗麗(リリー・リー)ご夫妻自慢の1人息子・錢小豪でしたが、実は彼の強さは門下生と組んだフェイク。
陳觀泰 「息子よ!今度は俺と勝負だ!」
錢小豪 「・・・いやいやいやそんな親を攻撃するなんてむ、むりっすよ!」
と危うくバレそうになりそうであぶねぇあぶねぇべらんめぇ。

もうなんちゅうか・・・
こっちはその嫁いで来た女の子のお父さんである羅烈(ロー・リエ)さん。
いやいやいやすっかり芸風が変わっております。あのう・・・まぁいいや後述にしよう。

こっちも素晴らしい孫悟空京劇
今度は婚前の宴席で京劇。これがまた面白いんですよ。
活躍するのかと思ったら
序盤の獅子舞では見事なアクションシーン(ダブル?)もあった嫁さん予定の黎燕珊さん。
実はこの後ロクに出番なし。
婚前物語なのに全然見せ場なし。恋的触れ合いなし。
これほどまでに婚前にして恋的触れ合い描かない作品も珍しい。

しかし、
ああ、来ましたね。
ほとんどいつも悪役・高飛(コー・フェイ)さん。
高飛道場の門下生とケンカしていた錢小豪は高飛の怒りを買い、高飛先生が宴席に乱入。いつもの高飛さんなら、ここで皆殺しガッツリ!
・・・ですが、今回は錢小豪とのタイマンを希望。
このアクションも良いです
やっぱ錢小豪もそれなりに良い腕前を披露するのですが、高飛先生には敵わず敗北。

陳觀泰 「俺の息子ガッツリ弱いやんけ!!」
改めて腕を見るも・・・
父さん・陳觀泰に手も足も出るが、全て止められ相手にならない息子の錢小豪。お父さんがっくり。
この辺から当然親子ケンカになっちゃって、錢小豪は家出。
もう結婚は白紙になりそうだし、それどころかお家存続の危機。

うわお!!
んで、錢小豪が弟子入りしたのが董驃和尚・・・ってマジか!?
董驃叔父さんが功夫の達人役ってマジか!?
競馬評論家の董驃叔父さんが功夫の達人役ってマジか!?
日本で言えば恐らく井崎脩五郎さん的ポジションも確立していただろう、
競馬評論家の董驃叔父さんが功夫の達人役ってマジか!?
ちなみに私はギャンブルはやりませんが、
年に一回か二回、競馬はやります(やってんじゃん)。
近所に京都競馬場がありますから友達とね。
1レースでも当てれば非常に楽しいです。
だって、1回当てたらだいたい3000円ぐらいにはなりますから、後はその3000円内で残りのレースの馬券を買って、ご飯食べてすればプラスマイナスゼロになりますが、丸々一日タダで遊んだことになりますからね。

ま、やっぱ董驃叔父さんが華麗なアクションを披露!・・・
なんて展開にはならなかったのですが、まぁ色々なんやかんやと修行しまして、これがロッキーみたいな非常に現実的な修行と言うか完全に筋力トレーニングですな。


どっちにしろ家出によって精神的にも肉体的にも強くなった錢小豪は・・・
って、あれか「望子成蟲」のタイトルは"子供に立派な成長を望む"ってことだよな。
高飛先生と再戦!
自分が不利になると床机使い出すといういつもの若干汚い戦法な高飛先生でしたが、今回はいつもの皆殺しガッツリではなくて中々良い先生役でした。

高飛先生に勝利した錢小豪。
いやしかし、彼にはまだ倒さねばならぬ敵がいた。
その敵とは勿論、
父さん陳觀泰!
親子対決のラストバトル
果たして錢小豪は父さんに勝利して立派な"成蟲"となれるのでしょうか?


終劇





あっそう言えば
この二人って「少林虎鶴拳」でもとても良い夫婦役を演じておりました。
ちょっと面白いのがこのご両親の息子に対する接し方で、特にお母さんの李麗麗さんはちょっと親バカで息子に甘い感じが面白いですね。
ラストはなかなか息子を許そうとしない旦那に怒って、
遂にお母さんも怒った!
短いシーンですが見事な功夫アクションを披露!

もうなんちゅうか・・・
んで羅烈さんの方ですが、例えばショーブラザーズの名バイプレーヤーであった谷峰(クー・フェン)さんが若い時からアクションスターとしてそして悪役として様々な役柄をこなしながら年数を経てやがては大老的な役柄にシフトして行ったのと同じく、羅烈さんもスター街道から始まって香港・台湾と往復しながら様々な役柄を演じて、こうやって初老的な役柄を演じる域に入っていったんだなぁと感慨深い思いですね。何か逆に功夫しない羅烈さんが新鮮というか、ほらショーブラザーズって爺さん役者多いじゃないすか(笑
いっつもショーブラ言うたらこの爺さんが出てるみたいな人が多い中で、本作ではそのような役割を羅烈さんがこなしてるってのに、時の流れを凄く感じました。

ご覧の通り、
功夫映画でありながら一滴の血も出ない楽しい作品で、かつ功夫アクション盛りだくさんというなかなかの良作でした。
その功夫アクションは勿論ハイクオリティで満足。
獅子舞って個人的にはあまり好きではないのですが、本作での獅子舞アクションは楽しいですし、京劇のシーンも工夫が凝らしてあって面白く、テンポも良い作品なので特に飽きることがありません。
一見は厳格なお父さん・陳觀泰ですが奥様・李麗麗には優しく頭が上がらない感じなのも面白いです。
も一つ面白いのがラストバトルのオチ、例えば「ワンス・アポン・ア・タイム英雄少林拳 武館激闘」のラストバトルではお互いに戦いの途中から腕前を認め合って勝敗をつけることなく二人は去って行く・・・って格好良いのですが、こっちは何せみーんな見物してる親子決戦ですから、始めてはみたものの途中から親子同士で
父   (んで、このバトル最後どうする・・?)」
息子 (い、いや最終的に息子が勝つってのも、父さん的にどうかと?)
父   (でも勝たないとお前の成長見せられないだろ?)
息子 (そやけど、父さんが負けちゃあ顔が立たないでしょうと)
お互いにそんな空気感が出てきて、シメに困ってるのが笑えます。
このシメは見事な方法で切り抜けますが、それはお楽しみに。

この作品はオススメですが、その前に天映娯楽(セレスティアル・ピクチャーズ)からちゃんと出してほしいなぁ、改めて綺麗な画像でゆったり楽しみたいです・・・(出てたらすいません)


■CAST&STAFF
監督 徐蝦
出演 錢小豪(チン・シュウホウ)
陳觀泰(チェン・カンタイ)
董驃(トン・ピョウ)
羅烈(ロー・リエ)
高飛(コー・フェイ)
李麗麗(リリー・リー)
黎燕珊
熊良錫
郭軍城
元コ
曹査理
易天雄
鄭麒膺
何柏光
趙志凌
林克明
劉晃世
洪新南
徐發
王憾塵
張作舟
徐蝦
蕭コ虎
彭潤祥
鐘榮
祁浩サ
元輝
尹靈光
矮冬瓜
雷達
方茹
馮明
龍英
蔡國強
梁心
肥堅
林鐵成
黄公武
徐建華
武術指導 徐蝦
徐發
元輝
鄭家生
脚本 葉佳
關耀榮
音楽 成錦榮
蘇振厚
製作 方逸華(モナ・フォン)
製作総指揮 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1984


K帶空手道
Black Belt Karate



大河ドラマ「平清盛」に使われているサントラがどこかで聞いたことあったような無かったような・・・思い出せない・・・
と思っていたら、「女活殺拳」のオープニングで使われているサントラでした。カルタスという曲で勿論NHKは許可を得て使用しておりました。これだったのかすっきりした。

さて、本作はそんな「女活殺拳」に出演している梁小龍(ブルース・リャン)の出演作品の一つで、これが何とも当時の流行っていた功夫映画と比べて妙な異質感の強い作品である。なんかこれなんか怪しいな〜
邦画とか日本のドラマに元ネタあるんじゃないの〜




もし陳勲奇(フランキー・チェン)がこのオープニングのテーマソングを作曲したのなら(パクりじゃないのなら)、傑作ということになる。だってこれ、もう一回聞いたら耳から離れなーい!!
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
俺もう仕事中も、
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
こればっかり耳について頭の中で取れへん。


タイの親戚のとこに遊びに来た李錦坤(ラリー・リー)・・・
って、最初はそんな事言っていたはずなんだがなぁ・・・俺が翻訳間違ってるのか・・・?
なぜか出前持ちとして就職。いや遊びに来たんじゃ?就労ビザは?

しかも仕事中に空手道場の野外練習見て興奮!空手大好き!
いや仕事しろよ!
・・・と思っていたらクビになりました(笑 そりゃそうだ。

次に車夫やって空手道場の娘と知り合いになってコネ作って、

「やったー空手習える!空手!空手!空手!」
と嬉しさをダッシュスローモーションで演出。道場の娘、呆然。


莊泉利(ビリー・チョン)師範の下で基本的修行開始!
そしたらあなた、

抜群のセンスの持ち主だったから李錦坤さん、白帯のクセに練習試合で黒帯倒して茶帯獲得、大会出場者に選ばれて見事優勝!!展開はやっ
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪

しかし、因縁つけてきたチンピラ的空手家野郎たちとケンカしたことで

あっさり破門(涙
それにしてもタイにすっかり溶け込む濃い顔をしてらっしゃいます。

いや待て待て。
と、ライバル道場がその莊泉利師範の道場潰してしまって、呼び戻された李錦坤は、さらに修行して黒帯獲得するため・・・まだ獲得してなかったのね。
獲得するため香港へ。


香港の名だたる梁小龍先生に教えを請うことになるのですが、

・・・いや、ほんとにね・・・

ここに至るまでの今までのアクションはいったい何だったのか?と感じるぐらいに素晴らしい梁小龍先生のキレキレに脱帽!
いや、ここまでクッキリ現れるのかという感じがします。

いやんかっこいい!
出番は短いですが梁小龍出演作品の中でも一際格好良いです。いやこれは、それまでの演出のギャップがモノを言ったな。

勿論ある梁小龍先生vs李錦坤!

梁小龍先生のおかげで黒帯獲得してタイに戻った李錦坤。

ライバル道場が招聘した助っ人・羅烈(ロー・リエ)先生(と陳龍 )

しかしもって羅烈さんは本当に多くの作品に出演してらっしゃいますな、何という働き蜂役者、しかもほとんどが体を張ったアクション映画ですからね。どんだけ頑張って稼ぐんだという。

まぁラストバトルですが、その前に梁小龍が美味しいとこ全部持っていったからなぁ・・


終劇・・・あれ?だからタイの親戚がどうとか・・・?




わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪
わっせわっせわっせわっせだだーだー♪

ま、本当は傑作とまでは言えないんだけど、かっこいい梁小龍が見られたということで一つ。

なんかね、
どっかのドラマの演出そのまま持って来たんじゃないの?ってぐらいに作品の雰囲気は他の当時の功夫映画には無いものを感じさせる。タイロケの影響もあろうが。
いやほんま青春スポ根映画やな。
前半はコメディチックに強くなるまでを描き、後半はさらに強く根性物語、道場の娘がヒロインに成り得てないのが惜しいな。ここにほのかなラヴを持って来れば良かったのに。
何にしろ繰り返しになるが見せ場は梁小龍で、柔軟で速くて強い足技が実に光っている。おかげで羅烈さんは霞んでしまったが。

ただこれ、タイロケする必要あったかな?


■CAST&STAFF
監督 孫亞夫
出演 李錦坤(ラリー・リー)
梁小龍(ブルース・リャン)
羅烈(ロー・リエ)
莊泉利(ビリー・チョン)
陳龍
江島
李大衛
葉千一
梁小熊
武術指導 梁小龍(ブルース・リャン)
音楽 陳勲奇(フランキー・チェン)
製作 張慎源
製作総指揮 陳梓河
制作年度 1977
 

五遁忍術
Five Element NINJAS
少林拳対五遁忍術



あれだな、再開してみたら不満ばかりのレビューになっちゃってるので誉めたいな。

張徹(チャン・ツェー)監督はとにかく功夫・武術のことを調べて片っ端から映画にしていったって感じですね。少林伝説を始めとして。
それで今回は「少林寺対vs忍者」や「龍の忍者」あたりかな?その辺の影響か

俺の忍者映画はちゃんと調べたぞ
カニ拳なんか出てこないぞ
という気概に満ちた忍者映画なのだな。

ごとんごとん
ドラえもんがいようがいまいが、のび太がジャイアンに虐められることに変わりはないが、ハットリくんがいなければケン一氏はケムマキに虐められることはない。ハットリ出てけ



・森一派が助太刀で日本人も呼んで、關鋒一派と対決したのに全敗で
こりゃ悔しい
ってことで日本から陳惠敏(チャーリー・チャン)扮する忍者軍団呼んだら、これがまた滅法強くて關鋒一派は程天賜を一人残して全滅したのだけれど、哀れだなぁ呼んだ・森一派も忍者軍団に皆殺しにされました。
このままじゃ武林は忍者軍団のものですかということで、程天賜が忍術破る修行を何故か出てきた仲間とやって、復讐ですな。




程天賜さんは「クレージー・モンキー笑拳」で一見、けちょんけちょんにジャッキーにやられた剣士を演じたが、子供の目で見てもそのスマートな動きは
今回はたまたま弱い役だった
というのがアリアリとわかった
趙志凌先生はわからなかったけど(笑)
だから「上海13」で姜大衛(デビッド・チャン)始め次々と難敵を倒してしまう程天賜さんを見て
ほらやっぱり
と思った。トリの対決が狄龍(ティ・ロン)対程天賜さんだったのも当時張徹監督一押しの役者だったのであろう。

本作はアクションアクションまたアクション、調べて来た忍者アクションをこれほどまでに!と惜しげなく披露。
さらに、お色気くの一殺法までもたっぷり出てきて忍者アクション集大成な良作である。

五毒メンバーの出演が羅莽(ロー・マン)だけでしかも途中退場なのは寂しいし、彼らの武術指導でないことも心細かったのだが、程天賜さんの武術指導者っぷりも素晴らしく、イヤというほど高レベルな功夫アクションを見せてくれる。
さらにラストバトルにおける陳惠敏のアクションもラスボスとして凄まじくベストバウトと言っていいだろう。

恐らくオールスタジオ撮影のこじんまりした作品とも感じるが、功夫に次ぐ功夫で功夫ファンを飽きさせることは無い作品である。


■CAST&STAFF
監督 張徹(チャン・ツェー)
出演 程天賜
陳惠敏(チャーリー・チャン)
羅莽(ロー・マン)
陳佩茜
龍天翔
王力
余太平
朱客
・森
關鋒
武術指導 程天賜
朱客
脚本 張徹(チャン・ツェー)
倪匡(イ・クオン)
製作 方逸華(モナ・フォン)
製作総指揮 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1982


龍拳蛇手鬥蜘蛛
Challenge of Death



張翼(チャン・イー)さんは実に多くの功夫映画で悪役を演じていて、一口に悪役と言ってもクールから気持ち悪いのから厳格からとバリエーション豊富に演じており、さらにほら鷹拳だ、やれ跳馬拳だ、蛇鶴八拳だ匂針拳だと繰り出してくる技も実に様々だ。

さて今回は譚道良(レオン・タン)と王道(ワン・タオ)相手にラスボスを演じるわけだが果たしてどのようなものであろうか?




譚道良の龍拳

王道の蛇拳

そして・・・

張翼の蜘蛛拳!(笑
ウケ狙いかよ!(笑
張翼さんも色々と大変ですな。


お訪ね者の王道を刑事の譚道良が捕まえて、
いざこざしながら最後は一緒に張翼倒すみたいな


勿論、馬場さんも登場。


功夫アクションはいいもの残してますぞ


龍方(ロン・ファン)は武術指導も兼ねてますぞ


譚道良vs王道もしっかり楽しめます


最早、優しそうな爺さんだが

まさに蜘蛛のように糸を出して飛び上がります


飛び上がったとこを二人でキック!
やられてるがな(笑




功夫アクションはスピードもキレもあってなかなかの殺陣を構築している。
いっつも足技の達人と組まされて地味なアクションになりがちな王道の功夫も非常に良かった。譚道良さんのスイスイ上がるハイキックはほんと流石。
対して張翼の蜘蛛拳は両手から縄張り出してどっかに縛って飛び上がるという、それってかえって体の自由が効かなくね?
という痛い拳だが、何とか上手いこと誤魔化している(笑)
完全な平野なら縛るとこ無いぞ(笑)

それにしてもちょっと調べてみたら他にも王道vs張翼な作品の多いこと!
これからもHPやってればここに登場することになると思います。

まぁ結構面白かった。

■CAST&STAFF
監督 李作楠(リー・ツォナン)
出演 譚道良(レオン・タン)
王道(ワン・タオ)
張翼(チャン・イー)
劉明
龍方(ロン・ファン)
薛漢(シュエ・ハン)
金銘(トミー・リー)
馬場
史亭根
余松照
武術指導 金銘(トミー・リー)
龍方(ロン・ファン)
脚本 張信義
製作 黄楓(ファン・フェン)
金長〔木梁〕
許立偉
製作総指揮 金ト
王峰
制作年度 1978



中原〔金票〕局
The Ming Patriots



下の表を見てもらえばわかるがなかなか豪華なキャスティングで、さらに武術指導は劉兄弟。エキストラも大勢使っている大作である…大作ではあるんだが。

今回、豪華なスターをはね除けて私が注目していたのは金塗(キン・トー)である。



明のお姫様・張琴がとある町に潜んでいたところを清の軍勢が強襲。
町を牛耳ると検問を張った。
農夫に扮して検問を通ろうとしたが、ばれてゲスト出演の黄家達(カーター・ウォン)が身を呈してお姫様を逃がす。

孤軍奮闘で戦う姿が格好良い美味しいゲスト出演。

お姫様が身を寄せたのは明派の中原〔金票〕局(〔金票〕局はSECOMとクロネコヤマト合わせたような商売)で、若い何宗道(ホ・チェンタオ)を頭目とする中原〔金票〕局が以降はお姫様と密書と宝を守りながらの旅に。
ちなみに中原の社員は龍方(ロン・ファン)だけだ。もっと採用しとけっ

本作の何宗道はかっこよかです!

子分の龍方もなかなか。


旅先の宿で仲間の嘉凌(ジュディ・リー)と合流するが、


盗賊カップル?の陳惠敏(チャーリー・チャン)&左艷蓉にお宝を狙われ、お姫様お付きの爺さんは殺されてしまう。


さっきから度々戦いに乱入して助けてくれてるような金塗爺さんも謎だ。

ほんでもって、密書と宝は巨大な猪の腹を裂いてその中入れて川に流すという豪快な物流手段を取ったけど、結局清軍に追い詰められラストファイト!

何宗道vs陳惠敏

ま、このメンツですから大方倒すんですが、

ラスボス張翼(チャン・イー)が今回とても強い…
彼がラスボスの作品はこれからもHPやってる限りやたら続く…ああ・・・


と思ったら金塗爺さんが実は蛇拳使いで張翼vs金塗爺さんという考えもしなかったバトルが始まり、これに何宗道と嘉凌が加わって

さらに応援に来たゲスト出演の喬宏(ロイ・チャオ)も参加して流石に4vs1じゃ負けるわな。


オチで大爆笑かます張翼。この後の一発!が面白い。
笑ってしまう。何度も見て笑ってしまう。鑑賞の際はお楽しみに!




クレジットが確認出来なかったが、劉家良(リュー・チャーリャン)が付けたとされる殺陣はなかなかで冒頭の黄家達が軍勢と戦うシーンでは後の「阿羅漢」に繋がるようなアクションもあったので恐らく彼なんだろう。

お話は簡単な復讐譚と言ってしまえばそれまでだし、相変わらず将軍様が一人で四人と対決したり…そもそも清の将軍ともなれば自分は一歩も動くことなく目的を達成出来るだろう…とかその辺はあるが、豪華なキャスティングで結構面白かった。


何宗道が良い。
本作では完全に偽李小龍から脱却して彼本来の功夫スターとしての演技を見せており、引退が早かったのが惜しまれる。何れはハッキリとスター何宗道としてもっともっと活躍出来たのではないか。それに納得出来るだけの主演ぶりであった。

さて、「豪客」のレビューで

「金塗爺さんは若い時から武術を嗜んでいたのか否か」

ってなことを話したが本作では劉家良の殺陣で蛇拳を披露しており、さらに若い頃はもっとアクションしていたのではと想像出来る。
ただ、後に自分が日本でも知られるような役者になるとは思ってなかったでしょうね…
で、思い出したけど金お爺さん、日本語話せるんだよね。
テンテンへのインタビューを金お爺さんが通訳しながらやってたなぁ。
ビデオ探してみよ

しかし張翼さんは…
またちょっとレビュー集計してみるか。


■CAST&STAFF
監督 歐陽俊
出演 何宗道(ホ・チェンタオ)
嘉凌(ジュディ・リー)
陳惠敏(チャーリー・チャン)
張翼(チャン・イー)
黄家達(カーター・ウォン)
張琴
喬宏(ロイ・チャオ)
金塗(キン・トー)
龍方(ロン・ファン)
陳慧樓(チェン・ウェイロー)
龍飛(ロン・フェイ)
山茅(サン・マオ)
左艷蓉
龍世家(ジャック・ロン)
武術指導 劉家良(リュー・チャーリャン)
劉家榮(リュー・チャーヨン)
脚本 張信義
江揚
製作 黄卓漢(ウォン・チェクホン)
制作年度 1976


插翅難飛
The Convict Killer



1980年代はゴールデンハーベストやシネマシティに遅れを取り、どのような作品を撮ればいいか暗中模索しながらも決定的な打開策、大ヒット作を製作出来ずに結局は映画製作を止めてしまったショーブラザーズ。
しかし、この皆の目が向いていないブランクに様々な作品がショーブラザーズで作られていてそれがまた傑作もあったりするのだから堪らない。

一方で未だにあばら家に老人と若者がいて云々の功夫映画を撮る映画会社があって、一方で世界をマーケットに欧州ロケを敢行した大作を撮る映画会社がある。
その混沌とした映画製作事情の中でショーブラザーズが残した作品は実に多彩である…であるが時代にマッチしていなかった、ずれていったというのも避けられない事実であったのだろう。

本作はそんな時流が変わる時期にに楚原監督が自ら脚本を書いて臨んだ意欲的な功夫作品で、時流に上手く乗れていれば大ヒットしても不思議ではなかったであろう作品である。




やはり引き込む演出の上手い楚原監督


冒頭から若き日の狄威(ディック・ウェイ)

相棒の鎖を武器に登場の狄龍(ティ・ロン)様。


狄威vs狄龍
すぐやられるけど。


ある人物にはめられて投獄された狄龍が出所。
当然、自分をはめた犯人探しの旅が始まる。
どうも白彪(パイ・ピョウ)が牛耳る町に黒豹という自分をはめた黒幕がいるということで、その町を訪れる。

白彪 「いませんいません」
と言われたが信じられない狄龍は逗留。

白彪 「六金剛を呼べ」
って感じで狄龍の前に様々な敵が現れる。


中居さんのフリした刺客、


扇子大好きな顧冠忠に、
飛刀大好きな劉永(トニー・リュウ)と惠天賜に、なぜかしら曹達華師匠まで。


お色気担当の女はお色気だけが担当だ。


最早ショーブラ女優の重鎮みたいな井莉様。
同じく黒豹を追って消えた旦那を探してやって来た井莉と共に

六金剛は誰と誰?
ほんで黒豹は?


↑・・・カツラ?悩み無用?
戦いと捜索を続ける狄龍であったが、敵対してきた劉永が強くて負傷。


絶対絶命であったが、これは狄龍と劉永で仕掛けた罠。

ひとしきり
私が1金剛よ
俺が2金剛だ
こいつが3金剛で
あいつが4金剛で
そいつが5金剛で
さらには6金剛で
たぶんこいつが7金剛
よろしくねっ!
と自己紹介が終わったところで起き上がりラストバトルへ。


一人ずつ金剛さんを倒して
黒豹もあっさり倒れて
やれめでたし・・・


そんなわきゃないわな






面白い…が!
幕が下りる直前のBGMがぁ!
まじかぁ!

いや「少林寺・怒りの鉄拳」の時も登場人物ほとんど死んだのに軽いチャイニーズ音楽でピンコロピンコロ♪と明るくシメルなぁ!
と思ったが本作はもっと凄い。
そそそ、そっちが主役だったようなぁぁ!

なのでラストBGMの台無し感が半端ないが、
基本的にはとても良い作品だ。


中年の魅力に差し掛かった狄龍もアクションは盛り沢山にやらされてガツガツ動かなあかんし、珍しく美味しい役を演じてる気がする劉永の功夫もたっぷりだ。

サスペンス的な物語はよくよく考えると狄龍を中心に彼が何も推理してないのに自ずから解かれていった感、つまり自爆感も強いが最後まで裏切りまた裏切りの連続で飽きさせることがない。
コメディ功夫ブームがまだまだ余波を保っていた頃にどれだけ本作がウケたのかと想像すると同情に至る良作である。

ま、狄龍ファンは必見作品であることには間違いない。


■CAST&STAFF
監督・脚本 楚原
出演 狄龍(ティ・ロン)
白彪(パイ・ピョウ)
劉永(トニー・リュウ)
井莉
井E
陳曼娜
顧冠忠
艾飛
曹達華
楊志卿
王戎
惠天賜
元彬
狄威(ディック・ウェイ)
姜南
呉杭生
黄培基
武術指導 唐佳
黄培基
音楽 王居仁
製作 邵逸夫(ランラン・ショウ)
制作年度 1980
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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